JPH06139617A - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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Publication number
JPH06139617A
JPH06139617A JP5203695A JP20369593A JPH06139617A JP H06139617 A JPH06139617 A JP H06139617A JP 5203695 A JP5203695 A JP 5203695A JP 20369593 A JP20369593 A JP 20369593A JP H06139617 A JPH06139617 A JP H06139617A
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JP
Japan
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layer
light
light reflection
recording medium
information recording
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Pending
Application number
JP5203695A
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English (en)
Inventor
Toru Fujii
徹 藤井
Emiko Hamada
恵美子 浜田
Yoshikazu Takagishi
吉和 高岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
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Publication date
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光反射補助層4を設けることにより光反射
層3に安価なアルミニウム材料も採用可能であって読み
取り専用のCDとの互換性を確保することができるとと
もに、耐候性などについても信頼性の高い、かつまた光
吸収層3の色素材料の選択の幅を広げることができるな
ど設計の自由度を大きくすることができ、さらにジッタ
ーなどの記録特性の良好な光情報記録媒体1を提供する
こと。 【構成】 光反射補助層4の材料に着目したもので、
透光性基板2と、色素を含む光吸収層2と、透光性樹脂
からなる光反射補助層4と、アルミニウムを主体とする
光反射層5と、保護層6とを積層してなる光情報記録媒
体1であって、上記光反射補助層4は、架橋硬化させた
樹脂膜からこれを構成するとともに、上記光反射層5
は、この光反射補助層4にこれを直接被着することこと
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光情報記録媒体にかかる
もので、とくに光反射補助層を形成することにより耐候
性および反射率を向上させるようにした光情報記録媒体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、DAD(デジタル・オーディオ・
ディスク)として一般的に知られている光情報記録媒体
には、読み取り専用の、いわゆるROM型のCD(コン
パクト・ディスク)がある。
【0003】また、書き込み可能な光情報記録媒体とし
ては、スパイラル状のプリグルーブを有する透明な基板
上に、有機色素からなる光吸収層を設け、この光吸収層
の上に、スパッタ法あるいは真空蒸着法により金(A
u)などによる光反射層を設け、この光反射層の上に、
樹脂材料からなる保護層を設けた構造のものがあり、こ
れは、上述のCDと互換性があり、該CDと同様に通常
のCDプレーヤーを用いて再生可能である。
【0004】しかしながら、こうした書き込み可能な光
情報記録媒体では、光反射層の材料として高価な金材料
の代わりに、CDにおいて使用される安価なアルミニウ
ム材料を用いると、記録用レーザー光の波長において上
記光吸収層に記録に必要な光吸収機能を持たせることが
できる反面、レーザー光の反射率が十分ではなくなって
CDとの互換性が問題となってくる。
【0005】こうした問題を解決するためには、当該書
き込み可能な光情報記録媒体の光吸収層と光反射層との
間に、低屈折率で透明な光反射補助層を設けることが効
果的である。
【0006】低屈折率の光反射補助層には、原価および
