JPH06145976A - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

Info

Publication number
JPH06145976A
JPH06145976A JP4301255A JP30125592A JPH06145976A JP H06145976 A JPH06145976 A JP H06145976A JP 4301255 A JP4301255 A JP 4301255A JP 30125592 A JP30125592 A JP 30125592A JP H06145976 A JPH06145976 A JP H06145976A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
target
film forming
gas
vacuum chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4301255A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3076463B2 (ja
Inventor
Yasuo Mukai
康雄 向井
Toshio Adachi
俊男 安達
Yumi Nakamachi
由美 中町
Hiroto Yamaguchi
裕人 山口
Hideo Takakura
英夫 高倉
Takeshi Kurokawa
岳 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP04301255A priority Critical patent/JP3076463B2/ja
Publication of JPH06145976A publication Critical patent/JPH06145976A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3076463B2 publication Critical patent/JP3076463B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置を大型化したり複雑にすることなく良好
な薄膜を安定して形成させる。 【構成】 真空槽10の内部には、プラズマ発生用電源
4が接続されたバッキングプレート2が設けられ、バッ
キングプレート2上にはターゲット1が支持される。タ
ーゲット1には図示左方に搬送されるポリエステルフィ
ルム5が対向配置される。ターゲット1の背面には磁石
ユニット3が配置される。磁石ユニット3は、ポリエス
テルフィルム5の搬送方向に間隔をおいて互いに平行に
配置された2つの磁石3aを有し、その磁極は互いに逆
に配置される。これにより、ターゲット1の表面に作ら
れる平行磁場のピーク値を結んだ尾根線が閉ループを形
成しないので、プラズマ中の電子が特定箇所に滞留せ
ず、均一な膜厚の薄膜が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体、磁気記録媒
体、太陽電池、液晶ディスプレイ等の製造における成膜
工程で使用される薄膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の薄膜形成装置の一例とし
て、ロール・ツー・ロール型のマグネトロンスパッタ装
置が知られている。図19は、従来のロール・ツー・ロ
ール型のマグネトロンスパッタ装置の概略構成図であ
る。図19に示すように、真空槽1010の内部には、
送り出しロール1006および巻き取りロール1007
がそれぞれ矢印方向に回転自在に軸支されている。送り
出しロール1006には被薄膜形成部材である試料ウェ
ブ1005が巻回されるとともに、試料ウェブ1005
の一端は巻き取りロール1007に結合されており、送
り出しロール1006および巻き取りロール1007を
図示矢印方向に回転させることで、試料ウェブ1005
が図示左方に搬送される構成となっている。また、真空
槽1010内部の、試料ウェブに1005対向する部位
には、電極であるバッキングプレート1002上に支持
されたターゲット1001が配置されている。バッキン
グプレート1002には、高電圧印加手段であるプラズ
マ発生用電源1004が接続されており、さらに、バッ
キングプレート1002の背面には磁石ユニット100
3が設けられている。磁石ユニット1003は、図19
および図20に示すようにバッキングプレート1002
側にN極が向くように配置されたループ状の第1の磁石
100aと、第1の磁石1003aの中心部に、バッキ
ングプレート1002側にS極が向くように配置された
第2の磁石1003bとを有する。
【0003】上述した構成に基づいて、まず真空槽10
01内を排気した後、真空槽1001に不活性ガスを導
入して所定の圧力とする。その後、バッキングプレート
1002を介してターゲット1001に直流電圧を印加
すると、試料ウェブ1005とターゲット1001間に
放電が起き、不活性ガスがイオン化してプラズマが形成
される。そして、プラズマ中の陽イオンが陰極であるタ
ーゲット1001に加速衝突することでターゲット10
01から原子あるいは分子が放出され、これが試料ウェ
ブ1005に付着して薄膜が形成される。このとき、各
磁石1003a、1003bの磁界によりプラズマはタ
ーゲット1001近傍の第1の磁石1003aと第2の
磁石1003bとに挟まれた部分に対応する空間に閉じ
込められているので、プラズマ中の電子はターゲット1
001上のプラズマ内部をサイクロイド運動して不活性
ガスのイオンの発生を増進させるため、プラズマの密度
が高くなり、ターゲット1001のスパッタ効率が向上
する。
【0004】また、ターゲットの不必要部のスパッタを
防止する目的で、図23に示すように、ターゲット10
11の表面の外周部に枠状のダークスペースシールド1
018を配置したスパッタリング装置も知られている。
ダークスペースシールド1018は、その内側の端部に
おいて全周にわたって形成された凸部1018aを有
し、この凸部1018aがターゲット1011の表面の
外周部に対向している。これにより、凸部1018aに
はスパッタされたターゲット物質が付着堆積する。ダー
クスペースシールド1018の形状としては、図23に
示したようなテーパー状の凸部1018aが形成された
ものや、図24に示すように、矩形状の凸部1028a
が形成されたのも等がある。そして、図23に示した凸
部1018aおよび図24に示した凸部1028aの端
面は、いずれも曲率半径が1mm程度に曲面加工が施さ
れている。
【0005】さらに、薄膜の形成により真空槽内にはプ
ラズマ反応に伴う様々な反応生成物からなる不純物が発
