JPH0742506B2 - 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH0742506B2 JPH0742506B2 JP2100633A JP10063390A JPH0742506B2 JP H0742506 B2 JPH0742506 B2 JP H0742506B2 JP 2100633 A JP2100633 A JP 2100633A JP 10063390 A JP10063390 A JP 10063390A JP H0742506 B2 JPH0742506 B2 JP H0742506B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トランス等の鉄心として使用される磁気特性
の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
一方向性電磁鋼板は、主にトランスその他の電気機器の
鉄心材料として使用されており、励磁特性、鉄損特性等
の磁気特性に優れていることが要求される。励磁特性を
表す数値としては、磁場の強さ800A/mにおける磁束密度
B8が通常使用される。また、鉄損特性を表す数値として
は、周波数50Hzで1.7テスラー(T)まで磁化したとき
の1kg当りの鉄損W17/50を用いている。磁束密度は、鉄
損特性の最大支配因子であり、一般的にいって磁束密度
が高いほど鉄損特性が良好になる。なお、一般的に磁束
密度を高くすると二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特性
が不良となる場合がある。これに対しては、磁区制御に
より、二次再結晶粒の粒径に拘らず、鉄損特性を改善す
ることができる。
鉄心材料として使用されており、励磁特性、鉄損特性等
の磁気特性に優れていることが要求される。励磁特性を
表す数値としては、磁場の強さ800A/mにおける磁束密度
B8が通常使用される。また、鉄損特性を表す数値として
は、周波数50Hzで1.7テスラー(T)まで磁化したとき
の1kg当りの鉄損W17/50を用いている。磁束密度は、鉄
損特性の最大支配因子であり、一般的にいって磁束密度
が高いほど鉄損特性が良好になる。なお、一般的に磁束
密度を高くすると二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特性
が不良となる場合がある。これに対しては、磁区制御に
より、二次再結晶粒の粒径に拘らず、鉄損特性を改善す
ることができる。
この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工程で二次再結
晶を起こさせ、鋼板面に{110},圧延方向に<001>軸
をもったいわゆるゴス組織を発達させることにより、製
造されている。良好な磁気特性を得るためには、磁化容
易軸である<001>を圧延方向に高度に揃えることが必
要である。二次再結晶粒の方向性は、MnS,AlN等をイン
ヒビターとして利用し、最終強圧下圧延を施す方法によ
って大幅に改善され、それに伴って鉄損特性も著しく向
上する。
晶を起こさせ、鋼板面に{110},圧延方向に<001>軸
をもったいわゆるゴス組織を発達させることにより、製
造されている。良好な磁気特性を得るためには、磁化容
易軸である<001>を圧延方向に高度に揃えることが必
要である。二次再結晶粒の方向性は、MnS,AlN等をイン
ヒビターとして利用し、最終強圧下圧延を施す方法によ
って大幅に改善され、それに伴って鉄損特性も著しく向
上する。
ところで、近年タービン発電機用鉄心材料等の用途に、
現用の高級無方向性電磁鋼板にかわって、方向性電磁鋼
板を用いたというニーズが高まってきた。上記用途に関
していえば、他の無方向性電磁鋼板の用途と比較して、
一方向の磁気特性が重要とされるため、方向性電磁鋼板
を用いたいというニーズが高まってきたわけである。一
方、方向性電磁鋼板の熱延後の製造の主工程は、熱延板
焼鈍−冷延−脱炭焼鈍−仕上焼鈍となっており、無方向
性電磁鋼板の熱延後の主工程である冷延−焼鈍と比較し
て、複雑となっている。そのため、製造コストからし
て、方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりかなり
高いものとなる。更に、主として0.5mm厚等の厚手を必
要とする上記用途においては、例えば0.08wt%程度のC
を含有する通常の方向性電磁鋼用スラブを素材として用
いると、脱炭焼鈍工程で磁気時効の生じないCレベル
(例えば0.003wt%以下)まで脱炭するのに要する時間
がかかりすぎるため、当然製造コストが高くなってしま
う。
現用の高級無方向性電磁鋼板にかわって、方向性電磁鋼
板を用いたというニーズが高まってきた。上記用途に関
していえば、他の無方向性電磁鋼板の用途と比較して、
一方向の磁気特性が重要とされるため、方向性電磁鋼板
を用いたいというニーズが高まってきたわけである。一
方、方向性電磁鋼板の熱延後の製造の主工程は、熱延板
焼鈍−冷延−脱炭焼鈍−仕上焼鈍となっており、無方向
性電磁鋼板の熱延後の主工程である冷延−焼鈍と比較し
て、複雑となっている。そのため、製造コストからし
て、方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりかなり
高いものとなる。更に、主として0.5mm厚等の厚手を必
要とする上記用途においては、例えば0.08wt%程度のC
を含有する通常の方向性電磁鋼用スラブを素材として用
いると、脱炭焼鈍工程で磁気時効の生じないCレベル
(例えば0.003wt%以下)まで脱炭するのに要する時間
がかかりすぎるため、当然製造コストが高くなってしま
う。
また、方向性電磁鋼板の製造においては通常熱延後組織
の不均一化、析出処理等を目的として熱延板焼鈍が行わ
れている。例えばAlNを主インヒビターとする製造方法
においては、特公昭46−23820号公報に示すように熱延
板焼鈍においてAlNの析出処理を行ってインヒビターを
制御する方法がとられている。
の不均一化、析出処理等を目的として熱延板焼鈍が行わ
れている。例えばAlNを主インヒビターとする製造方法
においては、特公昭46−23820号公報に示すように熱延
板焼鈍においてAlNの析出処理を行ってインヒビターを
