JPH0617461B2 - 遷移金属触媒による重合反応 - Google Patents

遷移金属触媒による重合反応

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JPH0617461B2
JPH0617461B2 JP7586985A JP7586985A JPH0617461B2 JP H0617461 B2 JPH0617461 B2 JP H0617461B2 JP 7586985 A JP7586985 A JP 7586985A JP 7586985 A JP7586985 A JP 7586985A JP H0617461 B2 JPH0617461 B2 JP H0617461B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は亜鉛及び遷移金属化合物を利用した重合方法に
関する。
〔従来技術〕
本発明者等は遷移金属化合物の存在下に分子内に2個以
上の炭素−ハロゲン結合を有する化合物をマグネシウム
により脱ハロゲン反応させて重合させる方法を見出した
(Bull.Chem.Soc.Jpn.51,209
1(1978)、特公昭53−25600)。この方法
によれば、例えば2個の炭素−ハロゲン結合を分子内に
有する化合物は脱ハロゲン反応により重合体となる。即
ちこの反応は下記反応式のように表わされる。
nX−R−X+nMg →(R)+nMgX(1) (式中Rは2価の有機の基であり、Xはハロゲンであ
る) 該反応をp−ジクロロベンゼン、2,5−ジブロモチオ
フェン、1,6−ジブロモヘキサン等に応用することに
より所望の耐熱性ポリマー、導電性ポリマー等の機能、
特性、分子構造を持ったものが合成される(Bull.
Chem.Soc.Jpn.51,2091(197
8)、Bull.Chem.Soc.Jpn.56,1
497(1983)、Inorg.Chim.Act
a.73,75(1983)、MacroActa.7
3,75(1983)、Macromolecule,
16,1555(1983)、特許1200926、B
ull.Chem.Soc.Jpn.56,1503
(1983))。又、分子内に3個以上の炭素−ハロゲ
ン結合を分子内に有する化合物に適用した場合には網目
構造を有するポリマーが得られる。このように(1)式
で表される反応は有用な方法であるが、下記のような欠
点を有している。
(イ)反応の過程でグリニャール反応剤が生成するため
に、反応溶媒としてエーテル類を用いる必要がある。し
かしエーテル類には爆発性、引火性等の問題があり、工
業化での問題点となる。
(ロ)上述のようにグリニャール反応剤が生成するた
め、分子内にシアノ基、カルボニル基等の活性基を有す
る化合物の重合に適用することが困難である。
(ハ)マグネシウムは高価である。
また最近、亜鉛を脱ハロゲン化剤として用いることによ
り炭素−ハロゲン結合を分子内に有する化合物をカップ
リングさせる方法が報告されている(Chem.Let
t.127(1985)、Tetrahed.Let
t.4089(1977)等)。この方法は下記反応式
のように表され、ニッケル等の遷移金属の化合物が触媒
として用いられている。
2R′−X+Zn →R′−R′+ZnX(2) (式中、R′は1価の基であり、Xはハロゲンである) 〔発明が解決しようとする課題〕 前記マグネシウムを利用した重合方法の欠点をなくした
広範囲に適用可能な重合方法を提供するのが本発明の目
的である。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明の要旨は、遷移金属化合物の存在下
に、分子内にベンゼン環又はチオフェン環を有し、且つ
炭素−ハロゲン結合を2個以上有する共役系化合物を、
亜鉛と反応させることを特徴とする、遷移金属触媒によ
る重合方法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は前記反応式
(2)を2個の炭素−ハロゲン結合を分子内に有する共
役系化合物に適用して重合体を得るものであり、下記反
応式で表される。
nX−R−X+nZn →(R)+nZnX(3) (式中、R,Xは(1)式と同じ意味である) また分子内に3個以上の炭素−ハロゲン結合を分子内に
有する化合物に適用した場合には網目構造の重合体を得
ることができる。
本発明の方法においては前記(イ)〜(ハ)の欠点を有
していない。即ち本発明の方法においては (イ)溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、ベ
ンゼン等の非エーテル系溶媒を用いることができる。
(ロ)分子内にシアノ基、エステル基等の活性基、官能
基を有する化合物にも適用することができる。
(ハ)亜鉛はマグネシウムに比較して安価である。
等の特徴がある。
本発明の方法は前記反応式(2)と同様の反応と考えら
れるが、反応式(2)は亜鉛によって還元された低原子
価金属化合物(例えばゼロ価ニッケル錯体)が2分子の
ハロゲン化有機化合物R′Xと反応してカップリング生
