JPH06158340A - 鉄心の加工性が優れ、磁気特性の良好な方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は方向性電磁鋼板を用いたトランス用
鉄心の加工において、巻加工、焼鈍時耐焼付性が良好
で、磁気特性の良好な方向性電磁鋼板およびその製造方
法を提供する。 【構成】 方向性電磁鋼板の表面が、仕上焼鈍時に形成
されたＭｇＯ、ＳｉＯ₂を主成分とするフォルステライ
トおよびスピネルからなるグラス皮膜とその上に形成さ
れた絶縁皮膜剤によって構成され、鋼板表面粗度がＲａ
値で０．１０〜０．４５μｍで、且つこれによって鋼板
表面の摩擦係数が０．６以下、皮膜張力が板厚１２ｍｉ
ｌ値で０．６ｋｇ／ｍｍ² 以上に制御された鉄心の加工
性が優れ、磁気特性の良好な方向性電磁鋼板とその製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は特定の表面粗さをグラス
皮膜と絶縁皮膜により制御された方向性電磁鋼板に関わ
り、特に鉄心巻加工における作業性、歪取焼鈍時の耐焼
付性が良好で磁気特性の良好な方向性電磁鋼板とその製
造方法に関わる。

【０００２】

【従来の技術】方向性電磁鋼板はＳｉを、例えば２〜４
％含有する珪素鋼スラブを熱間圧延し、焼鈍した後、１
回或は中間焼鈍を挟む２回以上の冷間圧延を施して最終
板厚とし、次いで脱炭焼鈍した後、ＭｇＯを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を施してゴス方位
をもつ二次再結晶粒を発達させ、さらにＳ、Ｎ等の不純
物を除去するとともにグラス皮膜を形成し、次いで絶縁
皮膜用のコーティング液を塗布し、焼付処理を施して絶
縁皮膜を形成して最終製品とするプロセスによって製造
される。

【０００３】こうして得られる方向性電磁鋼板は、主と
して電気機器、トランス等の鉄心材料として使用され、
磁束密度が高く鉄損値が低いものであることが要求され
る。一方、方向性電磁鋼板がトランスの鉄心として用い
られる場合、方向性電磁鋼板のフープは連続的に巻き解
かれながら剪断機で所定長さに切断された後、鉄心加工
機によって順次巻き重ね或は積み重ねられて巻鉄心や積
み鉄心とされる。巻鉄心の場合には圧縮成型、歪取焼鈍
を経てレーシングと呼ばれる巻線作業を行ってトランス
とされる。

【０００４】この鉄心製造過程においては、例えば巻鉄
心の場合、巻加工、成型作業が円滑に行え、成型後の鋼
板端面やラップ部に凹凸を生ぜず、形状が優れているこ
と、ならびに鋼板表面の潤滑性が良好であることが必要
である。また、歪取焼鈍時に鋼板の表面皮膜相互間で焼
付きがなく、レーシング作業がスムーズに行えること
が、鉄心加工能率の向上或は焼付きによる歪の誘起や皮
膜性能の劣化を防止するという観点から重要である。こ
れらの問題に対しては、方向性電磁鋼板表面の絶縁皮膜
の性状が大きく影響するところから、歪取焼鈍時に鋼板
の表面皮膜相互間で焼付きがなく、レーシング作業がス
ムーズに行える絶縁皮膜を開発することが、加工性の観
点からのみならず、トランスの磁気特性を向上せしめる
上からも強く望まれている。

【０００５】このようなトランスの鉄心加工性を向上さ
せるための手段として、絶縁皮膜形成時の塗布剤の改良
がなされている。特開昭６１−４７７３号公報には、コ
ーティング剤として第１燐酸塩に粒子径８ｍμｍ以下の
超微粒子コロイド状シリカ、クロム酸、クロム酸塩の１
種又は２種以上からなる混合液を仕上焼鈍後の鋼板（ス
トリップ）に塗布し、焼付処理することにより、鋼板表
面に形成する絶縁皮膜のすべり性を改善する技術が開示
されている。

