JPH06166656A - 新規生理活性物質ベナスタチンc、d、その製造法およびその用途 - Google Patents

新規生理活性物質ベナスタチンc、d、その製造法およびその用途

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JPH06166656A
JPH06166656A JP4338791A JP4338791A JPH06166656A JP H06166656 A JPH06166656 A JP H06166656A JP 4338791 A JP4338791 A JP 4338791A JP 4338791 A JP4338791 A JP 4338791A JP H06166656 A JPH06166656 A JP H06166656A
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JP
Japan
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benastatin
culture
medium
compound
methanol
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Application number
JP4338791A
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English (en)
Inventor
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Takaaki Aoyanagi
高明 青柳
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Masa Hamada
雅 浜田
Yasuhiko Muraoka
靖彦 村岡
Takayuki Aoyama
貴之 青山
Tadao Yamazaki
忠雄 山崎
Katsuhisa Tomita
勝久 冨田
Yutaka Ogawa
裕 小川
Fuminori Abe
史紀 安部
Nobuyoshi Shimada
信義 嶋田
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Microbial Chemistry Research Foundation
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
Nippon Kayaku Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明により、免疫調節作用を有する新規な
生理活性物質ベナスタチンC及びD、その製造法及びそ
の用途が提供される。 【構成】 下記一般式(1) 【化1】 〔式Rは−CH=CH−(ベナスタチンC)または−C
2 −CH2 −(ベナスタチンD)を示す。〕で表され
る新規生理活性物質ベナスタチンC、Dは免疫調節作用
を有し免疫調節剤として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫調節作用(immu
nomodifier activity)を有する新
規な生理活性物質ベナスタチンC、D(Benasta
tin C、D)、その製造法およびその用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】免疫調節作用には、免疫賦活作用および
免疫抑制作用がある。免疫賦活作用を有する物質は、
癌、感染症等の治療薬として有効である。免疫抑制作用
を有する物質は、臓器移植等で有効となり得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】過去に報告されている
免疫調節剤は、その作用が弱く、より強い免疫調節剤が
望まれている。本発明の目的は、そのような強い免疫調
節活性を有する生理活性物質、その製造法及びその用途
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は新規生理活性物質ベナスタチンC、
Dに関する発明であって、下記一般式(1):
【化2】 〔式中Rは−CH=CH−(ベナスタチンC)または−
CH2 −CH2 −(ベナスタチンD)を示す。〕で表さ
れる化合物であることを特徴とする生理活性物質ベナス
タチンC、Dを提供するものである。
【0005】ベナスタチンCの理化学的性質は下記の通
りである。 ベナスタチンCの理化学的性状 (1) 色及び形状:黄色粉末 (2) 分子式:C29285 (3) 分子量:456 FAB−MS(Positi
ve)m/z457(M+H)+ (4) 融点:214〜216℃(dec.) (5) 紫外線吸収スペクトル:添付図面の図1に示
す。 (6) 赤外線吸収スペクトル:添付図面の図2に示
す。 (7) 水素核核磁気共鳴スペクトル:添付図面の図3
に示す。 (8) 炭素核核磁気共鳴スペクトル:添付図面の図4
に示す。 (9) 溶解性:ジメチルスルホキシド、メタノール、