成物R′−R′を与えるERU反応機構によって進行す
ると考えられる(Bull.Chem.Soc.Jp
n,57,1887(1984),Chem.Let
t.127(1985),Tetrahed.Let
t,3375(1975)。この場合の触媒としてはニ
ッケル、バナジウム、コバルト、クロム等の多くの遷移
金属化合物が報告されており、本発明においても同様に
適用可能である。
また前記反応式(2)において炭素−ハロゲン結合を分
子内に有する共役系化合物は、分子内にベンゼン環又は
チオフェン環を有するものであり、具体的には、他の置
換基を有してもよいジハロゲン化ベンゼン、ジハロゲン
化ビフェニル、ジハロゲン化チオフェン、ジハロゲン化
ビチエニル等のハロゲン化芳香族化合物、ジハロゲン化
ビニル等のハロゲン化オレフィン化合物等のようにsp
炭素にハロゲンが結合している化合物が挙げられる。
更に詳しく述べれば、本発明で用いられる共役系化合物
は、結果として得られるポリマーの主鎖が実質的に共役
系だけの結合でできるような構造を与えることが必要で
ある。ポリマーの主鎖が実質的に共役系だけの結合であ
る場合に導電性等の電気的物性、機械的物性の優れたポ
リマーを得ることができるようになる。
また本発明の方法においてテトラエチルアンモニウムヨ
ウ化物(EtNI)等の4級アンモニウムヨウ化物、
4級フォスホニウムヨウ化物(RPI、Rはアルキル
基、アリール基等の有機の基)、ヨウ化アルカリ金属、
ヨウ化アルカリ土類金属等のヨウ化物を添加することに
より、反応を促進させることができる。
また反応溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、
ヘキサメチルりん酸トリアミドやベンゼン等が利用でき
る。
〔実施例〕
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明の
要旨をこえないかぎり、本実施例に限定されるものでは
ない。
実施例1 亜鉛末4.29g(65mmol)をシュレンク管にとり、2N
の塩酸で2回、窒素ガス置換した水及びエチルアルコー
ルで各々2回洗浄した後に脱水エーテルで洗ってから乾
燥する。この後に上記シュレンク管中に0.49g(0.65mm
l)のNiBr(PPh(PPhはトリフェ
ニルホスフィンを表す)、11.3g(43.5mmol)のEt
NI、60cm3のベンゼン及び2.5cm3の3−メチル−
2,5−ジブロモチオフェンを加えて窒素ガス雰囲気下
で還流させる。約1〜2時間で溶液の色は黄緑色から赤
褐色に変化し、シュレンク管下層部に赤褐色のポリマー
の生成が認められた。5時間還流下に反応を行わせた後
に、反応混合物を塩酸酸性エチルアルコール中に加えて
撹拌する。沈澱物をグラスフィルター上に集めた後、該
沈澱物を2N塩酸、、熱水、エチルアルコールの順に繰
り返しよく洗う。洗浄後、真空乾燥することにより、0.
72gの重合物を得た。この重合物を赤外吸収スペクトル
及び粉末X線回折により確認した結果、反応式(1)で
合成されたポリ(3−メチル−2,5−チエニレン)
(Bull.Chem.Soc.Jpn.56,149
7(1983)、特開昭58−147426)の赤外吸
収スペクトル及び粉末X線回折図に一致することから、
3−メチル−2,5−ジブロモチオフェンが重合してポ
リ(3−メチル−2,5−チエニレン)となっているこ
とが確認できた。上記ポリ(3−メチル−2,5−チエ
ニレン)を熱クロロホルムにより、ソックスレー抽出を
行うとクロロホルム可溶性ポリ(3−メチル2,5−チ
エニレン)が得られた(クロロホルム抽出液を濃縮後、
ヘキサン中に加えて生成した沈澱を真空乾燥して得
た)。粉末状クロロホルム可溶性ポリ(3−メチル2,
5−チエニレン)(以下クロロホルム可溶分と言う)の
元素分析値は炭素60.6%、水素4.1%であり、この重合
物が末端の両側にブロムを有するとすると元素分析値よ
り計算される重合度は約54であり、末端の一方のみに
ブロムを有するとすると元素分析値より計算される重合
度は約27となる。このクロロホルム可溶分はヨウ素、
SO等の電子受容体に対して高い親和力を示し、ポリ
マー重量の1.66倍のヨウ素を吸収して生成した付加体の
電気伝導度は15℃で7.8×10-2Scm-1であり、電気伝
導の活性化エネルギーは3.0kcal/molであった。又、ク
ロロホルム可溶分のクロロホルム溶液を白金板に塗布し
て乾燥させ、これを正極とし、白金板を負極として、両
極をNaClO(0.3M)のアセトニトリル溶液中に
浸漬して0.2mA/cm2の電流密度でガルバノスタット(北
斗電工(株)HA−301型)を用いて電流を流すと、
電流を流す前は橙赤色であったクロロホルム可溶分は約
2分後に黒色へと変化した。これはクロロホルム可溶分
がClOによってドーピングされたことを示している
(J.Chem.87,1459(1984),Syn
th.Metals,6,69(1983),電気化
学,52,80(1984)等)。このドーピング後の
クロロホルム可溶分は半導性を示し、クロロホルムに不
溶となった。クロロホルムに不溶となった原因として