設備投資の面から透明な樹脂材料を用い、これを溶液と
してスピンコート法により成膜を行うことが好ましい。
【0007】透明な樹脂材料としては、スピンコート法
により成膜を行うためにこれを溶液とする必要性から、
溶剤溶解性が比較的高いことが望ましく、したがって樹
脂の重合度を小さくして分子量を低く押さえておくこと
が必要である。
【0008】ところが、比較的分子量の小さな樹脂材料
を用いて光反射補助層を成膜した光情報記録媒体を製造
した場合、耐候性などその信頼性に問題を生じることが
多い。
【0009】とくにこの樹脂材料が親水性に富んでいる
場合に、高温高湿試験等を行った場合には、光情報記録
媒体の反射率など諸特性が短時間で著しく劣化するとい
う問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、光反射補助層を設け
ることにより光反射層に安価なアルミニウム材料も採用
可能であって読み取り専用のCDとの互換性を確保する
ことができるとともに、耐候性などについても信頼性の
高い、かつまた光吸収層の色素材料の選択の幅を広げる
ことができるなど設計の自由度を大きくすることがで
き、さらにジッターなどの記録特性の良好な光情報記録
媒体を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、光反
射補助層の材料に着目したもので、透光性基板と、色素
を含む光吸収層と、透光性樹脂からなる光反射補助層
と、アルミニウムを主体とする光反射層と、保護層とを
積層してなる光情報記録媒体であって、上記光反射補助
層は、架橋硬化させた樹脂膜からこれを構成するととも
に、上記光反射層は、この光反射補助層にこれを直接被
着することを特徴とする光情報記録媒体である。
【0012】上記光反射層の厚さは、これを120nm
以上とすることが望ましい。
【0013】上記光反射層は、上記アルミニウム以外の
不純物の含有量が0.3〜3.5重量%であることが望
ましい。
【0014】上記アルミニウム以外の不純物は、Si、
Mn、Mg、Fe、Cu、Cr、Zn、Tb、Gd、S
m、La、Tm、Ce、Zr、Geの少なくとも1種を
含むものであることができる。
【0015】なお、当該光反射補助層の材料としては、
UV光(紫外線光)や電子線の照射、熱、あるいはその
他の方法により架橋硬化する硬化性樹脂であることが望
ましい。
【0016】たとえば、赤外線などの照射による熱によ
って架橋硬化するシリコン系樹脂を用いることができ
る。
【0017】つぎに、図1ないし図5にもとづき本発明
をより具体的に説明する。図1は、本発明による光情報
記録媒体1の要部縦断面図であって、この光情報記録媒
体1は透光性の基板2と、この基板2上に形成した光吸
収層3と、この光吸収層3の上に形成した光反射補助層
4と、この光反射補助層4の上に形成した光反射層5
と、この光反射層5の上に形成した保護層6とを有す
る。
【0018】上記基板2にはスパイラル状にプリグルー
ブ7を形成してある。このプリグルーブ7の左右には、
このプリグルーブ7以外の部分すなわちランド8が位置
している。
【0019】なお、基板2と光吸収層3とは第1の層界
9により互いに接している。光吸収層3と光反射補助層
4とは第2の層界10により互いに接している。光反射
補助層4と光反射層5とは第3の層界11により接して
いる。光反射層5と保護層6とは第4の層界12により
接している。
【0020】ここで、基板2を形成する材料としては、
ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
オレフィンあるいはガラスなどをあげることができる
が、これら以外の材料であっても、レーザー光に対する
屈折率が1.4〜1.6で、耐衝撃性にすぐれたもので
あれば使用可能である。
【0021】基板2は、たとえば射出成形などの手段に
よってこれを成形することができる。また、基板2には
あらかじめプリグルーブ7がスパイラル状に形成されて
いてもよい。このプリグルーブ7は、通常考えられるも
のであれば、どのような条件のものでもよいが、その深
さが50〜300nmのものが好ましい。また、射出成
形することにより基板2を製造する際にスタンパーを押
し当てることによってプリグルーブ7を形成するのが一
般的であるが、必ずしもこの方法に限られるものではな
い。
【0022】光吸収層3の材料としては、光吸収性の有
機色素が好ましい。光吸収性の有機色素としては具体的
には、たとえばシアニン色素、トリアリールメタン色
素、ピリリウム色素、フェナンスレン色素、テトラデヒ
ドロコリン色素、トリアリールアミン色素、スクアリリ