生する。これが真空槽の内壁に付着して不純物ガスの発
生源となり真空槽内の真空度を下げたり、真空槽の内壁
から剥離してゴミとなり、これが被薄膜形成部材に付着
してプラズマ反応の再現性や品質の劣化原因となってい
た。これを防止するために、薄膜形成前に真空槽内を加
熱して真空槽の内壁に付着している不純物をガスとして
放出させる脱ガスを行なう装置も知られている。この脱
ガスを行なう方法としては、以下に示すものがある。
【0006】(1)真空槽内に赤外線ランプヒータやシ
ーズヒータ等の抵抗加熱手段を設け、この抵抗加熱手段
により真空槽内を加熱することにより真空槽の内壁に付
着した不純物を放出させる方法。
【0007】(2)真空槽内を所定の圧力まで排気した
後、真空槽内にArガスまたはN2ガスを導入してプラ
ズマを発生させ、このときに発生する熱を利用して真空
槽の内壁に付着した不純物を放出させる方法。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、上
述した従来のマグネトロンスパッタ装置では、ターゲッ
トは、第1の磁石と第2の磁石とに挟まれた部分に対応
する部分のみが強くスパッタされるので、試料ウェブに
もそれに対向する部分の膜厚が厚くなってしまう。すな
わち、試料ウェブにはドーナツ状にターゲット物質が付
着するので、試料ウェブを移動させることによってその
移動方向には均一な厚さの膜が形成されるが、試料ウェ
ブの移動方向と直交する方向(以下、「幅方向」とい
う)では膜厚は均一にならず、図21に示すように、薄
膜1009は特に幅方向の端部付近で厚くなるという問
題が生じる。これを解決するためには、試料ウェブの幅
に比べて十分に大きなターゲットを使用することが考え
られるが、この方法ではスパッタ装置自体が大型にな
り、装置コストが高くなるというデメリットがあった。
【0009】また、ターゲットに着目すると、ターゲッ
トは上述したように特定の部分のみが強くスパッタされ
るので、図22に示すようにターゲット1001にはド
ーナツ状の深いエロージョン1001aが形成され、タ
ーゲット1001の使用効率が著しく悪くなってしま
う。これの解決手段として、ターゲットに対して磁石ユ
ニットを試料ウェブの搬送方向と平行に往復移動させて
プラズマ領域を移動させることによって、より広い領域
でスパッタさせようとするものも提案されていはいる
が、それでもなお、幅方向の端部付近では深いエロージ
ョンが形成されてしまい、思ったほどの効果が得られな
いのが現状である。
【0010】一方、図23および図24に示した、ター
ゲットの表面にダークスペースシールドを配置したもの
では、ダークスペースシールドの凸部の端面の曲率半径
が小さいので、端面に付着堆積したターゲット物質が端
面から剥離しやすく、放電が不安定になったり、試料に
生成される膜にピンホールが発生したりして、安定した
膜質の薄膜が形成されにくいという問題点があった。
【0011】さらに、真空槽内の不純物を減少させるた
めに脱ガスを行なうものについても以下に示す問題点が
あった。すなわち、抵抗加熱手段を設けたものでは、ヒ
ータの温度をコントロールするための電源や温度調整シ
ステム等を設ける必要があり、装置構成が複雑になって
しまい、また、真空槽内を均一に加熱することが困難で
あった。そして、ArガスやN2 ガスで発生するプラズ
マを利用するものでは、スパッタリング装置の場合には
真空槽の内部にターゲット物質の膜が堆積してしまい装
置のメンテナンスサイクルが短くなってしまい、プラズ
マCVD装置等の場合にはRF電極がスパッタされてし
まうという問題点があった。
【0012】本発明の目的は、装置を大型化したり複雑
にすることなく良好な薄膜を安定して形成することがで
きる薄膜形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、真空槽と、前記真空槽内に配置される被薄膜
形成部材に対向してターゲットを支持する電極と、前記
被薄膜形成部材と前記ターゲットとの間にプラズマ発生
用の放電を起こさせるための、前記電極に接続された高
電圧印加手段と、前記電極の背面に配置された、前記高
電圧印加手段により発生する電界と直交する磁界を発生
するための複数個の磁石とを有する薄膜形成装置におい
て、前記各磁石は、それぞれ前記ターゲットの前記被薄
膜形成部材との対向面に作られる平行磁場のピーク値を
結んだ尾根線が閉ループを形成しないように配置されて
いることを特徴とする。
【0014】また、前記各磁石のうち少なくとも1つの
磁石が、前記ターゲットと前記被薄膜形成部材との対向
面と平行に、前記電極に対して相対的に移動可能に設け
られているものでもよい。
【0015】さらに、真空槽と、前記真空槽内に配置さ
れる被薄膜形成部材に対向してターゲットを支持する電
極と、前記被薄膜形成部材と前記ターゲットとの間にプ
ラズマ発生用の放電を起こさせるための、前記電極に接
続された高電圧印加手段と、前記ターゲットの外周に配
置され、前記ターゲットの前記被薄膜形成部材との対向
面の外周部に突出する凸部が形成されたダークスペース
シールドとを有する薄膜形成装置において、前記ダーク
スペースシールドの凸部は、その端面の曲率半径が3m
m以上であることを特徴とするものでもよい。
【0016】そして、真空槽と、前記真空槽内に配置さ
れる被薄膜形成部材に対向してターゲットを支持する電
極と、前記真空槽内にプラズマ発生用のガスを導入する
ガス導入手段と、前記被薄膜形成部材と前記ターゲット
との間にプラズマ発生用の放電を起こさせるための、前
記電極に接続された高電圧印加手段とを有する薄膜形成
装置において、前記ガス導入手段は、薄膜形成時に使用
されるガスを導入するための成膜用ガス源と、薄膜形成
の前に、前記真空槽内の吸着物質を前記真空槽から放出
させる脱ガス時に使用されるガスを導入するための脱ガ
ス用ガス源とを有し、前記成膜用ガス源のガスあるいは
前記脱ガス用ガス源のガスのいずれか一方を前記真空槽
内に選択的に導入するものであってもよく、この場合
に、前記脱ガス用ガス源のガスは、前記成膜用ガス源の
ガスよりもスパッタ率が低く、かつ熱伝導率が高いガス
であってもよい。
【0017】
【作用】上記のとおり構成された請求項1に記載の発明
では、真空排気された真空槽内に不活性ガスを所定の圧
力で導入した状態で、高電圧印加手段によりターゲット
に電力を供給すると、被薄膜形成部材とターゲット間に
放電が起き、不活性ガスがイオン化してプラズマが形成
される。そして、プラズマは各磁石の磁界によりターゲ
ットの近傍の各磁石に挟まれた部分に対応する空間に高
密度に分布しているので、プラズマ中の電子はターゲッ
ト上のプラズマ内部をサイクロイド運動する。このプラ
ズマ中の陽イオンが陰極であるターゲットに加速衝突す
ることでターゲットから原子あるいは分子が放出され、
