JPH0616890A - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
塩化ビニル系樹脂組成物Info
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- JPH0616890A JPH0616890A JP19926592A JP19926592A JPH0616890A JP H0616890 A JPH0616890 A JP H0616890A JP 19926592 A JP19926592 A JP 19926592A JP 19926592 A JP19926592 A JP 19926592A JP H0616890 A JPH0616890 A JP H0616890A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】本発明は流動性が高いため加工し易く、これか
ら得られる成形品が耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性
および表面平滑性に優れている塩化ビニル系樹脂組成物
を提供する。 【構成】この塩化ビニル系樹脂組成物はA)平均重合度
700〜2500の塩化ビニル系樹脂 100重量部、B)アクリ
ルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃性改質剤4〜15重量
部、C)スチレン・水素添加イソプレン共重合体 0.5〜
8重量部およびD)アクリロニトリル・スチレン共重合
体1〜10重量部からなるものである。
ら得られる成形品が耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性
および表面平滑性に優れている塩化ビニル系樹脂組成物
を提供する。 【構成】この塩化ビニル系樹脂組成物はA)平均重合度
700〜2500の塩化ビニル系樹脂 100重量部、B)アクリ
ルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃性改質剤4〜15重量
部、C)スチレン・水素添加イソプレン共重合体 0.5〜
8重量部およびD)アクリロニトリル・スチレン共重合
体1〜10重量部からなるものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は流動性が高いため加工し
易く、耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面平
滑性に優れた成形品が得られる塩化ビニル系樹脂組成物
を提供するものである。
易く、耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面平
滑性に優れた成形品が得られる塩化ビニル系樹脂組成物
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】多くの塩化ビニル系樹脂では一般に硬質
配合において平均重合度の高い方が抗張力、耐熱性等の
物性の向上する成形品の得られること、また耐衝撃性改
質剤の添加は少量でも大きな効果の得られることが知ら
れている。しかし重合度が高くなるにつれて、カレンダ
ー成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、
その他の高速成形で必要とされる流動性が低下し、得ら
れる成形品の表面平滑性が欠けてくる。この対策として
加工温度を上げる方法があるが、硬質配合系で塩化ビニ
ル系樹脂の平均重合度が高い場合に、満足な流動性の得
られる状態にまで温度条件を高めると、樹脂そのものが
熱によって劣化し、本来樹脂が持っている筈の物性が発
揮されなくなる。また、成形加工性を改善するために重
合度の低い樹脂を用いると、流動性は向上するものの耐
衝撃性が低下するので、多量の耐衝撃性改質剤を使用し
なければならず、その結果、耐熱性、抗張力等の物性が
低下する原因となった。
配合において平均重合度の高い方が抗張力、耐熱性等の
物性の向上する成形品の得られること、また耐衝撃性改
質剤の添加は少量でも大きな効果の得られることが知ら
れている。しかし重合度が高くなるにつれて、カレンダ
ー成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、
その他の高速成形で必要とされる流動性が低下し、得ら
れる成形品の表面平滑性が欠けてくる。この対策として
加工温度を上げる方法があるが、硬質配合系で塩化ビニ
ル系樹脂の平均重合度が高い場合に、満足な流動性の得
