JPH06166659A - メタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法、およびそのトランス体の重合体と該重合体の製法 - Google Patents

メタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法、およびそのトランス体の重合体と該重合体の製法

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JPH06166659A
JPH06166659A JP32237492A JP32237492A JPH06166659A JP H06166659 A JPH06166659 A JP H06166659A JP 32237492 A JP32237492 A JP 32237492A JP 32237492 A JP32237492 A JP 32237492A JP H06166659 A JPH06166659 A JP H06166659A
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JP
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trans
ester
polymer
isomer
methacrylic acid
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JP32237492A
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Shoichi Matsumoto
章一 松本
Takayuki Otsu
隆行 大津
Keiichiro Mizuta
圭一郎 水田
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 メタクリル酸と炭素数4〜8のアルキル基で
置換されたシクロヘキシルアルコールとのエステルを溶
媒に溶解し、該エステルのトランス体を晶析させる該エ
ステルの立体異性体の分離法。該エステルのトランス体
から実質的になる重合体。 【効果】上記エステルのシス、トランスの立体異性体の
相互を高純度で分離することができ、上記エステルのト
ランス体から実質的になる重合体が提供され、この重合
体は優れた耐熱性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタクリル酸エステル
とその重合体に関する。さらに詳しくは、メタクリル酸
と、水酸基のオルソ位、メタ位あるいはパラ位が炭素数
4〜8の直鎖状または分枝状のアルキル基で置換された
シクロヘキシルアルコールとのエステルのシス体とトラ
ンス体の各立体異性体の分離法、該エステルのトランス
体から実質的になる重合体および該重合体の製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、メタクリル酸とアルキル基置
換シクロヘキシルアルコールとのエステル(以下「メタ
クリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステル」と呼
ぶ)およびその重合体は知られている。また、当該エス
テルには、その構成成分であるアルキル基置換シクロヘ
キシルアルコールに関して、下記一般式で示されるシス
体とトランス体の各立体異性体があることも知られてい
る。
【0003】
【化1】
【0004】アルキル基置換シクロヘキシルアルコール
に関しては、従来から、その用途に応じてシス体あるい
はトランス体のいずれか一方の立体異性体のみの製造、
特に香料等の中間体として有用なシス体のみの製造が望
まれていたが、これらの立体異性体の適切な分離手段が
見出せないため、アルキル基置換シクロヘキシルアルコ
ールの製造に際しての製造条件を特定の条件に限定して
いずれか一方の立体異性体に富んだ反応生成物を得よう
とする試みが数多く提案されている。例えば、特開昭4
9−45037号には、アルキル基置換フェノールの核
水素化によるアルキル基置換シクロヘキシルアルコール
の製造に際して、特殊な水素化触媒を用いて該核水素化
を行って、シス体に富んだアルキル基置換シクロヘキシ
ルアルコールを製造する方法が提案されている。かかる
従来のいずれか一方の立体異性体に富んだ反応生成物を
得ようとするアルキル基置換シクロヘキシルアルコール
の製造法では、反応生成物がいずれか一方の立体異性体
に富むとはいえ、所望の異性体の生成割合はせいぜい8
0モル%までであり、残余は所望しない他の立体異性体
であって、所望する一方の立体異性体のみを得るという
目的は十分に達せられない。
【0005】また、メタクリル酸アルキル基置換シクロ
ヘキシルエステルは、従来、一般にメタクリル酸とアル
キル基置換シクロヘキシルアルコールを用いて製造され
