JPH06172158A - 眼房水の上昇した眼圧を低下させるための眼科用液剤 - Google Patents

眼房水の上昇した眼圧を低下させるための眼科用液剤

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JPH06172158A
JPH06172158A JP5218945A JP21894593A JPH06172158A JP H06172158 A JPH06172158 A JP H06172158A JP 5218945 A JP5218945 A JP 5218945A JP 21894593 A JP21894593 A JP 21894593A JP H06172158 A JPH06172158 A JP H06172158A
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フランツ ヘルムート
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 眼房水の上昇した眼圧を低下させるために目
に局所適用するための眼科用液剤であって、眼房水の眼
圧を低下するのに有効な量のポリヒドロキシ−アルコー
ルを目に許容されるキャリヤー中に含むことを特徴とす
る上記眼科用液剤。 【効果】 上昇した眼圧を有意に低下し、全身的な副作
用がみられず、眼内の血流に負の影響を示さない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は上昇した眼圧の治療のた
めに目に局所的に使用する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来技術】眼圧上昇は、視神経に損傷を与え、その結
果として視野が制限され、視野の制限がゆっくりと増え
るという形がとられ、治療を怠ると盲目になる可能性が
ある。この疾患の原因は、眼房水の産生と相当する排液
系統間の不均衡にある。眼房水の産生は、ぶどう膜の脈
管系、具体的には毛様体の脈管系及び毛様体の上皮細胞
によって影響される。眼房水は小柱系(trabecular syst
em)を通って排液される。以下の病理学的機構は、眼圧
の上昇を生じることに包含される:排液管の繊維化又は
その増加した抵抗性により引き起こされる小柱系におけ
る部分的排液障害、静脈の抵抗性増加により引き起こさ
れる毛様体の脈管の潅流圧(濾過圧)増加、それにより
導かれる眼房水の産生の増加、血漿の漏出及びコロイド
浸透圧の増加を伴うぶどう膜脈管系の血液−水関門(blo
od-water barrier) の破壊、その結果としてより多くの
水が補われる。眼内の血液−水関門の疾患は、眼内の手
術、例えば柵状織切除又は白内障の手術後にしばしば生
じる。
【0003】もし、ぶどう膜の脈管系の血管収縮により
眼房水生産の減少をもたらすβ−ブロッカーにより上昇
した眼内圧の治療をするならば、眼内の血流量に負の影
響を及ぼすという副作用がみられる(吉田(A.Yoshida)
、フェケ(G.T.Feke)ら著、Opthalmic. Res. 23, 162
〜170(1990年) 及びラングハム(Langham) 著、Arvo Mee
ting 1992 、Sarasota) 。浸透圧調節作用を有する化合
物を使用する時、この不都合な影響はみられない。
【0004】文献に記載の、眼内の液体に対して浸透性
の影響を与える高張性物質、例えば尿又はポリアルコー
ルの経口又は静脈内投与は、ある程度は重要な全身的副
作用を伴う。セガル(P.Segal) 及びスモラルツ- デュダ
レバイツ(J.Smolarz-Dudarewicz)は、Klin. Monatsbl.
Augenheilkd. 150、509 〜522 頁(1967 年) に、経口投
与時に眼圧を低下するグリセロール、マンニトール及び
ソルビトールの作用を記載している。グリセロールの場
合、主な副作用は薬物の浸透作用が原因である中枢神経
系に対する作用、例えば頭痛、嗜眠状態及びめまい感で
あり、一方マンニトール及びソルビトールの使用はさら
に度々下痢をもたらす。
【0005】マンニトールを静脈内に投与した時、めま
い、頭痛及び震えの他に、呼吸器に対する問題が引き起
こされ、チアノーゼ及び四肢の冷えを伴い、具体的には
腎臓及び心臓の機能不全の患者において、心電図のカー
ブに変化を伴う前胸部の痛みがみられ、ある人の場合に
は心不全を激発する。尿素溶液の静脈への使用に記載さ
れた副作用は、食欲喪失、悪心、体温の上昇、心電図の
変化及び肺浮腫であり、このことは、そのような治療が
肝臓、腎臓及び心臓の循環機能不全の患者に禁忌である
ことを意味するものである(ギエッティ(G.B.Bietti 、
Klin.Monatsbl.Augenheilkd. 150 、317 〜324 頁(1967
年) 。はるか昔の1938年に記載されたソルビトール溶
液の静脈内への注入による眼圧上昇の治療は、一般的に
採用されてこなかった(ベロー(J.Bellows) ら、J.Arc
h. Ophth.(A.M.A.)20、1036〜1043頁(1938 年) )。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、目に局所的