アセトン、酢酸エチルに可溶であり、水に不溶である。 (10)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.80 シリカゲル(メルク社製Art. 5715)薄層を用
い、展開溶媒としてクロロホルム−メタノール(4:
1)を用いた。
【0006】本発明の第2の発明は、新規生理活性物質
ベナスタチンC、Dの製造法に関する発明であって、ス
トレプトミセス属に属するベナスタチンC、D生産菌を
栄養培地中で培養し、その培養物から上記一般式(1)
で表される生理活性物質ベナスタチンC、Dを分離採取
することを特徴とする。
【0007】本発明に使用されるベナスタチンC、D生
産菌の1例としては、本発明者らにより東京都杉並区の
土壌より分離された放線菌であって、MI384−DF
12の菌株番号が付された菌株がある。MI384−D
F12株の菌学的性状は次の通りである。
【0008】1.形態 MI384−DF12株は、顕微鏡下で分枝した基中菌
糸より気菌糸を伸長する。気菌糸は通常まっすぐである
が、らせん状の胞子鎖を有し、胞子の連鎖は20個以上
を数える。特徴的な形態として直径1.5〜6ミクロン
の偽似胞子のう(Pseudosporangium)
を形成する。輪生枝および胞子のうは認められない。胞
子の大きさは約0.5〜0.6×0.7〜0.8ミクロ
ンであり、その表面は平滑である。
【0009】2.各種培地における生育状態 色の記載について以下の〔 〕内に示す標準は、コンテ
ィナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・
ハーモニー・マニュアル(ContainerCorp
oration of Americaのcolor
harmony manual)を用いた。
【0010】(1) シュクロース・硝酸塩寒天培地
(27℃培養) 発育は明るい茶〔4ng,Lt Brown〕〜暗い茶
〔3pn,Dk Brown〕、気菌糸の着生は、認め
られない。溶解性色素はかすかに茶色味を帯びる。
【0011】(2) グルコース・アスパラギン寒天培
地(27℃培養) 発育はうす茶〔3ie,Camel〕〜赤茶〔5ui,
Rosewood Brown〕、気菌糸の着生は認め
られない。溶解性色素はわずかにピンク色を帯びる。
【0012】(3) グリセリン・アスパラギン寒天培
地(ISP−培地5,27℃培養) 茶灰〔4ni,Spice Brown〕〜暗いオリー
ブ灰〔1po,Ebony〕の発育上に、まばらに白い
気菌糸を着生する。溶解性色素はわずかにピンク色を帯
びる。発育の色調および溶解性色素は0.05N−Na
OHの添加により緑色を帯びるが、0.05N−HCl
の添加によっては変化しなかった。
【0013】(4) スターチ・無機塩寒天培地 IS
P−培地4,27℃培養) 茶灰〔4ni,Spice Brown〕〜暗い茶〔4
pn,Dk Brown〕の発育上に、綿状の白い気菌
糸を着生する。溶解性色素はかすかに茶色味を帯びる。
発育の色調および溶解性色素は0.05N−NaOHの
添加により緑色を帯びるが、0.05N−HClの添加
によっては変化しなかった。
【0014】(5) チロシン寒天培地(ISP−培地
7,27℃培養) 発育は灰味茶〔3ni,Clove Brown〕〜暗
い茶〔4pl,DkBrown〕、気菌糸の着生は認め
られない。溶解性色素は茶色味を帯びる。
【0015】(6) 栄養寒天培地(27℃培養) 発育はうす茶〔3ng,Yellow Haple〕〜
灰味茶〔3ni,Clove Brown〕、気菌糸の
着生は認められない。溶解性色素は茶色味を帯びる。
【0016】(7) イースト・麦芽寒天培地(ISP
−培地2,27℃培養) うす黄茶〔2pg. Mustard Gold〕〜う
す茶〔2ni,Mustard Brown〕の発育上
に、白い綿状の気菌糸を着生する。溶解性色素は認めら
れない。
【0017】(8) オートミール寒天培地(ISP−
培地3,27℃培養) うすピンク〔5ba,Shell Pink〕〜うす黄
茶〔2lg,Mustard Tan〕の発育上に、明
るい灰色〔13cb,Pearl Gray〕の気菌糸
をうっすらとまばらに着生する。溶解性色素はうすピン
クを帯びる。
【0018】(9) グリセリン・硝酸塩寒天培地(2
7℃培養) 発育はピンク〔6ie,Redwood〕〜灰味赤〔6
lg,Dk Redwood〕、気菌糸の着生は認めら
れない。溶解性色素はわずかにうすピンクを帯びる。
【0019】(10) スターチ寒天培地(27℃培
養) 発育はうす茶〔3ng,Yellow Maple〕〜
暗い茶〔4Pn,DkBrown〕、気菌糸の着生は認
められない。溶解性色素はわずかにうすピンクを帯び
る。
【0020】(11) リンゴ酸石灰寒天培地(27℃
培養) 発育はうすオリーブ〔1le,Olive Yello
w〕、気菌糸は着生せず、溶解性色素も認められない。
【0021】(12) セルロース(濾紙片添加合成
液、27℃培養) 培養後3週間観察したが、生育を認めなかった。
【0022】(13) ゼラチン穿刺培養(15%単純
ゼラチン培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・セ