被薄膜形成部材に付着して薄膜が形成される。
【0018】このとき、各磁石はそれぞれターゲットの
被薄膜形成部材との対向面(表面)に作られる平行磁場
のピーク値を結んだ尾根線が閉ループを形成しないよう
に配置されているので、ターゲットの表面で電子が閉ル
ープを描いて特定箇所に滞留することがなく、ターゲッ
トの表面が被薄膜形成部材の幅方向に均一にスパッタさ
れる。その結果、被薄膜形成部材の薄膜形成面には全体
にわたって均一な膜厚の薄膜が形成される。
【0019】請求項2に記載の発明では、各磁石のうち
少なくとも1つの磁石が、ターゲットと被薄膜形成部材
との対向面と平行に、電極に対して相対的に移動可能に
設けられているので、磁石の移動に伴って、ターゲット
のスパッタされる部位も移動する。これにより、ターゲ
ットを均一にスパッタさせることができ、ターゲットの
利用効率が向上する。
【0020】請求項3に記載の発明では、ターゲットの
不必要部のスパッタを防止するためのダークスペースシ
ールドを有するものであるが、ダークスペースシールド
の凸部の端面を3mm以上の曲率半径で加工することに
より、ダークスペースシールドに付着堆積したターゲッ
ト物質が、ダークスペースシールドから剥離しにくくな
る。その結果、真空槽内にはゴミが発生しにくくなりる
ので、欠陥の少ない良好な薄膜が形成される。
【0021】請求項4に記載の発明では、真空槽内を真
空排気した後、真空槽に脱ガス用ガスを導入し、高電圧
印加手段により真空槽内にプラズマを発生させる。これ
により真空槽内は加熱され、真空槽の内壁や構造物に付
着していた吸着物質はガスとなって前記内壁や構造物か
ら放出される。これを再び真空排気した後、真空槽に成
膜用ガスを導入し、高電圧印加手段により真空槽内にプ
ラズマを発生させ、被薄膜形成部材に薄膜を形成するこ
とで、真空槽内への薄膜の付着が減少して良好な薄膜が
形成される。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0023】(第1実施例)図1は、本発明の薄膜形成
装置の第1実施例の概略構成図である。図1に示すよう
に本実施例の薄膜形成装置は、被薄膜形成部材を搬送し
つつ、この被薄膜形成部材に薄膜を形成するロール・ツ
ー・ロール型のマグネトロンスパッタ装置であり、真空
槽10の内部には、送り出しロール6および巻き取りロ
ール7がそれぞれ矢印方向に回転自在に軸支されてい
る。送り出しロール6には、被薄膜形成部材としてのポ
リエステルフィルム5が巻回されている。本実施例で用
いたポリエステルフィルム5は、厚みが30μm、幅が
300mmのものである。このポリエステルフィルム5
の一端は巻き取りロール7に結合されており、送り出し
ロール6および巻き取りロール7を矢印方向に回転させ
ることで、ポリエステルフィルム5が図示左方に搬送さ
れる構成となっている。
【0024】また、真空槽10内部の、ポリエステルフ
ィルム5に対向する部位には、電極としての金属製のバ
ッキングプレート2上に支持されたターゲット1が配置
され、ポリエステルフィルム5とターゲット1の表面と
の間隔は80mmとなっている。さらに、バッキングプ
レート2の背面には後述する磁石ユニット3が設けられ
ている。バッキングプレート2には、真空槽10内にプ
ラズマを発生させるための高電圧印加手段としてのプラ
ズマ発生用電源4が接続されている。このプラズマ発生
用電源4は直流電源であり、バッキングプレート2を介
してターゲット1に2kWの電力を供給するものであ
る。また、ターゲット1はアルミニウム製で、その大き
さは、ポリエステルフィルム5の搬送方向の長さが15
0mm、ポリエステルフィルム5の幅方向の長さが36
0mm、厚みが8mmである。
【0025】磁石ユニット3は、プラズマ発生用電源4
により発生する電界と直交する磁界を発生するためのも
のであり、図1および図2に示すように、ポリエステル
フィルム5の搬送方向に間隔をおいて、互いにポリエス
テルフィルム5の幅方向に平行に配置された1対の磁石
3aを有する。各磁石3aは、それぞれSm−Co磁石
であり、その磁極は、一方がバッキングプレート2側に
N極が向くように配置され、他方がバッキングプレート
2側にS極が向くように配置されている。すなわち、各
磁石3aは、それぞれターゲット1の表面に作られる平
行磁場のピーク値を結んだ尾根線が閉ループを形成しな
いように配置されている。
【0026】次に、本実施例の動作について説明する。
【0027】まず真空槽10内を、その圧力が10-4
aになるまで排気した後、真空槽10内にArガスを1
20cc/分の流量で供給して、その圧力が0.5Pa
になるように調整する。その後、プラズマ発生用電源4
によりターゲット1に2kWの電力を供給するととも
に、送り出しロール6および巻き取りロール7を矢印方
向に回転させてポリエステルフィルム5を図示左方に5
0mm/分の速度で搬送する。これにより、ポリエステ
ルフィルム5とターゲット1間に放電が起き、Arガス
がイオン化してプラズマが形成される。そして、各磁石
3aの磁界によりプラズマはターゲット1の近傍の各磁
石aに挟まれた部分に対応する空間に高密度に分布して
いるので、プラズマ中の電子はターゲット1上のプラズ
マ内部をサイクロイド運動して不活性ガスのイオンの発
生を増進させる。このプラズマ中の陽イオンが陰極であ
るターゲット1に加速衝突することでターゲット1から
原子あるいは分子が放出され、ポリエステルフィルム5
に付着してアルミニウムの薄膜が形成される。
【0028】このとき、磁石ユニット3には上述したよ
うに各磁石3aが配置されているので、ターゲット1の
表面で電子が閉ループを描いて特定箇所に滞留すること
がなく、ターゲット1の表面がポリエステルフィルム5
の幅方向に均一にスパッタされる。その結果、図3に示
すようにポリエステルフィルム5の薄膜形成面には全体
にわたって均一な膜厚の薄膜9が形成される。
【0029】このように、各磁石3aを、ターゲット1
の表面に作られる平行磁場のピーク値を結んだ尾根線が
閉ループを形成しないように配置することで、ターゲッ
ト1を大きくすることなく均一な厚さで薄膜を形成する
ことができる。
【0030】本実施例では、磁石ユニット3に1対の磁
石3aを配置させたものの例を示したが、それに限ら
ず、図4に示す磁石ユニット13のように各磁石13a
の中間部にもう1対の磁石13bを、その磁極が隣り合
う磁石の磁極と逆になるように配置してもよい。これに
より、成膜速度をより速くすることが可能となる。ま
た、各磁石の配置は、ターゲットの形状が角形の場合で
も円形の場合でも、その形状にかかわらず同様な配置と
することができる。
【0031】図5に、上述した条件で30分間スパッタ
成膜を行なったときの、アルミニウム薄膜の膜厚をポリ