ているが、用いるアルキル基置換シクロヘキシルアルコ
ールのシス体とトランス体の各立体異性体に関しては特
に意識されることなく製造されている。したがって、従
来のメタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステ
ルは、それを構成するアルキル基置換シクロヘキシルア
ルコールについて見れば、シス体であるものとトランス
体であるものとが混在したものである。すなわち、従
来、メタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステ
ルに関し、シス体とトランス体の各立体異性体について
は特に意識されていない。
【0006】また、メタクリル酸アルキル基置換シクロ
ヘキシルエステルの重合体は、従来、上記のようにシス
体とトランス体の各立体異性体が混在したメタクリル酸
アルキル基置換シクロヘキシルエステルを重合して製造
されたものであって、アルキル基置換シクロヘキシルア
ルコール部分がシス体と該部分がトランス体である単位
との混在した単位で構成されたものである。
【0007】そして、メタクリル酸メチル等のメタクリ
ル酸エステルは透明性に優れ、また複屈折も小さいの
で、従来から光学材料であるレーザーディスク等の種々
の用途に用いられてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、メタク
リル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルの範疇に
属する、メタクリル酸と炭素数4〜8の直鎖状または分
枝状のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコー
ルとのエステルと、その重合体の特性について種々研究
したところ、図らずも、晶析法によって、当該エステル
のシス体とトランス体とを99モル%以上というように
極めて高純度で分離し得ること、および分離された当該
エステルのトランス体を重合させて得た重合体は、従来
のシス体とトランス体が混在する当該エステルを重合さ
せて得た重合体より耐熱性が優れていることを見出して
本発明を完成させた。すなわち、本発明の目的は、第1
に、メタクリル酸と炭素数4〜8の直鎖状または分枝状
のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコールと
のエステルのシス体とトランス体との分離法を提供する
にあり、第2に、当該エステルのトランス体から実質的
になる、耐熱性に優れた重合体および該重合体の製法を
提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明の要
旨は、第1に、メタクリル酸と、水酸基のオルソ位、メ
タ位およびパラ位から選ばれた一つの位置が炭素数4〜
8の直鎖状または分枝状のアルキル基から選ばれた一種
のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコールと
のエステルを、溶媒に溶解し、該エステルのトランス体
を晶析させることを特徴とするメタクリル酸アルキル基
置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法に存
し、第2に、メタクリル酸と、水酸基のオルソ位、メタ
位およびパラ位から選ばれた一つの位置が炭素数4〜8
の直鎖状または分枝状のアルキル基から選ばれた一種の
アルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコールとの
エステルであって、かつ上記アルキル基で置換されたシ
クロヘキシルアルコールがトランス体であるところのエ
ステルがビニル重合した繰り返し単位から実質的にな
り、数平均分子量が2000〜1000000であるメ
タクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルのト
ランス体の重合体に存し、第3に、上記のメタクリル酸
アルキル基置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の
分離法によって分離されたメタクリル酸アルキル基置換
シクロヘキシルエステルのトランス体を重合させること
を特徴とする上記のメタクリル酸アルキル基置換シクロ
ヘキシルエステルのトランス体の重合体の製法に存す
る。
【0010】以下、本発明について順次さらに詳しく説
明するが、まず、本発明の立体異性体の分離法について
説明する。
【0011】本発明の立体異性体の分離法に供する原料
エステルとしては、それを構成するアルキル基置換シク
ロヘキシルアルコールに関してシス体とトランス体の各
立体異性体が混在するところの、メタクリル酸と、水酸
基のオルソ位、メタ位およびパラ位から選ばれた一つの
位置が炭素数4〜8の直鎖状または分枝状のアルキル基
