JP2762105B2 - 鉄損特性の良い高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

鉄損特性の良い高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電気機器の鉄心として用いられる鉄損が良
く、かつ高磁束密度である一方向性電磁鋼板の製造方法
に関する。
(従来の技術) 一方向性電磁鋼板は鋼板面が{110}面で、圧延方向
に<100>軸を有するいわゆるゴス方位(ミラー指数で
{110}<001>方位と表す)を持つ結晶粒から構成され
ており、軟磁性材料として変圧器および回転機の鉄心に
使用される。この鋼板は磁気特性として磁化特性と鉄損
特性が良好でなければならない。磁化特性の良否は、か
けられた一定の磁場の下で鉄心内に誘起される磁束密度
で決まり、磁束密度の高い製品を用いると鉄心を小型化
出来る。磁束密度の高い製品は結晶粒の方位を{110}
<001>に高度に揃えることによって得られる。鉄損は
鉄心に所定の交流磁場を与えた時に熱エネルギーとして
消費される電力損失であり、その良否に対して磁束密
度、板厚、鋼中の不純物量、比抵抗、結晶粒度等が影響
する。最近では、一層の低鉄損を達成するために、二次
再結晶完了後の成品表面に磁区細分化を狙って、種々の
処理が行われている。例えば和田らは特開昭61−96036
号公報に侵入元素処理による非磁性体の異物形成の技
術、小林らは特開昭62−67114号公報でロールによる溝
形成の技術を開示した。これらの方法は、いずれも追加
工程が必要であり、製造コストが高くなる。その他、通
常行われる製造工程の中に磁区細分化の作用をもたらす
処理を組み込む事も行われているが、必ずしも鉄損減少
に対し満足出来る方法は確立されていない。
磁束密度の高い製品は、電気機器の鉄心を小さく出来
ると共に、鉄損も低くなるので望ましい。特に磁区細分
化処理を行った場合の鉄損減少効果が磁束密度の高いほ
ど大きいので望ましい。したがって、当該分野では出来
る限り磁束密度の高い製品を、低コストで製造する方法
の開発が課題となっている。ところで、一方向性電磁鋼
板は熱延と冷延により最終板厚になった鋼板を仕上高温
焼鈍することにより、{110}<001>方位を有する一次
再結晶粒が選択成長するいわゆる二次再結晶によって得
られる。二次再結晶を生じさせるには二次再結晶前の鋼
板中に微細な析出物、例えばMnS,AlN等、を存在させる
ことにより仕上高温焼鈍中の{110}<001>方位粒以外
の粒成長を抑える(インヒビター効果)必要がある。従
って、当該分野の研究開発の視点は、いかなる種類の析
出物を用いて二次再結晶を生じさせるか、そして正確な
{110}<001>方位粒の存在割合を高めるために、適切
な析出物の分布状態をいかに達成するかにある。代表製
造技術として、N.F.Littmannは特公昭30−3651号公報
に、又J.E.MayおよびD.TurnbullはTtran.Met.Soc.AIME2
12(1958)P769/781にMnSを、田口らは特公昭33−4710
号公報にAlNとMnSを、今中らは特公昭51−13469号公報
にMnSe(S),Sbを、H.F.FiedlerはUSP No.3905843にS,
N,Bの組合せを開示している。一方、菅らは特公昭61−6
0896号公報、小松らは特公昭62−45285号公報で、上記
切技術で採用しているMssの効果が、高Si材、そして薄
手成品では、むしろ線状二次再結晶不良発生原因であ
り、悪影響をおよぼす事を開示し、Sの低い成分系の中
で普通鋼並みの低温スラブ加熱で初めて高磁束密度一方
向性電磁鋼板を得るための製造技術を開示した。
このような各種方法で製造されたいずれの製品も、表
面にSiO2とMgOの反応したフォルステライトを主成分と
する絶縁皮膜を形成させる。フォルステライト絶縁皮膜
形成は所望の最終板厚に冷間圧延した鋼板を湿水素中70
0〜900℃の温度域で脱炭焼鈍し、その鋼板の表面にSiO2
を含むサブスケールを生成させた後に、MgOを主成分と
する焼鈍分離剤を塗布し、コイル状に巻取り、その後仕
上高温焼鈍することによりMgOとSiO2を反応させたフォ
ルステライト系絶縁皮膜を形成させる方法が一般に行わ
れている。
この皮膜に望まれる性状として、鉄損向上のために鋼
板に与える張力が大きいこと、さらに代表的にはIEEE T