制御する方法がとられている。
近年多量のエネルギー消費をするこのような方向性電磁
鋼板の製造工程に対する見直しが進められ、工程、エネ
ルギーの簡省略化のの要請が強まってきた。このような
要請に応えるべく、AlNを主インヒビターとする製造方
法において、熱延板焼鈍でのAlNの析出処理を、熱延後
の高温巻取で代替する方法(特公昭59−45730号公報)
が提案された。確かにこの方法によって熱延板焼鈍を省
略しても、磁気特性をある程度確保することはできる
が、5〜20トンのコイル状で巻取られる通常の方法にお
いては、冷却過程でコイル内での場所的な熱履歴の差が
生じ、必然的にAlNの析出が不均一となり、最終的な磁
気特性はコイル内の場所によって変動し、歩留が低下す
る結果となる。
鋼板の製造工程に対する見直しが進められ、工程、エネ
ルギーの簡省略化のの要請が強まってきた。このような
要請に応えるべく、AlNを主インヒビターとする製造方
法において、熱延板焼鈍でのAlNの析出処理を、熱延後
の高温巻取で代替する方法(特公昭59−45730号公報)
が提案された。確かにこの方法によって熱延板焼鈍を省
略しても、磁気特性をある程度確保することはできる
が、5〜20トンのコイル状で巻取られる通常の方法にお
いては、冷却過程でコイル内での場所的な熱履歴の差が
生じ、必然的にAlNの析出が不均一となり、最終的な磁
気特性はコイル内の場所によって変動し、歩留が低下す
る結果となる。
そこで本発明者らは、従来ほとんど注目されていなかっ
た仕上熱延最終パス後の再結晶現象に着目し、この現象
を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法にお
いて熱延板焼鈍を省略することを検討した。
た仕上熱延最終パス後の再結晶現象に着目し、この現象
を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法にお
いて熱延板焼鈍を省略することを検討した。
一方向性電磁鋼板の熱延に関しては、高温スラブ加熱
(例えば1300℃以上)時のスラブ結晶粒の粗大成長に起
因する二次再結晶不良(圧延方向に連なった線状細粒発
生)を防止するために、熱延時の960〜1190℃での温度
で1パス当り30%以上の圧下率で再結晶化高圧下圧延を
施し、粗大結晶粒を分断する方法が提案されている(特
公昭60−37172号公報)。確かにこの方法によって線状
細粒発生が減少するが、熱延板焼鈍を施す製造プロセス
を前提としている。
(例えば1300℃以上)時のスラブ結晶粒の粗大成長に起
因する二次再結晶不良(圧延方向に連なった線状細粒発
生)を防止するために、熱延時の960〜1190℃での温度
で1パス当り30%以上の圧下率で再結晶化高圧下圧延を
施し、粗大結晶粒を分断する方法が提案されている(特
公昭60−37172号公報)。確かにこの方法によって線状
細粒発生が減少するが、熱延板焼鈍を施す製造プロセス
を前提としている。
また、MnS,MnSe,Sbをインヒビターとする製造方法にお
いて、熱延時の950〜1200℃の温度で圧下率10%以上で
連続して熱延し、引き続き3℃/sec以上の冷却速度で冷
却することによってMnS,MnSeを均一微細に析出させ、磁
気特性を向上させる方法が提案されている(特開昭51−
20716号公報)。また熱延を低温で行い再結晶の進行を
抑制し、剪断変形で形成される{110}<001>方位粒が
引く続く再結晶で減少するのを防止することによって磁
気特性を向上させる方法が提案されている(特公昭59−
32526号公報、特公昭59−35415号公報)。これらの方法
においても、熱延板焼鈍無しの1回冷延法での製造は検
討さえされていない。また超低炭素を含有する珪素鋼ス
ラブの熱延において、熱延板で歪を蓄積させる低温大圧
下熱延を行い、引き続く熱延板焼鈍での再結晶により超
低炭素材特有の粗大結晶粒を分断する方法が提案されて
いる(特公昭59−34212号公報)。しかしこの方法にお
いても、熱延板焼鈍無しの1回冷延法での製造は検討さ
えされていない。
いて、熱延時の950〜1200℃の温度で圧下率10%以上で
連続して熱延し、引き続き3℃/sec以上の冷却速度で冷
却することによってMnS,MnSeを均一微細に析出させ、磁
気特性を向上させる方法が提案されている(特開昭51−
20716号公報)。また熱延を低温で行い再結晶の進行を
抑制し、剪断変形で形成される{110}<001>方位粒が
引く続く再結晶で減少するのを防止することによって磁
気特性を向上させる方法が提案されている(特公昭59−
32526号公報、特公昭59−35415号公報)。これらの方法
においても、熱延板焼鈍無しの1回冷延法での製造は検
討さえされていない。また超低炭素を含有する珪素鋼ス
ラブの熱延において、熱延板で歪を蓄積させる低温大圧
下熱延を行い、引き続く熱延板焼鈍での再結晶により超
低炭素材特有の粗大結晶粒を分断する方法が提案されて
いる(特公昭59−34212号公報)。しかしこの方法にお
いても、熱延板焼鈍無しの1回冷延法での製造は検討さ
えされていない。
そこで本発明者らは、従来ほとんど注目されていなかっ
た仕上熱延の最終パス後の再結晶現象に着目し、この現
象を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法に
おいて熱延板焼鈍を省略して優れた磁気特性をもつ一方
向性電磁鋼板を得ることを目的として研究を行った。
た仕上熱延の最終パス後の再結晶現象に着目し、この現
象を利用して80%以上の強圧下1回冷延による製造法に
おいて熱延板焼鈍を省略して優れた磁気特性をもつ一方
向性電磁鋼板を得ることを目的として研究を行った。
本発明は、かかる目的を達成するために重量でC:0.010
〜0.060%、Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビター
成分を含み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなる珪
素鋼スラブに対し、熱延終了温度を750〜1150℃とし、
最終3パスの累積圧下率を50%以上とする熱延を行い、
引き続き熱延板焼鈍をすることなく圧下率80%以上の冷
延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする0.
