JPH06148871A - ペリクル及びペリクルの製造方法 - Google Patents

ペリクル及びペリクルの製造方法

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JPH06148871A
JPH06148871A JP4293199A JP29319992A JPH06148871A JP H06148871 A JPH06148871 A JP H06148871A JP 4293199 A JP4293199 A JP 4293199A JP 29319992 A JP29319992 A JP 29319992A JP H06148871 A JPH06148871 A JP H06148871A
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JP
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pellicle
adhesive
mask
pressure
adhesive layer
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JP4293199A
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Shige Suzuki
樹 鈴木
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ペリクル枠の端面に、マスクに粘着するため
の粘着剤が単層に塗布されたペリクルにおいて、粘着剤
につなぎ目がなくマスクに粘着したときに粘着剤との間
に隙間が発生せず、また、粘着剤とマスクとの粘着力が
適度に弱められマスクから剥離したときにマスク上に粘
着剤が残らず、粘着剤の糸曳引きによる汚染のないペリ
クル及び室温で塗布可能な粘着剤を形成するペリクルの
製造方法を提供する。 【構成】 粘着剤として液状の紫外線硬化型樹脂を硬化
させたものを用いるペリクルおよび液状の紫外線硬化型
樹脂を室温で塗布した後、紫外線照射し硬化させること
により粘着剤層を形成するペリクルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路製造に
おけるリソグラフィー工程に使用されるマスクの保護防
塵体であるペリクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路製造におけるリソグラフ
ィー工程は、集積回路の原板であるフォトマスクやレチ
クル(以下「マスク」と略す)の回路パターンを、感光
剤を塗布したシリコンウエハなどに投影転写する工程
で、集積回路の歩留まりを左右する重要な工程である。
【0003】もし、マスクの回路パターン上に微小な塵
挨が存在すると、その塵挨の影も投影され、製造された
集積回路に断線や短絡が生じ、歩留まりが低下する。近
年、回路の微細化が進行し、リソグラフィー工程におけ
る異物管理が非常に重要になってきた。
【0004】そこで、ペリクルと呼ばれる透明性のプラ
スチックのフィルムを用いてマスクをカバーしマスクを
保護防塵する方法が提案されており(特開昭54−28
716号)、実際に応用されている。
【0005】ペリクルは、アルミニウムまたは表面をア
ルマイト処理したアルミニウムなどで作られた矩形また
は円形のフレーム(以下「ペリクル枠」と称す)にニト
ロセルロースやフッ素含有樹脂などの薄膜(以下「ペリ
クル膜」と称す)を接着剤にて貼付して作製される。
【0006】ペリクルをマスクと粘接着するには、ペリ
クル枠におけるペリクル膜を貼付していない反対側の端
面に付着された粘着層が用いられる。この粘着層とし
て、両面粘着テープを用いる方法と単層の粘着剤層を用
いる方法(いずれも特公平3−62261号)に大別さ
れるが、両面テープでは心材から発塵するため、単層の
粘着剤が多く用いられている。
【0007】特に、単層の粘着剤層を形成する方法とし
ては、ペリクル枠の接着面に粘着剤を直接塗布する方法
(特開平1−48062号、特開平4−42156号)
が提案されており、これに使用される粘着剤として、ホ
ットメルト粘着剤を用いる方法(特開平3−71134
号)が提案されている。