エステルフィルムの幅方向に沿って測定した結果のグラ
フを示す。図5において、図2に示した磁石ユニットを
用いたものを実験例1、図4に示した磁石ユニットを用
いたものを実験例2で表わした。また、比較のために、
図20で示した従来の磁石ユニットを用いたものを比較
例1で表わした。各例における膜厚の測定箇所は、それ
ぞれ11箇所である。
【0032】図5から明らかなように、比較例1におい
ては、薄膜の膜厚はポリエステルフィルム幅方向の両端
部が中心部に比べ15%程度厚くなっているが、実験例
1および実験例2においては、ポリエステルフィルムの
中心部から両端までほぼ均一な厚さの薄膜が得られた。
また、実験例1と実験例2とを比較すると、実験例2の
方が厚く成膜されていることがわかる。
【0033】(第2実施例)図6は、本発明の薄膜形成
装置の第2実施例の概略構成図である。本実施例の薄膜
形成装置も、第1実施例のものと同様のロール・ツー・
ロール型のマグネトロンスパッタ装置であるが、以下の
点で第1実施例のものと異なる。
【0034】(1)磁石ユニット23の各磁石23aの
間隔を小さくするとともに、磁石ユニット23がポリエ
ステルフィルム30の搬送方向と平行に往復移動可能に
設けられている。なお、本実施例で用いた磁石ユニット
23では、その移動可能距離が100mm、また、各磁
石の間隔が50mmとした。
【0035】(2)ポリエステルフィルム30は、厚さ
が15μmのものを用いた。
【0036】その他の構成については第1実施例のもの
と同様であるので、その説明は省略する。
【0037】上述した構成に基づいて、ターゲット21
のスパッタを行なう際には、磁石ユニット23を図示左
右に移動させながら行なう。これにより、各磁石23a
の磁界により生じる、プラズマを閉じ込める空間は磁石
ユニット23の移動に伴ってポリエステルフィルム30
の搬送方向に移動するので、ポリエステルフィルム30
の搬送方向においてターゲット21は均一にスパッタさ
れる。また、ポリエステルフィルム30の幅方向におい
ても、第1実施例で述べたようにターゲット21は均一
にスパッタされる。その結果、図7に示すようにターゲ
ット21の表面は全域にわたってほぼ均一にスパッタさ
れて全体的に浅いエロージョン21aが形成され、特定
の部分のみに深いエロージョンが形成されることがなく
なるので、ターゲット21を有効に利用することがで
き、ターゲット21の利用限界を飛躍的に延ばすことが
できる。
【0038】以下に、本実施例のマグネトロンスパッタ
装置を用いて薄膜を形成した実験結果を示す。本実験例
では、磁石ユニットの移動速度を変えたもの(実験例3
〜5)と、図8に示すように、ターゲット31、磁石ユ
ニット33、およびプラズマ発生用電源34の組を3組
備えたもの(実験例6)と、磁石ユニットの磁石を図2
0に示したようにループ型に配置したもの(比較例2)
とで、それぞれ100時間のスパッタ成膜し、薄膜の膜
厚分布とターゲットのエロージョン深さを測定したもの
である。その結果を表1に示す。なお、その他の成膜条
件は第1実施例と同様であり、また、薄膜の膜厚分布
は、成膜後のポリエステルフィルムの任意の部分を1m
切り取ったもので、膜厚を長さ方向に1cm間隔で10
0箇所測定し、そのばらつきの割合を求めたものであ
る。さらに、磁石ユニットの移動に際しては、成膜中に
磁石ユニットが移動可能範囲の最左端に達した場合に
は、直ちに最右端に戻って再び左方に移動するようにし
た。
【0039】
【表1】 表1より、実験例4については、磁石ユニットの移動速
度がポリエステルフィルムの搬送速度と同じで、ターゲ
ットのスパッタされる部分とポリエステルフィルムのタ
ーゲット物質が付着する部分との相対的な位置関係が変
化しないので、膜厚分布が大きくなっているが、これ
は、実験例6のように複数個のターゲットを用いること
により改善されていることがわかる。また、磁石ユニッ
トの移動速度は、ポリエステルフィルムの搬送速度と大
きく異なる方が膜厚分布は小さくなり、より均一な薄膜
が形成される。さらに、100時間成膜時の最大エロー
ジョン深さは、比較例2では3.5mmであったのに対
し、実験例3〜6ではいずれも1.2〜1.3mmであ
り、磁石を平行に配置することによりターゲットは均一
にスパッタされていることがわかる。
【0040】表2に、前記実験例3〜6および比較例2
について、ターゲットのエロージョンの最大深さが6m
mとなるまでの時間と、その時のターゲット利用効率を
示す。
【0041】
【表2】 表2より、エロージョンの最大深さが6mmとなる時間
は、実験例3〜6はいずれも比較例2に対して大幅に延
びており、それに伴ってターゲット利用効率も一段と向
上していることがわかる。
【0042】本実施例では、磁石ユニットに1対の磁石
を配置させたものの例を示したが、それに限らず、図4
に示したような配置とすることもできるし、また、ター
ゲットの形状が角形の場合でも円形の場合でも、その形
状にかかわらず同様な配置とすることができる。さら
に、本実施例では各磁石が一体となって移動するものの
例を示したが、それに限らず、各磁石は、各磁石の間隔
が変化するように移動するものであってもよい。
【0043】(第3実施例)図9は、本発明の薄膜形成
装置の第3実施例の、ターゲット近傍の断面図である。
図9に示すように、本実施例もマグネトロンスパッタ装
置であり、被薄膜形成部材としてのウエハ(不図示)に
対向配置されるターゲット41を表面に支持する電極と
してのバッキングプレート42には、真空槽50内にプ
ラズマを発生させるための高電圧印加手段としてのプラ
ズマ発生用電源44が、導電性の部材を介して接続され
ている。本実施例では、ターゲット41としてSiO2
を用いたので、プラズマ発生用電源44は高周波電源が
使用される。また、バッキングプレート42の背面に
は、プラズマ発生用電源44により発生する電界と直交
する磁界を発生するための、複数個の磁石を有する磁石
ユニット43が配置されている。
【0044】また、バッキングプレート42の表面に
は、ターゲット41の不必要部のスパッタを防止する目
的でダークスペースシールド48が固定されている。ダ
ークスペースシールド48は、図9および図10に示す
ように枠状の構造体であり、その内側の端部には、全周
にわたって凸部48aが形成され、この凸部48aがタ
ーゲット41の表面の外周部に対向して突出している。
そして、この凸部48aの端面は、3mm以上の曲率半
径で曲面に加工されたものである。
【0045】上述したようにダークスペースシールド4
8の凸部48aを加工することにより、ターゲット41
のスパッタの際には、ダークスペースシールド48の凸
部48aにはスパッタされたターゲット物質が付着堆積
するが、凸部48aの曲率は大きいものとなっているの
で凸部48aに付着したターゲット物質が凸部48aか