【０００６】又、特開平３−２０７８６８号公報には同
じく本発明者等による絶縁皮膜の特性改善技術として、
粒径５０ｎｍ以下のコロイド状シリカ５０〜９８重量部
（ＳｉＯ₂ として）とＡｌ、Ｍｇ、Ｃａ、Ｚｎから選ば
れるリン酸塩の１種又は２種以上１３０〜２５０重量部
とクロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩の１種又は２種
以上１０〜４０重量部とに、Ｆｅ、Ｃａ、Ｂａ、Ｚｎ、
Ａｌ、Ｎｉ、Ｓｎ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｃｄ、Ｎｂ、Ｍｎ、Ｍ
ｏ、Ｓｉ、Ｔｉ、Ｗ、Ｂｉ、Ｓｒ、Ｖからなる酸化物、
炭化物、窒化物、硫化物、硼化物、水酸化物、けい酸
塩、炭酸塩、硼酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物のコロイ
ド溶液として、その粒子径が８０〜３０００ｎｍの溶液
の１種又は２種以上を２〜５０重量部添加した処理剤を
塗布し、焼付処理することを特徴とする鉄心の加工性、
耐熱性および張力付与性の優れた方向性電磁鋼板の絶縁
皮膜形成方法が提案されている。これにより表面絶縁皮
膜の潤滑性等が大幅に改善されている。近年では、これ
らの絶縁皮膜剤の改善によって方向性電磁鋼板の鉄損、
磁気ひずみ、絶縁特性とともに潤滑性が改善されて来て
おり、それなりの効果が得られている。

【０００７】しかし、方向性電磁鋼板を用いてトランス
を製造するメーカーにおいては、鉄心に加工する際の巻
加工機の高速自動化や焼鈍条件の改善が進み、前記改善
された絶縁皮膜剤を以てする以上に加工上のトラブルの
排除や磁気特性面での一層の改善が望まれているのが実
情である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は方向性電磁鋼
板の皮膜特性として表面皮膜の滑り性、耐熱性および皮
膜張力が優れ、トランス鉄心加工時における巻加工、レ
ーシング作業性から良好で、更に磁気特性の優れる方向
性電磁鋼板とその製造方法を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく、方向性電磁鋼板製造時におけるグラス皮膜
の性状制御法と絶縁皮膜剤の形成条件について種々検討
した。その結果、まず第１にグラス皮膜の形成過程にお
いて焼鈍分離剤として、微粒子ＭｇＯに、粒子径５０〜
１０００ｎｍのＡｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｓｉ、Ｓｎ、
Ｃａ、Ｃｕの酸化物、水酸化物粉体、スピネル状物質粉
体およびこれらのゾル状物質の１種又は２種以上を添加
してスラリーを調整し、鋼板に塗布して仕上焼鈍するこ
とにより、グラス皮膜の形成性が向上し、且つグラス皮
膜の表面が前記粒径制御した化合物によって微細なうね
りが生じて粗度が適正に制御されることを知見した。第
２に絶縁皮膜剤としてグラス皮膜形成後の鋼板にＳｉ、
Ａｌ、Ｚｒ、Ｓｎ、Ｃｕの酸化物のコロイド状物質を主
成分とし、リン酸、リン酸塩、クロム酸、クロム酸塩、
ホウ酸、ホウ酸塩等を添加した溶液を塗布し、焼付処理
することにより、鋼板表面粗度がＲａ値で０．１０〜
０．４５μｍに制御され、表面皮膜の滑り性、耐熱性が
良好で、且つグラス皮膜と絶縁皮膜剤によって生じる張
力が板厚１２ｍｉｌ値で０．６ｋｇ／ｍｍ² 以上と優
れ、鉄損特性が優れることを知見した。この二つの技術
による表面性状の改質により、従来技術に比較して、安
定して良好な皮膜特性と磁気特性が得られることを見出
した。

