JPH06156031A - 軌道走行車 - Google Patents

軌道走行車

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JPH06156031A
JPH06156031A JP33673692A JP33673692A JPH06156031A JP H06156031 A JPH06156031 A JP H06156031A JP 33673692 A JP33673692 A JP 33673692A JP 33673692 A JP33673692 A JP 33673692A JP H06156031 A JPH06156031 A JP H06156031A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車体にタイヤと車輪の何れも搭載し、道路
と軌道の何れも走行できるもので、車輪がレールに接触
して車体を案内する際に、レールへの追従性能を向上さ
せ、脱線等の事故を防止できるようにした。 【構成】 原動機等を搭載した車体1には前輪2と後輪
3を軸支し、前輪2と後輪3の間には軌道Aに接触する
車輪19を下降させる前車輪機構6を設け、後輪3の後
部には軌道Aに接触する車輪41を下降させると共に、
この車輪41を弾性力をもって軸支した前車輪機構7を
設け、後輪3側の41車輪を弾力性を持って軌道に接触
させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路上又は軌道の何れ
を選択して走行できる軌道走行車に関し、特に、軌道走
行時における走行安定性が良い軌道走行車に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄道会社、軌道保守会社では
軌道の保守、点検、人員資材の運搬などの使用目的のた
めに軌道走行車が用いられていた。この軌道走行車によ
れば、公道を通常の自動車のように走行できると共に、
そのまま軌道を走行できることができるものであり、車
体下部にはタイヤと鉄輪が装架されている構造であっ
た。この軌道走行車によれば、公道から軌道への乗換え
の際には、車体に特別な機器を付加したり、改造の作業
を行うことなく簡単な操作で機能を変更させることがで
きるものである。
【0003】この軌道走行車を利用すれば、一般走行の
場合には公道上を通常の自動車と同様に走行することが
でき、資材や人員を搭乗させて資材置場や事務所から軌
道の近くまで迅速に移動することができる。そして、踏
切等のように道路と軌道が交差している場所にまで移動
したならば、車体内に収納してある車輪を軌道(レー
ル)に接触させ、タイヤを地面から離してこの車輪によ
り軌道上を移動させることができるものである。このよ
うな軌道走行車は古くから用いられており、その多くの
使用目的としては、道路は整備されていないが鉄道は敷
設してある僻地や隔離地に迅速に走行できることであ
る。また、近年では鉄道の保守や点検のために、資材や
人員の輸送のために用いられてきている。この場合、資
材置場、工事事務所、人員の集合場所などから鉄道が接
近していれば、工事用気動車やトロッコを用いることが
できる。しかし、道路の整備が進んだため、資材置場、
監督用の工事事務所が鉄道の敷地より離れて設置されて
いることが多くなり、工事の基地となる場所から軌道ま
でを自動車で移動し、資材、人員を気動車に積み替えて
さらに移動することになれば作業と時間の効率化が図れ
なくなってきている。このため、基地となる場所より一
番近い軌道との交差点までは自動車として走行させ、軌
道と道路の交差点より気動車として軌道上を走行させる
ように構成した軌道走行車を使用することで作業の効率
化が図れ、作業現場までの移動が迅速となり機動性が向
上するものである。このような理由から、荷台い資材や
人員を積んだままで公道から軌道上に乗り換えて走行す
ることができ、起動性に優れている軌道走行車の利用が
盛んとなり、鉄道の保守、点検、修理等の作業に盛んに
威力を発揮している。
【0004】このように利用されている軌道走行車は自