ウム色素、クロコニックメチン色素、フタロシアニン色
素、アズレニウム系色素などをあげることができるが、
これら以外の光吸収性の有機色素であっても、使用する
ことができる。
【0023】光吸収層3には、他の色素、樹脂(たとえ
ばニトロセルロースなどの熱可塑性樹脂、あるいは熱可
塑性エラストマー)、さらには液ゴムなどを含んでいて
もよい。
【0024】光吸収層3は、上述の色素および任意の添
加剤を有機溶剤(たとえば、アルコール、アセチルアセ
トン、メチルセロソルブ、トルエンなど)により溶解し
たものを、プリグルーブ7が形成された基板2、あるい
は基板2の上にコーティングした他の層の上にこれを被
覆する。なお、光吸収層3としては、複数層によりこれ
を構成してもよいことはもちろんである。
【0025】この場合の被覆方法としては、蒸着法、L
B法、スピンコート法などがあげられるが、スピンコー
ト法においては、光吸収層3の濃度、粘度、溶剤の乾燥
速度を調節することにより層厚を制御することができる
ために、スピンコート法が好ましい。
【0026】エンハンス層としての光反射補助層4は、
たとえばオリゴモノアルキルシロキサンを光吸収層3の
上に直接あるいは他の層を介してスピンコートすること
によりこれを形成する。
【0027】このオリゴモノアルキルシロキサンは、こ
れをスピンコート後、加熱することにより図2のように
脱水縮合し、あるいは図3のように脱アルコール縮合し
て架橋硬化し、ポリモノアルキルシロキサンとなる。
【0028】したがって、加熱架橋させるためには、オ
リゴモノアルキルシロキサンの分子の側鎖あるいは分子
末端がヒドロキシル基もしくはアルコキシル基により置
換されていることが必要となる。
【0029】光反射補助層4は、一般には重合してポリ
マーとなり得る有機化合物のモノマーおよびオリゴマー
を塗布後、架橋反応させることによりこれを得ることが
できる。
【0030】架橋反応により有機ポリマーとしてこれを
得る場合には、作業性の面から分子中にひとつ以上の反
応性アクリロイル基(−CH=CH2)を持つ有機重化
合物のモノマーおよびオリゴマーの混合物に反応開始
剤、反応触媒を少量加え、液状のこれらの混合物を塗布
し、紫外線もしくは電子線を照射することにより架橋さ
せる方法が有利である。
【0031】しかしながら、架橋の方法はこれに限られ
るわけではなく、エポキシ樹脂やウレタン樹脂のよう
に、熱によって架橋が進むものであってもよいし、ジア
ルコキシシランカップリング剤のように空気中の水分で
重合反応が進むものであってもよい。
【0032】こうして得られた架橋物の主鎖および側鎖
は、飽和もしくは不飽和系の直鎖状炭化水素であっても
よいし、メラミン、ビスフェノール系等の環状化合物を
含んでいてもよい。
【0033】また、この架橋物の主鎖または側鎖の途中
に一個以上のエーテル結合を含むポリエーテル、エステ
ル結合を含むポリエステル、ウレタン結合を含むポリウ
レタン、イオン結合を含むアイオノマー、アミド結合を
含むポリアミド、イミド結合を含むポリイミド、スルホ
ン結合を含むポリスルホン、スルフィド結合を含むポリ
スルフィド等に例示されるその他の結合を含んでいても
かまわない。これらの結合をふたつ以上含む共重合化合
物であってもよいし、ブロックポリマーであってもかま
わない。
【0034】また、これらの架橋物の防湿性を向上させ
るために、側鎖にフルオロカーボン等を含んでいてもよ
いし、ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポ
キシ樹脂を含んでいてもよい。
【0035】また、光反射層5との密着性を向上させる
ために、側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アク
リル基、アミノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよい
し、主鎖または側鎖に塩基酸が含まれていてもよい。
【0036】光反射補助層4の形成の際には、塗布中に
樹脂とその反応剤、反応開始剤等のほかに、塗布性を向
上させるために、溶剤、希釈剤が含まれていてもよい。
また、塗膜の安定化を図るために、レベリング剤や、可
塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、等が含まれていてもよ
い。また、必要に応じて、顔料や染料により着色してあ
ってもかまわない。
【0037】なお、樹脂の硬化は、架橋構造の架橋密度
ないしは反応性アクロイル濃度によってこれを変えるこ
とができ、主鎖となり得るオリゴマー自体の分子回転の
自由度によっても変わってくる。