ら剥離しにくくなる。これにより、真空槽50の内部に
は凸部48aから剥離したターゲット物質のゴミが発生
しにくくなり、ウエハにピンホール等の欠陥の少ない良
好な薄膜を安定して形成することができる。また、通常
は、装置の運転に伴って次第に真空槽50内のゴミが増
加していくので、所定の時間ごとに装置のメンテナンス
を行なって真空槽50内のゴミを除去するが、真空槽5
0内にゴミが発生しにくくなるので装置のメンテナンス
をするまでの累積運転時間を延ばすことが可能となる。
その結果、装置のメンテナンスの頻度が減少し、装置の
保守が容易になる。
【0046】図11に、凸部48aの曲率半径を変えて
スパッタしたときの、積算スパッタ時間とウエハに付着
したゴミの数との関係のグラフを示す。図11のグラフ
において、縦軸は5インチウエハ1枚当りに付着したゴ
ミの数を示し、横軸は装置のメンテナンス後からの累積
スパッタ時間を示す。また、ダークしペースシールドの
凸部の曲率半径は、1mm、3mm、および5mmの3
種類のものを用いた。なお、本実験での成膜条件は、真
空槽内の圧力が0.9Pa、Arガスの流量が60cc
/分、投入電力が2kWであった。
【0047】図11から明らかなように、凸部の曲率半
径が3mmのものおよび5mmのものについては、1m
mのものに比較して格段にゴミが付着しにくいことがわ
かる。また、ゴミの数が100個に達した時点をメンテ
ナンスが必要な時間とすると、凸部の曲率半径が1mm
の場合には累積スパッタ時間が40時間であるのに対
し、曲率半径が3mmの場合には48時間、さらには曲
率半径が5mmでは50時間と、それぞれメンテナンス
までのスパッタ時間を20%以上も延長することができ
る。
【0048】(第4実施例)図12は、本実施例の薄膜
形成装置の第4実施例の、ターゲット近傍の断面図であ
り、図13は、図12に示したダークスペースシールド
の斜視図である。本実施例の薄膜形成装置も、第3実施
例のマグネトロンスパッタリング装置と同様にダークス
ペースシールド58を有するマグネトロンスパッタリン
グ装置であるが、以下の点で第3実施例のマグネトロン
スパッタリング装置と異なる。
【0049】(1)ターゲット51は、Si34からな
るものを使用した。
【0050】(2)ダークスペースシールド58は円環
状で、その凸部58aの端面の曲率半径は5mmとし
た。
【0051】その他の構成については第3実施例と同様
でよいのでその説明は省略する。
【0052】本実施例においても、第3実施例と同様に
累積スパッタ時間とウエハ1枚当りに付着するゴミの数
との関係についての実験を、ダークスペースシールドの
凸部の曲率半径が1mmの場合と比較して行なったとこ
ろ、装置のメンテナンスまでの時間で約8時間の延長が
可能となった。なお、本実験での成膜条件は、真空槽内
の圧力が0.1Pa、Arガスの流量が100cc/
分、投入電力が1kWであった。
【0053】(第5実施例)図14は、本発明の薄膜形
成装置の第5実施例の、ターゲット近傍の断面図であ
る。図14に示すように本実施例の薄膜形成装置もマグ
ネトロンスパッタ装置であるが、バッキングプレート6
2は円筒形のものであり、真空槽の側壁70aに回転自
在に軸支されているものである。バッキングプレート6
2には高周波電源であるプラズマ発生用電源64が接続
されているとともに、バッキングプレート62の円筒面
には、その全周にわたってITOからなるターゲット6
1が設けられている。また、真空槽内にはターゲット6
1の一部位に対向配置されるウエハ(不図示)が設けら
れており、バッキングプレート62の内部の、ウエハに
対向する部位には磁石ユニット63が配置されている。
このような構成のマグネトロンスパッタ装置は、バッキ
ングプレート62を回転させながらターゲット61スパ
ッタを行なうことで、ターゲット61を有効に使用しよ
うとするものである。さらに、真空槽70の側壁には、
ターゲット61を取り囲むダークスペースシールド68
が固定されている。ダークスペースシールド68は、ウ
エハと対向する部位に開口を有し、開口の凸部68aの
端面はその曲率半径が5mmで加工されている。
【0054】本実施例においても、第3実施例と同様に
累積スパッタ時間とウエハ1枚当りに付着するゴミの数
との関係についての実験を、ダークスペースシールドの
凸部の曲率半径が1mmの場合と比較して行なったとこ
ろ、装置のメンテナンスまでの時間で約8時間の延長が
可能となった。なお、本実験での成膜条件は、真空槽内
の圧力が0.3Pa、Arガスの流量が80cc/分、
投入電力が600Wであった。
【0055】(第6実施例)図15は、本発明の薄膜形
成装置の第6実施例の概略構成図である。本実施例の薄
膜形成装置もスパッタリング装置であり、図15に示す
ように、真空槽80の内部には、真空槽80の内壁に薄
膜が付着するのを防止するための防着機構81が着脱自
在に取り付けられているとともに、ターゲット71を支
持し、かつ高電圧印加手段としてのプラズマ発生用電源
74に接続された、電極としてのバッキングプレート7
2が設けられている。また、真空槽80内の、ターゲッ
ト71に対向する部位には被薄膜形成部材としてのウエ
ハ75が配置されている。さらに、真空槽80には、真
空槽80を真空排気するための真空排気手段82と、真
空槽80内にプラズマ発生用のガスを導入するためのガ
ス導入手段が設けられている。このガス導入手段は、成
膜用ガス源としてのArガスボンベ84が接続されたA
rガス導入手段85と、脱ガス用ガス源としてのHeガ
スボンベ83が接続されたHeガス導入手段86とを有
する。これにより、真空槽80内にはArガスまたはH
eガスのいずれか一方が選択的に導入される構成となっ
ている。これら各ガスのうち、Arガスはウエハ75へ
の薄膜形成時に使用するガスであり、Heガスは薄膜形
成に先だって真空槽80内のH2 O等の吸着物質を放出
させる脱ガス時に使用するガスである。
【0056】次に、本実施例のスパッタリング装置の動
作について説明する。
【0057】まず、真空槽80内を真空排気手段82で
所定の圧力まで真空排気する。次いで、Heガス導入手
段86により真空槽80内にHeガスを導入して、真空
槽80内の圧力をプラズマ発生圧力まで上昇させる。そ
の後、プラズマ発生用電源74から電力を供給し、真空
槽80内にプラズマを発生させる。これにより、真空槽
80内が加熱され、防着機構81に付着していたH2
等の吸着物質はガスとなって真空槽80内に放出され
る。Heガスは、熱伝導率が高いので真空槽80内を効
率よく加熱することができ、さらにスパッタ率が小さい
ので防着機構81への膜堆積は非常に小さいものとな
る。
【0058】プラズマの発生によってH2 O等の吸着物
質が十分に放出されたら、プラズマ発生用電源74によ