動車の中では特殊な構造となっており、道路と接触する
タイヤと軌道と接触する車輪をそれぞれ一つの車体に軸
支させてあるものであった。この構成により、道路を走
行する際にはタイヤを道路に接触させ、軌道を走行する
際には車輪をレールに接触させており、両者の切換えを
油圧機器などにより簡易に行うことができるように工夫
してあった。このタイヤと車輪の切換えにより、それぞ
れの機能を達成することができるものである。
【0005】この軌道走行車の機構は各種のものが知ら
れており、その内の一種にレール上を走行する際の駆動
力の伝達にはタイヤによる摩擦力によって行う構成があ
った。この構成では、車体下に軸支したタイヤには原動
機からの駆動を伝達させ、車輪には何ら動力を伝達させ
ておらず、レール上を走行する際にもタイヤの回転力に
よって駆動力を発生させようとするものである。この構
成では、車体などの大まかな構成は通常の自動車と同じ
構成ですみ、車輪を軸支する構成のみを車体に取り付け
る改造ですむことから費用が安価となる特徴があった。
この場合、自動車の駆動輪がレールに接触して動力から
の回転力を伝え、車体から降下されてレールに接触する
車輪はレールに沿って車体を案内するだけの作用をする
ものであった。この構造では、タイヤとレールの摩擦力
によって走行でき、車輪は単にレールに接触して案内す
るだけで良いため、軸支した車輪を上下に昇降できる機
構を車体に取り付ければ改造が完了するので構造が極め
て簡易となる特徴があった。また、車体を移動させるた
めの動力には一般の自動車の動力側のタイヤを兼用させ
ていることから、車体に搭載した動力系及び変速機系の
構造には何ら改造を施す必要がなく、市販のトラックを
そのまま転用することで軌道走行車としての利用価値が
発生できるためメリットが大きいといえる。
【0006】しかしながら、この構成では一般の自動車
の動力側のタイヤをレール上面に接触させて、その摩擦
力によって軌道を走行させなければならないことから、
車輪によって車体を持ち上げた際にタイヤとレールとの
接触圧を調整するのが困難であった。すなわち、車輪を
あまり押し下げるとタイヤとレールとの接触摩擦が少な
くなり、タイヤが空回りすることになる。また、車輪の
降下量が少ないとタイヤとレールの接触摩擦が大きくな
り、レール上を転動する車輪が浮くことになって、レー
ル走行中に車輪がレールより外れて車体が脱線する原因
となるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような軌道走行車
に独特の構造により、車輪を車体より押し下げて車輪と
レールを接触させて軌道上を走行できるように設定した
場合において、タイヤとレールとの接触圧を常に一定に
保つことができれば走行が安定するものであった。この
ような場合には、センサーなどを使用してタイヤとレー
ルが接触する圧力を自動調整する機構を設ければ解消す
るが、構造が複雑となり、価格も高くなる欠点があっ
た。このため、簡易な構成でありながら車輪とレールの
接触を常時行わせることができ、脱線などの事故を防止
できてタイヤとレールの接触摩擦を一定に保つことので
きる工夫が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の欠点に鑑
み、原動機等を搭載した車体と、車体の前部に軸支され
た前輪と、車体の後部に軸支された後輪と、前輪と後輪
の間に位置して車体に取り付けられ、前側の車輪を上下
に移動させてその車輪を軌道に接触させることで車体を
持ち上げることのできる前車輪機構と、後輪の後方に位
置して車体に取り付けられ、後側の車輪を上下に移動さ
せてその車輪を軌道に接触させることで車体を持ち上げ
ることのできる後車輪機構とから成り、前車輪機構と後
車輪機構によって前輪を持ち上げ、後輪を軌道に接触さ
せ、車輪によって軌道を案内させると共に後輪の駆動力
を軌道に伝えることで道路と軌道を選択的に走行できる
軌道走行車において、後車輪機構の車輪を上下方向に弾
性力を持たせて保持させたことを特徴とする軌道走行車
を提供するものである。
【0009】
【作用】本発明は、自動車の車体にはその四隅に車輪を
