JPH06144777A - クレーン振れ止め制御方法 - Google Patents

クレーン振れ止め制御方法

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JPH06144777A
JPH06144777A JP29414692A JP29414692A JPH06144777A JP H06144777 A JPH06144777 A JP H06144777A JP 29414692 A JP29414692 A JP 29414692A JP 29414692 A JP29414692 A JP 29414692A JP H06144777 A JPH06144777 A JP H06144777A
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JP
Japan
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crane
suspended load
time
truck
control method
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JP29414692A
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Hiroaki Hisakawa
博明 久川
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プリセット制御方式によってクレーンの吊荷
の振れを防止する方法は外乱に弱いという問題があっ
た。本発明は、搬送初期に入った外乱により生じた振れ
を、定速走行中に止めることのできる、演算が簡単な制
御方法等を提供する。 【構成】 本発明の第一の態様は、定速走行中のロープ
懸垂式クレーンにおける吊荷の振れ止め制御方法であ
る。吊荷が振れの最下点にある時点をはさんで、吊荷の
振れ周期の約1/6の時間の間、吊荷の振れ方向にクレ
ーン台車を加速又は減速することによって振れを止め
る。本発明の第二の態様として、停止途中の振れを、ク
レーンの停止精度を害することなく止める制御方法も開
示されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天井クレーンやアンロ
ーダなどのロープ懸垂式クレーン(以下クレーンとい
う)走行時における吊荷の振れを止めることができ、そ
の結果クレーンを能率的に運転することのできるクレー
ン振れ止め制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クレーンの吊荷が大きく振れると、クレ
ーンが目標位置に到着していても、吊荷の振れが収まる
まで荷降しできないため、クレーンの運転能率が下が
る。吊荷の降れをクレーン運転の電気的制御によって止
めることを電気的振れ止めと言うが、この方法はプリセ
ット制御方式とフィードバック制御方式の2つに大別さ
れる。フィードバック制御方式は、高精度の制御が可能
という利点はあるが、制御装置が複雑かつ高価となると
いう弱点がある。一方、プリセット制御方式は比較的簡
単な制御装置によって実現できるが、運転途中における
外乱(吊荷の初期振れ、風等)に弱く、長時間安定して
は使いずらい。
【0003】後者において外乱への対応力を改善するた
め、特開昭59−12085では、荷の吊り上げから定
速走行に至るまでの間に入った外乱に起因する荷の振れ
を取除く制御方法が提案されている。図7は、特開昭5
9−12085の制御方法を示すブロック図である。図
8は、図7の制御方法による速度パターン及び吊荷の振
れ特性を示す図である。図9は、図7の制御方法の位相
図である。
【0004】図8(b)に示されているように、t0
時点で所期振れがある荷を吊って、トップスピードv
max までクレーン走行を加速した後、t1 〜t2 間で荷
の振れを検知し、それに対応してt2 〜t3 の間で減速
→加速→vmax という減速加速操作を入れて荷の振れを
取ろうとしている。しかし、図9の位相図に表わされて
いるように制御しようとすると、制御パラメータの演算
が複雑となる。そのため、図7のブロック図中に示され
ているプログラム制御装置22は、高性能(従って高
価)な計算機を用いなければならないという問題があ
る。
【0005】この従来技術における第二の問題は、目標
位置に停止する際の外乱や制御誤差による振れを有効に
取り除くことができないことである。すなわち、図8の
5〜t6 間でいかなる振れ除去の制御を行うのかが、
明細書中に具体的に記載されておらず、この従来技術は
工業的に実現可能なレベルに達していないものと考えら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記二つの
