JPH0615421B2 - ムライト焼結体の製造方法 - Google Patents

ムライト焼結体の製造方法

Info

Publication number
JPH0615421B2
JPH0615421B2 JP60195613A JP19561385A JPH0615421B2 JP H0615421 B2 JPH0615421 B2 JP H0615421B2 JP 60195613 A JP60195613 A JP 60195613A JP 19561385 A JP19561385 A JP 19561385A JP H0615421 B2 JPH0615421 B2 JP H0615421B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mullite
sintered body
precipitate
water
aluminum silicate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP60195613A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6256356A (ja
Inventor
正典 平野
博 稲田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP60195613A priority Critical patent/JPH0615421B2/ja
Publication of JPS6256356A publication Critical patent/JPS6256356A/ja
Publication of JPH0615421B2 publication Critical patent/JPH0615421B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はムライト焼結体の製造方法に関し、詳しくはケ
イ酸ナトリウムと水溶性アルミニウムの塩水溶液から得
られる沈澱を脱水乾燥してムライト前駆ケイ酸アルミニ
ウム微粒子を得、該微粒子を加熱処理したムライト微粉
原料の成形体を焼成して、耐熱高温構造材料として高密
度でかつ高強度であり常温及び高温での機械的特性に優
れるムライト焼結体を得る製造方法に関するものであ
る。
[従来の技術] ムライトは、アルミナ3分子とシリカ2分子(3Al2
3・2SiO2)からなる菱面体結晶で高融点で低熱膨張
なセラミックスとして知られている。ムライトの化学量
論的な組成比は、重量比でAl23/SiO2が71.8
/28.2であり、この組成のムライトは、熱的に極め
て安定している。そのためムライト結晶粒子のみからな
る成形体を焼結させ気孔の無い高密度焼結体を得ること
は極めて難しい。
ムライト組成の原料としては、従来工業的には、ボーキ
サイトを主原料とし、高温で熔融合成し、これを粉砕し
た電融ムライト原料、あるいはカオリン、アルミナ等の
原料をムライト組成に配合し、1500〜1800℃で焼結し、
これを粉砕した合成ムライト原料がある。ところがこれ
らのムライト原料は、一般には耐火物用で、焼結性に劣
り、高温で焼結を行っても、充分な強度を有するち密質
焼結体を得ることは困難である。そこでムライト磁器と
しては工業的には、シリマナイト、カオリン、可塑性粘
土、仮焼アルミナ、長石等の原料をボールミル粉砕混合
し、1500〜1800℃焼成したAl23/SiO2比が40/
60〜60/40の範囲にしたもので、ムライト組成よ
りシリカが多く含まれているのが一般的である。
純粋なムライト組成の焼結体は、新しい手法として、実
験室的にアルミニウムイソプロポキシド及びシリコンテ
トラエトキシドを出発原料とし、Al2:SiO2
ル比=3:2となるように混合した混合アルコキシド溶
液を加水分解して合成したアルミナ−シリカ系微粉体を
用い、1500℃でホットプレスする方法が試みられてい
る。これにより、化学量論的にムライト組成にあり、ほ
ぼ理論密度の純粋なムライト焼結体が得られることが
K.S.Mazdiyasniらにより、J.Am.Ceram.Soc.