4〜1.0mm厚の厚手一方向性電磁鋼板の製造法を提供する
ものである。
〜0.060%、Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビター
成分を含み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなる珪
素鋼スラブに対し、熱延終了温度を750〜1150℃とし、
最終3パスの累積圧下率を50%以上とする熱延を行い、
引き続き熱延板焼鈍をすることなく圧下率80%以上の冷
延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする0.
4〜1.0mm厚の厚手一方向性電磁鋼板の製造法を提供する
ものである。
更に、この特徴に加えて、仕上熱延の最終パスの圧下率
を20%以上とすることによって、一層磁気特性の優れた
一方向性電磁鋼板が得られる。
を20%以上とすることによって、一層磁気特性の優れた
一方向性電磁鋼板が得られる。
本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、従来用い
られている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法或いは造
塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んでスラブと
し、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで熱延板焼
鈍を施すことなく圧下率80%以上の冷延、脱炭焼鈍、最
終仕上焼鈍を順次行うことによって製造される。
られている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法或いは造
塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んでスラブと
し、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで熱延板焼
鈍を施すことなく圧下率80%以上の冷延、脱炭焼鈍、最
終仕上焼鈍を順次行うことによって製造される。
本発明者らは、仕上熱延の最終パス後の再結晶現象に注
目して、種々の観点から広範囲にわたって研究したとこ
ろ、この現象と磁気特性が密接に関係していることを確
かめた。以下、実験結果を基に詳細に説明する。
目して、種々の観点から広範囲にわたって研究したとこ
ろ、この現象と磁気特性が密接に関係していることを確
かめた。以下、実験結果を基に詳細に説明する。
第1図は熱延終了温度及び熱延の最終3パスの累積圧下
率が製品の磁束密度に与える影響を表したグラフであ
る。ここでは、C:0.036重量%、Si:3.20重量%、酸可溶
性Al:0.027重量%、N:0.0081重量%、S:0.007重量%、M
n:0.15重量%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から
なる20〜80mm厚のスラブを1150〜1400℃に加熱し、6パ
スで3.4mm圧の熱延板に熱延し、約1秒後に水冷し、550
℃まで冷却した後、550℃に1時間保持して炉冷する巻
取りシミュレートを施し、熱延板焼鈍を施すことなく約
85%の強圧下圧延を行って最終板厚0.5mmの冷延板と
し、830〜1000℃の温度で脱炭焼鈍を行い、引き続きMgO
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を行
った。
率が製品の磁束密度に与える影響を表したグラフであ
る。ここでは、C:0.036重量%、Si:3.20重量%、酸可溶
性Al:0.027重量%、N:0.0081重量%、S:0.007重量%、M
n:0.15重量%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から
なる20〜80mm厚のスラブを1150〜1400℃に加熱し、6パ
スで3.4mm圧の熱延板に熱延し、約1秒後に水冷し、550
℃まで冷却した後、550℃に1時間保持して炉冷する巻
取りシミュレートを施し、熱延板焼鈍を施すことなく約
85%の強圧下圧延を行って最終板厚0.5mmの冷延板と
し、830〜1000℃の温度で脱炭焼鈍を行い、引き続きMgO
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を行
った。
第1図から明らかなように熱延終了温度750〜1150℃
で、かつ最終3パスの累積圧下率50%以上の場合にB8≧
1.88Tの高い磁束密度が得られている。また本発明者ら
はこの新知見をさらに詳細に検討した。
で、かつ最終3パスの累積圧下率50%以上の場合にB8≧
1.88Tの高い磁束密度が得られている。また本発明者ら
はこの新知見をさらに詳細に検討した。
第2図は、第1図で磁束密度が良好であった熱延終了温
度750〜1150℃で、かつ熱延の最終3パス累積圧下率50
%以上の場合における熱延の最終パスの圧下率と磁束密
度との関係を表したグラフである。
度750〜1150℃で、かつ熱延の最終3パス累積圧下率50
%以上の場合における熱延の最終パスの圧下率と磁束密
度との関係を表したグラフである。