られる状態にまで温度条件を高めると、樹脂そのものが
熱によって劣化し、本来樹脂が持っている筈の物性が発
揮されなくなる。また、成形加工性を改善するために重
合度の低い樹脂を用いると、流動性は向上するものの耐
衝撃性が低下するので、多量の耐衝撃性改質剤を使用し
なければならず、その結果、耐熱性、抗張力等の物性が
低下する原因となった。
【0003】これらの理由により、塩化ビニル系樹脂の
加工性の改善には加工助剤または滑剤を添加する方法
が、またこれから得られる成形品の耐衝撃性の改善には
ブタジエン系ゴムを添加する方法が一般に採用されて来
た。そして、これらの方法を併用すれば、より温和な加
工条件で加工性、とくには流動性が改善され、ブタジエ
ン系ゴムのために耐衝撃性も改善できると考えられた。
しかし、ブタジエン系ゴムは熱、光などで酸化劣化を受
け易いため、これを主成分とする耐衝撃性改質剤を用い
た成形品では、色劣化や耐衝撃性、抗張力などの機械的
物性が低下した。
加工性の改善には加工助剤または滑剤を添加する方法
が、またこれから得られる成形品の耐衝撃性の改善には
ブタジエン系ゴムを添加する方法が一般に採用されて来
た。そして、これらの方法を併用すれば、より温和な加
工条件で加工性、とくには流動性が改善され、ブタジエ
ン系ゴムのために耐衝撃性も改善できると考えられた。
しかし、ブタジエン系ゴムは熱、光などで酸化劣化を受
け易いため、これを主成分とする耐衝撃性改質剤を用い
た成形品では、色劣化や耐衝撃性、抗張力などの機械的
物性が低下した。
【0004】一方、特開昭50-88170号公報には、塩化ビ
ニルグラフト重合体90〜99重量部にメチルメタクリレー
トおよび/またはアクリロニトリル、スチレンおよびア
クリル酸アルキルエステルよりなる共重合体、アクリロ
ニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂、塩素化
ポリエチレンの内の少なくとも一種の高分子物を1〜10
重量部添加してなる樹脂組成物が記載されていて、これ
によれば成形品の耐衝撃性の改善は認められるものの、
樹脂の流動性とそれによる成形品の表面平滑性は改善さ
れない。同様に、特開昭50- 142661号公報では塩化ビニ
ルの平均重合度は 400〜1500までがよいとされていて、
この組成物から得られる成形品の耐衝撃性は高いもの
の、樹脂の流動性とそれによる成形品の表面平滑性は改
善されない。さらに特公昭48-57846号および特開昭60-
179443号の両公報の記載もまた同様である。
ニルグラフト重合体90〜99重量部にメチルメタクリレー
トおよび/またはアクリロニトリル、スチレンおよびア
クリル酸アルキルエステルよりなる共重合体、アクリロ
ニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂、塩素化
ポリエチレンの内の少なくとも一種の高分子物を1〜10
重量部添加してなる樹脂組成物が記載されていて、これ
によれば成形品の耐衝撃性の改善は認められるものの、
樹脂の流動性とそれによる成形品の表面平滑性は改善さ
れない。同様に、特開昭50- 142661号公報では塩化ビニ
ルの平均重合度は 400〜1500までがよいとされていて、
この組成物から得られる成形品の耐衝撃性は高いもの
の、樹脂の流動性とそれによる成形品の表面平滑性は改
善されない。さらに特公昭48-57846号および特開昭60-
179443号の両公報の記載もまた同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は流動性が高いため加工し易く、これから得られる
成形品が耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面
平滑性に優れている塩化ビニル系樹脂組成物を提供する
ものである。
目的は流動性が高いため加工し易く、これから得られる
成形品が耐衝撃性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面
平滑性に優れている塩化ビニル系樹脂組成物を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の相反
する性質である樹脂としての加工性(特に流動性と表面
平滑性)と、これから得られる成形品の物性(特に耐衝
撃性と抗張力)を同時に満足させるにはどうすればよい
か鋭意検討した結果、塩化ビニル系樹脂に、アクリルゴ
ム・グラフト共重合体系改質剤を加えることで耐衝撃性
を改善し、スチレン・水素添加イソプレン(以下SEP
とする)共重合体を加えることで流動性と表面平滑性を
