JP4047709B2 - 二酢酸セルロース - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、二酢酸セルロースに関し、更に詳しくは、低品位木材パルプを原料とするにもかかわらず、良好な濾過性、色相を持ち、溶剤に溶解した際の未溶解物が少なく、また、遠心分離によって得られる沈降成分中のグルコマンナンアセテートの粒度が極めて小さいことを特徴とする、二酢酸セルロースに関するものである。
【0002】
【従来技術】
酢酸セルロースは、セルロースの有機酸エステルの一つであって、その用途は、衣料用繊維、タバコフィルター・チップ、プラスチックス、フィルム、塗料、医薬品、食品、化粧品、建材用途など多岐にわたり、セルロース誘導体の中でも生産量が多く、工業的に非常に重要なものである。
【0003】
代表的な二酢酸セルロースの工業的製造法として、無水酢酸を酢化剤、酢酸を希釈剤、硫酸を触媒として使用する所謂酢酸法が挙げられる。この方法は、▲1▼α−セルロース含量の比較的高いセルロース原料を、離解、解砕後、酢酸を散布混合して前処理活性化させた後、予め冷却した無水酢酸、酢酸及び硫酸よりなる混酸で処理して、三酢酸セルロースを得る酢化工程と、▲2▼得られた三酢酸セルロースを加水分解によって、所望の酢化度の二酢酸セルロースとする熟成工程と、▲3▼二酢酸セルロースを反応溶液より沈殿分離、精製、安定化、乾燥する後処理工程から成っている。ここでいう二酢酸セルロースとは、酢化度50〜57%のものを指す。また、酢化度は、ASTM−D−871の方法に準じて測定算出した値、即ち、酢酸セルロース中のアセチル基量を、酢酸として換算して算出した値をいう。
【0004】
上記の方法で調製された二酢酸セルロースは、再度、アセトン等の溶媒に溶解され、成型加工された後、製品として使用される。
【0005】
以上のような基本的工程の中で、α−セルロース含有率の低い、低品位木材パルプから高品質の二酢酸セルロースを得ることを目的として、種々の観点から改良技術が発表されている。
【0006】
特開昭62−501 号公報では、溶剤による膨潤処理を施したセルロース原料からセルロースアセテートを調製することによって、α−セルロース含有率の低いビスコース、及びセルロースエーテル用のセルロース原料用いたにもかかわらず、色相の非常に優れたセルロースアセテートが得られることが開示されている。
【0007】
また、特開昭50−69186 号公報では、セルロースエステルの製造方法に関して、目的の低級アルカン酸エステルとの反応の前に、異なったエステル化剤とパルプを反応せしめることによって、ヘミセルロースエステルを先に生成させ、より純粋なセルロース源の反応と比肩しうる特性を有するものが得られると述べている。そして、この技術によれば、パルプ中のヘミセルロース量が5%よりはるかに高く、8%、10%あるいはそれ以上であっても、高品質のセルロースエステルを得ることが可能である。
【0008】
しかしながら、上記の特開昭62−501 号公報記載は、低品位木材パルプから調製したセルロースアセテートの色相改善を目的としたもので、他の物性値の改善効果の記述がなく、また、α−セルロース含有率が90%以下のパルプには、効果が低いという欠点があった。
【0009】
また、特開昭50−69186 号公報記載では、パルプ中のヘミセルロース量が10%以上であっても、物性の改善効果があるとされているが、アセチル化に関しては、三酢酸セルロースの濾過性の上昇、系の残留物重量減少効果についてのみ書かれており、本発明の対象である二酢酸セルロースの物性については不明である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般にセルロース原料としては、α−セルロース含有率の高い高品位木材パルプが使用されている。しかしながら、世界的な資源の節約とパルプ製造工場の公害問題から、高品位のものの量的確保が困難になると予想され、低品位木材パルプへの転換が必要不可欠であると思われる。
【0011】
従来の方法を用いて、低品位木材パルプから二酢酸セルロースを調製した場合、溶剤に溶解した際に、多量の不溶解成分が生じ、製品の透明度の低下や、黄色性の増加、紡糸前工程でのろ過性の顕著な低下など種々の問題が生じる。α−セルロース含有率と、パルプから調製された二酢酸セルロースの性状とは相関関係を示し、化学的因子のみでパルプの酢化適性を論じた場合、原料パルプのα−セルロース含有率が93%以下になると、アセトン等の溶媒に溶解しない不溶解物が急激に増加し、実際に製品として使用できない劣悪な二酢酸セルロースしか得ることが出来なくなる。
【0012】
不溶解成分に関しては、これまでに多くの検討が行われており、文献も多数あるが、不溶解成分の生成に原料パルプ中に存在するヘミセルロースが関与しているという可能性が指摘されている〔上田ら、木材学会誌、34 (4)、346 〜353 、(1988)〕。
【0013】
そこで、不溶解成分の少ない二酢酸セルロースを得るためには、▲1▼原料として、ヘミセルロース含量の少ない高度に精製された高品位木材パルプを用いるか、あるいは、▲2▼低品位パルプから調製した二酢酸セルロース中の不溶解成分を減少、除去する操作が必要であると考えられる。
【0014】
