JPH08319301A - 酢酸セルロースおよびその製造方法 - Google Patents

酢酸セルロースおよびその製造方法

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JPH08319301A
JPH08319301A JP13062295A JP13062295A JPH08319301A JP H08319301 A JPH08319301 A JP H08319301A JP 13062295 A JP13062295 A JP 13062295A JP 13062295 A JP13062295 A JP 13062295A JP H08319301 A JPH08319301 A JP H08319301A
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JP
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cellulose
mannose
cellulose triacetate
cellulose acetate
xylose
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JP13062295A
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Shiro Saka
志朗 坂
Hirosuke Omae
宏輔 大前
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 構成糖分析におけるマンノース、キシロース
のモル含量の和が、グルコース、マンノース、キシロー
スのモル含量の和のうち5%以上を示す三酢酸セルロー
スであり、DSCによる昇温過程での熱分析を行った際
には、 440〜480 Kに発熱ピークを有し、 560〜600 K
には吸熱ピークを有する三酢酸セルロース、及びその製
造方法。 【効果】 低品位パルプをセルロース原料とするにもか
かわらず、透明性、濾過性、可紡性に優れ、特に熱安定
性に優れた酢酸セルロース及びその製造方法を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酢酸セルロース及びその
製造方法に関する。更に詳しくは、低品位パルプをセル
ロース原料とするにもかかわらず、透明性、濾過性、可
紡性に優れ、特に熱安定性に優れた酢酸セルロース及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】酢酸セルロースは、セルロース有機酸エス
テルの一つであって、その用途が衣料用繊維、タバコフ
ィルター、プラスチック、フィルム、塗料等、多岐にわ
たり、セルロース誘導体の中でも工業的に重要な位置を
占めている。
【0003】酢酸セルロースを製造するための原料は、
主に木材パルプであるが、その中でも精製の度合いの高
い高品位パルプが使用されている。この理由は、従来、
一般的に用いられている製造方法を低品位木材パルプに
適用すると、溶媒に溶けない所謂不溶解残渣を多量に生
成し、紡糸性の良さ、プラスチックとしての透明性等を
著しく損ない、これらの品質を確保するために濾過など
の工程が必要になるからである。また、発明者らの最近
の研究では、こうして得られた酢酸セルロースは熱安定
性の低いこともわかっている。
【0004】現在行われている酢酸セルロースの基本的
な製造方法は、(1) α−セルロース含有率の比較的高い
パルプ原料を、難解・解砕後、酢酸を散布混合する前処
理工程と、(2) 無水酢酸、酢酸および酢化触媒(例えば
硫酸)よりなる混酸で、(1)の前処理パルプを反応させ
る酢化工程と、(3) 酢酸セルロースを加水分解して所望
の酢化度の酢酸セルロースとする熟成工程と、(4) 熟成
反応の終了した酢酸セルロースを反応溶媒から沈澱分
離、精製、安定化、乾燥する後処理工程より成ってい
る。
【0005】以上のような酢酸セルロース製造の基本的
工程の中で、低品位木材パルプを利用するために種々の
観点からの改良技術が発表されている。
【0006】米国特許第 3767642号では、α−セルロー
ス含有率92〜93%の木材パルプを希酢酸水溶液中で離解
しスラリーとした後、脱液と酢酸置換を繰り返す所謂ス