に適用することにより、所望の部位に局所的に制限され
た所望の排液を達成することが可能であり、それにより
眼圧を低下し、浸透圧調節活性を有する化合物の上記全
身的副作用を避け、眼内の血流に負の作用を示さない、
眼圧上昇の治療方法を開発することを目的とする。US-
4,201,706には、角膜の浮腫を減少させる方法が記載さ
れている。その方法は、活性物質としてペンタ- 又はヘ
キサヒドロキシアルコール、例えばソルビトール、イノ
シトール又はキシリトールを含む水性眼科用液剤の局所
適用にある。角膜の浮腫は、身体的外傷又は刺激により
引き起こされ、また、緑内障のような疾患と共に観察さ
れる。
【0007】
【課題を解決するための手段】活性物質として治療に有
効な量のポリヒドロキシアルコール、例えばソルビトー
ル、マンニトール、イノシトール及びキシリトール又は
それらの混合物を目に許容されるキャリヤー中に含む眼
科用液剤を、局所に適用することにより、上昇した眼圧
を有意に低下することができる。一方、浸透圧調節作用
を有する化合物の上述の全身的副作用は、局部に限定し
た適用及び低濃度の活性物質を用いることにより避けら
れ、その結果として、活性物質のいずれかの血管収縮性
が欠如し、眼内の血流に負の影響を示さない。28日間
の臨床研究において、5%ソルビトールを含む水性眼科
用液剤の有効性及び許容可能性を、最初に診断されるか
あらかじめ治療されていない、眼圧上昇患者23人にお
いて試験した。試験製剤を、1日2回12時間おきに、
それぞれの目に1滴適用することにより投与した。
【0008】方法試験方法 :試験の過程において、4回調査を行う。 1.試験に入る前の最初の調査 2.治療の最初の日 3.治療の7日目 4.治療の28日目 これらの調査時それぞれにおいて、眼圧の日々のプロフ
ィールをゴルドマン圧平眼圧計を用いて描き、有効性を
試験した。右目について、測定値を0、2、4及び8時
間後にとった。それと同時に、右目の瞳孔の大きさも、
標準的な薄暗さにおいて遠隔の対象物に焦点を合わせる
ことでミリメーター平定規(millimeterruler)を使用し
て測定した。全身的副作用を発見するために、椅子に坐
らせた患者の血圧及び心拍数も測定した。製剤の局部的
な許容可能性を、異物感の強烈度、かゆみ及び灼熱感の
点から患者の主観的な評価により測定した。目的とする
許容可能性を左目の眼瞼、結膜及び角膜のスリット−ラ
ンプ(slit-lamp) 試験により評価した。具体的には、眼
瞼及び結膜の紅斑及び浮腫及び角膜の浮腫及びびらんの
存在に注意を払った。最初の試験の範囲内において、視
野計の調査を行い、視野に対するダメージを排除した。
【0009】結果眼圧における製剤の影響 :治療の一日後でさえ、眼圧は
平均的な出発レベル27mmHgから平均レベル21mmHgに下が
った。眼圧は投与後2時間で最も下がることが見出さ
れ、投与後8時間では出発レベルに戻ることはなかっ
た。28日後、朝の適用前の眼圧は、治療の第一日目の
0時間と比較して平均23%下降し、朝の投与の2時間
後の眼圧は平均で29%下降した。28日間の治療期間
が終わった時点で、平均眼圧は19mmHgであった。
【0010】図1の説明:図1は、5%ソルビトールを
含む水性眼科用液剤の局所適用により28日間治療し
た、眼圧が高い23人の患者の一群の平均眼圧のグラフ
を示すものである。一滴の溶液をそれぞれの目に一日2
回12時間間隔で投与した。治療の最初の日の圧力レベ
ルにおける有意な下降の後、7日目に一定の平均レベル
である19mmHgが得られた。耐性及び副作用 :瞳孔径を測定したところ、眼科用液剤
の適用により引き起こされる効果が認められなかった。
平均的な瞳孔径は、全試験期間を通して一定に維持され
た。縮瞳又は散瞳は、いずれの患者にも発見されなかっ
た。
【0011】心収縮及び心拡張の血圧レベル及び心拍数
は、点眼剤の適用により影響されず、また他の全身的副
作用のいずれも観察されなかった。眼瞼、結膜及び角膜
のスリット−ランプ試験及びかゆみ、灼熱感又は異物感
のようないずれかの主観的な不快感に関する患者への質
問の結果によると、局所的に投与した他の点眼剤と比較
して、数及び範囲の両方においてほんの少しの影響しか
生じなかった。したがって、本発明は、眼房水の上昇し
た眼圧を低くするために目に局所適用するための眼科用
液剤、その使用及びその製造方法に関し、該液剤は眼房
水の眼圧を低下するのに有効な量のポリヒドロキシアル
コール、例えばソルビトール、マンニトール、イノシト
ール又はキシリトール又は該活性物質の混合物を、目に
許容されるキャリヤー中に含むものである。
【0012】さらに本発明は、目に許容されるキャリヤ
ーにポリヒドロキシアルコールを入れることを特徴とし
て、眼房水の上昇した眼圧を低下させるために、目に局
所適用するための眼科用液剤製造用のポリヒドロキシア
ルコール、例えばソルビトール、マンニトール、イノシ
トール又はキシリトールの使用に関する。好ましい態様
において、眼科用液剤は単一の活性物質としてポリヒド
ロキシアルコール類のソルビトール、マンニトール、イ
ノシトール又はキシリトールの一つを含む。眼科用液剤