【００１０】次に本発明における皮膜形成方法について
述べる。本発明においては、方向性電磁鋼板用素材を公
知の方法で熱延、熱延板焼鈍、冷延することにより最終
板厚とした冷延鋼板を出発材とする。この冷延鋼板を連
続炉中でＮ₂ ＋Ｈ₂ 雰囲気中で温度、均熱時間、露点等
を制御して脱炭焼鈍し、鋼板中のＣ除去と同時に鋼板表
面にＳｉＯ₂ 主体の酸化膜を形成する。脱炭焼鈍におけ
るこれらの条件は鋼成分、板厚等の条件に応じて決めら
れる。

【００１１】この鋼板上に、ＭｇＯ１００重量部に対
し、粒子径５０〜１０００ｎｍのＡｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｚ
ｒ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ｃａ、Ｃｕの酸化物、水酸化物粉体、
スピネル状物質粉体およびこれらのゾル状物質の１種又
は２種以上を０．５〜１０重量部添加してスラリー状と
したものを焼鈍分離剤として塗布し、乾燥してコイルに
巻取る。その際の焼鈍分離剤には、鋼板成分等によって
更にグラス皮膜形成促進剤を必要とする場合には、Ｂ化
合物、Ｓ化合物等を添加してもよい。

【００１２】次いで仕上焼鈍として１１５０〜１２５０
℃で２０時間程度の焼鈍をＮ₂ 、Ｈ ₂ 等の雰囲気を用い
て行い、二次再結晶を生成させると共に、鋼板表面へ通
常グラス皮膜と呼ぶフォルステライト（Ｍｇ₂ Ｓｉ
Ｏ₄ ）主体の皮膜を形成させる。その際のグラス皮膜の
量、組成、表面状態が前記の本発明の添加剤によって影
響を受ける。

【００１３】このようにして得られた鋼板上に、絶縁皮
膜剤として、Ａｌ、Ｓｉ、Ｚｒ、Ｓｎ、Ｃｕの酸化物の
コロイド状物質１００重量部に対し、リン酸、リン酸
塩、クロム酸、クロム酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩の１種又
は２種以上１０〜３００重量部を配合した溶液を連続ラ
イン中で塗布し、張力下で８００〜９００℃で焼付処理
を行う。このグラス皮膜形成処理から絶縁処理を行う過
程において、本発明では鋼板表面に微細なうねりを持
つ、滑り性の良い均一な高張力皮膜が形成され、鉄心の
巻加工、レーシング作業性等の良い、磁気特性の良好な
方向性電磁鋼板が得られる。

【００１４】次に、本発明における諸条件の限定理由を
述べる。本発明の方向性電磁鋼板の表面粗さはＲａ値で
０．１０〜０．４５μｍである。０．１０μｍ未満で
は、本発明のグラス皮膜や絶縁皮膜の形成条件をもって
しても歪取焼鈍における耐焼付性や滑り性等の改善効果
が得られない。一方、０．４５μｍ超では、耐焼付性や
滑り性等は良好であるが、占積率が低下するため、磁気
特性の面で問題が生じる。又、皮膜表面の滑り性は摩擦
係数（以下ＦＦ値と略記）で０．６以下である。ＦＦ値
は、図１に示すように３枚重ねた鋼板に一定の荷重を載
せ、中央の鋼板を引張り、荷重と引張り力の関係から求
めた。ＦＦ値が０．６超では巻加工、レーシング時の作
業性にバラツキが生じる。０．６以下であれば、これら
の作業性は良好である。又、製品の皮膜張力は板厚１２
ｍｉｌ値で０．６ｋｇ／ｍｍ² 以上である。グラス皮膜
と絶縁皮膜により鋼板に付与される張力は鉄損改善に重
要で、特に高磁束密度材の場合に効果が大きい。０．６
ｋｇ／ｍｍ² 未満では良好な鉄損特性が得られ難い。本
発明の方法によれば、表面粗さ、ＦＦ値、皮膜張力等が
良好域に制御できる。