ラチン培地、24℃培養) 単純ゼラチン培地の場合は、発育はうす茶、気菌糸は着
生せず、溶解性色素は茶色味を帯びる。グルコース・ペ
プトン・ゼラチン培地では、発育はうす黄茶、気菌糸は
着生せず、溶解性色素は茶色味を帯びる。
【0023】(13) 脱脂牛乳(37℃培養) 発育はうす茶、気菌糸は着生せず、溶解性色素は褐色を
呈する。
【0024】3.生理的性質 (1) 生育温度範囲 イースト・スターチ寒天培地(可溶性デンプン1.0
%、イースト・エキス0.2%、ひも寒天3.0%、p
H7.0)を用い、20℃、24℃、27℃、30℃、
37℃、50℃の各温度で試験した結果、20℃、24
℃、27℃、30℃、37℃で生育したが、20℃での
生育は極めて悪く、50℃では生育しない。生育至適温
度は27℃〜30℃付近と思われる。
【0025】(2) ゼラチンの液化(15%単純ゼラ
チン培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチ
ン培地、27℃培養) 15%単純ゼラチン培地においては、液化を示さず、グ
ルコース・ペプトン・ゼラチン培地では培養後21日目
に弱い液化を示した。その作用は弱い方である。
【0026】(3) スターチの加水分解(スターチ・
無機塩寒天培地及びスターチ寒天培地、うずれも27℃
培養) いずれの培地でも、培養後3日目には水解性を認めその
作用は中等度である。
【0027】(4) 脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱
脂牛乳、37℃培養) 培養後6日目頃よりペプトン化が始まる13日目頃には
完了する。その作用は中等度〜強い方である。凝固は、
認められない。
【0028】(5) メラニン様色素の生成(トリプト
ン・イースト・ブロス、ISP−培地1;ペプトン・イ
ースト・鉄寒天培地、ISP−培地6;チロシン寒天培
地、ISP−培地7;いずれも27℃培養) トリプトン・イースト・ブロス(ISP−培地1)、ペ
プトン・イースト・鉄寒天培地(ISP−培地6)は陽
性、チロシン寒天培地(ISP−培地7)はわずかにメ
ラニン様色素を生成する。
【0029】(6) 炭素源の利用性(プリドハム・ゴ
トリーブ寒天培地、ISP−培地9、27℃培養) L−アラビノース、D−グルコース、D−フルクトー
ス、シュクロース、イノシトール、D−マンニトールを
利用して発育する。D−キシロースもおそらく利用す
る。ラムノース、ラフィノース、ラクトースは利用しな
い。
【0030】(7) リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石
灰寒天培地、27℃培養) 陰性である。 (8) 硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有
ペプトン水、ISP−培地8、27℃培養) 陽性である。 (9) セルロースの分解(濾紙片添加合成液、27℃
培養) 生育しない。
【0031】以上の性状を要約すると、MI384−D
F12株はその形態上、らせん形成および特徴的な偽似
胞子のうを有する気菌糸を伸長する。胞子の連鎖は20
個以上を数え、その表面は平滑である。種々の培地で、
発育はうす茶〜暗い茶、特定な培地ではピンク色を呈す
る。気菌糸の着生は認めないことが多いが、ISP−培
地2、3、4、5では白い気菌糸を着生する。溶解性色
素は、培地によりピンク色を帯びる場合と褐色を帯びる
場合がある。メラニン様色素の生成は陽性、蛋白分解力
は中等度、スターチの水解性も中等度である。なお、細
胞壁に含まれる2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型
であった。
【0032】これらの性状より、MI384−DF12
株はストレプトミセス(Streptomyces)に
属すると考えられる。近縁の既知菌種を検索すると、M
I384−DF12株の特徴である偽似胞子のうを有す
るものとして次の2種があげられた。すなわち、ストレ
プトミセス・パラドクス(Streptomycesp
aradocus,International Jo
urnal ofSystematic Bacter
iology,36巻、573〜576頁、1986
年;Systematic and Applied
Microbiology,8巻、61〜64頁、19
86年およびストレプトミセス・ヴィタミノフィルス
Streptomyces vitaminophi
llus,International Journa
l of SystematicBacteriolo
gy,36巻、573〜576頁、1986年;Sys
tematic and Applied Micro
biology,8巻、61〜64頁、1986年;I
nternational Journal of S
ystematic Bacteriology,33
巻、557〜564頁、1983年)である。このう
ち、ストレプトミセス・ヴィタミノフィルスとは、ビタ
ミン要求性において区別された。MI384−DF12
株をストレプトミセス・エスピー(Streptomy
ces sp.)MI384−DF12と同定した。