[55]548〜52(1972)に報告されている。
また神崎らにより、硝酸アルミニウムとケイ酸エチルの
混合溶液を噴霧熱分解して得られる微粉体を1650℃で常
圧焼結し、3.01g/cm3の密度のムライト焼結体を得
る方法が試みられている(J.Am.Ceram.Soc.68
[1]c−6〜c−7(1985) [発明が解決しようとする問題点] 本来、純粋なムライト焼結体は高融点でかつ低熱膨張で
あり、高温圧縮強度が大きく、特に高温時の変形すなわ
ち耐クリープ特性に優れ、常温から1400℃という高温ま
で曲げ強度が変化しないという優れた特性を有する。し
かしながら、前述のように、ムライト組成の電融ムライ
ト原料や焼結、粉砕による合成ムライト原料は、焼結性
に劣り、充分な強度を有するち密質焼結体を得ることが
できない。
また、従来一般にムライト磁器と称されて来たものは、
ムライトの化学量論比よりも多量のシリコンを含み、こ
の余剰のシリカのマトリックスでもってムライト粒子を
結合させるという二相構造を有したものであり、ここに
おけるシリカ分も40〜60%含んでいるのが通常であ
って、マトリックス部分ではSiが多く、反対にアルミ
ナが殆ど存在しないため、マトリックス部分がシリカで
構成され、それがムライト粒子を結合せしめている状態
となる。
このように従来のシリカ過剰のムライト磁器では、その
熱的特性はシリカのマトリックス部に大きく支配され、
従って熱間強度、クリープ特性、耐熱温度の低下につな
がっていた。いずれにしても、従来のムライト磁器は過
剰のシリカを用いてシリカマトリックスを形成させ、あ
るいは場合により焼結助剤としてアルカリを添加して高
密度成形体としていたために、その各種特性は必ずしも
満足すべきものではなかった。
また、ムライト組成(Al23/SiO2=71.8/2
8.2)に近いシリカ分の少ないムライト磁器は、ち密
質焼結体が得られないことにより、15%近くの気孔率
あるいは吸水率を有しているものが殆どである。さら
に、従来のムライト磁器に使用されるカオリン、粘土、
長石等の原料は、均一でなく、焼結中に各種の配合原料
が反応し、ムライトが生成される結果、組成的に不均一
で、焼結体の結晶粒子径も一般に大きく、常温あるいは
高温での高強度は望めない。そのため、耐熱材料として
は、炉材、棚板、匣鉢などに利用されているにすぎず、
耐熱高温構造材料としての用途は極めて限定されたもの
となっている。
一般にセラミックスの性能を向上させるには、相及び化
学組成が均一で、かつ、焼結性の高い微粉体を準備する
ことが必要であり、セラミックスの付加価値を高めるた
めには、原料粉体から成形、焼成に至るまでのプロセス
を厳密にコントロールすることが必要不可欠である。
ムライト焼結体の製造方法としては、原料粉体の製造コ
ストが低く、収率が高く化学組成が均一で製品中に不純
物の混入がなく、また、粒径が小さく二次凝集を生じる
ことなく、分散性及び焼結活性に優れた原料粉体を使用
することが要求される。しかしながら、新しい手法であ
る混合アルコキシドの加水分解、あるいは噴霧熱分解法
は、出発原料であるアルコキシドが高価であること、反
応条件の高度に正確な制御が必要であること、さらには
実験室的な少量生産は可能であるが工業的な大量生産に
は適しない等の欠点の一又は二以上を有している。
本発明は、前記のごとき従来のムライト製造方法の問題
点を解決することを目的とするものであって、その主要
な目的は、第1に真のムライト微結晶同志が強固に焼結
した組織を有する高純度で高密度な焼結体を得ることで
あり、第2にムライト本来の優れた特性を引き出し従来
のムライト磁器より格段に高強度な耐熱高温構造材料用
のセラミックスを提供することであり、第3に原料粉体
の製造コストが低く、工業的な大量生産に適したムライ
ト焼結体の製造方法を提供することである。
[問題点を解決するための手段] 本発明の第1発明のムライト焼結体の製造方法は、ケイ
酸ナトリウムに水溶性アルミニウム塩を反応させること
によりケイ酸アルミニウムを生成させ、これを分離し、
次に、ケイ酸アルミニウムに、水溶性アルミニウム塩を
加えた水溶液にアンモニア水を加え、沈澱を形成させた
後、沈澱物を水洗、脱水、乾燥し、ムライト前駆ケイ酸
アルミニウム微粒子を得、次いで該微粒子を1000〜1500
℃で加熱処理し解砕して得られた、主としてAl23
SiO2から成りAl23/SiO2の重量比が、65/
35〜80/20の範囲にあるムライト微粉原料の成形
