JPH06157313A - ニカルジピン持続性製剤とその製造方法 - Google Patents

ニカルジピン持続性製剤とその製造方法

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JPH06157313A
JPH06157313A JP30367092A JP30367092A JPH06157313A JP H06157313 A JPH06157313 A JP H06157313A JP 30367092 A JP30367092 A JP 30367092A JP 30367092 A JP30367092 A JP 30367092A JP H06157313 A JPH06157313 A JP H06157313A
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貞一 柴原
Mitsuhiro Yono
充啓 余野
Hideko Shigefuji
秀子 重藤
Tetsuya Takahashi
哲也 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に胃液と腸液における吸収性が適宜に調節
されており、ニカルジピンの初期効果と持続効果が円滑
に発揮されるニカルジピン持続性製剤とその製造方法を
提供することを、その目的とする。 【構成】(a)ニカルジピンおよびその塩から選択され
た少なくとも1種、カルボキシメチルエチルセルロース
およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート
サクシネートから選択された少なくとも1種ならびに二
酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムか
ら選択された少なくとも1種を必須成分とする混合物の
粒状体、(b)当該粒状体の表面に形成せしめたカルボ
キシメチルエチルセルロースなどの薬物放出制御被覆
層、および(c)当該被覆層の表面に形成せしめた、上
記(a)における混合物の付着層から成ることを、その
構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニカルジピン持続性製
剤とその製造方法、特に胃液と腸液における吸収性が適
宜に調節されており、ニカルジピンの初期効果と持続効
果が円滑に発揮されるニカルジピン持続性製剤とその製
造方法に関する。
【0002】
【技術的背景】ニカルジピンはニフェジピンと同様、ジ
ヒドロピリジン系化合物の血管拡張剤であって、高血圧
および狭心症の治療薬として広く使われている。しかし
ながら、ニカルジピンおよびその塩は、胃液では溶け易
いが腸液での溶解性が不充分(10ppm以下)であるた
め、持続性製剤への適応が困難とされていた。したがっ
て、ニカルジピン持続性製剤の開発に当っては、特に腸
液における溶解性の改善に重点がおかれ、例えば経口投
与剤形の場合、溶解助剤を添加する方法、複合体を形成
させる方法、非晶質(無定形)化する方法などが試みら
れてきた。
【0003】すなわち、溶解助剤を添加する方法として
は、有機酸(クエン酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビ
ン酸など)および水溶性高分子(メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロースなど)を混合添加する方法
(特開昭62−283926)、ポリエチレングリコー
ルとプロピレングリコールの混合溶剤に溶解する方法
(特開昭63−238016)、ショ糖脂肪酸エステル
および脂肪酸(クエン酸、コハク酸、酒石酸、アスコル
ビン酸など)を配合する方法(特開平02−3609)
などがある。また、複合体を形成させる方法としては、
ニカルジピンまたはその塩のβ−シクロデキストリン包
接複合体を用いる方法(特開平02−705)が知られ
ている。
【0004】他方、ニカルジピンまたはその塩を非晶質
状態にして溶解性を改善する方法としては、ニカルジピ
ンを特定の基剤成分(ヒドロキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリ
ビニルアルコール、ポリエチレングリコールなど)と共
に有機溶媒に溶かしたのち、溶媒を除去して得られる固
形物にエチレンオキサイドを加える方法(特開昭56−
49314)、粉砕助剤(乳酸カルシウム、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、アビセルなど)と共にボー
ルミル粉砕し、さらにpH依存性添加剤(セルロースア
セテートフタレート、アクリル酸−メタクリル酸エステ
ル共重合体など)、増粘剤などを加えて持続性製剤とす
る方法(特開昭56−133217、特公昭59−48
810)、腸溶性基剤(ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、
メチルメタクリレート・メタクリル酸共重合体など)お
よび界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレン硬化ヒマシ油など)を有機溶媒にとかし
て小粒子状核に被覆し、さらに薬物放出制御物質(エチ
ルアクリレートとメチルメタクリレートおよびトリメチ
ルアンモニオエチルメタアクリレートクロライドの共重
合体、エチルセルロースなど)を被覆して持続性球形顆