改善し、アクリロニトリル・スチレン(以下ASとす
る)共重合体を加えることで抗張力を改善できること、
さらに塩化ビニル系樹脂と併用するアクリルゴム・グラ
フト共重合体系耐衝撃性改質剤、SEP共重合体、AS
共重合体の各成分は、いずれも主鎖が飽和型の熱可塑性
樹脂で酸化による主鎖の切断が起こりにくく、そのため
に紫外線吸収剤や抗酸化剤を用いなくても加工時や長期
使用時における成形品の色変化が殆ど起きないことを見
出し、本発明を完成した。
する性質である樹脂としての加工性(特に流動性と表面
平滑性)と、これから得られる成形品の物性(特に耐衝
撃性と抗張力)を同時に満足させるにはどうすればよい
か鋭意検討した結果、塩化ビニル系樹脂に、アクリルゴ
ム・グラフト共重合体系改質剤を加えることで耐衝撃性
を改善し、スチレン・水素添加イソプレン(以下SEP
とする)共重合体を加えることで流動性と表面平滑性を
改善し、アクリロニトリル・スチレン(以下ASとす
る)共重合体を加えることで抗張力を改善できること、
さらに塩化ビニル系樹脂と併用するアクリルゴム・グラ
フト共重合体系耐衝撃性改質剤、SEP共重合体、AS
共重合体の各成分は、いずれも主鎖が飽和型の熱可塑性
樹脂で酸化による主鎖の切断が起こりにくく、そのため
に紫外線吸収剤や抗酸化剤を用いなくても加工時や長期
使用時における成形品の色変化が殆ど起きないことを見
出し、本発明を完成した。
【0007】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、
A)平均重合度 700〜2500の塩化ビニル系樹脂 100重量
部、B)アクリルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃性改
質剤4〜15重量部、C)SEP共重合体 0.5〜8重量部
およびD)AS共重合体1〜10重量部からなるもので、
より好ましくはB成分としてのアクリルゴム・グラフト
共重合体系耐衝撃性改質剤がアクリルゴムとAS共重合
体とのグラフト共重合体であって、40〜80重量%のアク
リルゴムを含有し、C成分としてのスチレン・水素添加
イソプレン共重合体がポリスチレン相と水素添加された
ポリイソプレン相とのジブロックまたはトリブロック共
重合体であって、スチレンと水素添加イソプレンを重量
成分比10:90〜60:40の割合で含有し、またD成分とし
てのAS共重合体が10〜35重量%のアクリロニトリルを
含有するものである。
A)平均重合度 700〜2500の塩化ビニル系樹脂 100重量
部、B)アクリルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃性改
質剤4〜15重量部、C)SEP共重合体 0.5〜8重量部
およびD)AS共重合体1〜10重量部からなるもので、
より好ましくはB成分としてのアクリルゴム・グラフト
共重合体系耐衝撃性改質剤がアクリルゴムとAS共重合
体とのグラフト共重合体であって、40〜80重量%のアク
リルゴムを含有し、C成分としてのスチレン・水素添加
イソプレン共重合体がポリスチレン相と水素添加された
ポリイソプレン相とのジブロックまたはトリブロック共
重合体であって、スチレンと水素添加イソプレンを重量
成分比10:90〜60:40の割合で含有し、またD成分とし
てのAS共重合体が10〜35重量%のアクリロニトリルを
含有するものである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
塩化ビニル系樹脂組成物において、A成分として使用さ
れる塩化ビニル系樹脂は平均重合度が 700〜2500、好ま
しくは1000〜1700のものである。これが 700未満のもの
は耐衝撃強度、耐熱性などが劣り、また2500を超えるも
のは成形加工時の溶融樹脂温度を高くしないと加工性が
悪く、それによる高温のため熱劣化が著しくなって樹脂
の本来持っている物性が損なわれるようになる。この塩
化ビニル系樹脂にはポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−
マレイミド共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体な
どの塩化ビニル系共重合体、および塩素化ポリ塩化ビニ
ルなどが例示されるが、これらの内ではとくにポリ塩化
ビニル樹脂が好ましい。
塩化ビニル系樹脂組成物において、A成分として使用さ
れる塩化ビニル系樹脂は平均重合度が 700〜2500、好ま
しくは1000〜1700のものである。これが 700未満のもの
は耐衝撃強度、耐熱性などが劣り、また2500を超えるも
