JPH1073499A - トルク計測装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 計測対象物の回転開始の瞬間を正確に検出で
きるトルク計測装置の提供。 【解決手段】 レンチ本体１３のねじまたはボルトと係
合される部分を、ねじまたはボルトにトルク伝達可能に
係合される係合部２と、係合部とは別体で係合部２に可
動に支持された浮動部３と、の二重構造から構成し、浮
動部３に回転センサー６を取り付けたトルク計測装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トルク計測装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】特開平６−１３７９７５号公報は、ねじ
またはボルトの増締めトルク計測装置であって、レンチ
本体に角度検出センサーとトルク検出センサーとを備え
たトルク計測装置を開示している。そこでは、ねじまた
はボルトはその頭部をボックスレンチを介してレンチ本
体に係合され、レンチ本体に一体のハンドルを操作して
レンチ本体にトルクをかけ、ボックスレンチを介してね
じまたはボルトを増締めする。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】トルク計測装置では、
本来、ねじまたはボルトが動きだす瞬間をとらえるこ
と、またはねじまたはボルトが何度回転したかを検出す
る必要がある。しかし、上記の従来トルク計測装置で
は、角度検出センサーがレンチ本体に取付けられている
ので、レンチ本体のまわり始めの瞬間または回転角度を
検出し、それを測定対象物であるねじまたはボルトの回
転開始の瞬間または回転角度として代用するものであ
る。すなわち、角度検出センサーがねじまたはボルトに
直接とりつけられていないので、レンチ本体とねじまた
はボルトのガタ（回転方向の遊び）分だけ角度検出に誤
差が生じ、トルク増締め精度が悪化する。本発明の目的
は、ねじまたはボルトの回転開始の瞬間を正確に検知で
きるトルク計測装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、つぎの通りである。計測対象物とトルク伝達可能
に係合される係合部と、前記係合部と別体で前記係合部
に自在に支持され前記計測対象物と一体に回転する浮動
部と、前記浮動部に取り付けられ該浮動部の回転を検知
する回転センサーと、前記係合部または係合部と一体の
部材に取り付けられ係合部に働くトルクを検知するトル
ク検出センサーと、からなるトルク計測装置。

【０００５】上記本発明の装置では、係合部と浮動部と
の二重構造を有しており、浮動部がねじまたはボルトに
押しつけられてねじまたはボルトと共に回転可能であ
り、この浮動部に回転センサーが取付けられているの
で、回転センサーはねじまたはボルトの回転を直接検出
する。その結果、ねじまたはボルトと係合部との間にガ
タが存在しても、回転センサーは正しくねじまたはボル
トの回転の瞬間とその時からのねじまたはボルトの回転
量を検出し、測定精度が高くなる他、増締めトルクおよ
び回転量の管理が容易になる。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明実施例のトルク計測装置
は、図１に示すように、計測対象物（ねじまたはボル
ト）１とトルク伝達可能に係合される係合部２と、係合
部２と別体で係合部２に回転方向および軸方向に可動に
支持された浮動部３と、浮動部３を軸方向に付勢する付
勢手段９と、浮動部３に取り付けられ浮動部３の回転を
検知する回転センサー６と、係合部２または係合部と一
体の部材（たとえば、レバー部５）に取り付けられ係合
部２に働くトルクを検出するトルクセンサー検出センサ
ー７と、を有している。

【０００７】係合部２とレバー部５とがレンチ本体１３
を構成している。レバー部５の係合部２と反対側の端部
にはグリップ部１１が形成されており、グリップ部１１
はレバー部５の一部を構成している。係合部２には凹部
が形成されており、そこに浮動部３と有底円筒部材３Ａ
が挿入されている。浮動部３と有底円筒部材３Ａは、レ
ンチ本体１３と別体で、レンチ本体１３の回動軸芯（計
測対象物１がトルクをかけられて回動するときの回動軸
芯と同軸芯）まわりに回動可能に支持されている。浮動
部３と有底円筒部材３Ａはベアリングなどの低抵抗体４
を介して係合部２に支持されている。また、浮動部３は
回動軸芯と平行な方向（係合部２および浮動部３の軸方
向）に有底円筒部材３Ａに対し相対動可能に、有底円筒
部材３Ａに支持されており、したがって係合部２に対し
ても軸方向に相対動可能に（有底円筒部材３Ａを介し
て）支持されている。

【０００８】有底円筒部材３Ａの底面とこの底面に対向
する浮動部３の端面との間に、ばねや弾性材（たとえ
ば、ゴム）などの付勢手段９が設けられており、付勢手
段９は浮動部３を有底円筒部材３Ａの底面から離れる方
向に付勢しており、この付勢によって、浮動部３は計測
対象物１に押しつけられる。また、浮動部３の計測対象
物１に対向する側の端部には、計測対象物１が磁石によ
って吸着可能の材料からなる場合に浮動部３と計測対象
物１との一体的回転を助長するために、必要に応じてマ
グネット１０が取り付けられている。付勢手段９による
付勢とマグネット１０の何れか一方または両方によっ
て、浮動部３は計測対象物１が回転した時に計測対象物
１と共に回転する。

【０００９】係合部２を計測対象物１の頭部に回転方向
に係合させグリップ部１１を手でもって係合部２を回転
の中心にしてレンチ本体１３を回動させて計測対象物１
にトルクをかける。このトルクは、浮動部３を介さず
に、レンチ本体１３の係合部２から直接計測対象物１の
頭部にかけられる。