実際に工業的に行われているのは前者の高品位木材パルプを原料として用いる方法である。ところが、パルプを高度に精製するためにヘミセルロースを取り除くことは、パルプ原料となる木材からのパルプ収率の低下を意味し、製造コストの増大につながることになるのみならず、地球規模での資源の有効利用の観点からも好ましくないと考えられる。更に、高純度パルプから得られる酢酸セルロースの不溶解成分量も充分に少ないと言えるものではなく、これを更に低減させることによって、品質を一段と向上させることが望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、α−セルロース含有率の低い低品位木材パルプから、高品質の二酢酸セルロースを得ることを目的として、鋭意検討を重ねた結果、二酢酸セルロースを、これに対して良好な溶解性を有する溶媒に一旦溶解した後、これを回収することによって、低品位木材パルプから調製したにもかかわらず、アセトン等の溶剤に溶解させた際の不溶解成分量が顕著に少なく、ろ過性や透明性にも非常に優れ、また不溶解成分を構成するグルコマンナンアセテートの粒径が極めて小さい等、高品位木材パルプから調製した二酢酸セルロースの品質と比肩しうるような優れた品質を持つ二酢酸セルロースが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち本発明は、原料パルプの酢化工程と熟成工程を含む二酢酸セルロースの製造方法において、熟成後の二酢酸セルロースを、当該二酢酸セルロースを溶解し得る溶媒に二酢酸セルロースを溶解させ、二酢酸セルロースを回収することを特徴とする二酢酸セルロースの製造方法及びこの製造方法によって製造された優れた品質を有する二酢酸セルロースを提供するものである。
【0017】
本発明によれば、不溶解成分を形成するのに大きな影響を及ぼしているヘミセルロースを系外に除外するのではなく、それらを系内に残したまま、該二酢酸セルロースの濾過性、透明度等の品質を向上させることが出来る。これは本来アセトンにアセトン等に不溶な物質が溶媒に一旦溶解し、再度沈澱等で取り出すと構造が変化し、アセトンに可溶となるものと考えられる。
【0018】
本発明の製造方法は、現在工業的に製造されている二酢酸セルロースの品質向上のために用いることが出来るのみならず、ヘミセルロース含量が多いためこれに起因する不溶解成分のために、満足出来る品質が得られなかったような低品位のパルプからも、満足出来る品質を有する二酢酸セルロースを得ることをも可能にする。
【0019】
本発明の二酢酸セルロースの製造方法を簡単に説明すると、セルロース原料となるパルプを解砕後、酢酸を散布混合することによって前処理を行い、無水酢酸、酢酸及び酸性触媒よりなる混酸で処理することによって三酢酸セルロースを得る(酢化工程)。ここで用いられる無水酢酸、酢酸及び酸性触媒の量、或いは反応温度等は通常の方法に準ずる。得られた三酢酸セルロースは引き続き、部分加水分解することによって所望の酢化度の二酢酸セルロースが得られる(熟成工程)。熟成工程を終えた二酢酸セルロースは、二酢酸セルロースを溶解し得る溶媒に一旦溶解され、常法により回収され、乾燥される。
【0020】
本発明に使用するパルプ原料のα−セルロース含量は85%以上であれば良く、これらから得られる二酢酸セルロースの透明性や濾過等の品質が本発明によって向上される。特にα−セルロース含量85〜93%程度のヘミセルロース含量の多い低品位のパルプにおいては、その効果が顕著であるが、これに限定されるものではない。
【0021】
熟成後の二酢酸セルロースを一旦溶解させるのに用いる溶媒としては、二酢酸セルロースに対して良好な溶解性を有するものであれば特に限定はしないが、例えば、塩化メチレン、エチレンクロライド、クロロホルム、1,1,2,2 −テトラクロロエタン等の塩素化炭化水素、あるいはこれとメタノール、エタノール、酢酸等の極性溶媒から成る混合溶媒を用いるとその効果は顕著である。これらの溶媒は二酢酸セルロースを充分に溶解できる量で使用される。また、溶解及び回収の温度、濃度等の条件については特に限定をしない。
【0022】
本発明の製造方法により製造された二酢酸セルロースは、低品位木材パルプを原料とするにもかかわらず、アセトン等の溶剤に溶解させた際の不溶解成分量が顕著に少なく、また不溶解成分を構成するグルコマンナンアセテートの粒径が極めて小さく、ろ過性や透明性にも非常に優れ、高品位木材パルプから調製した二酢酸セルロースの品質と比肩しうる品質を有する。
【0023】
また、本発明は種々の物性を有する二酢酸セルロースを提供するものである。具体的には、以下の〔イ〕〜〔ヘ〕に示す二酢酸セルロースが挙げられる。
【0024】
〔イ〕構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3%以上であって、
▲1▼2重量%アセトン溶液を8000rpm で30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 0.2%以下
▲2▼2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 1.1%以上