問題を解決するためになされたもので、プリセット制御
方式によるクレーンの吊荷の振れを防止する方法におい
て、定速走行中の外乱による振れを簡単な演算を行うの
みで止めることのできる制御方法、及び、初期振れない
し外乱による残留振れがあり、かつ目標位置に修正移動
させる必要がある場合に、振れ止めと位置決めを同時に
行う制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第一の態様の制御方法は、定速走行中のロ
ープ懸垂式クレーンにおける吊荷の振れ止め制御方法で
あって;振れの最下点に吊荷がある時点をはさんで、吊
荷の振れ周期の約1/6の時間の間、吊荷の振れ方向に
クレーン台車を加速又は減速することを特徴とする。吊
荷の振れの振幅(A)と位相(ωt)を計測することに
より、このような制御を行うタイミング、制動力を決定
することが好ましい。
【0008】上記制御方法においては、上記加速又は減
速の加速度の大きさが、吊荷の振れの角振動数ωの2乗
と振幅Aとの積の値におおむね等しいことが好ましい。
従って、加減速に必要な力の大きさは約m1 ω2 A(m
1 :台車の質量)である。加減速度をこのように選ぶこ
とによって短時間で振れ止めできる。
【0009】本発明の第二の態様の制御方法は、目標停
止位置に向けて停止途中のロープ懸垂式クレーンにおけ
る吊荷の振れ止め制御方法であって;前方に吊荷が最大
に振れた時点でクレーン台車の拘束を解除し、次に吊荷
が前方に最大に振れると予測される時点の手前で一定時
間クレーン台車を加速し、前記予測時点通過後に一定時
間クレーン台車を減速することを特徴とする。この態様
においては、上記の加速とその後の減速を行う一定時間
がほぼ相等しく、かつ、その加速度と減速度の絶対値も
ほぼ等しいことが好ましい。振れ止め、位置修正が短時
間に行うことができるからである。
【0010】
【実施例】以下本発明の実施例に係る制御方法を示す図
面及び数式を用いて本発明を説明する。天井クレーン運
動の特性はトロリー(台車)がレール面上にあるという
制約条件付きの2体問題であって、一般的にラグランジ
ェの式を解いて求める。しかし、吊荷の振れを3図のよ
うにバネの動きでモデル化し、吊荷13の運動と台車1
1の運動を2変数に分離して表すと計算するのに簡単な
式が得られる。ここで各変数は以下の意味を有する。 x:クレーンの地上に対する絶対位置 y:吊荷のクレーンに対する相対位置(吊り荷の振れ) k:バネ定数(ロープ長に相当する) m1 :台車(トロリー)の質量 m2 :吊荷の質量 M=m1 +m2 F:制動力 なお、各変数の時間微分をdx/dt=u,dy/dt
=v,du/dt=α,dv/dt=βと表す。
【0011】x,y軸の方向と力Fの方向を同一に取る
と、ニュートンの運動方程式は(1)(2)式となる。 F+ky=m1 α (1) −ky=m2 (α+β) (2) (1)式の両辺を時間で積分すると(3)式、(2)式
の両辺を積分すると(4)式となる。
【0012】
【数1】
【0013】トルク制御のモデルには(3)、(4)式
からuを消去して(5)式が得られる。ここで、C、
C’、C”は積分定数を表す。
【0014】
【数2】
【0015】(5)式で吊荷の相対位置を台車の運動と
独立して積分計算することができる。その後台車の運動
は(1)、(2)式に戻して求まる。この方法で各運動
の量の時間関数が求められる。定速走行で振れがある状
態又は振れがある自由振動の状態から台車の電動機を制
御して一定の大きさの加速力[F+ ](時間a)と一定
の大きさの減速力[F- ](時間d)を連続して台車に
加え、吊荷の振れを止める方式を計算する。F- は正の
値で図3のFと反対方向に取るものとする。
【0016】計算が複雑になるのを避けるために、加速
を始める時の台車の位置を原点にとり、台車の速度をゼ
ロとする。本来初期位置や速度は条件によって変わる
が、運動の式は慣性の法則によって初期条件の如何に影
響されない。そこで簡単な初期条件で運動する系の振れ
止め方法をまず計算し、台車の地上に対する絶対速度は
後から検討することにする。
【0017】運動の状態を表わす基準の時間の記号にt
を使うことにし、初期振れないし外乱による振れ(以下
振れという)の振幅をAとする。定位置を中心に振動す
る吊荷の振れは一般に(6)式となる。 y=Asin ωt、v=Aωcos ωt ここでω2 =k・M/(m1 ・m2 ) (6) ロープ長さLの振り子の小振幅周期は(7)式であるか
ら(特開昭62−41189参照)、バネ定数kとロー
プ長さLの関係は(8)式となる。 ω2 =M・g/(m1 ・L) (7) L=g・m2 /k (8) ここでgは重力加速度を示す。t=sにて加速を開始す