から選ばれた一種のアルキル基で置換されたシクロヘキ
シルアルコールとのエステルが用いられる。この原料エ
ステルの例としては、それを構成するアルキル基置換シ
クロヘキシルアルコールが、o−tert−ブチルシク
ロヘキシルアルコール、m−tert−ブチルシクロヘ
キシルアルコール、p−tert−ブチルシクロヘキシ
ルアルコール、o−tert−アミルシクロヘキシルア
ルコール、m−tert−アミルシクロヘキシルアルコ
ール、p−tert−アミルシクロヘキシルアルコー
ル、o−tert−オクチルシクロヘキシルアルコー
ル、m−tert−オクチルシクロヘキシルアルコール
あるいはp−tert−オクチルシクロヘキシルアルコ
ールであるエステルが挙げられる。本発明の立体異性体
の分離法は、これらの個々のエステルのシス体とトラン
ス体の分離に好適に適用できるが、これらのエステルの
混合物のシス体とトランス体の分離には好適に適用でき
ない。すなわち、メタクリル酸tert−ブチルシクロ
ヘキシルを例にとっていえば、2−tert−ブチルシ
クロヘキシル、3−tert−ブチルシクロヘキシルあ
るいは4−tert−ブチルシクロヘキシルの個々のエ
ステルには好適に適用できるが、例えば2−tert−
ブチルシクロヘキシルと4−tert−ブチルシクロヘ
キシルの混合物には好適に適用できない。
【0012】本発明の立体異性体の分離法は、一般に、
上記シス体とトランス体の各立体異性体が混在する原料
エステルを溶媒に溶解して溶液となし、該溶液を冷却し
た後放置してトランス体を溶液から晶出させ、シス体を
溶液中に残存させ、晶出した結晶と溶液を固液分離する
ことによって実施される。この実施の仕方における溶媒
としては、原料エステルの溶媒への溶解時に各立体異性
体を溶解し得て、冷却時にトランス体を選択的に晶出し
得る溶媒であれば、特に制限することなく用いることが
できる。この実施の仕方における溶媒の例としては、n
−ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素
類、酢酸エチル等のエステル類あるいはベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。ま
た、この実施の仕方において、原料エステルを溶媒に溶
解して溶液とするための溶解温度およびトランス体を選
択的に晶出させるための冷却温度は、用いる溶媒の種類
によって異なって一概には決められないが、例えばn−
ヘキサンの場合では、一般に、溶解温度は0〜60℃の
範囲が適当であり、冷却温度は−30〜30℃の範囲が
適当であり、溶解温度と冷却温度との差を20〜50℃
の範囲とするのが適当である。また、溶媒の使用量、冷
却後のトランス体晶出のための放置時間等の条件は、必
要に応じて適宜選択、決定すれば良い。また、晶出した
トランス体の結晶と溶液との固液分離は、濾過等の通常
の固液分離手段を任意に採用することができる。分離さ
れたトランス体の結晶は、一般に必要に応じて、溶媒に
よる洗浄、含有溶媒を除去するための乾燥、一層純度を
高めるための蒸留精製等の処理を施して目的物のトラン
ス体として回収される。分離されたシス体を含む溶液か
らは、溶媒を除去して、シス体に富み、一部残存するト
ランス体の混在する画分を得ることができる。さらに
は、必要に応じて、該シス体に富む画分に精密蒸留等の
精製処理を施して、混在するトランス体を除去し、その
シス体の純度を高めることができる。
【0013】上記のような立体異性体の分離法によれ
ば、メタクリル酸と炭素数4〜8の直鎖状または分枝状
のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコールと
のエステルのシス体とトランス体の各立体異性体を高純
度で分離することができ、特にトランス体については、
蒸留精製等の処理を施すまでもなく、99モル%以上と
いう極めて高純度で分離することができる。
【0014】次に、本発明のトランス体の重合体および
その製法について説明する。
【0015】本発明のトランス体の重合体は、上記のと
おり、メタクリル酸と、水酸基のオルソ位、メタ位およ
びパラ位から選ばれた一つの位置が炭素数4〜8の直鎖
状または分枝状のアルキル基から選ばれた一種のアルキ
ル基で置換されたシクロヘキシルアルコールとのエステ
ルであって、かつ上記アルキル基で置換されたシクロヘ
キシルアルコールがトランス体であるところのエステル
がビニル重合した繰り返し単位から実質的になり、数平
均分子量が2000〜1000000であるメタクリル
酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルのトランス体
の重合体であるが、その繰り返し単位を、エステルを構
成するアルキル基置換シクロヘキシルアルコールのアル
キル基の置換位置がパラ位である場合を例にとって、一
般式で示せば下記のとおりである。
【0016】
【化2】 (式中、Rは炭素数4〜8の直鎖状または分枝状のアル