である二酢酸セルロース。特に、2重量%アセトン溶液を8000rpm で30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の重量が、2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の重量の15%以下の二酢酸セルロースが挙げられる。
【0025】
〔ロ〕構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3%以上であって、
▲1▼所定の方法で測定したKWが 200以下
▲2▼2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 1.1%以上
である二酢酸セルロース。
【0026】
〔ハ〕構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3%以上であって、
▲1▼所定条件で測定した一定体積の希薄溶液中に存在する粒子径5.04〜64.0μm の不溶解物総体積が、5×10-6cm3以下
▲2▼2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 1.1%以上
である二酢酸セルロース。
【0027】
〔ニ〕構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3%以上であって、
▲1▼所定条件で測定したHazeが20以下
▲2▼2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 1.1%以上
である二酢酸セルロース。
【0028】
〔ホ〕2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、該沈降成分中のマンノースの割合が、キシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の10%以上であって、且つ2重量%アセトン溶液を8000rpmで30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、該沈降成分中のマンノースの割合が、キシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3%以下である二酢酸セルロース。
【0029】
〔ヘ〕下記の (A)〜(H) を満たす二酢酸セルロース。
(A) 構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3%以上
(B) 2重量%アセトン溶液を8000rpm で30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 0.2%以下
(C) 2重量%アセトン溶液を8000rpm で30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、該沈降成分中のマンノースの割合がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3%以下
(D) 2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 1.1%以上
(E) 2重量%アセトン溶液を8000rpm で30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の重量が、2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の重量の15%以下である
(F) 所定の方法で測定したKWが 200以下(G) 所定条件で測定した一定体積の希薄溶液中に存在する粒子径5.04〜64.0μmの不溶解物総体積が、5×10-6cm3以下
(H) 所定条件で測定したHazeが20以下。
【0030】
また、これらの各二酢酸セルロースは、2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、マンノースの割合がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の10%以上のものであってもよい。
【0031】
これらの各二酢酸セルロースの製造法は特に限定されないが、前述の本発明の製造方法によれば低グレードのパルプを原料から容易に製造することができるため好ましい。
【0032】
なお、二酢酸セルロースの諸物性値の測定は以下の方法に従った。
【0033】
(i)構成糖分析:
分析方法は、セルロースサンプルの加水分解過程、水素化ホウ素ナトリウムによる還元過程、無水酢酸/ピリジン系でのアセチル化過程からなるアルジトール・アセテート法に準拠し、ガスクロマトグラフィによって構成糖割合を算出した(L.G.Borchardt and C.V.Piper:Tappi,53, 257〜280 (1970))。
ガスクロマトグラフ測定条件は、以下の通りである。
ガスクロマトグラフ:島津GC−7Aガスクロマトグラフ
カラム:10%Silar 10C(2m) 注入温度:250℃
カラム温度:230℃ キャリアー・ガス:ヘリウム(50ml/min)
打ち込み量:5μl 。
【0034】
(ii)沈降量:
