JPH05171288A - 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 - Google Patents
成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH05171288A JPH05171288A JP33177691A JP33177691A JPH05171288A JP H05171288 A JPH05171288 A JP H05171288A JP 33177691 A JP33177691 A JP 33177691A JP 33177691 A JP33177691 A JP 33177691A JP H05171288 A JPH05171288 A JP H05171288A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- point
- less
- annealing
- temperature
- steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】軟質で成形性に優れ、均質な高炭素鋼薄板を製
造する。 【構成】C:0.80〜1.30%、 Si:0.35%以下、 Mn:
0.50%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、N: 0.008%以
下、Feおよび不可避不純物:残部で、不純物としてのP
が 0.030%以下、Sが 0.030%以下の鋼、または、上記
成分に加えて、更に1.50%以下のCr、 2.5%以下のNiお
よび 0.5重量%以下のMoのうちの1種以上を含有する鋼
を、次の工程で処理する。 800℃以上の仕上げ温度で熱間圧延した後、5〜40℃
/secの冷却速度で650 ℃以下の温度まで冷却して巻取
る。 脱スケールした後、(Ac1点+10℃) から〔 Ac1点+2/
3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度の95体積%以上の濃度
の水素と残部が窒素からなる雰囲気下で30分以上均熱し
た後、5〜100 ℃/hr の冷却速度で冷却する。または、
上記の工程の後、更に、 冷間圧延と 650℃から Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点)
までの温度域での焼鈍との繰り返しを1回以上実施す
る。
造する。 【構成】C:0.80〜1.30%、 Si:0.35%以下、 Mn:
0.50%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、N: 0.008%以
下、Feおよび不可避不純物:残部で、不純物としてのP
が 0.030%以下、Sが 0.030%以下の鋼、または、上記
成分に加えて、更に1.50%以下のCr、 2.5%以下のNiお
よび 0.5重量%以下のMoのうちの1種以上を含有する鋼
を、次の工程で処理する。 800℃以上の仕上げ温度で熱間圧延した後、5〜40℃
/secの冷却速度で650 ℃以下の温度まで冷却して巻取
る。 脱スケールした後、(Ac1点+10℃) から〔 Ac1点+2/
3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度の95体積%以上の濃度
の水素と残部が窒素からなる雰囲気下で30分以上均熱し
た後、5〜100 ℃/hr の冷却速度で冷却する。または、
上記の工程の後、更に、 冷間圧延と 650℃から Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点)
までの温度域での焼鈍との繰り返しを1回以上実施す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、工具鋼あるいは刃物
用鋼として製造されている JIS G3311に規定されている
ような0.80%(以下、合金成分に関する%はすべて重量
%を意味する)以上のCを含む高炭素薄鋼板の製造方法
に関し、特に、成形性をはじめとする品質の良好な薄鋼
板を低コストで製造することができる方法に関する。
用鋼として製造されている JIS G3311に規定されている
ような0.80%(以下、合金成分に関する%はすべて重量
%を意味する)以上のCを含む高炭素薄鋼板の製造方法
に関し、特に、成形性をはじめとする品質の良好な薄鋼
板を低コストで製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記C含有量が0.80%以上の高炭素薄鋼
板の従来の製品および製造方法には次のような問題点が
ある。
板の従来の製品および製造方法には次のような問題点が
ある。
【0003】(1) この種の鋼はセメンタイト量が多いた
め、硬度が高く工具、刃物等の製品への成形加工が困難
である。
め、硬度が高く工具、刃物等の製品への成形加工が困難
である。
【0004】(2) 熱間圧延の状態での硬度が高いため
に、冷間圧延性が悪く、圧延途中での中間焼鈍が必要で
ある。そのため冷間圧延の回数が増加しプロセスが煩雑
で製造コストが嵩む。
に、冷間圧延性が悪く、圧延途中での中間焼鈍が必要で
ある。そのため冷間圧延の回数が増加しプロセスが煩雑
で製造コストが嵩む。
【0005】(3) セメンタイトを球状化する軟質化焼鈍
に非常に長い時間が必要であり、生産効率が悪い。
に非常に長い時間が必要であり、生産効率が悪い。
【0006】上記 (1)〜(3) の問題に対する解決策とし
て、熱間圧延の工程での効率的な軟質化方法が望まれて
いる。軟質化のためのセメンタイトの球状化処理には、
鉄鋼工学講座、鋼の熱処理技術 (朝倉書店)9頁、およ
び鉄鋼材料学(実教出版)の349 頁等に記述されている
ように、次のような方法が知られている。
て、熱間圧延の工程での効率的な軟質化方法が望まれて
いる。軟質化のためのセメンタイトの球状化処理には、
鉄鋼工学講座、鋼の熱処理技術 (朝倉書店)9頁、およ
び鉄鋼材料学(実教出版)の349 頁等に記述されている
ように、次のような方法が知られている。
【0007】(a) Ac1点以上で Acm点以下の温度に1時
間以上加熱した後、 Ar1変態が完了するまで徐々に冷却
するか、または Ar1点直下の適当な温度に冷却し、この
温度に一定時間保持して変態を完了させた後、空冷す
る。
間以上加熱した後、 Ar1変態が完了するまで徐々に冷却
するか、または Ar1点直下の適当な温度に冷却し、この
温度に一定時間保持して変態を完了させた後、空冷す
る。
【0008】(b)焼鈍前に冷間圧延を施したのち Ac1変
態点直下の温度に長時間(約6時間以上) 加熱し、冷却
する。
態点直下の温度に長時間(約6時間以上) 加熱し、冷却
する。
【0009】(c) Ac1点と Ar1点の上下を繰り返して加
熱、冷却する。
熱、冷却する。
【0010】この中で、(b) の方法は、焼鈍前の冷間圧
延が必要である上、6時間以上の均熱が必要となり焼鈍
時間が非常に長くなることと、硬度レベルも十分に低く
ならず、このため冷間圧延の際の圧下率に制約が生じた
り、プレス成形性、打ち抜き性等の冷間成形性も不十分
である。
延が必要である上、6時間以上の均熱が必要となり焼鈍
時間が非常に長くなることと、硬度レベルも十分に低く
ならず、このため冷間圧延の際の圧下率に制約が生じた
り、プレス成形性、打ち抜き性等の冷間成形性も不十分
である。
【0011】(c)の方法は、所定の温度範囲を上下させ
るための熱処理設備が複雑になり、操業管理も厄介であ
る。
るための熱処理設備が複雑になり、操業管理も厄介であ
る。
【0012】従って、 (a)の方法が最も実際的である
が、この方法でも上記のように1時間以上の適当な時間
の均熱が必要であり、しかも適当に小さな加熱、冷却速
度が必要である。そこで (a)の方法の実施には箱焼鈍が
採用されてきた。
が、この方法でも上記のように1時間以上の適当な時間
の均熱が必要であり、しかも適当に小さな加熱、冷却速