【００１５】焼鈍分離剤の組成は、ＭｇＯ１００重量部
に対し、粒子径５０〜１０００ｎｍのＡｌ、Ｍｇ、Ｔ
ｉ、Ｚｒ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ｃａ、Ｃｕの酸化物、水酸化物
粉体、スピネル状物質粉体およびこれらのゾル状物質の
１種又は２種以上を０．５〜１０重量部とする。これら
の添加剤により、グラス皮膜の形成が促進され、均一化
する。グラス皮膜形成過程においては、これら添加剤は
一部又は全量が脱炭時に形成した酸化膜に拡散して、グ
ラス皮膜化したり反応促進の作用をする。これにより、
グラス皮膜の表面は微細なうねりをもつ表面が得られ、
表面粗さの制御された高張力のグラス皮膜層が得られ
る。

【００１６】添加剤は前記元素の酸化物、水酸化物粉
体、スピネル状物質の粉体およびこれらのゾル状の物質
が添加される。スピネル状物質としては、例えば（Ａｌ
₂ Ｏ₃）_m （ＭｇＯ）_n 、（ＭｇＯ）_m （Ｓｉ
Ｏ₂ ）_n 、（Ａｌ₂ Ｏ₃ ）_m （ＴｉＯ₂）_n 、（Ｍｇ
Ｏ）_m （ＴｉＯ₂ ）_n 、（ＺｒＯ）_m （Ａｌ
₂ Ｏ₃ ）_n 、（ＭｇＯ）_m （ＣｕＯ）_n のようなものが
用いられる。添加量はＭｇＯ１００重量部に対し、酸化
物、水酸化物粉体、スピネル状物質粉体の１種又は２種
以上として０．５〜１０重量部である。０．５重量部未
満ではグラス皮膜の均一化、形成促進効果等が得られ
ず、１０重量部超では素材成分等によっては過酸化現象
を生じるため好ましくない。最も好ましい範囲は２〜７
重量部であり、この範囲では良好なグラス皮膜と表面性
状が得られる。

【００１７】これらの添加剤の粒子径としては５０〜１
０００ｎｍである。５０ｎｍ未満では反応性向上の面で
は有効であるが、グラス皮膜の表面形状の面でやや劣
り、又製造コストの面で不利である。一方、１０００ｎ
ｍ超であるとグラス皮膜形成反応の促進効果が減少した
り、表面に異物状となって残留したり、添加剤の形態に
よってはスラリー中での沈降の問題があるため制限され
る。

【００１８】絶縁皮膜形成剤の組成としては、Ａｌ、Ｓ
ｉ、Ｚｒ、Ｓｎ、Ｃｕ等の酸化物のコロイド状物質１０
０重量部に対し、リン酸、リン酸塩、クロム酸、クロム
酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩の１種又は２種以上１０〜３０
０重量部とする。Ａｌ、Ｓｉ、Ｚｒ、Ｓｎ、Ｃｕ等の酸
化物のコロイド状物質としては、少なくともＡｌ、Ｓ
ｉ、Ｚｒの酸化物ゾルを８０％以上含有するのが好まし
い。これは絶縁皮膜の張力を得るためにコロイドの性質
が重要だからである。添加されるリン酸、リン酸塩、ク
ロム酸、クロム酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩はコロイド状物
質１００重量部に対し、１０〜３００重量部とする。１
０重量部未満では絶縁皮膜として鋼板に付着させるバイ
ンダーとしての作用が弱く、３００重量部超ではコロイ
ド状物質の安定性が低下したり、皮膜の耐熱性や吸湿性
等が悪化する。絶縁皮膜の張力効果を考慮すると、最も
好ましい範囲は１２５〜２５０重量部の範囲である。こ
の範囲であれば下地グラス皮膜の表面性状と前記コロイ
ド状物質の粒子形状とが適合して、滑り性のよい、又歪
取焼鈍での焼付きのない高張力の皮膜が得られる。