第2図から明らかなように最終パスの圧下率が20%以上
の場合にB8≧1.90Tの高い磁束密度が得られている。
の場合にB8≧1.90Tの高い磁束密度が得られている。
熱延終了温度、最終3パスの累積圧下率、最終パスの圧
下率と製品の磁束密度との間に第1図及び第2図に示し
た関係が成立する理由については、必ずしも明らかでは
ないが、本発明者らは次のように推察している。
下率と製品の磁束密度との間に第1図及び第2図に示し
た関係が成立する理由については、必ずしも明らかでは
ないが、本発明者らは次のように推察している。
従来から{110}<001>二次再結晶粒の母体は熱延時表
面層での剪断変形で形成されると考えられており、熱延
板での{110}<001>方位粒を冷延再結晶後に富化する
ためには、熱延板での{110}<001>方位粒を粗粒で、
かつ歪の少ない状態にすることが有効と考えられてい
る。他方、通常行われる熱延板焼鈍の役割は、AlN等の
析出処理、冷却時の変態相の形成、冷却時の固溶C、固
溶N、微細炭窒化物の生成等が考えられるが、これらの
役割に加えて、再結晶による歪の低下も熱延板焼鈍の重
要な役割と考えられる。
面層での剪断変形で形成されると考えられており、熱延
板での{110}<001>方位粒を冷延再結晶後に富化する
ためには、熱延板での{110}<001>方位粒を粗粒で、
かつ歪の少ない状態にすることが有効と考えられてい
る。他方、通常行われる熱延板焼鈍の役割は、AlN等の
析出処理、冷却時の変態相の形成、冷却時の固溶C、固
溶N、微細炭窒化物の生成等が考えられるが、これらの
役割に加えて、再結晶による歪の低下も熱延板焼鈍の重
要な役割と考えられる。
そこで本発明者らは、熱間加工シミュレーターを用い
て、熱間加工再結晶挙動を詳細に検討した。第3図は、
熱間加工後の再結晶挙動を示すグラフである。この場
合、重量でC:0.040%、Si:3.27%、Mn:0.14%、S:0.007
%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0076%を含有する粗圧延
材より試料を切り出し、1150℃×10分の加熱後、各温度
で75%の1パス圧下を加え、加工した温度で所定の時間
保持した後水焼入れした。しかる後、本発明者らが開発
したECP(Electron channelling pattern)を画像解析
して結晶歪を測定する方法(日本金属学会秋期講演大会
概要集(1988.11)P289)を用いて再結晶率を測定し
た。ここでは、標準試料の焼鈍板に1.5%冷延した場合E
CPの鮮明度より高い値を示す粒の面積率(低歪粒の面積
率)を再結晶率と呼んでいる。この方法は従来の金属組
織を目視判定して再結晶率を測定する方法と比較して格
段に精度がよい。第3図からわかるように、1000〜1050
℃の温度範囲で最も再結晶の進行が速いことがわかる。
て、熱間加工再結晶挙動を詳細に検討した。第3図は、
熱間加工後の再結晶挙動を示すグラフである。この場
合、重量でC:0.040%、Si:3.27%、Mn:0.14%、S:0.007
%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0076%を含有する粗圧延
材より試料を切り出し、1150℃×10分の加熱後、各温度
で75%の1パス圧下を加え、加工した温度で所定の時間
保持した後水焼入れした。しかる後、本発明者らが開発
したECP(Electron channelling pattern)を画像解析
して結晶歪を測定する方法(日本金属学会秋期講演大会
概要集(1988.11)P289)を用いて再結晶率を測定し
た。ここでは、標準試料の焼鈍板に1.5%冷延した場合E
CPの鮮明度より高い値を示す粒の面積率(低歪粒の面積
率)を再結晶率と呼んでいる。この方法は従来の金属組
織を目視判定して再結晶率を測定する方法と比較して格
段に精度がよい。第3図からわかるように、1000〜1050
℃の温度範囲で最も再結晶の進行が速いことがわかる。
また、同一素材の試料を用いて、同一条件の加熱を行
い、10〜90%の圧下率で1000℃で圧下し、1000℃の温度
に1秒間保持した後水焼入れした。しかる後上記と同一
の方法で再結晶粒を判定し、その再結晶粒の粒径(円相
当直径)と再結晶率(低歪粒の面積率)を画像解析機を
用いて測定した。圧下率と粒径および再結晶率の関係を
第4図に示す。第4図からわかるように、圧下率が大き
いほど再結晶率は高く、再結晶粒の粒径は小さくなる。
い、10〜90%の圧下率で1000℃で圧下し、1000℃の温度
に1秒間保持した後水焼入れした。しかる後上記と同一
の方法で再結晶粒を判定し、その再結晶粒の粒径(円相
当直径)と再結晶率(低歪粒の面積率)を画像解析機を
用いて測定した。圧下率と粒径および再結晶率の関係を
第4図に示す。第4図からわかるように、圧下率が大き
いほど再結晶率は高く、再結晶粒の粒径は小さくなる。
本発明の条件である、熱延終了温度を750〜1150℃と
し、最終3パスの累積圧下率を50%以上とすること、さ
らに加えて、最終パスの圧下率を20%以上とすること
は、第3図、第4図から明らかなように、いずれも仕上
熱延の最終パス後に、再結晶を容易ならしめ、再結晶粒
径を微細とする要件となっていると考えられる。
