JPH06170998A

JPH06170998A - 積層型の耐火ガラス

Info

Publication number: JPH06170998A
Application number: JP4351904A
Authority: JP
Inventors: Ichiro Takahashi; 一郎高橋; Hiroshi Kiyokawa; 博清川; Katsuaki Kubota; 勝明久保田
Original assignee: Fujita Corp
Current assignee: Fujita Corp
Priority date: 1992-12-09
Filing date: 1992-12-09
Publication date: 1994-06-21

Abstract

(57)【要約】【目的】耐火加熱後の耐衝撃性に優れた積層型の耐火ガ
ラスを提供する。【構成】強化ガラスａを熱感応型発泡剤の発泡層ｂで挟
み、さらにこれを普通ガラスからなるガラスｃで挟ん
だ。また、空気層ｄを二枚の強化ガラスａで挟んだも
の、又は強化ガラスａの両面に一定の空気層ｄができる
ように二枚の上記ガラスｃで挟んだものを、それぞれさ
らに前記発泡層ｂ及びガラスｃで挟んだ。さらに、上記
構成で、強化ガラスの代わりに合わせガラスを使用し
て、耐衝撃性と同時に、ガラス片の飛散を防止できるよ
うにもした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物等の不燃建材等
として使用される積層型の耐火ガラスに関し、特に耐火
加熱後の衝撃強度の低下を防いだ。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築物の不燃性防火構造部材の一
つとして、網入りガラス、耐熱結晶化ガラス、又は熱感
応型発泡剤を用いた射熱型のガラス等の防火ガラスが使
用されていた。これら種々の防火ガラスのうち、熱遮断
性が優れているという点では、熱感応型発泡剤を用いた
ケイ酸ソーダ入り積層ガラスが代表的なものであった。
ケイ酸ソーダ発泡層入り積層ガラスは、透明な熱感応型
の発泡剤であるケイ酸ソーダ系発泡剤を積層部に介在さ
せた積層ガラスである。積層部に介在するケイ酸ソーダ
系発泡剤が、熱に感応して自ら発泡し、周囲の熱（例え
ば火災時の）を奪って断熱層として機能するため、優れ
た延焼遮断性能（遮熱性能、遮炎性能、遮煙性能）を示
す防火ガラスである。そのために、ケイ酸ソーダ発泡層
入り積層ガラスは、耐火構造としての耐火間仕切りへの
適用可能性を十分に有したものと考えられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、耐火構造部材
として使用するためには、その使用目的に鑑みて、耐熱
試験後に、日本工業規格に準拠した衝撃試験に耐え得る
ものでなければならないとされている。熱感応型発泡剤
を用いた射熱型のガラスは、熱感応により自ら発泡して
断熱層を築くため、熱を裏面に伝えにくいという熱遮断
性には優れているが、発泡層自体の硬度が小さいため耐
衝撃性には劣るという欠点を有していた。そこで、遮熱
性能等の優れた延焼遮断性能を有する熱感応型の発泡層
入り積層ガラスに、耐衝撃性を付与することにより、耐
火構造部材として使用できる積層型の耐火ガラスを提供
することを目的とした。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで上記目的を達成す
るために、２枚の板状ガラス間に透明な熱感応型の発泡
性を有する発泡層を介在させた中央部分に、板状の耐破
壊性の強化ガラスを組み込んで積層型の耐火ガラスとし
た。また、上記構成で、強化ガラスを２枚組込み、各強
化ガラス間に空気層を一つ介在させた。また、上記構成
の積層型の耐火ガラスで、１枚の強化ガラスの両側に、
それぞれ空気層とガラスを介在させた。さらに、強化ガ
ラスを組み込んだ上記構成の積層型の耐火ガラスにおい
て、強化ガラスに代えて、板状の耐破壊性を有した合わ
せガラスを組み込んだ。