ラリー前処理を行ない、次に、従来技術で酢化反応を行
った後、反応系内の硫酸触媒を完全に中和し、反応混合
物を 125〜170 ℃でケン化・熟成して透明性、濾過性、
そして可紡性の良好な酢酸セルロースを得ている。
【0007】特開昭56−59801 号公報の方法は、α−セ
ルロース含有率の高い高品位パルプを通常の方法で乾式
解砕してから触媒として少量の硫酸を用い、高温短時間
で酢化反応を完結した後、系内の硫酸触媒を完全に中和
し、 110〜120 ℃でケン化・熟成反応を行ない、透明
性、濾過性、および可紡性の良好な酢酸セルロースを得
ている。そして、この技術はα−セルロース含有率の低
い、低品位パルプの利用も可能にするものと述べてい
る。
【0008】以上の技術に共通する特徴は高温度でケン
化・熟成反応を行うことである。この高温ケン化・熟成
により、酢酸セルロースの諸特性に害を与えるヘミセル
ロースの酢化物の破壊乃至形態変化が促進され、それら
が無害化されるものである。
【0009】また、特開平2−311501号公報、特開平4
−65401 号公報の技術は、低品位木材パルプのシートが
一般に高密度であり、解砕しにくいため、反応系への分
散性が悪く、ゲル状物の生成に繋がることに着目して、
上記の問題点を解決しようとする技術が開示されてい
る。すなわち、特開平2−311501号公報は、パルプシー
トを湿式解砕することにより柔軟化し、解砕時に発生す
る熱を蒸発潜熱として奪うことで、パルプの熱劣化をな
くし、反応性に富むセルロース原料を得、酢化反応中の
未反応物や不十分な反応に由来するゲルの生成を防ぐも
のである。一方、特開平4−65401 号公報は乾式解砕す
る際に、解砕機を工夫することで、解砕時のパルプの反
応性劣化をアセチル化反応に影響を及ぼさない程度に抑
え、酢化反応中の未反応物や不十分な反応に由来するゲ
ルの生成を防ぐものである。
【0010】更に、特開昭62−501 号公報では、溶剤に
よる膨潤処理を施したセルロース原料から酢酸セルロー
スを調製することによって、α−セルロース含有率の低
いビスコース、及びセルロースエーテル用のセルロース
原料を用いたにもかかわらず、色相の優れた酢酸セルロ
ースが得られることが開示されている。しかしながら、
特開昭62−501 号公報記載は、低品位パルプから調製し
た酢酸セルロースの色相改善を目的としたもので、他の
物性の改善効果の記述がなく、また、α−セルロース含
有率が90%以下のパルプには、効果が低いという欠点が
あった。
【0011】特開昭50−69186 号公報では、セルロース
エステルの製造方法に関して、目的のエステル化反応の
前に、異なったエステル化剤とパルプを反応せしめるこ
とによって、ヘミセルロースエステルを先に生成させ、
後に目的とするエステル化を行うことで高品質のセルロ
ースエステルが得られると述べられている。しかしなが
ら、特開昭50−69186 号公報記載の方法は、製造方法が
複雑になり実用的ではなく、また生成物の熱安定性の向
上まで考慮されたものではない。
【0012】一方、特開平6−157601号公報は、酢酸セ
ルロース製造時に有機溶媒を添加することによって、濾
過性、透明性に優れた酢酸セルロースが得られることを
開示している。しかしながら、特開平6−157601号公報
は酢酸セルロースの熱安定性まで考慮されたものではな
く、同公報の方法で得られる酢酸セルロースには熱安定
性の低いものが多い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】酢酸セルロースの製造
には、一般にセルロース原料としてα−セルロース含有
率の高い高品位木材パルプが使用されている。しかしな
がら、世界的な資源の節約とパルプ製造工場の公害問題
から、高品位のものの量的確保が困難になると予想さ
れ、低品位木材パルプへの転換が必要不可欠であると思
われる。
【0014】従って、本発明の目的は、低品位パルプか
ら濾過性、透明性、可紡性に優れ、さらに熱安定性にも
優れた酢酸セルロースを提供することである。特に、従
来これらの物性を低下させる大きな原因とされているヘ
ミセルロース(マンノースおよびキシロース)成分を含
有したまま濾過性、透明性、可紡性に優れ、さらに熱安
定性にも優れた酢酸セルロースを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】α−セルロース含有率の
