JPH06136552A - 磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板およびその製造法 - Google Patents

磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板およびその製造法

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JPH06136552A
JPH06136552A JP4284787A JP28478792A JPH06136552A JP H06136552 A JPH06136552 A JP H06136552A JP 4284787 A JP4284787 A JP 4284787A JP 28478792 A JP28478792 A JP 28478792A JP H06136552 A JPH06136552 A JP H06136552A
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steel sheet
grain
annealing
primary
recrystallization annealing
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JP4284787A
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Inventor
Hiroaki Masui
浩昭 増井
Osamu Tanaka
収 田中
Isao Iwanaga
功 岩永
Hodaka Honma
穂高 本間
Katsuro Kuroki
克郎 黒木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一次被膜とよばれるフォルステライトを主成
分とする固形物質の形成を極力抑えた極めて低鉄損の方
向性電磁鋼板およびその製造法を提供する。 【構成】 Si:1〜7%を含み、鋼板表面に最大部の
深さの平均が2〜50μmの溝を、鋼板の圧延の長手方
向から、45〜90度の方向に有し、平均二次再結晶断
面粒径D(mm)の20%以下の断面粒径を有する微細
結晶粒が総面積比率で15%以下を有し、かつ溝ピッチ
P(mm)に対してP/Dが0.02〜2であり、かつ
フォルステライトを主成分とする一次被膜の平均の厚み
が0.3μm以下であることを特徴とする磁気鉄損の優
れた方向性電磁鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気特性に優れた方向性
電磁鋼板およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トランス用等の磁気特性に優れた1〜7
%のSiを含んだ珪素鋼板を製造するに際して、絶縁特
性の確保と、鋼板表面に張力を与えトランスの性能向上
に必要な磁気特性を向上させ、かつ鋼板との密着性が良
好な一次被膜を形成させることは、従来技術においては
方向性電磁鋼板の一つの重要な課題であった。すなわ
ち、通常の技術では脱炭を伴う一次焼鈍後に鋼板にマグ
ネシアと呼ばれる酸化マグネシウム(MgO)の微粉末
を水溶させたスラリー状のものを塗り、必要に応じて乾
燥した後、二次再結晶焼鈍工程で焼成し、鋼板中のSi
2 やSiとの反応でフォルステライト(Mg2 SiO
4 )と呼ばれるセラミックス質状の絶縁性の一次被膜を
形成させる。これが鋼板に張力を与え、磁気特性、特に
鉄損と呼ばれるトランスの効率を支配する特性値を向上
させるのに有効である。しかも、このフォルステライト
形成の状態が、二次再結晶で鋼板の結晶方位を通称GO
SS方位と呼ばれ、透磁率や磁束密度の向上に不可欠な
鋼板長手方向(圧延方向)に対して{110}<001
>の結晶方位を有するやや粗大な二次再結晶粒を成長さ
せるのにも重要な役割を果たしていることもよく知られ
ている。逆に、二次再結晶焼鈍昇温過程中に十分緻密な
被膜が形成されないまま二次再結晶させようとしても、
鋼板内のインヒビターと呼ばれる微細な窒化物や硫化物
がそのままの状態で、あるいは分解して早く鋼板外に抜
けでてしまう。このため、昇温中にGOSS方位粒を優
先的に成長させ、他の方位粒の成長を抑制させる役目の
インヒビター効果が発揮できず、通称、細粒と呼ばれ、
GOSS方位粒の二次再結晶粒の成長が部分的あるいは
全面的に行われない、極めて磁気特性の劣る鋼板を生み
出すことになる。なお、このMgOの中に酸化チタン
(TiO2 等)やその他の化合物を添加させ、さらに緻
密な一次被膜を形成させることも行われる。