粒とする方法(特公昭64−7047)などがある。
【0005】しかしながら、これらいずれの方法も持続
効果の適正化、製造操作の繁雑性、生産経費などの点で
なお満足し得ないものがある。
【0006】
【発明の目的】本発明の目的は、実用化が容易であるこ
とを前提とし、胃液および腸液における溶解性が適宜に
調節されて、充分な初期効果と持続効果が期待される、
コンパクトな服用し易いニカルジピン含有製剤を提供す
ることにある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
目的を達成するため、以下の条件を満たすような製剤原
料ならびに製造方法について鋭意研究を重ねた: 充分な初期効果と適切な持続効果が得られるよう、胃
液と腸液におけるニカルジピンの放出速度が自在にコン
トロールできること;
【0008】均一で安定した品質の製品を得るため、
単一製剤で上記条件が満たされること; 小型で服用し易い剤形にするため、ニカルジピン含量
を高単位にすること; 以上を経済的に行なうため、特殊な設備を用いず、通
常汎用されている製剤機器が使用できること。
【0009】
【課題を解決するための手段】種々検討の結果、前記の
目的は、(a)ニカルジピンおよびその塩から選択され
た少なくとも1種、カルボキシメチルエチルセルロース
およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート
サクシネートから選択された少なくとも1種ならびに二
酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムか
ら選択された少なくとも1種を必須成分とする混合物の
粒状体、(b)当該粒状体の表面に形成せしめた、カル
ボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースアセテートサクシネート、エチルセルロ
ースおよびポリビニルアセタールジエチルアミノアセテ
ートから選択された少なくとも1種を必須成分とする薬
物放出制御被覆層、および(c)当該被覆層の表面に形
成せしめた、上記(a)における混合物の付着層から成
る、ニカルジピン持続性製剤を調製することによって、
達成できることを見いだした。このような持続性製剤
は、次のような方法によって製造することが出来る:
【0010】(1)ニカルジピンおよびその塩から選択
された少なくとも1種をカルボキシメチルエチルセルロ
ースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテ
ートサクシネートから選択された少なくとも1種の水性
溶液に分散させ、これに二酸化ケイ素およびメタケイ酸
アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種
の微粉末を混和、練合、調粒して粒状体を得、
【0011】(2)この粒状体の表面にカルボキシメチ
ルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースアセテートサクシネート、エチルセルロースおよび
ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートから選
択された少なくとも1種の薬物放出制御物質を被覆して
被覆粒状体を得、
【0012】(3)この被覆粒状体の表面に上記(1)
で得られた粒状体の微細化粉末を親水性結合剤により付
着させて被覆粒状固形物を得る。本発明の上記製造方法
において、工程(1)では、まず有効薬物としてのニカ
ルジピンおよびその塩から選択された少なくとも1種を
結合剤としてのカルボキシメチルエチルセルロースおよ
びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサク
シネートから選択された少なくとも1種の水性溶液に分
散させる。
【0013】難水溶性薬物の溶解性を改善するために、
通常、薬物と相溶性のよい親水性固体結合剤中への固体
分散、いわゆる固溶体をつくる手法がよく用いられてい
るが、その場合の条件として薬物と結合剤は完全に溶媒
に溶けていなければならない。本発明においては、ニカ
ルジピンまたはその塩を溶媒に溶かす必要はなく、その
微粉末を水性媒体中に適確に再分散させればよい。ま
た、結合剤には良好な成形性と分散性が要求される。従
って、水性媒体は結合剤を溶かし得るものであればよ
く、ニカルジピンまたはその塩を溶解する必要なない。
一般に水と水混和性有機溶媒の混合物が使用され、顆粒
硬度、安全性、乾燥効率などを勘案すると、特に水約2
0%(v/v)を含む含水エタノールの使用が適してい
る。
【0014】ニカルジピンまたはその塩と結合剤の配合
比(重量)は、通常、約1:0.2〜5.0の範囲にある
が、薬剤含量の高単位化と分散機能の視点から約1:
0.5〜1.0の範囲が好ましい。
【0015】ここに得られたニカルジピンまたはその塩
と結合剤を含む水性分散体に、担体としての役割を果す
二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム
から選択された少なくとも1種を混和、練合、調粒し
て、粒状体を得る。上記担体成分は、極めて微細な粒子
として使用され、高い分散機能と大きい吸油能力を有す
るので、使用量が比較的少なくて高含量のニカルジピン
製剤の調製を可能にする。ニカルジピンまたはその塩と
担体との配合比(重量)は、通常、約1:0.5〜5.