高い高品位パルプを原料として酢化すると、反応の進行
に伴いパルプが反応系に溶解するようになり、反応終了
時には透明度の高い均一な反応溶液が得られる。一方、
α−セルロース含有率の低い低品位パルプを原料として
酢化すると、反応の進行に伴いパルプが徐々に溶解して
いくものの完全には溶解せず多量の不溶解残渣が残存す
る。そして、このような状態から回収した酢酸セルロー
スは、各種溶剤に溶解させた際の透明性、濾過性および
紡糸性が悪いものである。
【0016】発明者らは、この反応終了時の不溶解残渣
に注目し鋭意検討した結果、不溶解残渣は三酢酸セルロ
ースと三酢酸グルコマンナンが分子レベルで会合したも
のであることを明らかにした。そして、反応系におい
て、このような会合体を生成させず、三酢酸セルロース
と三酢酸グルコマンナンをなるべく孤立した状態で存在
させれば、ヘミセルロースを系外に除去することなし
に、濾過性、透明性、可紡性に優れた酢酸セルロースが
得られることを見い出した。そして、会合体の生成状態
を、反応溶液における波長 670nmの単色光の透過率で検
知し、透過率が高いほど、濾過性、透明性、可紡性に優
れた酢酸セルロースが得られることを見いだした。
【0017】一方、示差走査熱量計(DSC)および熱
重量測定装置(TG)を用いた昇温過程での評価による
と、低品位パルプから三酢酸セルロースを調製し反応溶
液透明度の低いままの状態から沈澱回収して得られたも
のは、三酢酸セルロースと三酢酸グルコマンナンが分子
レベルで会合しているものであるために、三酢酸セルロ
ースに特徴的な 440〜480 Kの結晶化による発熱ピーク
および 560〜600 Kの融解に基づく吸熱ピークが不明瞭
であり、また 460K付近から熱分解に基づく重量減少と
吸熱ピークが見られ、熱安定性の低いものであった。と
ころが、本発明の通り、何らかの方法で反応溶液の透明
度を、好ましくは90%以上まで上昇させた後沈澱回収し
た三酢酸セルロースは、三酢酸グルコマンナンなどヘミ
セルロース成分を多く含むにもかかわらず、DSC、T
G測定を行うと、三酢酸セルロースに特徴的な 440〜48
0 Kの発熱ピークおよび 560〜600 Kの吸熱ピークを有
し、さらに 560K付近まで熱分解に基づく顕著な重量減
少も見られず熱安定性の高い物であることを見い出し、
本発明を完成した。
【0018】すなわち、本発明は、構成糖分析における
マンノース、キシロースのモル含量の和が、グルコー
ス、マンノース、キシロースのモル含量の和のうち5%
以上を示す三酢酸セルロースであり、DSCによる昇温
過程での熱分析を行った際には、 440〜480 Kに発熱ピ
ークを有し、 560〜600 Kには吸熱ピークを有する三酢
酸セルロースに関する。
【0019】また、本発明は、構成糖分析におけるマン
ノース、キシロースのモル含量の和が、グルコース、マ
ンノース、キシロースのモル含量の和のうち5%以上を
示す三酢酸セルロースであり、TGによる熱分析を行っ
た際には、 350Kから 560Kまで昇温する間に20%以上
の重量減少を生じないことを特徴とする三酢酸セルロー
スに関する。
【0020】さらに、本発明は、α−セルロース含有率
85〜93%のパルプを原料とし、希釈剤として酢酸を用い
て酢酸セルロースを製造する方法において、製造工程の
中の何れかの工程で、反応溶液を波長670nm 単色光の透
過率が90%以上になるような処理をすることを特徴とす
る酢酸セルロースの製造方法に関する。
【0021】本発明によると、ヘミセルロース成分を多
く含む酢酸セルロースでありながら、濾過性、透明性、
可紡性および更には熱安定性に優れた酢酸セルロースが
得られる。
【0022】以下に、本発明を詳細に説明するが、その
前に、一般的な酢酸セルロースの製造方法を説明する。
【0023】まず、セルロース原料となるパルプを解砕
後、酢酸または酸性触媒を含んだ酢酸溶液を混合し前処
理活性化を行う。この前処理活性化は必ずしも必要では
ないが均一に反応させるためには行った方が好ましい。
【0024】次いで、前記前処理活性化を行ったパルプ
に酢化剤として無水酢酸、希釈剤として酢酸、それに酸
性触媒を加えて反応させることによって三酢酸セルロー
スが得られる。酢化触媒としては、例えば硫酸、過塩素