rans.Mag.Vol.MAGII,No.6,P1655に示されるように磁区
の動きを妨害することなく円滑にするために皮膜と鋼板
地鉄の界面形状が平滑であること、さらに鉄心加工時に
皮膜が剥離しないために密着性が良いこと、がある。最
近、特公昭63−24046号公報で皮膜と地鉄との界面に一
定の粗度を与えることにより鉄損の向上することが開示
された。しかしながら、その具体的実施手段は必ずしも
開示されていない。特に、この一定の粗度を与えること
と、上記の平滑にすることは矛盾しており、明確な対策
・手段が必要である。
(発明が解決しようとする課題) 高Si材、薄手成品において線状二次再結晶不良の発生
が無く、しかも高磁束密度となる一方向性電磁鋼板にお
いて、工程を増やすことなくフォルステライト系皮膜の
改良により磁区細分化処理材に匹敵する鉄損を達成し、
さらに皮膜密着性をも改善しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、基本的には特公昭61−60896号公報、
特公昭62−45285号公報記載の技術を基盤にする中で、
鋼中Sを少ない所定量に制御し、さらにそのS量に対応
した適当量のCaを含有するCa化合物をMgOを主成分とす
る焼鈍分離剤中に添加することにより、フォルステライ
ト系絶縁皮膜と地鉄との界面形状を調整し、鉄損を向上
させ、しかも優れた皮膜密着性を達成出来る技術を発明
した。
以下に、本発明の実施態様を例にして、鋼中S量とCa
化合物との組合せ効果について説明する。C:0.047%,S
i:3.13%,Mn:0.09%,酸可溶性Al:0.032%,T(total).
N:0.0075%を含有し、さらにSをそれぞれ0.001%,0.00
5%,0.008%,0.014%,0.022%,0.029%含有するスラブ
について、Sが0.001,0.005%,0.008%,0.014%材は120
0℃、0.022%,0.029%材は1320℃に加熱後、熱間圧延し
て2.0mmの熱延板とし、1100℃×2minの焼鈍をし、0.20m
mまで冷延し、850℃×90secだけ湿水素中で脱炭焼鈍
し、焼鈍分離剤として(A)MgO+3%TiO2+5%窒化
フェロマンガン(但し、MgO中には不可避的不純物とし
て0.07%のCaOを含む),(B)MgO+3%TiO2+5%窒
化フェロマンガン+2% CaOの2種類について、鋼板1m
2当りに両面合せて12gを塗布し、乾燥し、1200℃×20hr
の仕上焼鈍を行なった。なお、この(B)の焼鈍分離剤
の場合の各S%を含む鋼板のS量に対しCa量はそれぞれ
0.001%S−8.9倍,0.005%S−1.8倍,0.008%S−1.1
倍,0.014%S−0.6倍,0.022%S−0.4倍,0.029%S−0.
3倍である。この成品について6cm×30cmの単板を多数切
り出し、B8=1.93Teslaのものについて、鉄損を測定し
た。さらに、その単板について、片面のフォルステライ
ト系絶縁皮膜を酸により除去した時の板の曲りから、皮
膜張力を測定した。又、単板を一定の径の丸棒に沿って
曲げ、その時の皮膜剥離の最小曲げ径を求めた。結果を
第1表に示す。
第1表から分るように、鋼中Sが0.005%以上の鋼板
で焼鈍分離剤中にCaOを添加したものは皮膜張力が大き
く、さらに皮膜剥離の最小曲げ径が小さい、即ち密着性
が良い。特にCa化合物添加の場合、皮膜張力は鋼中Sが
多いほど大になっている。一方、鉄損は鋼中Sが0.005
%,0.008%,0.014%の場合、CaO添加により極めて優れ
ているが、0.022%,0.029%材ではむしろ劣化してい
る。
このCaOを添加した焼鈍分離剤の場合のフォルステラ
イト系絶縁皮膜の断面組織を鋼中Sが0.001%,0.008%,
0.029%について、それぞれ第1図(A),(B),
(C)に示した。鋼中Sの少ない(A)では皮膜と地鉄
との界面は平滑であり、鋼中Sの多い(C)では凸凹が
大きく、(B)ではそれらの中間サイズの粗度となって
いる。この(B)条件について、走査電子顕微鏡で調査
した。第2図(A)は断面組織の電子像であり、地鉄側
に喰い込んだ突起物が見られる。その部分に対応させ
て、Ca,Sの元素分布をそれぞれ第2図(B),(C)に
示した。突起物に対応してCaとSが集積している。以上
の調査から、鋼中Sと焼鈍分離剤中のCaは反応してCaS
となり、界面凸凹を形成すると考えられる。このような
凸凹が皮膜密着性を向上させ、張力増をもたらすと思わ