中のポリヒドロキシアルコールの濃度は、0.5 〜10重量
%であり、好ましくは3〜7重量%である。眼科用液剤
中の活性物質の濃度3〜5.4 重量%が、特に好ましい。
【0013】滅菌水溶液を、例えば、目に許容されるキ
ャリヤーとして使用してもよい。該水溶液を好適な緩衝
液、例えばホウ酸、テトラホウ酸ナトリウム、リン酸一
水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム又はクエン酸
の添加により、生理学上許容されうるpHである6〜8に
調節する。溶液は、当業者に公知の賦形剤、例えば保存
剤、例えば塩化ベンザルコニウム、界面活性剤、リポソ
ーム又はポリマー、例えばメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール又はポリビニルピロリドンをさらに含んで
もよい。眼房水の上昇した眼圧を低下するために、眼科
用液剤を目に対する局所適用用に使用する。眼房水の眼
圧を上昇する眼内の血液−水関門の疾患は、眼内の手
術、例えば小柱の手術の後又は白内障の手術の後にしば
しば生じるので、眼科用液剤は眼内の手術の後に目に局
所適用するのに特に好適である。
【0014】圧倒的に多くの場合、眼圧の上昇は緑内障
と共に生じる。このため、本発明の眼科用液剤を他の薬
剤、具体的には緑内障治療薬、例えばカルボアンヒドラ
ーゼ阻害剤、ピロカルピン、α2-アドレナリン様化合
物、例えばクロニジン、2-アミノ-6- アリル-4,5,7,8-
テトラヒドロ-6H-チアゾロ[5,4-d] アゼピン、(-)-2-ア
ミノ-6-n- プロピルアミノ-4,5,6,7- テトラヒドロベン
ゾチアゾール及びフェニレフリン及びそれらの誘導体と
共に眼房水の上昇した眼圧の局所的な治療に使用しても
よい。活性物質及び慣用の医薬用賦形剤を目に許容され
るキャリヤー中で混合するか溶解することにより、眼科
用液剤を公知の方法により製造した。また、該眼科用液
剤を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は
明記した組成により制限されるものではない。
【0015】
【実施例】実施例1 : ソルビトール点眼剤の処方(組成g/100ml):特に規定し
ない限りは、明記した溶液は水素化されており(euhydri
c)(pH6.8 〜7.1)、持続性である[t:-(290-310mosmo
l)]。 ──────────────────────────────────ソルビトール 7.001) 5.20 3.002) 2.003) 4.75 3.00 1.00 0.60 食塩 0.30 ホウ酸 1.25 テトラホウ酸ナトリウム 0.15 リン酸一水素ナトリウム 0.10 0.10 1.00 リン酸二水素ナトリウム 0.10 0.10 1.00 2.00 クエン酸 0.20 蒸留水 加えて 100 にする + + + + + + + 防腐剤;十分量 + + + + + + + + 1) 高張 2)低張 3) 微酸性
【図面の簡単な説明】
【図1】5%ソルビトールを含む水性眼科用液剤の局所
適用により28日間治療した、眼圧が高い23人の患者
の一群の平均眼圧のグラフを示すものである。
フロントページの続き (72)発明者 ティボル ロツマン ドイツ連邦共和国 デー88400 ビベラッ ハ 1 ヒューネルフェルトシュトラーセ 66

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 眼房水の上昇した眼圧を低下させるため
    に目へ局所適用するための眼科用液剤であって、眼房水
    の眼圧を低下するのに有効な量のポリヒドロキシ−アル
    コールを目に許容されるキャリヤー中に含むことを特徴
    とする上記眼科用液剤。
  2. 【請求項2】 ポリヒドロキシアルコールがソルビトー
    ルである、請求項1に記載の眼科用液剤。
  3. 【請求項3】 ポリヒドロキシアルコールが0.5 〜10重
    量%の濃度で存在する、請求項1又は2に記載の眼科用
    液剤。
  4. 【請求項4】 ポリヒドロキシアルコールが3〜5.4 重
    量%の濃度で存在する、請求項3に記載の眼科用液剤。
  5. 【請求項5】 目に許容されるキャリヤーが水溶液であ
    る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の眼科用液剤。
  6. 【請求項6】 水溶液のpHが6〜8であり、目に許容さ
    れる緩衝液を含む、請求項5に記載の眼科用液剤。
  7. 【請求項7】 一つ以上の緑内障治療薬と併用する請求
    項1に記載の眼科用液剤。
  8. 【請求項8】 ポリヒドロキシアルコールを目に許容さ
    れるキャリヤーに含有させることを特徴とする、請求項
    1〜6のいずれか1項に記載の眼科用液剤の製造方法。
JP5218945A 1992-09-04 1993-09-03 眼房水の上昇した眼圧を低下させるための眼科用液剤 Pending JPH06172158A (ja)

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