度が必要である。そこで (a)の方法の実施には箱焼鈍が
採用されてきた。
【0013】箱焼鈍では、コイルの中心部と外周部の加
熱速度および均熱時間が異なるため焼鈍後の硬度にコイ
ル内で差異が生じ、後工程で冷間圧延を行ったときに圧
延後の板厚に寸法はずれやばらつきが出たり、さらに最
終製品における硬度特性のばらつきという問題が生じ
る。この他にも均熱後の冷却速度を小さくしなければな
らないことから焼鈍工程の所要時間が非常に長くなると
いう難点もある。
熱速度および均熱時間が異なるため焼鈍後の硬度にコイ
ル内で差異が生じ、後工程で冷間圧延を行ったときに圧
延後の板厚に寸法はずれやばらつきが出たり、さらに最
終製品における硬度特性のばらつきという問題が生じ
る。この他にも均熱後の冷却速度を小さくしなければな
らないことから焼鈍工程の所要時間が非常に長くなると
いう難点もある。
【0014】なお、特公平2−48609 号公報には、熱延
仕上げ後の冷却速度を調整し、セメンタイトの分散を微
細にして冷間圧延の圧下率限界の上昇を図る発明が記載
されている。しかし、この場合には冷延前の熱延板の硬
度が高くなり冷間圧延に多大のエネルギーが必要とな
る。また、硬度の上昇は冷延時のハンチング (ロールの
スリップ等による部分的な長手方向の板厚不均一) を招
くという問題もある。
仕上げ後の冷却速度を調整し、セメンタイトの分散を微
細にして冷間圧延の圧下率限界の上昇を図る発明が記載
されている。しかし、この場合には冷延前の熱延板の硬
度が高くなり冷間圧延に多大のエネルギーが必要とな
る。また、硬度の上昇は冷延時のハンチング (ロールの
スリップ等による部分的な長手方向の板厚不均一) を招
くという問題もある。
【0015】更に、特開平2−259013号公報にも類似の
方法が開示されているが、その方法では巻取りの温度が
低く、熱延後の酸洗工程等での割れが問題になり実用性
に乏しい。また、その後の焼鈍でも炭素量の高い領域で
は軟質化が不十分である。
方法が開示されているが、その方法では巻取りの温度が
低く、熱延後の酸洗工程等での割れが問題になり実用性
に乏しい。また、その後の焼鈍でも炭素量の高い領域で
は軟質化が不十分である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的には
前記 (a)の方法によって、硬度が低く、成形性に優れた
高炭素薄鋼板を製造することを課題としてなされたもの
で、その具体的な目的は、できるだけ簡素な工程で、か
つ短い時間でコイル内の硬度のばらつきの小さい高炭素
鋼薄板を製造することができる方法を提供することにあ
る。
前記 (a)の方法によって、硬度が低く、成形性に優れた
高炭素薄鋼板を製造することを課題としてなされたもの
で、その具体的な目的は、できるだけ簡素な工程で、か
つ短い時間でコイル内の硬度のばらつきの小さい高炭素
鋼薄板を製造することができる方法を提供することにあ
る。
【0017】本発明者らは、同じ課題の下に、素材の高
炭素鋼の組成と熱間圧延および箱焼鈍の条件を特定した
発明をなし、先に特許出願を行った (特開平2−101122
号公報参照) 。その発明の方法では、熱延仕上げ後の急
冷と、その後の Ac1変態点以上での焼鈍を行うのである
が、それでもコイル内外周での強度特性のばらつきが問
題になる。このばらつきを小さくするには、焼鈍後の冷
却速度を極く遅くするという方法があるが、それでは焼
鈍工程が長時間に及び、操業コストが嵩む。本発明は、
この先願発明をさらに改良した方法に関するものであ
る。
炭素鋼の組成と熱間圧延および箱焼鈍の条件を特定した
発明をなし、先に特許出願を行った (特開平2−101122
号公報参照) 。その発明の方法では、熱延仕上げ後の急
冷と、その後の Ac1変態点以上での焼鈍を行うのである
が、それでもコイル内外周での強度特性のばらつきが問
題になる。このばらつきを小さくするには、焼鈍後の冷
却速度を極く遅くするという方法があるが、それでは焼
鈍工程が長時間に及び、操業コストが嵩む。本発明は、
この先願発明をさらに改良した方法に関するものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1) の化
学組成の高炭素鋼を (2)の工程で処理する成形性の優れ
た薄鋼板の製造方法を要旨とする。
学組成の高炭素鋼を (2)の工程で処理する成形性の優れ
た薄鋼板の製造方法を要旨とする。
【0019】(1) 鋼の化学組成 重量%で、C:0.80〜1.30%、 Si:0.35%以下、 M
n:0.50%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、 N: 0.008
%以下で、Feおよび不可避不純物:残部、不純物として
のPが 0.030%以下、Sが 0.030%以下。
n:0.50%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、 N: 0.008
%以下で、Feおよび不可避不純物:残部、不純物として
のPが 0.030%以下、Sが 0.030%以下。
【0020】または、上記成分に加えて、更に1.50%以
下のCr、 2.5%以下のNiおよび 0.5重量%以下のMoのう
ちの1種以上を含有する組成。
下のCr、 2.5%以下のNiおよび 0.5重量%以下のMoのう
ちの1種以上を含有する組成。
【0021】(2) 処理工程 800℃以上の仕上げ温度で熱間圧延した後、5〜40℃
/secの冷却速度 650℃以下の温度まで冷却して巻取る。
/secの冷却速度 650℃以下の温度まで冷却して巻取る。
【0022】脱スケールした後、(Ac1点+10℃) から
〔 Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度の95体積
%以上の濃度の水素と残部が窒素からなる雰囲気下で30
分以上均熱した後、5〜100 ℃/hr の冷却速度で冷却す
る。
〔 Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度の95体積
%以上の濃度の水素と残部が窒素からなる雰囲気下で30
分以上均熱した後、5〜100 ℃/hr の冷却速度で冷却す
る。
【0023】または、上記の工程の後、更に、 冷間圧延と 650℃から Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点)
までの温度域での焼鈍との繰り返しを1回以上実施す
る。
までの温度域での焼鈍との繰り返しを1回以上実施す
る。
【0024】
【作用】先の出願の明細書に記載したとおり、本発明者
らは、セメンタイトの球状化挙動について既に下記のよ
うな知見を得ている。 (a) Si、Mnを含有する高炭素鋼の共析点はFe−C二元
系状態図にある共析点(0.80%C)よりも低C側に移行
しており、0.80%C以上においてオーステナイトとセメ
ンタイトの共存温度領域がある。この領域において焼鈍
温度を(Ac1点+10℃) から〔 Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1
点) 〕までの温度域とすれば、熱延板中にあったセメン
タイトはある程度の比率でオーステナイト中に残留す
る。
らは、セメンタイトの球状化挙動について既に下記のよ
うな知見を得ている。 (a) Si、Mnを含有する高炭素鋼の共析点はFe−C二元
系状態図にある共析点(0.80%C)よりも低C側に移行
しており、0.80%C以上においてオーステナイトとセメ
ンタイトの共存温度領域がある。この領域において焼鈍
温度を(Ac1点+10℃) から〔 Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1
点) 〕までの温度域とすれば、熱延板中にあったセメン
タイトはある程度の比率でオーステナイト中に残留す
る。
【0025】(b) 鋼板の熱延工程において、 850℃以上
の温度で仕上げ、5〜40℃/secの冷却速度で冷却し、こ
れを 650℃以下の温度で巻取ると、巻取りは変態がすべ
