JPH0617434U - バリカン形刈払機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 刈刃の焼き入れ等の加工時の変形を防止する
とともに、往復運動時の運動バランスを良好とし、しか
も、偏心カム等の製造加工を容易に行うことができると
ともに、部材の交換等のメインテナンス作業を容易に行
うことができ、また、全体を安価で軽量な構成にするこ
とができ、かつ、可動部材の耐久性を向上させるように
された、バリカン形刈払機を提供する。 【構成】 主軸８０、円形の偏心カム１２０、１３０を
それぞれ別体に形成するとともに、前記主軸８０に前記
偏心カム１２０、１３０を回り止め嵌合して取り付け
る。前記刈刃１４０、１５０には、その長手方向に沿っ
て前記主軸８０を貫通させるための長孔２１１、２２１
が形成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、バリカン形刈払機に関し、特に、偏心カムの回転運動により刈刃を 往復運動させるようにしたバリカン形刈払機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、畦畔や用水路等での雑草類の刈取り、芝生の刈込み、生垣の刈込み等 の草木の刈払作業を行うバリカン形刈払機においては、通常、操作桿の一端に設 置された内燃エンジン等の動力源からの出力を、動力伝達装置を介して刈刃装置 に伝え、上下一対の細長状の刈刃を互いに長手方向へ相対的に往復運動させて草 木を切断するようになっている。

【０００３】 このような摺動刃方式のバリカン刃を往復運動させる伝達手段として偏心カム を用いたものが、例えば、図４〜６に示すように、本考案の出願人の出願に係わ る特願平３ー１１９４９号明細書に記載されている。 図４は前記従来の実施例における刈払機の要部側面断面図、図５は図４のV-V 矢視図、図６は刈刃駆動部の分解斜視図である。

【０００４】 図４〜６に示すバリカン刃往復装置１は、図示しない刈払機の操作桿の先端に 連結される歯車減速装置２の先端に角度可変に取付けられたケース３を有し、該 ケース３は複数個のボルト４によって一体に結合された上下の半体６及び７から なる。前記ケース３は、前記操作桿の伝動軸（図示せず）により駆動される主軸 ８を軸受９及び１０を介して回転自在に垂直に支持しており、前記主軸８は前記 歯車減速装置２の出力端１１へ連結されている。前記主軸８には、互いに軸線方 向へ上下に離間した一対の円形の偏心カム１２及び１３が一体に形成されており 、これ等の偏心カム１２、１３は、互いに１８０度ずれた角度位相をもって配設 されている。

【０００５】 更に、上下一対の細長い刈刃１４及び１５が前記ケース３内からその前方外部 へ突出するように配置され、前記刈刃１４、１５の前記ケース３に収容されてい る部分の前方部３１、３２及び後方部３３、３４は前記ケース３の前方端部１６ に設けられた軸受１７と後方端部１８に設けられた軸受１９とによってそれぞれ 支持され、前後方向へ互いに摺動自在に構成されている。前記前方端部１６の軸 受１７を構成する下側受板は、前記ケース３の下側半体７から前方へ突出する一 体の固定刃２０を有し、前記ケース３の前方端部１６の際部分でも草等を切断で きるように形成されている。

【０００６】 前記主軸８と前記偏心カム１２及び１３は一体に成形されているので、前記偏 心カム１２及び１３の間に前記刈刃１４、１５を挟持させるために、前記刈刃１ ４、１５が配置される前記ケース３内の中間部分に横方向湾曲部分２１及び２２ がそれぞれ形成されている。このようにして、前記刈刃１４、１５の横方向湾曲 部分２１、２２は、前記主軸８の中間部分５の側方を迂回し、かつ、横切るよう に配置することができるとともに、前記上下の偏心カム１２及び１３間に挟持す ることが可能とされる。

【０００７】 重ね合わされた前記上下の刈刃１４、１５の上下表面に接し、かつ、前記偏心 カム１２及び１３を含むそれぞれの平面上には、カム運動の従動節としての従動 部材４１、４２が前記刈刃１４、１５の前後方向（長手方向）に沿って設けられ ている。前記上側の従動部材４１は、連接棒部２３と、その両端に大小の円形リ ング２５及び２７を一体に形成した板状部材からなる。同様に、前記下側の従動 部材４２は、連接棒部２４と大小の円形リング２６及び２８を一体に形成した板 状部材からなる。

【０００８】 前記偏心カム１２、１３は、それぞれ前記従動部材４１、４２の大端２５、２ ６に枢動可能に嵌着されている。また、前記従動部材４１、４２の小端２７及び ２８は、前記刈刃１４及び１５にそれぞれピン２９及び３０で枢着されている。 このような構成により、主軸８が歯車減速装置２からの減速回転力で駆動され て回転すると、刈刃１４、１５は偏心カム１２、１３及びそれぞれの従動部材４ １，４２を介して互いに逆位相で往復動され、草木等を切断することができる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

