JPH0613729B2 - 肌焼鋼部品の製造方法 - Google Patents
肌焼鋼部品の製造方法Info
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- JPH0613729B2 JPH0613729B2 JP61183939A JP18393986A JPH0613729B2 JP H0613729 B2 JPH0613729 B2 JP H0613729B2 JP 61183939 A JP61183939 A JP 61183939A JP 18393986 A JP18393986 A JP 18393986A JP H0613729 B2 JPH0613729 B2 JP H0613729B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は肌焼鋼部品の製造方法、特に温間あるいは亜熱
間の温度域で塑性加工を施した後、浸炭、焼入れ処理を
行なって肌焼鋼部品を製造する方法に関するものであ
る。
間の温度域で塑性加工を施した後、浸炭、焼入れ処理を
行なって肌焼鋼部品を製造する方法に関するものであ
る。
[従来技術] 650℃〜1000℃の温間あるいは亜熱間温度域での
塑性加工によれば、複雑形状の鋼部品を精密に能率良く
成形できる。そのため、この温度域で歯車等の部品を鍛
造加工や転造加工で成形する技術が注目されている。
塑性加工によれば、複雑形状の鋼部品を精密に能率良く
成形できる。そのため、この温度域で歯車等の部品を鍛
造加工や転造加工で成形する技術が注目されている。
ところで、上記温度域で塑性加工した部品に浸炭焼入れ
処理を施す場合には、浸炭焼入れ処理に先立って焼準処
理を施さない限り、浸炭時にオーステナイト結晶粒の成
長(粗大化)を生じ、高強度の肌焼鋼部品を得ることは
困難とされている。
処理を施す場合には、浸炭焼入れ処理に先立って焼準処
理を施さない限り、浸炭時にオーステナイト結晶粒の成
長(粗大化)を生じ、高強度の肌焼鋼部品を得ることは
困難とされている。
焼準処理としては、部品をそのAc3点直上の温度、一
般には900℃前後に再加熱して、その温度で一定時
間、一般には2時間程度保持、空冷するそうさを行なう
が、加工後にこのような焼準処理を施すことは製造能率
を低下させ、かつ多大なエネルギ消費を必要とするた
め、経済的に不利である。
般には900℃前後に再加熱して、その温度で一定時
間、一般には2時間程度保持、空冷するそうさを行なう
が、加工後にこのような焼準処理を施すことは製造能率
を低下させ、かつ多大なエネルギ消費を必要とするた
め、経済的に不利である。
浸炭時のオーステナイト結晶粒の成長を抑制する他の手
段として、浸炭前に微細なAlNやTi、V、Nb等の
微細炭化物粒子をあらかじめ素材に数多く析出させてお
く方法が知られている。
段として、浸炭前に微細なAlNやTi、V、Nb等の
微細炭化物粒子をあらかじめ素材に数多く析出させてお
く方法が知られている。
しかしながら、上記温度域で塑性加工を施す場合には、
この手段の効果は充分でない。即ち、650℃〜100
0℃の温度域で加工を施した場合には、オーステナイト
再結晶が生じたとしても、その成長が少ないため加工後
のオーステナイト粒は微細なものとなるとともに、加工
度が場所的に異ることよりオーステナイト粒の大きさは
不均一となる。更に再結晶を生じない低温域加工の場合
には必然的にひずみが残留する。またこの加工温度域で
はAlNの凝集が生じやすい。これ等、微細な初期オー
ステナイトの生成、残留ひずみの発生、AlNの凝集
は、いずれも浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を
助長することとなり、AlNやTi、V、Nb等の添加
効果を不充分なものとする。また加工後の不均一な大き
さのオーステナイト粒のために、浸炭後に均一な大きさ
のオーステナイトを得ることが困難である。
この手段の効果は充分でない。即ち、650℃〜100