【0003】しかるに、近年アモルファスの登場に見ら
れるようにエネルギー節減のためトランスのエネルギー
変換効率に影響の大きい電磁鋼板の鉄損低減への要求は
大きく、上記の従来技術の延長ではこの要望に応えるこ
とは困難となってきた。従来技術においては上記の方法
以外にも二次再結晶後のいわゆる製品鋼板表面に機械的
あるいはレーザー等のエネルギー照射的な方法で溝ある
いはなんらかの損傷を意図的に与え、磁区細分化を行
い、鉄損を向上せしめる方法が行われている。しかしな
がら、この方法を以てしてもまだアモルファスに対抗で
きるような低鉄損は実現困難であった。一方、フォルス
テライトを主成分とする一次被膜は硬質な固形物質なる
がゆえに製品のせん断等の加工性に難点があり、工具寿
命の低下をもたらしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解明し、以下のような骨子に示される技術的知見
から一次被膜とよばれるフォルステライトを主成分とす
る固形物質の形成を極力抑え、かつ極めて低鉄損の方向
性電磁鋼板を得るべく新たな製品開発技術を見いだした
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)Si:1〜7%を含む鋼を溶製し、熱間圧延、冷
間圧延、一次再結晶焼鈍および二次再結晶焼鈍を基本工
程とする方向性電磁鋼板の製造において、一次再結晶焼
鈍後の鋼板表面に最大部の深さの平均が2〜50μmの
溝を機械的、化学的、光学的、熱的、電気的その他のエ
ネルギー照射的な方法で規則的な配列で付与し、その後
に鋼板表面に、MgOを主成分とし、塩化物および硫化
物の少なくとも1種類以上を含む物質を鋼板表面に塗布
し、その後に二次再結晶焼鈍を行うことを特徴とする磁
気鉄損の優れた方向性電磁鋼板の製造法。 (2)一次再結晶焼鈍後に付与する溝の間隔(ピッチ)
を2〜20mmの間とすることを特徴とする前項(1)
記載の磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板の製造法。 (3)一次再結晶焼鈍時またはその後に窒化を行うこと
を特徴とする前項(1)または(2)記載の磁気鉄損の
優れた方向性電磁鋼板の製造法。 (4)塩化物として塩化カルシウム、硫化物として硫化
カリウムを添加する前項(1)〜(3)のいずれかに記
載の磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板の製造法。 (5)二次再結晶焼鈍時の昇温速度を毎時30℃以下、
また雰囲気中の窒素分圧を30%以上とする前項(1)
〜(4)のいずれかに記載の磁気鉄損の優れた方向性電
磁鋼板の製造法。 (6)Si:1〜7%を含み、鋼板表面に最大部の深さ
の平均が2〜50μmの溝を、鋼板の圧延の長手方向か
ら、45〜90度の方向に有し、平均二次再結晶断面粒
径D(mm)の20%以下の断面粒径を有する微細結晶
粒が総面積比率で15%以下を有し、かつ溝ピッチP
(mm)に対してP/Dが0.02〜2であり、かつフ
ォルステライトを主成分とする一次被膜の平均の厚みが
0.3μm以下であることを特徴とする磁気鉄損の優れ
た方向性電磁鋼板。 (7)溝底部の一部にフォルステライトを主成分とする
固形物質を有することを特徴とする前項(6)記載の磁
気鉄損の優れた方向性電磁鋼板。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。方向性珪
素鋼板の二次再結晶はGOSS方位と呼ばれる{11
0}<001>方位の粒を二次再結晶焼鈍(仕上焼鈍と
も呼ばれる)時に十分成長させることが肝要である。こ
れは一次再結晶焼鈍(以下、一次焼鈍と呼ぶ)の中のあ
る特定粒のみを粗大再結晶させるもので、この時にイン
ヒビター(Inhibitor)と呼ばれるAlN等の
微細析出物を仕上焼鈍前に十分作っておくことが技術上
必要であることがよく知られている。そして、このため
に必要な窒素を鋼溶製時または一次焼鈍後または他の工
程中に添加することが行われる。本発明の目的からはむ
しろ一次焼鈍後に窒素を添加する方法が最適な窒素の添
加法であることもわかった。もし、一次焼鈍中またはそ
の直後に窒素添加する場合は、通常、脱炭反応も機能す
る一次焼鈍の設備の一部に窒化反応を行う設備を内部ま
たは近接して設置し、一次焼鈍後またはそれと平行させ
て窒化反応させる方法も有効である。鋼溶製時に十分低
炭化した鋼では脱炭機能よりも一次焼鈍後の表面層の酸
化物層を変えて、被膜反応に有利な形にすることがむし
ろ重要な役割となる。
【0007】さて、本発明ではSi:1〜7%を含む鋼
を溶製し、熱間圧延、冷間圧延、一次再結晶焼鈍および