のは成形加工時の溶融樹脂温度を高くしないと加工性が
悪く、それによる高温のため熱劣化が著しくなって樹脂
の本来持っている物性が損なわれるようになる。この塩
化ビニル系樹脂にはポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−
マレイミド共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体な
どの塩化ビニル系共重合体、および塩素化ポリ塩化ビニ
ルなどが例示されるが、これらの内ではとくにポリ塩化
ビニル樹脂が好ましい。
【0009】本発明の樹脂組成物において、B成分とし
て使用されるアクリルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃
性改質剤は、アクリル酸アルキルエステルの重合物から
なるアクリルゴムとAS共重合体とをグラフト共重合し
て得られる、アクリルゴムを40〜80重量%、とくには50
〜70重量%含有するもので、この市販品としてはKM-334
(ロームアンドハース社製)、DURASTRENGTH 200(ATO
Chem. 社製)、S-2001(三菱レーヨン社製)、HIA-28
(呉羽化学社製)などが挙げられる。この耐衝撃性改質
剤の本樹脂組成物中の配合量は、上記塩化ビニル系樹脂
100重量部に対し4〜15重量部、好ましくは5〜13重量
部である。これが4重量部未満では耐衝撃性の改良効果
が得られず、15重量部を超えると耐熱性、抗張力、加工
性などの諸物性が低下するため好ましくない。
て使用されるアクリルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃
性改質剤は、アクリル酸アルキルエステルの重合物から
なるアクリルゴムとAS共重合体とをグラフト共重合し
て得られる、アクリルゴムを40〜80重量%、とくには50
〜70重量%含有するもので、この市販品としてはKM-334
(ロームアンドハース社製)、DURASTRENGTH 200(ATO
Chem. 社製)、S-2001(三菱レーヨン社製)、HIA-28
(呉羽化学社製)などが挙げられる。この耐衝撃性改質
剤の本樹脂組成物中の配合量は、上記塩化ビニル系樹脂
100重量部に対し4〜15重量部、好ましくは5〜13重量
部である。これが4重量部未満では耐衝撃性の改良効果
が得られず、15重量部を超えると耐熱性、抗張力、加工
性などの諸物性が低下するため好ましくない。
【0010】本樹脂組成物においてC成分として使用さ
れるSEP共重合体は、ポリスチレン末端ブロックと水
素添加ポリイソプレン中間ブロックとが互いに非相溶で
二相構造を形成している、ポリスチレン相Sと水素添加
されたポリイソプレン相EPとを持つ、ジブロック(S
・EP)またはトリブロック(S・EP・S)共重合体
であることが望ましい。この内、ポリスチレン相Sは物
理的架橋点(ドメイン)を形成し加硫ゴムの架橋点の役
割を果たす。水素添加されたポリイソプレン相EPは製
品にゴム弾性を付与する。SEP共重合体はポリスチレ
ンのガラス転移点(Tg )以上に加熱すると、ドメイン
が軟化し、剪断力の下で流動するようになる。これを冷
却すると再びドメインが再現され、この過程は完全に可
逆的に行われる。
れるSEP共重合体は、ポリスチレン末端ブロックと水
素添加ポリイソプレン中間ブロックとが互いに非相溶で
二相構造を形成している、ポリスチレン相Sと水素添加
されたポリイソプレン相EPとを持つ、ジブロック(S
・EP)またはトリブロック(S・EP・S)共重合体
であることが望ましい。この内、ポリスチレン相Sは物
理的架橋点(ドメイン)を形成し加硫ゴムの架橋点の役
割を果たす。水素添加されたポリイソプレン相EPは製
品にゴム弾性を付与する。SEP共重合体はポリスチレ
ンのガラス転移点(Tg )以上に加熱すると、ドメイン
が軟化し、剪断力の下で流動するようになる。これを冷
却すると再びドメインが再現され、この過程は完全に可
逆的に行われる。
【0011】SEP共重合体中のスチレンと水素添加し
たイソプレンの重量成分比は10:90〜60:40、とくには
30:70〜50:50であることが好ましい。また、このSE
P共重合体は加工時における流動性の点からトルエン溶
液20重量%、30℃での溶液粘度が1,000cps以下のものが
好ましい。SEP共重合体の本樹脂組成物中の配合量は
塩化ビニル系樹脂 100重量部に対し 0.5〜8重量部、好
ましくは1〜7重量部の割合であり、これにより共重合
体が塩化ビニル系樹脂の流動単位(粒径約1〜2μm)
を取り囲むように分散し、流動性および成形品表面の平