体を1450〜1800℃の温度範囲で焼成して、主としてムラ
イト相からなり、かつ嵩密度が、3.10g/cm3以上又
は2%以下の気孔率の焼結体を製造することを要旨とす
る。
また、本発明の第2発明のムライト焼結体の製造方法
は、ケイ酸ナトリウムに水溶性アルミニウム塩を反応さ
せることによりケイ酸アルミニウムを生成させ、これを
分離し、次に、ケイ酸アルミニウムに、水溶性アルミニ
ウム塩を加えた水溶液にアンモニア水を加え、沈澱を形
成させた後、沈澱物を水洗、脱水し、沈澱物に有機溶媒
を加えた後、加熱蒸留した後、ムライト前駆ケイ酸アル
ミニウムを含む微粒子を有機溶媒から分離して乾燥し、
次いで該微粒子を1000〜1500℃で加熱処理し解砕して得
られた、主としてAl23とSiO2から成り、Al23
/SiO2の重量比が、65/35〜80/20の範囲
にあるムライト微粉原料の成形体を1450〜1800℃の温度
範囲で焼成して、主としてムライト相からなり、かつ嵩
密度が、3.10g/cm3以上又は2%以下の気孔率の焼
結体を製造することを要旨とする。
本発明のムライト前駆ケイ酸アルミニウムの比表面積
は、100m2/g以上400m2/g以下の範囲とすること
ができる。また、加熱処理後のムライト微粉原料の比表
面積を、100m2/g以下5m2/g以上の範囲とすること
ができる。さらに、本発明における焼成は、真空中ある
いは酸素、水素、ヘリウムから選ばれた雰囲気中で行う
ことができる。
[作用] 本発明のムライト焼結体の製造方法においては、ケイ酸
ナトリウムとアルミニウム塩を出発原料とし、沈澱法に
より得られた焼結活性に優れた高純度ムライト微粉体を
原料として使用する。これにより、ムライトの化学量論
組成の微結晶からなるほぼ理論密度の高密度焼結体を、
1600℃以下の温度で数時間の焼成で得ることができる。
さらには、ムライトの化学量論組成付近の任意の組成に
ついて、高密度焼結体を得ることができる。また、ムラ
イト微結晶が強固に焼結した均一な組織を有するので、
従来のムライト磁器に比べて、格段に高強度であり、し
かも1400以上の高温まで室温の強度を保持することがで
きる。原料組成をムライトの化学量論組成にすることに
より、殆どガラス相を含まない焼結体を得ることが可能
であり、シリカマトリックスがムライト粒子を結合せし
めている状態の従来のムライト磁器に比べ、高温でのク
リープ特性も一段と優れたものとなる。
本発明のムライト焼結体の製造方法は、ケイ酸ナトリウ
ム及びアルミニウム塩を出発原料とするものであって、
出発原料は安価であり、また工業的にも大量生産が容易
でかつ製造コストも低いという大きな効果をもたらす。
しかも得られるムライト微粉体は、高純度で焼結活性に
優れ、ほぼ理論密度の焼結体を得ることができる。ま
た、本発明のムライト前駆ケイ酸アルミニウム微粒子及
びムライト微粉体の調製工程においては、ムライト前駆
ケイ酸アルミニウム微粒子を含む沈澱に有機溶媒を加
え、加熱蒸留により脱水、乾燥を行い、これを加熱処理
することで、一次粒子の凝集による弊害の無い、焼結活
性及び成形性に優れる高純度ムライト微粉体を効率良く
容易に得ることができる。
本発明では、成形体の焼成において、真空中又は酸素、
水素、Heから選ばれた雰囲気中で焼成を行なうこと
で、より低温で理論密度のしかも強度に優れるムライト
焼結体を得ることが可能となる。
本発明の方法は通常次のように実施される。すなわち、
高純度ムライト微粉体の調製は、ケイ酸ナトリウムに水
溶性アルミニウム塩例えば硫酸アルミニウム、あるいは
塩化アルミニウムあるいは硝酸アルミニウムなどを反応
させ、ケイ酸ナトリウムを分解し、ケイ酸アルミニウム
を生成させる。次にナトリウム塩等の不純物を分離して
得られたケイ酸アルミニウムに、例えば塩化アルミニウ
ム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の水溶性ア
ルミニウム塩の水溶液をムライトの化学量論組成、ある
いは任意の組成になるように混合し、攪はん下これにア
ンモニア水を添加する。得られた沈澱は、ろ過、遠心分
離等の適当な方法により母液より分離した後、更に沈澱
物中に残留する溶液並びに沈澱物に付着している未反応
物及び生成物(例えば塩化アルミニウムを使用した場合
はNH4Cl)、を除去すべく沈澱物の水洗を行なう。
こうして得られた沈澱は、スプレードライ、熱風乾燥、
減圧乾燥、マイクロ波加熱等の適当な方法により乾燥し