二次再結晶焼鈍を基本工程とする方向性電磁鋼板の製造
において、一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に最大部の深さ
の平均が2〜50μmの溝を機械的、化学的、光学的、
熱的、電気的その他のエネルギー照射的な方法で付与せ
しめ、その後に鋼板表面に塩化物および硫化物の少なく
とも1種類以上を含む物質を鋼板表面に塗布し、その後
に二次再結晶焼鈍を行うことを特徴とし、二次再結晶焼
鈍時に生成されるフォルステライトを主成分とする一次
被膜の平均の厚みが0.3μm以下の極めて鉄損の優れ
た方向性電磁鋼板の製造法により、著しく鉄損の優れた
製品を得ることを発明したものである。これはこの溝に
よって製品の磁区細分化をより細かくすることが可能で
鉄損低減に寄与するからである。この溝の付与の仕方は
溝付きロール、溝付きまたは刃型プレス等の機械的方
法、レーザー、プラズマ等のエネルギー照射方法、水、
油等を高圧で吹き付ける方法、酸等による化学的腐食、
電気的腐食による方法、あるいはそれらを組み合わせた
方法等、手段はどれでも良く、要は上記の溝の要件を満
たしていれば効果が認められる。しかし、これだけでは
本発明の狙いとする低鉄損はえられない。
【0008】本発明でもっとも重要な技術的な要件は鋼
板表面のフォルステライトを主成分とする一次被膜の平
均厚みとの組み合わせである。この厚みが0.3μm以
下のとき上記との組み合わせで、極めて磁気特性が向上
することがわかった。この理由は必ずしも解明されてい
ないが、この一次被膜は、厚いと鋼板の磁束の流れを妨
げ、特に被膜に凹凸が多い場合や、フォルステライト直
下にスピネル(MgO・Al2 3 )等の酸化物が多い
場合は、その傾向が大きいことは容易に想像できる。し
たがって表面の一次被膜を極力減らして薄くするか、あ
るいは完全になくしてしまい、そのかわりに規則的な溝
を形成させれば磁束は規則的に円滑に流れる。この結
果、鉄損も十分に低減できることになる。当然ながら溝
の深さとピッチには制約がつくことになる。
【0009】本発明での重要な点はさらに次の点にあ
る。従来技術では、いわゆる一次被膜を形成した後のい
わば製品に近いものに溝を付けて磁区細分化する方法が
行われている。これは同じく従来技術の中間工程で溝を
付ける方法よりも磁区制御効果が大きく出易いためであ
る。しかしながら、本発明を構成する過程で明らかにな
ったことは、一次被膜厚みが極端に少ないか、あるいは
一次被膜がない場合はコスト的にも安価な一次再結晶焼
鈍中またはその前後に溝を付ける方法でも十分な磁区細
分化効果が発揮されると言う点である。
【0010】表1の化学成分(但しR1 は一次再結晶焼
鈍後に窒化し、Nは0.0160となった)を有する方
向性電磁用熱延鋼板を熱延板焼鈍後、0.23mmに冷
間圧延し、一次再結晶焼鈍直後にロールで深さ15μ
m、ピッチ5mmの溝を付けて、冷却後、この鋼板にM
gOパウダーに添加物を種々変えて調整した焼鈍分離剤
を塗布して仕上焼鈍を行い、一次被膜の平均厚みを変え
て、さらに張力を有する絶縁コーティングを塗布して得
た方向性電磁鋼板サンプルの鉄損を調べたのが図1であ
る。この図からも明らかなように一次被膜の厚みが小さ
くなるほど鉄損の低減(向上)が見られ、特に0.3μ
m以下でそれが顕著であることがわかる。これは一次再
結晶焼鈍直後という中間工程に付けた溝の中に後工程で
フォルステライト等が詰まって磁区制御効果が劣化して
も、鋼板表面の一次被膜の平均厚みが少ないか、あるい
は一次被膜がない場合は十分磁区細分化されることを示
している。
【0011】さらに本発明で重要な点は一次再結晶焼鈍
後に鋼板に溝を付けるという点である。表2の化学成分
の(Nは一次再結晶焼鈍後、窒化後の値)鋼の一次再結
晶焼鈍後の鋼板(板厚0.23mm)に常温(25℃)
でロール法で、(イ)溝深さ20μm、溝ピッチPが3
mmの溝、(ロ)溝深さ40μm、溝ピッチPが30m
mの溝を付けたが、二次再結晶の焼鈍条件が、(1)昇
温速度が毎時50℃、雰囲気ガスの窒素分圧が10%の
場合、(2)昇温速度が毎時20℃、雰囲気ガスの窒素
分圧が40%の場合、のそれぞれについて、MgOパウ
ダーへの添加物として本発明に従った塩化物を使用して
二次再結晶させた結果を図2に示す。フォルステライト
の厚みは0.1μm以下であった。これではっきりいえ
ることは、(1)、(2)の場合とも溝の周辺に微細結
晶粒が発生するが、平均二次再結晶粒径の20%以下の
粒径を有する微細結晶粒の総面積比率およびP/Dの値
は、(1)(イ)で16%および0.6、(1)(ロ)
で20%および6.0、(2)(イ)で3%および0.