キル基から選ばれたアルキル基を示す。)
【0017】また、本発明のトランス体の重合体は、1
モル%程度までの当該エステルのシス体の繰り返し単位
の含有は差支えない。さらにまた、この本発明のトラン
ス体の重合体は、上記立体異性体の分離法によって回収
されたトランス体を重合させて得ることができる。この
トランス体の重合は、従来のシス体とトランス体の分離
されていないメタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシ
ルエステルの重合方法に従えば良く、一般に、当該トラ
ンス体を、溶媒に溶解して、重合開始剤の存在下に、0
〜100℃の範囲の温度で行うことができる。この重合
の際の溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、n−ヘ
キサン等が挙げられ、重合開始剤としては、2,2´−
アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等が挙
げられる。また、溶媒の使用量は、一般に溶液の当該ト
ランス体の濃度が5〜80重量%となる量が適当であ
り、重合開始剤の使用量は、一般に当該トランス体に対
して0.01〜5重量%となる量が適当である。
【0018】かくして得られた本発明のトランス体の重
合体は、従来のシス体とトランス体が混在する当該エス
テルの重合体と比べて、透明性は同程度であるが、耐熱
性が優れている。例えば、本発明のトランス体の重合体
のガラス転移点は、従来のシス体とトランス体の含有率
がそれぞれ50モル%である重合体のそれと比べれば、
約30℃も高い。
【0019】
【実施例】以下、実施例および参考例によって本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。また、実施例および参考例に
おける「%」は「モル%」を意味する。
【0020】実施例1 4−tert−ブチルシクロヘキサノール 110g、
メタクリル酸 340gをベンゼン400mlに加え、触
媒としてp−トルエンスルホン酸 0.5g、重合禁止
剤としてp−tert−ブチルカテコール 1gを加え
て、窒素雰囲気下で生成してくる水を除去しながら30
時間還流した。減圧下で、ベンゼンおよび未反応のメタ
クリル酸を除去した後、減圧蒸留(85℃/1mmHg)に
より134gのメタクリル酸4−tert−ブチルシク
ロヘキシルを単離した。4−tert−ブチルシクロヘ
キサノールを基準とするメタクリル酸4−tert−ブ
チルシクロヘキシルの収率は、85%であった。
【0021】得られたメタクリル酸4−tert−ブチ
ルシクロヘキシル 100gに室温で、100mlのn−
ヘキサンを加えて完全に溶解し、次いで0℃で24時間
放置し、得られた結晶を濾紙で濾過した。結晶は、約0
℃のn−ヘキサンで洗浄した後に、n−ヘキサンを蒸発
乾燥した後に純度99.9%のトランス−メタクリル酸
4−tert−ブチルシクロヘキシル 38g(融点4
2℃)を得た。また、濾液から溶媒を常圧蒸留により除
去し、さらに減圧蒸留によりトランス体を除去すること
により、純度83%のシス−メタクリル酸4−tert
−ブチルシクロヘキシル 56gを得た。さらに、この
シス体について精密蒸留を繰り返すことにより純度99
%以上のシス体を得ることが可能である。またシスとト
ランスの組成は、NMRスペクトルの4.69ppm(ト
ランス)と5.07ppm(シス)のメチン基の吸収強度
比により決定した。なお、原料に用いたメタクリル酸4
−tert−ブチルシクロヘキシルのシスとトランスの
比率は、49.5:50.5であった。
【0022】100mlのベンゼンに、22.4gのトラ
ンス−メタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシ
ルを加え、次いでラジカル開始剤として2,2´−アゾ
ビスイソブチロニトリル 16mgを加え、全体を窒素雰
囲気で置換したガラス封管に移し、60℃において1時
間放置した。反応後、反応物を1000mlのメタノール
中に注ぎ、ポリマーを沈澱として単離した。減圧にて乾
燥した後に、3.2gのトランス−メタクリル酸4−t
ert−ブチルシクロヘキシルの重合体を得た。
【0023】この得られた重合体のGPCによる分子量
(Mn)は、525,000であり、ガラス転移点(T
g)は178℃であった。また、この得られた重合体の
NMRスペクトルは図1のとおりであり、4.48ppm
にトランス体であることを示すメチン基のピークが存在
するが、4.94ppmのシス体であることを示すメチン
基のピークは実質的に存在しない。比較のため、メタク
リル酸4−tert−ブチルシクロヘキシルの重合体で
あって、その組成がトランス体23%でシス体77%で
ある重合体のNMRスペクトルを示せば、図2のとおり
であり、4.48ppmのトランス体を示すピークと4.