【００１０】トルク検出センサー７は、レンチ本体１３
のレバー部５または係合部２に取付けられており、レン
チ本体１３から計測対象物１にかけられるトルクを検出
する。トルク検出センサー７は、たとえばストレインゲ
ージなどの歪検出タイプのトルク検出センサーからな
り、その出力電気信号は回路部８に送られて処理され
る。この回路部８は、レンチ本体１３のたとえばレバー
部５などに設けられらか、またはレンチ本体１３と別の
場所に設けて電気的に接続してもよい。

【００１１】回転センサー６は、たとえば圧電ジャイロ
を使用したセンサーからなる。回転センサー６は、角度
検出センサーでもあり、計測対象物１の回転開始を検出
するとともにその回転角度も検出できるセンサー（市販
品で公知）である。回転センサー６の出力電気信号は回
路部８に送られて処理される。この回路部８は、レンチ
本体１３のたとえばレバー部５などに設けられらか、ま
たはレンチ本体１３と別の場所に設けて電気的に接続し
てもよい。回路部８は波形表示装置１２に電気的に接続
されている。

【００１２】つぎに、作用を、図１、図２を参照して説
明する。まず、本トルク計測装置とは別のねじまたはボ
ルト締め装置を用いて、ねじまたはボルトを最終締付ト
ルク（Ｃ点）までトルクをかけてねじ穴にねじ込み、ボ
ルト締め装置をねじまたはボルトから外す。この状態が
図２のＤ点である。ついで、ねじまたはボルトを増し締
めするために、計測対象物１である増し締め対象のねじ
またはボルトに本トルク計測装置を係合する。グリップ
１１に手をかけてレバー部５をひくと、レンチ本体１３
は係合部２の回転軸芯まわりに回転する。この場合、ね
じまたはボルトと係合部２との間にガタがあると、レバ
ー部５はまわるがねじまたはボルトはまわらない領域が
あり、その領域では回転センサー６はねじまたはボルト
の動きを検知しない。

【００１３】さらにレバー部５をまわすと、ねじまたは
ボルトの頭部の係合部２とが係合してねじまたはボルト
にトルクをかけ、このトルクが最終締付トルク（Ｃ点）
より少し大きい（ねじまたはボルトのねじ部とねじ穴と
のねじ込み摺動の静摩擦が動摩擦より大きい分δだけ大
きい）回転開始トルク（Ａ点）に達すると、ねじまたは
ボルトは回転を開始し、瞬時に若干δだけトルクが低下
して（動摩擦が静摩擦より小のためこのトルク低下現象
が生じる）トルク開始点（Ｂ点）に至り、そこから所定
の必要増締めトルク（Ｅ点）まで、手でかけるトルクの
増大に応じてねじまたはボルトにかけられるトルク（回
転センサーが検出するトルク）が増大していく。

【００１４】回転センサー６が浮動部３に取り付けられ
ていることによって、回転センサー６は係合部２の回転
を検出するのではなく、浮動部３および浮動部３と共に
回転するねじまたはボルトの回転を直接検出することに
なる。そのため、ねじまたはボルトと係合部２との間に
ガタが存在しても、回転センサー６は、正しく計測対象
物１の回転開始点とそれからの回転量を検出する。した
がって、増締めトルク（点Ｄと点Ｂとの差）とその回転
量を正しく管理することが可能になり、増締めトルク精
度が大幅に向上する。ちなみに、従来は、増締め開始点
が点Ｂと点Ｄの間の点をスキルによって作業者が感得し
ていたのであり、その点と増締めトルクとの間のトルク
差、回転量が、ガタ、作業者のスキル、レンチ回転速度
など種々の要因によって変化し、正確なトルク管理がで
きなかったが、本発明方法により、管理できるようにな
った。また、回路部８からの信号を波形表示装置（コン
ピュータのディスプレイ）１２に送って、図２の点線で
囲んだ部分を表示することにより、目視によってＡ点、
Ｂ点を検知することもでき、トルク増締め作業が容易に
なる。

【００１５】

【発明の効果】請求項１の装置によれば、係合部と浮動
部とが別体にされ、浮動部がねじまたはボルトに押しつ
けられてねじまたはボルトと共に回転可能であり、この
浮動部に回転センサーが取付けられているので、回転セ
ンサーはねじまたはボルトの回転を直接検出する。その
結果、係合部とねじまたはボルトとの間にガタが存在し
ても、回転センサーは正しくねじまたはボルトの回転開
始とそれからの回転量を検出することができ、測定精
度、トルクおよび回転量管理の精度が高くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るトルク計測装置の概略
断面図である。

【図２】図１の装置を用いてねじまたはボルトのトルク
増締めを行った場合のトルク／角度のグラフである。

【符号の説明】

１ 計測対象物（ねじまたはボルト） ２ 係合部 ３ 浮動部 ３Ａ 有底円筒部材 ４ 低抵抗体 ５ レバー部 ６ 回転センサー ７ トルク検出センサー ８ 回路部 ９ 付勢手段 １０ マグネット １１ グリップ部 １２ 波形表示装置 １３ レンチ本体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大川 敏行 東京都墨田区堤通一丁目19番９号 日本電 気精器株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 計測対象物とトルク伝達可能に係合され
   る係合部と、 前記係合部と別体で前記係合部に自在に支持され前記計
   測対象物と一体に回転する浮動部と、 前記浮動部に取り付けられ該浮動部の回転を検知する回
   転センサーと、 前記係合部または係合部と一体の部材に取り付けられ係
   合部に働くトルクを検知するトルク検出センサーと、か
   らなるトルク計測装置。