軸支して降下させる機構を設けておき、前輪と後輪の間
に設けた車輪は軌道に押しつけて車体を持ち上げること
により、前輪を軌道より浮き上げさせることができる。
そして、後輪の後方に設けた車輪は同様に軌道に接触し
て車体を持ち上げて、駆動輪を浮き上げることになる
が、この車輪は弾性力によって軸支されているため、駆
動輪を所定の高さまで持ち上げた後は駆動輪を軌道に接
触させてままで停止する。この車輪は弾性を持って軸支
されているため、駆動輪と軌道との接触圧を常時一定に
なるように保持させることができる。このため、車体に
荷重が加わって重くなった場合には、弾性力が圧縮され
て駆動輪と軌道との接触圧が高くなり、接触摩擦が大き
くなるために軌道上で車体を駆動する力が大きくなると
ともに、制動力も大きくなる。また、車体の荷重が軽く
なれば弾性力の反発によって車体は持ち上げられ、駆動
輪と軌道との接触摩擦力が小さくなり、車輪は軌道に常
時接触して案内され、走行中に車輪が軌道より外れるこ
とが無くなり、脱線などの事故を防止することができる
ことになる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。図1は本発明の一実施例における軌道走行車の外観
を示す斜視図、図2は道路上を走行している状態の軌道
走行車を示す側面図、図3は同上の背面図であり、レー
ルAと後輪の相対的な位置関係を示すものであり、図4
はレール上を走行している場合の軌道走行車の各車輪と
前輪、後輪の位置関係を示す側面図である。
【0011】先ず、この軌道走行車は一般に市販されて
いるトラックを改造して、そのまま軌道走行車に転用
し、人員、資材を乗せて道路上を走行するとともに軌道
上を走行できるものである。この軌道走行車では、車体
1の前側と後側にはそれぞれ前輪2、後輪3が軸支して
あり、前輪2はハンドル等によってその方向を転換でき
るものである。また、後輪3は車体1内に搭載したエン
ジン、変速機等の駆動源と連結されており、変速機等を
介して回転力が伝えられて左右方向に回転し、車体1を
前進または後退させることができるものである。そし
て、車体1において前輪2の上部の位置には運転手等が
搭乗するキャビン4が搭載してあり、車体1における後
部には資材等を搭載するための荷台5が固定してある。
本実施例において、この荷台5は砂利等を載置して自動
的に積み降ろすことができるダンプ形式のものである。
この車体1、前輪2、後輪3、キャビン4、荷台5の形
態は従来から一般に用いられているダンプトラックの構
造と全く同じである。
【0012】次に、この車体1の前輪2と後輪3の間で
あって、やや前輪2に接近した両側の位置にはそれぞれ
前車輪機構6が設けてある。この前車輪機構6は内部に
油圧シリンダーを収納してあり、油圧によって前側の車
輪を上下動させることができるものである。また、車体
1の後部の両側には後車輪機構7がそれぞれ固定してあ
り、この後車輪機構7も油圧の作用によって後側の車輪
を上下動させることができるものである。
【0013】この前輪2、後輪3、前車輪機構6、後車
輪機構7の位置関係を説明すると、道路Bを走行する際
には図2で示すように前車輪機構6、後車輪機構7は車
体1の方向に引上げられていて、前車輪機構6、後車輪
機構7に軸支されている車輪は地面Bの表面よりも高い
位置に保持されている。この状態では、道路B上に凹凸
があっても前車輪機構6、後車輪機構7の車輪はそれぞ
れ地面に接触することがなく、通常のダンプトラックと
同様の走行が可能となる。また、車体1の左右に固定さ
れている前車輪機構6、後車輪機構7の間隔は図3に示
すように、前車輪機構6、後車輪機構7にそれぞれ軸支
してある車輪がレールAの間隔に一致させてある。図3
に示すように、レールAの上方に前車輪機構6、後車輪
機構7に軸支した車輪を降下させることで、車輪をレー
ルAに接触させることができる。また、軌道走行車の後
輪3はいわゆるダブルタイヤと呼ばれるもので、車体1
の左右にそれぞれ二本ずつの駆動タイヤが軸支してあ
り、後輪3の内側のタイヤはそれぞれがレールAの上面
に接触できる位置に軸支されている。