【0008】また、これらの粘着剤からはマスクやペリ
クルを汚染する揮発物質が発生しないことが必要であ
る。そのため、単層の粘着剤層を形成するには、ペリク
ル枠の接着面に粘着剤としてホットメルト粘着剤を直接
塗布する方法が一般に採用されてきた。これは、このホ
ットメルト粘着剤は、加熱溶融により容易に塗布でき、
冷却固化後には揮発物質が発生しないという利点を有す
るためである。一方、単層の粘着剤層を形成するには、
ホットメルト粘着剤以外の粘着剤、例えば、溶剤型、エ
マルジョン型、水溶性型の場合には、有機溶媒や水が揮
発するためペリクルには好ましくなく、また、無溶剤型
粘着剤はカレンダー成型のように可撓性のシートに薄く
塗布するのには適するが、ペリクル枠のような剛体への
塗布は困難である。
【0009】さらに、これらの粘着層の粘着力は、粘着
層とペリクル枠との間では強く、粘着層とマスクとの間
ではそれよりも弱くする必要がある。もし、粘着剤層と
マスクとの間の粘着力が強いと、劣化したペリクルを交
換するために剥離するときに粘着剤が破断しまたはペリ
クル枠から剥がれ、マスクに付着しマスクを汚染する。
その一方、粘着力が弱く、粘着剤層とマスクとの間に隙
間ができてはマスク表面へ異物が入り込むため好ましく
なく、適度な粘着力が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単層の
粘着剤層では表裏の粘着力を制御することが難しい。一
般にマスクはガラス製のため粘着剤との粘着力が強いた
め、マスクに貼付したペリクルを剥離すると粘着剤は全
てペリクル枠から剥離してしまう。したがって、適度な
粘着力を有する粘着剤の選択は非常に制限されるという
問題があり、これはホットメルト粘着剤の場合もなんら
変わりない。
【0011】このため、接着剤(粘着剤)の片面に剥離
剤をしみ込ませて粘着力を弱くする方法が提案されてい
るが(特公平3−62261号)、この方法では剥離剤
が剥がれやすいため粘着力の制御が非常に難しく、剥れ
た剥離剤が異物発生の原因となる。
【0012】また、ペリクル枠に片面または両面粘着テ
ープを貼付後、または、接着剤を塗布後、ホットメルト
系粘着剤を塗布する方法(特開平3−71134号,特
開平4−42156号)が提案されているが、この方法
では工程数が増加するため生産性が低下し、さらに、幅
の狭いペリクル枠への粘着テープの貼付は非常に煩雑で
あり、はみ出したり、シワが寄りやすく、歩留まり低下
の原因となりやすいものである。
【0013】さらに、ホットメルト粘着剤を使用する場
合では、温度が下がると粘度が上昇し固化するために取
り扱いにくく、以下に示すように種々の問題点が生じる
おそれがある。
【0014】すなわち、ホットメルト粘着剤を塗布する
には、加熱しながらの塗布が必要なために塗布装置がホ
ットメルトアプリケーターなどのように特殊なものに限
定され、加熱装置のないディスペンサ−類、スクリーン
印刷、スプレーなどでは塗布が困難なことが多い。ま
た、塗布が終了しノズルやスクリーンなどが粘着剤から
離れるとき、粘着剤の温度が下り粘度が上昇するため、
粘着剤が糸を曳くように伸び、ペリクル枠やペリクル膜
を汚染しやすい。
【0015】また、ノズルをペリクル枠に沿って移動し
ながら塗布する場合、塗布開始末端と塗布終了末端とが
つなぎ合わさる部分(つなぎ目)に隙間が生じないよう
に塗布することは非常に困難である。つなぎ目が生じな
いように、通常、塗布開始末端と塗布終了末端とが僅か
に重なるように塗布する。しかし、塗布終了末端を塗布
するときにはすでに塗布開始末端は冷却され固化されて
いるため、両末端が重なった部分の粘着剤層が厚くな
り、マスクに粘着したときこの部分に隙間が生じやす
い。
【0016】このように、従来の粘着剤では種々の問題
点が生じており、そのため、マスクに貼付したときマス
クと粘着層との間に隙間がなく、ペリクルを剥離したと
きにマスクに粘着剤が残らないペリクル及び粘着剤層を
室温で塗布して形成するペリクルの製造方法が望まれて
いた。
【0017】本発明は以上の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、ペリクル枠の端面に、マスクに
粘着するための粘着剤が単層に塗布されたペリクルにお
いて、粘着剤につなぎ目がなくマスクに粘着したときに