て、ムライト前駆ケイ酸アルミニウム微粉体を得ること
ができる。
本発明においては、特に沈澱を分離脱水後、乾燥を行な
う工程において、有機溶媒を用いて蒸留を行なうことが
よい。すなわち、水洗を終えた沈澱物に有機溶剤を加
え、沈澱物を有機溶剤に分散させた状態で蒸留を行な
う。かくして一次粒子の凝集の原因となる沈澱物中の水
分子を除去するとともに、一次粒子を有機溶媒中に出来
るだけ微細に分散させておくことにより、引き続く乾燥
及び加熱処理工程での凝集を防止する。
蒸留に使用する有機溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、炭素数10以下のアルコール、安息香酸
エチルのごとき有機酸エステル等が代表的なものであ
り、これらの1種又は2種以上が使用される。中でも炭
素数3〜10のアルコールが好ましく、更にブタノー
ル、n−オクタノール及びイソアミルアルコールがより
好ましいものとして挙げられる。
炭素数3〜10のアルコール以外の溶媒を使用する場合
には、溶剤を大量に使用する必要があり、粒子の分散が
困難である等の難点があり、かつ凝集防止の効果及び経
済性が充分でない。尚、沈澱物の分散を促進するために
有機溶媒にノニオン系界面活性剤を少量加えることを妨
げない。
蒸留は、溶剤の種類、沈澱物中の水分残留量、溶剤と水
との共沸点、蒸留の程度等を勘案して、通常70℃から
有機溶剤の沸点までの温度範囲内で行なう。蒸留後、冷
却し、液相中の浮遊物及び沈澱物をろ過、遠心分離等の
手段により液相から分離回収し、常圧又は減圧下に40
〜95℃程度で乾燥し、ムライト前駆ケイ酸アルミニウ
ム微粉体を得る。
ムライト前駆ケイ酸アルミニウム微粉体は、1000〜1500
℃で数時間加熱処理し、解砕することにより、本発明の
高純度ムライト微粉体を得る。加熱温度が1000℃未満で
はムライトが生成されず、一方1500℃を上回ると、微粉
体の粒子が粗大化するので、共に好ましくない。かくし
て得られたムライト微粉体は、凝集二次粒子を含まず、
不純物、沈澱剤、陰イオン等の混入も殆ど認められな
い。
このようにして得られたムライト微粉体に、ポリビニー
ルアルコール等の成形助剤を加えて所定の形状に成形
し、1450〜1800℃で数時間焼成することにより、容易に
ほぼ理論密度の高密度ムライト焼結体を得ることができ
る。焼成温度が1450℃以下では柱状あるいはプリズム状
のムライト微結晶が互いに絡み合った焼結体組織が発達
しにくく、また1800℃を上回ると粒子が粗大化して共に
好ましくない。さらに好ましくは、1500〜1750℃の範囲
で焼成するのがよい。
本発明においては、特に真空中、あるいは酸素、水素、
ヘリウムから選ばれた雰囲気中で焼成を行なうことによ
り、より低温で気孔の殆ど含まれない理論密度焼結体が
得られる。すなわち、窒素、炭酸ガス等は焼結中に気孔
の除去を抑制するのに対し、真空中、酸素、水素、ヘリ
ウム等のガスは焼結を促進するからである。
本発明の焼結においては、HP法又はHIP法を用いる
こともできる。すなわち、Ar、N2等の不活性雰囲気
中で1400〜1600℃の温度、20Kg/cm2以上の圧力でホ
ットプレスする。また適切な温度条件で密度95%以上
の非通気性焼結体を得たのち、熱間静水圧プレス内にて
1000Kg/cm2以上のガス圧力、1100℃以上1800℃以下の
温度条件にて、0.5時間以上の焼結を行えば、ほぼ完
全にち密化し、高性能なち密質ムライト焼結体を得るこ
とができる。
なお本発明においては、Na2O・nSiO2・mH2Oで示
されるケイ酸ナトリウムにおいてn=0.5〜4のいず
れの組成のものも使用できる。
また本発明のムライト前駆ケイ酸アルミニウムは、10
0m2/g以上400m2/g以下の範囲の比表面積とするこ
とが望ましい。100m2/g以下では活性に劣り、40
0m2/g以上では表面活性が大きすぎる為、加熱処理後
得られるムライト微粉体が嵩高くなり、共に好ましくな
い。また、このムライト前駆ケイ酸アルミニウムを1000
〜1500℃で熱処理して得られるムライト微粉原料は、1
00m2/g以下5m2/g以上の範囲の比表面積が望まし
い。ムライト微粉原料の比表面瀬は焼結活性の点から、
高比表面積であることが望ましく、成形性及び成形体の
生密度を高くする点からは低比表面積が望ましいが、両
条件を共に満たすため、この範囲内が望ましい。特に各
種の成形手法を用いる上で、望ましくは50m2/g以下
5m2/g以上が良い。