0、作業能率とニカルジピン含量の点から特に約1:1
が好ましい。
【0016】以上のとおり製造された粒状体は、高pH
領域(pH7.2前後)における溶出性が著しく改善さ
れているが、低pH領域(pH1.2前後)における溶
出制御能力が充分とはいえないので、これを酸性で不溶
の薬物放出制御物質で被覆して、低pH領域における溶
出を可能な限り抑制し、高pH領域における溶出を適正
化する。
【0017】すなわち、工程(2)においては、上記粒
状体の表面にカルボキシメチルエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネー
ト、エチルセルロースおよびポリビニルアセタールジエ
チルアミノアセテートから選択された少なくとも1種の
薬物放出制御物質を被覆して被覆粒状体を調製する。上
記した薬物放出制御物質のうち、特にカルボキシメチル
エチルセルロースまたは/およびヒドロキシプロピルメ
チルセルロースアセテートサクシネートにエチルセルロ
ースまたはポリビニルアセタールジエチルアミノアセテ
ートを配合したものの使用が好ましい。その配合比率に
よって、高pH領域におけるニカルジピンの溶出速度を
適度にコントロールすることができる。被覆量として
は、粒状体に対し約5〜20%(重量)が適当である。
【0018】ここに得られた被覆粒状体は低pH領域に
おける溶出が抑制されているため、これを服用した場
合、胃液での溶出がみられず、初期効果が期待できな
い。そこで、この被覆粒状体に更に工程(1)で使用し
たと同様の固形成分混合物の被覆を施すことにより、低
pH領域で良好な溶出性を示す被覆層を設け、これによ
って初期効果の発揮を可能ならしめた。
【0019】すなわち、工程(3)は被覆粒状体の表面
に工程(1)で使用したと同様な組成を有する固形成分
混合物を親水性結合剤により付着させて、被覆粒状固形
物を調製するものである。上記固形成分混合物は、新た
に調製したものであってもよいが、経済性の観点から
は、工程(1)で調製した粒状体を粉砕して得た微粉末
や工程(1)で粒状体を調製する際必然的に生ずる微粉
末を利用するのが好ましい。被覆粒状体に付着させる微
粉末の量は技術的にもまた効果的にも重量比で3:1程
度が好ましい。付着はヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、アラ
ビアゴム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウ
ム、キサンタンガム、プルランなどの親水性結合剤の水
溶液を使用してこれを行う。
【0020】上記工程(1)〜(3)における各操作
は、いずれも自体常套の機械や方法で行えばよい。な
お、上記工程(1)〜(3)の各々で形成される粒状体
(a)、薬物放出制御被覆層(b)および付着層(c)
の重量比は、約5:1:2とするのが好ましい。
【0021】
【実施例】以下に実施例、参考例および試験例を示し、
本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を何
ら限定するものではない。なお、特記しない限り、%は
重量%である。
【0022】参考例1 エチルセルロース(信越化学:エトセルN−F−10)
200gとポリソルベート80(花王:レオドールTW
−0120)40gを含水エタノール(水20%v/v)
1000mlに溶解して粘稠な糊液を得る。この糊液に塩
酸ニカルジピン微粉末200gを混和分散させたのち、
二酸化ケイ素微粉末(フロイント産業:軽質無水ケイ酸
アゾソリダー101)310gを加え、ミキサーで練
合。混和スラリーを40℃で送風乾燥後、調粒して粒径
0.5mm〜1.0mmの粒状体を得る。
【0023】参考例2 結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート(信越化学:HPMCP HP−55)を使用
し、参考例1と同じ処方、操作で粒径0.5mm〜1.0mm
の粒状体を得る。
【0024】参考例3 結合剤としてメタアクリル酸コポリマーL(樋口商会:
オイドラギットL100)を使用し、参考例1と同じ処
方、操作で粒径0.5mm〜1.0mmの粒状体を得る。
【0025】実施例1 (1)カルボキシメチルエチルセルロース(フロイント
産業:CMEC OS)150gを含水エタノール(水
20%v/v)600mlに溶解して粘稠な糊液を得る。こ
の糊液に塩酸ニカルジピン微粉末200gを混和分散さ
せたのち、二酸化ケイ素微粉末200gを加え、ミキサ
ーで練合。混和スラリーを40℃で送風乾燥後、調粒し
て粒径0.5mm〜1.0mmの粒状体を得る。
【0026】(2)上記(1)で得られた粒状体500
gを流動層造粒装置に入れ、カルボキシメチルエチルセ
ルロース2.0%とエチルセルロース(信越化学:エト
セルN−F−10)1.0%を含むエタノール・塩化メ
チレン溶液(塩化メチレン20%v/v)をスプレーし、
薬物放出制御被覆層を粒状体に対して10〜15%(w/
w)の割合で施す。なお、必要により被覆液にポリソル
ベート80を若干量添加することができる。
【0027】上記第一次コーチング終了後、粒状体を乾
燥したのち、さらにカルボキシメチルエチルセルロース
