JPH043062Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は建築、構築物の内、外装の横張り壁体
を形成するのに有用なサイデイングボード（以
下、単にボードという）に関するものである。 従来から使用されているこの種のボードとして
は、例えば特公昭51−29339号、実公昭51−
11882号、実公昭54−26649号などがある。しか
しながら、この種ボードにおいて最大の欠点は化
粧面が山状になり、これを用いて形成した壁体は
連続した山のような外観となることであつた。換
言すればボードの化粧面が山状になると美観性に
劣るばかりでなく、施工しにくく、かつ、連結部
の防水性に欠けると共に、離脱する等の不利があ
つた。さらに、この種ボードは化粧面が設計上、
平坦（エンボス加工も含む）であり、かつ、単な
る段差、凹凸にすぎず、立体感に欠けると共に、
働き幅が少ないため、施工性に欠ける不利があつ
た。その他、この種ボードにおいては、落し込み
型の連結構造としたボードも知られているが、陰
影が小さく、かつ、水切れが悪く立体感、防水
性、断熱性、施工性、経済性に欠ける欠点があつ
た。 本考案はこのような欠点を除去するため、化粧
面部を階段状に形成し、ボードを複数段の広幅と
し、かつ、その段差に陰影の増大と水切りを強化
するため、段差を傾斜させると共に、段差の区分
線をより明確化し、さらに、その段差を強化する
化粧リブと空隙を段差部分に設け、区分線をより
明確化し、しかも、雄、雌型連結部からなる目地
部の外観に酷似した構造とし、ボードの施工を１
人の作業員が熟練を要さずに容易に行なうことが
でき、さらに均一な横目地となり、その上、化粧
面部の変形もなく、かつ、防水性、立体化を大幅
に助長したボードを提案するものである。 以下に図面を用いて本考案に係るボードについ
て説明する。すなわち、上記ボードＡは第１図に
示すように、例えば表面処理鋼板、鋼板に亜鉛・
ニツケル合金をメツキした鋼板、アルミ・亜鉛合
金メツキ鋼板（商品名ガルフアン・ガルバリウム
鋼板、スーパージンク）、アルミニウム板、アル
ミニウム合金板、銅板等の１種からなる金属（平
板、エンボス加工板も含む）をロール成形、プレ
ス成形、あるいは押出し成形などの方法により第
２図ａに示すように形成した表面材１と裏面材２
４間に断熱材２５を一体に充填してサンドイツチ
構造としたものである。さらに説明すると、ボー
ドＡは長尺状の化粧面部２と雄型連結部６と雌型
連結部１６とから構成したものである。すなわ
ち、化粧面部２は長尺状の板材の表面の任意位置
（図ではほぼ中央）に長手方向と平行に図示する
ように少なくとも１段を内方に屈曲して形成した
傾斜段差片（以下、単に段差片という）３とその
下端を外方へ短く、例えば２〜20mm位突出し、次
に内方へ屈曲した化粧リブ４とから形成した段差
部５と、段差片３によつて区分した複数個の長尺
状の傾斜化粧片（以下、単に化粧片という）２
ａ，２ｂと、化粧リブ４の下縁４ａ（図では化粧
リブ４の幅の1/2）と化粧片２ｂの上端縁間に設
けた空隙５ａとから構成したものである。なお、
空隙５ａの大きさはボードＡの折り曲げ時に生ず
る間隙の大きさ、あるいは任意に形成したもので
あり、化粧リブ４と化粧片２ｂ間をより明確にす
ることによつて、立体感を助長すると共に、強度
をも補強するものである。上記化粧面部２は主に
表面材１の表面を階段状に形成し、立体感を助長
すると共に、強度を向上するのに役立つものであ
る。特に、化粧リブ４は段差部５の区分線を明確
に形成し、段差片３を視覚的により大きく、か
つ、明確に見せるのに有効なものである。また、
雄型連結部６は化粧面部２の上端となる端縁を長
手方向と平行に窪ませて雨返しと毛細管現象の阻
止を図る溝部７とその先端に形成した補強リブ８
（図ではパイプ状）とから形成した差込縁９と差