て完了した後に行われることになるため非常に微細なパ
ーライト組織が得られる。この微細なパーライト中のセ
メンタイトは、上記の(Ac1点+10℃) から〔 Ac1点+2/
3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度域での均熱時間を 30
分以上とすれば、オーステナイト中で十分に球状化す
る。
の温度で仕上げ、5〜40℃/secの冷却速度で冷却し、こ
れを 650℃以下の温度で巻取ると、巻取りは変態がすべ
て完了した後に行われることになるため非常に微細なパ
ーライト組織が得られる。この微細なパーライト中のセ
メンタイトは、上記の(Ac1点+10℃) から〔 Ac1点+2/
3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度域での均熱時間を 30
分以上とすれば、オーステナイト中で十分に球状化す
る。
【0026】(c) 上記の温度域から冷却した場合のセメ
ンタイトは、その冷却速度が5〜100℃/hr であれば、
Ar1変態後も球状化組織を維持し、冷却完了後の最終組
織はフェライト中にセメンタイトが微細に球状化して分
散したものとなる。これらセメンタイトの球状化組織は
オーステナイト中に固溶したCを、その表層に吸着し成
長したものである。
ンタイトは、その冷却速度が5〜100℃/hr であれば、
Ar1変態後も球状化組織を維持し、冷却完了後の最終組
織はフェライト中にセメンタイトが微細に球状化して分
散したものとなる。これらセメンタイトの球状化組織は
オーステナイト中に固溶したCを、その表層に吸着し成
長したものである。
【0027】上記のように、熱間圧延の仕上げ温度、そ
の後の冷却速度と巻取り温度、巻き取った後の熱延板の
焼鈍温度、およびその後の冷却速度の総合的な管理によ
って、短い焼鈍時間でも安定して均一な球状セメンタイ
トをもつ軟質の高炭素薄鋼板が得られる。しかし、この
ような球状化セメンタイト組織を均一にフェライト中に
分散させ、かつ焼鈍後のコイル内の強度を均一化するに
はコイル内の加熱冷却速度を均一にする必要がある。特
に、熱延後の焼鈍におけるセメンタイトの球状化にはこ
の加熱速度と冷却速度の均一化が重要である。ところ
が、従来の、箱焼鈍では、加熱、冷却の速度を極く小さ
くするか、均熱時間を極端に長くしない限り、コイル内
に温度の不均一が生じ、焼鈍後のコイル内に硬度のばら
つきが現れる。このコイル内の硬度のばらつきが大きい
と、冷間圧延性あるいは冷間加工性が悪くなることは前
述のとおりである。
の後の冷却速度と巻取り温度、巻き取った後の熱延板の
焼鈍温度、およびその後の冷却速度の総合的な管理によ
って、短い焼鈍時間でも安定して均一な球状セメンタイ
トをもつ軟質の高炭素薄鋼板が得られる。しかし、この
ような球状化セメンタイト組織を均一にフェライト中に
分散させ、かつ焼鈍後のコイル内の強度を均一化するに
はコイル内の加熱冷却速度を均一にする必要がある。特
に、熱延後の焼鈍におけるセメンタイトの球状化にはこ
の加熱速度と冷却速度の均一化が重要である。ところ
が、従来の、箱焼鈍では、加熱、冷却の速度を極く小さ
くするか、均熱時間を極端に長くしない限り、コイル内
に温度の不均一が生じ、焼鈍後のコイル内に硬度のばら
つきが現れる。このコイル内の硬度のばらつきが大きい
と、冷間圧延性あるいは冷間加工性が悪くなることは前
述のとおりである。
【0028】上記のとおり、コイル内での温度ばらつ
き、ひいてはコイル内の硬度の不均一を防止するには加
熱、冷却速度の均一化が最も重要である。本発明者は、
従来の箱焼鈍の条件で均一化が難しいのは、焼鈍雰囲気
(通常は、水素と窒素が体積比で約3:1の混合ガス雰
囲気を使用する)の熱伝導率が低いため、コイル内外周
で冷却速度に差が生じ、コイルの位置によって変態挙動
に相違が出ることが一因であると考え、その雰囲気の影
響を詳細に調査し、箱焼鈍の雰囲気を熱伝達率の高い水
素を主体とする雰囲気にすることが極めて有効であるこ
とを確認した。
き、ひいてはコイル内の硬度の不均一を防止するには加
熱、冷却速度の均一化が最も重要である。本発明者は、
従来の箱焼鈍の条件で均一化が難しいのは、焼鈍雰囲気
(通常は、水素と窒素が体積比で約3:1の混合ガス雰
囲気を使用する)の熱伝導率が低いため、コイル内外周
で冷却速度に差が生じ、コイルの位置によって変態挙動
に相違が出ることが一因であると考え、その雰囲気の影
響を詳細に調査し、箱焼鈍の雰囲気を熱伝達率の高い水
素を主体とする雰囲気にすることが極めて有効であるこ
とを確認した。
【0029】本発明方法によれば、 (イ)従来のラメラー状のセメンタイトを有する熱延板、
あるいは Ar1点以下の比較的低い温度でなされた予備焼
鈍後の鋼板、に比べヴィッカース硬度(Hv) が20ポイン
ト以上、引張り強度が5kgf/mm2 以上低く、伸びは5%
以上大きい鋼板が得られる。
あるいは Ar1点以下の比較的低い温度でなされた予備焼
鈍後の鋼板、に比べヴィッカース硬度(Hv) が20ポイン
ト以上、引張り強度が5kgf/mm2 以上低く、伸びは5%
以上大きい鋼板が得られる。
【0030】(ロ)この鋼板は打抜き加工性および曲げ加
工性に優れ、特にこの熱延板焼鈍後における冷間圧延で
の圧下率は、従来のものより30%以上大きくすることが
可能である。
工性に優れ、特にこの熱延板焼鈍後における冷間圧延で
の圧下率は、従来のものより30%以上大きくすることが
可能である。
【0031】(ハ)しかも、本発明方法では熱延板焼鈍の
際にコイルの均一加熱が容易であるため加熱、冷却速度
を大きくし、かつ均熱時間を短くしても、硬度のばらつ
きの少ない製品が得られ、工程短縮と製品の品質向上と
いう大きな実益が得られる。
際にコイルの均一加熱が容易であるため加熱、冷却速度
を大きくし、かつ均熱時間を短くしても、硬度のばらつ
きの少ない製品が得られ、工程短縮と製品の品質向上と
いう大きな実益が得られる。
【0032】本発明の上記の効果は、素材の高炭素鋼の
化学組成と熱間圧延から熱延板焼鈍( 箱焼鈍 )、あるい
は更にその後の冷間圧延と焼鈍の条件を前述のように定
めたことの相乗的な効果であるが、以下、各構成要件に
ついて、その選定理由を説明する。
化学組成と熱間圧延から熱延板焼鈍( 箱焼鈍 )、あるい
は更にその後の冷間圧延と焼鈍の条件を前述のように定
めたことの相乗的な効果であるが、以下、各構成要件に
ついて、その選定理由を説明する。
【0033】(1) 素材鋼の化学組成について C 過共析組成の高炭素鋼板を前記のAc1 点+10℃以上で
Ac1点+2/3 (Acm点−Ac1 点)〕以下の温度域に保持し
た場合、そのラメラー状のセメンタイトは均熱時間の経
過とともにCがオーステナイト中へ固溶することで球状
化組織に変化する。しかし、これらの温度域では完全に
固溶してしまうことはなく、微細球状セメンタイトとし
てオーステナイト中に残留する。この微細球状セメンタ
イトをオーステナイト中に残留させるにはCは0.80%以
上必要である。しかし、Cの含有量が1.30%を超えると
優れた打抜き性や曲げ加工性が得られず、また、最終製
品の脆性も著しく増大することから上限は1.30%と設定
した。
Ac1点+2/3 (Acm点−Ac1 点)〕以下の温度域に保持し
た場合、そのラメラー状のセメンタイトは均熱時間の経
過とともにCがオーステナイト中へ固溶することで球状
化組織に変化する。しかし、これらの温度域では完全に
固溶してしまうことはなく、微細球状セメンタイトとし
てオーステナイト中に残留する。この微細球状セメンタ
イトをオーステナイト中に残留させるにはCは0.80%以
上必要である。しかし、Cの含有量が1.30%を超えると
優れた打抜き性や曲げ加工性が得られず、また、最終製
品の脆性も著しく増大することから上限は1.30%と設定
した。
【0034】Si Siの含有量が0.35%を超えると、鋼板が硬質となって冷
間圧延における圧下率限界が低下する。即ち、冷間圧延
性の向上のためにSi含有量の上限を0.35%とした。
間圧延における圧下率限界が低下する。即ち、冷間圧延
