JPH06137975A - 増締めトルク計測装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 増締め回動時のトルク値を正確かつ容易に計
測し得る増締めトルク計測装置を提供する。 【構成】 １はレンチ本体を示し、レンチ本体１はその
頭端上部にジャイロスコープ３を設け、尾端部にはハン
ドル２が形成されている。また頭端の下部には、ねじれ
部、即ちトルク検出部５を含み、トルク検出部５にはス
トレンゲージ４が装着されている。さらにトルク検出部
５の下端は角形断面の軸部６を有し、この角形断面の軸
部６には、ボルトの頭部８の規格寸法に応じて選定され
るボックスレンチ７が係合される。ハンドル２を回転さ
せてボルト締付けていけばボルトが回りはじめるまでレ
ンチはトルク検出部５の部分がねじれて、この検出部５
に装着されているストレンゲージ４によってトルク値が
検出され、回りはじめの時点をジャイロスコープで検出
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の利用分野】本発明は、増締めトルク値を計測す
る増締めトルク計測装置において、一旦締結したか、あ
るいは既に締結されているねじ（ボルト、ナット等）を
再度締付け方向に回して増締めするときの回動起動時の
トルク値を電気的に処理し、又はジャイロスコープの電
気的出力からコンピュータにより回動起動時を推計し
て、上記回動起動時のトルク値を計測する増締めトルク
計測装置に関するものである。

【０００２】

【発明の背景】例えば自動車のエンジンまわり、足まわ
り等の重要保安部品を締め付ける取付ねじにあっては、
その取付ねじの締着を確実ならしめるために、増締めが
必要である。この増締め時において、一旦締結されてい
るねじ（ボルト、ナット等）を再度締付け方向に回わそ
うとするとき、当該ねじの締付トルク値に達するまでは
ねじは回転しないが、その締付トルク値以上のトルクを
作用すると増締めされる。一般に増締め時におけるねじ
の回転始動直後には、トルク値が減少し更に締付ける状
態になりトルク値（慣性トルク）が増加する。（図３に
おけるＡ曲線参照）従来は回転始動直後のトルク値を計
測するには、トルクレンチを増締め回転させてその際手
の感触でねじの回転始動時点を感じとり、トルクレンチ
の回転を停止しその時点の増締めトルク値を計測してい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この計測手段
では、作業者の手力による人為的な計測誤差及び習熟差
が多く介在し、信頼性の高い計測を行うことは不可能で
ある。更にねじの回転始動直後にトルク値が減少すると
いう現象はねじあるいは被締付物あるいは締付物の材
質、形状によっては常にトルク値が減少することはなく
トルク値が増加し続ける場合もあって、増締めトルク値
を正確に測定することは困難であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明はかかる従来の問
題点を解消するためになされたもので、測定精度が高
く、信頼性のある増締めトルク計測装置を提供すること
を目的とするものである。

【０００５】

【発明の実施例】以下に本発明を図面に示す実施例に基
いて詳細に説明する。

【０００６】第１図は本実施例よりなる増締めトルク計
測装置を具備せしめたレンチを示すもので、１はそのレ
ンチ本体を示し、該レンチ本体１はその頭端上部にジャ
イロスコープ３を設け、尾端部にはハンドル２が形成さ
れている。また上記頭端の下部には、ねじれ部、即ちト
ルク検出部５を含み、該トルク検出部５にはストレンゲ
ージ４が装着されている。さらにトルク検出部５の下端
は角形断面の軸部６を有し、この角形断面の軸部６に
は、ボルトの頭部８の規格寸法に応じて選定されるボッ
クスレンチ７が係合される。

【０００７】そしてハンドル２を回転させてボルト締付
けていけばボルトが回りはじめるまでレンチはトルク検
出部５の部分がねじれて、この検出部５に装着されてい
るストレンゲージ４によってトルク値が検出され、回り
はじめの時点をジャイロスコープで検出することができ
る。尚、図中において９は被締付物、１０は締付物を示
し、ねじ（ここではボルト）によって被締付物９を締付
物１０に固定するものである。