込縁９を上縁よする係合溝１０と係合溝１０の下
縁１１を外方へ突出した延長部１２とから構成し
たものである。さらに説明すると、延長部１２は
釘打設片１３とその先端を内方へＬ字状に形成し
た補強兼嵩上げ片１４とその先端を内方に屈曲し
て舌片１５とから形成したものである。雌型連結
部１６は化粧面部２の下端を内方に屈曲した傾斜
段差片（以下、単に段差片という）１７とその端
縁を外方へ短く突出し、次に内方へ屈曲した化粧
リブ１８と、該化粧リブ１８の下縁１９を上縁と
し、その先端を外方へ屈曲して差込縁９を嵌合す
る嵌合溝２０とその下縁２１を内方へ屈曲した舌
片２２とから形成したものであり、下縁２１は係
合溝１０に挿入し、より係合力を強化するのに役
立つものである。なお、表面材１の各部の寸法、
角度は次のように設定する。すなわち、第２図ｂ
に示すようにボードＡを施工した際の下地線（以
下、単に下地線という）イに対する段差片３，１
７の角度をそれぞれθ₁、θ₂、また化粧片２ａ，２
ｂに対する段差片３，１７の角度をθ₃、θ₄、化粧
リブ４，１８と段差片３，１７との角度をθ₅、θ₆
とすると、 θ₁＝θ₂、またはθ₁≒θ₂ θ₃＝θ₄、またはθ₃≒θ₄ θ₅＝θ₆、またはθ₅≒θ₆ の関係にある。また化粧リブ４，１８の幅をW₁，
w₂、段差片３，１７の頂点３ａ，１７ａから下
地線イまでの高さをh₁，h₂、段差片３，１７の長
さをh₃，h₄とすると、 W₁＝W₂、またはW₁≒W₂ h₁＝h₂、またはh₁≒h₂ h₃＝h₄、またはh₃≒h₄ の関係にある。これはボードＡを第３図に示すよ
うに壁下地αに施工した際にボードA₁，A₂の連
結部が段差部５の外観と酷似するようにし、全体
を同じ段差部５によつて構成されているような外
観とし、壁面に統一されたラインを形成し、美し
い外観の壁体を形成するためである。また、樋状
部２３は化粧面部２と雄、雌型連結部６，１６で
囲まれた空間であり、断熱材２５を充填するため
のものである。さらに、前記した裏面材２４は少
なくとも断熱材２５の裏面を被覆するためのもの
であり、ボードＡ自体の機械強度を強化すると共
に、不燃シート、防水膜、遮熱シート、吸水シー
ト、防音シート、剥離シート、パツキング材、補
強シートなどの１部材として機能するものであ
り、例えばアスベスト紙、クラフト紙、アスフア
ルトフエルト、金属箔（Al，Fe，Pb）、合成樹
脂シート、ゴムシート、布シート、ガラスクロス
の１種、もしくはこれらの１種以上を組み合わせ
たもの、あるいはこれらシートに対して防水、難
燃等の処理を施したもの、もしくは前記したよう
な金属板などの１種からなるものである。また、
断熱材２５は少なくとも樋状部２３（図では延長
部１２の裏面まで）に充填し、ボードＡに断熱性
を付与するものであり、副次的に接着性、不燃性
などの機能を有する素材の１種からなるものであ
る。具体的には合成樹脂発泡体、ロツクウール、
グラスウール、シージングボード、石膏ボード、
木毛セメント板等の１種からなり、成形体、ある
いは原料で吐出し、成形、固化、自己接着させる
ものなどの１種からなるものである。なお、成形
体を用いる場合には断熱材２５と表面材１、裏面
材２４間に接着剤（図示せず）が必要である。さ
らに説明すると、断熱材２５としては主に合成樹
脂発泡体、例えばポリウレタンフオーム用樹脂、
ポリイソシアヌレートフオーム用樹脂、フエノー
ルフオーム用樹脂、およびこれらに難燃剤、難燃
助剤（硼砂、メタ硼酸ソーダ、炭酸カルシウム、
水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン）、ベン
トナイト、パーライト粒、シラスバルーンの１種
以上を添加したものなどからなるものである。 次に施工例につき説明する。いま、第１図に示
すようなボードＡを第３図に示すように横張りし
て外壁を構成すると仮定する。なお、ボードA₁，
A₂は表面材１が0.27mmのカラー鋼板、裏面材２４