【００１９】

【実施例】

実施例１ 重量でＣ：０．０７５％、Ｓｉ：３．２５％、Ｍｎ：
０．０６５％、Ｓ：０．０２４％、酸可溶Ａｌ：０．０
３０％、Ｎ：０．００７５％、残部Ｆｅと不可避の不純
物からなる電磁鋼素材を公知の方法で熱延し、焼鈍し、
冷延して最終板厚０．２２５ｍｍの冷延鋼板とした。得
られた冷延鋼板を、次いでＮ₂ ２５％＋Ｈ ₂ ７５％、露
点：６５℃の雰囲気中で８５０℃×１２０秒間の脱炭焼
鈍し、焼鈍分離剤として表１に示すように粒子径を３０
０ｎｍに調整した酸化物を添加した焼鈍分離剤を塗布
し、１２００℃×２０ｈｒの最終仕上焼鈍を行い、グラ
ス皮膜を形成した。次いで連続ラインにおいて余剰Ｍｇ
Ｏの水洗と軽酸洗の後、絶縁皮膜剤としてコロイド状Ｓ
ｉＯ₂ ７０ｇ＋コロイド状ＺｒＯ₂ ２０ｇ＋コロイド状
Ｓｎ１０ｇ＋リン酸Ａｌ２００ｇ＋Ｈ₃ ＢＯ₃ １０ｇ＋
ＣｒＯ₃ ３０ｇからなる組成のコーティング剤を乾燥後
の重量で５ｇ／ｍ² になるように塗布し、８００℃×２
０秒間の焼付処理を行った。この最終製品の特性を表２
に示す。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

【００２２】この結果、本発明の酸化物粒子として３０
０ｎｍの粒子粉末を添加したものはいずれも表面形状と
して粗度が微細なうねりを生じ、ＦＦ値が良好で、張力
も向上する傾向が見られた。又、磁気特性も比較材に比
し、かなり改善する傾向が見られた。 実施例２ 実施例１と同一の電磁鋼素材を同様にして処理し、最終
板厚０．２９５ｍｍに冷延した。得られた冷延鋼板を、
Ｎ₂ ２５％＋Ｈ₂ ７５％、露点：６５℃の雰囲気中で８
５０℃×１５０秒間脱炭焼鈍した後、鋼板表面に焼鈍分
離剤として表３に示す粒子径を変更した酸化物、水酸化
物、スピネル状物質を添加したスラリーを塗布し、１２
００℃×２０ｈｒの仕上焼鈍を行い、グラス皮膜を形成
後、絶縁皮膜剤としてコロイド状シリカ１００ｇ＋リン
酸Ｍｇ１８０ｇ＋クロム酸２５ｇ＋Ｈ₃ ＢＯ₃ ２０ｇか
らなる組成のコーティング剤を焼付後の重量で５ｇ／ｍ
²になるように塗布し、８００℃×２０秒間の焼付処理
を行った。この製品の製品特性を表４に示す。

【００２３】

【表３】

【００２４】

【表４】

【００２５】この結果、本発明によるものは何れも仕上
焼鈍後のグラス皮膜が良好で、製品板においては、表面
の粗度が微細なうねりを形成し、ＦＦ値、皮膜張力、密
着性等何れも比較材に比べ良好な結果となった。また磁
気特性においても実施例１と同様に改善される傾向が見
られた。本発明によりグラス皮膜が優れた高張力皮膜が
形成され、表面粗さの適度なうねりと良好な滑り性が得
られるメカニズムとしては次のように考えられる。