遠心分離による沈降量測定の際に、二酢酸セルロースを溶解させる溶媒は、二酢酸セルロースに対して良好な溶解性を示すアセトンが用いられる。遠心分離による沈降量の測定では、各条件で沈降成分を分離した後、同溶媒、同条件で再度遠心分離を行って沈降成分を洗浄した後、定量を行った。
【0035】
(iii)KW:
95%アセトン水溶液に、20%濃度となるように溶解した二酢酸セルロース溶液を30℃で所定のろ布(直径15mm、ろ過面積1.77cm2 )に通し、一定圧力(2kgf/cm2)下にろ過するろ過量を測定し、次式によりろ過度(KW)を算出する。
KW=〔(2−P2/P1)/(P1+P2)〕×104
ここで、P1:ろ過開始から20分間のろ過量(ml)
P2:20分より60分までの40分間のろ過量(ml) である。
KWは、二酢酸セルロース試料溶液中の不溶解成分量の多少を示していることから、ろ過性の指標となる。本式に従えば、KW値が小さい程、溶液の不溶解成分量が少なく、試料のろ過性が良好であることを示す。
【0036】
(iv)不溶解物総体積:
試料の希薄溶液中に存在する不溶解物の総体積は、電気抵抗法を用いて不溶解物の粒径分布を測定することによって算出した。電気抵抗法とは、電解液中に分散させた粒子を、電解液と共に、一定電流が流れている細孔を吸引と共に通過させ、個々の粒子が通過する際に生じる細孔の電気抵抗量の変化を計測するものでる。詳しくは、細孔内を粒子が通過する際に、粒子容積に相当する電解液量が排斥され、さらにその排斥量に比例して、電気抵抗量の増加が認められることを利用して、電気抵抗の変動をパルスとして検出し、細孔通過粒子の個数及び容積を求める方法である。
本発明では、試料の希薄溶液の濃度は1重量%とし、測定溶液として4.9%の電解質を含むアセトン溶液を用いて、試料溶液2ml中に存在する粒子径が5.04〜64.0μm の不溶解物の総体積を上記の方法に従って求めた。
【0037】
(v) Haze:
ASTM D−1044(1973)の方法に従って測定した。この方法では、試料溶液に光源をあて、その際の乱反射光の強さを測定することから、Haze値が低いほど、透明度に優れたサンプルであることを示す。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、二酢酸セルロース中から、ヘミセルロースを系外に取り除くことなく系中に残したまま、濾過性、透明性に優れた二酢酸セルロースを得ることができる。
【0039】
また、本発明の二酢酸セルロースの品質は、高品位木材パルプを原料として得られた二酢酸セルロースの品質と遜色ないか、あるいはそれ以上であり、従来使用不可能であった低品位木材パルプの利用を可能にしたという観点から、本発明は極めて有用なものである。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するための実施例を示すが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、例中、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0041】
実施例1
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含量87%)を家庭用ミキサーで水解砕後、アセトン置換して乾燥した。得られたフラッフ状パルプを含水率5%とした後、パルプ 100部に対し、 500部の酢酸を均一に散布し60℃にて2時間混合し、前処理を行った。予め、12℃に冷却した無水酢酸 250部及び硫酸4部をニーダー中に準備しておき上述の前処理パルプを投入攪拌混合した。
【0042】
内容物は、原料パルプが同伴する水と無水酢酸との反応及びセルロースと無水酢酸との反応により発熱するが、初期の16℃前後より60分かかって77℃に到達するように、外部冷却、加熱によって調節し、更に77℃にて12分間保持して酢化反応を行った。
【0043】
次いで10部の20%酢酸マグネシウム水溶液を添加混合し、系内の硫酸を中和しかつ過剰とした。かくして中和された反応混合物をオートクレーブに移し、密閉下でゲージ圧5kg/cm2の水蒸気を攪拌下に吹き込み、約60分かけて 150℃に到達させた。 150℃で50分間保持した後、反応物を徐々に大気中にフラッシュさせて、反応混合物の温度を 100℃とした。
【0044】
反応混合物は激しい攪拌下に希酢酸水溶液を加えて、二酢酸セルロースのフレークを生成させ、充分洗浄した後、乾燥した。得られた二酢酸セルロースフレークの酢化度は56.3%、重合度は 178であった。
【0045】
以上のようにして調製した二酢酸セルロースのフレークを、塩化メチレン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、該溶液を減圧下において濃縮し、メタノールを加えることによって沈殿を生成させ、該二酢酸セルロースを回収し、充分に乾燥させた。かくして得られた二酢酸セルロースのKWは86と非常に良好な値であった。
【0046】
なお、二酢酸セルロースの濾過性は以下の方法で行った。即ち、95%アセトン水溶液に、20%濃度となるようにして溶解させた二酢酸セルロース溶液を50℃で所定の濾布に通し、一定圧力下に濾過する濾過量を測定し、次式によって算出した。本式によって得られる濾過性の指標であるKWは、その値が小さい程、良好な濾過性を示すものである。