れる。
そして、鋼中S量が少ない範囲で適当量の時に鉄損も
向上する。これは、鋼中S量が少な過ぎる場合は界面形
状として凸凹が無く、皮膜による磁区細分化効果が効か
ない事、そして鋼中Sが多すぎると第1図(C)で見ら
れるように凸凹が大きく、かつその凸部が密になり過
ぎ、磁区の動きを阻害することになり、鉄損が悪くなっ
たものと考えられる。このように鋼中S量の比較的に少
ない範囲で、Ca添加により皮膜と界面との界面形状が適
切な凸凹になり、鉄損が良好になったものと思われる。
特に、重要なことは、従来のMnSを有効な析出分散相に
利用する技術では、適切鋼中S量が0.025%前後である
ため本発明のようにCa添加により界面形状制御によって
鉄損は向上しない。即ち、本発明のようにMnSを析出分
散相として利用する事を意図しない技術の中で、初めて
Ca添加による鉄損向上と皮膜密着性向上効果を適用出来
る。
次に本発明における構成要件の限定理由を説明する。
本発明で用いる溶鋼は転炉、電気炉等その溶製方法を問
わないが、成分として次の含有量範囲にある必要があ
る。
Siは1.5%未満では仕上高温焼鈍時にα→γ変態があ
るため、結晶方位が破壊されるので、1.5%以上とし
た。そして4.5%を超えると冷延時の割れが著るしくな
るので4.5%以下とした。
本発明では二次再結晶に必要な析出分散相として(A
l,Si)Nを主に用い、必要に応じてAlNを補助とする。
従って、必要析出分散相量を確保するために酸可溶性Al
として0.012%以上を含有させる。これが0.040%を超え
ると二次再結晶の発現が不安定になる。
T.Nについては、0.0095%を超えると鋼板表面にブリ
スターと呼ばれる膨れ状の欠陥が発生するので0.0095%
以下とした。T.Nの下限については、その量が少ない場
合には途中工程処理条件、例えば窒化量を調節する事で
対処可能であるので、特に限定しない。しかし、通常の
溶製法で特別な処理を付加しない場合、不純物として0.
0025%程度含有される。
Sの上限値については、本発明での基盤技術が最高鉄
損特性を有する高Si、薄手材の実現を目標としている事
から、これら材料で線状二次再結晶不良を発生させない
上限値、そして、Caと多量に反応して、地鉄と皮膜との
界面を過度に凸凹にさせない上限値、の両限定値とし0.
014%を規定した。そして、Sが0.005%未満となると、
本発明で特徴とする焼鈍分離剤中に含有させたCaと反応
して形成する。CaSが過少となり、地鉄と界面との適当
量の凸凹が確保出来ず、鉄損向上、皮膜の密着性向上が
達成出来ない。以上の理由から、鋼中Sは0.005〜0.014
%に限定した。
上記限定成分以外は残部Feおよび不可避的不純物であ
るが、本発明の主旨を変えない条件であれば、他目的で
の元素添加は差支えない。
以上の範囲の成分を含む溶鋼は鋳造スラブを経て熱延
による熱延板、あるいは直接に薄く鋳造した鋳造板(薄
帯)にされる。本発明は、従来の主流技術である特公昭
30−3651号、特公昭33−4710号、特公昭51−13469号の
各公報記載の方法とは異なり、後工程での窒化処理によ
り析出分散相を形成させるので、この素材鋼板の作成段
階での析出分散相の調整は重要でない。したがって、特
別の限定条件は付けない。
この鋼板は800〜1200℃での短時間の焼鈍後、あるい
は焼鈍なしで直接に冷延される。この時の冷延圧下率は
高磁束密度材を得るためには80%以上が望ましいが、本
発明では必須構成要件では無い。通常、一回の冷延で最
終板厚にするが、状況によっては、例えば最終仕上板厚
が薄く、一回の冷延では所定板厚に出来ない場合、中間
焼鈍を含む2回以上の冷延法で、最終板厚に仕上げても
良い。このように冷延した板は次いで脱炭焼鈍される。
脱炭焼鈍工程は一次再結晶と脱炭を行わせると同時に、
成品表面のフォルステライト系絶縁皮膜の形成に必要な
SiO2を含む酸化膜を生成させる役割を持っている。
脱炭焼鈍後の鋼板表面には仕上高温焼鈍時における焼
付防止、及びフォルステライト系絶縁皮膜形成のために
MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布・乾燥する。本発
明の特徴は、鋼中Sと反応してCaSを形成させるに必要
なCa源を焼鈍分離剤中にCa化合物として添加する。Ca化
合物としてCaO,Ca(OH)2,CaCO3,硫酸基Ca化合物,硝酸
