JPH06170966A - サーモトロピック液晶樹脂成形品の物性向上方法 - Google Patents

サーモトロピック液晶樹脂成形品の物性向上方法

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JPH06170966A
JPH06170966A JP43A JP35238492A JPH06170966A JP H06170966 A JPH06170966 A JP H06170966A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 35238492 A JP35238492 A JP 35238492A JP H06170966 A JPH06170966 A JP H06170966A
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JP
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liquid crystal
thermotropic liquid
acid
aromatic
polyester
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JP43A
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Rikio Kuroda
力雄 黒田
Masayuki Minato
雅之 湊
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 、極めて簡単な操作で、引張強度やウェルド
強度といった機械的物性を向上させるサーモトロピック
液晶樹脂成形品の物性向上方法を提供する。 【構成】 サーモトロピック液晶樹脂成形品に、超音波
振動を液体中で10分間以上印加することを特徴とする
サーモトロピック液晶ポリマー樹脂成形品の物性向上方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサーモトロピック液晶樹
脂成形品の物性向上方法に関し、詳しくは電子・電気部
品、自動車部品、事務機、容器等の多くの分野で利用さ
れているサーモトロピック液晶樹脂、特にサーモトロピ
ック液晶ポリエステルからなる成形品の物性向上方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】サーモトロピック液晶ポリエステルは耐
熱性が高い、寸法精度がよい、成形性がよい、電気特性
がよい、難燃性が優れている等の多くの特徴を有してお
り、電子・電気部品、自動車部品、事務機、容器等の様
々な分野で利用されている。これは機械的強度等の機械
的物性もかなり高いレベルにある。しかしながら、成形
性が良好な点を利用した薄肉成形品が多いため、その機
械的物性の一層の向上が望まれていた。
【0003】例えば、特開平4−33838号公報で
は、サーモトロピック液晶ポリエステル成形品を超音波
加熱処理する方法が開示されているが、液媒体を使用し
ていない、印加時間が短い等に加えて、力学的性質の向
上が不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、極め
て簡単な操作で、引張強度やウェルド強度といった機械
的物性を向上させるサーモトロピック液晶樹脂成形品、
特にサーモトロピック液晶ポリエステル成形品の物性向
上方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等はサーモトロ
ピック液晶樹脂成形品における上記の状況に鑑み、その
解決方法を検討した結果、本発明に達した。
【0006】すなわち、本発明は、サーモトロピック液
晶樹脂成形品に、超音波振動を液体中で10分間以上印
加することを特徴とするサーモトロピック液晶ポリマー
樹脂成形品の物性向上方法を提供するものである。
【0007】このような本発明の方法は、サーモトロピ
ック液晶ポリエステル成形品の場合に特に効果を奏す
る。
【0008】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明で用いるサーモトロピック液晶樹脂は、溶融状態で
光学的異方性を示す樹脂であって熱可塑性溶融可能なポ
リマーである。このような溶融時に光学的異方性を示す
ポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な並行
配列を採る性質を有している。光学的異方性溶融相の性
質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法により確
認できる。一般の溶融異方性を示さないポリマーでは溶
融状態で等方性となるが、溶融過程において異方性を示
す場合、固相から異方性の液晶相を経て等方相に変化す
る。
【0009】また機械的異方性も確認できる。すなわち
射出成形した場合に成形品表面の剥離、フィブリル化が
著しくなり、また、樹脂の流れ方向とその方向に直角方
向との物性の差が大きいことにより確認できる。
【0010】この溶融状態で光学的異方性を示す樹脂
は、一般にはサーモトロピック液晶樹脂として知られて
いる。このサーモトロピック液晶樹脂は、一般に細長
く、偏平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く同軸または
並行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有し
ているようなモノマーから製造される。
【0011】溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、
溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列を採る性
質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を
利用した通常の偏光検査法により確認することができ
る。
【0012】上記サーモトロピック液晶樹脂として、好
ましいものはサーモトロピック液晶ポリエステルであっ
て、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステル
イミド等、具体的には(全)芳香族ポリエステル、ポリ
エステルアミド、ポリエステルカーボネート等が挙げら
れる。分子内にエステル結合を複数個含む限りポリエス
テルの範疇に含まれる。さらに好ましいポリエステル
は、芳香族ポリエステルである。
【0013】本発明において用いるサーモトロピック液
晶ポリエステルには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶
融相を形成するポリマーのセグメントで構成され、残り
の部分が異方性溶融相を形成しないポリマーのセグメン
トから構成されるポリマーも含まれる。また、複数のサ
ーモトロピック液晶ポリマーを複合したものも含まれ
る。
【0014】サーモトロピック液晶ポリエステルを構成
するモノマーの代表例としては、(a)芳香族ジカルボ
ン酸の少なくとも1種、(b)芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸系化合物の少なくとも1種、(c)芳香族ジオール
系化合物の少なくとも1種、(d)(d1)芳香族ジチ
オール、(d2)芳香族チオフェノ−ル、(d3)芳香族
チオ−ルカルボン酸化合物の少なくとも1種、(e)芳
香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合物の少な
くとも1種、等が挙げられる。
【0015】これらは単独で構成される場合もあるが、
多くは(a)と(c)、(a)と(d)、(a),
(b)と(c)、(a),(b)と(e)、あるいは
(a),(b),(c)と(e)等の様に組合せて構成
される。
【0016】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボ
ン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,
4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジ
カルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエ−テル−3,
3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボ
ン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族
ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレ
フタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、
ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシ
テレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0017】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ
酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、
2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息
香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3
−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−
5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−ク
ロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジク
ロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸
のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げら
れる。
【0018】(c)芳香族ジオールとしては、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジ
フェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイ
ドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオー
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒ
ドロキシジフェニルエ−テル、1,6−ナフタレンジオ
−ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族
ジオ−ルまたはクロロハイドロキノン、メチルハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロ
キノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロ
キノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン
等の芳香族ジオ−ルのアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体が挙げられる。
【0019】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオ−ル、ベンゼン−1,3−ジチオ
−ル、2,6−ナフタレン−ジチオ−ル、2,7−ナフ
タレン−ジチオ−ル等が挙げられる。
【0020】(d2)芳香族チオフェノールとしては、
4−メルカプトフエノ−ル、3−メルカプトフェノ−
ル、6−メルカプトフェノ−ル等が挙げられる。
【0021】(d3)芳香族チオールカルボン酸として
は、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0022】(e)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノ−ル、N−
メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3
−アミノフェノ−ル、3−メチル−4−アミノフェノ−
ル、2−クロロ−4−アミノフェノ−ル、4−アミノ−
1−ナフト−ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエ−テ
ル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4、4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4′ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、4,4′−エチレンジアニリン、
4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4′−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0023】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステルは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やス
ラリー重合法等の多様なエステル形成法等により製造す
ることができる。
【0024】分子量としては、本発明に用いるに好適な
サーモトロピック液晶ポリエステルのそれは、約200
0〜200000、好ましくは約4000〜10000
0である。かかる分子量の測定は、例えば圧縮フィルム
について赤外分光法により末端基を測定して求めること
ができる。また溶液形成を伴う一般的な測定法であるG
PCによることもできる。
【0025】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリマーのうち下記一般式(1)で表わされ
るモノマー単位を必須成分として含む(共)重合体であ
る芳香族ポリエステルが好ましい。該モノマー単位は約
5モル%以上含むものが好ましい。
【0026】
【化1】
【0027】本発明の特に好ましい芳香族ポリエステル
は、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェノ
ールの3種の化合物からそれぞれ誘導される構造の繰返
し単位を有する下記式(2)で表わされるポリエステル
である。この下記式(2)で表されるポリエステルのビ
フェノールから誘導される構造の繰り返し単位は、その
一部または全部をジヒドロキシベンゼンから誘導される
繰り返し単位で置換されたポリエステルであることもで
きる。p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフタ
リンカルボン酸の2種の化合物からそれぞれ誘導される
構造の繰返し単位を有する下記式(3)で表わされるポ
リエステルである。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】 本発明のサーモトロピック液晶ポリエステルは上記各種
のポリマー単独でもかまわないが、それら2種以上を混
合して使用することができる。さらに反応性の化合物を
反応させたり、グラフト共重合した変性物も本発明のサ
ーモトロピック液晶ポリエステルに包含される。
【0031】また、サーモトロピック液晶ポリエステル
に対して他の液晶性もしくは非液晶性ポリマーを混合し
たいわゆるポリマーブレンド或はポリマーアロイとして
使用することも可能である。他の非液晶性ポリマーとし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポ
リメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂およびエラ
ストマー、ポリエチレンテレフタレート、ポレブチレン
テレフタレート等のポリエステル系樹脂およびエラスト
マー、脂肪族ナイロンや芳香族ナイロン等のポリアミド
樹脂およびエラストマー、ポリスチレン系樹脂およびエ
ラストマー、ポリカーボネート樹脂、ふっ素樹脂、ポリ
サルホン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレ
ンサルファイド樹脂、ポリケトン樹脂等の各種エンジニ
アリングプラスチック等が挙げられる。
【0032】なお、本発明の樹脂に対して、さらに耐熱
性、機械的性質を向上させるため強化剤または充填剤を
添加することができる。強化剤または充填剤の具体例と
しては、繊維状、粉粒状および両者の混合物が挙げられ
る。繊維状の強化剤としてはガラス繊維、シラスガラス
繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミック繊
維、アスベスト繊維、石こう繊維、金属繊維(例えばス
テンレス繊維等)等の無機質繊維および炭素繊維等が挙
げられる。また粉粒状の強化剤としては、ワラステナイ
ト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナ
イト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート等のケ
イ酸塩、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸
化ジルコニア、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸
カルシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸バリウム等の
硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ほう素、炭化ケイ素、サロ
ヤン等が挙げられ、これらは中空であってもよい(例え
ば、中空ガラス繊維、ガラスマイクロバルーン、シラス
バルーン、カーボンバルーン等)。上記強化剤は必要な
らばシラン系またはチタン系カップリング剤で予備処理
して使用することもできる。
【0033】また、本発明で用いる液晶樹脂には、本発
明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤および熱安定
剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、フ
ォスファイト類およびこれらの置換体等)、紫外線吸収
剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾト
リアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤および離型剤、
染料(例えばニトロシン等)、および顔料(例えば、硫
化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)
を含む着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤等の通常の
添加剤を添加し、所定の特性を付与することができる。
強化剤および充填剤等は、樹脂全体に対して80重量%
以下、好ましくは70重量%以下配合することができ
る。
【0034】本発明ではこのサーモトロピック液晶樹脂
を従来公知の各種成形手段により成形した成形品に適用
することができる。その形状も、板状、円盤状、矩形、
柱状、ロッド状成形品から、さらに複雑な形状を有する
成形品等、特に形状は限定されない。最も一般的に適用
される成形品は、射出成形法により成形された成形品で
ある。その他、パイプやフィルム・シート等の押出成形
法により成形された成形品、ボトル、異形物等のブロー
成形法により成形された成形品等も例示される。しかし