08、(2)(ロ)で12%および0.8であった。そ
して、このときの製品の鉄損W17/50(ワット/kg)
はそれぞれ、(1)(イ)では0.95、(1)(ロ)
では1.06、(2)(イ)では0.75、(2)
(ロ)では0.74であった。
【0012】すなわち、本発明の骨子をなす平均二次再
結晶粒径の20%以下の粒径を有する微細結晶粒の総面
積比率が15%超のとき、あるいはP/Dの値が0.0
2未満か2超のときのいずれか一方または両方を満たす
場合は鉄損特性は著しく劣化するといえる。これに対
し、平均二次再結晶粒径の20%以下の粒径を有する微
細結晶粒の総面積比率が15%以下のとき、およびP/
Dの値が0.02〜2の両方を満たすときは鉄損特性は
著しく良好である。
【0013】この理由は以下のように考えられる。上記
の定義の微細結晶粒は二次再結晶粒の中においては方位
もいわゆるGOSS方位とずれていることが多く、鉄損
特性の向上に寄与しないばかりか、むしろこれを劣化さ
せる。この微細結晶粒はいわゆる磁区制御のための溝の
周辺に出現することが多く、従って歪の不均一性により
GOSS方位の二次再結晶粒の生成に好ましい一次再結
晶集合組織になっていないためと考えられる。図2に二
次再結晶焼鈍後の代表的な溝周辺に発生した微細結晶粒
の例を示す。鉄損特性を劣化させない微細結晶粒の総面
積比率の上限は15%である。
【0014】ところで従来技術では、鉄損特性を劣化さ
せないために仮に微細結晶粒を15%以下にしても磁性
の劣化は大きいものがあり、工程的に簡素化されるとい
う利点はあるものの実用に耐えられない方法と考えられ
ていた。本発明の開発過程で得られた新たな知見は、こ
のような微細結晶粒がある場合でも二次再結晶の平均粒
径(断面粒径)Dと溝のピッチPとの関係がある範囲内
にあり、かつ一次被膜の厚みに制約を加えることで実用
に耐える十分な磁性が得られる点を見付けたことにあ
る。
【0015】すなわち溝の間隔(ピッチ)を2〜20m
mの間の任意の値とし、溝ピッチ(P(mm))の間に
平均二次再結晶粒径(断面粒径、D(mm))の20%
以下の粒径(断面粒径)を有する微細結晶粒が総面積比
率で15%以下を有し、かつP/Dが0.02〜2とな
り、かつフォルステライトを主成分とする一次被膜の平
均の厚みが0.3μm以下を満たすときは十分な鉄損を
示していることを見出した。
【0016】この理由は必ずしも明らかではないが、以
下のように考えている。磁区制御材の180°磁区の細
分化機構を考えると溝ピッチ間で180°磁区はそれぞ
れ仕切られていて一つの磁区群としてヒステリシスの変
化を磁区移動で行うことが知られている。もちろんこの
ためには溝の周囲には90°磁区が発生し、これが結果
的にこの180°磁区の細分化をもたらすことになる
が、二次再結晶粒径が溝ピッチに対して十分大きいとき
は、その一個または数個の粒内での方位性は十分高く保
たれるので、仮に溝の周囲に微細結晶粒が発生してもそ
れが総面積率で15%以下であれば全体として十分な磁
化特性は得られ、ひいては鉄損は十分低く保持すること
ができる。すなわち、本発明に従い、P/D≦2のとき
に鉄損特性は十分良好な値となることがわかった。ここ
でP/Dが1以下でなく2以下であるという点が本発明
の重要な知見である。本発明ではフォルステライト被膜
を0.3μm以下にしており、磁区の移動が容易であ
り、この点がP/Dの上限を広げていると考えられる。
【0017】ところで、P/Dは小さければ良いといっ
ても限度がある。それは溝ピッチ内の180°磁区は、
もとより溝近傍にできる90°磁区が起点となって発生
するので、この90°磁区を十分確保するのに必要な最
低の溝ピッチ間隔があり、とりわけ溝の周辺に15%以
下の微細結晶粒を有する本発明製品ではさらにPの下限
に制約がつくことになる。さらに、優れた鉄損を得るた