0℃の温度域で加工を施した場合には、オーステナイト
再結晶が生じたとしても、その成長が少ないため加工後
のオーステナイト粒は微細なものとなるとともに、加工
度が場所的に異ることよりオーステナイト粒の大きさは
不均一となる。更に再結晶を生じない低温域加工の場合
には必然的にひずみが残留する。またこの加工温度域で
はAlNの凝集が生じやすい。これ等、微細な初期オー
ステナイトの生成、残留ひずみの発生、AlNの凝集
は、いずれも浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を
助長することとなり、AlNやTi、V、Nb等の添加
効果を不充分なものとする。また加工後の不均一な大き
さのオーステナイト粒のために、浸炭後に均一な大きさ
のオーステナイトを得ることが困難である。
熱間鍛造後に微細な旧オーステナイト粒の焼入組織を得
る方法としては、素材を1250℃程度の熱間で鍛造
後、鍛造品を720℃〜620℃あるいは390℃〜2
50℃の温度域に一旦冷却させてオーステナイト組織を
実質的に消失させ、その後、所定の焼入温度に再加熱、
保持して焼入をすることが提案されている(特開昭58
−141331号、特開昭58−141333号)。
る方法としては、素材を1250℃程度の熱間で鍛造
後、鍛造品を720℃〜620℃あるいは390℃〜2
50℃の温度域に一旦冷却させてオーステナイト組織を
実質的に消失させ、その後、所定の焼入温度に再加熱、
保持して焼入をすることが提案されている(特開昭58
−141331号、特開昭58−141333号)。
しかしながら、この方法は熱間加工品を対象としてお
り、かつ加工後の浸炭処理は意図されておらず、この方
法を温間または亜熱間加工後に浸炭処理を行なう場合に
適用しても、浸炭時のオーステナイト結晶粒の成長を充
分に抑制することはできない。
り、かつ加工後の浸炭処理は意図されておらず、この方
法を温間または亜熱間加工後に浸炭処理を行なう場合に
適用しても、浸炭時のオーステナイト結晶粒の成長を充
分に抑制することはできない。
[本発明が解決しようとする問題点] 本発明は上記の実情に鑑みてなされたもので、素材を温
間あるいは亜熱間の温度域で塑性加工した後に、浸炭、
焼入れ処理を行なって肌焼鋼部品を製造する場合におい
て、浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し
て、微細で均一な旧オーステナイト粒径を有する肌焼鋼
部品が知られる方法を提供することを目的とする。
間あるいは亜熱間の温度域で塑性加工した後に、浸炭、
焼入れ処理を行なって肌焼鋼部品を製造する場合におい
て、浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し
て、微細で均一な旧オーステナイト粒径を有する肌焼鋼
部品が知られる方法を提供することを目的とする。
また本発明は、浸炭前の長時間の焼準処理を必要とせ
ず、上記肌焼鋼部品を短時間の能率的な処理により得る
ことができる方法を提供することを目的とする。
ず、上記肌焼鋼部品を短時間の能率的な処理により得る
ことができる方法を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 上記の目的を達成する本発明は、浸炭用鋼素材に次の工
程による処理を行なうことを特徴とする。第1図は工程
を模式的に示すものである。
程による処理を行なうことを特徴とする。第1図は工程
を模式的に示すものである。
(イ)素材を加熱してオーステナイト化する。
(ロ)引続き1000℃〜650℃の温度範囲において
オーステナイト状態で素材に塑性加工を施す。
オーステナイト状態で素材に塑性加工を施す。
(ハ)引続いて素材を、その塑性変形域が少なくとも部
分的にフェライトとパーライトに変態する温度以下にな
るまで冷却する。
分的にフェライトとパーライトに変態する温度以下にな
るまで冷却する。
(ニ)引続いて素材の上記塑性変形域をAc3+100