酸など酢酸エステル化を進行させるものであれば特に限
定されないが、好ましくは硫酸である。添加の順序に特
に制限はないが、パルプに触媒が触れると分解を起こす
ため予め酢酸または無水酢酸と混合して用いることが多
い。ここで用いられる酢酸、酸性触媒、無水酢酸の量に
特に制限はなく、反応時間および反応温度は反応溶液組
成によって大きく異なる。この段階で、パルプは反応が
進行するにつれ徐々に反応系に溶解していき、高品位パ
ルプでは均一で透明な溶液が得られる。一方、低品位パ
ルプでは完全には溶解せず多くの不溶解残渣が見られ
る。
【0025】三酢酸セルロースを目的とする場合には、
得られた反応溶液を水または希酢酸水溶液中に投入し沈
澱物として回収し、洗浄、精製、乾燥する。
【0026】二酢酸セルロース(二次酢酸セルロース)
を目的とする場合には、三酢酸セルロースを加水分解
(ケン化・熟成)し、所望の置換度に調整する。熟成工
程終了後、反応混合物を水または希酢酸水溶液中に投入
し沈澱物として回収し、洗浄、精製、乾燥する。
【0027】なお、本発明において、三酢酸セルロース
とは酢化度58.8%以上の酢酸セルロースを意味し、二酢
酸セルロースとは酢化度48.7以上58.8%未満の酢酸セル
ロースを意味するものと定義する。
【0028】本発明では、上記の製造方法において、原
料となる木材パルプとしてα−セルロース含有率が85〜
93重量%の低品位パルプを用いる。パルプ種は特に制限
しないが、針葉樹サルファイトパルプであることが好ま
しい。このような低品位パルプを用いると通常は、反応
溶液中に多くの不溶解残渣が存在し、溶液の透明度は著
しく低いものとなってしまうことは前述の通りである。
【0029】本発明の特徴は、何らかの方法で、低品位
パルプを用いて酢化した時の反応溶液の透明度を上昇さ
せることであり、好ましくは波長 670nmの単色光の透過
率が90%以上とした後に、三酢酸セルロースあるいは二
酢酸セルロースとして回収することで、糖分析を行うと
マンノース、キシロースのモル含量の和が、グルコー
ス、マンノース、キシロースのモル含量の和のうち5%
以上を示す三酢酸セルロースでありながら、各種溶剤に
溶解させた際の透明性、濾過性および紡糸性に優れる上
に、DSCによる熱分析で 440〜480 Kに三酢酸セルロ
ースの結晶化に由来すると考えられる発熱ピーク及び 5
60〜600 Kには三酢酸セルロースの融解に基づくと考え
られる吸熱ピークを有する三酢酸セルロースが得られ、
これはTGによる熱分析でも 350Kから 560Kまで昇温
する間に20%以上の重量減少が生じないといった熱安定
性に優れた三酢酸セルロースが得られるというものであ
る。特に、マンノース単独のモル含量がグルコース、マ
ンノース、キシロースのモル含量の和のうち5%以上を
示すような低品位パルプに対して、本発明の効果が著し
い。
【0030】本発明で、反応溶液の透明度を上昇させる
時期は反応開始から沈澱物として回収するまでの何れの
工程でもよい。
【0031】反応溶液の透明度を上昇させる方法は、特
に限定しないが、例えば次の方法が挙げられる。すなわ
ち、希釈剤である酢酸の一部を他の有機溶媒に置き換え
て反応させる、あるいは他の有機溶媒を何れかの工程で
添加するまたは反応系中の溶媒と置換するという方法で
ある。前記の有機溶媒としては、反応溶液の透明度を上
昇させる効果のあるものであれば特に限定しないが、例
えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、
1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、
ジクロロ酢酸などのハロゲン系溶媒や、ニトロメタン、
ニトロエタン、1−ニトロプロパンなどのニトロ化合物
系溶媒が挙げられる。特に好適な有機溶媒は、ニトロメ
タン、ニトロエタン、ジクロロ酢酸である。これらの有
機溶媒は、1種または2種以上を所望の比率で用いれば
よい。但し、本発明の熱安定性の高い三酢酸セルロース
を得るためには、反応溶液の透明度が90%以上になるま
で有機溶媒を添加することが好ましく、従って、酢酸に
対する混合割合(容積比)は、例えば、ニトロメタンで
はニトロメタン/酢酸=3/7以上、ニトロエタンでは
ニトロエタン/酢酸=3/7以上、ジクロロ酢酸ではジ
クロロ酢酸/酢酸=3/7以上にすることが好ましい。
