JPH0613940Y2 - 断熱・防水性を有する段葺状モルタル壁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は住宅等の外壁、特にセメントモルタル壁を階段
状外観に形成すると共に、モルタル壁と躯体間に断熱
性、防水性を具備するモルタル下地を介在させた段葺状
モルタル壁に関するものである。

〔従来の技術〕

一般にモルタル壁を形成するには躯体上に木ずり板を釘
着し、その上に防水シート、例えばアスファルトフェル
トをステープルを介して装着し、その上にラスシートを
クリップ等で部分的に固定し、その上にセメントモルタ
ル組成物のスラリーを１〜３回順次積層した構造となっ
ていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来のセメントモルタル壁では平坦な化
粧面（垂直面）しか形成できず、横張り外観、段葺き外
観を形成することが不可能であった。特に段葺き状壁面
の形成は下地がフラット面であるため形作りが困難であ
り、壁厚も大きく変化するためクラックが入って剥落等
する欠点があった。さらに、躯体とモルタル壁間には木
ずり板、防水シートの装着する必要があり、工程が多
く、かつ断熱性、防水性、耐結露性に欠ける不利があっ
た。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案はこのような欠点を除去するため、躯体上に断熱
性、防水性、下地として段葺き状下地板となる楔状断面
の合成樹脂発泡板体を敷設、施工し、その上にラス材を
固着し、これをモルタル下地としてモルタル壁を形成
し、段葺きモルタル壁を容易に、かつ美しくしその上、
断熱性、防水性、防振性、耐クラック性のある段葺き状
モルタル壁を提供するものである。

〔実施例〕

以下に図面を用いて本考案に係る段葺状モルタル壁の一
実施例について詳細に説明する。第１図は本考案に係る
断熱・防水性を有する段葺状モルタル壁の一例を示す縦
断面図であり、１は躯体で主柱、間柱、胴縁等である。
２はモルタル下地で合成樹脂発泡体を第２図に示すよう
に断面楔状に形成した合成樹脂発泡板体（以下、単にフ
ォーム板という）３を用い、これを躯体１上に敷設した
ものであり、主に防水性、断熱性、下地の表面形状の型
材として機能するものである。さらに説明すると、モル
タル下地２はフォーム板３を土台Ａ（第３図に示す）か
ら軒に向かってその上下端を係合して段葺き状に形成し
たものである。すなわち、フォーム板３は独立発泡組織
で耐アルカリ性、耐薬品性があり、かつ密度が30〜50kg
/m³、圧縮強度が1.5〜７kg/cm²の塩化ビニルフォーム、
ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノ
ールフォーム等の１種からなる長尺体からなり、一側端
（下端）3aを厚肉部、他側端（上端）3bを薄肉部とし、
その上下端に上端を係合する嵌合切欠き４を形成したも
のである。なお、フォーム板３は頭部の大きいプラスチ
ック用釘Ｂで躯体１に間隙なく施工するものである。５
はラス材でステープル（図示せず）を介してモルタル下
地２上に土台から軒に向かってモルタル下地２の表面形
状に相応して敷設、固定したものである。６はモルタル
壁でモルタル下地２、ラス材５上にモルタル下地２の表
面外観に対応して形成したものである。

次に施工法について簡単に説明すると、まず、躯体１上
の外側面にフォーム板３を土台Ａから軒まで順次その
上、下端3b、3aを交互に嵌合係合してモルタル下地２を
釘Ｂを介して形成する。次に、ラス材５をモルタル下地
２上に沿ってステープル（図示せず）を介して敷設、固
定する。その後でモルタル壁６をモルタル下地２と同形
の外観となるように塗布し、最終的に第１図に示す外観
のモルタル壁を完成するものである。

以上説明したのは本考案に係る段葺き状モルタル壁の一
実施例にすぎず、フォーム板３を第４図に示すような形
状のものを用いることもできる。これは、フォーム板３
の裏面に長手方向と直交するように空隙3cを形成し、躯
体１上に固定した際に空隙3cによってエアサイクル住宅
用外壁としたものである。また、第５図は取付具６で第
６図に示すようにフォーム板３の下側端を係止すると共
に、躯体１にフォーム板３を固定するためのものであ
る。勿論、図示しないがフォーム板３間の縦目地部を防
水テープで被覆したモルタル下地２とすることもでき
る。さらに、フォーム板３間にコーキング材（図示せ
ず）を介在したモルタル下地２を形成することもでき
る。

〔考案の効果〕

上述したように本考案に係る断熱・防水性を有する段葺
状モルタル壁によれば、軽量で、耐アルカリ性、耐薬
品性、断熱性、防水性、防振性に富み、かつ成形容易な
合成樹脂発泡体を用いて段葺き状モルタル下地を形成し
たため、外観が段葺き状のモルタル壁を容易に形成でき
る。モルタル下地が上記した物性を有しているため地
震、外力がモルタル壁に伝達されないように抑制でき、
結果としてモルタル壁にクラックが生じにくい。モル
タル下地の形成が従前より極めて簡単な構造であるため
安価であり、作業能率も高い。モルタル下地が不通気
性で、かつ断熱性に優れているため結露の発生もなく、
躯体の腐食もない。等の特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る断熱・防水性を有する段葺状モル
タル壁の一実施例を示す説明図、第２図は本考案に係る
モルタル壁の下地の部材となる合成樹脂発泡板体の一例
を示す斜視図、第３図は本考案に係る前記モルタル壁の
土台部分を示す説明図、第４図は本考案の要部である合
成樹脂発泡板体のその他の実施例を示す説明図、第５図
は取付具の一例を示す斜視図、第６図は本考案に係る段
葺状モルタル壁のその他の実施例を示す説明図である。 １……躯体、２……モルタル下地、３……合成樹脂発泡
板体、４……嵌合切欠き、６……モルタル壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主柱、間柱、胴縁等の躯体１上に断面が楔
   状で肉厚部下端に嵌合切欠き４を形成した長尺状の合成
   樹脂発泡体３を下方から上方に向かって係合し、その上
   から釘で固定した断熱性、防水性を有するモルタル下地
   ２と、該モルタル下地２上に係止したラス材５と、該ラ
   ス材５上に上記モルタル下地２に対応してほぼ同一厚さ
   に形成した階段状のモルタル壁６とから構成したことを
   特徴とする断熱・防水性を有する段葺状モルタル壁。