℃ないし1100℃の温度に急速に再加熱後、室温まで
冷却する。
℃ないし1100℃の温度に急速に再加熱後、室温まで
冷却する。
(ホ)冷却された素材を900℃以上の温度で浸炭後、
焼入れ焼戻し処理を行なう。
焼入れ焼戻し処理を行なう。
本発明において用いる素材は、浸炭、焼入れがなされる
ことより、低合金の浸炭用鋼、例えば機械構造用炭素鋼
S10C〜S22C、クロム鋼SCr415、420、
クロム・モリブデン鋼SCM415、418、420、
ニッケル・クロム鋼SNC815、ニッケル・クロム・
モリブデン鋼SNCM220、415、420、81
5、マンガン鋼SMn420、マンガン・クロム鋼SM
nC420等が用いられる。また結晶粒微細化のために
微量のAlNやNb、Ti、Vが添加された上記浸炭用
鋼も用いられ得る。
ことより、低合金の浸炭用鋼、例えば機械構造用炭素鋼
S10C〜S22C、クロム鋼SCr415、420、
クロム・モリブデン鋼SCM415、418、420、
ニッケル・クロム鋼SNC815、ニッケル・クロム・
モリブデン鋼SNCM220、415、420、81
5、マンガン鋼SMn420、マンガン・クロム鋼SM
nC420等が用いられる。また結晶粒微細化のために
微量のAlNやNb、Ti、Vが添加された上記浸炭用
鋼も用いられ得る。
(イ)の工程における加熱温度は900℃〜1250℃
程度が適当である。素材をオーステナイト化するための
実際的下限値は900℃であり、一方、加熱時の粗大オ
ーステナイト粒の生成を避けるには1250℃ないしそ
れ以下とするのが望ましい。
程度が適当である。素材をオーステナイト化するための
実際的下限値は900℃であり、一方、加熱時の粗大オ
ーステナイト粒の生成を避けるには1250℃ないしそ
れ以下とするのが望ましい。
(ロ)において、加工は転造、鍛造、押出しが適用さ
れ、加工温度は、精密な成形を実現するために、材料の
変形態と変形抵抗が塑性加工可能な範囲にあり、また塑
性加工終了後の二次酸化スケールの発生および金型への
熱負荷が少ない領域として選んだものである。
れ、加工温度は、精密な成形を実現するために、材料の
変形態と変形抵抗が塑性加工可能な範囲にあり、また塑
性加工終了後の二次酸化スケールの発生および金型への
熱負荷が少ない領域として選んだものである。
即ち、650℃以下の加工温度域では、材料の変形能が
低下して加工時の材料割れの危険が増すとともに、変形
抵抗が著しく高くなるため、通常の工具鋼では実用に耐
える程の金型の耐久性が期待できない。1000℃以上
の加工温度では、鍛造後の二次酸化スケールの発生が多
く、また金型への熱負荷が過大とするために金型の損耗
がはげしく、精密加工が実現し難い。
低下して加工時の材料割れの危険が増すとともに、変形
抵抗が著しく高くなるため、通常の工具鋼では実用に耐
える程の金型の耐久性が期待できない。1000℃以上
の加工温度では、鍛造後の二次酸化スケールの発生が多
く、また金型への熱負荷が過大とするために金型の損耗
がはげしく、精密加工が実現し難い。
更に、(ロ)の工程は(イ)に引続いて短時間(1分程
度)で主としてオーステナイト状態で加工を行なうもの
である。かつ再結晶が生じないか、生じたとしても再結
晶速度の小さい温度域で行なうものである。
度)で主としてオーステナイト状態で加工を行なうもの
である。かつ再結晶が生じないか、生じたとしても再結
晶速度の小さい温度域で行なうものである。
(ハ)の冷却処理は、上記(ロ)の工程の加工による塑
性変形域のオーステナイト(A)組織を、少なくとも部
分的にフェライト(F)+パーライト(P)の混合組織
に変態させるためのものである。従って冷却の下限温度
はCCT曲線(連続冷却変態曲線)において、上記の変
態が生じる温度域、即ち、第1図の(a)領域か、それ
以下とする必要がある。
性変形域のオーステナイト(A)組織を、少なくとも部
分的にフェライト(F)+パーライト(P)の混合組織
に変態させるためのものである。従って冷却の下限温度