【0032】なお、本発明における構成糖分析、熱分析
(DSCおよびTG)、透明度測定、不溶解残渣量測
定、濾過度(Kw)測定、酢化度測定の方法と測定条件
は下記の方法によるものと定義する。
【0033】構成糖分析:アルジトール・アセテート
法(Borchadt,L.G.;Piper,C.V.:Tappi,53, 257-260(197
0)) に準拠して行う。 測定条件 ガスクロマトグラフ;島津GC−7Aガスクロマトグラ
フ、カラム:10%Silar10Cカラム(2m)、注入温度:
250℃、カラム温度: 230℃、キャリヤーガス:ヘリウ
ム(40ml/min ) 結果は3回の測定の平均値で評価する。
【0034】熱分析:島津示差走査熱量計(Differen
tial Scanning Calorimeter-50;DSC−50)および島
津熱重量測定装置(Thermogravimetric Analyzer-50 ;
TGA−50)を用いて下記の条件で行う。 測定条件 窒素ガス流量:30ml/min 、測定温度範囲:室温から 6
00K、昇温速度:5K/min 。
【0035】透明度測定:任意の反応系で得られた酢
化反応溶液に対し、濃度補正のため仕込み時の組成で下
記の標準条件と同じ反応系になるように不足の酢酸、無
水酢酸を添加し、よく混合した後に、島津ダブルモノク
ロメーター分光光度計UV−365 を用いて、波長670nm
の単色可視光の透過率(%)を測定した。 標準反応系:パルプ/希釈溶媒(酢酸+有機溶媒)/無
水酢酸=1/160/7 (重量部) なお、透過率(%)は次式で表される。
【0036】透過率(%)=I(soln)/I(solv)×100 I(soln):試料溶液通過後の透過光強度、I(solv):ブ
ランク溶媒通過後の透過光強度。
【0037】不溶解残渣量:で調製した標準反応系
に補正した反応溶液を7000rpm,30分間遠心分離し、洗浄
して不溶解残渣を定量した。
【0038】酢化度:ASTM D−871(1970年)に
準拠して行った。
【0039】
【発明の効果】本発明の酢酸セルロースは、α−セルロ
ース含有率の低い低品位パルプから製造され、多くのヘ
ミセルロース成分を含むにもかかわらず、優れた透明
性、濾過性、可紡性を有し、特に熱安定性に優れたもの
であり、従来には不可能であった低品位パルプの高度な
利用を可能にした。低品位パルプの利用により、従来有
効に利用されていなかったヘミセルロース成分の有効利
用が可能となる。また、本発明の製造方法は、前記の通
り低品位パルプから高品質な酢酸セルロースを製造する
ものである。
【0040】
【実施例】以下に本発明を具体的に説明する実施例を示
すが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものでは
ない。尚、特記しない限り実施例中の「部」とは「重量
部」を、「%」は「重量%」を示すものである。
【0041】実施例1〜6及び比較例1〜2 サルファイト法針葉樹溶解パルプ(α−セルロース含有
率87.5%)を家庭用ミキサーで水解砕後、アセトン置換
し乾燥した。このパルプ1部を表1記載の有機溶媒/酢
酸混合溶液 160部に40℃で20分間浸漬した。ここに、硫
酸 0.1部、無水酢酸7部を添加して、40℃で3時間反応
させた。なお、比較例1では有機溶媒/酢酸混合溶液 1
60部の代わりに酢酸 160部を用いた。得られた反応溶液
について、透過率の測定および不溶解残渣量の定量を行
った。結果を表1に示す。一方、反応溶液を激しい攪拌
下に希酢酸水溶液に投入し、フレーク状の三酢酸セルロ
ースを生成させ、充分洗浄した後乾燥した。得られた三
酢酸セルロースについてDSC、TGによる熱分析を行
ない、 560Kでの重量減少率(%)およびDSC曲線を
評価した。また、構成糖分析、酢化度の測定を行なっ
た。表1に得られた結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例では、ヘミセルロースを多く含むに
もかかわらず、不溶解残渣量からもわかるように、有機
溶媒の使用により濾過性が向上し、透明性も良好、かつ
熱安定性の良い三酢酸セルロース製品が得られた。
【0044】次に、図1には典型的な三酢酸セルロース
のDSC、TGについての測定結果を、図2には比較例