し、最終3パスの累積圧下率を50%以上とすること、さ
らに加えて、最終パスの圧下率を20%以上とすること
は、第3図、第4図から明らかなように、いずれも仕上
熱延の最終パス後に、再結晶を容易ならしめ、再結晶粒
径を微細とする要件となっていると考えられる。
従って、本発明の場合、熱延板の結晶粒径は小さいが歪
が少ない状態となり、{110}<001>方位粒を冷延再結
晶後に富化する点では、粒径の点で不利であるが、歪の
点で有利であり、結果的には、脱炭焼鈍後の状態で{11
0}<001>方位粒に大きな影響を与えないと考えられ
る。
が少ない状態となり、{110}<001>方位粒を冷延再結
晶後に富化する点では、粒径の点で不利であるが、歪の
点で有利であり、結果的には、脱炭焼鈍後の状態で{11
0}<001>方位粒に大きな影響を与えないと考えられ
る。
他方脱炭板の主方位である{111}<112>,{100}<0
25>は{110}<001>二次再結晶粒の粒成長に影響を与
える方位として知られており、{111}<112>が多いほ
ど{100}<025>が少ないほど{110}<001>二次再結
晶粒の粒成長が容易となると考えられる。本発明におい
ては、最終パス後に引き続く再結晶において、再結晶が
進みやすく、結晶粒も微細化されやすくなる。この本発
明の熱延板を引き続き冷延再結晶させると冷延前の粒径
が小さいがために粒界近傍から{111}<112>が多く核
生し、粒内から核生する{100}<025>が相対的に減少
する。
25>は{110}<001>二次再結晶粒の粒成長に影響を与
える方位として知られており、{111}<112>が多いほ
ど{100}<025>が少ないほど{110}<001>二次再結
晶粒の粒成長が容易となると考えられる。本発明におい
ては、最終パス後に引き続く再結晶において、再結晶が
進みやすく、結晶粒も微細化されやすくなる。この本発
明の熱延板を引き続き冷延再結晶させると冷延前の粒径
が小さいがために粒界近傍から{111}<112>が多く核
生し、粒内から核生する{100}<025>が相対的に減少
する。
従って本発明においては、熱延最終パス後に引き続く再
結晶によって熱延板が低歪で、かつ結晶粒径が小さい状
態となったがために、脱炭板の状態で{110}<001>方
位粒に影響を与えることなく、{110}<001>方位粒の
粒成長に有利な{111}<112>方位粒を増加させ、{11
0}<001>方位粒の粒成長を妨げる{100}<025>方位
粒を減少させることに成功した。これにより熱延板焼鈍
を省略しても良好な磁気特性を得ることが可能となるも
のと考えられる。
結晶によって熱延板が低歪で、かつ結晶粒径が小さい状
態となったがために、脱炭板の状態で{110}<001>方
位粒に影響を与えることなく、{110}<001>方位粒の
粒成長に有利な{111}<112>方位粒を増加させ、{11
0}<001>方位粒の粒成長を妨げる{100}<025>方位
粒を減少させることに成功した。これにより熱延板焼鈍
を省略しても良好な磁気特性を得ることが可能となるも
のと考えられる。
次いで、本発明の各要件について説明する。
本発明で使用されるスラブは重量でC:0.010〜0.060%、
Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビター成分を含み
残余はFeおよび不可避的不純物よりなる。
Si:2.5〜4.5%ならびに通常のインヒビター成分を含み
残余はFeおよび不可避的不純物よりなる。
次に上記成分の限定理由について述べる。Cは0.010%
未満になると二次再結晶が不安定となり、二次再結晶し
た場合でもB8≧1.80(T)が得がたいので、0.010%以
上とした。また、0.060%を超えると板厚が0.4〜1.0と
厚いために脱炭不良が発生して好ましくない。また、Si
については4.5%を超えると冷延が困難となり好ましく
なく、2.5%未満では良好な磁気特性を得ることが困難
となり好ましくない。また、インヒビター構成元素とし
て、必要に応じてAl,N,Mn,S,Se,sb,B,Cu,Bi,Nb,Cr,Sn,T
i等を添加することもできる。
未満になると二次再結晶が不安定となり、二次再結晶し
た場合でもB8≧1.80(T)が得がたいので、0.010%以
上とした。また、0.060%を超えると板厚が0.4〜1.0と
厚いために脱炭不良が発生して好ましくない。また、Si
については4.5%を超えると冷延が困難となり好ましく
なく、2.5%未満では良好な磁気特性を得ることが困難
となり好ましくない。また、インヒビター構成元素とし
て、必要に応じてAl,N,Mn,S,Se,sb,B,Cu,Bi,Nb,Cr,Sn,T
i等を添加することもできる。
このスラブの加熱温度は、特に限定されるものではない
が、コスト面から1300℃以下とすることが好ましい。
が、コスト面から1300℃以下とすることが好ましい。
加熱されたスラブは、引き続き熱延されて熱延板とな
る。本発明の特徴はこの熱延工程にある。つまり、熱延
終了温度を750〜1150℃とし、仕上熱延の最終3パスの
累積圧下率を50%以上とすることが良好な磁気特性を得
る上で好ましい。また、さらに加えて、仕上熱延の最終
パスの圧下率を20%以上にすることは、良好な磁気特性
を得る上で一層好ましい。