94ppmのシス体を示すピークの両者が存在し、4.9
4ppmのシス体を示すピークの方が4.48ppmにトラン
ス体を示すピークより大きい。したがって、この得られ
た重合体は、メタクリル酸4−tert−ブチルシクロ
ヘキシルのトランス体の繰り返し単位から実質的になる
重合体であることが分かった。
【0024】実施例2 実施例1における、4−tert−ブチルシクロヘキサ
ノール 110gの代わりに、4−tert−アミルシ
クロヘキサノール 119gを用いる以外は、すべて実
施例1と同様の方法で実験を行い、135gのメタクリ
ル酸4−tert−アミルシクロヘキシルを得、それを
晶析分離して33gの純度99.9%のトランス−メタ
クリル酸4−tert−アミルシクロヘキシルを得、さ
らにそれを重合させて3.1gのトランス−メタクリル
酸4−tert−アミルシクロヘキシルの重合体を得
た。この重合体の分子量(Mn)は、550,000で
あり、ガラス転移点(Tg)は177℃であった。この
重合体のNMRスペクトル測定の結果、この重合体はメ
タクリル酸4−tert−アミルシクロヘキシルのトラ
ンス体の繰り返し単位から実質的になる重合体であるこ
とが分かった。
【0025】実施例3 実施例1における、4−tert−ブチルシクロヘキサ
ノール 110gの代わりに、2−tert−ブチルシ
クロヘキサノール 112gを用いる以外は、すべて実
施例1と同様の方法で実験を行い、130gのメタクリ
ル酸2−tert−ブチルシクロヘキシルを得、それを
晶析分離して純度99.9%のトランス−メタクリル酸
2−tert−ブチルシクロヘキシル 35gを得、さ
らにそれを重合させて3.7gのトランス−メタクリル
酸2−tert−ブチルシクロヘキシルの重合体を得
た。この重合体の分子量(Mn)は、500,000で
あり、ガラス転移点(Tg)は175℃であった。この
重合体のNMRスペクトル測定の結果、この重合体はメ
タクリル酸2−tert−ブチルシクロヘキシルのトラ
ンス体の繰り返し単位から実質的になる重合体であるこ
とが分かった。
【0026】実施例4 実施例1における、4−tert−ブチルシクロヘキサ
ノール 110gの代わりに、4−tert−オクチル
シクロヘキサノール 215gを用いる以外は、すべて
実施例1と同様の方法で実験を行い、200gのメタク
リル酸4−tert−オクチルシクロヘキシルを得、そ
れを晶出分離して純度99.9%のトランス−メタクリ
ル酸4−tert−オクチルシクロヘキシル 37gを
得、さらにそれを重合させて3.9gのトランス−メタ
クリル酸4−tert−オクチルシクロヘキシルの重合
体を得た。この重合体の分子量(Mn)は、550,0
00であり、ガラス転移点(Tg)は170℃であっ
た。この重合体のNMRスペクトル測定の結果、この重
合体はメタクリル酸4−tert−オクチルシクロヘキ
シルのトランス体の繰り返し単位から実質的になる重合
体であることが分かった。
【0027】参考例1 実施例1の方法で得た純度99.9%のトランス−メタ
クリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシルと、純度
83%のシス−メタクリル酸4−tert−ブチルシク
ロヘキシルを種々の割合で混合し、実施例1の方法で重
合させることにより、シスとトランスの異性体の比率の
異なるメタクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシ
ルの重合体を製造した。これらの重合体中のトランス体
含有率とガラス転移点(Tg)との関係を表1に示し
た。
【0028】
【表1】 表1 トランス体含有率(%) ガラス転移点(℃) 32 146 54 156 70 162 100 178
【0029】
【発明の効果】本発明の立体異性体の分離法に従えば、
従来特に意識されていなかったメタクリル酸と炭素数4
〜8の直鎖状または分枝状のアルキル基で置換されたシ
クロヘキシルアルコールとのエステルのシス体とトラン
ス体とを、異性体相互の比率において99モル%以上と
いうように極めて高純度で分離することができる。ま
た、本発明のトランス体の重合体およびその製法に従え
ば、上記エステルのトランス体から実質的になる、従来
提案ないし提供されていなかった新規な重合体が提供さ
れる。そして、この重合体は、従来のシス体とトランス
体が混在する上記エステルの重合体と比べて耐熱性に優