がアルミ・クラフト紙、断熱材２５が表面材１と
裏面材２４間にポリイソシアヌレートフオーム用
原料を吐出し、反応、発泡、硬化させて、次にキ
ユアして一体化したものである。そこで、主柱、
間柱、防水シート等からなる壁下地（図では防水
シートを使用しない場合の壁下地を示す）αに第
ｎ段目のボードA₁の釘打設片１３を釘βを介し
て固定する。次に第ｎ＋１段目のボードA₂の雌
型連結部１６の嵌合溝２０をボードA₁の雄型連
結部６の差込縁９に嵌挿し、第３図のような目地
部を形成するものである。すなわち横目地部はボ
ードA₁，A₂の段差部５と同じ外観となるように
形成したものである。換言すると、ボードA₂の
雌型連結部１６とボードA₁の化粧片２ａの上端
部とが接触し、そこに僅かの間隙Ｂを形成してボ
ードＡの段差部５と同じような外観を形成するよ
うにしたものである。また、外壁全体を形成する
には、上記したような工程を土台から桁に向かつ
て行なえばよいものである。なお、土台部分には
スタータ（図示せず）、壁の縦目地、出、入隅等
の部分（図示せず）にはコーキング材、役物を用
いる必要がある。 以上、説明したのは、本考案に係るボードの一
実施例にすぎず、第４図ａ〜ｉ〜第８図ａ〜ｍに
示すように形成することもできる。すなわち、第
４図ａ〜ｉは延長部１２のその他の実施例を示す
説明図で、ａ図は補強兼嵩上げ片１４の舌片１５
を形成しない延長部１２、ｂ，ｃ図は釘打設片１
３の先端、あるいはその途中に化粧面部２の長手
方向と平行に突条１３ａを形成し、より係合力、
防水性を強化した延長部１２、ｄ〜ｆ図は補強兼
嵩上げ片１４をＬ字状断面とすることなく、垂直
片１４ａのみで形成した延長部１２、ｇ図は補強
兼嵩上げ片１４を逆Ｌ字状断面とし、必要に応じ
て釘打設用としても機能する延長部１２、ｈ図は
釘打設用１３を角度θ₇で傾斜し、雌型連結部１６
の挿入を容易にした延長部１２、ｉ図は釘打設片
１３の端縁に直接舌片１３ｂを設けた延長部１２
である。なお、ｅ図は垂直片１４ａの下端に舌片
１４ｂを設けたもの、またｆ図は垂直片１４ａの
高さを断熱材２５の端部の厚さの半分とした延長
部１２である。また第５図ａ〜ｅは係合溝１０、
差込縁９のその他の実施例であり、ａ図は延長部
１２に対し係合溝１０の上縁１０ａを角度θ₈とな
るように形成した係合溝１０、ｂ図は上縁１０ａ
をほぼ水平にした係合溝１０、ｃ図は溝部７の底
面７ａと上縁１０ａとを平行に形成した溝部７、
ｄ図は溝部７を除去した差込縁９、ｅ図は差込縁
９の先端を突起状に形成し、溝部７を設けなかつ
た差込縁９である。さらに第６図ａ〜ｃは段差部
５のその他の実施例を示し、ａ図は化粧リブ４の
下縁４ａを化粧リブ４の幅W₁と同じ幅にした段
差部５、ｂ，ｃ図は化粧リブ４を階段状に、ある
いは突条４ｂを形成した段差部である。また第７
図ａ〜ｆは雌型連結部１６のその他の実施例を示
し、ａ図は嵌合溝２０の下縁２１を角度θ₉で傾斜
した雌型連結部１６、ｂ図は舌片２２を角度
θ１０に傾斜した雌型連結部１６、ｃ図は舌片２
２を外方へ屈曲した雌型連結部１６、ｄ図は嵌合
溝２０を角穴状に形成した雌型連結部１６、ｅ図
は下縁１９の途中を内方へ屈曲した雌型連結部１
６、ｆ図は下縁１９の途中に突起１９ａを形成し
た雌型連結部１６である。なお、第４図ａ〜ｉ〜
第７図ａ〜ｆにおいては表面材１のみを示し、板
厚を省略して示している。また、第８図ａ〜ｍは
ボードＡのその他の実施例を示すものであり、ａ
図は表面材１の補強兼嵩上げ片１４を除去し、断
熱材２５が側縁に露出するか、１点鎖線で示すよ
うに、断熱材２５の側縁を裏面材２４の一端で被
覆するように形成したボードＡ、ｂ図は雄型連結
部６の側縁を図のように形成したボードＡ、ｃ図
は裏面材２４の少なくとも一端を図示するように
内側に挿入したボードＡ、ｄ〜ｇ図はハツチング
で示す位置にコーキング材２６を配設したボード