【0038】光反射層5は、たとえばアルミニウム、あ
るいはアルミニウムを含む合金などの金属膜が好まし
い。望ましくは、0.3〜3.5重量%のSi、Mn、
Mg、Fe、Cu、Cr、Zn、Tb、Gd、Sm、L
a、Tm、Ce、Zr、Geの少なくとも1種を含む不
純物を含むか、あるいはその厚さが120nm以上が好
ましい。
【0039】アルミニウムを主体とするこの光反射層5
に0.3〜3.5重量%の不純物が含まれると光反射層
5が硬くなるので、明瞭なピット13が形成される結
果、ジッターが良好となる。
【0040】不純物が0.3重量%以下、あるいは光反
射層5の厚さが120nm未満であると、ジッター(再
生信号の時間軸のゆらぎ)が30nsをこえてしまう問
題があり、また不純物が3.5重量%以上であると、光
反射層5における反射率が低くなってしまう。
【0041】この光反射層5の金属膜は、蒸着法、スパ
ッタリングなどの手段によりこれを形成することができ
る。
【0042】なお光反射層5にはその酸化を防止するた
めに、耐酸化層を被覆させてもよい。
【0043】上記光反射補助層4を架橋硬化させたのち
に、この光反射補助層4の上に反射膜を形成して光反射
層5を構成することにより、光反射補助層4と光反射層
5との間の界面(第3の層界11)の硬さおよび結着性
が向上するため、ジッターが向上する。
【0044】つぎに、光反射層5を保護するために、光
反射層5の上に直接あるいは他の層を介して保護層6を
形成することが好ましい。
【0045】この保護層6は、耐衝撃性のすぐれた合成
樹脂によってこれを形成することが好ましく、たとえば
紫外線硬化性樹脂をスピンコート法により塗布し、紫外
線を照射して硬化させることによりこれを形成する。
【0046】なお、保護層6と基板2とはその円周部に
おいてこれらを一体化させることにより光情報記録媒体
1全体の強度を向上させるとともに、内部の光吸収層
3、光反射補助層4および光反射層5をより確実に保護
することができる。
【0047】図1に図示のように、光情報記録媒体1に
記録光(記録用レーザー光)L1を照射したときに、光
吸収層3がそのレーザー光L1のエネルギーを吸収する
ことにより発熱し基板2側に熱変形が生じてピット13
を形成している。あるときには、光吸収層3に光学的変
化が生じる場合もある。
【0048】当該光情報記録媒体1の製造にあたって
は、基板2および光吸収層3を従来と同様の方法により
に形成したのち、光反射補助層4を形成する。
【0049】すなわち、比較的低分子量で架橋可能な樹
脂材料を溶媒に溶解し、光吸収層3上にスピンコート法
により塗布、成膜したのち、この樹脂を架橋し、その後
の樹脂(光反射補助層4)の複素屈折率nenhを、nenh
≦1.6とし、かつまた光吸収層3の複素屈折率の実数
部nabsとの差(nabs−nenh)を、nabs−nenh≧
0.5となるようにする。
【0050】ついで、従来と同様の方法により、たとえ
ばスパッタ法あるいは真空蒸着法により光反射層5を形
成し、さらにこの上層に樹脂材料により保護層6を形成
する。
【0051】つぎに、ρ=(nabs・dabs(av)+nenh
・denh(av))/λにより定義される光学的パラメータ
ーについて説明する。
【0052】dabs(av)は、光吸収層3の平均膜厚であ
り、ここでいう平均膜厚dabs(av)は(光吸収層3の体
積)/(光吸収層3が形成された領域の面積)で表され
る。
【0053】denh(av)は、光反射補助層4の平均膜厚
であり、ここでいう平均膜厚denh(av)は(光反射補助
層4の体積)/(光反射補助層4が形成された領域の面
積)で表される。
【0054】またλは、再生光(再生用レーザー光)L
2の波長である。なお、光吸収層3の複素屈折率の虚部
をkabsとする。
【0055】本発明者らによる実験およびシュミレーシ
ョンの結果から、ρ=(nabs・dabs(av)+nenh・de
nh(av))/λが非常に重要なパラメーターであることに
着目した。
【0056】すなわち、CD規格では、反射率が70%
以上、かつ変調度として示されるI11/Itopが60%
以上、および変調度I3/Itopが0.3〜0.7と定め
られている。
【0057】基板2上に光吸収層3、光反射補助層4、
および光反射層5を設けた構成を有する光情報記録媒体
1において、当該ρ=(nabs・dabs(av)+nenh・de
nh(av))/λを、0.05≦ρ≦1.6の範囲内に設定
することにより、反射率70%以上、I11/Itopが6
0%以上、I3/Itopが0.3〜0.7という出力信号
を得ることができる。
【0058】上記ρが0.05よりも小さい場合には、
光吸収層3の平均膜厚dabs(av)を0.05μm以下
と、相当薄くしなければならないため、製造上実用的で
はない。
【0059】したがって、0.05≦ρ≦0.6の範囲
においては、0.30≦ρ≦0.6の範囲が実用的であ
り、十分な変調度を取るためには、0.1以上の範囲が
望ましく、変調度の大きい安定した記録特性を得るため
には0.45±0.1の範囲が最も望ましい範囲である
ということができる。
【0060】さらに、図4に示すようにρが0.6以上
の範囲であっても、グラフ上でのピーク点であれば、反
射率が70%を越えることが可能である。
【0061】0.6<ρ<1.6の範囲においては、ピ
ーク点は2点あり、常に0.6<ρ<1.10の範囲
と、1.10<ρ<1.6の範囲とにあり、それらのピ
ーク点において高い反射率を得ることができることがわ
かっている。
【0062】ρ>1.6の時には膜厚が厚くなるため、
膜厚の制御が困難になり、製造上実用的ではない。
【0063】このρと反射率との関係を示すグラフは、
指数関数と、周期関数との組み合わされた関数として表
され、ρが大きくなるにしたがって、周期関数の振幅が
大きくなる。
【0064】こうした周期関数の振幅は、光情報記録媒
体1を構成する層の複素屈折率、膜厚、それらの均質性
等をパラメーターとして変化する。たとえば、光吸収層
3から光が入射する側にある層の屈折率が小さいと、反
射率はグラフ全体として反射率が高くなる方向にシフト
する等である。
【0065】また、このグラフは光吸収層3の複素屈折
率の虚部kabs、および平均膜厚dabs(av)、denh(av)
をパラメーターとする指数関数で表され、図5に示すよ
うにkabsが大きくなるほどグラフ全体の反射率の減衰
が大きくなるということもわかっている。
【0066】高い反射率を得るためにはこのkabsが
0.3以下であることが必要である。 図5から判明
するように、このkabsは0.3以下であれば、0に近
くなるほど反射率は向上する。
【0067】したがって、この範囲が最も望ましい。し
かし0に近づくほど記録感度が悪くなるため、0より大
きいことが必要である。具体的には0.01以上の範囲
が望ましく、実際には0.05前後が望ましい。
【0068】光吸収層3および光反射補助層4が均質で
あり、その複素屈折率の実数部nabs、nenh、および平
均膜厚dabs(av)、denh(av)に不均一な分布がない限
り、図4の上記グラフのピークを示す点の周期には変化
がないことが本発明者らのシミュレーションによりわか
っている。
【0069】なお、条件により、図4におけるグラフの
ボトム点の反射率についても、上記パラメーター条件を
制御することによりこれを高くすることが可能である
が、ρをボトム点付近に設定した場合には、変調度を大
きく取ることが困難であり、ある場合には、記録前より
も反射率が上昇してしまう場合も生じる。したがって、
ρはピーク点付近に設定することが望ましい。
【0070】
【作用】本発明による光情報記録媒体においては、光反
射補助層の材料が比較的低分子量の状態で、光吸収層の
上に塗布、成膜され、その後、UV光(紫外線光)や電
子線の照射、熱、あるいはその他の方法による架橋によ
って高分子化されて硬化されるため、均一で、信頼性の
高い光反射補助層とすることができる。
【0071】とくに、光反射補助層を架橋硬化性樹脂と
することにより、高温高湿状態下においても、分解・低
分子量化せず、ポリマーどうしが三次元架橋構造を保持
しており、光反射補助層が塑性変形を起こし難いととも
に、加水分解などによるモノマー遊離により光吸収層中
の色素材料に悪影響を起こすこともなくなる。
【0072】したがって、熱・光安定性が向上し、高温
高湿状態下においても特性劣化の少ない光情報記録媒体
を得ることができる。
【0073】なお、こうした良好な作用を得るために
は、基板が塑性変形を起こす基板軟化点温度以下で、こ
の硬化性樹脂が光分解・熱分解および加水分解などの分
解を生ぜず、低分子量化しない材料を選択することが望
ましい。
【0074】このような樹脂を選択することにより、過
酷な条件にさらされる車載等の用途にも適用しても特性
劣化や反りの少ない信頼性の高い良好な光情報記録媒体
を得ることができる。
【0075】また、架橋前後の重量変化率を10%以下
とすることにより、光反射補助層の架橋硬化の際に生じ
るおそれのある欠陥や内外領域における層厚の相違を抑
えることができ、さらに架橋硬化の際の収縮により製造
中の光情報記録媒体が反ることもなくなるため、容易に
良好な光反射補助層を形成することができる。
【0076】さらに、光反射層5に、不純物として0.