粘着剤との間に隙間が発生せず、また、粘着剤とマスク
との粘着力が適度に弱められマスクから剥離したときに
マスク上に粘着剤が残らず、粘着剤の糸曳引きによる汚
染のないペリクル及び室温で塗布可能な粘着剤を形成す
るペリクルの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ペリク
ルにおける粘着剤として液状の紫外線硬化型樹脂を硬化
させたものを使用することより、また、液状の紫外線硬
化型樹脂をペリクル枠に塗布した後、紫外線を照射する
ことにより硬化させ、粘着性を発現させることで粘着剤
層を形成すれば、室温で粘着剤を塗布することができ、
しかも低粘度の状態で粘着剤を塗布できるため粘着層に
つなぎ目がなく、しかも紫外線照射条件を調整すること
によりマスクとの粘着力を適度に低下できることを見出
し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、
本発明は、粘着剤として液状の紫外線硬化型樹脂を硬化
させたものを用いることを特徴とするペリクル及び液状
の紫外線硬化型樹脂を室温で塗布した後、その樹脂に紫
外線を照射して硬化させることにより、粘着剤層を形成
することを特徴とするペリクルの製造方法である。
【0019】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0020】本発明のペリクルにおける粘着剤層に用い
られる粘着剤は、液状の紫外線硬化型樹脂を硬化させた
ものである。
【0021】ここに、液状の硬化型樹脂とは、溶剤を含
まないポリマー(オリゴマーを含む)、モノマー又は両
者の混合物等で構成された液状物で、これを支持体に塗
布後、電子線、紫外線、過酸化物、熱などを用いて硬化
して粘着剤層を形成するものをいう。この液状の硬化型
樹脂の主原料として、液状ジエンポリマー、アクリルオ
リゴマー、ポリエステルオリゴマーなどが検討されてい
る[伊保内賢ほか編著『粘着剤活用ノート』工業調査会
(1989)]。
【0022】これらの液状の硬化型樹脂の中でも、簡便
で汎用の装置を用いることができ、硬化時間が短く、し
かも、積算光量を調整することによりマスクと粘着剤と
の粘着力を適度な強さに低下調整することができるた
め、紫外線硬化型であることが必要である。これに対
し、電子線照射型は高価で複雑な設備を必要とするため
実用的ではなく、また、過酸化物又は熱硬化型は硬化時
間が長く、連続処理が困難であり、表面粘着力の調整も
難しい。
【0023】液状の紫外線硬化型樹脂における主成分と
しては、上記に示した性能を有するものであれば特に限
定するものではなく、例えば、モノマー単独のもの、ポ
リマーをモノマー(以下「ベースポリマー」と称す)に
溶解したもの、ポリマー(又はオリゴマー)単独のもの
等があげられる。ここに、モノマーとしては、例えば、
アクリル酸、アクリル酸誘導体モノマー[メチルアクリ
ラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、2
−エチルヘキシルアクリラート、イソオクチルアクリラ
ート、グリシジルメタクリラート、2−ヒドロキシエチ
ルアクリラート、テトラフルフリールアクリラート、2
−(N−メチルカルバミルオキシ)エチルアクリラート
等]、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体モノマー(メ
チルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメ
タクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラート等)
があげられ、ベースポリマーとしては、例えば、上記モ
ノマーの単独重合体及び2種類以上の共重合体、上記モ
ノマーの1種類以上と酢酸ビニル,N−ビニル−2−ピ
ロリドン,スチレン,アクリロニトリル等との共重合
体、ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルエチルエー
テル等のポリビニルエーテル類、ポリエチレンオキシ
ド,ポリプロピレンオキシド,ポリブチレンオキシド及
びこれらの共重合体等のポリエーテル類、ポリウレタン
アクリレート,ポリエステル類,アクリルゴム等の合成