滑性の著しい改善に寄与する。これに反し、上記添加量
が 0.5重量部未満ではこれらの改善が見られないだけで
なく加工性も低下し、8重量部を超えると耐熱性、抗張
力などの物性も低下するようになる。
たイソプレンの重量成分比は10:90〜60:40、とくには
30:70〜50:50であることが好ましい。また、このSE
P共重合体は加工時における流動性の点からトルエン溶
液20重量%、30℃での溶液粘度が1,000cps以下のものが
好ましい。SEP共重合体の本樹脂組成物中の配合量は
塩化ビニル系樹脂 100重量部に対し 0.5〜8重量部、好
ましくは1〜7重量部の割合であり、これにより共重合
体が塩化ビニル系樹脂の流動単位(粒径約1〜2μm)
を取り囲むように分散し、流動性および成形品表面の平
滑性の著しい改善に寄与する。これに反し、上記添加量
が 0.5重量部未満ではこれらの改善が見られないだけで
なく加工性も低下し、8重量部を超えると耐熱性、抗張
力などの物性も低下するようになる。
【0012】D成分としてのAS共重合体は、アクリロ
ニトリルとスチレンの重量比が10:90〜35:65、とくに
は20:80〜25:75のものが好ましい。この共重合体中の
アクリロニトリルが10重量%未満であると樹脂との相溶
性が低下して分離するおそれがあり、また35重量%を超
えると流動性が低下する原因となる。AS共重合体は前
記塩化ビニル系樹脂 100重量部に対し1〜10重量部、好
ましくは3〜10重量部の割合で使用されるが、これが1
重量部未満では抗張力の改良効果が得られず、10重量部
を超えると耐衝撃性と加工性が低下する。
ニトリルとスチレンの重量比が10:90〜35:65、とくに
は20:80〜25:75のものが好ましい。この共重合体中の
アクリロニトリルが10重量%未満であると樹脂との相溶
性が低下して分離するおそれがあり、また35重量%を超
えると流動性が低下する原因となる。AS共重合体は前
記塩化ビニル系樹脂 100重量部に対し1〜10重量部、好
ましくは3〜10重量部の割合で使用されるが、これが1
重量部未満では抗張力の改良効果が得られず、10重量部
を超えると耐衝撃性と加工性が低下する。
【0013】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上記
4種類の樹脂成分に加えて、さらに必要に応じて安定
剤、安定助剤、滑剤、無機充てん剤、可塑剤、着色剤、
紫外線吸収剤、抗酸化剤などを添加混合することができ
る。この樹脂に使用される安定剤は一般の塩化ビニル樹
脂に配合されるものであれば特に制限はなく、ラウレー
ト系、マレート系、メルカプタイド系等の有機スズ安定
剤、Ca、Ba、Pb等の金属石けん安定剤等があり、単独ま
たは2種以上の組み合わせで使用される。安定助剤とし
てはエポキシ化合物、紫外線吸収剤、抗酸化剤等が挙げ
られる。滑剤としてはパラフィンワックスやポリエチレ
ンワックス等の純炭化水素系、パルミチン酸やステアリ
ン酸等の脂肪酸系、ステアリルアルコール等の脂肪族ア
ルコール系、脂肪酸とアルコールとのエステル系および
脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル系等が挙げら
れる。無機充填剤としては炭酸カルシウムが好ましく、
重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムを問わず使用
できる。耐衝撃性を重視する場合は軽質炭酸カルシウム
の多量添加が好ましい。
4種類の樹脂成分に加えて、さらに必要に応じて安定
剤、安定助剤、滑剤、無機充てん剤、可塑剤、着色剤、
紫外線吸収剤、抗酸化剤などを添加混合することができ
る。この樹脂に使用される安定剤は一般の塩化ビニル樹
脂に配合されるものであれば特に制限はなく、ラウレー
ト系、マレート系、メルカプタイド系等の有機スズ安定
剤、Ca、Ba、Pb等の金属石けん安定剤等があり、単独ま
たは2種以上の組み合わせで使用される。安定助剤とし
てはエポキシ化合物、紫外線吸収剤、抗酸化剤等が挙げ
られる。滑剤としてはパラフィンワックスやポリエチレ
ンワックス等の純炭化水素系、パルミチン酸やステアリ
ン酸等の脂肪酸系、ステアリルアルコール等の脂肪族ア
ルコール系、脂肪酸とアルコールとのエステル系および
脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル系等が挙げら
れる。無機充填剤としては炭酸カルシウムが好ましく、
重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムを問わず使用