0.6%とポリビニルアセタールジエチルアミノアセテ
ート(三共:AEA)3.4%を含むエタノール・塩化
メチレン溶液(塩化メチレン20%v/v)をスプレー
し、薬物放出制御膜を粒状体に対して4%〜8%施して
第二次コーチングを完了させる。なお、この場合も必要
により被覆液にマクロゴール6000を若干量添加する
ことができる。
【0028】(3)上記(1)の調粒過程で得られる粒
状体(粒径0.5mm以下)を、ハンマーミル粉砕機で微
細化して得られた、速放性の微粉末150gと、上記
(2)で得られた徐放性顆粒450gをミキサーに入
れ、ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学:HPC
EF−G)10%を含む水溶液150mlを加えてゆる
やかに撹拌混合し、微粉末を顆粒の表面に付着させてニ
カルジピン持続性顆粒を調製する。40℃で乾燥後、常
法により4号または3号カプセルに充填し、ニカルジピ
ン20mgまたは40mgを含むカプセル剤を得る。
【0029】実施例2 (1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート
サクシネート(信越化学:信越AQOAT AS−M
F)150gを含水エタノール(水20%v/v)600m
lに溶解して粘稠な糊液を得る。この糊液に塩酸ニカル
ジピン微粉末200gを混和分散させたのち、二酸化ケ
イ素微粉末200gを加え、ミキサーで練合。混和スラ
リーを40℃で送風乾燥後、調粒して粒径0.5mm〜1.
0mmの粒状体を得る。
【0030】(2)上記(1)で得られた粒状体500
gを流動層造粒装置に入れ、カルボキシメチルエチルセ
ルロース3.0%を含むエタノール・塩化メチレン溶液
(塩化メチレン20%v/v)をスプレーし、薬物放出制
御膜を粒状体に対して15%〜20%施す。なお、必要
によりコーチング液にポリソルベート80を若干量添加
することができる。
【0031】上記第一次コーチング終了後、粒状体を乾
燥したのち、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロー
スアセテートサクシネート1.2%とポリビニルアセタ
ールジエチルアミノアセテート2.8%を含むエタノー
ル・塩化メチレン(塩化メチレン20%v/v)をスプレ
ーし、薬物放出制御膜を粒状体に対して4%〜8%施し
て第二次コーチングを完了させる。なお、この場合も必
要によりコーチング液にマクロゴール6000を若干量
添加することができる。
【0032】(3)上記(1)の調粒過程で得られる粒
状体(粒径0.5mm以下)を微細化して得られた速放性
微粉末150gと、上記(2)で得られた徐放性顆粒4
50gを用い、実施例1(3)と同様に操作してニカル
ジピン持続性顆粒を調製。常法により4号または3号カ
プセルに充填し、ニカルジピン20mgまたは40mgを含
むカプセル剤を得る。
【0033】実施例3 (1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート
サクシネート100gを含水エタノール(水20%v/
v)500mlに溶解して粘稠な糊液を得る。この糊液に
塩酸ニカルジピン微粉末200gを混和分散させたの
ち、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工
業:ノイシリンUS2)200gを加え、ミキサーで練
合。混和スラリーを40℃で送風乾燥後、調粒して粒径
0.5mm〜1.0mmの粒状体を得る。
【0034】(2)上記(1)で得られた粒状体500
gを流動層造粒装置に入れ、カルボキシメチルエチルセ
ルロース3.0%を含むエタノール・塩化メチレン溶液
(塩化メチレン20%v/v)をスプレーし、薬物放出制
御膜を粒状体に対して15%〜20%施す。なお、必要
あればコーチング液にポリソルベート80を若干添加す
ることができる。
【0035】上記第一次コーチング終了後、粒状体を乾
燥したのち、さらにカルボキシメチルエチルセルロース
1.0%とポリビニルアセタールジエチルアミノアセテ
ート3.0%を含むエタノール・塩化メチレン溶液(塩
化メチレン20%v/v)をスプレーし、薬物放出制御膜
を粒状体に対して4%〜8%施して第二次コーチングを
完了する。なお、この場合も必要によりコーチング液に
マクロゴール6000を若干量添加することができる。
【0036】(3)上記(1)の調粒過程で得られる粒
状体(粒径0.5mm以下)を微細化して得られた速放性
微粉末150gと、上記(2)で得られた徐放性顆粒4
50gを用い、実施例1(3)と同様に操作してニカル
ジピン持続性顆粒を調製。常法により4号または3号カ
プセルに充填し、ニカルジピン20mgまたは40mgを含
むカプセル剤を得る。上記実施例および参考例において
使用した製剤原料ならびに試薬類は、すべて同一品種、
品質である。
【0037】
【試験例】実施例で得られた本発明製剤および参考例で
得られた対照製剤について、ニカルジピンの放出性なら
びにヒトに投与した場合の血中濃度を比較した結果を以
下に説明する。
【0038】試験例1(水中溶出試験その1) 日本薬局方溶出試験器を用い、パドル法でニカルジピン
の溶出速度を比較した。試験液は局方第1液(pH1.