【０００５】

【作用】本発明に係る積層型の耐火ガラスは、二枚のガ
ラス間の積層部に、断熱層として機能する透明な熱感応
型の発泡性を有する発泡層を介在させたため、耐熱性を
有している。また、強化ガラスは、断熱層として機能す
る発泡層と発泡層の間に介在しているため、火災時の周
囲温度の急激な上昇にも強化ガラスの温度上昇を緩やか
に保てるようになっている。従って、本来は熱破壊し易
い強化ガラスも熱破壊を起こすことなく、強化ガラス本
来の強度を保持して、本発明に係る耐火ガラスに高い耐
衝撃強度を付与することができる。また、上記構成を有
する積層部に、熱伝導率の低い媒体である空気の層をさ
らに介在させることにより、一層断熱効果を高めること
もできる。さらに、強化ガラスの代わりに、合わせガラ
スを使用することによって、耐衝撃性を高めると共に、
極めて高い衝撃が加えられて破壊に到った時にも、ガラ
ス片が飛散しにくいようにすることができる。

【０００６】

【実施例】

（実施例１）本実施例に係る積層型の耐火ガラス１の構
成は、中心に１枚の強化ガラスａを挟んだ二つの発泡層
ｂを、さらに２枚のガラスｃで挟んだものである（図
１）。板状の強化ガラスａの両面には、透明な熱感応型
の発泡剤が層状に形成され、発泡層ｂとして接合されて
いる。強化ガラスは、板ガラスを軟化点（７００℃）近
くまで加熱した後、常温の空気を均一に吹きつけ急冷却
することによって強化処理を施したガラスである。さら
に両発泡層ｂ上には、それぞれ１枚の板状のガラスｃが
接合されている。これに使用される２枚のガラスｃは、
普通ガラス（フロートガラス）で、同じ板厚のものが使
用されている。

【０００７】（実施例２）本実施例に係る積層型の耐火
ガラス２は、中心に空気層ｄを挟んだ２枚の強化ガラス
ａを二つの発泡層ｂで挟み、さらにこれを２枚のガラス
ｃで挟んだ構造となっている（図２）。積層型の耐火ガ
ラス２の積層部の中心にある空気層ｄは、２枚の強化ガ
ラスａ間に形成されている。鋼製のサッシＡ等で２枚の
板状強化ガラスａを平行に対面配置し、２枚の強化ガラ
スａの間にできた空間が、空気層ｄになるようになって
いる。サッシＡには、鋼製のフレームを繊維混入ケイ酸
カルシウム板を耐火被覆材として用いた、断熱効果の優
れたものを使用した。空気層ｄを間に挟んだ二枚の強化
ガラスａの面上には、前記実施例１で使用した熱感応型
の発泡剤からなる層状に形成された発泡層ｂが接合され
ている。両発泡層ｂは、同じ厚さの層状に形成され、そ
の上に同じ板厚で普通ガラスのガラスｃがそれぞれ接合
されている。上記強化ガラスａ及びガラスｃは、前記実
施例１と同様のものを使用した。

【０００８】（実施例３）本実施例に係る積層型の耐火
ガラス３は、中心に板状の強化ガラスａを挟んだ空気層
ｄを２枚のガラスｃで挟み、これを二つの発泡層ｂで挟
み、さらに全体を２枚のガラスｃで挟んだ構造となって
いる（図３）。強化ガラスａ（実施例１と同様のもの）
の両面には、それぞれ等間隔に、かつ平行に１枚ずつの
ガラスｃ（実施例１と同様の普通ガラス）が対面保持さ
れている。これには、実施例２と同一の耐火性に優れた
サッシＡが使用されている。このようにして、強化ガラ
スａとガラスｃとの間に、強化ガラスａを挟むようにし
て二つの空間が形成され、この空間が空気層ｄとなって
いる。また、上記２枚のガラスｃの面には、熱感応型の
発泡剤からなる前記実施例１と同様の発泡層ｂが層状に
形成され、さらに両発泡層ｂ上にガラスｃが前記実施例
１と同じ要領で接合されている。