る。本発明の特徴はこの熱延工程にある。つまり、熱延
終了温度を750〜1150℃とし、仕上熱延の最終3パスの
累積圧下率を50%以上とすることが良好な磁気特性を得
る上で好ましい。また、さらに加えて、仕上熱延の最終
パスの圧下率を20%以上にすることは、良好な磁気特性
を得る上で一層好ましい。
熱延工程は通常100〜400mm厚のスラブを加熱した後、い
づれも複数回のパスで行う粗圧延と仕上圧延より成る。
粗圧延の方法については特に限定するものではなく通常
の方法で行われる。本発明の特徴は粗圧延に引き続く仕
上圧延にある。仕上圧延は通常4〜10パスの高速連続圧
延で行われる。通常仕上圧延の圧下配分は前段が圧下率
が高く、後段に行くほど圧下率を下げて形状を良好なも
のとしている。圧延速度は通常100〜3000m/minとなって
おり、パス間の時間は0.01〜100秒となっている。本発
明で限定しているのは、熱延終了温度と最終3パスの累
積圧下率とさらに加えて最終パスの圧下率だけであり、
その他の条件は特に限定するものではないが、最終3パ
スのパス間時間を1000秒以上と異常に長くとるとパス間
の回復、再結晶で歪が開放され、蓄積歪の効果が得られ
にくくなるので好ましくない。その他仕上熱延前段の数
パスでの圧下率については、最終パスまで加えた歪が残
っていることが期待しにくいので特に限定せず、最終3
パスだけを重視すれば十分である。
づれも複数回のパスで行う粗圧延と仕上圧延より成る。
粗圧延の方法については特に限定するものではなく通常
の方法で行われる。本発明の特徴は粗圧延に引き続く仕
上圧延にある。仕上圧延は通常4〜10パスの高速連続圧
延で行われる。通常仕上圧延の圧下配分は前段が圧下率
が高く、後段に行くほど圧下率を下げて形状を良好なも
のとしている。圧延速度は通常100〜3000m/minとなって
おり、パス間の時間は0.01〜100秒となっている。本発
明で限定しているのは、熱延終了温度と最終3パスの累
積圧下率とさらに加えて最終パスの圧下率だけであり、
その他の条件は特に限定するものではないが、最終3パ
スのパス間時間を1000秒以上と異常に長くとるとパス間
の回復、再結晶で歪が開放され、蓄積歪の効果が得られ
にくくなるので好ましくない。その他仕上熱延前段の数
パスでの圧下率については、最終パスまで加えた歪が残
っていることが期待しにくいので特に限定せず、最終3
パスだけを重視すれば十分である。
次いで上記熱延条件の限定理由について述べる。熱延終
了温度を750〜1150℃、最終3パスの累積圧下率を50%
以上としたのは、第1図から明らかなようにこの範囲で
B8≧1.88(T)の良好な磁束密度B8をもつ製品が得られ
るためである。なお最終3パスの累積圧下率の上限につ
いては特に限定するものではないが工業的には99.9%以
上の累積圧下を加えることは困難である。またさらに好
ましくは最終パスの圧下率を20%以上としたのは第2図
から明らかなようにこの範囲において、B8≧1.90(T)
の一層良好な磁束密度B8をもつ製品が得られるためであ
る。なお最終パスの圧下率の上限は特に限定するもので
はないが、工業的には90%以上の圧下を加えることは困
難である。
了温度を750〜1150℃、最終3パスの累積圧下率を50%
以上としたのは、第1図から明らかなようにこの範囲で
B8≧1.88(T)の良好な磁束密度B8をもつ製品が得られ
るためである。なお最終3パスの累積圧下率の上限につ
いては特に限定するものではないが工業的には99.9%以
上の累積圧下を加えることは困難である。またさらに好
ましくは最終パスの圧下率を20%以上としたのは第2図
から明らかなようにこの範囲において、B8≧1.90(T)
の一層良好な磁束密度B8をもつ製品が得られるためであ
る。なお最終パスの圧下率の上限は特に限定するもので
はないが、工業的には90%以上の圧下を加えることは困
難である。
熱延の最終パス後、通常0.1〜100秒程度空冷された後水
冷され300〜700℃の温度で巻取られ、徐冷される。この
冷却プロセスについては特に限定されるものではない
が、熱延後1秒以上空冷することは、再結晶を進ませる
上で好ましい。
冷され300〜700℃の温度で巻取られ、徐冷される。この
冷却プロセスについては特に限定されるものではない
が、熱延後1秒以上空冷することは、再結晶を進ませる
上で好ましい。
この熱延板は熱延板焼鈍を施すことなく80%以上の圧下
率で冷延される。圧下率を80%以上としたのは、圧下率
を上記範囲とすることによって、脱炭板において尖鋭な
{110}<001>方位粒と、これに蚕食され易い対応方位
粒({111}<112>方位粒等)を適正量得ることがで
き、磁束密度を高める上で好ましいためである。
率で冷延される。圧下率を80%以上としたのは、圧下率
を上記範囲とすることによって、脱炭板において尖鋭な
{110}<001>方位粒と、これに蚕食され易い対応方位
粒({111}<112>方位粒等)を適正量得ることがで
き、磁束密度を高める上で好ましいためである。
冷延板の板厚を0.4〜1.0mmと規定したのは、厚手一方向
性電磁鋼板を得る本発明の目的のためである。また、1.
0mm超では、脱炭焼鈍に時間がかかりすぎて好ましくな
い。
性電磁鋼板を得る本発明の目的のためである。また、1.