【００２６】本発明で適用される焼鈍分離剤の添加され
るＡｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ｃａ、Ｃｕの
酸化物、水酸化物、スピネル状物質は粒子径を５０〜１
０００ｎｍに制御されたものである。これらの化合物は
鋼板面上に塗布された場合、仕上焼鈍昇温中にその粒子
周辺に優先的にフォルステライト形成の核を生じ、グラ
ス皮膜の成長を促進する。その際添加剤物質も一部はグ
ラス皮膜中に溶けこんだり、半溶融状態となってフォル
ステライトの表層部に存在する。この結果、グラス皮膜
表面に微細なうねりが生じることになるものと考えられ
る。この鋼板に本発明のようなコロイド状物質を主成分
とする絶縁皮膜剤を処理すると、この微細なうねりが絶
縁皮膜剤の塗布により表面がよりスムーズなうねりとな
って、形状効果と相まって非常に良好な滑り性と皮膜表
面の耐焼付性改善効果を生じるものと考えられる。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば仕上焼鈍過程でタイトで
微細なうねりをもったグラス皮膜が形成され、コロイド
状物質を主成分とする絶縁皮膜処理後に均一で適度な皮
膜の粗さをもつ高張力皮膜が得られる。この結果、滑り
性が良好で鉄心の加工性が良く、歪取焼鈍時の耐焼付性
が優れ、磁気特性の良好な製品が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ＦＦ値の測定方法を表す図である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面が仕上焼鈍時に形成されるＭｇＯ、
   ＳｉＯ₂ を主成分とするフォルスラライトおよびスピネ
   ルからなるグラス皮膜とその上に塗布された絶縁皮膜剤
   によって構成され、鋼板表面粗度がＲａ値で０．１０〜
   ０．４５μｍで、且つ鋼板表面の摩擦係数が０．６以
   下、皮膜張力が板厚１２ｍｉｌ値で０．６ｋｇ／ｍｍ²
   以上の鉄心の加工性が優れ、磁気特性の良好な方向性電
   磁鋼板。
2. 【請求項２】 方向性電磁鋼板素材を熱延し、焼鈍し、
   冷延して最終板厚とした冷延鋼板を、脱炭焼鈍した後、
   焼鈍分離剤として、ＭｇＯ中に粒子径５０〜１０００ｎ
   ｍのＡｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ｃａ、Ｃｕ
   の酸化物、水酸化物粉体、スピネル状物質粉体およびこ
   れらのゾル状物質の１種又は２種以上をベースＭｇＯ１
   ００重量部に対し０．５〜１０重量部添加したスラリー
   を塗布し、乾燥し、仕上焼鈍し、フォルステライトを主
   成分とするグラス皮膜を形成後、絶縁皮膜剤を塗布する
   ことを特徴とする鉄心の加工性が優れ、磁気特性の良好
   な方向性電磁鋼板の製造方法。
3. 【請求項３】 方向性電磁鋼板素材を熱延し、焼鈍し、
   冷延して最終板厚とした冷延鋼板を、脱炭焼鈍した後、
   焼鈍分離剤として、ＭｇＯ中に粒子径５０〜１０００ｎ
   ｍのＡｌ、Ｍｇ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ｃａ、Ｃｕ
   の酸化物、水酸化物粉体、スピネル状物質粉体およびこ
   れらのゾル状物質の１種又は２種以上をベースＭｇＯ１
   ００重量部に対し０．５〜１０重量部添加したスラリー
   を塗布し、乾燥し、仕上焼鈍し、かくして得られた鋼板
   上に、Ａｌ、Ｓｉ、Ｚｒ、Ｓｎ、Ｃｕの酸化物のコロイ
   ド状物質１００重量部に対し、リン酸、リン酸塩、ホウ
   酸、ホウ酸塩、クロム酸、クロム酸塩の１種又は２種以
   上１０〜３００重量部を添加した絶縁皮膜剤を塗布し、
   焼付処理することを特徴とする鉄心の加工性が優れ、磁
   気特性の良好な方向性電磁鋼板の製造方法。