できる。耐衝撃性を重視する場合は軽質炭酸カルシウム
の多量添加が好ましい。
【0014】このようにして得られた本発明の塩化ビニ
ル系樹脂組成物は、高速ミキサーなどの通常の手段を用
いて混合し、粉末状またはペレット状にしてカレンダー
成形、押出成形、射出成形、ブロー成形などの成形方法
により所望の形状の成形品とすることができる。
ル系樹脂組成物は、高速ミキサーなどの通常の手段を用
いて混合し、粉末状またはペレット状にしてカレンダー
成形、押出成形、射出成形、ブロー成形などの成形方法
により所望の形状の成形品とすることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の具体的態様を実施例および比
較例により説明するが、本発明はこれらの記載に限定さ
れるものではない。 実施例1〜5および比較例1〜12. 表1および表2に示した処方の各樹脂成分に、さらに下
記の安定剤1重量部、安定助剤 0.7重量部、無機充填剤
6重量部および滑剤 0.5重量部を加えて混合し、それぞ
れの混合物を6インチロールを用いて 170℃で5分間混
練したものについて流動性と表面平滑性の試験を行っ
た。また、この混練物より厚さ 0.8mmのシートを作製し
て耐衝撃性、耐熱性、抗張力の各試験を行った。これら
の結果を各表に併記した。さらに、実施例1〜5および
比較例10〜12で得られた厚さ 0.8mmのシートを用いて黄
変度の試験を行い、その結果を表3に示した。以上の各
試験に使用した成分および各試験方法の詳細は下記の通
りである。
較例により説明するが、本発明はこれらの記載に限定さ
れるものではない。 実施例1〜5および比較例1〜12. 表1および表2に示した処方の各樹脂成分に、さらに下
記の安定剤1重量部、安定助剤 0.7重量部、無機充填剤
6重量部および滑剤 0.5重量部を加えて混合し、それぞ
れの混合物を6インチロールを用いて 170℃で5分間混
練したものについて流動性と表面平滑性の試験を行っ
た。また、この混練物より厚さ 0.8mmのシートを作製し
て耐衝撃性、耐熱性、抗張力の各試験を行った。これら
の結果を各表に併記した。さらに、実施例1〜5および
比較例10〜12で得られた厚さ 0.8mmのシートを用いて黄
変度の試験を行い、その結果を表3に示した。以上の各
試験に使用した成分および各試験方法の詳細は下記の通
りである。
【0016】 (試験に使用した成分) ・ポリ塩化ビニル系樹脂(表中PVCとする): TK- 700 (信越化学工業社製、商品名、ポリ塩化ビニル、平均重合度 700) TK-1000 ( 〃 、 〃 、 〃 、 〃 1000) TK-1700 ( 〃 、 〃 、 〃 、 〃 1700) TK-3000 ( 〃 、 〃 、 〃 、 〃 1000) ・アクリルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃性改質剤
(表中AGとする):DURASTRENGTH 200(ATO Chem. 社
製、商品名、アクリルゴム含有量:60重量%、AS共重
合体含有量:40重量%)
(表中AGとする):DURASTRENGTH 200(ATO Chem. 社
製、商品名、アクリルゴム含有量:60重量%、AS共重
合体含有量:40重量%)
【0017】・SEP共重合体(表中SEPとする): セプトン1001(クラレ社製、商品名、ジブロック共重合
体、スチレン含有量:35重量%、水素添加イソプレン含
有量:65重量%、トルエン20重量%溶液の30℃での粘
度:61cps ) セプトン2002(クラレ社製、商品名、トリブロック共重
合体、スチレン含有量:30重量%、水素添加イソプレン
含有量:70重量%、トルエン20重量%溶液の30℃での粘
度:1.5cps) セプトン2006(クラレ社製、商品名、トリブロック共重
合体、スチレン含有量:35重量%、水素添加イソプレン
含有量:65重量%、トルエン20重量%溶液の30℃での粘
度:780cps)
体、スチレン含有量:35重量%、水素添加イソプレン含
有量:65重量%、トルエン20重量%溶液の30℃での粘
度:61cps ) セプトン2002(クラレ社製、商品名、トリブロック共重
合体、スチレン含有量:30重量%、水素添加イソプレン
含有量:70重量%、トルエン20重量%溶液の30℃での粘
度:1.5cps) セプトン2006(クラレ社製、商品名、トリブロック共重
合体、スチレン含有量:35重量%、水素添加イソプレン
含有量:65重量%、トルエン20重量%溶液の30℃での粘
度:780cps)
【0018】・AS共重合体(表中ASとする):CEVI
AN FD [ダイセル化学工業社製、商品名、アクリロニト
