JPH0614596Y2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、たとえばリヤシート等においてシートクッシ
ョン等を前後動させることでサポート機能を発揮させ安
定したリラックス着座状態を得て着座者の座り心地感を
向上させ得るようにした車両用シートの改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に車両用シートには、自動車の走行中において着座
者を安定して保持し適切な座り心地感を与え、長時間に
わたる着座状態にあってもその疲労をできるだけ軽減し
得ることが望まれる。また、この種の車両用シートにあ
っては、着座者の体型や好み、さらには着座姿勢等に応
じてクッション性やホールド性などを適宜変更し得るよ
うな構成をもつことも望まれる。そして、このような要
求を満足するために、シートクッション等をシート前後
方向にスライド調整自在に構成したり、シートバックを
リクライニング機構や車体ボディ側に設けた上下スライ
ド機構等により傾動調整可能に構成することが従来から
行なわれており、またシート各部にランバーサポート、
サイドサポート等を始めとして各種のサポート装置を付
設することも行なわれていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上述した車両用シートのサポート装置として
は、シートの一部またはその内部に設けた可動手段等を
可動可能に構成したものや、エアを用いてシートの一部
を膨出可能に構成したもの等が従来から知られていた。
しかしながら、これら従来のサポート装置において前者
の場合には、その構成が複雑で、部品点数が多くコスト
高となるばかりでなく、装置全体が大型化し、さらにそ
のロック手段の構成等も複雑化し、しかも必要に応じて
手動操作することが必要となる等の欠点があった。ま
た、後者のものは上述した構成等の面では簡素化される
ものの、サポート必要時に袋体にエアを供給して膨張さ
せるためのエアポンプ等といったエア源やその操作手段
などが必要で、しかも必要時に手動操作する等といった
煩雑さもあった。

特に、上述したサポート装置として必要とされること
は、着座者の体型や好みに応じて必要部位を簡単かつ適
切に膨出させ得るとともに、構成部品点数が少なく操作
面からも簡単であること等が望まれており、しかもこの
ようなサポート機能はシートクッションをシート前方に
スライドさせシートバックを後方に傾動させるといった
リラックスして着座する際に特に必要とされるもので、
このような点を考慮し上述した要請を満足し得る何らか
の対策を講じることが望まれている。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもので、シー
トクッションを前後動させるとともにシートバックを適
宜傾動させることで、簡単かつ確実にシート各部のサポ
ート機能を発揮させ、着座者のリラックス姿勢での着座
に対し安定した保持状態を適切に確保し座り心地感を向
上させ得る、特にリヤシートとして用いて好適な車両用
シートを得ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上述せる課題に鑑みてなされたもので、シート
前後方向に前後スライド機構により前後移動自在に支持
されたシートクッションと、その後端側に立設して配置
されるシートバックを備えてなり、前記シートクッショ
ンの前後動に連動してエアを吸込、吐出する蛇腹状を呈
する円筒体形状によるエアポンプ体が配設され、該エア
ポンプ体にはエアサポート体が接続され、該エアポンプ
体は前記前後スライド機構のロアーレール等のシート固
定部に設けたブラケットと、前記前後スライド機構のア
ッパーレール側に設けたブラケットとの間に配設され、
前記エアポンプ体はその長手方向に沿って設けられたガ
イド部材によりガイドされて伸縮するようになされ、前
記エアポンプ体に接続されて伸縮する前記エアサポート
体を前記前後スライド機構の前後動に応じて膨張、収縮
し得るように前記シートバックのサポート必要個所に設
けたことを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、蛇腹状を呈する円筒体形状によるエア
ポンプ体を、前後スライド機構のロアーレール等のシー
ト固定部に設けたブラケットと、前後スライド機構のア
ッパーレール側に設けたブラケットとの間に配設し、シ
ートクッションの前後動によりエアポンプ体を伸縮動作
させ、これによりシート各部に設けたエアサポート体に
エアを適宜供給、排気してこれを適宜膨張、収縮させ、
所要のサポート効果を必要時に自動的に発揮させ得るも
ので、特にリラックス姿勢での着座時において安定した
着座状態を保持することが可能で、座り心地感を向上さ
せ得るものである。

〔実施例〕

第１図(a),(b)ないし第４図は本考案に係る車両用シー
トの一実施例を示すもので、これらの図において全体を
符号１で示すものは、たとえばリヤシート等として用い
て好適な車両用シートで、周知の通り、シートクッショ
ン２とその後端側から立設されているシートバック３と
からなり、シートクッション２は、アッパーレール４ａ
およびロアーレール４ｂからなる前後スライド機構４に
よりシート前後方向にスライド移動調整自在に構成され
ている。なお、シートバック３は、上述したシートクッ
ション２の後端部に周知のリクライニング機構（図示せ
ず）を介して傾動可能に連結支持するように構成すると
よいが、たとえばリヤシートである場合は車体ボディ
（図示せず）側に上下スライド機構や適宜の支持機構等
により傾動可能に支持したものを用いるとよい。

さて、本考案によれば、上述した構成による車両用シー
ト１においてシートクッション２の一部（たとえば前後
スライド機構４）に、第２図ないし第４図に示すような
蛇腹状を呈する円筒体形状によるエアポンプ体１０を設
け、このエアポンプ体１０を、このシートクッション２
の前後動に連動して伸縮動作させることでエアを吸込、
吐出するように構成するとともに、このエアポンプ体１
０に接続されて伸縮するエアサポート体１１，１２を、
シートクッション２、シートバック３のサポート必要個
所（本実施例ではシートバック３のランバーサポート部
とヘッドレスト両側部サポート部）に設けたところに特
徴を有している。なお、本実施例では、シートクッショ
ン２が前方に移動したときにエアポンプ体１０が収縮さ
れてエアを吐出させるとともに、後方に移動したときに
伸張されてエアを吸込むような構成とした場合を示して
いる。また、１３はエアポンプ体１０と各サポート体１
１，１２を接続するエアチューブで、さらに本実施例で
はヘッドレスト部は第１図(b)に示すようにシートバッ
ク３の上端部両側を膨出させるような構成とした場合を
示している。ここで、上述したサポート体１１，１２
は、エアが供給されることで膨張し、抜出されることで
収縮する袋状等によるエアマットで構成するとよく、そ
の大きさや形状等は適宜必要に応じて設定するとよい。

また、本実施例では、円筒体形状でエアポンプ体１０を
形成し、その中央孔部分にガイド部材としてのガイド棒
１４を挿通させ、ガイド部材としてのガイド棒１４を第
２図に示すようにロアーレール４ｂまたはシート固定部
等に設けたブラケット１５とアッパーレール４ａ側のブ
ラケット１６との間に支架させ、その外周にエアポンプ
体１０を前記ブラケット１５，１６間で嵌装させて配置
させた場合を示している。勿論、ガイド部材としてのガ
イド棒１４の一端はブラケット１６（または１５）に対
しては貫通するように構成するとよい。

そして、このような構成によれば、シートクッション２
を前後動させるだけで、エアポンプ体１０が伸縮動作
し、シート１各部に設けたエアサポート体１１，１２等
にエアを適宜供給、排気してこれを適宜膨張、収縮させ
得るもので、その結果所要のサポート効果を必要時に自
動的に発揮させ得るもので、特にリラックス姿勢での着
座時において安定した着座状態を保持することが可能
で、座り心地感を向上させ得るものである。すなわち、
本実施例によれば、シートクッション２を前方に移動さ
せることでエアポンプ体１０からエアが、特別なポンプ
等を用いることなく自動的にシートバック３側のサポー
ト体１１，１２に送られ、これらを膨張させてサポート
としての機能を発揮させ得るもので、その利点は容易に
理解されよう。勿論、エアポンプ体１０の容量は、前記
サポート体１１，１２側を膨張させるに充分な大きさと
なるように設定するとよい。さらに、このエアポンプ体
１０の容量や各サポート体１１，１２へのエアチューブ
１３等の径寸法等を調整すれば、各サポート体１１，１
２での膨張量等を適宜制御し得るものである。

第５図および第６図は上述したエアポンプ体１０の変形
例を示すものであり、上述した実施例のガイド部材とし
てのガイド棒１４の代りに、単純な蛇腹形状によるエア
ポンプ体１０を、互いに重なり合うように構成された一
対のガイド部材としてのカップ部材１７，１８で保持す
ることで、シートクッション２の動きに連動して伸縮動
作するように構成した場合を示しており、その作用効果
は明らかであろう。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定されず、各部
の形状、構造などを、必要に応じて適宜変形、変更する
ことは自由である。たとえば上述した実施例では、サポ
ート体１１，１２をシートバック３のランバー部分とヘ
ッドレスト部分とに設けた場合を例示したが、本考案は
これに限定されず、シートバック３のそれ以外の個所あ
るいはシートクッション２の前端部等を始めとするサポ
ート必要個所に設けるようにするとよいものである。さ
らに、上述した実施例では、シートクッション２の前方
への移動によりエアをサポート体１１，１２側に送る場
合を例示したが、これとは逆にシートクッション２が後
方へ移動したときにエアを送出しできる構成としてもよ
く、適宜の変形例が考えられる。

また、上述したサポート体１１，１２へのエアの供給量
や供給状態を制御する制御弁機構等を有する切替えスイ
ッチ２０を、第７図に示すように設けたり、予備のエア
ポンプ体２１を適宜の位置に付設するようにしてもよ
く、さらにエアポンプ体１０の配設位置等としても適宜
の変形例が考えられる。ここで、上述した制御弁として
は、サオイート体１１または１２を選択する機能や、こ
れらを膨張させることが不要であるときに、予備エアポ
ンプ体２１側にエアを給送する切替え機能等をもたせる
とよい。

さらに、上述したシート構造は、車両用シートにおい
て、特にリヤ側に用いられるリラックスシート等に適用
して効果を発揮し得るが、これに限定されないことも容
易に理解されよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る車両用シートによれ
ば、シート前後方向に移動自在に支持されたシートクッ
ションと、その後端側に立設して配置されるシートバッ
クを備えてなり、シートクッションの前後動に連動して
伸縮することでエアを吸込、吐出する蛇腹状を呈する円
筒体形状によるエアポンプ体を、前後スライド機構のロ
アーレール等のシート固定部に設けたブラケットと、前
後スライド機構のアッパーレール側に設けたブラケット
との間に配設するとともに、このエアポンプ体に接続さ
れて伸縮するエアサポート体を、シートクッション、シ
ートバックのサポート必要個所に設けるようにしたの
で、簡単かつ安価な構成にもかかわらず、シートの必要
個所に設けたエアサポート体を、シートクッションの前
後動によりエアポンプ体を伸縮動作させることで自動的
にエアを供給、排気して適宜膨張、収縮させることが可
能で、所要のサポート効果を必要時に自動的に発揮させ
ることができ、特にリラックス姿勢での着座時において
安定した着座状態を保持し座り心地感を向上させ得る等
といった実用上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図(a),(b)は本考案に係る車両用シートの一実施例
を示す要部構成の概略断面図およびその要部斜視図、第
２図はその要部とするエアポンプ体付設部分を示す概略
斜視図、第３図(a),(b)はエアポンプ体の伸縮動作を説
明するための概略斜視図、第４図は第３図(a)のIV−IV
線断面図、第５図および第６図は本考案の別の実施例を
示す概略斜視図およびそのVI−VI線断面図、第７図は本
考案の他の実施例を示す概略断面図である。 図中、１……車両用シート、３……シートバック、２…
…シートクッション、４……前後スライド機構、１０…
…エアポンプ体、１１，１２……サポート体、１３……
エアチューブ、１４……ガイド棒、１５，１６……ブラ
ケット、１７，１８……カップ部材、２０……切替えス
イッチ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 入江 秀樹 神奈川県綾瀬市小園771番地 池田物産株 式会社内 (72)考案者 宮澤 光弘 神奈川県綾瀬市小園771番地 池田物産株 式会社内 (72)考案者 小暮 雅明 神奈川県綾瀬市小園771番地 池田物産株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−89819（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シート前後方向に前後スライド機構により
   前後移動自在に支持されたシートクッションと、その後
   端側に立設して配置されるシートバックを備えてなり、
   前記シートクッションの前後動に連動してエアを吸込、
   吐出する蛇腹状を呈する円筒体形状によるエアポンプ体
   が配設され、該エアポンプ体にはエアサポート体が接続
   され、該エアポンプ体は前記前後スライド機構のロアー
   レール等のシート固定部に設けたブラケットと、前記前
   後スライド機構のアッパーレール側に設けたブラケット
   との間に配設され、前記エアポンプ体はその長手方向に
   沿って設けられたガイド部材によりガイドされて伸縮す
   るようになされ、前記エアポンプ体に接続されて伸縮す
   る前記エアサポート体を前記前後スライド機構の前後動
   に応じて膨張、収縮し得るように前記シートバックのサ
   ポート必要個所に設けたことを特徴とする車両用シー
   ト。