る電力供給およびHeガス導入手段86によるHeガス
の導入を停止させ、再び真空排気手段82により真空槽
80内を真空排気する。
【0059】そして、今度はArガス導入手段84によ
り真空槽80内にArガスを導入するとともにプラズマ
発生用電源74により真空槽80内にプラズマを発生さ
せてターゲット71をスパッタし、ウエハ75へ薄膜を
形成する。
【0060】以下に、本実施例での実験結果を示す。本
実験例では、薄膜形成前にHeガスの導入による4時間
のプラズマ加熱を行なった場合(実験例7)と、プラズ
マ加熱を行なわない場合(比較例3)とでそれぞれ直径
が5インチのウエハに薄膜を形成し、累積スパッタ時間
に対する薄膜の膜厚の安定性を調べた。なお、成膜レー
トは1μmとし、プラズマか熱条件は、真空槽内の圧力
が1.3Pa、Heガス流量が100cc/分、供給電
力が2kWであった。その結果を図16のグラフに示
す。
【0061】図16から、プラズマ加熱を行なわない場
合(比較例3)には、成膜レートまで達するのに約4時
間かかっているが、Heガスで4時間プラズマ加熱した
場合(実験例7)には、最初から成膜レートどおりの薄
膜が形成されていることがわかる。このことは、真空槽
内がプラズマ加熱され脱ガスされていることを示してい
る。
【0062】さらに、上述した実験例7および比較例3
において、累積スパッタ時間とウエハ1枚当りに付着し
たゴミの数との関係を調べ、この結果を図17に示す。
【0063】図17から、Heガスで4時間プラズマ加
熱した場合(実験例7)と、プラズマ加熱を行なわない
場合(比較例3)とでは、ゴミの発生し始める時間には
変化がないことがわかる。ゴミの発生は、防着機構に付
着した膜の剥離によるものであることから、図17に示
した累積スパッタ時間以前に行なったプラズマ加熱では
防着機構に付着した膜は非常に少なく、防着機構に吸着
しているH2 O等の物質を減少させることができること
がわかる。
【0064】以上説明した本実施例では、Heガスでプ
ラズマ加熱するものの例を示したが、プラズマ加熱の際
に用いるガスとしては、熱伝導率が高く、スパッタ率の
小さいガスであればHeガスに限られるものではない。
表3に、各種ガスの熱伝導率とスパッタ率を示す。
【0065】
【表3】 表3より、Heガスの他にH2 ガスも熱伝導率が高く、
かつスパッタ率が小さいのでプラズマ加熱の際に用いる
ガスとして適していることがわかる。
【0066】(第7実施例)図18は、本発明の薄膜形
成装置の第7実施例の概略構成図である。本実施例の薄
膜形成装置はプラズマCVD装置であり、図15に示し
たスパッタリング装置のターゲット71をRF電極91
に置き換えたものである。その他の構成および動作は図
15に示したスパッタリング装置と同様であるのでその
説明は省略する。
【0067】本実施例のように、プラズマCVD装置に
おいて、成膜に先だってスパッタ率の小さいHeガスで
プラズマ加熱することで、ArガスやN2 ガスでプラズ
マ加熱する場合に比較してRF電極91はスパッタされ
にくくなり、RF電極91のダメージを小さくすること
ができる。また、Heガスは熱伝導率が高いので真空槽
100内が加熱されやすくなり、効率よく脱ガスを行な
うことができる。脱ガス状態を示すデータとして、Qマ
スで放出ガスを測定した結果、H2 ガスで0.1〜1p
pmであった。脱ガスが不十分の場合には、H2 ガスの
濃度は1000ppm程度であるから、脱ガスの効果が
十分にあると認められる。なお、本実施例でのHeガス
によるプラズマ加熱条件は、真空槽内の圧力が1.3P
a、Heガス流量が100cc/分、供給電力が2kW
であった。
【0068】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり構成されて
いるので、以下に記載する効果を奏する。
【0069】請求項1に記載の発明では、電極の背面に
配置された複数個の磁石を、それぞれターゲットの被薄
膜形成部材との対向面に作られる平行磁場のピーク値を
結んだ尾根線が閉ループを形成しないように配置させる
ことで、プラズマ中の電子がターゲットの表面で閉ルー
プを描いて特定箇所に滞留することがなくなるので、被
薄膜形成部材に均一な厚さの薄膜を形成することができ
る。また、これによりターゲットを大きくする必要もな
くなるので、装置の小型化にも寄与する。
【0070】請求項2に記載の発明では、各磁石のうち
少なくとも1つの磁石を、ターゲットと被薄膜形成部材
との対向面と平行に、電極に対して相対的に移動可能に
設けることで、ターゲットを均一にスパッタさせること
ができるので、ターゲットの利用効率を向上させ、ター
ゲットの利用限界時間を延ばすことができる。
【0071】請求項3に記載の発明では、ダークスペー
スシールドの凸部の端面の曲率半径を3mm以上とする
ことで、端面に付着したターゲット物質の膜が剥離しに
くくなるので、真空槽内のゴミの発生も少なくなり、欠
陥の少ない良好な薄膜を安定して形成することができ
る。また、ゴミの発生を抑えることにより装置のメンテ
ナンスの頻度を少なくすることができ、装置の保守が容
易になる。
【0072】請求項4に記載の発明では、成膜用ガス源
と脱ガス用ガス源とを備え、薄膜を形成する前に真空槽
内に脱ガス用ガスを導入し、プラズマを発生させること
で、真空槽内を加熱するためのヒータ等の加熱手段を設
けなくても、真空槽の脱ガスを行なうことができる。そ
の結果、真空槽内への薄膜の付着が減少し、欠陥の少な
い良好な薄膜を形成することができる。
【0073】また、脱ガス用ガスとして、スパッタ率の
低く、かつ熱伝導率の高いガスを用いることで、真空槽
の内壁や構造物、およびプラズマCVD装置においては
RF電極へのダメージを減少させることができるととも
に、真空槽内の加熱を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜形成装置の第1実施例の概略構成
図である。
【図2】図1に示した磁石ユニットの平面図である。
【図3】図1に示した薄膜形成装置によって薄膜が形成
されたポリエステルフィルムの、図1に示したA−A線
断面図である。
【図4】図2に示した磁石ユニットに、もう1対の磁石
を配置した場合の磁石ユニットの平面図である。
【図5】図1に示した薄膜形成装置において、磁石ユニ
ットを替えて薄膜を形成したときの、ポリエステルフィ
ルムの幅方向に沿って薄膜の厚さを測定した結果を示す
グラフである。
【図6】本発明の薄膜形成装置の第2実施例の概略構成
図である。
【図7】図6に示した薄膜形成装置でスパッタした後
の、ターゲットの断面図である。
【図8】図6に示した薄膜形成装置の変形例であり、磁
石ユニットおよびターゲットの組を3組備えた薄膜形成
装置の概略構成図である。
【図9】本発明の薄膜形成装置の第3実施例の、ターゲ