は、ドーピングによる物性の変化や電極上での酸化によ
りポリマー間の架橋反応が起こり網目構造が生成したも
のと考えられる。またドーピングされたクロロホルム可
溶分は上記と逆の方向に電流を流すことにより脱ドープ
され元の橙赤色に戻る。
実施例2 実施例1と同様の方法により活性化した亜鉛3.53g、メ
チル−2,5−ジブロモチオフェン4.38g(18mm0
l),EtNI9.25g(36mmol)及び、NiBr
(PPh1.3g(1.8mmol)、溶媒N,N−ジメチ
ルホルムアミド(40cm3)を用い、100℃、8時間
で実施例1と同様の方法で重合し、同様に精製、乾燥し
て0.47gのポリ(2,5−チエニレン)を得た。ポリマ
ーは同様に赤外吸収スペクトル及び粉末X線回折により
確認した。クロロホルム可溶分は1.2倍重量のヨウ素を
吸収し、この付加体は15℃で3.3×10-2Scm-1の電気
伝導度を示し、元素分析値は炭素56.5%、水素2.5%で
ある。この重合物が末端の両側にブロムを有するとする
と元素分析値より計算される重合度は約41である。
実施例3 亜鉛末3.5g(54mmol)を1Nの塩酸で2回、窒素ガ
ス置換した水及びエチルアルコールで各々2回、ジエチ
ルエーテルで1回洗浄した後に乾燥する。シュレンク管
中に0.1g(0.19mml)のNiCl(dpe)(dpe
は1,2−ビス(ジフェニルホスホノ)エタンを表
す)、15mmlのヘキサメチルりん酸トリアミド
(〔(CHN〕PO)及び4.4g(18mmol)
の2,5−ジブロモチオフェンを加えて窒素ガスで置換
した後80℃に加熱、撹拌する。この混合系は赤褐色の
分散液となる。この混合系に上記活性化亜鉛を加えると
分散液の色はただちに黄色となり、80℃でさらに撹拌
を続けると約10分後には茶褐色のポリ(2,5−チエ
ニレン)の生成が認められた。約20分、60分後に反
応系より一部を分取し、塩酸、水、エチルアルコールで
洗浄後、赤外吸収スペクトルでポリ(2,5−チエニレ
ン)を確認した。反応温度を150℃にして、更に2時
間撹拌反応させた後に反応混合液を約100mmlのエチ
ルアルコール中に撹拌しながら加えて沈澱を生成させ
た。生成した沈澱を塩酸、熱水、エチルアルコールで洗
浄後、真空乾燥して1.1gのポリ(2,5−チエニレ
ン)を得た。
実施例4 実施例1と同様にして活性化した亜鉛末4.3g、Et
NI11.3g(43.5mmol)、PdCl0.115g(0.65mmo
l)、PPh0.8g(3.1mmol)及び2,5−ジブロモ
チオフェン4.38g(18mmol)を窒素置換後更に蒸留精
製し、窒素ガス下に保存したベンゼン60mlをシュリン
ク管に加えて窒素雰囲気下撹拌しながら還流下に20時
間反応させ、生成した褐色の反応混合物を塩酸酸性メチ
ルアルコール中に撹拌しながら加えた。これを洗浄、真
空乾燥し、1.1gの重合物を得た。同様に赤外吸収スペ
クトルでポリ(2,5−チエニレン)であることを確認
した。
実施例5 シュリンク管に実施例1と同様にして活性化した亜鉛末
1.96g(30mmol)、EtNI5.14g(20mmol)、
NiBr(PPh0.40g(0.54mmol)、PPh
0.5g(1.9mmol)、p−ジヨウドベンゼン3.6g(10.
9mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(50cm3
をとり、窒素ガスで置換した後、撹拌しながら還流下に
18時間反応させ、反応混合物を2N塩酸と混合し、生
成した固体を更に2N塩酸で洗浄し、その後熱水で充分
に洗浄、真空乾燥し、黄色の0.61gの重合物を得た。同
様に赤外吸収スペクトルでポリ(p−フェニレン)であ
ることを確認した(Bull.Chem.Soc.Jp
n.51,2091(1987)) 上記重合物をソックスレー抽出器で熱トルエンで24時
間抽出し、トルエン可溶分とトルエン不溶分を得た。ト
ルエン不溶分の真空乾燥後の元素分析値は炭素85.4%、
水素5.2%、窒素0.4%であり、若干のN,N−ジメチル
ホルムアミドを含んでいた。この重合物が末端の両側に
ヨウ素を有するとすると元素分析値より計算される重合
度は約34である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遷移金属化合物の存在下に、分子内にベン
    ゼン環又はチオフェン環を有し、 且つ炭素−ハロゲン結合を2個以上有する共役系化合物
    を、亜鉛と反応させることを特徴とする、遷移金属触媒
    による重合方法。
  2. 【請求項2】遷移金属化合物としてニッケル又はパラジ
    ウム化合物を使用することを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の重合方法。
  3. 【請求項3】ヨウ化物の存在下で行うことを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の重合方法。
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