本発明においては、主としてムライト相からなる焼結体
を得るため、Al23/SiO2の重量比が65/35〜
80/20の範囲にあることが必要である、すなわち3
Al23/SiO2の重量比が65/35よりSiO2
多い場合は、焼結体に含まれるガラス質が多くなり強
度、耐クリープ特性の劣化につながる。また、80/2
0よりもAl23が多くなると、焼結体に含まれるAl2
粒子の割合が多くなり、高温での強度低下につなが
る。
また、この組成範囲の焼結体の嵩密度は、3.10g/c
m3以上あるいは2%以下の気孔率であることが必要であ
る。このように嵩密度あるいは気孔率を限定した理由
は、焼結体の嵩密度が3.10g/cm3以下あるいは2%
以上の気孔率を含む場合には、焼結体の機械的特性が劣
ったものとなるからである。
焼結体中にガラス質あるいはアルミナ粒子を含まない実
質的にムライト単相からなる焼結体を得るためには、A
l23/SiO2の重量比を72/28〜76/24の範
囲内にすることが好ましい。この範囲内の焼結体は、室
温及び高温での機械的特性に優れる。この範囲の焼結体
の嵩密度が3.10g/cm3以下あるいは2%以上の気孔
率である場合は、焼結体の機械的特性が劣ったものとな
る。このため、3.10g/cm3以上の嵩密度あるいは2
%以下の気孔率でなければならない。
[実施例] 以下に、本発明の実施例を詳細に説明し、本発明の効果
を明らかにする。
(実施例1) SiO2/Na2Oのモル比が1であるケイ酸ナトリウム(N
a2OnSiO2)の水溶液に硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)の
水溶液を加えてケイ酸ナトリウムを分解し、Al2O3/S
iO2のモル比が1/3であるケイ酸アルミニウムの沈
澱物を生成させる。次いで母液から沈澱物を分離し、水
洗後、得られる粉末のAl2O3/SiO2の重量比が第1
表の割合になるように、この沈澱物に塩化アルミニウム
(AlCl3)の水溶液を加え攪はん下アンモニア水を滴
下し、沈澱物を形成させた後、この沈澱を母液より分離
した。
得られた沈澱物は、水洗、脱水、乾燥をへて、ムライト
前駆ケイ酸アルミニウム微粒子となる。この微粒子は、
220m2/gの比表面積を有する。次いで、該微粒子を
大気中1000〜1450℃で2時間加熱処理し、解砕を加えム
ライト微粉原料を得る。このようにして得られたムライ
ト微粉原料の加熱処理温度と比表面積の関係を第1図に
示した。
第1図の曲線より、加熱処理温度が1000℃では、原料の
比表面積が90〜100m2/gの値を示し、逆に加熱処
理温度が1500℃では、原料の比表面積は5m2/gとな
る。この結果より、本発明の高純度高強度の焼結体を得
るためには、ムライト微粉原料の加熱処理温度は、1000
〜1500℃とすることが望ましいことが確認された。
次に、1200℃で2時間加熱処理して得られた32m2/g
の比表面積を示すムライト微粉体を2.0ton/cm2の圧
力で等方的に成型し、1600℃の温度で大気中2時間焼成
した。得られた焼結体は、3×4×40mmに切断研磨加
工し、密度、室温及び1300℃での抗折強度、並びに焼結
体の結晶相を測定し、その結果を第1表に示した。
なお、各物性の測定方法として、室温の抗折強度はJI
S規格に従い、3×4×40mm試料片を用い、スパン3
0mm、クロスヘッド速度0.5mm/minの3点曲げによ
り10本の平均値を示した。高温強度は、1300℃におい
て、室温と同様に測定を行った。結晶相は、X線回折、
走査型電子顕微鏡(SEM)、X線マイクロアナライザ
ー(EPMA)を用い、ムライト相、アルミナ相を検出
し、ガラス相はHF等の酸で研磨面をエツチングし、S
EM観察を行ない検出した。比表面積の測定は、BET
吸着法により行った。
第1表の結果より、Al23/SiO2重量比が60/4
0であってSiOの配合割合の多い比較例である試料
No.1は、ムライト相にガラス質が多く混入するので、
室温強度及び高温強度共に十分な値が得られない。ま
た、Al23/SiO2重量比が85/15であってAl2
3の配合割合の多い比較例である試料No.7では、アル
ミナ相が多くなり、嵩密度及び室温強度は高いものの、
1300℃における強度は著しく劣化する。しかし、Al2
3/SiO2重量比が本発明の範囲にある試料No.2〜6
では、Al23/SiO2重量比が67/33〜78/2
2であって、殆どがムライト相からなり、嵩密度は3.