KW=〔(2−P2/P1)/(P1+P2)〕×104
ここで、P1:濾過開始から20分間の濾過量(ml)
P2:20分より60分までの40分間の濾過量(ml)
である。
【0047】
実施例2
実施例1と同様にして、酢化・熟成して得られた二酢酸セルロースをクロロホルム/メタノール(9/1、重量比)に2%濃度となるように溶解させた後、実施例1と同様な方法によって該二酢酸セルロースを回収し、そのKWを測定したところ、 115と良好な値を示した。
【0048】
比較例1
実施例1と同様にして、酢化・熟成して得られた二酢酸セルロースを実施例に示したようにクロロホルム/メタノール混合溶媒に溶解させることなく、そのままKWを測定した結果、601と非常に大きな値であり、濾過性の悪い二酢酸セルロースであった。
【0049】
実施例3
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含量91%)を原料として、実施例1と同様な方法によって二酢酸セルロースを調製し、塩化メチレン/メタノール(9/1、重量比)に2%濃度となるように一旦溶解させた後、実施例1と同様に該二酢酸セルロースを回収し、そのKWを測定したところ、68と非常に良好な値であった。
【0050】
参考例1
実施例3と同様にして、酢化・熟成して得られた二酢酸セルロースを酢酸/水(65/35、重量比)に一旦溶解させた後、実施例1と同様に該二酢酸セルロースを回収し、そのKWを測定したところ、188であった。
【0051】
比較例2
実施例3と同様の二酢酸セルロースを熟成後の溶媒に溶解させる処理を行うことなく、そのままKWを測定した結果、251であった。
【0052】
次に本発明の二酢酸セルロースについての実施例を挙げるが、構成糖分析、沈降量、KW、不溶解物総体積及びHazeは、先に述べた (i)〜(v) の方法により測定した。
【0053】
参考例2、3
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を水中で解砕後、アセトン置換して乾燥した。得られたフラッフ状パルプを、含水率 5.0%となるように調湿した後、パルプ 100部に対し、 500部の酢酸を均一に散布し、60℃にて2時間混合し、前処理活性化を行った。予め、12℃に冷却した無水酢酸 250部、酢酸 375部、硫酸4部の混液を捏和式酢化機内に用意しておき、前記の前処理活性化パルプを投入攪拌混合した。内容物は、原料パルプが同伴する水と無水酢酸との反応、及びセルロースと無水酢酸との反応によって発熱するが、初期の16℃前後より、60分かけて77℃に到達するように、外部冷却により温度を調整し、更に77℃にて12分間保持して酢化反応を行った。
【0054】
次いで、10部の20%酢酸マグネシウム水溶液を添加混合し、系内の硫酸を中和し、且つ、過剰とした。かくして中和した反応混合物をオートクレーブに移し、密閉下でゲージ圧5kg/cm2の水蒸気を攪拌下に吹き込み、約60分かけて 150℃に到達させた。その後、 150℃で50分間保持した後、反応物を徐々に大気中にフラッシュさせて、反応混合物の温度を 100℃とした。反応混合物は、激しい攪拌下に希酢酸水溶液を加えて、フレーク状二酢酸セルロースとして分離した後、充分に洗浄した後、乾燥した。
【0055】
以上のようにして調製したフレーク状の二酢酸セルロースを、ジクロロメタン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、その溶液を減圧下において濃縮、乾固し、溶剤処理試料を得た。また同じ原料パルプから表1の参考例3に示す酢化度、重合度の二酢酸セルロースを得た。
【0056】
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表1に示した。なお、表中、8K沈降量は、2重量%アセトン溶液を8000rpm で30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の量を、50Kは2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量を意味する(以下同じ)。
【0057】
比較例3〜5
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料とし、参考例2と同様の方法で、反応条件を変えて酢化・熟成反応を行い、種々の二酢酸セルロースを得た。ただし、ジクロロメタン/メタノール溶媒による処理は行なわなかった。
【0058】
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例4〜6
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料として、参考例2と同様にして、酢化、熟成反応を行い、フレーク状の二酢酸セルロースを調製した。得られたフレーク状の二酢酸セルロースを、ジクロロメタン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、その溶液を減圧下において濃縮、乾固し、溶剤処理試料を得た。
【0061】
また同じ原料パルプから表2の実施例5,6に示す酢化度、重合度の二酢酸セルロースを得た。