ット近傍の断面図である。
【図10】図9に示したダークスペースシールドの斜視
図である。
【図11】ダークスペースシールドを有するスパッタリ
ング装置でのスパッタにおいて、ダークスペースシール
ドの凸部の曲率半径を変えてスパッタしたときの、累積
スパッタ時間とウエハに付着したゴミの数との関係のグ
ラフである。
【図12】本発明の薄膜形成装置の第4実施例の、ター
ゲット近傍の断面図である。
【図13】図12に示したダークスペースシールドの斜
視図である。
【図14】本発明の薄膜形成装置の第5実施例の、ター
ゲット近傍の断面図である。
【図15】本発明の薄膜形成装置の第6実施例の概略構
成図である。
【図16】図15に示した薄膜形成装置で薄膜を形成し
たときの、累積スパッタ時間と膜厚との関係を示すグラ
フである。
【図17】図15に示した薄膜形成装置で薄膜を形成し
たときの、累積スパッタ時間とウエハ1枚当りに付着し
たゴミの数との関係を示すグラフである。
【図18】本発明の薄膜形成装置の第7実施例の概略構
成図である。
【図19】従来のロール・ツー・ロール型マグネトロン
スパッタ装置の概略構成図である。
【図20】図19に示した磁石ユニットの平面図であ
る。
【図21】図19に示したマグネトロンスパッタ装置に
よって薄膜が形成された試料ウェブの、図19に示した
A−A線断面図である。
【図22】図19に示したマグネトロンスパッタ装置で
スパッタした後のターゲットを示し、同図(a)はその
平面図、同図(b)は同図(a)に示したB−B線断面
図である。
【図23】ターゲット表面にダークスペースシールドを
配置した従来のマグネトロンスパッタ装置の一例の、タ
ーゲット近傍の断面図である。
【図24】ターゲット表面にダークスペースシールドを
配置した従来のマグネトロンスパッタ装置の他の例の、
ターゲット近傍の断面図である。
【符号の説明】
1、21、31、41、61、71 ターゲット 2、42、62、72 バッキングプレート 3、13、23、33、43、63 磁石ユニット 3a、13a、13b、23a 磁石 4、34、44、64、74 プラズマ発生用電源 5 ポリエステルフィルム 6 送り出しロール 7 巻き取りロール 9 薄膜 10、50、70、80、100 真空槽 21a エロージョン 48、68 ダークスペースシールド 48a、68a 凸部 75 ウエハ 81 防着機構 82 真空排気手段 83 Heガスボンベ 84 Arガスボンベ 85 Arガス導入手段 86 Heガス導入手段 91 RF電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 裕人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 高倉 英夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 黒川 岳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽と、前記真空槽内に配置される被
    薄膜形成部材に対向してターゲットを支持する電極と、
    前記被薄膜形成部材と前記ターゲットとの間にプラズマ
    発生用の放電を起こさせるための、前記電極に接続され
    た高電圧印加手段と、前記電極の背面に配置された、前
    記高電圧印加手段により発生する電界と直交する磁界を
    発生するための複数個の磁石とを有する薄膜形成装置に
    おいて、 前記各磁石は、それぞれ前記ターゲットの前記被薄膜形
    成部材との対向面に作られる平行磁場のピーク値を結ん
    だ尾根線が閉ループを形成しないように配置されている
    ことを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 前記各磁石のうち少なくとも1つの磁石
    が、前記ターゲットと前記被薄膜形成部材との対向面と
    平行に、前記電極に対して相対的に移動可能に設けられ
    ている請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 真空槽と、前記真空槽内に配置される被
    薄膜形成部材に対向してターゲットを支持する電極と、
    前記被薄膜形成部材と前記ターゲットとの間にプラズマ
    発生用の放電を起こさせるための、前記電極に接続され
    た高電圧印加手段と、前記ターゲットの外周に配置さ
    れ、前記ターゲットの前記被薄膜形成部材との対向面の
    外周部に突出する凸部が形成されたダークスペースシー
    ルドとを有する薄膜形成装置において、 前記ダークスペースシールドの凸部は、その端面の曲率
    半径が3mm以上であることを特徴とする薄膜形成装
    置。
  4. 【請求項4】 真空槽と、前記真空槽内に配置される被
    薄膜形成部材に対向してターゲットを支持する電極と、
    前記真空槽内にプラズマ発生用のガスを導入するガス導
    入手段と、前記被薄膜形成部材と前記ターゲットとの間
    にプラズマ発生用の放電を起こさせるための、前記電極
    に接続された高電圧印加手段とを有する薄膜形成装置に
    おいて、 前記ガス導入手段は、薄膜形成時に使用されるガスを導
    入するための成膜用ガス源と、 薄膜形成の前に、前記真空槽内の吸着物質を前記真空槽
    から放出させる脱ガス時に使用されるガスを導入するた
    めの脱ガス用ガス源とを有し、 前記成膜用ガス源のガスあるいは前記脱ガス用ガス源の
    ガスのいずれか一方を前記真空槽内に選択的に導入する
    ものであることを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】 前記脱ガス用ガス源のガスは、前記成膜
    用ガス源のガスよりもスパッタ率が低く、かつ熱伝導率
    が高いガスである請求項4に記載の薄膜形成装置。
JP04301255A 1992-11-11 1992-11-11 薄膜形成装置 Expired - Fee Related JP3076463B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04301255A JP3076463B2 (ja) 1992-11-11 1992-11-11 薄膜形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04301255A JP3076463B2 (ja) 1992-11-11 1992-11-11 薄膜形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06145976A true JPH06145976A (ja) 1994-05-27