はCCT曲線(連続冷却変態曲線)において、上記の変
態が生じる温度域、即ち、第1図の(a)領域か、それ
以下とする必要がある。
(ニ)の再加熱処理は、上記(ハ)の冷却処理に引続い
て行なわれ、素材を急速にAc3+100℃以上の温
度、即ち、第1図の(b)領域にまで昇温させるもので
ある。これにより上記(ハ)の工程で生じたフェライト
+パーライト、もしくはベーナイト(B)を含む組織を
再びオーステナイトに完全に変態させる。
て行なわれ、素材を急速にAc3+100℃以上の温
度、即ち、第1図の(b)領域にまで昇温させるもので
ある。これにより上記(ハ)の工程で生じたフェライト
+パーライト、もしくはベーナイト(B)を含む組織を
再びオーステナイトに完全に変態させる。
したがって再加熱の下限温度はAc3+100℃であ
り、上限温度は、この時点でのオーステナイト結晶粒の
粗大化および部品の表面酸化を最小限に押えるために1
050℃〜1100℃までとする。急速加熱手段として
は高周波誘導加熱が最も適している。
り、上限温度は、この時点でのオーステナイト結晶粒の
粗大化および部品の表面酸化を最小限に押えるために1
050℃〜1100℃までとする。急速加熱手段として
は高周波誘導加熱が最も適している。
オーステナイト変態を確実なものとするために昇温後、
温度保持を行なってもよいが、保持時間は再加熱時のオ
ーステナイト粒の成長と表面酸化を極力おさえるため
に、最小必要限度(15秒程度ないしそれ以下)とす
る。
温度保持を行なってもよいが、保持時間は再加熱時のオ
ーステナイト粒の成長と表面酸化を極力おさえるため
に、最小必要限度(15秒程度ないしそれ以下)とす
る。
所定の昇温、保持が終了後に、室温まで放令する。
(ホ)の浸炭処理は、通常の浸炭温度範囲(一般には9
00℃〜950℃)で行なえばよく、引続いて通常の焼
入れ、例えば850℃〜950℃の油冷と、焼戻し、例
えば150℃〜200℃空冷を行なう。
00℃〜950℃)で行なえばよく、引続いて通常の焼
入れ、例えば850℃〜950℃の油冷と、焼戻し、例
えば150℃〜200℃空冷を行なう。
なお、上記工程のうち、(イ)〜(ニ)の工程は時間的
に引続いて実施例される必要があり、各々の工程間に別
の工程や操作あるいは休止時間を挿入しない。(ホ)の
工程は、必ずしも(ニ)に引続いて続いて直ちに実施す
る必要はなく、(ニ)、(ホ)の工程間に任意の休止時
間を設けてもよい。
に引続いて実施例される必要があり、各々の工程間に別
の工程や操作あるいは休止時間を挿入しない。(ホ)の
工程は、必ずしも(ニ)に引続いて続いて直ちに実施す
る必要はなく、(ニ)、(ホ)の工程間に任意の休止時
間を設けてもよい。
[作用、効果] 本発明においては、先ず上記(イ)の工程で素材の組織
はオーステナイト化され、該オーステナイトは(ロ)の
工程で塑性変形される。(ロ)の工程は温間あるいは亜
熱間領域で行なわれ、部品の精密成形が可能である。
はオーステナイト化され、該オーステナイトは(ロ)の
工程で塑性変形される。(ロ)の工程は温間あるいは亜
熱間領域で行なわれ、部品の精密成形が可能である。
一方、(ロ)の工程での塑性変形によってオーステナイ
ト組織には加工ひずみが集積される。この加工ひずみを
有するオーステナイト組織は(ハ)の工程におけるパー
ライト変態と、(ニ)の工程における再度のオーステナ
イト化によって、加工ひずみの極めて少ない均一微細な
オーステナイト組織となり、その後空冷される。
ト組織には加工ひずみが集積される。この加工ひずみを
有するオーステナイト組織は(ハ)の工程におけるパー
ライト変態と、(ニ)の工程における再度のオーステナ
イト化によって、加工ひずみの極めて少ない均一微細な
オーステナイト組織となり、その後空冷される。
なお、(ハ)の工程の処理を行なうことにより、(ニ)
の工程において生成されるオーステナイト結晶粒の大き
さは、(ハ)の工程の処理を行なわずに加工後にオース
テナイト組織(加工ひずみを含む)のままで(ニ)の工
程の処理を行なった場合に比べて、より小さく、かつ均