るものとして初期条件は(9)式となる。 x=0、u=0、y=Asin ωs、v=Aωcos ωs (9)
【0018】加・減速終了時点(時間d)における吊荷
の振れ(yd )と速度(vd )は(10)(11)式と
なる。 m1 ・ω2 ・yd =m1 ・ω2 ・Asin ω(s+a+d)+[F+ ]・cos ω(a+d)−[F+ +F- ]・cos ωd+[F- ] (10) m1 ・ω・vd =m1 ・ω2 ・Acos ω(s+a+d)−[F+ ]・sin ω (a+d)+[F+ +F- ]・sin ωd (11) 減速終了時点(時間d)における台車の速度(ud )を
吊荷の振れ速度をVd使って表わすと(12)式とな
る。 M・ud =m2 ・ω・A・cos ωs−m2 ・vd +[F+ ]・a−[F- ] ・d (12)
【0019】ここまでは一般的な場合で計算したが、特
殊な場合として[F+ ]=0:a=0(一方向制動力)
の条件を考えてみる。(10)(11)式の値をともに
0とおくと(13)(14)式となる。 m1 ・ω2 ・Asin ω(s+d)−[F- ]・cos ωd+[F- ]=0 (13) m1 ・ω2 ・Acos ω(s+d)+[F- ]・sin ωd=0 (14) 両辺を自乗して加算すると(15)式になる。
【0020】
【数3】
【0021】(15)式の必要条件として m1 ・ω2
・A=[F- ]、ωd=π/3があり、ωs=5π/6
のとき(13)(14)式の一つの解になる。同様に
[F-]=0:d=0の場合について計算すると、m1
・ω2 ・A=[F+ ]、ωa=π/3、ωs=−π/6
となる。これらの位相関係を図1に示す。
【0022】図1は、本発明の第一態様の制御方法の一
実施例に係る吊荷の振れ特性と制動力との関係を表す図
である。(A)吊荷の振れにおいて、実線は自由振動状
態の吊荷の横振れ量を示し、破線は制動力(C)が加わ
った後に振れが止まる様子を表す。なお、図の左側Iは
加速によって、図の右側IIは減速によって振れを止める
状態を表す。いずれも、吊荷の横ブレが0のとき、すな
わち吊荷が台車の真下の振れの最下点にある時点の前π
/6、後π/6(位相角度)の間、m1 ω2 Aの大きさ
の制動力を台車にかけることによって吊荷の振れを止め
ている。結局、図1の意味は、吊荷の振れの最下点付近
で振幅に比例した所定の力を振れ方向に加えれば振れが
止まることを示している。これはON−OFF制御の一
種であって手動運転でよく用いられている方法である。
しかし、制動のタイミングや制動力の量を定量的に表わ
した文献がなく、本発明はこれを数式で明確にすること
によって自動制御の応用が簡単にできる点に工業上の利
点がある。
【0023】制動後の台車速度ud の絶対値は、(1
2)式にF+ 、F- 、ωd、ωa、ωsの値を代入した
(16)式の値だけ増加ないし減少する。許容できる台
車速度の範囲で速度を上げたいときはF+ を、下げたい
ときはF- を用いればよい。
【0024】
【数4】
【0025】この台車速度の量は初期速度に対する相対
値であって、地上に対する速度を目標にするにはud
台車の初期速度を加算して計算する。
【0026】振れが多少残っても速度を正確に決めたい
とするときは[F+ ]ないし[F-]をm1 ・ω2 ・A
とせず、そのp倍(p・m1 ・ω2 ・A;p=0〜1)
とすれば振れの位置・速度と台車速度の変化は(1
7)、(18)、(19)式となることが計算できる。
【0027】
【数5】
【0028】やや計算が複雑になるが、目標からの距離
によって振れ止めと速度合わせの重要度を決め、pの値
を選択すると一種のファジー制御となり、より柔軟な自
動制御も可能である。ただし、この方法はパターン制御
で定速走行中に有効であって、台車を停止させるための
減速開始以降の外乱による振れ止めには使えない。これ
には本発明の第二態様の方法と組み合わせる必要があ
る。
【0029】図2に本発明を実施するための装置構成の
一例を示す。振れ角計1は吊荷13の台車11に対する
相対位置を測定するものであって、電気式・機械式など
がある。計算機3は既知のパターン制御の計算を行った
あと、別に測定した台車や吊荷の質量とロープ長さから
角振動数ωを計算し、定速走行中に振れ角計からの吊荷
の振れの振幅・位相信号を受け取り、上述の計算をして
制御するタイミングと力の大きさを決める。電動機7の
出力トルクと時間を制御できる電動機7及び電動機制御
装置5は、市販の物を使って十分精度のよい制御ができ
る。
【0030】次に本発明の第二の態様に係る実施例につ
いて説明する。前述の式(10)と(11)から、台車
の位置(xd )を吊荷の振れ位置(yd )を使ってまと
めると(20)式となる。 xd =+[F+ ](1/M)・{(1/2)・a2 +a・d} −[F- ] (1/M)・(1/2)・d2 +A・(m2 /M)・[sin ωs+cos ωs・ω (a+d)]−(m2 /M)・yd (20) ここまでは一般的な条件で計算してきたが、条件を単純
にするために、今後正逆方向の力を等しくとる
([F+ ]=[F- ]=Fとする)場合に限って計算を
進める。
【0031】減速終了時点で振れを止めるためには(1
0)、(11)式の値がゼロであればよい。ωdが0か
ら2πの間で計算すると(21)、(22)式の条件で
(23)、(24)式の2通りの解がある。 ωa=ωd すなわち a=d (21) ωs=π/2−ωa (22) F=(1/2)[m1 ω2 A] (23) F={1/[2(1−cos ωd)]}・[m1 ω2 A] (24) ただし(23)式の解の場合、(11)、(12)式を
満たすのはωa=ωd=π/2、ωs=0のケースのみ
であり台車の位置(20)式の値が固定値なので当面の
検討対象外となる。(24)式の場合には様々なωdの
値を取りうるので振幅Aについてこれらの条件を満たす
ωd、ωsで計算できる力Fを加えると振止めができ、
かつ制御できる位置の修正が可能になる。振れ止めがで
きるときの台車の速度は(12)式の右辺のvd =0、
また(21)式から第3、4項もゼロだから(25)式
となる。 M・ud =m2 ・ω・A・cos ωs (25)
【0032】ブレーキをかけて停止しているときの吊荷
の振れとブレーキを解除後の運動は一般に異なる周期・
振幅になる。しかし、吊荷の振れの振幅点(最大振れ位
置)でブレーキを解除すれば振れの振幅が変わらないこ
とが(1)、(2)式から計算できる。前述のtと独立
した時間rを用いてr=0でブレーキを解除しr=Tで
加速を始めるものとすると、吊荷の振れはT≧r≧0に
おいて(26)式となる。またこのときの台車の速度は
(27)式、台車の位置は(28)式となる。(9)式
のyは(26)式とπ/2だけ位相がずれた表現であっ
て内容は同じである。 y=A・cos ωr (26) u=(ωm2 A/M)・sin ωr (27) x=(m2 A/M)(1−cos ωr) (28) (25)式と(27)式を比べると角度の関係を示す図
4から分かるように、(25)式の振れ止め後の速度は
(27)式の台車の初期速度M・ur =ω・m2 ・A・
sin ωTと逆符号で一致するので、振れ止め後の台車の
地上に対する速度がゼロとなり、加速・減速後にブレー
キ停止してもその後の振れは発生しない。
【0033】図4において、上段は吊荷の振れを表し、
実線は自由振動状態のサインカーブである。破線は、本
発明の第二態様の制御を行った際に振れが止まる様子を
表している。下段は、ブレーキ制動力を表している。吊
荷が最大に振れた時間0の時点でブレーキを解除する。
次に、自由振動時に次回の最大振れが生ずると予想され
る時点からωa =ωd 手前の時点でクレーン台車を加速
し、その状態をωd の時間継続する。次に、上記最大振
れが生ずると予想される時点からωd の時間ブレーキを
かけて台車を減速する。
【0034】次に台車位置の(20)式に[F+ ]=
[F- ]=F、a=dを代入すると(29)式となる。 xd =+(F/M)・d2 +A・(m2 /M)・[sin ωs+cos ωs・ω 2d]−(m2 /M)・yd (29) (11)式を使って振れ止め成立のときはyd =0、d
でまとめると(30)式となる。 Mxd =+(F・d2 )+A・m2 ・[sin ωs+cos ωs・2ωd] (30) (30)式にFの一つの解の(24)式を代入すると
(31)式となる。 Mxd =+{m1 ω2 2 /[2(1−cos ωd)]}・A+m2 ・[sin ωs+cos ωs・2ωd]・A (31)
【0035】(31)式のxd の値は制動を開始してか
ら終了するまでに、制動力によって台車が移動する距離
であり、ブレーキを解除してからの台車の移動距離は初
期条件で述べた台車の初期位置と、初期速度に制動時間
を掛けたものを加えた値となる。(28)式にωT=2
π−ωdを代入すると台車の初期位置は(32)式であ
り、(27)式に2d(秒)を掛けると台車の初期速度
による移動距離は(33)式となる。 x=(Am2 /M){1−cos (2π−ωd)}=(Am2 /M){1− cos ωd} (32) u・2d=(ωm2 A/M)・sin (2π−ωd)・2d=−2m2 ω2 A d2 /M (33)
【0036】ブレーキを解除した後の制動開始時刻Tに
よって振れ止めができるωd、ωsが定まり、ωd、ω
sによって制動力と移動距離が決まる。目標の移動距離
と比べて計算した移動距離が大きければTを小さくし、
逆ならTを大きくする。この繰り返し計算によって目標
とする移動距離にあう開始時刻を決めることができる。
小型計算機で数値計算に中点法を用いると約2秒で計算
できる。吊荷の振れの振動周期は通常3−5秒だから、
これは位置誤差と振れの振幅の実測値がわかってから、
つぎの振れ周期までの間に計算してプリセットできる速
さである。
【0037】代表的な条件でωdを変えた場合のXの値
を計算した一例を図5に示す。振れの振幅A程度の値か
ら3−5m の範囲までで位置修正が可能なことがわか
る。5m 以上の値になると制動力を制御する時間の分解
能が不足して精度のよい位置決めは難しい。また、この
方式は振れがない場合に適用することができない。しか
しその場合は「振れ周期の整数倍の時間で加速・減速す
れば振れが発生しない」などの制御方式が適用できるの
で問題ない。
【0038】図6に本発明を実施するための装置構成の
一例を示す。振れ角計1は台車に対する吊荷の相対振れ
を測定するものであって、電気式・機械式などがある。
計算機3は別に測定した台車・吊荷の質量とロープ長さ
から角振動数ωを計算し、振れ角計1からの吊荷の振れ
の振幅・位相信号と台車位置計2からの台車の位置信号
を受け取り、上述の計算をして制御するタイミングと力
の大きさを決める。電動機7の出力トルクと時間を制御
できる電動機制御装置5および走行・横行電動機7は、
市販の物を使って十分精度のよい制御ができる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
クレーンの振れ止め制御法は以下の効果を発揮する。 本発明の第一の態様においては、搬送初期に外乱が
入ることにより生ずる振れを、簡単な制御装置と演算
で、定速走行中に取り除くことができる。 本発明の第二の態様においては、従来のプリセット
制御の弱点であった、クレーン停止時の外乱による位置
ズレや振れを無くすことができる。また、制御動作が連
続した加速と減速のみなので、むだ時間がなく能率が良
い。
【0040】 制御パラメータが時間と力だけで単純
なため適用範囲が広く信頼性が高い。 振れの振幅と位相角度、及び台車速度又は台車位置
に基づく簡単な計算で制御が行われるので、簡単かつ安
価な制御装置を用いて制御できる。 従来のプリセット方式クレーン振れ止め制御の外乱
に起因する問題を広範囲に解決でき、懸垂式クレーンの
運転能率向上・安全性向上・無人化に寄与すること極め
て大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一態様の制御方法の一実施例に係る
吊荷の振れ特性と制動力との関係を表す図である。
【図2】本発明の第一態様の制御方法に使用する制御装
置構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の制御対象であるクレーン台車と吊荷と
からなる機械系をモデル化した図である。
【図4】本発明の第二態様の制御方法の一実施例に係る
吊荷の振れ特性と制動力との関係を表す図である。
【図5】本発明の第二態様の制御方法を計算シュミレー
ションした結果を表すグラフである。
【図6】本発明の第二態様の制御方法に使用する制御装
置構成の一例を示すブロック図である。
【図7】特開昭59−12085の制御方法を示すブロ
ック図である。
【図8】図7の制御方法による速度パターン及び吊荷の
振れ特性を示す図である。
【図9】図7の制御方法の位相図である。
【符号の説明】
1 振れ角計 7 走行・横行電動機 2 台車位置計 11 台車 3 計算機 13 吊荷 5 電動機制御装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定速走行中のロープ懸垂式クレーンにお
    ける吊荷の振れ止め制御方法であって;振れの最下点に
    吊荷がある時点をはさんで、吊荷の振れ周期の約1/6
    の時間の間、吊荷の振れ方向にクレーン台車を加速又は
    減速することを特徴とするクレーン振れ止め制御方法。
  2. 【請求項2】 上記加速又は減速の加速度の大きさが、
    吊荷の振れの角振動数ωの2乗と振幅Aとの積の値にお
    おむね等しい請求項1記載のクレーン振れ止め制御方
    法。
  3. 【請求項3】 目標停止位置に向けて停止途中のロープ
    懸垂式クレーンにおける吊荷の振れ止め制御方法であっ
    て;前方に吊荷が最大に振れた時点でクレーン台車の拘
    束を解除し、次に吊荷が前方に最大に振れると予測され
    る時点の手前で一定時間クレーン台車を加速し、前記予
    測時点通過後に一定時間クレーン台車を減速することを
    特徴とするクレーン振れ止め制御方法。
  4. 【請求項4】 上記の加速とその後の減速を行う一定時
    間がほぼ相等しく、かつ、その加速度と減速度の絶対値
    もほぼ等しい請求項3記載のクレーン振れ止め制御方
    法。
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