【０００９】（実施例４）本実施例に係る積層型の耐火
ガラス４ａ、４ｂ、４ｃでは、上記実施例１〜３で使用
されている強化ガラスに代えて、合わせガラスを使用し
たもので、その他の実施要領は、上記実施例１〜３と同
様である。使用される合わせガラスは、高分子フィルム
を接着剤として介在させ、二枚のガラスを張り合せた通
常使用されている合わせガラスである。つまり、中心に
１枚の合わせガラスｅを挟んだ二つの発泡層ｂを、さら
に２枚のガラスｃで挟んだもので、図４（Ａ）に示し
た。また、図４（Ｂ）には、中心に空気層ｄを挟んだ２
枚の合わせガラスｅを二つの発泡層ｂで挟み、さらにこ
れを２枚のガラスｃで挟んだものを示した。図４（Ｃ）
には、中心に板状の合わせガラスｅを挟んだ空気層ｄを
２枚のガラスｃで挟み、これを二つの発泡層ｂで挟み、
さらに全体を２枚のガラスｃで挟んだものを示した。

【００１０】また、上記実施例中の発泡層ｂとガラス面
との接合には、無機質（水ガラス系）の接着剤を使用し
てもよい。また、上記実施例では、積層部を挟む２枚の
ガラスｃには同一種類の普通ガラスを使用していたが、
異なる種類のガラスを組み合わせたペアガラスとしても
よい。また、耐火ガラスとしての機能を損なわない範囲
で、着色ガラスや模様入りガラス等の特殊ガラスを積層
部に介在させることにより、建築上の意匠性を向上させ
てもよい。尚、上記実施例に述べられた積層型の耐火ガ
ラスは、具体的には、従来防火戸が使用されていた構造
部分に、代替的に適用することができる。例えば、ガラ
ス防火戸の防火ガラスの替わりに使用することにより、
アナトリウム空間での延焼を効果的に防止し、且つ開放
的な空間を提供することができる。また、階段部分やエ
スカレーター等の防火ガラス区画を耐火ガラスの間仕切
りに替えることにより、平常時には機能的な環境デザイ
ンを可能にし、火災時には延焼を効果的にくい止めて避
難用階段を確保することができる。

【００１１】

【発明の効果】本発明に係る積層型耐火ガラスは、耐熱
性に優れたケイ酸ソーダ系発泡剤やその他の熱感応型発
泡剤からなる発泡層を、断熱層として機能できるように
積層させた積層ガラスの積層部に、強化ガラス若しくは
合わせガラスを単独で若しくは空気層と共に挟み込むこ
とにより、従来の防火ガラスにはない高い耐衝撃性を持
たせたものである。従って、建築意匠上又は住環境上あ
る程度高い透過率が望まれる建築物の耐火構造物に、本
発明に係る積層型耐火ガラスを利用することにより、従
来とは異なった、建築物の耐火構造環境を創造すること
ができるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１に基づく本発明に係る積層型の耐火ガ
ラスの部分断面図である。

【図２】実施例２に基づく本発明に係る積層型の耐火ガ
ラスの部分断面図である。

【図３】実施例３に基づく本発明に係る積層型の耐火ガ
ラスの部分断面図である。

【図４】実施例４に基づき、合わせガラスを使用した場
合における積層型の耐火ガラスの部分断面図（Ａ）、
（Ｂ）、（Ｃ）である。

【符号の説明】

１積層型の耐火ガラスＡサッシａ強化ガラスｂ発泡層ｃガラスｄ空気層ｅ合わせガラス

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】２枚の板状ガラス間に透明な熱感応型の
発泡性を有する発泡層を介在させた中央部分に、板状の
耐破壊性の強化ガラスが組み込んであることを特徴とす
る積層型の耐火ガラス。
【請求項２】強化ガラスは２枚組み込まれ、各強化ガ
ラス間に空気層が一つ介在されていることを特徴とする
請求項１に記載の積層型の耐火ガラス。
【請求項３】１枚の強化ガラスの両側に、それぞれ空
気層とガラスが介在されている請求項１に記載の積層型
の耐火ガラス。
【請求項４】強化ガラスに代えて、板状の耐破壊性を
有した合わせガラスを組み込むことを特徴とする請求項
１〜請求項３のうちのいずれか１項に記載の積層型の耐
火ガラス。