一なものである。(ニ)の工程で生成されるオーステナ
イト粒が均一になるのは(ハ)の工程によって加工オー
ステナイト組織がA+F+PあるいはA+F+P+Bに
変態する再、加工オーステナイト粒の場所における加工
度の不均一およびこれに起因する再結晶度合いの不均一
が解消されることによる。
の工程において生成されるオーステナイト結晶粒の大き
さは、(ハ)の工程の処理を行なわずに加工後にオース
テナイト組織(加工ひずみを含む)のままで(ニ)の工
程の処理を行なった場合に比べて、より小さく、かつ均
一なものである。(ニ)の工程で生成されるオーステナ
イト粒が均一になるのは(ハ)の工程によって加工オー
ステナイト組織がA+F+PあるいはA+F+P+Bに
変態する再、加工オーステナイト粒の場所における加工
度の不均一およびこれに起因する再結晶度合いの不均一
が解消されることによる。
このように本発明は、温間あるいは亜熱間の温度域で素
材を加工するにかかわらず、浸炭前の時点における旧オ
ーステナイト組織は加工ひずみが極めて少なく微細で均
一なものとなっているので、通常の浸炭処理を行なって
もオーステナイト結晶粒の粗大化は生じず、引続く焼入
れ、焼戻し処理によって均一、微細組織の肌焼鋼部品が
得られる。
材を加工するにかかわらず、浸炭前の時点における旧オ
ーステナイト組織は加工ひずみが極めて少なく微細で均
一なものとなっているので、通常の浸炭処理を行なって
もオーステナイト結晶粒の粗大化は生じず、引続く焼入
れ、焼戻し処理によって均一、微細組織の肌焼鋼部品が
得られる。
本発明によるときは、部品の精密成形が可能であるとと
もに、従来の焼準処理に比べて上記(ハ)、(ニ)の工
程が極めて短時間で済み、消費エネルギも大幅に節減で
きる。また本発明により得られる肌焼鋼部品の旧オース
テナイト結晶粒径は、従来法にる場合に比べて、より微
細なものとなる。従ってより高強度の部品の製造が可能
となる。上記(イ)〜(ホ)の工程はいずれも不可欠で
あり、この等の工程が複合されることによって、はじめ
て本発明の効果が奏され得るのである。
もに、従来の焼準処理に比べて上記(ハ)、(ニ)の工
程が極めて短時間で済み、消費エネルギも大幅に節減で
きる。また本発明により得られる肌焼鋼部品の旧オース
テナイト結晶粒径は、従来法にる場合に比べて、より微
細なものとなる。従ってより高強度の部品の製造が可能
となる。上記(イ)〜(ホ)の工程はいずれも不可欠で
あり、この等の工程が複合されることによって、はじめ
て本発明の効果が奏され得るのである。
[実施例] 素材としてJIS SCr420(クロム鋼、0.22
%C、0.23%Si、0.73%Mn、0.023%
P、0.014%S、0.15%Cu0.07%Ni、
1.00%Cr、0.027%Al、0.04%N)を
用い、はずば歯車の転造加工を実施した。加工条件は次
の通りである。
%C、0.23%Si、0.73%Mn、0.023%
P、0.014%S、0.15%Cu0.07%Ni、
1.00%Cr、0.027%Al、0.04%N)を
用い、はずば歯車の転造加工を実施した。加工条件は次
の通りである。
素材寸法:外径86.7mm、幅13.8mm円板状。
転造方法:円板状素材の外周部(深さ10mmの範囲)を
1100℃に高周波誘導加熱してオーステナイト化した
後に、素材外周部に同方向、同速度で回転する2個の歯
車状ローラダイスを連続的に押込むことによって素材の
外周部に歯形を形成した。歯形の諸元はモジュール2.
75、歯数28、ネジレ角25°である。このときの転
造加工開始温度は950℃、加工完了温度は700℃
(いずれも素材外周部の塑性変形域の温度)であり、ロ
ーラダイスの押し込み速度は素材の半回転あたり0.5
5mm、転造加工所要時間は約3秒である。
1100℃に高周波誘導加熱してオーステナイト化した
後に、素材外周部に同方向、同速度で回転する2個の歯
車状ローラダイスを連続的に押込むことによって素材の
外周部に歯形を形成した。歯形の諸元はモジュール2.