11g/cm3以上のものが得られ、室温強度は33〜45
Kg/mm2、1300℃強度は37〜43Kg/mm2とそれぞれ
所期の結果を示すことが確認された。
(実施例2) 実施例1の方法で得られたAl23/SiO2の重量比が
72/28のムライト微粉体を、2.0ton/cm2の圧力
で等方的に成形し、1400℃、1550℃、1600℃、1650℃、
1700℃、1900℃の各温度で大気中2時間焼成し、焼結体
の密度及び室温強度について測定し、その結果を第2表
に示した。
第2表において、ムライト微粉体の焼成温度が本発明の
範囲外の1400℃である比較例の試料No.8では、嵩密度
が十分でなく、室温強度も十分な値が得られない。ま
た、焼成温度が1900℃である比較例の試料No.13で
は、嵩密度は高いものの焼結体の結晶粒子が粗大化して
十分な室温強度が得られない。これに対して焼成温度が
1550〜1700℃である試料No.9〜12では、嵩密度及び
室温強度共に所期の結果が得られることが確認された。
また、1550℃、1600℃及び1650℃で焼成した試料No.
9、10、及び11の焼結体の表面を研摩し、1550℃で
15分間サーマルエッチングした焼成体表面の電子顕微
鏡写真(×2500)を第2図(A)、(B)、(C)に示した。
この写真より、柱状結晶が互いに絡み合った結晶体組織
が発達していることが確認された。
(実施例3) SiO2/Na2Oのモル比が3であるケイ酸ナトリウム
(Na2OnSiO2)の水溶液に硫酸アルミニウム(Al
2((SO4)3)の水溶液を加えて、ケイ酸ナトリウムを分
解し、Al23/SiO2のモル比が1/9であるケイ酸
アルミニウムの沈澱物を生成させる。次いで母液から沈
澱物を分離し、水洗後Al23/SiO2の重量比が74
/26になるようにこの沈澱物に塩化アルミニウム(A
lCl3)の水溶液を加え、攪はん下アンモニア水を滴
下し、沈澱物を形成させた後、この沈澱を母液より分離
した。得られた沈澱物は、水洗、脱水を行った。
脱水終了後の沈澱物に対し、ブタノールとイソアミルア
ルコールを重量比で1:1に混合した混合アルコールを
沈澱物の重量の4倍量加え、さらに非イオン系界面活性
剤を混合アルコールの1/150の重量割合で添加して
十分に分散させた後、攪はん下に加熱蒸留し、沸点が1
00℃となった時点で加熱を止め、冷却し残留物を得
る。次ぎに残留物から遠心分離により、浮遊物及び沈澱
物を回収し、これを90℃にて乾燥し、ムライト前駆ア
ルミニウム微粒子を得た。
この微粒子は、280m2/gの比表面積を有している
が、該微粒子を大気中1300℃で2時間加熱処理し、解砕
を加え、ムライト微粉原料を得る。このようにして得ら
れたムライト微粉原料の比表面積は25m2/gを示す。
このムライト微粉体を2.0ton/cm2の圧力で等方的に
成形し、1.77g/cm3の生嵩密度を有する成形体とし
た。この成形体を酸素中で1550℃3時間焼成した。この
ようにして得られた焼結体は、3.16g/cm3の嵩密度
と45Kg/mm2の室温での曲げ強度を示した。
本実施例から、有機溶剤を使用し、加熱蒸留、乾燥を行
うことにより、焼結活性に優れしかも成形性に優れるム
ライト微粉原料が得られることが分かる。また、酸素中
で焼成を行うことで、大気中よりも焼結が促進され、よ
り低温で理論密度の焼結体を得ることが可能となり、さ
らには焼結体の結晶粒子径を微粒とすることができるた
め、より強度に優れたムライト焼結体を得ることができ
ることが判明した。
(実施例4) 実施例1の方法で得られたAl23/SiO2の重量比が
72/28の試料No.4及び比較例としてAl23/Si
2の重量比が65/35の嵩密度2.6g/cm3、吸水
率0の市販ムライト磁器(試料No.X)について1000
℃、1150℃、1300℃、1450℃における高温強度を測定
し、その結果を第3図において、縦軸に抗折強度(Kg/
mm2)、横軸に保持温度(℃)として示した。
第3図から明らかなように、本発明例である試料No.4
は、抗折強度がNo.Xよりも4倍位高く、しかも常温か
ら1500℃に至るまで抗折強度が殆ど変化しないのに対
し、比較例である試料No.Xは、1000℃以上になると抗
折強度の劣化が始まる。これより本発明のムライト焼結
体は、市販のムライト磁器に比べ、室温、高温強度共に
格段に優れていることが判るが、特に高温においての強
度低下が全くなく、室温強度を高温まで保持できること
が判る。
(発明の効果) 以上に詳細に説明したように、本発明のムライト焼結体
の製造方法によってえられる焼結体は、主としてムライ
ト相からなり、ムライト微結晶同志が強固に焼結した組
織を有する高純度で高密度な焼結体である。また、ケイ
酸ナトリウムを出発原料とする沈澱法による焼結活性に
優れた高純度ムライト微粉体を使用するものであり、ム
ライト微結晶が強固に焼結し均一な組織を有する焼結体
であるため、従来のムライト磁器に比べて、室温あるい
は高温における強度、クリープ特性等の機械的特性に一
段と優れる。さらに、本発明のムライト焼結体の製造方
法は、原料分体の製造コストが低く、工業的な大量生産
に適したムライト焼結体の製造方法である。
本発明によって製造されるムライト焼結体は、その優れ
た機械的特性のために、こう鉢、棚板、特にローラーハ
ースキルンの焼成コロなどを始めとする高温炉用材等の