0mm超では、脱炭焼鈍に時間がかかりすぎて好ましくな
い。
冷延後鋼板は通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布、
仕上焼鈍を施されて最終製品となる。なお脱炭焼鈍後の
状態で二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足して
いる場合には、仕上焼鈍等においてインヒビターを強化
する処理が必要となる。インヒビター強化法の一例とし
ては、Alを含有する鋼において仕上焼鈍雰囲気ガスの窒
素分圧を高めに設定する方法が知られている。
仕上焼鈍を施されて最終製品となる。なお脱炭焼鈍後の
状態で二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足して
いる場合には、仕上焼鈍等においてインヒビターを強化
する処理が必要となる。インヒビター強化法の一例とし
ては、Alを含有する鋼において仕上焼鈍雰囲気ガスの窒
素分圧を高めに設定する方法が知られている。
以下実施例を説明する。
−実施例1− C:0.034重量%、Si:3.21重量%、Mn:0.16重量%、S:0.0
07重量%、酸可溶性Al:0.026重量%、N:0.0078重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる60mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、1050℃で熱延を開始
し6パスで熱延して3.4mmの熱延板とした。この時圧下
配分を60→28→13→6.5→5.0→3.8→3.4(mm)、60
→40→26→14→7.3→4.1→3.4(mm)、60→40→26→1
4→7.3→4.4→3.4(mm)の3条件とした。熱延終了後は
1秒間空冷後550℃まで水冷し、550℃に1時間保持した
後、炉冷する巻取シミュレーションを行った。この熱延
板を酸洗して圧下率約85%で0.5mmの冷延板とし、830℃
で250秒保持する脱炭焼鈍を施した。得られた脱炭焼鈍
板に、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、N225
%、H275%の雰囲気ガス中で15℃/時の速度で1200℃ま
で昇温し、引き続きH2100%雰囲気ガス中で1200℃で20
時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
07重量%、酸可溶性Al:0.026重量%、N:0.0078重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる60mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、1050℃で熱延を開始
し6パスで熱延して3.4mmの熱延板とした。この時圧下
配分を60→28→13→6.5→5.0→3.8→3.4(mm)、60
→40→26→14→7.3→4.1→3.4(mm)、60→40→26→1
4→7.3→4.4→3.4(mm)の3条件とした。熱延終了後は
1秒間空冷後550℃まで水冷し、550℃に1時間保持した
後、炉冷する巻取シミュレーションを行った。この熱延
板を酸洗して圧下率約85%で0.5mmの冷延板とし、830℃
で250秒保持する脱炭焼鈍を施した。得られた脱炭焼鈍
板に、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、N225
%、H275%の雰囲気ガス中で15℃/時の速度で1200℃ま
で昇温し、引き続きH2100%雰囲気ガス中で1200℃で20
時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
熱延条件、熱延終了温度と製品の磁気特性を第1表に示
す。
す。
−実施例2− C:0.035重量%、Si:3.28重量%、Mn:0.16重量%、S:0.0
07重量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、6パスで熱延して3.
4mmの熱延板とした。この時圧下配分を40→21→14→10
→7.0→4.0→3.4(mm)とし、熱延開始温度を1000
℃、900℃、800℃、700℃の4条件とした。熱延
終了後の冷却条件、引き続く最終仕上焼鈍までの工程条
件は実施例1と同じ条件で行った。
07重量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、6パスで熱延して3.
4mmの熱延板とした。この時圧下配分を40→21→14→10
→7.0→4.0→3.4(mm)とし、熱延開始温度を1000
℃、900℃、800℃、700℃の4条件とした。熱延
終了後の冷却条件、引き続く最終仕上焼鈍までの工程条
件は実施例1と同じ条件で行った。
熱延条件、熱延終了温度と製品の磁気特性を第2表に示
す。
す。
−実施例3− C:0.048重量%、Si:3.30重量%、Mn:0.15重量%、S:0.0
06重量%、酸可溶性Al:0.031重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる70mm厚のス
ラブを1250℃の温度で加熱した後、6パスで熱延して3.
0mmの熱延板とした。この時圧下配分を70→45→30→15
→7.5→4.5→3.0(mm)とし、熱延開始温度を1250
℃、1100℃、1000℃の3条件とした。熱延終了後は
実施例1と同じ条件で冷却した。この熱延板を酸洗して
圧下率約83%で0.5mmの冷延板とし、830℃で150秒保持
し引き続き850℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施した。得
られた脱炭焼鈍板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布し、N225%、H275%の雰囲気ガス中で10℃/時の速度
で880℃まで昇温し、引き続きN275%、H225%雰囲気ガ
ス中で15℃/時の速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2
100%の雰囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕
上焼鈍を行った。
06重量%、酸可溶性Al:0.031重量%、N:0.0080重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる70mm厚のス
ラブを1250℃の温度で加熱した後、6パスで熱延して3.