【0033】MI384−DF12株を工業技術院微生
物工業技術研究所に寄託申請し、平成2年2月8日に微
工研菌寄第11270号として受託された。平成3年1
月18日にブタペスト条約に基づく国際寄託に移管さ
れ、微工研条寄第3228号(FERM BP−322
8)の受託番号が付与されている。
【0034】MI384−DF12株は他の放射菌の場
合に見られるように、その性状が変化しやすい。たとえ
ば、MI384−DF12株に由来する突然変異株(自
然発生または誘発性)、形質融合体または遺伝子組み換
え体であっても、ベナスタチンC、Dの生産能を有する
ストレプトミセス属の菌はすべて本発明の方法に使用す
ることができる。
【0035】本発明の方法では、前記の菌を通常の微生
物が利用しうる栄養物を含有する培地で培養する。炭素
源としては、グルコース、水飴、デキストリン、シュク
ロース、でんぷん、糖蜜、動・植物油等を使用できる。
また、窒素源としては、大豆粉、小麦、小麦胚芽、コー
ンスティープ・リカー、綿実かす、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素
等を利用できる。その他、必要に応じ、ナトリウム、コ
バルト、塩素、硫酸、燐酸、及びその他のイオンを生成
することのできる無機塩類を添加することは有効であ
る。また、菌の生育を助け、生理活性物質ベナスタチン
C、Dの生産を促進するような有機及び無機物を適当に
添加することができる。
【0036】培養法としては、好気的条件での培養法、
特に深部培養法が適している。培養に適当な温度は15
〜37℃であるが、多くの場合、26〜30℃付近で培
養する。生理活性物質ベナスタチンC、Dの生産は培地
や培養条件により異なるが、振盪培養、タンク培養とも
通常1〜10日の間でその蓄積が最高に達する。培養物
中の生理活性物質ベナスタチンC、Dの蓄積量が最高に
なった時に、培養を停止し、培養液から目的物質を単離
精製する。
【0037】本発明によって得られるベナスタチンC、
Dの培養液からの採取にあたっては、その形状を利用し
た通常の分離手段を適宜組み合わせて抽出して精製する
ことができる。ベナスタチンC、Dは培養濾液及び菌体
の両方に存在する。培養濾液よりは、酢酸エチル等の水
不混和性の有機溶媒で抽出できる。菌体よりは、メタノ
ール、アセトン等の有機溶剤で抽出後、抽出液を減圧濃
縮し、培養濾液と同様の方法で更に溶媒抽出することが
できる。上述の方法に加え、脂溶性物質の採取に用いら
れる公知の方法、例えば吸着クロマトグラフィー、ゲル
濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーより
のかき取り、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み
合わせ、あるいは繰り返すことによってベナスタチン
C、Dを純粋に単離することができる。
【0038】本発明の第3の発明は、ベナスタチンC、
Dを有効成分とする免疫調節剤である。ベナスタチンC
は以下の試験例に示すようにリンパ球幼若化反応におい
て低濃度(例えば約7μg/ml以下)では免疫賦活作
用を示し、高濃度(例えば約12μg/ml以上)では
免疫抑制作用を示す。しかもこの化合物は毒性を示さな
い。したがって、ベナスタチンC、Dは免疫調節剤とし
て極めて有用である。特にベナスタチンCの低濃度での
免疫賦活作用は強く、免疫賦活剤として期待される。ベ
ナスタチンC、Dは、通常、経口投与あるいは静脈、皮
内、筋肉内投与などの非経口投与によって投与すること
ができる。投与量は投与する対象、投与ルートなどによ
って変動するが0.05〜150mg/kg/日程度、
通常0.5〜100mg/kg/日、好ましくは1〜5
0mg/kg/日である。
【0039】投与する際の製剤としては慣用的に用いら
れている剤形が挙げられる。経口投与の場合には、デン
プンなどの通常の賦形剤などともに成型された錠剤、顆
粒剤、カプセル剤などが用いられる。非経口投与の場合
には生理食塩水、溶解剤などを用いて成型された通常の
注射剤などが用いられる。
【0040】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明で
は新規な生理活性物質ベナスタチンC、Dが提供され、
この化合物は免疫調節作用を有する。したがって、免疫
調節剤として極めて有用である。またベナスタチンDは
主としてグラム陽性細菌に対して抗菌活性をも有し、抗
菌剤としても有用である。
【0041】
【実施例】次に実施例によって本発明のベナスタチンC
の製造例および製剤例を示す。なおベナスタチンDはベ
ナスタチンCに準じて製造される。実施例1 種培地として、ガラクトース2.0%、デキストリン
2.0%、バクトーソイトン(登録商標)(ディフコ社
製)1.0%、コーンスティープ・リカー(イワキ社
製)0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、炭酸カルシ
ウム0.2%、消泡剤としてシリコンKM−70(信越
化学社製):大豆油(局法)(1:1)の混液0.05
%を含む培地を用いた。なお、殺菌前の培地はpH7.