耐熱用材料は勿論のこと、鉄鋼用あるいは熱処理用の送
風機のファン、耐摩耗バルブ、高温用バーナー、ディー
ゼルエンジンやガスタービン等の内燃機関の各部材など
耐熱性高温構造品として有用であり、その性能の向上に
大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1におけるムライト微粉原料の加熱処理
温度と比表面積の関係を示した図表、第2図(A)、
(B)、(C)は本発明の方法により焼成した焼結体の研摩
エッチング面の粒子構造を表す電子顕微鏡写真、第3図
は実施例4における高温強度試験の保持温度と鋼折強度
の関係を示した図表である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケイ酸ナトリウムに水溶性アルミニウム塩
    を反応させることによりケイ酸アルミニウムを生成さ
    せ、これを分離し、次に、ケイ酸アルミニウムに、水溶
    性アルミニウム塩を加えた水溶液にアンモニア水を加
    え、沈澱を形成させた後、沈澱物を水洗、脱水、乾燥
    し、ムライト前駆ケイ酸アルミニウム微粒子を得、次い
    で該微粒子を1000〜1500℃で加熱処理し解砕して得られ
    た、主としてAl23とSiO2から成りAl23/Si
    2の重量比が、65/35〜80/20の範囲にある
    ムライト微粉原料の成形体を1450〜1800℃の温度範囲で
    焼成して、主としてムライト相からなり、かつ嵩密度
    が、3.10g/cm3以上又は2%以下の気孔率の焼結体
    を製造することを特徴とするムライト焼結体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】ムライト前駆ケイ酸アルミニウムの比表面
    積を、100m2/g以上400m2/g以下の範囲とする特
    許請求の範囲第1項記載のムライト焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】加熱処理後のムライト微粉原料の比表面積
    を、100m2/g以下5m2/g以上の範囲とする特許請求
    の範囲第1項または第2項記載のムライト焼結体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】焼成は真空中あるいは酸素、水素、ヘリウ
    ムから選ばれた雰囲気中で行う特許請求の範囲第1項、
    第2項または第3項記載のムライト焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】ケイ酸ナトリウムに水溶性アルミニウム塩
    を反応させることによりケイ酸アルミニウムを生成さ
    せ、これを分離し、次に、ケイ酸アルミニウムに、水溶
    性アルミニウム塩を加えた水溶液にアンモニア水を加
    え、沈澱を形成させた後、沈澱物を水洗、脱水し、沈澱
    物に有機溶媒を加えた後、加熱蒸留した後、ムライト前
    駆ケイ酸アルミニウムを含む微粒子を有機溶媒から分離
    して乾燥し、次いで該微粒子を1000〜1500℃で加熱処理
    し解砕して得られた、主としてAl23とSiO2から成
    りAl23/SiO2の重量比が、65/35〜80/2
    0の範囲にあるムライト微粉原料の成形体を1450〜1800
    ℃の温度範囲で焼成して、主としてムライト相からな
    り、かつ嵩密度が、3.10g/cm3以上又は2%以下の
    気孔率の焼結体を製造することを特徴とするムライト焼
    結体の製造方法。
  6. 【請求項6】ムライト前駆ケイ酸アルミニウムの比表面
    積を、100m2/g以上400m2/g以下の範囲とする特
    許請求の範囲第5項記載のムライト焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】加熱処理後のムライト微粉原料の比表面積
    を、100m2/g以下5m2/g以上の範囲とする特許請求
    の範囲第5項または第6項記載のムライト焼結体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】焼成は真空中あるいは酸素、水素、ヘリウ
    ムから選ばれた雰囲気中で行う特許請求の範囲第5項、
    第6項または第7項記載のムライト焼結体の製造方法。
JP60195613A 1985-09-04 1985-09-04 ムライト焼結体の製造方法 Expired - Lifetime JPH0615421B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60195613A JPH0615421B2 (ja) 1985-09-04 1985-09-04 ムライト焼結体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60195613A JPH0615421B2 (ja) 1985-09-04 1985-09-04 ムライト焼結体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6256356A JPS6256356A (ja) 1987-03-12
JPH0615421B2 true JPH0615421B2 (ja) 1994-03-02