性の向上のためにSi含有量の上限を0.35%とした。
【0035】Mn 一般に、工具鋼あるいは刃物用鋼の耐摩耗性を向上させ
るためには、ある程度のMnの添加が必要である。しかし
ながら、本発明が対象とするような高炭素鋼では、過剰
の添加は最終製品の靱性の劣化等の弊害を生じるから、
Mn含有量は0.50%までとする必要がある。
るためには、ある程度のMnの添加が必要である。しかし
ながら、本発明が対象とするような高炭素鋼では、過剰
の添加は最終製品の靱性の劣化等の弊害を生じるから、
Mn含有量は0.50%までとする必要がある。
【0036】sol.Al Alはフェライトを安定化することにより、焼鈍後の冷間
圧延における圧延性を向上させる。このためにはsol.Al
として0.01%以上の含有が必要であるが、sol.Alが0.08
%を超えると、逆にフェライト硬化の原因となる。
圧延における圧延性を向上させる。このためにはsol.Al
として0.01%以上の含有が必要であるが、sol.Alが0.08
%を超えると、逆にフェライト硬化の原因となる。
【0037】N 鋼中のNは加熱中にAlと結合してAlNを形成してフェラ
イト粒の成長を抑制し、さらには製品の熱処理 (焼入
れ、焼戻し) の際のオーステナイト粗粒化を抑制し、靱
性向上に大きな効果がある。このため、Nの添加は必要
であるが、その含有量が 0.008%以上になると、過剰な
Nが製品の段階での靱性に悪影響を及ぼす危険性がある
ので上限を 0.008%とする。
イト粒の成長を抑制し、さらには製品の熱処理 (焼入
れ、焼戻し) の際のオーステナイト粗粒化を抑制し、靱
性向上に大きな効果がある。このため、Nの添加は必要
であるが、その含有量が 0.008%以上になると、過剰な
Nが製品の段階での靱性に悪影響を及ぼす危険性がある
ので上限を 0.008%とする。
【0038】本発明方法の素材鋼の一つは、上記の成分
の外、残部がFeと不可避不純物からなるものである。不
純物の中、PとSは下記のとおり規制する。
の外、残部がFeと不可避不純物からなるものである。不
純物の中、PとSは下記のとおり規制する。
【0039】P 高炭素薄鋼板は、製品として成形加工した後、オーステ
ナイト域にて加熱保持後水冷あるいは油冷する焼入れを
行い、さらに焼戻し処理を施すことによって高い硬度と
靱性を付与して使用されるのが普通であるが、Pは、こ
のように処理された鋼の靱性を劣化させる。従って、P
はできるだけ少なくするのが望ましい。
ナイト域にて加熱保持後水冷あるいは油冷する焼入れを
行い、さらに焼戻し処理を施すことによって高い硬度と
靱性を付与して使用されるのが普通であるが、Pは、こ
のように処理された鋼の靱性を劣化させる。従って、P
はできるだけ少なくするのが望ましい。
【0040】0.030 %以下、好ましくは 0.020%以下に
低減しておくのがよい。
低減しておくのがよい。
【0041】S Sも低いほど望ましい。高炭素薄鋼板においてSはMnと
結合してMnSを形成し、このMnSの存在が製品の靱性劣
化につながるからである。このため、上記のようにMn含
有量についても上限を設けた上で、Sの含有量も 0.030
%以下に抑えることが必要である。望ましいのは 0.010
%以下である。
結合してMnSを形成し、このMnSの存在が製品の靱性劣
化につながるからである。このため、上記のようにMn含
有量についても上限を設けた上で、Sの含有量も 0.030
%以下に抑えることが必要である。望ましいのは 0.010
%以下である。
【0042】本発明方法の素材鋼のもう一つは、これま
でに述べた合金成分に加えて、更にCr、NiおよびMoの中
の1種以上を含むものである。
でに述べた合金成分に加えて、更にCr、NiおよびMoの中
の1種以上を含むものである。
【0043】Cr 焼入れ性向上を目的とするCrの添加は従来から行われて
いる。その他に、Crにはセメンタイト中に固溶し Ac1点
〜Acm 点の温度域に保持した場合にセメンタイトが分解
しCがオーステナイト中に固溶するのを抑制する効果が
ある。この効果を狙って0.15%以上含有させることが望
ましい。しかし、1.50%を超えるCrは硬度上昇とセメン
タイトのCr炭化物への変質を招いて鋼の脆性を増大さ
せ、価格の高騰にもつながる。
いる。その他に、Crにはセメンタイト中に固溶し Ac1点
〜Acm 点の温度域に保持した場合にセメンタイトが分解
しCがオーステナイト中に固溶するのを抑制する効果が
ある。この効果を狙って0.15%以上含有させることが望
ましい。しかし、1.50%を超えるCrは硬度上昇とセメン
タイトのCr炭化物への変質を招いて鋼の脆性を増大さ
せ、価格の高騰にもつながる。
【0044】Ni Niは、製品の熱処理後の靱性向上を特に必要とする場合
に添加する。高炭素鋼薄板は、通常、製品として成形さ
れた後、前記のように焼入れし−焼き戻し処理される。
このとき焼戻し温度は、脆性割れがでないように注意し
て選定されるが、焼戻しの後も靱性が低い場合、Niを添
加して靱性向上をはかるのである。ただし、Niは高価な
元素であるから、添加する場合にもその含有量は 2.5%
までとする。
に添加する。高炭素鋼薄板は、通常、製品として成形さ
れた後、前記のように焼入れし−焼き戻し処理される。
このとき焼戻し温度は、脆性割れがでないように注意し
て選定されるが、焼戻しの後も靱性が低い場合、Niを添
加して靱性向上をはかるのである。ただし、Niは高価な
元素であるから、添加する場合にもその含有量は 2.5%
までとする。
【0045】Mo Moも、Niと同じ目的のために添加するもので、鋼の熱処
理後の靱性向上の効果はNiよりもさらに高い。しかし、
MoはNiよりも高価な成分で多量添加は材料コストを大き
く上げることになるから、添加する場合でも含有量は
0.5%までとする。
理後の靱性向上の効果はNiよりもさらに高い。しかし、
MoはNiよりも高価な成分で多量添加は材料コストを大き
く上げることになるから、添加する場合でも含有量は
0.5%までとする。
【0046】(2) 処理工程について 熱間圧延から巻取りまで 熱間圧延において重要なことは、次の工程の熱延板焼鈍
におけるセメンタイトの球状化に要する時間を短縮する
ために、そのパーライト組織を微細化しておくことであ
る。これには圧延仕上げ後の冷却速度を5℃/sec以上に
安定してコントロールしなければならない。このために
は、仕上げ温度を 800℃以上とし、この温度から空冷あ
るいは水冷といった方法で冷却する必要がある。
におけるセメンタイトの球状化に要する時間を短縮する
ために、そのパーライト組織を微細化しておくことであ
る。これには圧延仕上げ後の冷却速度を5℃/sec以上に
安定してコントロールしなければならない。このために
は、仕上げ温度を 800℃以上とし、この温度から空冷あ
るいは水冷といった方法で冷却する必要がある。
【0047】熱間圧延仕上げ後の冷却速度は、5℃/sec
よりも小さいとパーライトのラメラー間隔が粗大化しセ
メンタイト自体も粗大化するため、熱延板焼鈍における
セメンタイトの球状化に非常な長時間を要する。従っ
て、冷却速度は5℃/sec以上とする。但し、この冷却速
度が大きくなるとセメンタイトの微細化とともに硬度も
上昇し、熱延板における割れ等の弊害も生ずる。これを
避けるため冷却速度の上限は40℃/secとする。
よりも小さいとパーライトのラメラー間隔が粗大化しセ
メンタイト自体も粗大化するため、熱延板焼鈍における
セメンタイトの球状化に非常な長時間を要する。従っ
て、冷却速度は5℃/sec以上とする。但し、この冷却速
度が大きくなるとセメンタイトの微細化とともに硬度も
上昇し、熱延板における割れ等の弊害も生ずる。これを
避けるため冷却速度の上限は40℃/secとする。
【0048】巻取り温度を 650℃以下とするのもセメン
タイトの微細化のためである。巻取り温度が高い場合、
巻取り後も冷却過程で変態を生じ、非常に粗いセメンタ
イトが形成される。そうすると熱延板焼鈍の時間を長く
しなければならない。巻取り温度を 650℃以下とすれ