【0062】
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表2に示した。
【0063】
比較例6〜8
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料とし、参考例2と同様の方法で、反応条件を変えて酢化・熟成反応を行い、二酢酸セルロースを得た。ただし、ジクロロメタン/メタノール溶媒による処理は行なわなかった。
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
参考例4〜6
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料として、参考例2と同様にして、酢化、熟成反応を行い、フレーク状の二酢酸セルロースを調製した。得られたフレーク状の二酢酸セルロースを、ジクロロメタン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、その溶液を減圧下において濃縮、乾固し、溶剤処理試料を得た。
また同じ原料パルプから表3の参考例5、6に示す酢化度、重合度の二酢酸セルロースを得た。
【0066】
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表3に示した。
【0067】
なお、不溶解物総体積の測定は、前述の方法(iv)に従って行なったが、具体的には、次のようにして測定した。得られた二酢酸セルロースを、チオシアン酸アンモニウム 4.9%、水 4.7%、アセトン89.4%の組成を示す電解溶液に1%濃度となるように溶解する。その後コールター(登録商標)マルチサイザーII型(コールター社製)を用いて、その溶液2ml中の不溶解物の粒径分布を測定し、粒子径5.04〜64.0μm の不溶解物総体積を算出した。その結果、参考例4〜6で得られた二酢酸セルロースは、何れも、溶液2ml中に存在する粒子径5.04〜64.0μmの不溶解物の総体積が5×10−6cm3以下の値を示し、非常に不溶解物の少ない二酢酸セルロースであった。
【0068】
比較例9〜11
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料とし、参考例2と同様の方法で、反応条件を変えて酢化・熟成反応を行い、種々の二酢酸セルロースを得た。ただし、ジクロロメタン/メタノール溶媒による処理は行なわなかった。
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表3に示した。
比較例9〜11で得られた二酢酸セルロースは溶液2ml中に存在する粒子径5.04〜64.0μm の不溶解物の総体積が、何れも14×10−6cm3以上であり、非常に多量の不溶解物が含まれていた。
【0069】
【表3】
【0070】
参考例7〜9
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料として、参考例2と同様にして、酢化、熟成反応を行い、フレーク状の二酢酸セルロースを調製した。得られたフレーク状の二酢酸セルロースを、ジクロロメタン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、その溶液を減圧下において濃縮、乾固し、溶剤処理試料を得た。
また同じ原料パルプから表4の参考例8,9に示す酢化度、重合度の二酢酸セルロースを得た。
【0071】
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表4に示した。本実施例で得られた二酢酸セルロースは、何れもHazeが20以下と非常に良好な値を示し、透明度に優れたものであった。
【0072】
比較例12〜14
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料とし、参考例2と同様の方法で、反応条件を変えて酢化・熟成反応を行い、種々の二酢酸セルロースを得た。ただし、ジクロロメタン/メタノール溶媒による処理は行なわなかった。
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表4に示した。本比較例で得られた二酢酸セルロースは、Hazeが27.1〜41.4と高い値を示した。
【0073】
【表4】
【0074】
参考例10
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料として、参考例2と同様にして、酢化、熟成反応を行い、フレーク状の二酢酸セルロースを調製した。得られたフレーク状の二酢酸セルロースを、ジクロロメタン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、その溶液を減圧下において濃縮、乾固し、溶剤処理試料を得た。得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表5に示した。
【0075】