このように、前記従来のバリカン形刈払機においては、上下双方の刈刃とも横 方向湾曲部分を同一側に形成しているので、質量が片側に遍在し、したがって、 往復運動時のバランスが悪化し、操作性能や刈刃の耐久性にも影響を及ぼすおそ れがあった。また、製造技術面においても、前記刈刃のように片側に質量が遍在 している刃金を焼き入れした場合、歪みが発生する可能性が大きくなり、そのた め、肉厚を大きくとらなければならず、全体として重量増大を招くという問題点 があった。

【００１０】 さらに、偏心カムと主軸を一体に連結させて一体成形しているので加工が容易 ではなく、製造コストが高くなるという問題点があった。しかも、偏心カムの回 転運動中に、偏心カムの端面が刈刃の横方向湾曲部分（図６のＡ、Ｂ部分）に接 触して、偏心カム及び刈刃部材を摩滅させるという問題点があった。

【００１１】 本考案は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、特に 、刈刃の焼き入れ等の加工時の変形を防止するとともに、往復運動時の運動バラ ンスを良好とし、しかも、偏心カムの製造加工を容易に行うことができるととも に、部材の交換等のメインテナンス作業を容易に行うことができ、また、全体を 安価で軽量な構成にすることができ、かつ、可動部材の耐久性を向上させるよう にされた、バリカン形刈払機を提供することである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

前記の目的を達成すべく、本考案に係わるバリカン形刈払機は、基本的には、 ケースに回転自在に支持された主軸と、前記ケースから前方へ突出し前記ケース の前方及び後方端部に配置された軸受けによって前後方向へ摺動自在に支持され た刈刃と、前記主軸に配置される偏心カムと、連接棒部の両端に前記偏心カムと 枢動可能に嵌合される円環状の大端及び前記刈刃へ枢着される円環状の小端とを 一体に形成した従動部材とを備えたバリカン形刈払機において、前記偏心カムに 前記主軸が貫通して回り止め嵌合する軸孔を設けて前記偏心カムと前記主軸とを 係脱自在とする一方、前記刈刃にはその長手方向に沿って前記主軸を貫通させる ための長孔を形成したことを特徴としている。

【００１３】 そして、前記偏心カムの、より具体的な例としては、前記偏心カムに肉抜き部 を穿設したことを特徴としたものが挙げられる。

【００１４】

【作用】

前述の如く構成された本考案に係わるバリカン形刈払機においては、主軸が回 転すると、偏心カムが回転する。それにより、従動部材は前後方向に往復動され 、さらに、これに同期して刈刃も前後方向に往復動される。また、偏心カムに形 成された肉抜き部に潤滑剤（グリス）を蓄えておけば、刈刃の往復運動時に少量 づつ滲出するようになされ、摺動部材の潤滑性を保持することが可能となる。

【００１５】

【実施例】

以下、図面により本考案の一実施例を説明する。 図１は本考案に係わるバリカン形刈払機の刈刃駆動部の分解斜視図、図２は偏 心カムの拡大平面図、図３は図４の従来例のV-V 矢視図に対応する、III-III 矢 視図である。なお、図４に示した刈払機の側面断面図は本考案においても同一の ものとなることは、以下の説明から明らかとなるであろう。以下の説明において 、図４〜６に示した従来技術の各部に対応する部分には同一の符号を付してそれ らの重複説明を省略し、以下においては、前記従来技術との相違点を重点的に説 明する。

【００１６】 図１に示すように、主軸８０、外形が円形の偏心カム１２０、１３０はそれぞ れ別体に形成されており、これらが一体形成されていた従来のものとは相違する 。前記主軸８０は中実丸棒からなり、その下半分に前記偏心カム１２０、１３０ を互いに軸線方向に上下に離間して、かつ、１８０度ずれた角度位相をもって、 回り止め嵌合して取り付けるようになっている。そして、前記軸線８０の下半分 には、前記偏心カム１２０、１３０の回り止めのための断面弓形の切り欠き部５ ０が設けられている。他方、図２（ａ）及び（ｂ）に示すように、前記偏心カム １２０、及び１３０は円盤状の板材で形成され、その内部にグリス溜めとして利 用できる略三日月状の肉抜き部５３、５４、並びに前記主軸８０を貫通させる軸 孔５１、５２が穿設されている。図１、２から明らかなように、前記偏心カム１ ２０、１３０が互いに１８０度ずれた角度位相をもって取り付けられる関係上、 前記軸孔５１、５２における前記主軸８０の回り止め用切り欠き部５０に対応す る係合位置もまた、互いに１８０度ずれて形成されている。このような形状をも った前記偏心カム１２０、１３０はプレス加工により容易に製造される。

【００１７】 上下一対の細長状の刈刃１４０、１５０は、その前方位置に形成された刃部の 形状は前記従来技術と実質的に同一であるが、前記ケース３に収容される部分の 形状で相違する。すなわち、前記従来技術においては、横方向湾曲部分が刈刃の 長さ方向に沿って片側にのみ形成されているのに対し、本考案図示例においては 、横方向湾曲部分２１０、２２０が両側に形成されており、刈刃の中央部にその 長手方向に沿って長孔２１１、２２１が穿設されている。このように、前記刈刃 １４０、１５０を均等のとれた形状に成形したので、刈刃材を薄肉とすることが 可能となり、軽量化が可能となるとともに耐久性も良好となる。しかも、焼き入 れ等の加工時の変形を防止するとともに、質量バランスの均等化により往復運動 時の運動バランスを良好とすることができる。