2)、pH6.5リン酸緩衝液(0.05M)およびpH
7.2リン酸緩衝液(0.05M、ポリソルベート80
0.05%含有)を用い、液量はニカルジピン20mg相
当量の試料について500ml使用。設定温度は37℃、
パドル回転数は100rpmとし、試験液に溶出したニカ
ルジピンの定量は吸光度法(波長358nm)により、各
時刻に採取した試料溶液をミリポアフィルター(0.4
5μ)にて濾過した後測定した。試験結果は第1表およ
び第2表に示すとおりで、数値は6回測定値の平均で示
す。
【0039】試験例2(水中溶出試験その2) ヒトが製剤を服用した場合の各消化器における溶出を想
定し、試験液を連続的に変化(pH1.2→pH6.5→
pH7.2)させた場合の、各試験液での溶出速度を求
めた。なお、試験条件は試験例1と同様である。試験結
果は第3表に示すとおりで、数値は6回測定値の平均で
示す。
【0040】試験例3(ヒト投与試験) 健康な成人男子6名にニカルジピン製剤(市販の普通製
剤20mgおよび本発明の持続性製剤(実施例1(3))
40mg)を投与し、投与後経時的に採血して血中ニカル
ジピン濃度を高速液体クロマトグラフィーにより求め
た。試験結果は図1のとおりで、数値は被験者6名の平
均を示す。
【0041】
【表1】
【表2】
【表3】
【0042】
【発明の効果】塩酸ニカルジピンの解離恒数は約7.1
であるから、酸性領域(pH1.2)の水溶液では溶解
性が良好(溶解度約1000ppm)であってもpH6.5
ではやや不良(溶解度約20ppm)となり、pH7.2以
上になると非解離型のニカルジピンが大部分を占め難溶
性(溶解度約8ppm)となる。したがって、持効性製剤
製造の目標は、いかに胃液での溶出を制御して腸液での
溶出性を増大させるかにかかっている。
【0043】第1表においてみられるように、本発明製
剤は対照製剤に比し、pH1.2液における溶出を抑
え、pH7.2液における溶出を著しく増大せしめてい
る。これは腸溶性結合剤であるカルボキシメチルエチル
セルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートサクシネートの酸性領域における結合性と、
高pH領域における分散溶解機能に基因するものと考え
られる。
【0044】しかしながら、このままでは目標とする持
効性製剤とはなり得ないので、この粒剤ベースに更に薬
物放出制御物質をコーチングして適切な溶出パターンが
得られるように工夫した。結果は第2表に示すとおり
で、pH1.2液およびpH6.5液における溶出を著し
く制御し、pH7.2液における溶出を遅延させて適正
化した。
【0045】ただし、この徐放性顆粒だけでは製剤服用
時の初期効果が期待されないものと思われるので、これ
に前記速放性の粒剤ベースを粉砕した速放性粉末を徐放
性顆粒の表面に付着させて単一顆粒とし、胃液および腸
液におけるニカルジピンの溶出パターンを適正化した持
続性顆粒を考案した。
【0046】結果は第3表に示すとおりで、製剤服用
後、消化器内での溶出を想定した連続的pH変化を伴う
場合の溶出パターンが、市販のニカルジピン持続性製剤
(ペルジピンLA)と同等の溶出パターンを示すことか
ら、本発明製剤は初期効果も充分発揮される持続性製剤
として実用化が期待できるものと考える。
【0047】すなわち、ニカルジピン製剤をヒトに投与
した場合の血中濃度は第1図に示すとおりで、本発明に
よる持続性製剤は市販の普通製剤に比べ、急速なレベル
アップをみることなく徐々に高まり、有効血中濃度(5
ng/ml以上)も10時間以上持続する。従って、過度的
吸収に伴う副作用発現の頻度も少なく、また急速な排泄
による有効時間の短命さも改善されることから、本発明
製剤は服用コンプライアンスの軽減が可能な安全性の高
いニカルジピン持続性固形製剤ということができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ニカルジピンを有効薬物として含有する市販
の普通製剤Aと本発明の持続性製剤(実施例1(3))
Bをヒトに投与した時のニカルジピン血中濃度の経時変
化を示すグラフ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ニカルジピンおよびその塩から選
    択された少なくとも1種、カルボキシメチルエチルセル
    ロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセ
    テートサクシネートから選択された少なくとも1種なら
    びに二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシ
    ウムから選択された少なくとも1種を必須成分とする混
    合物の粒状体、 (b)当該粒状体の表面に形成せしめた、カルボキシメ
    チルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