れたものであり、それ故、従来の上記エステルの重合体
の耐熱性を改善して一層優れた耐熱性の求められる新し
い分野への利用を可能にした有用な重合体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた重合体のNMRスペクトル
である。
【図2】比較のために示した組成がトランス体23%で
シス体77%である重合体のNMRスペクトルである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸と、水酸基のオルソ位、メ
    タ位およびパラ位から選ばれた一つの位置が炭素数4〜
    8の直鎖状または分枝状のアルキル基から選ばれた一種
    のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコールと
    のエステルを、溶媒に溶解し、該エステルのトランス体
    を晶析させることを特徴とするメタクリル酸アルキル基
    置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法。
  2. 【請求項2】 メタクリル酸と、水酸基のオルソ位、メ
    タ位およびパラ位から選ばれた一つの位置が炭素数4〜
    8の直鎖状または分枝状のアルキル基から選ばれた一種
    のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアルコールと
    のエステルであって、かつ上記アルキル基で置換された
    シクロヘキシルアルコールがトランス体であるところの
    エステルがビニル重合した繰り返し単位から実質的にな
    る、数平均分子量が2000〜1000000であるメ
    タクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルのト
    ランス体の重合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のメタクリル酸アルキル基
    置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法によ
    って分離されたメタクリル酸アルキル基置換シクロヘキ
    シルエステルのトランス体を重合させることを特徴とす
    る請求項2記載のメタクリル酸アルキル基置換シクロヘ
    キシルエステルのトランス体の重合体の製法。
JP32237492A 1992-11-06 1992-11-06 メタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法、およびそのトランス体の重合体と該重合体の製法 Pending JPH06166659A (ja)

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JP32237492A Pending JPH06166659A (ja) 1992-11-06 1992-11-06 メタクリル酸アルキル基置換シクロヘキシルエステルの立体異性体の分離法、およびそのトランス体の重合体と該重合体の製法

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5918818A (en) * 1996-05-22 1999-07-06 Denso Corporation Electromagnetically actuated injection valve
US6706839B1 (en) 1999-02-10 2004-03-16 University Of Pittsburgh Chemical partitioning agents and methods of using same
JP2006076931A (ja) * 2004-09-10 2006-03-23 Asahi Kasei Fainkemu Kk 高純度トランス−4−シアノシクロヘキサン−1−カルボン酸メチルの製造方法
JP2020033532A (ja) * 2017-12-28 2020-03-05 Kjケミカルズ株式会社 t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを用いた重合性樹脂組成物

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