【０００８】以上が本実施例の構成であるが、次にその
作用を図２に示すブロック線図及び図３に示す特性図を
参照しながら説明する。

【０００９】ねじの増締め時における前述のストレンゲ
ージ４によるトルク値は、微弱な電気信号として増幅器
（アンプ）２１に送られて増幅され、次いでＡＤコンバ
ータ２２に送られる。そしてこのＡＤコンバータ２２に
よりアナログ量からデジタル量へ変換され、コンピュー
タ３０へ送られデータ処理される。

【００１０】一方増締め時におけるジャイロスコープ３
からの信号は増幅器（アンプ）２６で増幅されＡＤコン
バータ２７に送られ、ここでデジタル量に変換されコン
ピュータ３０へ送られデータ処理される。

【００１１】ストレンゲージ４、ジャイロスコープ３は
それ自体の特性あるいは温度等の周囲の環境条件などに
よってゼロ点が僅かに変動するので計測の際に、コンピ
ュータ３０のソフトウエアでゼロ調整をする。

【００１２】図３において点Ｓ（時間ｔｓ）はボルト８
の増締め時における回転始動点である。つまり増締め動
作に入るとトルク値はＳ点まで増大し続けるがボルト８
は回転（始動）せずにレンチはトルク検出部でねじれて
ストレンゲージ４（図１）が作動する。この間、理論的
にはジャイロスコープ３は不動であるので作用しない
が、実際上は手動によるぶれ等のために図３のＢ線で示
すジャイロスコープ波形は、僅かであるが反応を示す。
そのトルク値を更に増大していくとボルト８はＳ点で回
動し始めるが、その瞬間にジャイロスコープ３も急激に
始動し始める。しかしながら上記のジャイロスコープの
波形Ｂにおいて、手動によるぶれと急激に始動し始める
点の判別がつきにくいので、コンピュータにより急激に
始動したジャイロスコープの波形Ｂより回転始動点Ｓを
コンピュータで推計することにより、信頼性のある回転
始動点Ｓのトルク値及び回転始動後に僅かではあるが低
下するトルク値も正確に計測できる。

【００１３】

【発明の効果】以上のように、本発明は増締めトルク値
を計測するねじ（ボルト、ナット等）をレンチにより回
動し、回動起動時のトルク値を計測する増締めトルク計
測装置において、レンチにトルクセンサ及びジャイロス
コープを装着し、これらのトルクセンサ及びジャイロス
コープによる計測値を電気的に処理し、回動起動時のト
ルク値を計測する増締めトルク計測装置であるから、こ
れによればレンチ本体１にジャイロスコープ３を付設し
たこと、またジャイロスコープの波形より回転始動点を
コンピュータで推計処理することにより、ねじ（ボル
ト、ナット等）の増締め時における回転始動時のトルク
値と、その回転始動後に僅かであるが低下するトルク値
も確実に計測し得るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例に係る増締めトルク計測装置の構
造説明図。

【図２】本発明実施例の回転始動トルク値を計測するた
めのブロック図。

【図３】本発明実施例の作動過程におけるコンピュータ
によるトルクと、ジャイロスコープの関係を示すグラ
フ。

【符号の説明】

１…レンチ本体 ２…ハンドル ３…ジャイロスコープ ４…ストレンゲージ ５…トルク検出部 ６…軸部 ７…ボックスレンチ ８…ボルト ９…被締付物 １０…締付物 ２１…増幅器 ２２…ＡＤコンバー
タ ２６…増幅器 ２７…ＡＤコンバー
タ ３０…コンピュータ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 増締めトルク値を計測するねじ（ボル
   ト、ナット等）をレンチにより回動し、回動起動時のト
   ルク値を計測する増締めトルク計測装置において、レン
   チにトルクセンサ及びジャイロスコープを装着し、これ
   らのトルクセンサ及びジャイロスコープによる計測値を
   電気的に処理し、回動起動時のトルク値を計測すること
   を特徴とする増締めトルク計測装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の増締めトルク計測装置に
   おいて、ジャイロスコープの電気的出力を、コンピュー
   タに直接入力して増締め回動起動時を推計することを特
   徴とする増締めトルク計測装置。