Family

ID=16344074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60195613A Expired - Lifetime JPH0615421B2 (ja) 1985-09-04 1985-09-04 ムライト焼結体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0615421B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1069886C (zh) * 1998-04-21 2001-08-22 中国石化兰州炼油化工总厂 一种合成莫来石的方法
KR101677415B1 (ko) * 2014-06-06 2016-11-17 엔지케이 인슐레이터 엘티디 멀라이트 소결체, 그 제법 및 복합 기판
CN115028435B (zh) * 2021-07-12 2023-10-20 张家港市恒乐阳方高温材料有限公司 一种高致密度中间包干式料及其制备方法
CN114085515B (zh) * 2021-10-28 2023-04-11 安能(广州)科学技术有限公司 一种含有纳米无机莫来石氧化铝中空微珠的耐热、阻燃、耐磨轮胎
CN114656264B (zh) * 2022-02-10 2023-04-21 安徽宁火新材料有限公司 一种盐浴淬火炉用高强度浇注料

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5729437B2 (ja) * 1974-10-31 1982-06-22
JPS6052083B2 (ja) * 1981-04-23 1985-11-18 日本碍子株式会社 高純度セラミツク粉末の製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6256356A (ja) 1987-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8557216B2 (en) Magnesium aluminum titanate crystal structure and method for producing same
Viswabaskaran et al. Effect of MgO, Y2O3 and boehmite additives on the sintering behaviour of mullite formed from kaolinite-reactive alumina
KR20100120130A (ko) 티탄산알루미늄마그네슘-알루미나 복합 세라믹스
US4960738A (en) Mullite-alumina composite sintered body and process for producing the same
JP2939535B2 (ja) 透明酸化イットリウム焼結体の製造法
JPH0460051B2 (ja)
JPH0615421B2 (ja) ムライト焼結体の製造方法
JPH0288452A (ja) 耐熱性無機質成形体
US4895814A (en) Process for producing alumina silica sintered ceramics having improved high-temperature strength
US5320792A (en) Process for the preparation of LAS ceramic sintered bodies
JP3013372B2 (ja) ジルコン焼結体及びその製造方法
JPH0339968B2 (ja)
Carbone Production, processes, properties and applications for calcined and high-purity aluminas
JPS6357383B2 (ja)
JP2000159570A (ja) 緻密なコーディエライト焼結体の製造方法
Zhien et al. The effects of additives on the properties and structure of hot-pressed aluminium titanate ceramics
JPH0574525B2 (ja)
JPH08198664A (ja) アルミナ基焼結体およびその製造方法
SU1002273A1 (ru) Шихта дл получени изделий из нитрида алюмини
CN116496074A (zh) 一种镁铝钛锆砖及其制备方法
Sarkar et al. Densification study of attritor milled magnesium aluminate spinel
JPH0581523B2 (ja)
JPS6025384B2 (ja) 高密度マグネシア焼結体の製造法
JPH05147924A (ja) アルミナ・シリカ系粉末の製造方法
Kenawy et al. Synthesis of (xMgO-yAl 2 O 3-5SiO 2) Ceramic via the Sol-Gel Technique in Air and under Nitrogen Gas Flow