ば、パーライトは安定した微細化組織となり焼鈍に要す
る時間も短くてすむ。650 ℃を超える温度で巻き取った
場合には、パーライトは粗大化し、その球状化に長時間
を要し、さらにコイル内での硬度ばらつきが増大する。
一方、巻取り温度があまりにも低いと熱延板の状態での
靱性が低下するからその下限は 500℃とするのが望まし
い。
タイトの微細化のためである。巻取り温度が高い場合、
巻取り後も冷却過程で変態を生じ、非常に粗いセメンタ
イトが形成される。そうすると熱延板焼鈍の時間を長く
しなければならない。巻取り温度を 650℃以下とすれ
ば、パーライトは安定した微細化組織となり焼鈍に要す
る時間も短くてすむ。650 ℃を超える温度で巻き取った
場合には、パーライトは粗大化し、その球状化に長時間
を要し、さらにコイル内での硬度ばらつきが増大する。
一方、巻取り温度があまりにも低いと熱延板の状態での
靱性が低下するからその下限は 500℃とするのが望まし
い。
【0049】熱延板焼鈍 巻き取った後は、脱スケールし、再びコイルにして箱焼
鈍炉で熱延板焼鈍を行う。
鈍炉で熱延板焼鈍を行う。
【0050】焼鈍の保持温度を(Ac1点+10℃) から Ac1
点+2/3 (Acm点− Ac1点) までの範囲と設定したのは、
鋼板中のセメンタイトをラメラー組織から球状化組織に
変化させるのにはオーステナイト域においてラメラー組
織を分解する必要があるからである。この分解に関する
限り、保持温度は Ac1点+10℃以上の温度であれば特に
制限はない。しかし、これら分解したラメラーから球状
化組織を得るには、分解したラメラー組織が完全にオー
ステナイト中に固溶してしまうことを防止しなければな
らない。即ち、セメンタイトがある適当な比率で残留す
る温度を確保する必要がある。このため、 Ac1点+2/3
(Acm点− Ac1点) という保持温度の上限を設けた。
点+2/3 (Acm点− Ac1点) までの範囲と設定したのは、
鋼板中のセメンタイトをラメラー組織から球状化組織に
変化させるのにはオーステナイト域においてラメラー組
織を分解する必要があるからである。この分解に関する
限り、保持温度は Ac1点+10℃以上の温度であれば特に
制限はない。しかし、これら分解したラメラーから球状
化組織を得るには、分解したラメラー組織が完全にオー
ステナイト中に固溶してしまうことを防止しなければな
らない。即ち、セメンタイトがある適当な比率で残留す
る温度を確保する必要がある。このため、 Ac1点+2/3
(Acm点− Ac1点) という保持温度の上限を設けた。
【0051】均熱保持時間は30分以上が必要である。こ
の時間は均熱温度に依存するが、本発明方法では、後述
の特殊な雰囲気を使用することもあって、通常よりも短
時間でよい。均熱保持をむやみに長くしても冷却後のミ
クロ組織および硬度に大きな変化はなく、処理コストが
嵩むだけであるから24時間程度を上限とするのが望まし
い。
の時間は均熱温度に依存するが、本発明方法では、後述
の特殊な雰囲気を使用することもあって、通常よりも短
時間でよい。均熱保持をむやみに長くしても冷却後のミ
クロ組織および硬度に大きな変化はなく、処理コストが
嵩むだけであるから24時間程度を上限とするのが望まし
い。
【0052】焼鈍工程での加熱速度については、セメン
タイト形状、鋼板の硬度に対する影響は小さいため特に
制限はないが、箱焼鈍であるので工程の能率を考慮して
20℃/hr 以上とするのが望ましい。ただし、 100℃/hr
以上となると Ac1点が上昇し、コイル内での温度分布も
不均一になるから上限は 100℃/hr 程度とするのが望ま
しい。
タイト形状、鋼板の硬度に対する影響は小さいため特に
制限はないが、箱焼鈍であるので工程の能率を考慮して
20℃/hr 以上とするのが望ましい。ただし、 100℃/hr
以上となると Ac1点が上昇し、コイル内での温度分布も
不均一になるから上限は 100℃/hr 程度とするのが望ま
しい。
【0053】冷却速度は、オーステナイト域から冷却す
る際にはC含有量に応じて慎重に選択する必要がある。
本発明が対象とする鋼のC含有量は0.80〜1.30%である
が、その場合、 100℃/hr を超える冷却速度になるとセ
メンタイト組織がラメラー化し、熱延板の強度が過度に
上昇するから上限を 100℃/hr と限定する。冷却速度の
下限は、処理能率を考慮して5℃/hr 以上とする。
る際にはC含有量に応じて慎重に選択する必要がある。
本発明が対象とする鋼のC含有量は0.80〜1.30%である
が、その場合、 100℃/hr を超える冷却速度になるとセ
メンタイト組織がラメラー化し、熱延板の強度が過度に
上昇するから上限を 100℃/hr と限定する。冷却速度の
下限は、処理能率を考慮して5℃/hr 以上とする。
【0054】焼鈍雰囲気を従来の水素と窒素の混合雰囲
気 (体積比でH2:N2=3:1)に対して、水素濃度が95
vol.%以上 (残りは窒素) の雰囲気とするのが、本発明
方法の最も大きな特徴である。
気 (体積比でH2:N2=3:1)に対して、水素濃度が95
vol.%以上 (残りは窒素) の雰囲気とするのが、本発明
方法の最も大きな特徴である。
【0055】「鉄と鋼」Vol.77, No.8,76〜83頁に報告
されているように、水素の熱伝導率は、温度にもよるが
窒素の約7倍であり、水素と窒素の混合ガスの熱伝導率
は、水素濃度を高めると幾何級数的に上昇する。このよ
うに熱伝導率の高い水素主体の雰囲気を使用することに
よって、焼鈍中のコイル内外周の温度の不均一が小さく
なる。通常、Ac1 点以上の均熱温度で焼鈍すると冷却速
度のばらつきにより機械的性質が不均一になる。しか
し、水素濃度が95vol.%以上の雰囲気を採用することに
よって、コイル内の冷却速度のばらつきが殆どなくなる
から、前記のような(Ac1点+10℃) 以上での均熱も安心
して行うことができる。
されているように、水素の熱伝導率は、温度にもよるが
窒素の約7倍であり、水素と窒素の混合ガスの熱伝導率
は、水素濃度を高めると幾何級数的に上昇する。このよ
うに熱伝導率の高い水素主体の雰囲気を使用することに
よって、焼鈍中のコイル内外周の温度の不均一が小さく
なる。通常、Ac1 点以上の均熱温度で焼鈍すると冷却速
度のばらつきにより機械的性質が不均一になる。しか
し、水素濃度が95vol.%以上の雰囲気を採用することに
よって、コイル内の冷却速度のばらつきが殆どなくなる
から、前記のような(Ac1点+10℃) 以上での均熱も安心
して行うことができる。
【0056】焼鈍雰囲気の水素濃度を95vol.%以上とす
るのは、コイル内の機械的性質の不均一を無くするため
である。前記のように、焼鈍後の冷却速度の上限を 100
℃/hrとして急速冷却を避けているが、それでも均熱温
度が高い場合、例えば先に述べた Ac1点+2/3 (Acm点−
Ac1点) という上限温度に近い場合に、雰囲気の水素濃
度が95vol.%未満であればコイルの最外周と鋼板の長手
方向中間部 (即ち、コイル中間部) で冷却速度の差が生
じて強度に差がでる。これを避けるために、水素濃度の
下限を95vol.%とするのである。望ましい雰囲気は、H2
99 vol.%以上の実質的な純水素雰囲気である。
るのは、コイル内の機械的性質の不均一を無くするため
である。前記のように、焼鈍後の冷却速度の上限を 100
℃/hrとして急速冷却を避けているが、それでも均熱温
度が高い場合、例えば先に述べた Ac1点+2/3 (Acm点−
Ac1点) という上限温度に近い場合に、雰囲気の水素濃
度が95vol.%未満であればコイルの最外周と鋼板の長手
方向中間部 (即ち、コイル中間部) で冷却速度の差が生
じて強度に差がでる。これを避けるために、水素濃度の
下限を95vol.%とするのである。望ましい雰囲気は、H2
99 vol.%以上の実質的な純水素雰囲気である。
【0057】以上、熱間圧延から箱焼鈍までの工程で処
理された熱延板は、そのままで、一つの商品となる。し
かし、その後、以下に述べる冷間圧延と焼鈍の工程を加