本実施例で得られた二酢酸セルロースは、50K沈降成分中のマンノースの割合が、キシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の11.1%であり、8K沈降成分中のマンノースの割合が、キシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 2.3%であった。このことは、本発明の二酢酸セルロースでは不溶解物のうち、比較的粒径が小さい粒子群にグルコマンナンアセテートがより多く含まれていることを意味する。すなわち、本発明の二酢酸セルロースでは不溶解物を形成するグルコマンナンアセテートの粒子が極めて微小であることが示唆されている。
【0076】
比較例15,16
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を原料とし、参考例2と同様の方法で、反応条件を変えて酢化・熟成反応を行い、種々の二酢酸セルロースを得た。ただし、ジクロロメタン/メタノール溶媒による処理は行なわなかった。
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析結果等を表5に示した。
【0077】
本比較例で得られた二酢酸セルロースは、いずれも8K沈降成分中のマンノースの割合が参考例10よりも多くなっており、不溶解物を形成するグルコマンナンアセテートの粒子は参考例10の二酢酸セルロースに比べて大きくなっていることがわかる。
【0078】
【表5】
【0079】
実施例7〜9
針葉樹サルファイトパルプ(α−セルロース含有率87.5%)を水中で解砕後、アセトン置換して乾燥した。得られたフラッフ状パルプを、含水率 5.0%となるように調湿した後、パルプ 100部に対し、 500部の酢酸を均一に散布し、60℃にて2時間混合し、前処理活性化を行った。予め、12℃に冷却した無水酢酸 250部、酢酸 375部、硫酸4部の混液を捏和式酢化機内に用意しておき、前記の前処理活性化パルプを投入攪拌混合した。内容物は、原料パルプが同伴する水と無水酢酸との反応、及びセルロースと無水酢酸との反応によって発熱するが、初期の16℃前後より、60分かけて77℃に到達するように、外部冷却により温度を調整し、更に77℃にて12分間保持して酢化反応を行った。
【0080】
次いで、10部の20%酢酸マグネシウム水溶液を添加混合し、系内の硫酸を中和し、且つ、過剰とした。かくして中和した反応混合物をオートクレーブに移し、密閉下でゲージ圧5kg/cm2の水蒸気を攪拌下に吹き込み、約60分かけて 150℃に到達させた。その後、 150℃で50分間保持した後、反応物を徐々に大気中にフラッシュさせて、反応混合物の温度を 100℃とした。反応混合物は、激しい攪拌下に希酢酸水溶液を加えて、フレーク状二酢酸セルロースとして分離した後、充分に洗浄した後、乾燥した。
【0081】
以上のようにして調製したフレーク状の二酢酸セルロースを、ジクロロメタン/メタノール(9/1、重量比)溶媒に2%濃度となるように溶解させた。その後、その溶液を減圧下において濃縮、乾固し、溶剤処理試料を得た。
【0082】
また同じ原料パルプから表6の実施例8,9に示す酢化度、重合度の二酢酸セルロースを得た。
【0083】
得られた二酢酸セルロースの酢化度、重合度、構成糖分析、8K沈降量とその構成糖分析、50K沈降量とその構成糖分析、KW、不溶解物体積及びHazeを表6に示した。
【0084】
【表6】
Claims (7)
- 構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3.3%以上であって、
下記方法で測定したKWが 82 〜 115である二酢酸セルロース。
KW: 95 %アセトン水溶液に、 20 %濃度となるように溶解した二酢酸セルロース溶液を 30 ℃で所定のろ布(直径 15mm 、ろ過面積 1.77cm 2 )に通し、一定圧力( 2kgf / cm 2 ) 下にろ過するろ過量を測定し、次式によりろ過度(KW)を算出する。
KW=〔(2− P 2 / P 1 )/( P 1 + P 2 )〕× 10 4
ここで、 P 1 :ろ過開始から 20 分間のろ過量( ml)
P 2 : 20 分より 60 分までの 40 分間のろ過量( ml) である。 - 構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3 %以上であって、
(1) 2重量%アセトン溶液を 8000rpm で 30 分間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 0.2 %以下
(2) 2重量%アセトン溶液を 50000rpm で3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 1.1 %以上である請求項1記載の二酢酸セルロース。 - 2重量%アセトン溶液を8000rpmで30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量の15%以下である請求項1記載の二酢酸セルロース。
- 構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3.3%以上であって、
(1) 下記条件で測定した一定体積の希薄溶液中に存在する粒子径5.04〜64.0μmの不溶解物総体積が、5×10−6cm3以下