基Ca化合物,有機物Ca化合物があるが、CaO,Ca(OH)2,
CaCO3以外の後3者は仕上高温焼鈍時に分解して多量の
C,N,Sを発生し、二次再結晶や皮膜形成に悪影響をもた
らすので使用出来難い。但し、これらCa化合物も、塗布
後の乾燥工程で分解・除去すれば使用出来る。このよう
な付加処理、そしてCa化合物の単価を考慮すれば、実際
に使用するCa源はCaO,Ca(OH)2,CaCO3である。なお、C
a(OH)の分解温度で580℃、CaCO3の分解温度は898℃
であるので、焼鈍分離剤の塗布後の乾燥温度によっては
分解し、仕上高温焼鈍まで持ち込むのはCaOとなる。鋼
中S量とCaがCaSとなるので、計算上は単位鋼板当りの
S量と同一当量比のCaを含むCa化合物で良いはずである
が、実験によれば鋼中S量の0.6〜2.2倍の当量Ca添加範
囲で効果が見られ、0.8〜1.6倍が最適である。この範囲
で鋼中S量が少ないほどCa量を多くする事が望ましい。
引き続いて、仕上高温焼鈍を行う。この工程は二次再結
晶、フォルステライト系皮膜形成および純化を目的とし
ており、通常1100℃以上、5hr以上水素又は水素を含ん
だ混合雰囲気中で行う。
本発明は以上の構成に加え、脱炭焼鈍から仕上高温焼
鈍の二次再結晶開始前迄のいずれかの過程で窒化処理す
る事を必須条件とする。
すなわち、二次再結晶配向度制御のために適切な析出
分散相を確保すべくS量を増やすと、Caと反応したCaS
が過剰になったためと思われる原因で、地鉄と皮膜との
界面の凸凹が密でかつ大きくなり、かえってCa添加によ
り鉄損が悪くなる。
このような理由により、本発明ではS量を少なく制御
し、必要な析出分散相としては窒化処理によって(Al,S
i)Nを形成させる事が必要である。
窒化処理は、(1)冷延後の脱炭焼鈍雰囲気に窒化能
のあるアンモニアを添加する、(2)脱炭焼鈍完了後に
窒化雰囲気で追加焼鈍する、(3)焼鈍分離剤中に窒化
能のある化合物、例えば窒化フェロマンガン、窒化フェ
ロクロムを添加する、(4)さらには仕上高温焼鈍の二
次再結晶発現までの加熱中に窒化を促進する雰囲気条件
を採用する、等いずれも有効である。
以上、詳述したように、本発明は低鉄損である高Si、
薄手材を可能にするべく鋼中S量を低くして線状二次再
結晶不良を解消する技術を基盤に、その残留鋼中Sを活
用する事を狙って焼鈍分離剤中にCaを添加し、鉄損と皮
膜密着性を良好にする事を実現したものであり、工業的
に極めて有用な製品を提供するものである。
(実施例1) 第1表に示した素材鋼中S量が0.008%の脱炭板につ
いて、焼鈍分離剤としてMgO+3%TiO2+5%窒化フェ
ロマンガン中にCaO,Ca(OH)2,CaCO3を第2表に示す量
添加して、鋼板1m2当り12g塗布し、乾燥し、1200℃×20
hrの仕上高温焼鈍を行なった。この成品について6cm×3
0cmの単板を多数切り出し、B8=1.93Teslaのものにつて
鉄損を測定した。さらに、その単板について皮膜張力、
及び皮膜剥離の最小曲げ径を求めた。結果を第2表に示
す。
第2表から分るように、本発明範囲のCa添加の場合、
鉄損,皮膜張力,皮膜密着性のいずれも良好である。
これに対し、Ca添加不足の場合には特に皮膜張力,皮
膜密着性が悪く、鉄損も良くない。又、Ca過剰添加の場
合は皮膜張力,皮膜密着性は良いが、鉄損が悪い。
(実施例2) 第1表に示した素材鋼中S量が0.008%の冷延板につ
いて (A)850℃×90secで、湿水素中で脱炭焼鈍→MgO+3
%TiO2+2% CaOを鋼板1m2当りに12g塗布 (B)850℃×90secで、アンモニア含有湿水素中で脱炭
焼鈍(鋼中T.Nが0.0110%増加)→MgO+3%TiO2+2%
CaOを鋼板1m2当りに12g塗布 (C)850℃×90secで、湿水素中で脱炭焼鈍→MgO+3
%TiO2+2%CaO+5%窒化フェロマンガンを鋼板1m2
りに12g塗布、 の3種類の処理後に、1200℃×20hrの仕上焼鈍を行なっ
た。成品の磁性,フォルステライト系皮膜の張力,皮膜
剥離の最小曲げ径を求めた。結果を第3表に示す。
第3表に示すように窒化処理を行なわない(A)条件
は、二次再結晶が不充分で、磁束密度が悪い。本発明例
の(B),(C)条件は磁性、皮膜いずれも良好であ
る。
(実施例3) C:0.047%,Si:3.38%,Mn:0.09%,酸可溶性Al:0.030%,
T.N:0.0077%を含有し、さらにSをそれぞれ0.008%,0.
022%含有するスラブを1320℃に加熱後、2.3mmの熱延板
とし、1100℃×2minの焼鈍をし、0.23mmまで冷延し、85
0℃×120secだけ湿水素中で脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤と
してMgO+3%TiO2+2.2%CaO+5%窒化フェロマンガ
ンを鋼板1m2当りに12gだけ塗布し、1200℃の仕上高温焼
鈍を行なった。成品の磁性、フォルステライト系絶縁皮
膜の張力、皮膜剥離の最小曲げ径を求めた。結果を第4
表に示す。
鋼中Sの0.022%のものは、線状二次再結晶不良が発
生し、全体としての磁束密度が低くなり、鉄損が悪い。
本発明例の鋼中S 0.008%のものは良好であった。
(発明の効果) 本発明によれば、高Si材、薄手成品において線状二次
再結晶不良の発生が無く、しかも高磁束密度となる一方
向性電磁鋼板において、工程を増やすことなくフォルス
テライト系皮膜の改良により磁区細分化処理材に匹敵す
る鉄損を達成し、さらに皮膜密着性をも改善することが
できるという産業上有用な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
第1図はC:0.047%,Si:3.13%,Mn0.09%,酸可溶性Al:
0.032%,T.N:0.0075%を含有し、さらにSをそれぞれ0.
001%,0.005%,0.008%,0.014%,0.022%,0.029%含有
するスラブについて、Sが0.001%,0.005%,0.008%,0.
014%材は1200℃、0.022%,0.029%材は1320℃に加熱
後、2.0mmの熱延板とし、1100℃×2minの焼鈍をし、0.2
0mmまで冷延し、850℃×90secで、湿水素中で脱炭焼鈍
し、焼鈍分離剤として(A)MgO+3%TiO2+5%窒化
フェロマンガン(但し、MgO中には不可避的不純物とし
て0.07%のCaOを含む),(B)MgO+3%TiO2+5%窒
化フェロマンガン+2%CaOの2種類について、鋼板1m2
当りに両面合せて12gを塗布し、乾燥し、1200℃×20hr
の仕上高温焼鈍を行なった成品のフォルステライト系絶
縁皮膜の断面組織を示す金属組織顕微鏡写真図で、
(A)は素材のSが0.001%の場合、(B)は0.008%の
場合、(C)は0.029%の場合である。第2図(A)は
第1図(B)について走査電子顕微鏡で観察した電子像
を示す金属断面組織顕微鏡写真図、第2図(B)は第2
図(A)に対応した領域のCaの元素分布、第2図(C)
は同じくSの元素分布を示す金属組織顕微鏡写真図であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比でSi:1.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.01
    2〜0.040%、T(total).N:0.0095%以下、S:0.005〜
    0.014%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼板を
    1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延工程に
    より最終板厚とし、次いで湿水素中で脱炭焼鈍し、MgO
    を主成分とする焼鈍分離剤を塗布・乾燥し、二次再結晶
    と純化を目的とした仕上高温焼鈍を行う一方向性電磁鋼
    板の製造法にあって、さらに脱炭焼鈍から仕上高温焼鈍
    の二次再結晶開始前迄のいずれかの過程で窒化処理をす
    る製造法において、焼鈍分離剤中に鋼板の一定表面積当
    りに、その対応鋼板体積中に含まれるS量の0.6〜2.2倍
    の当量Caを含む化合物を添加する事を特徴とする鉄損特
    性の良い高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
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