【0014】また、図4は前車輪機構6、後車輪機構7
を作動させて、車輪を降下させることにより車体1を持
ち上げた状態を示すものである。この場合には前車輪機
構6、後車輪機構7の車輪はレールAの表面に接触させ
られ、前輪2はレールAの上面より高い位置にあり、前
輪2はレールAに接触していない。そして、後輪3は車
体1との間にある板バネによって垂れ下がっているが、
その下面はレールAの表面に接触させられている。つま
り、後輪3、前車輪機構6、後車輪機構7はそれぞれが
レールAに接触させられており、前輪2だけがレールA
より離れさせられている。この状態で、後輪3をエンジ
ン等によって駆動すると、後輪3がゴム性であることか
らレールAの上面との間に摩擦力が発生し、後輪3の駆
動力によって車体1はレールA上を前方または後方に自
由に移動することができる。この移動の際において、前
車輪機構6、後車輪機構7の各車輪はレールA上で回転
しながら車体1を案内し、車体1をレールAの長さ方向
に沿って移動することになる。すなわち、トロッコの車
輪のように前車輪機構6、後車輪機構7の車輪は単に軸
支されているだけで、自ら駆動することがなく車体1を
レールAに沿って案内するだけの作用をすることにな
る。
【0015】次に、図5、図6、図7は前述した前車輪
機構6の構造を詳しく説明するものである。この図5は
一方の前車輪機構6の外観を示すものであり、図6はブ
レーキ機構を示すために図5とは反対側から見た一部破
断の斜視図、図7は車体1の左右に固定した2つの前車
輪機構6の関係を示す背面図である。
【0016】この車体1はいわゆるH型フレームを使用
したものであり、断面がコの字形の鋼板を加工して形成
してある。そして、車体1の長さ方向とは直角になるよ
うに補強のための横梁10が車体1間に架け渡されてお
り、この横梁10の左右の外側には鋼板等を折り曲げて
形成した取付金具14が固着してあり、この取付金具1
4には上下方向にその長さ方向を向けた外ケース11が
連結してある。この外ケース11は内部が中空な四角形
状をしており、上端は閉鎖してあるが下端は開口させて
あり、この下端開口から内ケース12が上下に摺動自在
に挿通させてある。この内ケース12も断面が四角形で
内部が中空の形状をしており、これら外ケース11、内
ケース12の内部には油圧シリンダー13が収納させて
ある。この油圧シリンダー13の上端は外ケース11の
内部に連結してあり、油圧シリンダー13のシリンダー
ロッドは内ケース12の下部に連結させてある。このた
め、油圧シリンダー13が伸縮の作動すると、内ケース
12は外ケース11から出没してその長さを変更するこ
とになる。
【0017】また、内ケース12の下端には平坦で四角
形の座板15が固着してあり、この座板15の下面には
下方に向けてコ字形に形成した軸受金具16が固着して
ある。この軸受金具16の両側は平行になっており、こ
の軸受金具16の側面には軸受18が固着してあり、こ
の軸受18によって水平方向にシャフト17が軸支させ
てある。そして、この軸受金具16の内部に位置して、
シャフト17には車輪19が軸支させてあり、軸受金具
16の前後の側面には補強のためと道床にある砂利が跳
ね上がることによって車輪19が破損するのを防止する
ための目隠し板21が固着してある。また、図6はこの
車輪19におけるブレーキ機構を示すものであり、シャ
フト17の車体1の内側には、円盤状をしたブレーキデ
ィスク20が固着してあり、目隠し板21にはブレーキ
ユニット22が固着してある。このブレーキユニット2
2はコの字形に形成されて、それぞれの内側にはブレー
キパットが設けてあり、このブレーキユニット22の開
口には前記ブレーキディスク20の外周面を挟むように
挿入させてある。このブレーキユニット22のブレーキ
パットは常時はブレーキディスク20に接触していない
が、ブレーキ制動をするとブレーキユニット22のブレ
ーキパットが飛び出し、このブレーキディスク20を両
側から挟み込む作用をすることになる。
【0018】次に、図7は車体1の左右に設けた前車輪
機構6の構成を示したものであり、それぞれの軸受金具
16に軸支してあるシャフト17には車輪19が固着し
てあり、この車輪19の間隔は一対のレールAの内側に
車輪19の径大部が接触できる長さに設定してある。こ
の構成により、車体1に固定してある横梁10の左右に
それぞれ外ケース11が固定されており、アーチ形とな
った構造とに構成されている。この構成により、両側の
車輪19が下降してレールAと接触することにより、相
対的に車体1が持ち上げられることになる。
【0019】また、図8、図9、図10、図11は前述
した後車輪機構7の構造を詳しく説明するものである。
この図8は前述した後輪3に接近して車体1に固定した
後車輪機構7の構造を車体1の斜め後方より見たもので
あり、図9は後車輪機構7を車体の斜め前方から見たも
のであり(図8、図9における後車輪機構7はそれぞれ
車体1の左右に設けた後車輪機構7を別個に見たもので
ある。図8では車体1の前方に向かって右側の後車輪機
構7を、図9では車体1の前方に向かって左側の後車輪
機構7を示している。このため、図示した位置関係が多
少相違しているので注意されたい。)また、図10では
この後車輪機構7を縦方向に切断し、その内部構造を示
したものであり、図11は後車輪機構7におけるブレー
キ構造を示すために、図8の状態を紙面から反対方向に
見た状態を示す一部破断した斜視図である。
【0020】この図8、図9において、車体1の側面に
は後方に向かってやや菱形となった取付金具25が固着
してあり、この取付金具25の側面にはその軸線を垂直
方向に向けて外ケース26が固着してある。この外ケー
ス26は鋼板等を折り曲げて形成した断面が四角形状を
しており、その上端は閉鎖してあり、下端を開口した構
造である。この外ケース26の下部開口からは、鋼板を
折り曲げて形成した断面が四角形状の内ケース27を摺
動自在に挿入してあり、外ケース26、内ケース27の
内部空間には油圧シリンダー28が収納させてある。こ
の油圧シリンダー28の上端は外ケース26の内部でそ
の上部に固着してあり、油圧シリンダー28のシリンダ
ーロッドの先端は内ケース27の内部でその下部に連結
させてある。そして、内ケース27の下部には、薄肉鋼
板を使用して断面がコの字形になるように折り曲げて形
成した保持金具30が固着してあり、この保持金具30
は折り曲げられて形成された開放部分を上方に向けてあ
り、その中央の底部を内ケース27の下面に密着して固
着してある。また、保持金具30の中央であって、上方
に向けてコの字形に開放した空間には上下方向にむけて
仕切板31が固着してあり、保持金具30のコの字形と
なった上端間には平面状の天井板32が固着してあり、
この天井板32によって保持金具30の上部空間が閉鎖
されている。こうして、保持金具30、仕切板31、天
井板32によって、内ケース27と同時に上下に移動す
る一体の構造物が形成されており、保持金具30は仕切
板31、天井板32によって補強されたことになる。そ
して、前記外ケース26の外周には、中央が開口した四
角い枠状をしており、外ケース26に沿って上下に摺動
できるように挿通した摺動枠29が設けてある。この摺
動枠29は前記仕切板31に連結させてあり、この摺動
枠29は鉢巻き状に外ケース26の外周を摺動すること
ができ、前記保持金具30に対してて斜めに加えられた
力はこの摺動枠29によって受け止められて保持金具3
0が変形するのを防止している。
【0021】次に、この保持金具30の平行になった両
側で区分された空間の内部には、鋼板を折り曲げて下方
に向けてコの字形に開口した形状の軸受金具35が挿入
してあり、この軸受金具35は保持金具30に対して上
下に摺動することができる。そして、この軸受金具35
の側面には水平方向に目隠し板43が固着してあり、こ
の目隠し板43は道床から砂利が跳ね返った場合に車輪
41を保護するためのものであり、この目隠し板43の
外側は仕切板31の内側面に摺動自在に接触させてあ
る。さらに、軸受金具35の上部の中央には上方に突起
するように円柱形のロッド36が固定してある。この構
成により、外ケース26に対して軸受金具35が上下に
自由に移動できる自由度を保持されている。
【0022】また、前記天井板32の中央にはやや円筒
形のキャップ33が固着してあり、このキャップ33の
中央には上下方向に貫通口を形成してあり、軸受金具3
5の上面に固着してあるロッド36をこのキャップ33
の貫通口に摺動自在に挿入させてある。また、ロッド3
6の上端の外周には係止溝を形成してあり、この係止溝
には止めリング38を噛み合わせてあり、ロッド36が
キャップ33より落下するのを防止している。また、キ
ャップ33の内部には貫通口と同心円状にバネ溝45が
形成してあり、このバネ溝45内にはコイル状のバネ3
7が収納させてあり、バネ37はキャップ33と軸受金
具35の上面との間に介在されていることになる。この
バネ37により、軸受金具35は常時下方に付勢されて
いることになる。
【0023】前記軸受金具35の両側面にはそれぞれ軸
受39が固着してあり、この軸受39には水平方向に延
長したシャフト40が回転自在に挿通させてある。この
シャフト40には車輪41が固着してあり、この車輪4
1は軸受金具35の内部空間に位置させてある。また、
シャフト40の車体1側に位置した一端には円盤形とな
ったブレーキディスク42が固着させてあり、前記目隠
し板43にはブレーキパットをコの字形に配置したブレ
ーキユニット44が固着してある。このブレーキユニッ
ト44のコの字形に配置したブレーキパットの内部空間
には前記ブレーキディスク42を挿通してあり、ブレー
キユニット44を作動させることによりブレーキパット
がブレーキディスク42の側面に圧接し、ブレーキ効果
を発生することでブレーキディスク42、シャフト4
0、車輪41の回転を停止させることができる。
【0024】次に、本実施例の作用を説明する。
【0025】本実施例の軌道走行車を道路B上で運転さ
せる場合には、図2で示すように前車輪機構6、後車輪
機構7を作動させず、前車輪機構6、後車輪機構7の下
部に軸支してある車輪19、41は上方に引き上げてお
く。このため、道路Bには前輪2、後輪3が接触してお
り、この状態において車体1の内部に収納したエンジン
を起動させて変速機を介して後輪3を駆動させることで
車体1を道路B上において自由に移動させることができ
る。その際においてキャビン4内に搭乗した運転者が前
輪2を操作することにより、自由に方向を切り換えて運
転させることができる。この構造は従来から用いられて
いるトラックと全く同様である。
【0026】次に、軌道上を走行させる場合には、この
軌道走行車を踏切等のように道路と軌道とが交差してい
る位置に移動させる。そして、前輪2を操作することに
より車体1がレールAと平行になるように位置させて停
止させる。この状態が図3で示す状態であり、前車輪機
構6、後車輪機構7に軸支してある車輪19、41はそ
れぞれレールAの上方に位置するように設定する。この
後、前車輪機構6、後車輪機構7の内部にある油圧シリ
ンダー13、28を作動させ、それぞれの車輪19、4
1を下降させ、車輪19、41にレールAを接触させ
る。なおも油圧シリンダー13、28を作動させると、
車輪19、41によって車体1は持ち上げられ、図4で
示すように前輪2がレールAの表面から離れ、後輪3が
少し持ち上げた状態となる。この状態では、後輪3はレ
ールAより少し持ち上げられていても、後輪3は車体1
に板バネで保持されているため、適当な力でレールAに
接触している。このように、前輪2が持ち上げられ、後
輪3がレールAに軽く接触し、前車輪機構6、後車輪機
構7の車輪19、41がそれぞれレールAと接触した状
態が軌道走行車がレールAを走行する設定となる。この
状態で、キャビン4内に搭乗した操縦者が後輪3を駆動
させることにより、後輪3はレールAの上面と摩擦によ
り水平方向に押す力となって車体1を前進させることに
なる。このとき、車輪19、41はレールA上を案内さ
れながら転動することから、車体1はレールAが敷かれ
た方向に移動することができる。
【0027】このような前進または後進する移動の動作
において車体1を停止させたい場合には、ブレーキユニ
ット22、44にそれぞれ圧力油を供給し、ブレーキユ
ニット22、44内に収納したブレーキパットをそれぞ
れ両側から締めつけることでブレーキディスク20、4
2も圧接させる。このため、ブレーキディスク20、4
2はその回転を停止させられ、同時にシャフト17、4
0および車輪19、41もその回転を停止させられ、車
体1はその速度を低下しながら停止させられることにな
る。
【0028】このような道路Bと軌レールAでの走行の
切換えの操作において、前車輪機構6に設けた油圧シリ
ンダー13に圧力油を供給すると、油圧シリンダー13
はその長さを伸長させ、内ケース12は外ケース11の
内部より引き出されることになる。この内ケース12が
外ケース11より引き出されると座板15、軸受金具1
6は下降し、車輪19はレールAの上面に押しつけられ
るようにして接触させられる。レールAに車輪19が接
触した後になおも油圧シリンダー13を伸長させると、
図7で示すようにアーチ形になった構造体は持ち上げら
れ、このため車体1も同時に持ち上げられることにな
る。この結果、前輪2はレールAより持ち上げられ空中
に浮いた状態で保持される。
【0029】次いで、後車輪機構7における油圧シリン
ダー28に圧力油を供給さすると油圧シリンダー28が
伸長し、これにより内ケース27が外ケース26の内部
より下方に引き出される。この時、内ケース27に連結
してある保持金具30、仕切板31も同時に下降し、仕
切板31に連結してある摺動枠29は外ケース26の外
周と摺動しながら下降することになる。このため、油圧
シリンダー28が全伸長した時には、車輪41はレール
Aの表面に接触させられるが、車輪41を保持している
軸受金具35は保持金具30に対して上下に自由に移動
することができ、その移動量はバネ37の弾性力によっ
て規制されている。このため、バネ37の弾性力と荷重
の釣合いが取れた時に軸受金具35は保持金具30との
移動を停止し、その位置で車体1の荷重を支えることに
なる。この弾性による保持の機能は前車輪機構6と相違
し、内ケース27が外ケース26に対して固定された状
態で保持されるのに対し、後車輪機構7の軸受金具35
は一定の弾性力によって保持されている。
【0030】このようにして、車輪41が常にバネ37
の弾性力によってレールAの表面に接触させられている
ことから、車体1が走行中に振動によって上下動して
も、車輪41はバネ37の弾性力によって常にレールA
の表面に接触させられることとなり、走行中に車輪41
がレールAから外れることがなく、脱線することがなく
なる。また、荷台5には砂利や資材等の重量物を搭載す
ることもあるが、この場合において車体1に加えられる
荷重が大きくなれば、その荷重によってバネ37が圧縮
させられてその長さを縮小されることになる。バネ37
が縮小されると軸受金具35は保持金具30に対して摺
動し、この摺動では目隠し板43が仕切板31の表面に
接触してスムースに摺動できる。こうして、バネ37が
縮小されると、車体1と車輪41の間隔が狭まり、車体
1に軸支してある後輪3はレールAに接触する圧力が高
くなり、後輪3はより強い圧力でレールAと接触するこ
とになる。このため、レールAと後輪3との摩擦係数が
高くなり、荷台5に重量物を搭載させれば、その搭載力
に応じて後輪3とレールAとの接触摩擦係数が変化する
ことになる。こうして、摩擦係数が高くなると、後輪3
の駆動力はレールAに確実に伝えられることになり、後
輪3とレールAとの間でスリップせずに確実に車体1を
移動させることができる。また、荷台5に搭載した資材
が空になり、車体1自体が軽くなるとバネ37の弾性力
によって軸受金具35は下方に押しさげられ、相対的に
車体1と車輪41の間隔が広くなり、後輪3とレールA
の接触面積は少なくなり、荷重に見合った摩擦係数に自
動的に変化する。
【0031】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、軌
道走行のために軌道に車輪を接触させた場合において、
常に一定の圧力で車輪を軌道に接触させることができる
ので、軌道から車輪が外れて脱線するのを防止すること
ができる。また、自動車の駆動輪を軌道に接触させ、そ
の摩擦力で車体を移動させる構成ため、車体に加えられ
る荷重が大きくなれば自動的に駆動輪の摩擦係数が大き
くなり、駆動力を正確に伝えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である軌道走行車が軌道上を
走行する状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の軌道走行車が道路上を走行している
状態を示す側面図である。
【図3】本実施例の駆動走行車と軌道との相関関係を示
す背面図である。
【図4】本実施例の軌道走行車が軌道上を走行中の状態
を示す側面図である。
【図5】本実施例の軌道走行車の前側にある車輪を軸支
する前車輪機構の構成を示す斜視図である。
【図6】本実施例の軌道走行車の前側にある車輪を軸支
する前車輪機構のブレーキ機構を示す一部を取り除いた
斜視図である。
【図7】本実施例の軌道走行車の前車輪機構と車体の構
成を示す正面図である。
【図8】本実施例の軌道走行車の後側にある車輪を軸支
する後車輪機構の構成を車体後方斜め外側から見た状態
を示す斜視図である。
【図9】本実施例の軌道走行車の後側にある車輪を軸支
する後車輪機構の構成を車体後方斜め内側から見た状態
を示す斜視図である。
【図10】本実施例の軌道走行車の後車輪機構の内部の
構成を示す縦断面図である。
【図11】本実施例の軌道走行車の後車輪機構における
ブレーキ機構を示す一部を破断した斜視図である。 1 車体 2 前輪 3 後輪 6 前車輪機構 7 後車輪機構 11 外ケース 12 内ケース 13 油圧シリンダー 19 車輪 26 外ケース 27 内ケース 28 油圧シリンダー 30 保持金具 33 キャップ 37 バネ 41 車輪

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機等を搭載した車体と、車体の前部
    に軸支された前輪と、車体の後部に軸支された後輪と、
    前輪と後輪の間に位置して車体に取り付けられ、前側の
    車輪を上下に移動させてその車輪を軌道に接触させるこ
    とで車体を持ち上げることのできる前車輪機構と、後輪
    の後方に位置して車体に取り付けられ、後側の車輪を上
    下に移動させてその車輪を軌道に接触させることで車体
    を持ち上げることのできる後車輪機構とから成り、前車
    輪機構と後車輪機構によって前輪を持ち上げ、後輪を軌
    道に接触させ、車輪によって軌道を案内させると共に後
    輪の駆動力を軌道に伝えることで道路と軌道を選択的に
    走行できる軌道走行車において、後車輪機構の車輪を上
    下方向に弾性力を持たせて保持させたことを特徴とする
    軌道走行車。
  2. 【請求項2】 前記前車輪機構は、車体にその長さ方向
    を上下に向けて固定されて内部が空洞の外ケースと、外
    ケースに摺動自在に挿通された内ケースと、外ケース内
    に収納されて内ケースを外ケースより伸縮させる油圧シ
    リンダーと、内ケースの下端に軸支されて軌道に接触す
    る車輪とから構成されたことを特徴とする請求項1記載
    の軌道走行車。
  3. 【請求項3】 前記後車輪機構は、車体にその長さ方向
    を上下に向けて固定されて内部が空洞の外ケースと、外
    ケースに摺動自在に挿通された内ケースと、外ケース内
    に収納されて内ケースを外ケースより伸縮させる油圧シ
    リンダーと、内ケースの下端に取付けられた保持金具
    と、保持金具に上下方向に摺動自在に組み合わされた軸
    受金具と、保持金具と軸受金具の間に介在されて軸受金
    具を常時下方に付勢するバネと、軸受金具に軸支されて
    軌道に接触する車輪とから構成されたことを特徴とする
    請求項1記載の軌道走行車。
  4. 【請求項4】 前記前車輪機構と後車輪機構には、車輪
    を制動のためのブレーキユニットをそれぞれ設けたこと
    を特徴とする請求項1、2、3に記載の軌道走行車。
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