ゴム等があげられ、ポリマー(又はオリゴマー)単独の
ものとしては、例えば、ポリエン/ポリチオール混合系
等があげられる。
【0024】これらの主成分に、光反応開始剤(例え
ば、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、2,
2−ジエトキシアセトフェン等)を添加することによ
り、本発明における液状の紫外線硬化型樹脂が調整され
る。
【0025】また、以上の紫外線硬化型樹脂に、必要に
応じて、硬度や耐クリープ性を向上させるために多官能
性アクリラート(例えば、エチレングリコールジアクリ
ラート、ブタンジオールジアクリラート、ネオペンチル
グリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジア
クリラート、テトラエチレングリコールジアクリラー
ト、ヘキサンジオールジアクリラート、トリプロピレン
グリコールジアクリラート、トリエチレングリコールジ
アクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリラート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリラート等)、粘着付与剤、軟
化剤、充填剤、老化防止剤、ワックス、増粘剤その他の
副資材を添加してもよい。
【0026】さらに、これらを調整した市販の液状の紫
外線硬化型樹脂を用いてもよい。
【0027】液状の紫外線硬化型樹脂は、硬化前は低粘
度の液状で粘着性はほとんどないが、紫外線照射により
固状となり硬化が進行するにしたがって粘着力は向上す
るが、紫外線照射により表面の重合反応や架橋反応など
がさらに進行すると粘着性はかえって低下するものが多
い。このため、モノマーやオリゴマーの構造、オリゴマ
ーの分子量、粘着剤の混合比、紫外線照射条件などを調
整することにより、粘着力を制御することが可能であ
る。
【0028】また、液状の紫外線硬化型樹脂を塗布した
ペリクル枠に紫外線を照射すると、粘着剤の表面、すな
わちマスクと粘着する面には紫外線が直接当たるため十
分に硬化が進行し粘着力が低下するが、粘着剤がペリク
ル枠と粘着する面には紫外線が当たらないため硬化が進
行せず、粘着力はあまり低下しない。従って、液状の紫
外線硬化型樹脂を用いることにより、マスクと粘着剤層
よりもペリクル枠と粘着剤層との粘着力のほうが強固で
あるペリクルを得ることができる。
【0029】このように、液状の紫外線硬化型樹脂を用
いることにより、マスクに粘着したペリクルを剥離した
ときに、粘着剤層がペリクル枠から引き剥がされること
なく、しかもマスク上に粘着剤が残らないように粘着力
を制御したペリクルを得ることができる。また、ペリク
ルをマスクから剥離するときに、ペリクルとマスクとの
粘着力が強すぎるためにマスクを破損することを防止す
ることができる。
【0030】本発明に使用されるペリクル枠の材質に
は、通常のアルミニウムまたは表面をアルマイト処理し
たアルミニウムのほかに、その他の金属、セラミック
ス、樹脂なども用いることができる。また、ペリクル枠
表面を鍍金、電鋳、研磨、表面処理剤による処理など化
学的および物理的に処理したペリクル枠も用いることが
できる。ただし、紫外線吸収性の樹脂で作られたペリク
ル枠および表面に紫外線吸収性の物質が付着されたペリ
クル枠の場合は、これらの材質がダメージを受けない程
度の温和な条件にて紫外線照射を行う必要がある。な
お、ペリクル枠の形状や寸法は特に限定するものではな
い。
【0031】ペリクル枠に液状の紫外線硬化型樹脂を室
温で塗布し、紫外線を照射して該粘着剤を硬化させるこ
とにより粘着剤層が形成される。
【0032】紫外線の光源としては、通常の紫外線の光
源が使用でき、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低
圧水銀灯、メタルハライドランプなどがあげられる。通
常は、ペリクル枠に粘着剤層を形成した後にペリクル膜
を張設するので、露光方法としては、ペリクル全面を一
括露光する方法、スポットキュア方式の露光を行い紫外
線を局所的に当てる方式のどちらでも差支えない。しか
し、スポットキュア方式の露光を行えば、ペリクル膜を
貼付したペリクル枠でもペリクル膜に紫外線が当たらな
いように粘着剤部分のみに紫外線を当てることができる
ため、ペリクル膜にダメージを与えることなく粘着剤層
を形成できる。
【0033】露光時の紫外線の積算光量は、揮発物質を
完全硬化させ、かつ、適度な粘着力を発現させるため、
λ=365nmにおいて100mJ/cm2以上、好ま
しくは、200mJ/cm2から1万mJ/cm2の条件
で行われる。100mJ/cm2未満では、紫外線硬化
型樹脂が、完全に硬化し難く、揮発性の未反応モノマー
やオリゴマーがマスクやペリクル膜を汚染するおそれが
あり、1万mJ/cm2を超えた照射では樹脂によって
はマスクとの粘接着力が低下するため好ましくない。な
お、通常の紫外線硬化型樹脂,紫外線硬化型接着剤,紫
外線硬化型の液状硬化型粘着剤では、1万mJ/cm2
の照射を行なえば、硬化は十分に完了し、揮発物質が発
生しなくなるため、これ以上の照射は不要である。
【0034】加熱温度としては特に限定するものではな
く、通常は室温ないし50℃以下で硬化は完了する。な
お、150℃以下の加熱を行なったほうが、十分に硬化
し、硬度や粘着力の点において好ましい場合もある。
【0035】硬化後の粘着剤層の硬度は、ゴム硬度計J
IS Aタイプで測定した場合4°以上であることが好
ましい。4°未満では、粘着剤の上に剥離フィルムを被
せたり、マスクに圧着したときに容易に変形し、粘着剤
表面に凹凸を生じたりペリクル枠の横から粘着剤がはみ
出したりしやすい。なお、粘着剤層の表面が完全に平坦
で平滑にされていれば、硬度が大きい分には差しつかえ
ない。
【0036】粘着剤層の塗布厚さは、特に限定するもの
ではなく、2mm以下であれば完全硬化する。なお、通
常では、塗布厚さは0.2〜1mmである。
【0037】紫外線硬化型の液状硬化型粘着剤は、紫外
線照射前は低粘度で粘度変化することがなく、粘着剤を
室温で塗布して粘着層を形成することができるため以下
に述べる利点が生じる。
【0038】粘着剤を室温で塗布することができるた
め、幅広い塗布方法を用いることができる。塗布方法と
してはディスペンサー、スクリーン印刷、スプレー、シ
リンジによる塗布、ローラーやロールコーターなどを用
いることができるが、特にこれらに限定するものではな
い。先に述べたホットメルト粘着剤では塗布時に加熱し
続ける必要があり、加熱装置のないディペンサーやシリ
ンジ、スクリーン印刷、スプレーなどによる塗布は非常
に困難である。
【0039】また、ディスペンサー、シリンジで塗布し
た場合、塗布開始末端と塗布終了末端とがつなぎ合わさ
る部分(つなぎ目)において、両末端が少し重なるよう
に塗布しても、硬化前は液状で粘度が低いため、塗布後
数分ないし数十分間放置することにより、つなぎ目の粘
着剤の厚さが均一化され粘着剤表面が滑らかになり、つ
なぎ目は消失する。この状態で紫外線を照射し固化すれ
ば、マスクに粘着したときにマスクとの間に隙間を生じ
ない。
【0040】また、塗布が終了しノズルやスクリーンな
どが粘着剤から離れるとき、粘着剤が糸を曳くように伸
びることもなく、ペリクル枠やペリクル膜を汚染しな
い。
【0041】上記した特性を得るために、硬化前の室温
における粘着剤の粘度は、1000〜60000cps
であることが好ましい。
【0042】また、塗布する際に、ペリクル枠の側面に
粘着剤がたれないように粘着剤塗布形状の型を置いてそ
の中に粘着剤を塗布し、露光してもよい。
【0043】粘着剤層の表面を平滑にし、粘着剤層の厚
さを一定にするには、塗布した液状樹脂の上に、剥離剤
で表面処理を施した石英板などのように、紫外線を透過
し、剥離性のよい平滑な板を載せ、この上から紫外線を
露光し、樹脂を硬化させてもよい。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるもの
ではない。
【0045】実施例1 アクリル系光硬化性樹脂(スリーボンド社製、スリーボ
ンド3085、25℃における粘度15000cps)
をシリンジを用いてペリクル枠(表面をアルマイト処理
したアルミニウム製)に塗布し、その上に表面を剥離剤
で処理した石英板を載せて、ウシオ電機(株)社製UV
C−2539/1MNLC3−AA07を用い、高圧水
銀灯で365nmにおけるピーク照度が100mW/c
2、積算光量が1700mJ/cm2の条件で紫外線を