3重量%以上かつ3重量%以下のSi、Mn、Mgの少
なくとも一種を含むアルミニウム(96.5〜99.7
重量%)膜を用いることにより、光反射層5の物質自体
が硬くなり、ジッターが良好になる。
【0077】すなわち、0.3重量%より少ないと、ジ
ッターが悪く、3重量%より多いと反射率が悪くなって
しまう。
【0078】また、光反射層5は、Fe、Cu、Cr、
Znその他の不純物を0.01重量%以上かつ0.5重
量%以下を含むものであってもよい。こうした不純物を
含むことにより光反射層5の硬さが向上するとともに、
結着性や成膜性が良好となる。また、こうした不純物を
含むアルミニウムを精製により得ることは容易である。
【0079】すなわち、0.01重量%より少ないと精
製および成膜が困難になり、また0.5重量%より多い
と光反射層5の反射率が悪くなる。
【0080】さらに、光反射層5の厚さを120nm以
上と従来よりも厚くすることにより、膜としての硬さを
向上させることができる。また、ランド8領域における
冷却効果も向上するため、ジッターおよびクロストーク
が良好となる。
【0081】なお、光反射層5に不純物として混合する
物質は、それぞれを耐腐触性や成膜性を考慮して選択す
るものとする。
【0082】とくに、光吸収層と光反射補助層との間の
複素屈折率の実数部の差(nabs−nenh)が0.5以上
の場合には、これらの層の干渉効果により光反射率が上
がりやすく、安価なアルミニウム材料による光反射層と
しても、読み取り専用のCDとの間の互換性を十分に取
ることができる。
【0083】なおこのとき、nenh≦1.6で、かつna
bs−nenh≧0.5であれば、アルミニウム材料による
光反射層を設けた場合でも、光反射率が70%以上を十
分に得ることができる。
【0084】
【実施例】つぎに本発明の実施例を説明する。幅0.5
μm、深さ250nm、ピッチ1.6μmのスパイラル
状のプリグルーブを形成した厚さ1.2mm、外径12
0mmおよび内径15mmのポリカーボネート製基板上
に、ジアセトンアルコール10ミリリットルに、1,
1’−ジブチル3,3,3’,3’テトラメチル4,
5,4’,5’−ジベンゾインドジカーボシアニンアイ
オダイド(日本感光色素(株)製NK−3251)48
0mgを溶解し、スピンコート法により塗布、成膜して
色素膜(光吸収層)を形成した。
【0085】この色素膜の再生光の波長(λ)780n
mにおける複素屈折率の実数部および虚数部は、それぞ
れnabs=2.6、kabs=0.07、およびdabs=1
30nmであった。
【0086】この色素膜上に、モノメチルシロキサン
(信越化学工業(株)製、KR−220)1.2gをシ
クロヘキサン100ミリリットルに溶解したものをスピ
ンコート法により塗布、成膜して光反射補助層を形成し
た。
【0087】この光反射補助層の再生光の波長780n
mにおける複素屈折率の実数部および虚数部は、それぞ
れnenh=1.41、kenh=0、およびdenh=52n
mであった。
【0088】この光反射補助層に赤外線ランプを照射す
ることにより、温度80℃で時間30分間のキュアリン
グを行い、硬化させた。
【0089】この光反射補助層の上にアルミニウムによ
る光反射層を厚さ120nmでスパッタ法により設け、
さらにその上にUV硬化性樹脂(大日本インキ(株)
製、SD−17)を塗布し、UV光により硬化して、厚
さ7μmの保護層を形成した。
【0090】かくして製造した光情報記録媒体(ディス
クAとする)は、波長780nmにおけるグルーブの反
射率Rg=71%、RC(Radial Contra
st)=0.05、記録前のプッシュプル=0.08で
あった。
【0091】また、波長780nmの再生用レーザー光
により、記録パワー7.2mVにてEFM信号を線速
1.4m/secで記録し、再生パワー0.5mVで再
生したところ、I3/Itop=0.35、I11/Itop=
0.70、記録後のプッシュプル=0.08、反射率R
top=70%の良好な信号が得られた。
【0092】なお、図6は、上述のような実施例におい
て、光吸収層3の複素屈折率の実数部nabsを固定した
場合の、光反射補助層4の複素屈折率の実数部nenhに
対するグルーブ反射率Rgのグラフである。
【0093】このグラフから判明するように、nabsお
よびnenhを適宜選択することにより、たとえばnenh≦
1.6で、かつnabs−nenh≧0.5であれば、アルミ
ニウム材料による光反射層5を設けた場合でも、グルー
ブ光反射率を70%以上とすることができる。
【0094】[比較例]上述の実施例と同様の基板上
に、同様の色素を用いて、同様に色素による光吸収層を
設けた二枚の光吸収層付き基板を作成した。
【0095】この一方の基板には、上述の実施例と同様
のシリコン樹脂を同様に成膜し、熱硬化させずに、その
上に同様にしてアルミニウム材料による光反射層、さら
にはUV硬化性樹脂層を設けて、これをディスクBとし
た。
【0096】また、もう一方の基板には、オリゴスチレ
ン180mgを四塩化炭素10ミリリットルに溶解し、
スピンコート法により光吸収層上に塗布、成膜し、以
下、実施例と同様にアルミニウム材料による光反射層、
さらにはUV樹脂層を設けてディスク化し、ディスクC
とした。
【0097】実施例で作成したディスクAと、これらデ
ィスクB、Cについて温度70℃、湿度85%RHで、
高温高湿試験を行い、グルーブ反射率Rgの経時変化を
プロットし、その結果を図7に示した。
【0098】図7の結果よりディスクAが、ディスク
B、Cと比較して、グルーブ反射率の特性劣化が明らか
に少ないことがわかる。
【0099】また、この試験後のディスクA、B、Cの
光反射補助層をTHF溶媒に溶解抽出し、GPC(ゲル
パーミトクロマトグラフィー)を用いて分子量を測定し
たところ、ディスクB、Cには重量平均分子量1000
0以下の比較的低分子量の化合物がみられたが、ディス
クAにはみられず、ディスクAの光反射補助層は分解・
低分子量化されていないことを確認した。
【0100】[検討例]光反射層として成膜するアルミ
ニウムについて、その膜厚をそれぞれ50nm、100
nm、120nm、150nm、200nm、250n
m、300nmになるようにするとともに、それぞれの
膜は、Alを97.29重量%、Siを0.88重量
%、Mnを0.62重量%、Mgを0.89重量%(S
i、Mn、Mgの合計2.39重量%)、さらにFeを
0.24重量%、Cuを0.02重量%、Crを0.0
1重量%、Znを0.03重量%、Tiを0.02重量
%(Fe、Cu、Cr、Znその他の不純物の合計0.
32重量%)の反射膜とし、かつ他の構成については上
述の実施例と同様にしたものを8種を作成した(これを
ディスクDとする)。
【0101】また、光反射層として成膜するアルミニウ
ムについて、その膜厚をそれぞれ50nm、100n
m、120nm、150nm、200nm、250n
m、300nmになるようにするとともに、それぞれの
膜はAlを99.85重量%、Siを0.1重量%、M
nを0.02重量%、Mgを0.02重量%、合計2.
39重量%の反射膜(Al99.85重量%)の反射膜
とし、かつ他の構成については上述の実施例と同様にし
たものを8種を作成した(これをディスクEとする)。
【0102】こうして構成したディスクD、Eについ
て、上述の比較例におけるディスクB、Cとともに、光
反射層の膜厚に対するジッター(パルス幅3Tにおける
σ値)を計測したところ、図8に示すように、上記8種
の反射膜についてディスクB、Cではジッターが30n
s以上となってしまうのに対し、ディスクD、Eについ
てはこの膜厚が120nm以上で、ジッターが30ns
以下と良好な値を示すことがわかった。
【0103】なお、光反射層の主体となるアルミニウム
に対して他の不純物を用いても同様の効果を得ることが
できた。
【0104】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光反射補
助層を設けることにより、耐候性などについて信頼性が
高く諸特性が良好で、また光吸収層の色素材料の選択の
幅を広げることができるなど設計の自由度を大きく、か
つジッターを良好とすることができる光情報記録媒体を
提供することができる。
【0105】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による光情報記録媒体1の要部
縦断面図である。
【図2】同、光反射補助層4を構成するオリゴモノアル
キルシロキサンが脱水縮合する化学式を示す図である。
【図3】同、光反射補助層4を構成するオリゴモノアル
キルシロキサンが脱アルコール縮合する化学式を示す図
である。
【図4】同、ρ(=(nabs・dabs(av)+nenh・denh
(av))/λ)と反射率との関係のグラフである。
【図5】同、光吸収層3の複素屈折率の虚部kabsと反
射率との関係のグラフである。
【図6】同、光吸収層3の複素屈折率の実数部nabsを
固定した場合の、光反射補助層4の複素屈折率の実数部
nenhに対するグルーブ反射率Rgのグラフである。
【図7】同、高温高湿試験によるグルーブ反射率Rgの
経時変化をプロットしたグラフである。
【図8】同、光反射層の膜厚に対するジッターの関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 光情報記録媒体 2 透光性の基板 3 光吸収層 4 光反射補助層 5 光反射層 6 保護層 7 プリグルーブ 8 ランド 9 第1の層界 10 第2の層界 11 第3の層界 12 第4の層界 13 ピット nenh 光反射補助層4の複素屈折率の実数部 nabs 光吸収層3の複素屈折率の実数部 kabs 光吸収層3の複素屈折率の虚数部 dabs(av) 光吸収層3の平均膜厚 denh(av) 光反射補助層4の平均膜厚 L1 記録用レーザー光 L2 再生用レーザー光(再生光) λ 再生光L2の波長

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性基板と、 色素を含む光吸収層と、 透光性樹脂からなる光反射補助層と、 アルミニウムを主体とする光反射層と、 保護層とを積層してなる光情報記録媒体であって、 前記光反射補助層は、架橋硬化させた樹脂膜からこれを
    構成するとともに、 前記光反射層は、この光反射補助層にこれを直接被着す
    ることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記光反射層の厚さは、これを120
    nm以上としたことを特徴とする請求項1記載の光情報
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記光反射層は、前記アルミニウム以
    外の不純物の含有量が0.3〜3.5重量%であること
    を特徴とする請求項1あるいは2記載の光情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム以外の不純物は、S
    i、Mn、Mg、Fe、Cu、Cr、Zn、Tb、G
    d、Sm、La、Tm、Ce、Zr、Geの少なくとも
    1種を含むものであることを特徴とする請求項3記載の
    光情報記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1326134C (zh) * 2002-06-28 2007-07-11 威廉斯高级材料公司 包含防腐银合金的光学数据存储器和可记录存储媒体
CN102350847A (zh) * 2011-09-14 2012-02-15 日出东方太阳能股份有限公司 包埋镧铝合金纳米团蔟的金属陶瓷太阳能吸收涂层及方法

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