2(ニトロメタン/酢酸=1/9)の三酢酸セルロース
についてのDSC、TGの測定結果を、図3には実施例
1(ニトロメタン/酢酸=3/7)の三酢酸セルロース
についてのDSC、TGの測定結果を示した。図1で
は、DSC曲線の 480K付近に結晶化に基づく発熱ピー
クと 575K付近に融解に基づく明確な吸熱ピークが見ら
れる。また、TG曲線をみると 560K付近まで殆ど重量
減少がみられず、熱安定性が高いものである。図2はT
G曲線の470K付近から熱分解による著しい重量減少が
始まり、これに伴いDSC曲線では 500K付近に吸熱ピ
ークが見られる。そして、三酢酸セルロースに特徴的な
結晶化に基づく発熱ピークおよび融解に基づく明確な吸
熱ピークが不明確になり、三酢酸セルロースと三酢酸グ
ルコマンナンの会合体の特徴を示している。一方、図3
のようにニトロメタンをニトロメタン/酢酸=3/7ま
で増加すると、図1と同様のDSC曲線になり、また重
量減少も少なく熱安定性の良好なものが得られているこ
とが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的な三酢酸セルロースのDSC、TGにつ
いての測定結果を示す図である。
【図2】比較例2の三酢酸セルロースのDSC、TGに
ついての測定結果を示す図である。
【図3】実施例1の三酢酸セルロースのDSC、TGに
ついての測定結果を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成糖分析におけるマンノース、キシロ
    ースのモル含量の和が、グルコース、マンノース、キシ
    ロースのモル含量の和のうち5%以上を示す三酢酸セル
    ロースであり、DSCによる昇温過程での熱分析を行っ
    た際には、 440〜480 Kに発熱ピークを有し、 560〜60
    0 Kには吸熱ピークを有する三酢酸セルロース。
  2. 【請求項2】 構成糖分析におけるマンノースのモル含
    量が、グルコース、マンノース、キシロースのモル含量
    の和のうち5%以上を示す三酢酸セルロースであり、D
    SCによる昇温過程での熱分析を行った際には、 440〜
    480 Kに発熱ピークを有し、 560〜600 Kには吸熱ピー
    クを有する三酢酸セルロース。
  3. 【請求項3】 構成糖分析におけるマンノース、キシロ
    ースのモル含量の和が、グルコース、マンノース、キシ
    ロースのモル含量の和のうち5%以上を示す三酢酸セル
    ロースであり、TGによる熱分析を行った際には、 350
    Kから 560Kまで昇温する間に20%以上の重量減少を生
    じないことを特徴とする三酢酸セルロース。
  4. 【請求項4】 構成糖分析におけるマンノースのモル含
    量が、グルコース、マンノース、キシロースのモル含量
    の和のうち5%以上を示す三酢酸セルロースであり、T
    Gによる熱分析を行った際には、 350Kから 560Kまで
    昇温する間に20%以上の重量減少を生じないことを特徴
    とする三酢酸セルロース。
  5. 【請求項5】 α−セルロース含有率85〜93%のパルプ
    を原料とし、希釈剤として酢酸を用いて酢酸セルロース
    を製造する方法において、製造工程の中の何れかの工程
    で、反応溶液を波長670nm 単色光の透過率が90%以上に
    なるような処理をすることを特徴とする酢酸セルロース
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応溶液を波長670nm 単色光の透過率が
    90%以上になるような処理が、希釈剤である酢酸の一部
    を、有機溶媒/酢酸が3/7以上の混合割合(容積比)
    で他の有機溶媒に置き換えて反応させる処理である請求
    項5記載の酢酸セルロースの製造方法。
  7. 【請求項7】 製造する酢酸セルロースが三酢酸セルロ
    ースである請求項5又は6記載の酢酸セルロースの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の三
    酢酸セルロースを熟成して製造した二酢酸セルロース。
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