    ロースアセテートサクシネート、エチルセルロースおよ
    びポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートから
    選択された少なくとも1種を必須成分とする薬物放出制
    御被覆層、および (c)当該被覆層の表面に形成せしめた、上記(a)に
    おける混合物の付着層から成ることを特徴とするニカル
    ジピン持続性製剤。
  2. 【請求項2】 ニカルジピンおよびその塩から選択され
    た成分とカルボキシメチルエチルセルロースおよびヒド
    ロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネー
    トから選択された成分の重量比が約1:0.2〜5.0で
    ある請求項1記載の持続性製剤。
  3. 【請求項3】 ニカルジピンおよびその塩から選択され
    た成分と二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグ
    ネシウムから選択された成分の重量比が約1:0.5〜
    5.0である請求項1記載の持続性製剤。
  4. 【請求項4】(a)の粒状体と(b)の薬物放出制御被
    覆層と(c)の付着層の重量比が約5:1:2である請
    求項1記載の持続性製剤。
  5. 【請求項5】 (1)ニカルジピンおよびその塩から選
    択された少なくとも1種をカルボキシメチルエチルセル
    ロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセ
    テートサクシネートから選択された少なくとも1種の水
    性溶液に分散させ、これに二酸化ケイ素およびメタケイ
    酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1
    種の微粉末を混和、練合、調粒して粒状体を得、 (2)この粒状体の表面にカルボキシメチルエチルセル
    ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテー
    トサクシネート、エチルセルロースおよびポリビニルア
    セタールジエチルアミノアセテートから選択された少な
    くとも1種の薬物放出制御物質を被覆して被覆粒状体を
    得、 (3)この被覆粒状体の表面に上記(1)で得られた粒
    状体の微細化粉末を親水性結合剤により付着させて被覆
    粒状固形物を得ることを特徴とするニカルジピン持続性
    製剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 ニカルジピンおよびその塩から選択され
    た成分とカルボキシメチルエチルセルロースおよびヒド
    ロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネー
    トから選択された成分の重量比が約1:0.2〜5.0で
    ある請求項5記載の持続性製剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 ニカルジピンおよびその塩から選択され
    た成分と二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグ
    ネシウムから選択された成分の重量比が約1:0.5〜
    5.0である請求項5記載の持続性製剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 (1)で使用する水性溶液の溶媒が水と
    水混和性有機溶剤の混合物である請求項5記載の持続性
    製剤の製造方法。
  9. 【請求項9】 水混和性有機溶剤がメタノール、エタノ
    ール、イソプロパノールおよびアセトンから選択された
    少なくとも1種である請求項8記載の持続性製剤の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 (3)で使用する親水性結合剤がヒド
    ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
    セルロース、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロ
    リドン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガムおよび
    プルランから選択された少なくとも1種である請求項5
    記載の持続性製剤の製造方法。
  11. 【請求項11】(1)の粒状体と(2)の被覆粒状体と
    (3)の被覆粒状固形物の重量比が約5:6:8である
    請求項5記載の持続性製剤の製造方法。
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