JP3076463B2 JP3076463B2 (ja) 2000-08-14

Family

ID=17894626

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04301255A Expired - Fee Related JP3076463B2 (ja) 1992-11-11 1992-11-11 薄膜形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3076463B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6359157A (ja) * 1986-08-29 1988-03-15 Canon Inc 画像通信装置
JP2014196529A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 住友金属鉱山株式会社 マグネトロンスパッタリングカソード及びこれを備えたスパッタリング装置並びに該スパッタリング装置を用いたスパッタリング成膜方法
JP2014532813A (ja) * 2011-11-04 2014-12-08 インテヴァック インコーポレイテッド 線走査スパッタリングシステムおよび線走査スパッタリング方法
US9194038B2 (en) 2009-12-28 2015-11-24 Canon Anelva Corporation Thin film forming apparatus, thin film forming method, and shield component

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6359157A (ja) * 1986-08-29 1988-03-15 Canon Inc 画像通信装置
US9194038B2 (en) 2009-12-28 2015-11-24 Canon Anelva Corporation Thin film forming apparatus, thin film forming method, and shield component
JP2014532813A (ja) * 2011-11-04 2014-12-08 インテヴァック インコーポレイテッド 線走査スパッタリングシステムおよび線走査スパッタリング方法
JP2014196529A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 住友金属鉱山株式会社 マグネトロンスパッタリングカソード及びこれを備えたスパッタリング装置並びに該スパッタリング装置を用いたスパッタリング成膜方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3076463B2 (ja) 2000-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI285681B (en) Improved magnetron sputtering system for large-area substrates
JP5698652B2 (ja) 同軸マイクロ波支援堆積及びエッチングシステム
US6767436B2 (en) Method and apparatus of plasma-enhanced coaxial magnetron for sputter-coating interior surfaces
US20100078309A1 (en) Sputtering method and sputtering apparatus
JP5824072B2 (ja) スパッタリング装置
JP2011179120A (ja) 多点クランプを用いた物理蒸着装置及び方法
JPH03122273A (ja) マイクロ波を用いた成膜装置
US6055928A (en) Plasma immersion ion processor for fabricating semiconductor integrated circuits
KR101406341B1 (ko) 성막 장치
JP2011179119A (ja) 熱拡散器を用いた物理蒸着装置及び方法
JP2012102384A (ja) マグネトロンスパッタ装置
JP2004169172A (ja) マグネトロンスパッタリング装置及びそのスパッタリング方法
JPH06145976A (ja) 薄膜形成装置
WO1992007970A1 (en) Magnetron sputter coating method and apparatus with rotating magnet cathode
US20140110248A1 (en) Chamber pasting method in a pvd chamber for reactive re-sputtering dielectric material
US20100224128A1 (en) Semiconductor manufacturing apparatus
JP2001140066A (ja) 薄膜形成方法及び形成装置
JP3720061B2 (ja) 薄膜抵抗体の直流スパッタ成膜方法
WO2021094720A1 (en) Method and apparatus for sputter deposition of target material to a substrate
EP0747501A1 (en) Thin film deposition
JP2009275281A (ja) スパッタリング方法及び装置
JPH11315376A (ja) イオン化スパッタリング装置
JP2006028563A (ja) カソーディックアーク成膜方法および成膜装置
JP7438853B2 (ja) マグネトロンスパッタリング装置
JPH0273963A (ja) 低温基体への薄膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080609

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090609

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090609

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110609

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120609

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees