JPH06145395A - 粗面化ポリイミドフィルムの製法 - Google Patents

粗面化ポリイミドフィルムの製法

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JPH06145395A
JPH06145395A JP30391392A JP30391392A JPH06145395A JP H06145395 A JPH06145395 A JP H06145395A JP 30391392 A JP30391392 A JP 30391392A JP 30391392 A JP30391392 A JP 30391392A JP H06145395 A JPH06145395 A JP H06145395A
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polyimide film
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aromatic polyimide
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浩 井上
Seiichiro Takabayashi
誠一郎 高林
Tetsuharu Hirano
徹治 平野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、芳香族ポリイミドフィルム表面
に微細な凹凸を有する粗面化ポリイミドフィルムの製造
を提供する。 【構成】 この発明は、芳香族テトラカルボン酸成分と
芳香族ジアミン成分から得られた芳香族ポリイミドフィ
ルム又は、その前駆体である芳香族ポリアミック酸フィ
ルムの表面にパラジウム塩の溶液を塗布した後、300
°c以上の温度で加熱することにより、フィルム表面に
微細な凹凸を有することを特徴とする粗面化ポリイミド
フィルムの製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粗面化ポリイミドフ
ィルムに関するものである。更に詳しくは、易滑性や接
着性の改良された粗面化ポリイミドフィルムの製法に関
するものである。この発明の粗面化ポリイミドフィルム
は、表面が微細な凹凸を有し、易滑性、接着性、耐熱性
などの物性が優れているので、その品質を高め製品の不
良率を低下させることができる。
【0002】
【従来技術及びその問題点】芳香族ポリイミドフイルム
は、通常、ポリアミック酸の溶液、又はポリイミド溶液
を支持体上に流延して薄膜を形成し、その薄膜を乾燥し
て、支持体から剥離した後、更に高温で加熱処理するこ
とによって製造されている。しかし、このような方法で
製造されたポリイミドフィルムは、表面が非常に平滑で
あり、滑り性が悪いため、テープ状物としての用途には
使用されにくいという欠点がある。
【0003】従来、芳香族ポリイミドフィルムの易滑化
方法は、例えば、特開昭61−246919号公報など
に記載されているように、フィルム中に無機微粒子を添
加する方法が提案されている。この他に、有機微粒子を
添加する方法、微粒子をフィルム表面にコーティングす
る方法なども提案されている。しかし、微粒子が凝集を
起こし、異常な突起を発生させ、表面の均一な粗面化が
困難であった。又、コ−ティング法では、連続して均一
に塗布することが困難である。
【0004】
【この発明が解決しようとする課題】この発明の目的
は、芳香族ポリイミドフィルムが本来有している優れた
物性、耐熱性などを高いレベルで保持したまま、表面に
異常突起を発生させる原因となる微粒子を添加すること
なく、フィルムの表面に微細な凹凸を有し、粗面化され
た芳香族ポリイミドフィルムを製造する方法を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、芳香族テト
ラカルボン酸成分と芳香族ジアミンから得られた芳香族
ポリイミドフィルム又は、その前駆体の芳香族ポリアミ
ック酸フィルムの表面にパラジウム塩の溶液を塗布した
後、300°C以上の温度で加熱することにより、この
発明の目的を達成した。
【0006】この発明における芳香族ポリイミド又は芳
香族ポリアミック酸は、(1) 芳香族テトラカルボン酸成
分と、(2) 芳香族ジアミン成分から得られるものであ
り、 (1) 芳香族テトラカルボン酸成分として、3,3',4,4'-ビ
フェニルテトラカルボン酸、2,3,3',4'-ビフェニルテト
ラカルボン酸、又はそれらの酸二無水物、あるいはそれ
らの酸の低級アルコールエステル化物などのビフェニル
テトラカルボン酸類、または、3,3',4,4'-ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸またはその酸二無水物、ビス(3,4-
ジカルボキシフェニル)メタン又はその酸二無水物、2,
2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパンまたはそ
の酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)チオ
エーテル又はその酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシ
フェニル)スルフォン又はその酸二無水物、ピロメリッ
ト酸二無水物、又はそれらの酸に無水物など、あるい
は、それらの混合物からなる芳香族テトラカルボン酸成
分が挙げられる。
【0007】(2) 芳香族ジアミン成分として、パラフェ
ニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等のフェニレ
ン系ジアミン化合物、4,4'- ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3'- ジアミノジフェニルエーテル、3,4'- ジアミ
ノジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル系ジアミ
ン化合物、4,4'- ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジ
アミノジフェニルメタン等のジフェニルメタン系ジアミ
ン化合物、3,3'- ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-
ジアミノジフェニルプロパン等のジフェニルプロパン系
ジアミン化合物、4,4'- ジアミノジフェニルスルフィ
ド、3,3'- ジアミノジフェニルスルフィド等のジフェニ
ルスルフィド系ジアミン化合物、4,4'- ジアミノジフェ
ニルスルフォン、3,3'- ジアミノジフェニルスルフォン
等のジフェニルスルフォン系ジアミン化合物、3,3'- ジ
メチルベンチジン等からなる芳香族ジアミン成分が挙げ
られる。
【0008】前記の芳香族テトラカルボン酸成分として
は、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3',
4'-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸、又はその酸二無水物などが好
ましく、芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレン
ジアミン、4,4'- ジアミノジフェニルエーテル等が好ま
しい。
【0009】この発明の製法において、製膜用の芳香族
ポリアミック酸溶液等に使用される有機溶媒としては、
芳香族ポリアミック酸を均一に溶解しうるものであれば
よく、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチ
ルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエ
チルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミド等のア
ミド系有機極性溶媒、ジメチルスルホキサイド、ジエチ
ルスルホキサイド等のスルホキサイド系有機極性溶媒、
ジメチルスルフォン、ジエチルスルフォン等のスルフォ
ン系有機極性溶媒、N-メチル-2- ピロリドン等が挙げら
れる。
【0010】この発明において使用される芳香族ポリア
ミック酸の製造法は、前述の芳香族テトラカルボン酸成
分と芳香族ジアミン成分とを、大略等モル使用して、前
述の有機極性溶媒中で、約100°C以下、特に60°
C以下の温度で重合して芳香族ポリアミック酸を生成さ
せる方法が挙げられる。前記の両成分の使用量は、必ず
しも全く等モルである必要はなく、いずれか一成分が、
他の成分に対して10モル%以内、特に5モル%以内で
あれば、過剰に使用されていてもよい。
【0011】この発明の重合反応における有機極性溶媒
中の全モノマー濃度は、5〜40重量%、好ましくは6
〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%であ
る。
【0012】この発明の芳香族ポリイミドフィルムの製
造に使用される芳香族ポリアミック酸溶液は、30°C
で測定した回転粘度が、約0.1〜50,000ポイ
ズ、特に0.5〜30,000ポイズ、更に好ましくは
1〜10,000ポイズ程度であるものが、取り扱い作
業性の面から好ましい。従って、上記の重合反応は、生
成する芳香族ポリアミック酸溶液の粘度が上記のような
粘度になるまで進めることが好ましい。
【0013】この発明において、芳香族ポリイミドフィ
ルムの製造には、例えば、前述の芳香族ポリアミック酸
溶液を適当な支持体(例えば、金属、セラミックス、プ
ラスチックス製のロール又は金属ベルト、あるいは金属
薄膜テープが供給されつつあるロール又はベルト)の表
面上に流延して、約10〜2,000μm、特に20〜
1,000μm程度の均一な厚さの芳香族ポリアミック
酸溶液を膜状態に形成し、次いで熱風、赤外線等の熱源
を利用して60〜160°Cに加熱して、溶媒を徐々に
除去することにより、自己支持性になるまで前乾燥し
て、支持体より自己支持性フィルムを剥離する。芳香族
ポリイミドフィルムは、前記の自己支持性フィルムを3
00°C以上の温度に加熱することにより得られる。
【0014】この発明において、粗面化芳香族ポリイミ
ドフィルムは、前述の自己支持性芳香族ポリアミック酸
フィルムの表面、又は芳香族ポリイミドフィルムの表面
にパラジウム塩の溶液を塗布・乾燥した後、300°C
以上の温度に加熱することにより、フィルムの表面に微
細な凹凸が付与されることにより製造される。
【0015】この発明において使用されるパラジウム塩
としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラ
ジウム、硫酸パラジウム等が好適に挙げられる。パラジ
ウム塩の溶媒として、水、N-メチル-2- ピロリドン、N,
N-ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、ジ
オキサン、テトラヒドロフラン等の単独又は混合物が挙
げられる。
【0016】パラジウム塩溶液の濃度は、0.0001
モル/リットル〜0.1モル/リットルが好ましい。こ
れより濃度が高いと粗面化されるが粗面化は進まないの
で経済的でない。これより濃度が低いと芳香族ポリイミ
ドフィルムが粗面化されないので、上記範囲が好まし
い。
【0017】この発明において、パラジウム塩溶液を塗
布する方法は、一般に使用されているコーター、例えば
グラビアコーター、ドクターコーター、ドクターブレー
ド、リバースロールコーター、あるいは浸漬法などが挙
げられる。自己支持性芳香族ポリアミック酸フィルムの
表面にパラジウム塩溶液を塗布する場合は、前処理なし
でよい。芳香族ポリイミドフィルムの表面にパラジウム
塩溶液を塗布する場合も前処理を特に必要としないが、
前記のパラジウム塩溶液が芳香族ポリイミドフィルムの
表面を均一に濡らさない場合は、アルカリ性溶液で芳香
族ポリイミドフィルムの表面を処理して、濡れ性を向上
させた後、パラジウム塩溶液を塗布するのが好ましい。
【0018】この発明において、前記の前処理として使
用されるアルカリ性溶液は、水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム、脂肪族アミン、脂肪族ジアミン等の水、アル
コール系、アミド系溶液のような公知のものを用いるこ
とができる。
【0019】
【実施例】以下に実施例と比較例を示す。 実施例1 0.5モルの3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物、0.5モルのパラフェニレンジアミン及び90
0gのN,N-ジメチルアセトアミドを2リットルのガラス
製フラスコに仕込み、25°Cで4時間重合して得られ
た芳香族ポリアミック酸の反応溶液(ポリマー濃度:1
0重量%、25°Cの溶液粘度:500ポイズ)をガラ
ス板上に流延してポリアミック酸溶液の皮膜をを形成
し、その皮膜を80°Cの熱風で30分間乾燥して溶媒
を留去して、ポリアミック酸フィルムを形成した。得ら
れたポリアミック酸フィルムをガラス板から剥離しその
片面に塩化パラジウムの0.002モル/リットルのN,
N-ジメチルアセトアミド溶液をドクターブレードにより
塗布した後、100°Cで12分間乾燥した後、200
から420°Cまで10分で昇温し、この温度で20分
間熱処理した。このフィルムの表面を図1に示すが、凸
部から凸部までが0.1〜3μmの範囲に微細な凹凸が
形成されていた。
【0020】実施例2 実施例1と同様にして、ポリアミック酸フィルムを作製
した、このポリアミック酸フィルムを200°Cで10
分間、更に420°Cで5分間加熱して芳香族ポリイミ
ドフィルムを得た。この芳香族ポリイミドフィルムをま
ず、水酸化ナトリウムの10%水溶液に40分間浸漬
後、水洗して塩化パラジウムの0.005モル/リット
ルのN,N-ジメチルアセトアミド溶液に浸漬後、200°
Cから420°Cまで10分で昇温し、この温度で20
分間熱処理した。この芳香族ポリイミドフィルムの表面
には実施例1と同様な微細な凹凸が形成されていた。
【0021】比較例1 実施例1と同様にして、ポリアミック酸フィルムを作製
した、このポリアミック酸フィルムを200°Cで10
分間、更に420°Cで5分間加熱して芳香族ポリイミ
ドフィルムを得た。この芳香族ポリイミドフィルムをま
ず、水酸化ナトリウムの10%水溶液に40分間浸漬
後、水洗して200°Cから420°Cまで10分で昇
温し、この温度で20分間熱処理した。この芳香族ポリ
イミドフィルムの表面は実施例と異なり平滑で微細な凹
凸が形成されていなかった。
【0022】比較例2 実施例1と同様にして、ポリアミック酸フィルムを作製
した、このポリアミック酸フィルムを200°Cで10
分間、更に420°Cで5分間加熱して芳香族ポリイミ
ドフィルムを得た。この芳香族ポリイミドフィルムを水
洗して200°Cから420°Cまで10分で昇温し、
この温度で20分間熱処理した。この芳香族ポリイミド
フィルムの表面は比較例1と同様であった。このフィル
ムの表面を図2に示すが表面が平滑で微細な凹凸が形成
されていなかった。
【0023】
【発明の効果】この発明は、芳香族テトラカルボン酸成
分と芳香族ジアミン成分から得られた芳香族ポリイミド
フィルム又は、その前駆体である芳香族ポリアミック酸
フィルムの表面にパラジウム塩の溶液を塗布し、300
°C以上の温度で加熱してフィルム表面に微細な凹凸を
有することを特徴とする粗面化芳香族ポリイミドフィル
ムの製造に関する。この発明の粗面化芳香族ポリイミド
フィルムは、表面に凹凸を有しているので、この芳香族
ポリイミドフィルムが本来有している優れた耐熱性など
を高いレベルで維持したまま易滑性や接着性の優れたベ
ースフィルムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を説明すための芳香族ポリ
イミドフィルムの断面図である。
【図2】比較例の一例を説明するための芳香族ポリイミ
ドフィルムの断面図である。
【符号の説明】
1 芳香族ポリイミドフィルム 2 芳香族ポリイミドフィルムンの断面 3 芳香族ポリイミドフィルムンの凹部 4 芳香族ポリイミドフィルムンの凸部 5 芳香族ポリイミドフィルムンの平滑部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジア
    ミン成分とから得られた芳香族ポリイミドフィルム又は
    その前駆体(芳香族ポリアミック酸)フィルムの表面に
    パラジウム塩の溶液を塗布した後、300°C以上の温
    度で加熱することを特徴とする粗面化ポリイミドフィル
    ムの製法。
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