露光して、樹脂を硬化させ粘着層を形成した。JIS
Aタイプで測定した硬度は53°であった。粘着剤層の
表面は滑らかでつなぎ目はなく、粘着剤の糸曳きによる
汚染はなかった。また、粘着層の表面は固まり、粘着力
はあるものの少し弱まっていた。このペリクル枠にニト
ロセルロース製のペリクル膜をエポキシ系接着剤にて接
着し、ペリクルを作製した。
【0046】このペリクルを1kg/cm2の圧力で3
0秒圧着し石英ガラス製のマスクに貼り付けたが、マス
クとの間に隙間はなかった。次に、ペリクル枠の下にヘ
ラを入れてペリクルをマスクから剥離したところ、粘着
剤はペリクル枠から剥がれることなく、ペリクル枠に付
着していた。また、マスク上に粘着剤はまったく付着し
ていなかった。
【0047】実施例2 アクリル系光硬化性樹脂(アイカ工業社製、アイカアイ
トロンZ711、25℃における粘度10000cp
s)を用いた以外は実施例1と同様にして粘着剤層を形
成した。JIS Aタイプで測定した硬度は37°であ
った。粘着剤層の表面は滑らかでつなぎ目はなく、粘着
剤の糸曳きによる汚染はなかった。また、粘着層の表面
は固まり、粘着力はあるものの少し弱まっていた。この
ペリクル枠にニトロセルロース製のペリクル膜をエポキ
シ系接着剤にて接着し、ペリクルを作製した。
【0048】このペリクルを1kg/cm2の圧力で3
0秒圧着し石英ガラス製のマスクに貼り付けたが、マス
クとの間に隙間はなかった。次に、ペリクル枠の下にヘ
ラを入れてペリクルをマスクから剥離したところ、粘着
剤はペリクル枠から剥がれることなく、ペリクル枠に付
着していた。また、マスク上に粘着剤はまったく付着し
ていなかった。
【0049】実施例3 アクリル系光硬化性樹脂(協立化学工業社製、ワールド
ロックX−8900−T、25℃における粘度5700
cps)を用い、積算光量を1000mJ/cm2とし
た以外は実施例1と同様にして粘着剤層を形成した。J
IS Aタイプで測定した硬度は35°であった。粘着
剤層の表面は滑らかでつなぎ目はなく、粘着剤の糸曳き
による汚染はなかった。また、粘着層の表面は固まり、
粘着力はあるものの少し弱まっていた。このペリクル枠
にニトロセルロース製のペリクル膜をエポキシ系接着剤
にて接着し、ペリクルを作製した。
【0050】このペリクルを1kg/cm2の圧力で3
0秒圧着し石英ガラス製のマスクに貼り付けたが、マス
クとの間に隙間はなかった。次に、ペリクル枠の下にヘ
ラを入れてペリクルをマスクから剥離したところ、粘着
剤はペリクル枠から剥がれることなく、ペリクル枠に付
着していた。また、マスク上に粘着剤はまったく付着し
ていなかった。
【0051】実施例4 積算光量を400mJ/cm2とした以外は実施例3と
同様にして粘着剤層を形成した。JIS Aタイプで測
定した硬度は4°であった。粘着剤層の表面は滑らかで
つなぎ目はなく、粘着剤の糸曳きによる汚染はなかっ
た。また、粘着層の表面は固まり、粘着力はあるものの
少し弱まっていた。このペリクル枠にニトロセルロース
製のペリクル膜をエポキシ系接着剤にて接着し、ペリク
ルを作製した。
【0052】このペリクルを1kg/cm2の圧力で3
0秒圧着し石英ガラス製のマスクに貼り付けたが、マス
クとの間に隙間はなかった。次に、ペリクル枠の下にヘ
ラを入れてペリクルをマスクから剥離したところ、粘着
剤はペリクル枠から剥がれることなく、ペリクル枠に付
着していた。また、マスク上に粘着剤はまったく付着し
ていなかった。
【0053】実施例5 アクリル系光硬化性樹脂(スリーボンド社製、スリーボ
ンド3085)にアクリル系合成ゴムを溶解し、粘度を
55000cpsに調整した後、実施例1と同様にして
粘着剤層を形成した。JIS Aタイプで測定した硬度
は58°であった。粘着剤層の表面は滑らかでつなぎ目
はなく、粘着剤の糸曳きによる汚染はなかった。また、
粘着層の表面は固まり、粘着力はあるものの少し弱まっ
ていた。このペリクル枠にニトロセルロース製のペリク
ル膜をエポキシ系接着剤にて接着し、ペリクルを作製し
た。
【0054】このペリクルを1kg/cm2の圧力で3
0秒圧着し石英ガラス製のマスクに貼り付けたが、マス
クとの間に隙間はなかった。次に、ペリクル枠の下にヘ
ラを入れてペリクルをマスクから剥離したところ、粘着