めにはPの下限はDが大きいほど高くなる傾向があり、
結果的にP/Dに下限をもつことになる。この理由は次
のように考えられる。すなわち、一次再結晶焼鈍後の鋼
板に溝を付けてから二次再結晶焼鈍をするため、この溝
の抵抗に打ち勝って、つまりいくつかの溝を乗り超えて
さらに十分な方位の二次再結晶粒が成長するには限度が
あり、Pに対してあまりにDが大き過ぎるときは方位性
のやや劣る二次再結晶粒となり、本発明の狙いとする鉄
損の優れた製品が得られにくいことがわかった。つまり
P/Dに下限があることが明らかとなった。とりわけ溝
の周囲に微細結晶粒が15%以下存在する本発明製品で
はこの傾向があるが、本発明によればP/D≧0.02
を満たすときに十分鉄損の優れた製品が得られることが
明らかとなった。
【0018】次に、二次再結晶を行う際にAlを添加す
る場合は、インヒビターとしてAlNやSi3 4 を主
体に使うが、ここで本発明の方法の一つとして一次焼鈍
中かその後に窒化せしめる方法の方がより本発明の目的
に好ましいことがわかった。これは以下の理由による。
鋼溶製時に窒素を多く添加する場合と異なり、後で窒化
する方がAlN、Si3 4 の最適量はコントロールし
やすく、二次再結晶焼鈍時に、本発明のようにフォルス
テライト等の一次被膜が薄くなるか、あるいは消失して
も雰囲気中の窒素分圧(PN2)をコントロールすること
で最適窒素量を確保しやすいからであろうと考えられ
る。
【0019】次に、仕上焼鈍時の一次被膜を極力少なく
するかあるいは一次被膜をなくすために、本発明では一
次焼鈍後の鋼板表面に塩化物、硫化物を通常のマグネシ
ア(MgO)パウダーのなかに混ぜて添加することが有
効であることがわかった。この中でもとりわけ塩化カル
シウム(CaCl2 )、硫化カリウム(K2 S)は有効
である。なお、通常法でもMgO以外にTiO2 やアン
チモン系の化合物(Sb2 (SO4 3 )やボロン系の
化合物(Na2 (BO4 3 )、ストロンチウム・バリ
ウム系、炭・窒化物系等を添加して反応を容易にするこ
とが行われるが、本発明でもこれらの添加物の効果は発
揮されるので添加しても本発明の本質を変えるものでは
ない。
【0020】ここで方向性電磁鋼板の製造法について述
べる。前記のように本発明の適用が可能な珪素鋼はSi
以外に必要に応じてAlを含有し、Si3 4 あるいは
AlN、および鋼中のSが多い場合はMnSを主要イン
ヒビターとする鋼に限定される。もちろんSi、Al以
外に、Sn、Se、Sb、Cu、B、Nb、Ti、V、
Ni、Cr等の他の添加元素を付加的に添加し、磁気特
性の向上をはかることは本発明の基本を変えるものでは
ない。
【0021】ところでAlNあるいはSi3 4 、Mn
Sをインヒビターとする珪素鋼は公知であり、そのいず
れの場合においても本発明を適用することが可能であ
る。しかしながら、本発明の特徴をより一層発揮させる
には特に以下に示す製造法が最適である。すなわち、S
iを1〜7%含み、かつ必要に応じてAlを鋼溶製時に
0.1%以下含ませた珪素鋼を出発材とする珪素鋼板製
造工程における冷延後の一次焼鈍中の脱炭焼鈍中または
その後、あるいは仕上焼鈍(二次再結晶焼鈍)における
二次再結晶開始の1000℃前後までの任意の工程にお
いて、鋼板に直接窒化反応を介してNを強制的に添加せ
しめる方法により、二次再結晶焼鈍前に鋼板のN量を3
0〜600ppmとすることを特徴とする。
【0022】Siは本発明においては上記のようにフォ
ルステライト形成のために最低1%は必要であり、他方
7%を超えると加工性が極端に劣化し工業生産に適さな
い。AlはAlNインヒビター形成に有効である。しか
し0.1%を超えるとAl 2 3 生成量が多くなり健全
な鋼の清浄度を損ない、ひいては磁気特性に悪影響をも
たらす。