リル:スチレン(重量比)=23:77] ・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂(表中ABSとする):G-4 (宇部サイコン社製、商品
名、グラフト重合タイプ、ブタジエン含有量:65重量
%) ・ブタジエン・スチレンゴム(表中SBRとする):TR
KX-139S [シェル化学社製、商品名、スチレン:ブタジ
エン(重量比)=40:60]
AN FD [ダイセル化学工業社製、商品名、アクリロニト
リル:スチレン(重量比)=23:77] ・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂(表中ABSとする):G-4 (宇部サイコン社製、商品
名、グラフト重合タイプ、ブタジエン含有量:65重量
%) ・ブタジエン・スチレンゴム(表中SBRとする):TR
KX-139S [シェル化学社製、商品名、スチレン:ブタジ
エン(重量比)=40:60]
【0019】・安定剤:T-17MJ(勝田化工社製、商品
名、有機すず安定剤) ・安定助剤:ステアリン酸カルシウム ・無機充填剤:白艶華 CCR(白石カルシウム社製、商品
名、炭酸カルシウム) ・滑 剤:AC-6A (アライドケミカル社製、商品名、ポ
リエチレンワックス)
名、有機すず安定剤) ・安定助剤:ステアリン酸カルシウム ・無機充填剤:白艶華 CCR(白石カルシウム社製、商品
名、炭酸カルシウム) ・滑 剤:AC-6A (アライドケミカル社製、商品名、ポ
リエチレンワックス)
【0020】(試験法) ・流動性:高化式フローテスター(島津製作所製、商品
名)を用いて 200℃における荷重100kg および 200kgで
測定した。 ・表面平滑性:高化式フローテスターによる押出し物の
表面を観察して下記の基準で評価した。 (評価基準) 1‥表面全体が目視で判断できる程度にザラザラしてい
て光沢がない。 2‥表面全体が目視できるほどではないがザラザラして
いて光沢がない。 3‥表面の一部がザラザラしていて光沢がない。 4‥表面の大部分がツルツルしていて光沢がある。 5‥表面全体がツルツルしていて光沢がある。
名)を用いて 200℃における荷重100kg および 200kgで
測定した。 ・表面平滑性:高化式フローテスターによる押出し物の
表面を観察して下記の基準で評価した。 (評価基準) 1‥表面全体が目視で判断できる程度にザラザラしてい
て光沢がない。 2‥表面全体が目視できるほどではないがザラザラして
いて光沢がない。 3‥表面の一部がザラザラしていて光沢がない。 4‥表面の大部分がツルツルしていて光沢がある。 5‥表面全体がツルツルしていて光沢がある。
【0021】・耐衝撃性:前述した厚さ 0.8mmのシート
を4枚重ね合わせ、予熱6分、加圧4分でプレスして厚
さ3mmのシートとし、JIS K-7110に基づいて測定した。 ・耐熱性:上記と同様にして厚さ3mmのシートとし、JI
S K-7206に基づいて測定した。 ・抗張力:前述した厚さ 0.8mmのシートを4枚重ね合わ
せ、予熱5分、加圧3分でプレスして厚さ1mmのシート
とし、JIS K-7113に基づいて測定した。 ・黄変度:厚さ 0.8mmのシートをサンシャインウェザオ
メーター(スガ試験機社製、商品名)に入れ、それぞれ
100時間、 300時間、 500時間および1000時間照射後に
取り出して、色差ΔEをJIS Z-8730に基づいて色差計
(日電色工業社製)により測定し、黄変度とした(色差
ΔEが大きいほど黄変度が高い)。
を4枚重ね合わせ、予熱6分、加圧4分でプレスして厚
さ3mmのシートとし、JIS K-7110に基づいて測定した。 ・耐熱性:上記と同様にして厚さ3mmのシートとし、JI
S K-7206に基づいて測定した。 ・抗張力:前述した厚さ 0.8mmのシートを4枚重ね合わ
せ、予熱5分、加圧3分でプレスして厚さ1mmのシート
とし、JIS K-7113に基づいて測定した。 ・黄変度:厚さ 0.8mmのシートをサンシャインウェザオ
メーター(スガ試験機社製、商品名)に入れ、それぞれ
100時間、 300時間、 500時間および1000時間照射後に
取り出して、色差ΔEをJIS Z-8730に基づいて色差計
(日電色工業社製)により測定し、黄変度とした(色差
ΔEが大きいほど黄変度が高い)。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【発明の効果】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は
流動性が高いため加工し易く、得られる成形品は耐衝撃