4に調整して使用した。
【0042】500ml容三角フラスコに110mlを
分注した前記種培地を120℃で20分間滅菌し、これ
にストレプトミセス・エスピーMI384−DF12株
(FERM BP−3228)の斜面培養の1〜2白金
耳を接種し、30℃、180回転/分の回転式振盪機に
て3日間培養し種培養とした。ついで生産培地としてグ
リセリン2.0%、エスサンミート(味の素社製)1.
5%、燐酸水素二カリウム0.1%、塩化コバルト六水
塩0.0005%を含む培地(pH6.2、1M燐酸−
カリウムで調整)を500ml容三角フラスコに110
mlずつ分注し、120℃で20分間滅菌し、前記種培
養液2mlずつを移植し、27℃で4日間振盪培養し
た。培養終了後、培養液を濾過し培養濾液と菌体に分別
した。
【0043】培養濾液30リットルに酢酸エチル30リ
ットルを加え、よく攪拌して有効成分を抽出し、これを
濃縮して赤色の粗物質13.32gを得た。この粗物質
をメタノール40mlに溶解し、シラナイズドシリカゲ
ル(メルク社製、Art.7719)40gを加えて減
圧下に濃縮乾固した。次に、これを40%メタノールで
懸濁後、あらかじめ40%メタノールで充填したシラナ
イズドシリカゲル500mlのカラムにかけ、有効成分
を40%メタノール〜100%メタノールの直線的濃度
勾配溶出法により溶出し、濃縮乾固して赤色の粗物質
6.36gを得た。
【0044】この粗物質をメタノール20mlに溶解
し、YMC−GEL(ODS−A60−200/60、
山村化学研究所社製)20gを加えて濃縮乾固した。次
に、これを40%メタノールで懸濁後、あらかじめ40
%メタノールで充填したYMG−GEL 500mlの
カラムにかけ、有効成分を40%メタノール〜100%
メタノールの直線的濃度勾配溶出法により溶出し、濃縮
乾固して褐色の粉末3.29gを得た。この粉末をメタ
ノール20mlに溶解し、シリカゲル60(メルク社
製、Art.7734)20gを加えて濃縮乾固した。
次に、これをクロロホルムで懸濁後、あらかじめ同溶液
で充填したシリカゲル60 400mlのカラムにか
け、同溶媒で洗浄した。続いて、有効成分をクロロホル
ム:メタノール(95:5)で溶出し、濃縮乾固して黄
色の粉末1.35gを得た。次に、この粉末をあらかじ
め酢酸を1%含有する78%アセトニトリルで平衡化し
た高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用カラム
(資生堂社製、カプセルパツクC18、20Φ×250m
m、流速8ml/min)へ通し、前記平衡液で溶出
し、得られた活性画分を濃縮乾固することにより、純粋
なベナスタチンCの黄色粉末を2.86mg得た。
【0045】純粋なベナスタチンCを用いて、紫外線吸
収スペクトル、赤外線吸収スペクトル、水素核核磁気共
鳴スペクトル及び炭素核核磁気共鳴スペクトルを測定し
た。これらのスペクトルは図1、図2、図3及び図4に
示した通りである。ベナスタチンCの培養工程ならびに
精製工程中での追跡は、免疫調節活性の測定に基づいて
行った。その方法は、後述する試験例で示す免疫調節活
性の測定法と同様の方法を用いた。
【0046】実施例2 ベナスタチンC、30重量部、結晶乳糖120部、結晶
セルロース147部及びステアリン酸マグネシウム3部
をV型混合機で打錠し、1錠300mgの錠剤を得た。
【0047】
【試験例】以下に、ベナスタチンCが免疫調節活性を有
し、且つ毒性を示さないことを試験例により示す。試験例1 ベナスタチンCのリンパ球幼若化反応における免疫調節
活性 リンバ球幼若化反応に対するベナスタチンCの調節効果
の試験法は次の通りである。培養には20%牛胎児血
清、25mM Hepes buffer、100μg
/mlのストレプトマイシン及び100単位/mlのペ
ニシリンGを添加したRPMI 1640培地を用い