75、歯数28、ネジレ角25°である。このときの転
造加工開始温度は950℃、加工完了温度は700℃
(いずれも素材外周部の塑性変形域の温度)であり、ロ
ーラダイスの押し込み速度は素材の半回転あたり0.5
5mm、転造加工所要時間は約3秒である。
上記素材加熱、転造加工を含み、本実施例における温度
条件は第2図に示す通りである。図において(イ)〜
(ホ)は工程を、I.Hは高周波誘導加熱を、A.Cは
空冷を、O.Qは油冷を示す。
条件は第2図に示す通りである。図において(イ)〜
(ホ)は工程を、I.Hは高周波誘導加熱を、A.Cは
空冷を、O.Qは油冷を示す。
転造加工終了後、素材(成形された歯車)の外周部の温
度をT2(時点2)まで空冷し次いで高周波誘導加熱に
よってT3(時点3)まで急速加熱し、0〜2sec
保持後に室温まで空冷した。
度をT2(時点2)まで空冷し次いで高周波誘導加熱に
よってT3(時点3)まで急速加熱し、0〜2sec
保持後に室温まで空冷した。
次いで、950℃×4hrの浸炭処理を行なった後に油
焼入れを行なった(時点4)。
焼入れを行なった(時点4)。
温度T2,T3を種々変化させた場合において、浸炭焼
入れ後(時点4)の歯の各部の旧オーステナイト結晶粒
径を調査した。結果を第3図および第4図に示す。
入れ後(時点4)の歯の各部の旧オーステナイト結晶粒
径を調査した。結果を第3図および第4図に示す。
第3図において●、○、◎、△、▲、 印はそれぞれ同図に付記した表および歯の図に示すよう
に、、の測定位置においてT2をR.T(室温)、
550℃、650℃としたときの結果を示すものであ
る。本発明における(ハ)の工程の条件を満足するT2
はR.Tおよび550℃である。しかして本発明により
T3が950℃(Ac3+100℃)以上の場合には浸
炭時のオーステナイト結晶粒の成長が抑制されている。
特にT3が950℃前後では、従来の焼準処理(*印で
示される、950℃×1hr、空冷)より微細粒とな
る。
に、、の測定位置においてT2をR.T(室温)、
550℃、650℃としたときの結果を示すものであ
る。本発明における(ハ)の工程の条件を満足するT2
はR.Tおよび550℃である。しかして本発明により
T3が950℃(Ac3+100℃)以上の場合には浸
炭時のオーステナイト結晶粒の成長が抑制されている。
特にT3が950℃前後では、従来の焼準処理(*印で
示される、950℃×1hr、空冷)より微細粒とな
る。
第4図において、線Aは本発明により(ハ)の工程で冷
却処理を行なってT2≦550℃とした場合であり、線
BはT2=650℃あるいは(ハ)の工程における冷却
処理を行なわなかった場合である。T3は600℃〜1
250℃の範囲で変化させた。本発明により(ハ)の工
程で冷却処理を行なうと、浸炭前のオーステナイト結晶
粒径がより小さい範囲まで結晶粒成長が抑制される。図
で斜線部分が本発明においてT3>950℃とした場合
の結晶粒径を示す。
却処理を行なってT2≦550℃とした場合であり、線
BはT2=650℃あるいは(ハ)の工程における冷却
処理を行なわなかった場合である。T3は600℃〜1
250℃の範囲で変化させた。本発明により(ハ)の工
程で冷却処理を行なうと、浸炭前のオーステナイト結晶
粒径がより小さい範囲まで結晶粒成長が抑制される。図
で斜線部分が本発明においてT3>950℃とした場合
の結晶粒径を示す。
また、第2図の時点2および時点3から成形された歯車
を水冷し、歯の各部について組織観察を行なった。結果
を下記の表に示す。表においてAはオーステナイト、F
はフェライト、Pはパーライト、Bはベーナイト、Cは
セメンタイルである。本発明の範囲においては、時点2
および時点3で上記の変態が生じていることが知られ
る。
を水冷し、歯の各部について組織観察を行なった。結果
を下記の表に示す。表においてAはオーステナイト、F
はフェライト、Pはパーライト、Bはベーナイト、Cは
セメンタイルである。本発明の範囲においては、時点2
および時点3で上記の変態が生じていることが知られ
る。
第5図は、(ニ)の再加熱工程において、時点3で生成
されるオーステナイト結晶粒の大きさの実験結果を示す
図である。(ハ)の冷却処理工程を行ないT2=550
℃、R.Tとして(ニ)の再加熱工程を行なった場合に
は、(ハ)の冷却処理工程を行なわず(T2=650
℃)、加工されたオーステナイトのままで(ニ)の再加
熱工程を行なった場合に比べてT3=950℃〜110
0℃で時点3におけるオーステナイト結晶粒は小さくな
っている。これにより(ハ)の冷却処理工程が有効であ
ることが知られる。なお図には再加熱を行なわなかった
場合の結果を付記した。また、測定個所は同図に付記し
た歯車における〜である。各実験において、5つの
結果が示されているのは上記の5個所の測定個所による
ものであるが、各結果がいずれの測定個所によるもので
あるかは記載を省略した。
されるオーステナイト結晶粒の大きさの実験結果を示す
図である。(ハ)の冷却処理工程を行ないT2=550
℃、R.Tとして(ニ)の再加熱工程を行なった場合に
は、(ハ)の冷却処理工程を行なわず(T2=650