えてもよい。その場合は、冷延鋼板として出荷される。
理された熱延板は、そのままで、一つの商品となる。し
かし、その後、以下に述べる冷間圧延と焼鈍の工程を加
えてもよい。その場合は、冷延鋼板として出荷される。
【0058】冷間圧延以降の処理 前述の工程までで製造された薄鋼板 (熱延板) は、高炭
素鋼でありながら軟質で加工性が良好であるから、中間
焼鈍なしでも20〜60%の圧下率で冷間圧延することがで
きる。
素鋼でありながら軟質で加工性が良好であるから、中間
焼鈍なしでも20〜60%の圧下率で冷間圧延することがで
きる。
【0059】冷間圧延の後は、 650℃以上で〔 Ac1点+
2/3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度域で焼鈍され最終製
品となる。この冷延板の焼鈍温度の下限が前記の熱間圧
延後の焼鈍温度の下限と異なるのは、一度冷間圧延され
た薄鋼板のセメンタイトの球状化促進および軟質化には
必ずしも Ac1点以上の温度は必要ではないからである。
また最終製品の硬度特性の均一化を考慮すれば、この冷
延板の焼鈍も、95%以上の水素と残部が窒素からなる雰
囲気で行うのが適当であるが、熱延板焼鈍までの工程で
既にセメンタイトは球状化されているから、ここでの雰
囲気、加熱速度、冷却速度および均熱温度での保持時間
等には特別な制約はない。
2/3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度域で焼鈍され最終製
品となる。この冷延板の焼鈍温度の下限が前記の熱間圧
延後の焼鈍温度の下限と異なるのは、一度冷間圧延され
た薄鋼板のセメンタイトの球状化促進および軟質化には
必ずしも Ac1点以上の温度は必要ではないからである。
また最終製品の硬度特性の均一化を考慮すれば、この冷
延板の焼鈍も、95%以上の水素と残部が窒素からなる雰
囲気で行うのが適当であるが、熱延板焼鈍までの工程で
既にセメンタイトは球状化されているから、ここでの雰
囲気、加熱速度、冷却速度および均熱温度での保持時間
等には特別な制約はない。
【0060】
【実施例1】これは、熱延仕上げ後の冷却速度の影響を
みるための実施例である。表1に示す化学組成を有する
鋼を、表2に示す条件で処理して薄鋼板を製造した。処
理条件は、熱延仕上げ後の冷却速度以外はすべて本発明
で定める条件を満足するものである。図1は、熱延仕上
げ後の冷却速度と薄鋼板のコイル中間部から採取した長
手方向試験片の機械的性質(引張強度、降伏強度、およ
び全伸び)との関係を示す図である。
みるための実施例である。表1に示す化学組成を有する
鋼を、表2に示す条件で処理して薄鋼板を製造した。処
理条件は、熱延仕上げ後の冷却速度以外はすべて本発明
で定める条件を満足するものである。図1は、熱延仕上
げ後の冷却速度と薄鋼板のコイル中間部から採取した長
手方向試験片の機械的性質(引張強度、降伏強度、およ
び全伸び)との関係を示す図である。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】図1から明らかなように、熱延仕上げ後5
℃/sec以上で冷却した場合には、3℃/sec で冷却した
場合よりも引張強度および降伏強度は若干増大するが、
伸びが顕著に増大し、成形性および冷間圧延性の向上が
期待できる。しかし、40℃/secを超える冷却速度では伸
びが低下し、成形性は劣化する。
℃/sec以上で冷却した場合には、3℃/sec で冷却した
場合よりも引張強度および降伏強度は若干増大するが、
伸びが顕著に増大し、成形性および冷間圧延性の向上が
期待できる。しかし、40℃/secを超える冷却速度では伸
びが低下し、成形性は劣化する。
【0064】この時、C含有量が本発明で定めた範囲を
超える鋼Fでは引張強度、降伏強度がいずれも高すぎて
成形性に悪影響を与える。また、C含有量が少なすぎる
鋼Eでは、成形後に焼入れと焼戻しの熱処理を施した製
品の耐摩耗性が不十分であった。
超える鋼Fでは引張強度、降伏強度がいずれも高すぎて
成形性に悪影響を与える。また、C含有量が少なすぎる
鋼Eでは、成形後に焼入れと焼戻しの熱処理を施した製
品の耐摩耗性が不十分であった。
【0065】
【実施例2】前掲の表1に示した化学組成の鋼を、表3
に示す条件で処理して薄鋼板を製造した。これは、熱延
板焼鈍の均熱温度の影響をみるための実施例である。従
って、均熱温度以外の条件は本発明の条件を満たすよう
に選定した。均熱温度と、得られた薄鋼板のコイル中間
部から採取した長手方向試験片の機械的性質との関係を
図2に示した。
に示す条件で処理して薄鋼板を製造した。これは、熱延
板焼鈍の均熱温度の影響をみるための実施例である。従
って、均熱温度以外の条件は本発明の条件を満たすよう
に選定した。均熱温度と、得られた薄鋼板のコイル中間
部から採取した長手方向試験片の機械的性質との関係を
図2に示した。
【0066】
【表3】
【0067】図2から、熱延後の焼鈍温度が Ac1+10℃
よりも低い場合には、いずれの鋼種においても強度が高
く延性が低いことがわかる。このような熱延板は成形性
あるいは冷間圧延性が悪い。これに対して、本発明で定
めた Ac1+10℃以上の温度域で焼鈍した場合、伸びが向
上し強度が低下した成形性および冷間圧延性に優れる板
が得られている。一方、本発明で定める均熱温度の上
限、即ち、 Ac1点+2/3(Acm点− Ac1点) を超える温度
での均熱では、炭素および合金成分の含有量によってそ
の程度は異なるが、伸びの劣化が生じている。なお、C
含有量が高すぎる鋼Fでは焼鈍後の強度が十分に下がら
ず、冷間圧延での圧下率が制約される。また、C含有量
が低すぎる鋼Eでは Ac1+10℃以上に加熱した場合、セ
メンタイトが殆どオーステナイト中に固溶してしまい、
冷却後にセメンタイトがラメラー化して延性が劣化して
いる。
よりも低い場合には、いずれの鋼種においても強度が高
く延性が低いことがわかる。このような熱延板は成形性
あるいは冷間圧延性が悪い。これに対して、本発明で定
めた Ac1+10℃以上の温度域で焼鈍した場合、伸びが向
上し強度が低下した成形性および冷間圧延性に優れる板
が得られている。一方、本発明で定める均熱温度の上
限、即ち、 Ac1点+2/3(Acm点− Ac1点) を超える温度
での均熱では、炭素および合金成分の含有量によってそ
の程度は異なるが、伸びの劣化が生じている。なお、C
含有量が高すぎる鋼Fでは焼鈍後の強度が十分に下がら
ず、冷間圧延での圧下率が制約される。また、C含有量
が低すぎる鋼Eでは Ac1+10℃以上に加熱した場合、セ
メンタイトが殆どオーステナイト中に固溶してしまい、
冷却後にセメンタイトがラメラー化して延性が劣化して
いる。
【0068】
【実施例3】表1に示した化学組成の鋼を、表4に示す
条件で処理して薄鋼板を製造した。
条件で処理して薄鋼板を製造した。
【0069】この実施例は、熱延板焼鈍の際の雰囲気の
影響をみるためのものである。従って、雰囲気以外の条
件は本発明の条件を満たすように選定した。
影響をみるためのものである。従って、雰囲気以外の条
件は本発明の条件を満たすように選定した。
【0070】図3に焼鈍雰囲気中の水素濃度(残りは窒
素)と得られた薄鋼板の機械的性質との関係を、図4に
同じく水素濃度とコイル内の位置による機械的性質の相
違との関係を示す。
素)と得られた薄鋼板の機械的性質との関係を、図4に
同じく水素濃度とコイル内の位置による機械的性質の相
違との関係を示す。
【0071】
【表4】
【0072】図3に示すとおり、熱延後の焼鈍雰囲気中
の水素濃度により機械的性質が異なり、水素濃度の増大
により強度の低下、伸びの向上が認められる。また、図
4に示すように、雰囲気中の水素濃度の増大によりコイ
ル内の引張強度、降伏強度および伸びのばらつきは著し
く小さくなり、成形性のばらつきのない均一な鋼板とな
る。特に、図4から、水素濃度は高いほどよいことが明
らかであるが、水素濃度が95%以上であれば、十分に均
質な製品が得られると言ってよい。
の水素濃度により機械的性質が異なり、水素濃度の増大
