JP2762111B2 - コイル状態で良好なフォルステライト絶縁皮膜を形成させる一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

コイル状態で良好なフォルステライト絶縁皮膜を形成させる一方向性珪素鋼板の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ストリップコイルの形態で仕上温度焼鈍が
遂行される一方向性珪素鋼板の製造プロセスにおいて、
良好なフォルステライト絶縁皮膜を形成させ得る製造方
法に関するものである。
(従来の技術) 一方向性珪素鋼板表面のフォルステライトを主体とし
たMgO−SiO2系絶縁皮膜は製品外観を整えるばかりでな
く、鋼板間に必要な層間抵抗を与え、また、鋼板とフォ
ルステライト皮膜間に働く引張り応力により製品鉄損を
低下させるという磁気特性的にも重要な役割を持ってい
る。
このフォルステライト皮膜は通常、次のような方法で
生成される。まず、約3〜4重量%の珪素を含む一方向
性珪素鋼用素材を1回ないし、中間焼鈍をはさむ2回以
上の冷延により最終板厚にした後、湿水素中で700〜900
℃の範囲で脱炭焼鈍を施し、同時にSiO2を含む酸化皮膜
を鋼板表面に形成する。ついでMgOを主成分とするスラ
リー状の焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布した後、コイル状
に巻取り、最終仕上焼鈍を行ない、この間に起こるMgO
−SiO2系固相反応を利用してフォルステライト(Mg2SiO
4)を形成させる。
しかしながら、この時生成されるフォルステライト皮
膜の性質は脱炭酸化皮膜の性状、マグネシアの種類、マ
グネシアパウダーへの微量添加物の量と性質、あるいは
仕上焼鈍時の雰囲気などに左右され、機械的・磁気的に
優れた特性を備えたフォルステライト皮膜の形成法に関
してこれまで多くの研究がなされてきた。
例えば特公昭51−12451号公報によればマグネシアパ
ウダー中にTiO2を添加することにより密着性、均一性に
優れたフォルステライト皮膜が得られることが報告され
ている。また特開昭54−66935号公報では、平均粒径が
細かいフォルステライト粒子からなるため密着性の良好
なフォルステライト皮膜を得るため、マグネシアパウダ
ー中のCaOと水分量を適正管理することが開示されてい
る。さらに特開昭55−58331号公報では使用するマグネ
シアの活性度を限定することにより、良好なフォルステ
ライト皮膜を得る方法が開示されている。
これらの方法に共通することは、いずれもがマグネシ
アを主成分とする焼鈍分離剤の改良に関する提案であ
り、それらはそれぞれ効果の認められるものも多いが、
工業的な面からはコスト高に結びついたり、工程管理が
困難である場合が多い。さらに、より本質的な問題点
は、鋼板表面のMgO−SiO2系固相反応によりフォルステ
ライト皮膜を形成する際、このように焼鈍分離剤、つま
りMgOの側だけを一方的に規定しても、得られるフォル
ステライト皮膜の特性向上には限界があるということで
ある。例えば、このような方法で得られるフォルステラ
イト皮膜の鋼板張力は高々400g/mm2程度であり、実際の
工程では特公昭53−28375号公報に開示されているよう
に、フォルステライト皮膜の上にさらにコロイダルシリ
カ等を主成分とする二次コーティンを行ない鋼板張力を
向上させる必要がある。
一方、仕上高温焼鈍中の雰囲気を規定するものとして
は、特開昭50−116998号公報、同55−110726号公報に示
された鉄及び鉄酸化物に対する不活性の中性ガス通入
法、あるいは特開昭53−5800号公報に見られる露点の制
御法などがある。
これらの方法は主に特開昭49−61019号公報に示され
る磁束密度の高い一方向性珪素鋼板の製造方法における
フォルステライト皮膜形成方法の問題点を解決するため
に提案されたものである。すなわち、特開昭49−61019
号公報に開示された方法では最終仕上焼鈍中800〜920℃
の間を一定温度で10〜100時間加熱することが必要であ
るが、その間、酸化スケール中の酸化鉄に対し、還元性
の雰囲気を与えるとフォルステライト皮膜の著しい不良
が発生することが判明し、そのため雰囲気を中性もしく
は不活性とすることが必要とされた(特開昭50−116998
号公報、同55−110726号公報)。また、800〜920℃間の
恒温保持後、1150〜1250℃までの昇温時の雰囲気を水素
ガスとし、その時の露点を−20〜+20℃の範囲にし、さ
らにその後の平均露点を+10℃以下にすることにより、
フォルステライト平均粒径を0.7mm以下にする方法が特
開昭53−5800号公報により開示された。前者の提案はMg
O・SiO2反応時の鋼板側の適正SiO2量を確保するもので
あり、後者の提案は反応開始時のフォルステライト粒の
発生とその後の粒成長を雰囲気の酸素分圧により制御し
ようとするものである。
これらの方法はいずれも特開昭49−61019号公報に示
された800〜920℃間の一定温度で恒温保持することを特
徴とする最終仕上焼鈍を前提として提案されたフォルス
テライトの絶縁皮膜の形成方法であり、その他の仕上焼
鈍サイクルに対して必ずしも一般性があるとは言えな
い。また得られるフォルステライト皮膜の平均結晶粒径
が0.7μm以下であっても、皮膜の曲げ密着性は最小剥
離半径で10mm程度であり、必ずしも充分な密着性が確保
されたとは言えない。さらにこのような方法法では皮膜
が鋼板に与える張力も不充分で、コロイダルシリカを主
成分とした二次コーティングが必要とされる場合が多
く、製造コストの上昇に結びついている。
以上の仕上高温焼鈍中の外部雰囲気を規定した技術は
いずれも、その酸素ポテンシャルを要求雰囲気より若干
高める方向での制御の効果を述べているが、それらの条
件については若干ずつ異なっている。これは恐らく、鋼
板をコイル状態で焼鈍した場合にその鋼板間隙の雰囲気
を外部焼鈍雰囲気を侵入させて制御する事が極めて困難
であり、僅かな条件、例えば鋼板の締め付け力、焼鈍分
離剤の塗布密度等、の違いにより、それら適切焼鈍雰囲
気が見掛け上異なっているためと考えられる。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、鋼板間隙が狭く外部焼鈍雰囲気がそ
の鋼板表面まで侵入し難いコイル状態での仕上高温焼鈍
においても、フォルステライト皮膜の形成に適した酸素
ポテンシャルに制御することを可能にする一方向性珪素
鋼板の製造方法を提供することである。
本発明によれば、欠陥部の無い外観、そして、密着性
が良く、皮膜張力の高いフォルステライト皮膜が、コイ
ル全長、全幅に亘って均一に得られる。
(課題を解決するための手段) 本発明の特徴はMgOを主成分とする焼鈍分離剤中に鋼
板の一定表面積当り酸素元素を含むCa化合物をCaO分と
して0.04〜0.35g/m2、さらに合せてSを含む化合物をそ
のS化合物中のS当量がCa当量の0.4〜1.4倍になる量、
を複合添加し、CaO+S→CaS+〔O〕の反応により発生
させた〔O〕により、鋼板間隙の酸素ポテンシャルを正
確に制御可能にしたことにある。以下に本発明の実施態
様を例にして、Ca化合物とS化合物の複合添加効果につ
いて説明する。
重量%でC:0.047%、Si:3.25%、Mn:0.13%、S:0.007
%、酸可溶性Al:0.030%、T.N:0.0078%、残部Fe及び不
可避的不純物を含有するスラブを1200℃に加熱後、2.0m
m厚の熱延板とし、1100℃×2minの焼鈍をし、0.20mm厚
さまで冷延し、850℃×90secにて湿水素中で脱炭焼鈍
し、焼鈍分離剤としてMgO+3%TiO2+5%窒化フェロ
マンガンにCaOとSとを第1図に示す量だけ添加したも
のを10g/m2塗布し、乾燥後にコイル状に巻取り、N275%
+H225%の雰囲気で1200℃まで昇熱し、H2100%で1200
℃×20hrの仕上焼鈍を行なった。この成品の皮膜欠陥部
の発生有無(フォルステライト部の点状の欠落部)と、
成品の片面のフォルステライト絶縁皮膜を酸により除去
した時の板の曲りから求めた皮膜張力と、さらにこの成
品について6cm×30cmの単板を多数切り出しB8=1.93Tes
laのものについて測定した鉄損を第1図に示した。
第1図から、傾向としてCaO添加量が少ないと皮膜欠
落部の欠陥が発生し、多すぎると皮膜張力は大きいが、
皮膜が厚くなり過ぎて鉄損が悪くなる。又Sが少ないと
皮膜欠落部の欠陥が発生し、多すぎると皮膜張力が弱く
鉄損が悪い、ことが分る。
本発明者等は、CaOとSとの適当な添加量の組合せで
皮膜欠落部の無い、かつ皮膜張力の大きいフォルステラ
イト皮膜が形成された原因がCaO+S→CaS〔O〕の反応
による適切な酸素ポテンシャル供給によると考えた。熱
分析によると、この反応による〔O〕放出は約920℃か
ら開始される事が分った。一方、フォルステライト皮膜
形成(2MgO+SiO2→2MgO・SiO2)は約950〜1120℃で行
なわれるので、上記〔O〕放出開始後に対応し、従来か
ら言われているフォルステライト皮膜形成の促進、例え
ばSiO2の形成供給、MgOとSiO2の固相反応促進、に効果
があったと思われる。
第2図は、第1図と同じ素材を同じ工程で処理し、焼
鈍分離剤としてMgO+3%TiO2+5%窒化フェロマンガ
ンに2%のCaOを添加し、さらにS量を種々変えたもの
を10g/m2(両面合計)塗布した場合の皮膜張力、皮膜欠
落部の有無、さらにB8=1.93Teslaの部位の鉄損を第1
図の結果も合せて示した。第2図からS当量/Ca当量が
0.4〜1.4倍の範囲で鉄損が良く、皮膜欠落部の発生がな
い、ことが分る。
次に本発明の実施態様を説明する。本発明で用いる溶
鋼は転炉,電気炉等を用いて得ることができ、その溶製
方法は問わない。成分としては、フォルステライト皮膜
の形成のためにSiO2を構成するSiが必要である。その量
は、特に規定しないが、4.5%を超えると冷延時の割れ
が著しくなるので4.5%以下が、又1.5%未満では仕上高
温焼鈍時にα→γ変態があるため結晶方位が破壊される
ので1.5%以上が望ましい。本発明では二次再結晶に必
要なインヒビターとしてMnS,AlN,(Al,Si)N等を用い
る事が可能であるが、高磁束密度材が製造可能なAlN,
(Al,Si)Nが望ましい。MnSについては、鋼中Sを高め
ると、高Si材、薄手品で線状二次再結晶不良が発生する
ので使用し難い。特に、本発明では焼鈍分離剤中に添加
するCaOが鋼中Sと反応するので、本発明の意図とは異
なった影響が現われる。このような理由から鋼中S量は
少ない方が本発明の素材として望ましく、0.012%以下
が上記条件を良く満足させる。以上に述べた溶鋼は鋳造
スラブを経て熱延による熱延板、あるいは直接に薄く鋳
造した鋳造板にされる。これら鋼板は1回あるいは中間
焼鈍をはさむ2回の冷延工程で最終板厚に仕上げられ
る。このように冷延された板は次いで湿水素中で脱炭焼
鈍され、その焼鈍中に鋼板表面でSiO2を含む酸化膜が形
成される。脱炭焼鈍後の鋼板表面には仕上高温焼鈍時に
おける焼付防止、及びフォルステライト系絶縁皮膜形成
のためにMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布、乾燥
し、コイル状態に巻取る。本発明の特徴は、このコイル
状態の鋼板間隙の酸素ポテンシャル制御をCaO+S→CaS
+〔O〕の反応で放出される〔O〕によって行なうこと
にある。Ca化合物としてCaO,Ca(OH)2,CaCO3,硫酸基
Ca化合物,硝酸基Ca化合物,有機物Ca化合物があるが、
CaO,Ca(OH)2,CaCO3以外の後3者は仕上高温焼鈍時に
分解して多量のC,N,Sを発生し、二次再結晶や皮膜形成
に悪影響をもたらすので使用出来難い。但し、これらCa
化合物も、塗布後の乾燥工程で熱分解によりC,N,Sを除
去しておけば使用出来る。なお、この時に残存する形態
は実質的にはCaO,Ca(OH)2となっている。このような
付加処理、そしてCa化合物の単価を考慮すれば実際上、
使用出来るCa源はCaO,Ca(OH)2,CaCO3である。CaOは
Sとの反応がほぼフォルステライト形成温度域にあるの
で最適である。Ca(OH)2は分解温度が580℃であるの
で、仕上高温焼鈍昇温時に分解し、その温度以上ではCa
Oとなるので効果としてはCaOと同じである。CaCO3の分
解温度は898℃であるので、焼鈍分離剤の乾燥工程でこ
のような高温処理は不可能であり、CaCO3のままで仕上
高温焼鈍工程に持ち込まれる。そして分解後はCaOの効
果と、CO2の影響が現われると考えられるが、CaO単独の
場合に比べ皮膜特性が若干悪い。S化合物については、
S単体の粉末が単価が安く、かつそれ以外の構成元素を
持ち込まないので最適であるが、FeSのようなS化金
属、FeSO4のような硫酸化金属もそれなりの効果があ
る。
Ca化合物の適切添加量は、皮膜形成に最適な〔O〕を
供給するためには鋼板単位表面積当りにCaOに換算して
0.04〜0.35g/m2である。0.04g/m2未満では添加効果がな
く、0.35g/m2を越えると〔O〕が過剰になり、フォルス
テライト皮膜が厚くなり過ぎて鉄損が悪くなる。この塗
布量は、鋼板板厚にはほとんど影響されないが、鋼板巻
取り力が大きい場合には少な目が良い。鋼板の焼付きを
防止するに必要な最少の焼鈍分離剤は約4g/m2であり、
又12g/m2を越えて塗布してもMgOが未反応で残り無駄で
ある。したがって4〜12g/m2の塗布量範囲で上記CaO量
になるようなCaO添加%を決めれば良い。
最適な方法は、この塗布量から決まる酸素分圧にほぼ
平衡した仕上高温焼鈍時の外部焼鈍雰囲気で、いわば
“炭焼き”状態で行なうことである。S添加量は鋼中S
量によって影響を受け、鋼+Sが大の場合はS添加量を
少ない範囲にした方が良い。引き続いて、仕上高温焼鈍
を行なう。この工程は二次再結晶、フォルステライト皮
膜形成および純化を目的としており、通常1100℃以上、
5hrにて、水素又は水素を含んだ混合雰囲気中で行な
う。本発明は以上の実施態様に加え、鋼中Sが低い範囲
で本発明の効果を発揮し易いので、二次再結晶に対する
インヒビターとして脱炭焼鈍から仕上高温焼鈍の二次再
結晶開始前迄のいずれかの段階での窒化処理による(A
l,Si)Nを確保した方が良い。
(実施例) 本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1) 重量%でC:0.048%、Si:3.27%、Mn:0.10%、S:0.007
%、酸可溶性Al:0.029%、T.N:0.0080%、残部Fe及び不
可避的不純物を含有するスラブを1200℃に加熱後、2.0m
m厚の熱延板とし、1100℃×2minの焼鈍とし、板厚0.20m
m厚まで冷延し、850℃×90secにて湿水素中で脱炭焼鈍
し、焼鈍分離剤として(A)(MgO+3%TiO2+5%窒
化フェロマンガン+1.2%CaO+0.7%S)と(B)(MgO
+3%TiO2+5%窒化フェロマンガン+3%CaO+0.7%
S)の2種類を鋼板表面積1m2当り(両面の合計)に8g
と13gを塗布し、乾燥後にコイルに巻取り、N275%+H22
5%の雰囲気で1200℃まで昇熱し、H2100%で1200℃×20
hrの仕上高温焼鈍を行なった。この成品の皮膜特性と磁
気特性を第1表に示した。(A)の場合のS当量/Ca当
量は1.0、(B)の場合のそれは0.4に相当する。
第1表から分るように、本発明範囲のCaO量を含む場
合、皮膜特性、磁気特性ともに良好であるが、D、390g
/m2のCaO量の場合、皮膜特性は一番良好であるが、磁気
特性が良くない。これはCaO量が多くなると皮膜が厚く
なり過ぎるためである。
(実施例2) 重量%でC:0.048%、Si:3.27%、Mn:0.10%、S:0.007
%、酸可溶性Al;0.029%、T.N:0.0080%、残部Fe及び不
可避的不純物を含有するスラブを1200℃に加熱後、板厚
2.3mm、2.0mm、1.8mm厚の熱延板とし、2.3mm厚の熱延板
は0.30mm厚に、2.0厚の熱延板は0.23mm厚に、1.8mm厚の
熱延板は0.20mm厚に冷延し、850℃で0.30mm厚の冷延板
は120sec間、0.23mm厚の冷延板は100sec間、0.20m厚の
冷延板は90sec間、湿水素中で脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤
として(MgO+3%TiO2+5%窒化フェロマンガン+1.2
%CaO+0.7%S)を10g/m2(両面合計)塗布し、乾燥後
にコイルに巻取り、N275%+H225%の雰囲気で1200℃ま
で昇熱し、H2100%で1200℃×20hrの仕上高温焼鈍を行
なった。この成品の皮膜特性と磁気特性を第2表に示し
た。
第2表から分るように、各板厚とも皮膜欠落部の発生
もなく良好で、磁気特性も板厚に見合った優れた値であ
る。なお、張力が板厚が厚くなるほど下っているが、皮
膜厚みがほぼ一定であるのに対し地鉄厚みが大きくなる
ため、計算上で下がったものである。
(実施例3) 実施例1と同じ冷延板について、850℃×90secにて湿
水素中で脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤として(MgO+3%TiO
2+5%窒化フェロマンガン+0.5%S)にCaOとCa(O
H)2とCaCO3をそれぞれ第3表に示す所定量だけ添加し
たものを10g(両面合計)塗布し、乾燥し、コイルに巻
取り、N275%+H225%の雰囲気で1200℃まで昇熱し、H2
100%で1200℃×20hrの仕上高温焼鈍を行なった。この
成品の皮膜特性と磁気特性を第3表に示した。なお、こ
のいずれの焼鈍分離剤についてもCaO量としては0.2g/m2
に相当する。
第3表から分るようにCa(OH)2,CaCO3いずれについ
てもCaOと同じく、皮膜特性、磁気特性いずれも良好で
ある。
(実施例4) 実施例1と同じ冷延板について、850℃×90secにて湿
水素中で脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤として(MgO+3%TiO
2+5%窒化フェロマンガン)にCaOとSとFeSを、それ
ぞれ第4表に示す所定量だけ添加したものを10g/m2(両
面合計)塗布し、乾燥し、コイルに巻取り、N275%+H2
25%の雰囲気で1200℃まで昇熱し、H2100%で1200℃×2
0hrの仕上高温焼鈍を行なった。この成品の皮膜特性と
磁気特性を第4表に示した。なお、1.4%FeSはSとして
は0.5%に相当する。
第4表から分るように、CaOとSの少ない焼鈍分離剤
A、CaOの少ないBはいずれも皮膜欠落部が発生し、張
力も少なく鉄損も良くない。
(発明の効果) 以上、詳述したように、本発明は鋼板間隙が狭く外部
焼鈍雰囲気がその鋼板表面まで侵入し難いコイル状態で
の仕上高温焼鈍においても、フォルステライト皮膜の形
成に適した酸素ポテンシャルに制御することを可能にす
る一方向性珪素鋼板の製造方法を提供するものであり、
これにより焼鈍分離剤中のCaOとSとが反応して〔O〕
を発生し、鋼板間隙の酸素ポテンシャルを最適に制御す
ることが出来る。本発明によれば、コイル全長、全幅に
亘って皮膜特性の良好な一方向性珪素鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は重量%でC:0.047%、Si:3.25%、Mn:0.13%、
S:0.007%、酸可溶性Al:0.030%、T.N:0.0078%を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを1200℃
に加熱後、2.0mm厚の熱延板とし、1100℃×2minの焼鈍
をし、0.20mm厚まで冷延し、850℃×90secにて湿水素中
で脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤としてMgO+3%TiO2+5%
窒化フェロマンガンにCaOとSとを適当量添加したもの
を10g/m2塗布し、乾燥後にコイル状に巻取り、N275%+
H225%の雰囲気で1200℃まで昇熱し、H2100%で1200℃
×20hrの仕上高温焼鈍を行った時の、皮膜欠陥部の発生
有無(フォルステライト部の点状の欠落部)と皮膜張力
とB8=1.93Teslaの部分の鉄損とをCaOとSとの添加割合
との関係で示したものである。 第2図は第1図と同じ素材を同じ工程で処理し、焼鈍
分離剤としてMgO+3%TiO2+5%窒化フェロマンガン
に2%のCaOを添加し、さらにS量を種々変えたものを1
0g/m2(両面の合計)塗布した場合の皮膜張力と皮膜欠
陥部の発生有無(フォルステライト部の点状の欠落部)
とB8=1.93Teslaの部分の鉄損とをS当量/Ca当量との関
係で示したものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所望の最終板厚に冷間圧延された珪素鋼帯
    を脱炭焼鈍し、その表面にSiO2を含むサブスケールを生
    成させ、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
    た後巻き取ってストリップコイルとし、仕上高温焼鈍を
    行ってフォルステライトを形成する一方向性珪素鋼板の
    製造方法において、前記焼鈍分離剤を酸素元素を含むCa
    化合物ならびにSを含む化合物をS当量がCa当量の0.4
    〜1.4倍となる量複合添加したものとし、ストリップ表
    面にCaO分として0.04〜0.35g/m2となる如く塗布してス
    トリップコイルにおける鋼板間隙の酸素ポテンシャルを
    制御することを特徴とするコイル状態で良好なフォルス
    テライト絶縁皮膜を形成させる一方向性珪素鋼板の製造
    方法。
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