ながら、これらに限定されるものではない。
【0035】成形品厚みも特に限定されない。しかしな
がら、比較的薄肉の成形品に対して、特に効果が認めら
れ、通常は5mm以下、より好ましくは2mm以下の成
形品である。
【0036】本発明では上記成形品に、超音波振動を液
体中で印加する。この液体は液状媒体である限り特に限
定されないが、被処理物であるサーモトロピック液晶樹
脂に対し超音波印加時に不活性なものが好ましい。
【0037】従って、かかる観点からトルエン、キシレ
ン、テトラリン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素、デカリン等の脂環族炭化水素、
四ふっ化エチレン、三ふっ化エチレン、テトラクロロエ
タン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化
炭素等のハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル等のアルコール類、酢酸等の有機酸、n−メチルピロ
リドン等のアプロティック溶剤等の有機物や水および各
種鉱酸もしくは塩の水溶液等の無機物等が挙げられる。
【0038】超音波振動を印加するための装置として
は、液体を介して超音波が印加される構造のものならば
特に限定されない。一般にプラスチック製品の洗浄用に
使用されている超音波洗浄装置を適宜に用いることがで
きる。これは水晶等を利用した圧電振動子、チタン酸バ
リウム等を利用した電歪振動子またはニッケル、フェラ
イト等を利用した磁歪振動子等の発信子により得られた
20KHz以上、一般的には50KHz程度の振動数を
有する超音波で容器に振動を与えるものである。容器か
ら液体に音波が伝導し、液体を介して超音波が成形品に
印加される。
【0039】このような超音波洗浄装置には、被印加物
の形状、大きさに応じて出力が数十ないし数百ワットの
実験用のものから、数キロワットないし数十キロワット
程度の工業的なものまで各種ある。超音波の被印加物の
形状、大きさに応じて適宜に使用することができる。
【0040】超音波を成形品に印加するには、例えば前
記超音波洗浄装置の容器中に上記の液体を入れ、これに
サーモトロピック液晶樹脂成形品を浸漬し超音波を印加
する。
【0041】この場合、印加時の温度としては室温でも
よいが、液体の沸点を超えない温度まで加温することに
よりより物性の向上効果が発現する場合がある。
【0042】印加する超音波の周波数は、20KHz以
上、好ましくは25KHz以上である。周波数の上限値
は特に限定されない。しかしながら、余りに高い周波数
の音波では装置的にも高価となるので、通常は10MH
z以下の周波数である。
【0043】超音波の強度は特に限定されないが、通常
は液体中で0.1W/cm2以上であればよい。上限値
は、特に限定されないが余りに高出力では液温の上昇等
の現象も観察されるので通常は100W/cm2以下の
出力である。
【0044】超音波の印加時間は、10分間以上、好ま
しくは30分間以上である必要がある。有機溶剤中で超
音波を印加することは、合成樹脂製の電子部品や機械部
品に対してもその洗浄のために広く行われているが、こ
の場合は数十秒ないし2〜3分という短い時間で行われ
ており、物性の向上は全く認められない。余りに長く印
加しても、物性向上の効果がその割には認められず不経
済である。従って、通常は10時間以下である。超音波
を印加後、適宜に被印加物である成形品を洗浄、乾燥す
る。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0046】実施例 サーモトロピック液晶ポリエステルとして、フタル酸、
イソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸および4,4−
ジヒドロキシジフェニルから合成された粉状物を用い
た。フタル酸/イソフタル酸/4−ヒドロキシ安息香酸
/4,4−ジヒドロキシジフェニルから誘導される繰返
単位のモル比は、0.75/0.25/3/1である。
これはホットステージを装着した偏光顕微鏡を用いて光
学的異方性を観察したところ340℃以上の溶融状態で
光学的異方性を示した。
【0047】上記サーモトロピック液晶ポリエステルに
ガラス繊維を40重量%が配合されてなる配合物を通常
の射出成形機により、射出成形し、ダンベル形状の試験
片を作成した。試験片厚みは、0.8mmであった。
【0048】試験片は、1点ゲートの金型のものと2点
ゲートの金型の二種を使用した。1点ゲートの金型から
の試験片(試験片1)には、ウェルドラインは見られ
ず、2点ゲートの金型からの試験片(試験片2)には、
試験片中央部に明瞭なウエルドラインが観察された。
【0049】試験装置としては、市販の超音波洗浄機で
あるULTRA SONIC CLEANER VS−
150(商品名、井内盛栄堂(株)製;発信周波数 5
0kHz、最大出力 150W(平均出力 120
W))を使用した。
【0050】ハロゲン化炭化水素であるジクロロモノフ
ルオロエタン(CH3Cl2F:フロン141B)を、洗
浄機の容器内に満たし、試験片を浸漬し、室温で5分間
および60分間それぞれ超音波を印加した。
【0051】超音波を印加後、試験片を取り出し、充分
乾燥させた後、試験片1、2のそれぞれについて引張強
度を測定した。試験片2についてはウエルドラインでの
強度、すなわちウエルド強度を測定した。
【0052】結果は、以下の表1にまとめたが、超音波
印加により有意な差で引張強度およびウエルド強度の向
上が認められた。
【0053】
【表1】
【0054】注1;試験結果は、[(浸漬後−印加な
し)/印加なし]×100(%)により求めた。すなわ
ち、超音波の印加をしなかった以外にはほぼ同一の条件
下で浸漬した試験片の値を基準とした。
【0055】注2;引張強度は、試験片1の値であり、
ウエルド強度は試験片2の値である。それぞれ5個の試
験片の平均値である。
【0056】
【発明の効果】本発明によると、超音波印加という極め
て簡単な操作で、サーモトロピック液晶樹脂成形品の引
張強度やウェルド強度といった機械的物性を向上させる
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモトロピック液晶樹脂成形品に、超
    音波振動を液体中で10分間以上印加することを特徴と
    するサーモトロピック液晶ポリマー樹脂成形品の物性向
    上方法。
  2. 【請求項2】 前記サーモトロピック液晶樹脂が、サー
    モトロピック液晶ポリエステルである請求項1に記載の
    物性向上方法。
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