【００１８】 このように形成された各部品を組み立てるには、互いに重ね合わされた前記上 下二枚の刈刃１４０、１５０の上下両側の表面に、前記従動部材４１、４２を設 置して、前記小端２７、２８をピン２９、３０に枢着させるとともに、前記大端 ２５、２６を前記刈刃１４０、１５０を挟んで互いに重なり合うように配置する 。そして、前記大端２５、２６の円形リング内に前記偏心カム１２０、１３０を それぞれ嵌合させるとともに、前記軸孔５１、５２に主軸８０を挿入することに より前記偏心カム１２０、１３０と前記主軸８０は一体化される。このようにし て、前記主軸８０は前記刈刃１４０、１５０の前記長孔２１１、２２１を貫通す るとともに、前記刈刃１４０、１５０は前記主軸８０の軸線方向に離間して設け られた前記偏心カム１２０、１３０の間に挟持される。

【００１９】 一方、例えば、偏心カムの交換の際に装置を分解するときは、ケース３を歯車 減速装置２から取り外した後に前記主軸８０を引き抜くことにより、前記上下の 刈刃１４０、１５０のみならず、前記従動部材４１、４２をも取り外すことなく 、簡単に前記偏心カム１２０、１３０の交換を行うことができる。 このような構成により、前記主軸８０が前記歯車減速装置２からの減速回転力 で駆動されて回転すると、前記偏心カム１２０及び１３０は互いに逆位相で回転 する。それにより、前記上下の従動部材４１、４２はそれぞれ互いに逆位相で前 後方向に往復動され、さらに、これに同期して前記刈刃１４０、１５０も前後方 向に往復動される。

【００２０】 また、前記偏心カム１２０、１３０に形成された前記肉抜き部５１、５２には 、グリス等の潤滑剤が補給され蓄えられるようになっており、この潤滑剤は前記 刈刃１４０、１５０の往復運動時に少量づつ滲出するようになされ、摺動部材の 潤滑性を保持することができる。 なお，本考案は、図示例の上下一対の刈刃がそれぞれ往復動する、いわゆるダ ブルアクション式のものに限らず、いずれか一方の刈刃のみが往復動する、いわ ゆるシングルアクション式のものにも適用できることは、容易に理解されよう。

【００２１】

【考案の効果】

以上の説明から理解されるように、本考案によれば、刈刃、主軸、偏心カム等 の製造加工を容易に行うことができ、しかも、部材の交換等のメインテナンス作 業を容易に行え、また、刈刃の焼き入れ時の変形を防止し、かつ、刈刃の耐久性 を良好とするとともに、往復運動時の運動バランスを良好とすることができ、さ らに、全体を安価で軽量な構成にすることが可能となる等の優れた効果が得られ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係わるバリカン形刈払機の刈刃駆動
部の分解斜視図。

【図２】 偏心カムの拡大平面図。

【図３】 図４のIII-III 矢視図。

【図４】 従来及び本考案の一実施例における刈払機の
要部側面断面図。

【図５】 図４の従来例V-V 矢視図。

【図６】 従来技術における刈刃駆動部の分解斜視図。

【符号の説明】

５３、５４…肉抜き部、８０…主軸、１２０、１３０…
偏心カム、１４０、１５０…刈刃、２１１、２２１…長
孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケース（３）に回転自在に支持された主
   軸（８０）と、前記ケース（３）から前方へ突出し前記
   ケース（３）の前方及び後方端部（１６、１８）に配置
   された軸受け（１７、１９）によって前後方向へ摺動自
   在に支持された刈刃（１４０、１５０）と、前記主軸
   （８０）に配置される偏心カム（１２０、１３０）と、
   連接棒部（２３、２４）の両端に前記偏心カム（１２
   ０、１３０）と枢動可能に嵌合される円環状の大端（２
   ５、２６）及び前記刈刃（１４０、１５０）へ枢着され
   る円環状の小端（２７、２８）とを一体に形成した従動
   部材（４１、４２）とを備えたバリカン形刈払機におい
   て、前記偏心カム（１２０、１３０）に前記主軸（８
   ０）が貫通して回り止め嵌合する軸孔（５１、５２）を
   設けて前記偏心カム（１２０、１３０）と前記主軸（８
   ０）とを係脱自在とする一方、前記刈刃（１４０、１５
   ０）にはその長手方向に沿って前記主軸（８０）を貫通
   させるための長孔（２１１、２２１）を形成したことを
   特徴とするバリカン形刈払機。
2. 【請求項２】 前記偏心カム（１２０、１３０）は、肉
   抜き部（５３、５４）が穿設されていることを特徴とす
   る請求項１に記載されたバリカン形刈払機。