(2)2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の1.1%以上
である請求項1記載の二酢酸セルロース。
不溶解物総体積:試料の希薄溶液中に存在する不溶解物の総体積は、電気抵抗法を用いて不溶解物の粒径分布を測定することによって算出した。電気抵抗法とは、電解液中に分散させた粒子を、電解液と共に、一定電流が流れている細孔を吸引と共に通過させ、個々の粒子が通過する際に生じる細孔の電気抵抗量の変化を計測するものでる。詳しくは、細孔内を粒子が通過する際に、粒子容積に相当する電解液量が排斥され、さらにその排斥量に比例して、電気抵抗量の増加が認められることを利用して、電気抵抗の変動をパルスとして検出し、細孔通過粒子の個数及び容積を求める方法である。
本発明では、試料の希薄溶液の濃度は1重量%とし、測定溶液として 4.9 %の電解質を含むアセトン溶液を用いて、試料溶液2 ml 中に存在する粒子径が 5.04 〜 64.0 μ m の不溶解物の総体積を上記の方法に従って求めた。 - 構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3.3%以上であって、
(1) ASTM D − 1044 ( 1973 )の方法に従って測定したHazeが20以下
(2)2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の1.1%以上
である請求項1記載の二酢酸セルロース。 - 2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、該沈降成分中のマンノースの割合が、キシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の10%以上であって、且つ2重量%アセトン溶液を8000rpmで30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、該沈降成分中のマンノースの割合が、キシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3%以下である請求項1記載の二酢酸セルロース。
- 下記の (A)〜(H) を満たす二酢酸セルロース。
(A)構成糖分析において、キシロース、マンノースのモル分率の和がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の 3.3%以上
(B)2重量%アセトン溶液を8000rpmで30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の 0.2%以下
(C)2重量%アセトン溶液を8000rpmで30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の構成糖分析において、該沈降成分中のマンノースの割合がキシロース、マンノース、グルコースのモル分率の和の3%以下
(D)2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の量が、溶液中に含有されている全試料の1.1%以上
(E)2重量%アセトン溶液を8000rpmで30分間遠心分離した際に得られる沈降成分の重量が、2重量%アセトン溶液を50000rpmで3時間遠心分離した際に得られる沈降成分の重量の15%以下である
(F)下記の方法で測定したKWが 82 〜 115
KW: 95 %アセトン水溶液に、 20 %濃度となるように溶解した二酢酸セルロース溶液を 30 ℃で所定のろ布(直径 15mm 、ろ過面積 1.77cm 2 )に通し、一定圧力( 2kgf / cm 2 ) 下にろ過するろ過量を測定し、次式によりろ過度(KW)を算出する。
KW=〔(2− P 2 / P 1 )/( P 1 + P 2 )〕× 10 4
ここで、 P 1 :ろ過開始から 20 分間のろ過量( ml)
P 2 : 20 分より 60 分までの 40 分間のろ過量( ml) である。
(G)所定条件で測定した一定体積の希薄溶液中に存在する粒子径5.04〜64.0μmの不溶解物総体積が、5×10-6 cm3以下
不溶解物総体積:試料の希薄溶液中に存在する不溶解物の総体積は、電気抵抗法を用いて不溶解物の粒径分布を測定することによって算出した。電気抵抗法とは、電解液中に分散させた粒子を、電解液と共に、一定電流が流れている細孔を吸引と共に通過させ、個々の粒子が通過する際に生じる細孔の電気抵抗量の変化を計測するものでる。詳しくは、細孔内を粒子が通過する際に、粒子容積に相当する電解液量が排斥され、さらにその排斥量に比例して、電気抵抗量の増加が認められることを利用して、電気抵抗の変動をパルスとして検出し、細孔通過粒子の個数及び容積を求める方法である。
本発明では、試料の希薄溶液の濃度は1重量%とし、測定溶液として 4.9 %の電解質を含むアセトン溶液を用いて、試料溶液2 ml 中に存在する粒子径が 5.04 〜 64.0 μ m の不溶解物の総体積を上記の方法に従って求めた。
(H) ASTM D − 1044 ( 1973 )の方法に従って測定したHazeが20以下
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