性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面平滑性に優れた
ものとなる。
流動性が高いため加工し易く、得られる成形品は耐衝撃
性、抗張力、耐熱性、耐候性および表面平滑性に優れた
ものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 53:02 7142−4J 25:12) 9166−4J
Claims (4)
- 【請求項1】A)平均重合度 700〜2500の塩化ビニル系
樹脂 100重量部、B)アクリルゴム・グラフト共重合体
系耐衝撃性改質剤4〜15重量部、C)スチレン・水素添
加イソプレン共重合体 0.5〜8重量部およびD)アクリ
ロニトリル・スチレン共重合体1〜10重量部からなる塩
化ビニル系樹脂組成物。 - 【請求項2】アクリルゴム・グラフト共重合体系耐衝撃
性改質剤が、アクリルゴムとアクリロニトリル・スチレ
ン共重合体とのグラフト共重合体であって、40〜80重量
%のアクリルゴムを含有する請求項1記載の塩化ビニル
系樹脂組成物。 - 【請求項3】スチレン・水素添加イソプレン共重合体
が、ポリスチレン相と水素添加されたポリイソプレン相
とのジブロックまたはトリブロック共重合体であって、
スチレンと水素添加イソプレンを重量成分比10:90〜6
0:40の割合で含有する請求項1記載の塩化ビニル系樹
脂組成物。 - 【請求項4】アクリロニトリル・スチレン共重合体が、
10〜35重量%のアクリロニトリルを含有する請求項1記
載の塩化ビニル系樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19926592A JP3115948B2 (ja) | 1992-07-02 | 1992-07-02 | 塩化ビニル系樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19926592A JP3115948B2 (ja) | 1992-07-02 | 1992-07-02 | 塩化ビニル系樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0616890A true JPH0616890A (ja) | 1994-01-25 |
JP3115948B2 JP3115948B2 (ja) | 2000-12-11 |
Family
ID=16404919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19926592A Expired - Fee Related JP3115948B2 (ja) | 1992-07-02 | 1992-07-02 | 塩化ビニル系樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3115948B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998012257A1 (de) * | 1996-09-19 | 1998-03-26 | Basf Aktiengesellschaft | Thermoplastische formmassen |
US9976806B2 (en) | 2013-10-30 | 2018-05-22 | Posco | Burning apparatus and method for manufacturing reduced iron using the same |
-
1992
- 1992-07-02 JP JP19926592A patent/JP3115948B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998012257A1 (de) * | 1996-09-19 | 1998-03-26 | Basf Aktiengesellschaft | Thermoplastische formmassen |
US9976806B2 (en) | 2013-10-30 | 2018-05-22 | Posco | Burning apparatus and method for manufacturing reduced iron using the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3115948B2 (ja) | 2000-12-11 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |