JPH06157601A - セルロース脂肪酸エステル及びその製造方法 - Google Patents
セルロース脂肪酸エステル及びその製造方法Info
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- JPH06157601A JPH06157601A JP17686693A JP17686693A JPH06157601A JP H06157601 A JPH06157601 A JP H06157601A JP 17686693 A JP17686693 A JP 17686693A JP 17686693 A JP17686693 A JP 17686693A JP H06157601 A JPH06157601 A JP H06157601A
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Abstract
のモル含量の和が、グルコース、マンノース、キシロー
スのモル含量の和の7%以上を有し、且つ所定条件下で
の濾過量測定における濾過量が特定の条件を満たすこと
を特徴とするセルロース脂肪酸エステル。かかるセルロ
ース脂肪酸エステルを、α−セルロース含有率の低いパ
ルプを原料とし、希釈剤として対応する脂肪酸と、該希
釈剤に対して10重量%以上の有機溶媒を製造工程のいず
れかで添加することにより製造する。 【効果】 原料パルプとして、α−セルロース含有率の
低い低品位のパルプが使用でき、得られたセルロース脂
肪酸エステルは、マンノース、キシロース含量が高いに
もかかわらず、透明性、濾過性、可紡性が良好である。
Description
ル及びその製造方法に関する。更に詳しくは、透明性、
濾過性、可紡性が良好なセルロース脂肪酸エステル及
び、かかるセルロース脂肪酸エステルを、低品位パルプ
をセルロース原料として製造することを特徴とするセル
ロース脂肪酸エステルの製造方法に関するものである。
ルロースは、その用途が衣料用繊維、タバコフィルタ
ー、プラスチック、フィルム、塗料等、多岐にわたり、
セルロース誘導体の中でも工業的に重要な位置を占めて
いる。
の原料は、主に木材パルプであるが、その中でも精製の
度合いの高い高品位パルプが使用されている。この理由
は、従来、一般的に用いられている製造方法を低品位木
材パルプに適用すると、溶媒に溶けない所謂不溶解残渣
を多量に生成し、紡糸性の良さ、プラスチックとしての
透明性等を著しく損ない、これらの品質を確保するため
に濾過が必要になるからである。
酢酸セルロースの基本的な製造工程は、(1) α−セルロ
ース含有率の比較的高いパルプ原料を、離解・解砕後、
酢酸を散布混合する前処理工程と、(2) 無水酢酸、酢酸
及び酢化触媒(例えば硫酸)よりなる混酸で(1) の前処
理パルプを反応させる酢化工程と、(3) 酢酸セルロース
を加水分解して所望の酢化度の酢酸セルロースとする熟
成工程と、(4) 熟成反応の終了した酢酸セルロースを反
応溶媒から沈殿分離、精製、安定化、乾燥する後処理工
程より成っている。
程において、上記のような低コストで入手できる低品位
パルプを用いて高品質のセルロースエステルを得るため
に、種々の観点からの改良技術が発表されている。米国
特許第3767642 号では、α−セルロース含有率92〜93%
の木材パルプを希酢酸水溶液中で離解しスラリーとした
後、脱液と酢酸置換を繰り返す所謂スラリー前処理を行
い、次に、従来技術で酢化反応を行った後、反応系内の
硫酸触媒を完全に中和し、反応混合物を 125〜170 ℃で
ケン化・熟成して透明性、濾過性、そして可紡性の良好
な酢酸セルロースを得ている。特開昭56−59801 号公報
の方法は、α−セルロース含有率の高い高品位パルプを
通常の方法で乾式解砕してから触媒として少量の硫酸を
用い、高温短時間で酢化反応を完結した後、系内の硫酸
触媒を完全に中和し、 110〜120 ℃でケン化熟成反応を
行い、透明性、濾過性、及び可紡性の良好な酢酸セルロ
ースを得ている。そして、この技術はα−セルロース含
有率の低い、低品位パルプの利用も可能にするものと述
べている。以上の技術に共通する特徴は高温度でケン化
・熟成反応を行うことである。この高温ケン化・熟成に
より、酢酸セルロースの諸特性に害を与えるヘミセルロ
ースの酢化物の破壊ないし形態変化が促進され、それら
が無害化されるものである。
−65401 号公報には、低品位木材パルプのシートが一般
に高密度であり解砕しにくいため、反応系への分散性が
悪く、不溶解残渣の生成に繋がることに着目して、上記
の問題点を解決しようとする記述が開示されている。す
なわち、特開平2−311501号公報は、パルプシートを湿
式解砕することにより柔軟化し、解砕時に発生する熱を
蒸発潜熱として奪うことで、パルプの熱劣化をなくし、
反応性に富むセルロース原料を得、酢化反応中の未反応
物や不十分な反応に由来するゲルの生成を防ぐものであ
る。一方、特開平4−65401 号公報は乾式解砕する際
に、解砕機を工夫することで、解砕時のパルプの反応性
劣化をアセチル化反応に影響を及ぼさない程度に抑え、
酢化反応中の未反応物や不十分な反応に由来するゲルの
生成を防ぐものである。
従来技術は、α−セルロース含有率が特に低い、例えば
α−セルロース含有率85〜93%のパルプをアセチル化す
るには限界があり、濾過性の低下を免れ得なかった。
ロース含有率の低い低品位パルプを酢化して得られた酢
化反応液中に残存する多量の不溶解残渣を分離回収して
鋭意検討した結果、不溶解残渣はセルローストリアセテ
ートとグルコマンナントリアセテートからなる会合体で
あることを明らかにした。更に、この不溶解残渣は、酢
化反応液中で、かなり膨潤しながら木材パルプ繊維の形
態を保持したものであることを明らかにした。
α−セルロース含有率の低い低品位パルプ中のグルコマ
ンナンのアセチル化物の各種溶媒への溶解性を検討した
結果、酢化反応希釈剤である酢酸の一部を有機溶媒で置
換した系で反応させるか、反応過程で第3成分として添
加し反応を続行させるか、または、反応終了後に第3成
分を添加することにより、グルコマンナンアセテートを
取り除くことなく反応溶液中に保持したまま不溶解残渣
を低減でき、α−セルロース含有率が従来使用されてい
るパルプよりも極めて低い低品位パルプを原料として、
濾過性、透明性、紡糸特性等に優れた酢酸セルロースが
製造できることを見出した。更にこの方法は、その他の
セルロース脂肪酸エステルの製造に適用できることを見
出し、本発明を完成するに至った。
の低いパルプを原料とし、希釈剤として対応する脂肪酸
を用いてセルロース脂肪酸エステルを製造する方法にお
いて、希釈剤に対して10重量%以上の有機溶媒を、製造
工程の何れかで添加することを特徴とするセルロース脂
肪酸エステルの製造方法を提供するものである。
ース、キシロースのモル含量の和が、グルコース、マン
ノース、キシロースのモル含量の和のうち7%以上を示
し、且つ後述する所定条件下での濾過量測定における濾
過開始20分から60分までの40分間の濾過量P2(g)が以
下の条件を満たすことを特徴とするセルロース脂肪酸ト
リエステル又はセルロース脂肪酸ジエステルを提供する
ものである。 (A) セルロース脂肪酸トリエステルについて P2>−0.14η+86 (B) セルロース脂肪酸ジエステルについて P2>−0.16η+40 〔但し、ηは6%溶液の粘度(センチポイズ、以下cP
と記す)とする。尚、粘度は後述の方法により測定され
る。〕。
成糖分析においてキシロース及びマンノースを多量に含
みながら、なおかつ優れた濾過性等を有するものであ
る。
び測定条件は下記の方法によるものと定義する。 (1) 分析方法 アルジトール・アセテート法(Borchadt, L. G.; Pipe
r, C. V.: Tappi, 53,257〜260(1970))に準拠して行
う。 (2) 測定条件 ガスクロマトグラフ:島津GC−7Aガスクロマトグラフ カラム:10% Silar 10 C カラム(2m) 注入温度: 250℃ カラム温度: 230℃ キャリヤーガス:ヘリウム(40ml/min) 結果は3回の測定の平均値で評価する。本発明のセルロ
ース脂肪酸エステルは、マンノース、キシロースのモル
含量の和が、グルコース、マンノース、キシロースのモ
ル含量の和のうち、7%以上を占めるものである。
測定は下記の方法によるものと定義する。 (i) 濾過量 所定の溶媒に所定濃度に溶解した酢酸セルロース溶液を
所定温度で所定の濾布(直径15mm、濾過面積1.77cm2)を
通し、一定圧力下に濾過する濾過量を測定する。このと
き、濾過開始後20分までの濾過量をP1(g)、20分より
60分までの40分間の濾過量をP2(g)とする。セルロー
ス脂肪酸トリエステルとセルロース脂肪酸ジエステルと
では溶媒への溶解性が異なるため測定条件が異なる。そ
れぞれについての測定条件は表1に示す通りである。
エステルをそれぞれ濾過量測定と同様の溶媒に6重量%
濃度になるように完全に溶解させる。この溶液に対し、
オストワルド型粘度計を用いて25±0.1 ℃で流下秒数
(t1) を測定する。25℃における絶対粘度η2 (c
P)、密度D2(g/ml)が既知である標準液に対しても
同じ粘度計を用いて同様に流下秒数(t2) を測定し、次
式より試料の粘度η1 (cP)を計算する。 η1 =η2 /(D2×t2) ×D1×t1 ここで、η2 /(D2×t2) が用いた粘度計固有の換算計
数である。また、D1は測定溶液の密度であり、セルロー
ス脂肪酸トリエステルについて1.235 g/ml、セルロー
ス脂肪酸ジエステルについて0.823 g/mlとして計算す
る。上記の方法で求めるP2は、不純物粒子による目詰ま
りの少ない試料ほど大きくなり、濾過性の指標となる
が、これは同時に粘度による影響を受け、低粘度の試料
程大きくなる。粘度及び濾過量P2の関係が上記の(A) 、
(B) の範囲にある本発明のセルロース脂肪酸エステル
は、構成糖分析においてキシロース及びマンノースを多
量に含みながら、なおかつ優れた濾過性を有し、言うま
でもなく製品として適当な粘度を有するものであること
を意味する。
酸セルロースを製造する場合について、説明する。
て、セルロース原料となる木材パルプは、α−セルロー
ス含有率が85〜93重量%の低品位パルプである。通常こ
のようなパルプはシート状で入手でき、この場合シート
の坪量が 300〜850 g/m2で密度が0.40〜0.50g/c
m3 、破裂強度が50〜350KPaのものであることが好まし
いが、これらに限定されるものではない。
必要ではないが、一般的には行われる。例えば、パルプ
を解砕機で処理し、フラッフ状の解砕パルプとする。こ
の解砕パルプを前処理活性化するが、これには例えば解
砕パルプ 100重量部に対し、20〜100 重量部の酢酸を散
布混合し、攪拌機つきの密閉容器中で、20〜50℃の温度
下、 0.5〜2時間該パルプを攪拌するなどの方法がとら
れる(前処理工程)。
0 重量部、酢酸 300〜500 重量部、酸性触媒 0.5〜5重
量部を添加し、攪拌混合する。酢化触媒としては、例え
ば硫酸、過塩素酸等酢酸エステル化を進行させるもので
あれば特に限定されないが、好ましくは硫酸である。添
加の順序に特に制限はないが、パルプに触媒が触れると
分解をおこすため、予め酢酸または無水酢酸と混合して
用いるのがよい。内容物は反応により発熱するが、20〜
60分かけてほぼ一定速度で昇温するように調整し、最終
的に50℃以上85℃以下の温度となし、引き続き該温度で
3〜20分間保持して、セルロースを酢化することによ
り、三酢酸セルロース(一次酢酸セルロース)が得られ
る(酢化工程)。
ロース)を得る場合は、三酢酸セルロースの加水分解反
応(ケン化・熟成)を行う。酢化反応混合物中の酢化触
媒は中和し、その後1〜10kg/cm2 の加圧下、水蒸気を
系内に導入することにより、系内の温度を 125℃〜170
℃とし、該温度範囲で3分以上6時間以下保持するのが
好ましく、これにより三酢酸セルロースのアセチル基を
加水分解し所望の酢化度の二酢酸セルロースを得ること
ができる(熟成工程)。熟成工程終了後、反応混合物を
希酢酸水溶液中に投入し沈殿物として回収し、洗浄、精
製、乾燥する(後処理工程)。
程、熟成工程、後処理工程のいずれの工程に添加しても
よく、複数の工程で添加してもよい。有機溶媒の添加量
は、酢酸等の希釈剤の10重量%以上、好ましくは10〜90
重量%である。
ロースの酢酸法による製造方法であり、各種のバリエー
ションが可能である。
特徴の1つは、反応における希釈剤として、目的とする
セルロース脂肪酸エステルに相当する脂肪酸を用いるこ
とにある。
における前処理活性化から、反応、沈殿による回収工程
という一連のプロセスに相当するいずれかの段階におい
て、第3成分として有機溶媒を添加することにある。有
機溶媒の添加の具体的な方法については特に規定しな
い。なお、有機溶媒の添加は、酢酸法の場合、前処理活
性化工程で行ってもかまわないが、パルプ繊維の膨潤阻
害と酢化反応の遅延を招き、酢化反応の過程で順次生成
する低置換度のセルロースアセテートを効率よく反応系
へ溶解させることが困難になることもある。従って、好
ましくは酢化過程において、更に好ましくは木材パルプ
の酢化反応がかなり進行した段階で、第3成分としての
有機溶媒を添加することにより、反応を続行させてセル
ロース脂肪酸トリエステルを得る。この場合には、高置
換度のセルロース脂肪酸エステルとグルコマンナン脂肪
酸エステルからなる不溶解物を効果的に解離溶解させる
ことができる。また、有機溶媒は熟成工程或いは後処理
工程で添加することもできる。
溶媒は、目的とするエステル化反応を阻害しないもので
あればいかなるものであっても良いが、好ましくはグル
コマンナンアセチル化物に対し優れた溶解性を示すもの
であり、具体的には非プロトン性で、ハロゲン−炭素結
合、カルボニル基、ニトロ基、イオウ−酸素結合、エー
テル結合などの双極子性基を一個ないし二個含む化合物
であって、融点が50℃以下で希釈剤である脂肪酸と任意
の割合で混合する液体が挙げられる。本発明に用いられ
る有機溶媒として好適なものとして、ジクロロメタン、
クロロホルム、四塩化炭素、1,1,2,2 −テトラクロロエ
タン、トリクロロエチレン、ジクロロ酢酸などのハロゲ
ン化炭化水素系の溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン、
1−ニトロプロパンなどのニトロ化合物系の溶媒を例示
することができる。
添加により、該有機溶媒が相分離を起こすなどしてプロ
セス上不都合である場合には、該有機溶媒の融点が希釈
剤よりも低ければ適切な段階において反応液を加熱す
る、あるいは反応系を減圧するなどして、該有機溶媒の
一部若しくは全てを除去すればよい。また、反応後に有
機溶媒を添加した場合は、その後洗浄、加熱、減圧等に
より除去すればよい。
ース脂肪酸エステルとしては、上記で説明した酢酸セル
ロースの他にプロピオン酸セルロース、酪酸セルロー
ス、酢酸−プロピオン酸セルロース又は酢酸−酪酸セル
ロース等が挙げられるが、これらを製造する場合は、上
記酢酸セルロースの製造方法において用いた酢酸の代わ
りに対応する脂肪酸の1種又は2種以上を所望の比率で
用いればよい。
α−セルロース含有率の低い低品位パルプから製造され
るにもかかわらず、従来にない優れた透明性、濾過性、
可紡性を有し、従来には不可能であった低品位パルプの
高度な利用を可能にした。また本発明の製造方法は、従
来のセルロース脂肪酸エステル製造工程の大幅な見直し
やを行わずに実施できるため、経済的にも有利である。
すが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものでは
ない。なお、特記しない限り実施例中の部とは重量部
を、%は重量%を示すものである。
%)を家庭用ミキサーで水解砕後、アセトン置換し乾燥
した。このパルプを前処理機に投入し、5%水分パルプ
100部に対し、 100部の酢酸を均一に散布し40℃にて30
分間混合し、前処理活性化した。一方、予め12℃に冷却
した無水酢酸 250部、酢酸 375部、硫酸 1.0部の混液を
練り捏和式酢化機に準備しておき上記の前処理活性化パ
ルプを投入攪拌混合した。内容物は、原料パルプが同伴
する水と無水酢酸との反応及びセルロースと無水酢酸と
の反応により発熱するが、初期の16℃前後より、60分か
けて77℃に到達するように、外部冷却により調整し、次
に 125部の有機溶媒(表2参照)を添加した。更に、77
℃にて12分間保持して酢化反応を行わせた。次いで、遠
心分離(7000rpm 、30分)により不溶部を回収し、得ら
れた三酢酸セルロース中の不溶解残渣量を定量した。得
られた三酢酸セルロース及びその不溶解残渣は共に酢化
度61%程度であった。各酢化反応における不溶解残渣量
を表2に示した。なお、比較例1では有機溶媒を添加し
なかった。不溶解残渣量からもわかるように、有機溶媒
の添加により濾過性が向上し、透明性も良好な三酢酸セ
ルロース製品が得られた。
で得られた三酢酸セルロースの構成糖分析におけるマン
ノース、キシロースのモル含量の和及び濾過量(P2)、
6%溶液粘度(η)は表2に示す通りであり、実施例
1、2、5及び6の三酢酸セルロースはP2>−0.14η+
86の条件を満たす製品であった。
をアトリッションミルを用い解体した。フラッフ状に解
砕されたパルプを、含水率5%に乾燥した。該パルプを
前処理機に投入し、5%水分パルプ 100部に対し、 100
部の酢酸を均一に散布し40℃にて30分間混合し、前処理
活性化した。一方、予め12℃に冷却した無水酢酸 250
部、酢酸 375部、硫酸 1.0部の混液を捏和式酢化機に準
備しておき上記の前処理活性化パルプを投入攪拌混合し
た。内容物は、原料パルプが同伴する水と無水酢酸との
反応及びセルロースと無水酢酸との反応により発熱する
が、初期の16℃前後より、60分かけて77℃に到達するよ
うに、外部冷却により調整し、次に 125部の有機溶媒
(表4参照)を添加し、更に、77℃にて12分間保持して
酢化反応を行わせた。なお、比較例2では、有機溶媒は
添加しなかった。次いで、反応熱により反応溶液より有
機溶媒を除去した後、10部の20%酢酸マグネシウム水溶
液を添加混合し、系内の硫酸を完全に中和し、且つ、酢
酸マグネシウム過剰とした。完全中和した反応混合物を
オートクレーブに移し、密閉下でゲージ圧5kg/cm2 の
水蒸気を攪拌下に吹き込み約60分かけて 150℃に到達さ
せた。 150℃で50分間保持した後、反応物を大気下に徐
々にフラッシュさせて、反応混合物を 100℃とした。反
応混合物は激しい攪拌の下に、希酢酸水溶液を加え、フ
レークス状酢酸セルロースとして分離した後、充分水洗
して取り出し乾燥した。
酢化度は55%程度、粘度、濾過量は表4に示す通りで、
濾過性、可紡性に優れた製品であった。また、実施例1
1、12、15、16及び比較例2で得られた二酢酸セルロー
スの構成糖分析におけるマンノース、キシロースのモル
含量の和は、それぞれ7.5 、7.2、7.0 、7.1 、7.3 で
あり、一方濾過量は表4に示す通りであり、実施例11、
12、15及び16の二酢酸セルロースはP2>−0.16η+40を
満たす製品であった。
TM D−871(1970年)に準拠して行った。
Claims (7)
- 【請求項1】 構成糖分析におけるマンノース、キシロ
ースのモル含量の和が、グルコース、マンノース、キシ
ロースのモル含量の和のうち7%以上を示し、且つ所定
条件下での濾過量測定における濾過開始20分から60分ま
での40分間の濾過量P2(g)が以下の条件(A) を満たす
ことを特徴とするセルロース脂肪酸トリエステル。 (A) P2>−0.14η+86 〔但し、ηは6%溶液の粘度(センチポイズ)とす
る。〕 - 【請求項2】 構成糖分析におけるマンノース、キシロ
ースのモル含量の和が、グルコース、マンノース、キシ
ロースのモル含量の和のうち7%以上を示し、且つ所定
条件下での濾過量測定における濾過開始20分から60分ま
での40分間の濾過量P2(g)が以下の条件(B) を満たす
ことを特徴とするセルロース脂肪酸ジエステル。 (B) P2>−0.16η+40 〔但し、ηは6%溶液の粘度(センチポイズ)とす
る。〕 - 【請求項3】 α−セルロース含有率の低いパルプを原
料とし、希釈剤として対応する脂肪酸を用いてセルロー
ス脂肪酸エステルを製造する方法において、希釈剤に対
して10重量%以上の有機溶媒を、製造工程の何れかで添
加することを特徴とするセルロース脂肪酸エステルの製
造方法。 - 【請求項4】 有機溶媒として、ハロゲン系溶媒を希釈
剤に対して10重量%以上90重量%以下用いることを特徴
とする第3項記載のセルロース脂肪酸エステルの製造方
法。 - 【請求項5】 有機溶媒として、ニトロ化合物系溶媒を
希釈剤に対して10重量%以上90重量%以下用いることを
特徴とする第3項記載のセルロース脂肪酸エステルの製
造方法。 - 【請求項6】 製造されるセルロース脂肪酸エステル
が、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セ
ルロース、酢酸−プロピオン酸セルロース又は酢酸−酪
酸セルロースであることを特徴とする請求項3〜5の何
れか1項記載のセルロース脂肪酸エステルの製造方法。 - 【請求項7】 製造されるセルロース脂肪酸エステルが
酢酸セルロースであることを特徴とする請求項3〜5の
何れか1項記載のセルロース脂肪酸エステルの製造方
法。
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