0mmの熱延板とした。この時圧下配分を70→45→30→15
→7.5→4.5→3.0(mm)とし、熱延開始温度を1250
℃、1100℃、1000℃の3条件とした。熱延終了後は
実施例1と同じ条件で冷却した。この熱延板を酸洗して
圧下率約83%で0.5mmの冷延板とし、830℃で150秒保持
し引き続き850℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施した。得
られた脱炭焼鈍板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布し、N225%、H275%の雰囲気ガス中で10℃/時の速度
で880℃まで昇温し、引き続きN275%、H225%雰囲気ガ
ス中で15℃/時の速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2
100%の雰囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕
上焼鈍を行った。
熱延条件、熱延終了温度と製品の磁気特性を第3表に示
す。
す。
−実施例4− C:0.019重量%、Si:3.10重量%、Mn:0.16重量%、S:0.0
07重量%、酸可溶性Al:0.031重量%、N:0.0078重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、1050℃で熱延を開始
し、5パスで熱延して3.8mmの熱延板とした。この時圧
下配分を下記の3条件とした。
07重量%、酸可溶性Al:0.031重量%、N:0.0078重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、1050℃で熱延を開始
し、5パスで熱延して3.8mmの熱延板とした。この時圧
下配分を下記の3条件とした。
40→16→7.4→5.8→4.3→3.8(mm) 40→30→22.7→13.6→6.8→3.8(mm) 40→30→23→14→7.6→3.8(mm) 熱延後の冷却を実施例1と同じ条件で行った。この熱延
板を酸洗して圧下率約87%で0.5mmの冷延板とし、引き
続き最終仕上焼鈍までの工程条件を実施例1と同じ条件
で行った。
板を酸洗して圧下率約87%で0.5mmの冷延板とし、引き
続き最終仕上焼鈍までの工程条件を実施例1と同じ条件
で行った。
熱延条件、熱延終了温度、製品の磁気特性を第4表に示
す。
す。
−実施例5− C:0.033重量%、Si:3.20重量%、Mn:0.14重量%、S:0.0
07重量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0079重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、1050℃で熱延を開始
し、6パスの熱延して3.4mmの熱延板とした。この時圧
下配分を40→15→7.3→5.1→4.4→3.8→3.4(mm)、
40→25→15→10→8→5.7→3.4(mm)の2条件とし
た。熱延終了後の冷却条件、引き続く脱炭焼鈍までの工
程条件は実施例1と同じ条件で行った。次いで、この脱
炭板に750℃×30秒の熱処理を施し、この時NH3ガスを雰
囲気ガスに混合させ、鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。し
かる後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200
℃までN275%、H225%の雰囲気ガス中で10℃/時の速度
で昇温し、次いでH2100%の雰囲気ガス中で1200℃で20
時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
07重量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0079重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚のス
ラブを1150℃の温度で加熱した後、1050℃で熱延を開始
し、6パスの熱延して3.4mmの熱延板とした。この時圧
下配分を40→15→7.3→5.1→4.4→3.8→3.4(mm)、
40→25→15→10→8→5.7→3.4(mm)の2条件とし
た。熱延終了後の冷却条件、引き続く脱炭焼鈍までの工
程条件は実施例1と同じ条件で行った。次いで、この脱
炭板に750℃×30秒の熱処理を施し、この時NH3ガスを雰
囲気ガスに混合させ、鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。し
かる後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200
℃までN275%、H225%の雰囲気ガス中で10℃/時の速度
で昇温し、次いでH2100%の雰囲気ガス中で1200℃で20
時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
熱延条件、熱延終了温度と製品の磁気特性を第5表に示
す。
す。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明においては、熱延終了温度
と熱延最終3パスの累積圧下率とさらに好ましくは熱延
の最終パスの圧下率を制御することにより、熱延板焼鈍
を施すことなく、1回冷延法で良好な磁気特性を有する
厚手一方向性電磁鋼板を製造することができるので、そ
の工業的効果は極めて大である。
と熱延最終3パスの累積圧下率とさらに好ましくは熱延
の最終パスの圧下率を制御することにより、熱延板焼鈍
を施すことなく、1回冷延法で良好な磁気特性を有する
厚手一方向性電磁鋼板を製造することができるので、そ
の工業的効果は極めて大である。
第1図は熱延終了温度及び熱延の最終3パスの累積圧下
率が製品の磁束密度に与える影響を表したグラフであ
り、第2図は熱延の最終パスの圧下率が製品の磁束密度
に与える影響を表したグラフであり、第3図は、熱間加
工再結晶挙動を示すグラフであり、第4図は再結晶率、
再結晶粒径に対する圧下率の影響を示すグラフである。
率が製品の磁束密度に与える影響を表したグラフであ
り、第2図は熱延の最終パスの圧下率が製品の磁束密度
に与える影響を表したグラフであり、第3図は、熱間加
工再結晶挙動を示すグラフであり、第4図は再結晶率、
再結晶粒径に対する圧下率の影響を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】重量でC:0.010〜0.060%、Si:2.5〜4.5%
ならびに通常のインヒビター成分を含み、残余はFeおよ
び不可避的不純物よりなる珪素鋼スラブを熱延し、熱延
板焼鈍をすることなく、引き続き圧下率80%以上の冷
延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して0.4〜1.0mm厚の厚
手一方向性電磁鋼板を製造する方法において、熱延終了
温度を750〜1150℃とし、最終3パスの累積圧下率を50
%以上とすることを特徴とする磁気特性の優れた厚い板
厚の一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】仕上熱延の最終パスの圧下率が20%以上で
あることを特徴とする請求項1記載の磁気特性の優れた
厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2100633A JPH0742506B2 (ja) | 1990-04-17 | 1990-04-17 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2100633A JPH0742506B2 (ja) | 1990-04-17 | 1990-04-17 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04324A JPH04324A (ja) | 1992-01-06 |
JPH0742506B2 true JPH0742506B2 (ja) | 1995-05-10 |
Family
ID=14279241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2100633A Expired - Lifetime JPH0742506B2 (ja) | 1990-04-17 | 1990-04-17 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0742506B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011219793A (ja) * | 2010-04-06 | 2011-11-04 | Nippon Steel Corp | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板用熱延板及びその製造方法 |
-
1990
- 1990-04-17 JP JP2100633A patent/JPH0742506B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04324A (ja) | 1992-01-06 |
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