により強度の低下、伸びの向上が認められる。また、図
4に示すように、雰囲気中の水素濃度の増大によりコイ
ル内の引張強度、降伏強度および伸びのばらつきは著し
く小さくなり、成形性のばらつきのない均一な鋼板とな
る。特に、図4から、水素濃度は高いほどよいことが明
らかであるが、水素濃度が95%以上であれば、十分に均
質な製品が得られると言ってよい。
【0073】ただし、鋼EはC含有量が低すぎるためコ
イル内での硬度差が大きくなっており、鋼FはC含有量
が過剰であるため焼鈍後も硬度が高く、冷間圧延性に劣
る。
イル内での硬度差が大きくなっており、鋼FはC含有量
が過剰であるため焼鈍後も硬度が高く、冷間圧延性に劣
る。
【0074】
【実施例4】表5(1) および(2) に示す化学組成の異な
る種々の鋼を対象として、表6(1)および(2) に示す条
件で熱間圧延、巻取り、熱延板焼鈍、さらに場合によっ
ては冷間圧延と焼鈍の条件を変えて薄鋼板を製造した。
得られた薄鋼板の機械的性質を表6(1) および(2) に併
記した。
る種々の鋼を対象として、表6(1)および(2) に示す条
件で熱間圧延、巻取り、熱延板焼鈍、さらに場合によっ
ては冷間圧延と焼鈍の条件を変えて薄鋼板を製造した。
得られた薄鋼板の機械的性質を表6(1) および(2) に併
記した。
【0075】表6(1) に実施例として掲げたのは、素材
鋼が本発明で定める化学組成を持つもの(表5(1) に本
発明鋼と表示したもの)で、熱間圧延から熱延板焼鈍、
あるいは更に冷間圧延とその後の焼鈍まで、すべて本発
明の条件を満足する例である。これらの例で得られた鋼
板は、強度が低く成形性に優れたものであり、しかも、
コイル内の強度(TS)の差も小さい。
鋼が本発明で定める化学組成を持つもの(表5(1) に本
発明鋼と表示したもの)で、熱間圧延から熱延板焼鈍、
あるいは更に冷間圧延とその後の焼鈍まで、すべて本発
明の条件を満足する例である。これらの例で得られた鋼
板は、強度が低く成形性に優れたものであり、しかも、
コイル内の強度(TS)の差も小さい。
【0076】表6(2) の比較例は、素材鋼が本発明で定
める組成範囲にない表5(2) に示す鋼であるか、また
は、処理条件の何かが不適切な例である。例えば、素材
のCが低すぎるUは強度があまりに低く、Cが1.38%と
高いVや、Cr、Ni、Moといった合金成分が過剰なZ、A
A、ABは強度が高すぎる。処理条件が本発明で定める範
囲をはずれた場合の弊害も表示のとおりであるが、特に
注目すべきことは、比較例はいずれも水素濃度95%以上
という熱延板焼鈍の雰囲気の条件を満たしていないた
め、コイル内外周での強度の差が大きいことである。例
えば、AJは、水素濃度が93%の雰囲気で焼鈍している
が、それでもコイル内外の強度差は 44 MPa である。こ
れに対して、本発明例であるA〜Tでは、その差は最大
でも 30 MPa に過ぎない。このように、本発明方法によ
れば、コイルの位置にかかわりなく均一な特性の薄鋼板
が製造できるという大きな利点がある。
める組成範囲にない表5(2) に示す鋼であるか、また
は、処理条件の何かが不適切な例である。例えば、素材
のCが低すぎるUは強度があまりに低く、Cが1.38%と
高いVや、Cr、Ni、Moといった合金成分が過剰なZ、A
A、ABは強度が高すぎる。処理条件が本発明で定める範
囲をはずれた場合の弊害も表示のとおりであるが、特に
注目すべきことは、比較例はいずれも水素濃度95%以上
という熱延板焼鈍の雰囲気の条件を満たしていないた
め、コイル内外周での強度の差が大きいことである。例
えば、AJは、水素濃度が93%の雰囲気で焼鈍している
が、それでもコイル内外の強度差は 44 MPa である。こ
れに対して、本発明例であるA〜Tでは、その差は最大
でも 30 MPa に過ぎない。このように、本発明方法によ
れば、コイルの位置にかかわりなく均一な特性の薄鋼板
が製造できるという大きな利点がある。
【0077】
【表5(1)】
【0078】
【表5(2)】
【0079】
【表6(1)】
【0080】
【表6(2)】
【0081】
【発明の効果】すでに詳しく述べたとおり、本発明方法
ではセメンタイトを球状化して軟質化するための焼鈍の
時間が短くてよく、高炭素薄鋼板の製造方法が合理化さ
れ、コストの低減の効果が大きい。しかも本発明方法に
よれば、コイル内での特性のばらつきが小さく、硬度が
均一に低く、工具、刃物等への成形加工が容易な高炭素
鋼薄板がで製造できる。この薄板は、冷間圧延性にも優
れ、圧延途中での中間焼鈍なしでも相当の圧下率で圧延
ができ、冷間圧延の工程も簡略化できる。
ではセメンタイトを球状化して軟質化するための焼鈍の
時間が短くてよく、高炭素薄鋼板の製造方法が合理化さ
れ、コストの低減の効果が大きい。しかも本発明方法に
よれば、コイル内での特性のばらつきが小さく、硬度が
均一に低く、工具、刃物等への成形加工が容易な高炭素
鋼薄板がで製造できる。この薄板は、冷間圧延性にも優
れ、圧延途中での中間焼鈍なしでも相当の圧下率で圧延
ができ、冷間圧延の工程も簡略化できる。
【図1】熱延仕上げ温度と機械的性質との関係を示す図
である。
である。
【図2】熱延後の焼鈍温度と機械的性質との関係を示す
図である。
図である。
【図3】熱延板焼鈍の雰囲気中の水素濃度と機械的性質
との関係を示す図である。
との関係を示す図である。
【図4】熱延板焼鈍の雰囲気中の水素濃度とコイル内で
の機械的性質のばらつきの程度との関係を示す図であ
る。
の機械的性質のばらつきの程度との関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/06
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で、C:0.80〜1.30%、Si:0.35%
以下、Mn:0.50%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、N:
0.008%以下で、残部がFeと不可避的からなりから成
り、不純物としてのPが 0.030%以下、Sが 0.030%以
下である高炭素鋼を、 800℃以上の仕上げ温度で熱間圧
延した後、5〜40℃/secの冷却速度で 650℃以下の温度
まで冷却して巻取り、脱スケールした後、(Ac1点+10
℃) から〔 Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度
の95体積%以上の濃度の水素と残部が窒素からなる雰囲
気下で 30 分以上均熱した後、5〜100 ℃/hr の冷却速
度で冷却することを特徴とする成形性の良好な高炭素薄
鋼板の製造方法。 - 【請求項2】高炭素鋼が、合金成分として更に1.50重量
%以下のCr、 2.5重量%以下のNiおよび 0.5重量%以下
のMoのうちの1種以上を含有するものである請求項1の
成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法。 - 【請求項3】重量%で、C:0.80〜1.30%、Si:0.35%
以下、Mn:0.50%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、N:
0.008%以下で、残部がFeと不可避的からなりから成
り、不純物としてのPが 0.030%以下、Sが 0.030%以
下である高炭素鋼を、 800℃以上の仕上げ温度で熱間圧
延した後、5〜40℃/secの冷却速度で 650℃以下の温度
まで冷却して巻取り、脱スケールした後、(Ac1点+10
℃) から〔 Ac1点+2/3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度
の95体積%以上の濃度の水素と残部が窒素からなる雰囲
気下で 30 分以上均熱した後、5〜100 ℃/hr の冷却速
度で冷却し、次いで冷間圧延と 650℃から〔 Ac1点+2/
3 (Acm点− Ac1点) 〕までの温度域での焼鈍との繰り返
しを1回以上実施することを特徴とする成形性の良好な