℃)、加工されたオーステナイトのままで(ニ)の再加
熱工程を行なった場合に比べてT3=950℃〜110
0℃で時点3におけるオーステナイト結晶粒は小さくな
っている。これにより(ハ)の冷却処理工程が有効であ
ることが知られる。なお図には再加熱を行なわなかった
場合の結果を付記した。また、測定個所は同図に付記し
た歯車における〜である。各実験において、5つの
結果が示されているのは上記の5個所の測定個所による
ものであるが、各結果がいずれの測定個所によるもので
あるかは記載を省略した。
しかしT2=650℃の場合に比べ、本発明のT=55
0℃、R.TおよびT3=950℃〜1100℃では、
オーステナイト結晶粒の場所による差が少なく、均一化
されていることが知られる。
0℃、R.TおよびT3=950℃〜1100℃では、
オーステナイト結晶粒の場所による差が少なく、均一化
されていることが知られる。
第1図は本発明の工程説明図、第2図は本発明の実施例
の操作を示す説明図、第3図、第4図および第5図は、
本発明の実施例におけるオーステナイト結晶粒の大きさ
の測定結果を示す図である。
の操作を示す説明図、第3図、第4図および第5図は、
本発明の実施例におけるオーステナイト結晶粒の大きさ
の測定結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤村 政敏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−190321(JP,A) 特公 昭59−46288(JP,B2)
Claims (4)
- 【請求項1】浸炭用鋼の素材を次の(イ)、(ロ)、
(ハ)、(ニ)および(ホ)の工程を経て処理すること
を特徴とする肌焼鋼部品の製造方法。 (イ)素材を加熱してオーステナイト化する。 (ロ)引続いて1000℃〜650℃の温度範囲におい
てオーステナイト状態で素材に塑性加工を施す。 (ハ)引続いて素材を、その塑性変形域が少なくとも部
分的にパーライトとフェライトに変態する温度以下にな
るまで冷却する。 (ニ)引続いて素材の上記塑性変形域を、Ac3+10
0℃以上ないし1100℃の温度に急速に再加熱後、直
ちに、ないしは15秒以内で温度保持して後、室温まで
冷却する。 (ホ)冷却された素材を900℃以上の温度で浸炭処理
後、焼入れ、焼戻しを行なう。 - 【請求項2】上記(イ)の工程において、加熱温度が9
00℃〜1250℃である特許請求の範囲第1項記載の
肌焼鋼部品の製造方法。 - 【請求項3】上記(ロ)の工程において、塑性加工は転
造加工および鍛造加工のいずれかである特許請求の範囲
第1項記載の肌焼鋼部品の製造方法。 - 【請求項4】上記(ロ)の工程において、塑性加工の終
了温度が650℃〜700℃である特許請求の範囲第1
項記載の肌焼鋼部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61183939A JPH0613729B2 (ja) | 1986-08-05 | 1986-08-05 | 肌焼鋼部品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61183939A JPH0613729B2 (ja) | 1986-08-05 | 1986-08-05 | 肌焼鋼部品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63121617A JPS63121617A (ja) | 1988-05-25 |
JPH0613729B2 true JPH0613729B2 (ja) | 1994-02-23 |
Family
ID=16144447
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61183939A Expired - Lifetime JPH0613729B2 (ja) | 1986-08-05 | 1986-08-05 | 肌焼鋼部品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0613729B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5946288A (ja) * | 1982-09-10 | 1984-03-15 | Sanraku Inc | β−ラクタム誘導体の製造方法 |
JPS59190321A (ja) * | 1983-03-18 | 1984-10-29 | Mazda Motor Corp | 軟窒化特性および被削性の優れた機械構造用部品の製造法 |
-
1986
- 1986-08-05 JP JP61183939A patent/JPH0613729B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63121617A (ja) | 1988-05-25 |
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