JPH0616609Y2 - 複針ミシンの針棒高さ調節装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は複数の針が固定された針棒を有するミシンに
関し、特にその針棒の高さ調節装置に関する。

［従来技術］ 従来の２本針ミシンにおいては、針棒は針棒抱きにより
抱持されており、その針棒抱きは主軸と共に回転される
針棒クランクにクランクロッドを介して連結されてお
り、その主軸の回転運動が針棒の上下運動に変換される
ように構成されている。この針棒は前記針棒抱きに対し
て針棒の軸線に沿う上下移動及び前記軸線を中心とする
回転運動可能に固定されている。この針棒の下端には２
本の針が針抱きを介して固定されており、その２本の針
の各々に対してベッド内に糸輪捕捉器が設けられてい
る。

［考案が解決しようとする問題点］ 前記したミシンの組立ての際には良好な縫目を形成でき
るように針と糸輪捕捉器（釜若しくはルーパー）との出
合いを調節しなければならない。この出合い調節のため
に、作業者は針棒抱きの締付ねじをゆるめて針棒を上下
動及び回転可能な状態とし、針棒の上下位置と回転位置
とを調節し、再び該ねじを締付けて針棒を固定すればよ
い。ところが、このような出合い調節を行なう時、針棒
が自由に回転できる状態にあり、しかも針棒の下端には
２本の針が固定されているので釜の剣先やルーパーに各
々の針が衝突しないように針棒の上下位置を決定し、且
つ回転位置をも同時に決定して出合い調節を行なうこと
は難しく、作業者に高度の熟練が要求された。

［考案の目的］ 本考案は前述の問題点を解決するためになされたもので
あり、その目的は針と糸輪捕捉器との出合い調節が容易
な複針ミシンの針棒高さ調節装置を提供するにある。

［問題点を解決するための手段及びその作用］ 本考案は、針棒抱きの上方若しくは下方において針棒上
に上下移動可能に挿通された係合体が設けられるととも
に、その係合体を針棒抱きに対して上方若しくは下方よ
り当接させた位置に適宜固定することができる固定手段
が備えられている。従って、作業者は最初に針棒の上下
位置のみを調節して針棒を針棒抱きに固定し、次いで係
合体を移動させて針棒抱きに当接させた位置に固定手段
によって針棒に固定し、次に針棒抱きの締付ねじをゆる
めて再び針棒を解放し、その状態で係合体を針棒抱きに
当接させながら針棒を回転調節して各々の針が糸輪捕捉
器に対して適正な間隔を保ち衝突しないように調節すれ
ばよい。この回転調節に際し、作業者は、係合体を針棒
抱きに当接させながら針棒を回転させることで、針棒の
高さを変化させることなく所定の高さ位置を保持したま
ま回転調節を行なうことができるため、針棒の上下位置
及び回転位置を同時に調節するというむずかしい操作は
要求されず、熟練者でなくとも容易かつ迅速に出合い調
節を行なうことができる。

［実施例］ 以下に本考案を具体化した一実施例を参照してその詳細
を説明する。

図において、ミシンのアーム（図示せず）には回転され
る主軸１が設けられており、この主軸１の端部には針棒
クランク２がねじ止めされている。この針棒クランク２
にはクランクロッド３が一端においてピン４により軸支
されており、そのクランクロッド３の他端には針棒抱き
５の軸部が回転可能に挿通されている。針棒抱き５の軸
部には、前記クランクロッド３を挾む位置にコマ６が固
定されており、このコマ６はアーム内に固定された案内
板７の案内溝８に対し摺動可能に嵌合されている。この
案内溝８は一垂直軸線に沿って上下に延びており、前記
針棒抱き５は前記主軸１の回転運動に伴い案内溝８に沿
って上下往復動される。前記針棒抱き５には一垂直軸線
に沿って貫通孔９が穿設されており、この貫通孔９を針
棒１０が上下移動且つ回転可能に挿通されている。この
針棒１０はミシンのアームの上壁部及び底壁部にそれぞ
れ固定された針棒メタル１１に挿通されており、針棒１
０の下端には針抱き１２がねじ込まれており、その針抱
き１２には２本の針１３がそれぞれ着脱可能に取付けら
れている。一方、前記針棒抱き５は、貫通孔９の内周面
から外界に延びる切割溝が穿設されており、締付ねじ１
４を締付けることにより前記針棒１０を固定し、該ねじ
１４をゆるめることにより固定された針棒１０を解放す
るようになっている。前記針棒１０には係合体１５が挿
通されており、この係合体１５は前記針棒抱き５の上端
面に当接した状態にて針棒１０にねじ（固定手段）１６
により固定されている。このねじ１６をゆるめることに
より係合体１５は針棒１０上を移動可能である。また、
ミシンのベッド（図示せず）内には前記針１３の各々に
対して釜（図示せず）が配設されており、針１３と協働
して本縫縫目を加工布に形成可能である。

次にその作用を説明する。

針１３と釜の剣先との高さの調節を行なうに際し、作業
者はまず、締付ねじ１４をゆるめて針棒１０を針棒抱き
５から解放すると共にねじ１６をゆるめる。

次に作業者は針１３と剣先とが最適の出合いとなるよう
に針棒１０の高さを調節して締付ねじ１４を締付けて針
棒１０を針棒抱き５に固定する。

次に作業者は係合体１５を針棒抱き５の上端面に当接さ
せた状態でねじ１６を締付けて固定する。

そして作業者は締付ねじ１４をゆるめて針棒１０を解放
し、各々の針１３と剣先とが最適の間隔を保って位置す
るように針棒１０を回動させる。この時、係合体１５が
針棒抱き５に当接しているのて、針棒１０の高さは変化
しない。

そして作業者は締付ねじ１４を再び締付けることにより
針１３と剣先との出合いの調節作業は終了する。

本考案は前述の実施例に限定されるものではなく、例え
ば係合体１５を針棒抱き５の下方に配置させてもよい。
また２本針ミシン以外の複数本の針を有するミシンに採
用することも可能である。

［考案の効果］ 本考案は以上説明したように、針棒抱きの上方若しくは
下方において針棒上に上下移動可能に挿通された係合体
を設けるとともに、その係合体を針棒抱きに対して上方
若しくは下方より当接させた位置に適宜固定することが
できる固定手段を備えたものである。従って、針と糸輪
捕捉器との出合い調節を行なうに際し、前記係合体と固
定手段とを利用することにより、たとえ熟練者でなくと
も容易かつ迅速に針棒の高さ調節を行なうことができる
とともに、そのための構成も至って簡単であって、安価
に制作できる等、実用上優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を具体化した一実施例の針棒機構を分解し
て示す斜視図である。 ２は針棒クランク、３はクランクロッド、５は針棒抱
き、１０は針棒、１３は針、１４は締付ねじ、１５は係
合体、１６はねじ（固定手段）である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の針（１３）が固定され、針棒クラン
   ク（２）に針棒抱き（５）を介して連結された針棒（１
   ０）を有し、その針棒（１０）が前記針棒抱き（５）の
   貫通孔（９）に上下動且つ回転可能に挿通され、締付ね
   じ（１４）を締付けることによって一体的に固定された
   複針ミシンにおいて、 前記針棒抱き（５）の上方若しくは下方において前記針
   棒（１０）上に上下移動可能に挿通された係合体（１
   ５）を設けるとともに、その係合体（１５）を前記針棒
   抱き（５）に対して上方若しくは下方より当接させた位
   置に適宜固定することができる固定手段（１６）を備え
   たことを特徴とする複針ミシンの針棒高さ調節装置。