Ａ、ｈ図は釘打設片１３の裏面の断熱材２４を全
部、あるいは図示しないが半分位除去し、そこに
不燃材（石膏ボード、ロツクウールボード）２７
を配設したボードＡ、ｉ図は断熱材２５を図のよ
うに形成し、ボードＡを壁下地に施工した際に空
隙が形成されないようにしたボードＡ、ｊ図は断
熱材２５を２層（同質、異質）、あるいは図示し
ないが、表面材１の化粧片２ａ，２ｂ裏面に空隙
を形成したようなボードＡ、ｋ図は段差部５を２
段形成したボードＡ、ｌ図は断熱材２５のうち表
面材１の延長部１２の裏面から除去したボード
Ａ、ｍ図は表面材１を押出し成形したボードＡで
ある。なお、図示しないが、断熱材２５の裏面に
裏面材２４を貼着しないボードＡも形成できるも
のである。もちろん第４図〜第７図を各々組み合
わせた表面材１とすることもできる。 上述したように本考案に係るボードによれば、
化粧面部に少なくとも１段の段差部を形成した
ため、強度が充分に補強され、ボードを広幅に形
成しても、外観上複数のボードによつて構成され
ているようになるため、山状になつたりすること
がない。段差部に傾斜した段差片と化粧リブと
空隙を設けたため、化粧片間の段差が従前よりは
るかに大きく助長され、化粧面部全体が立体感に
富む外観となる。雄、雌型連結部を前記した落
し込み構造に形成したため１人でも十分に施工で
き、かつ、目地幅（横）を一定に形成することが
でき、しかも目地部の水切れがよく防水性にすぐ
れる。ボード間の連結に熟練を要さず、きわめ
て高能率で施工できる。ボードをサンドイツチ
構造としたため、強度が向上する。壁体を形成
した際は段差部と横目地の外観がほとんど同じと
なるため、美しい外観で、かつ、立体感に富む壁
体を形成できる。ボードを広幅としたため施工
性に富み、しかも素材幅を有効に利用できるので
経済性にすぐれる。ボードの芯材として断熱材
が充填されていると共に、横目地部が断熱材の２
重層となるため、断熱性にすぐれた壁体を形成で
きる。断熱材に合成樹脂発泡体を用いた際は軽
量で、断熱性にすぐれ、しかも接着剤なしで発泡
の際の自己接着性を利用して構成材を極めて容易
に一体に形成できる。等の特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るサイデイングボードの一
実施例を示す斜視図、第２図は上記ボードの各部
の寸法、角度を説明する説明図、第３図は上記ボ
ードを用いて形成した外壁の縦断面の一部を示す
説明図、第４図ａ〜ｉ、第５図ａ〜ｅ、第６図ａ
〜ｃ、第７図ａ〜ｆ、第８図ａ〜ｍは本考案に係
るサイデイングボードのその他の実施例を示す説
明図である。 １……表面材、２……化粧面部、５……段差
部、６……雄型連結部、１６……雌型連結部、
３，１７……傾斜段差片、４，１８……化粧リ
ブ、２４……裏面材、２５……断熱材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長尺状の板材表面に該表面の長手方向と平行
   に、かつ、内方に傾斜せしめた傾斜段差片と該傾
   斜段差片の下端を外方へ短く突出して化粧リブを
   形成した段差部を少なくとも１段配設して前記表
   面を階段状に成形した化粧面部と、該化粧面部の
   上端となる端縁を長手方向と平行に窪ませた溝部
   を設けた差込縁と該差込縁を上縁とする係合溝と
   該係合溝の下縁を外方へ突出した延長部とを形成
   した雄型連結部と、前記化粧面部の下端を内方に
   屈曲して前記傾斜段差片と対応するように形成
   し、その先端を外方へ短く突出した化粧リブと該
   化粧リブの下縁を上縁とし、かつ、前記差込縁と
   嵌合する嵌合溝を設けた雌型連結部とから形成し
   た断面樋状の表面材と、該表面材の裏面に充填し
   た断熱材と、該断熱材の裏面を被覆した裏面材と
   を一体に形成したことを特徴とするサイデイング
   ボード。