た。培養は96穴の平底マイクロプレート(COSTA
R)で行った。マイトジェンは、リポポリサッカライド
(LPS)とコンカナバリンA(Con A)をそれぞ
れ最終濃度100、5μg/mlで用いた。
【0048】脾臓細胞は、BALB/cマウス(雌性、
>20周齢)から脾臓を取り出し単細胞浮遊液を作り、
ハイパーショック(hyper shock)で赤血球
を除去し、LPS用にはこれをそのまま用いて調整し、
Con A用にはT細胞分離用NYlon Fiber
(和光純薬)を通して調整した。各ウエルに2×10 5
個の脾細胞と、それぞれの希釈濃度の被験化合物を加え
総量0.2mlとし、これを72時間培養した。培養終
了の8時間前にウエル当たり37KBqの〔3H〕−チ
ミジンを添加し、その細胞内への取り込み量を測定し
た。効果の判定は、それぞれの被験化合物添加群の対照
に対する〔3 H〕−チミジンの取り込み量の比率によっ
た(日本免疫学会編、免疫実験操作法、第2267〜2
276頁)。ベナスタチンCのマウスのリンパ球幼若化
反応に対する作用を第1表に示した。ベナスタチンCは
LPS,Con Aによるリンパ球幼若化反応を低濃度
において非常に強く促進した。また、12.5μg/m
l以上では強く抑制した。
【0049】
【表1】 第 1 表 LPS及びCon Aによるマウスリンパ球幼若化反応 におけるベナスタチンCの作用 濃 度 作用指数(%) サンプル (μg/ml) LPS Con A コントロール 100 100 ベナスタチンC 3.13 569.1 942.2 6.25 314.5 257.6 12.5 12.6 6.5 25 0.6 0.3 #P<0.05vsコントロール
【図面の簡単な説明】
【図1】ベナスタチンCの10μm/mlエタノール溶
液の紫外線吸収スペクトル。
【図2】ベナスタチンCの臭化カリウム錠内での赤外線
吸収スペクトル。
【図3】ベナスタチンCの重メタノール中で測定した4
00MHz水素核磁気共鳴スペクトル。
【図4】ベナスタチンCの重メタノール中で測定した1
00MHz炭素核磁気共鳴スペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 雅 東京都新宿区内藤町1−26 (72)発明者 村岡 靖彦 東京都板橋区高島平3−11−2−1107 (72)発明者 青山 貴之 東京都北区志茂3丁目17番2−302号 (72)発明者 山崎 忠雄 埼玉県浦和市上大久保843−7 (72)発明者 冨田 勝久 東京都北区志茂3−5−7 (72)発明者 小川 裕 埼玉県南埼玉郡白岡町西7−1−49 (72)発明者 安部 史紀 東京都北区志茂3−29−15 (72)発明者 嶋田 信義 東京都北区志茂2−9−10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 〔式中Rは−CH=CH−(ベナスタチンC)または−
    CH2 −CH2 −(ベナスタチンD)を示す。〕で表さ
    れる化合物であることを特徴とする生理活性物質ベナス
    タチンC、D。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属するベナスタチ
    ンC、D生産菌を栄養培地中で培養し、その培養物から
    ベナスタチンC、Dを採取することを特徴とする、生産
    活性物質ベナスタチンC、Dの製造法。
  3. 【請求項3】 ベナスタチンC、Dを有効成分とする免
    疫調節剤。
JP4338791A 1991-03-08 1991-03-08 新規生理活性物質ベナスタチンc、d、その製造法およびその用途 Pending JPH06166656A (ja)

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