剤はペリクル枠から剥がれることなく、ペリクル枠に付
着していた。また、マスク上に粘着剤はまったく付着し
ていなかった。
【0055】比較例1 オレフィン系ホットメルト粘着剤(190℃における粘
度4000cps)をエアガン[ヒューフナー社製(ド
イツ)、ピストン式ハンドガン、ノズル径1mm]にて
ペリクル枠に塗布した後、150℃のホットプレート上
に10秒間粘着剤を載せて加熱し粘着剤表面を平らにし
た後、実施例1と同様にしてペリクルを作製した。JI
S Aタイプで測定した硬度は14°であった。
【0056】このペリクルを1kg/cm2の圧力で3
0秒間圧着してマスクに貼り付けたが、粘着剤のつなぎ
目の部分が密着せず、隙間が観察された。次に、このペ
リクルを実施例1と同様にして剥離したところ、粘着剤
がペリクル枠から剥がれ全てマスクに移行した。
【0057】比較例2 ポリイソブチレン系粘着剤をトルエンに溶解し、シリン
ジを用いてペリクル枠に塗布した。10分間室温にて放
置下後に乾燥し、実施例1と同様にペリクルを作製し
た。粘着剤のつなぎ目はほとんどわからなくなってい
て、表面は滑らかだった。次に、このペリクルを1kg
/cm2の圧力で30秒間圧着してマスクに貼り付けた
ところ、粘着剤は隙間なく密着した。
【0058】このペリクルを実施例1と同様にマスクか
ら剥離したところ、粘着剤はペリクル枠から剥がれなか
ったが、部分的に粘着層が破断しマスクに粘着剤が薄く
付着していた。
【0059】比較例3 光硬化性樹脂の粘度を62000cpsに調整した以外
は実施例5と同様にして粘着剤層を形成した。JIS
Aタイプで測定した硬度は72°であった。粘着剤層の
表面は滑らかであったが、つなぎ目部分が凹んでいた。
また、塗布し終えた後、シリンジをペリクル枠から離し
たときに、液状の樹脂が切れず糸を曳いたため、ペリク
ル枠の側面を汚染した。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、粘着剤層が単層に塗布されたペリクルにおい
て、粘着剤として液状の紫外線硬化型樹脂を硬化させた
ものを用いることにより、粘着剤層のマスクとの粘着性
を制御でき、マスクから剥離したときマスクに粘着剤が
残らないペリクルを提供することができる効果を有する
ものである。
【0061】また、低粘度の液状で樹脂を塗布できるた
め、粘着剤につなぎ目がなくマスクに粘着したときにマ
スクとの間に隙間が発生せず、粘着剤の糸曳きによる汚
染がないペリクルを提供することができ、また、本発明
によれば、室温における粘着剤の塗布が可能となるた
め、取扱い易く、粘着剤の糸曳きが発生せず、幅広い塗
布方法が可能となるペリクルの製造方法を提供すること
ができる効果を有するものである。
【0062】このように、本発明によれば、マスクへの
着脱性が良好なペリクルが容易に製造でき、より品質の
高いペリクルが提供可能となるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペリクル枠の片端面にペリクル膜が貼付
    され、その反対側の端面にペリクルをマスクに粘着する
    ための粘着剤が塗布されたペリクルにおいて、粘着剤と
    して液状の紫外線硬化型樹脂を硬化させたものを用いる
    ことを特徴とするペリクル。
  2. 【請求項2】 液状の紫外線硬化型樹脂が、紫外線照射
    により硬化される過程において、そのマスクと粘着され
    る側の表面の粘着力が適度に抑制されることを特徴とす
    る請求項1に記載のペリクル。
  3. 【請求項3】 液状の紫外線硬化型樹脂を室温で塗布し
    た後、その樹脂に紫外線を照射して硬化させることによ
    り、粘着剤層を形成することを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載のペリクルの製造方法。
  4. 【請求項4】 紫外線照射前における液状の紫外線硬化
    型樹脂の粘度が、室温で1000〜60000cpsで
    あることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の
    ペリクルの製造方法。
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