高炭素薄鋼板の製造方法。 - 【請求項4】高炭素鋼が、合金成分として更に1.50重量
%以下のCr、 2.5重量%以下のNiおよび 0.5重量%以下
のMoのうちの1種以上を含有するものである請求項3の
成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33177691A JPH05171288A (ja) | 1991-12-16 | 1991-12-16 | 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33177691A JPH05171288A (ja) | 1991-12-16 | 1991-12-16 | 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05171288A true JPH05171288A (ja) | 1993-07-09 |
Family
ID=18247506
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33177691A Pending JPH05171288A (ja) | 1991-12-16 | 1991-12-16 | 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05171288A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0745696A1 (en) * | 1995-05-01 | 1996-12-04 | Blount Inc. | High strength steel composition having enhanced low temperature toughness |
EP1134296A2 (de) * | 2000-03-16 | 2001-09-19 | SMS Demag AG | Verfahren und Anlage zur Oberflächenbehandlung von warmgewaltzen Bändern oder Blechen aus Metall |
JP2006257449A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Nisshin Steel Co Ltd | 被削性に優れた中・高炭素鋼板の製造方法 |
JP2011117084A (ja) * | 2011-01-24 | 2011-06-16 | Nisshin Steel Co Ltd | 被削性に優れた中・高炭素鋼板の製造方法 |
JP2016094657A (ja) * | 2014-11-17 | 2016-05-26 | 株式会社神戸製鋼所 | 穴広げ性と転動疲労寿命に優れた高炭素鋼板およびその製造方法 |
-
1991
- 1991-12-16 JP JP33177691A patent/JPH05171288A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0745696A1 (en) * | 1995-05-01 | 1996-12-04 | Blount Inc. | High strength steel composition having enhanced low temperature toughness |
US5772957A (en) * | 1995-05-01 | 1998-06-30 | Blount, Inc. | High strength steel composition having enhanced low temperature toughness |
EP1134296A2 (de) * | 2000-03-16 | 2001-09-19 | SMS Demag AG | Verfahren und Anlage zur Oberflächenbehandlung von warmgewaltzen Bändern oder Blechen aus Metall |
EP1134296A3 (de) * | 2000-03-16 | 2004-01-28 | SMS Demag AG | Verfahren und Anlage zur Oberflächenbehandlung von warmgewaltzen Bändern oder Blechen aus Metall |
JP2006257449A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Nisshin Steel Co Ltd | 被削性に優れた中・高炭素鋼板の製造方法 |
JP2011117084A (ja) * | 2011-01-24 | 2011-06-16 | Nisshin Steel Co Ltd | 被削性に優れた中・高炭素鋼板の製造方法 |
JP2016094657A (ja) * | 2014-11-17 | 2016-05-26 | 株式会社神戸製鋼所 | 穴広げ性と転動疲労寿命に優れた高炭素鋼板およびその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN101213317B (zh) | 极软高碳热轧钢板及其制造方法 | |
JP5292698B2 (ja) | 極軟質高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JPH075970B2 (ja) | 高炭素薄鋼板の製造方法 | |
WO2020158357A1 (ja) | 高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP2009068081A (ja) | 極軟質高炭素熱延鋼板 | |
JP3460659B2 (ja) | 軟質で熱処理歪みの小さい高炭素鋼帯とその製造方法 | |
JP3879459B2 (ja) | 高焼入れ性高炭素熱延鋼板の製造方法 | |
JP6569845B1 (ja) | 高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP3125978B2 (ja) | 加工性に優れた高炭素鋼帯の製造方法 | |
JP3468048B2 (ja) | 成形性に優れた高炭素冷延鋼板の製造方法 | |
JP2003013145A (ja) | 伸びフランジ性に優れた高炭素熱延鋼板の製造方法 | |
JP3468172B2 (ja) | 冷間加工性と焼入れ性に優れた高炭素鋼帯およびその製造方法 | |
WO2020158356A1 (ja) | 高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JPH07179985A (ja) | 耐食性に優れた高強度懸架ばねおよびその製法 | |
JPH05171288A (ja) | 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 | |
JPH10204540A (ja) | 高炭素冷延鋼帯の製造方法 | |
JP3266902B2 (ja) | 高炭素冷延鋼帯の製造方法 | |
KR100268852B1 (ko) | 구상화 열처리성이 우수한 냉간압조용 선재의 제조방법 | |
JPH059588A (ja) | 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 | |
JPH0717968B2 (ja) | 成形性の良好な高炭素薄鋼板の製造方法 | |
JP2003073740A (ja) | 高焼入れ性高炭素冷延鋼板の製造方法 | |
JPH1060540A (ja) | 高炭素冷延鋼帯の製造方法 | |
JPH0394017A (ja) | 局部伸びにすぐれる高強度薄鋼板の製造方法 | |
JPH0598356A (ja) | 焼き戻し省略型Ti−B系高炭素薄鋼板の製造方法 | |
JPH04116137A (ja) | 高靭性高炭素冷延鋼板とその製造方法 |