【0023】NはSi3 4 インヒビターを形成するの
に不可欠であり、本発明においては一次焼鈍後、つまり
仕上焼鈍前、厳密には仕上焼鈍の二次再結晶開始前の1
000℃前後で最低30ppmは必要である。一方、A
lを意図的に使う場合にはAlNの量確保の点で60p
pm以上は必要である。ただし、600ppmを超える
とAlやSiを食いすぎて好ましくない。
【0024】Sはこれを積極的に利用する場合は鋼溶製
時に最低0.01%はMnSをインヒビターとして有効
に使うのに必要である。一方、0.05%超では凝集し
て好ましくはない。この他の元素は本発明では従来の鋼
に較べて特に特徴的ではないが、以下のように制約する
ことが好ましい。
【0025】Cは鋼溶製中に十分低くするかまたは一次
焼鈍の脱炭焼鈍時に十分低くする必要があり、二次再結
晶焼鈍開始時には0.03%以下とするのが好ましい。
Mnは0.5%以下ならばSと反応してMnSインヒビ
ターを形成する。0.15%以下だとさらに磁束密度の
向上に好ましい。Oは鋼溶製後に0.05%以下であれ
ばAl2 3 を多量に作りすぎず、清浄度的に好まし
い。
【0026】次に化学成分以外の本発明の製造法につい
て述べる。転炉または電気炉等で出鋼し、必要に応じて
製錬工程を加えて成分調整を行った溶鋼を連続鋳造法、
造塊分塊圧延法あるいは熱延工程省略のための薄スラブ
連続鋳造法等により、厚さ30〜400mm(薄スラブ
連続鋳造法では50mm以下)のスラブとする。ここで
30mmは生産性の下限であり、400mmは中心偏析
でAl2 3 等の分布が異常になることを防ぐための上
限である。また薄スラブ連続鋳造法におけるスラブ厚さ
50mmは冷速が小さくなって粗大粒が出てくることを
抑制するための上限である。
【0027】前記スラブをガス加熱、電気利用加熱等に
より1000〜1400℃に再加熱し、引き続き熱間圧
延を行って厚さ10mm以下のホットコイルとする。こ
こで1000℃はAlN溶解の下限であり、1400℃
は表面肌あれと材質劣化の生じない温度の上限である。
またホットコイル厚さ10mmは適正な析出物を生成す
る冷速を得る上限である。なお、薄スラブ連続鋳造法で
は直接コイル状にすることも可能であり、そのためには
10mm以下が好ましい。
【0028】このように作ったホットコイルを再び80
0〜1250℃で焼鈍し、磁性向上をはかることもしば
しば行われる。ここで800℃はAlN再溶解の下限で
あり、1250℃はAlN粗粒化防止の上限である。か
かる処理工程の後、ホットコイルを直接またはバッチ的
に酸洗後冷間圧延を行う。冷間圧延は圧下率60〜95
%で行うが、60%は本発明で再結晶可能な限界であ
り、好ましくは圧下率70%以上が一次焼鈍で{11
1}<112>方位粒を多くして、二次再結晶焼鈍時の
GOSS方位粒の生成を促進させる下限であり、一方9
5%超では二次再結晶焼鈍で首振りGOSS粒と称する
GOSS方位粒が板面内回転した磁気特性に好ましくな
い粒が生成される。
【0029】以上はいわゆる一回冷延法で製造する場合
だが、二回冷延法と称して冷延−焼鈍−冷延を行う場合
は、一回目の圧下率は10〜80%、二回目の圧下率は
50〜95%となる。ここで10%は再結晶に必要な最
低圧下率、80%と95%はそれぞれ二次再結晶時に適
正なGOSS方位粒を生成させるための上限圧下率、ま
た50%は二回冷延法においては一次焼鈍時の{11
1}<112>方位粒を適正に残す下限圧下率である。
【0030】なお、通称パス間エージングと称し、冷間
圧延の途中で鋼板を適当な方法で100〜400℃の範
囲で加熱することも磁気特性の向上に有効である。10
0℃未満ではエージングの効果がなく、一方、400℃
超では転位が回復してしまう。次に一次再結晶焼鈍を行
った後、溝形成を行う。さらにパウダーを塗布し、二次
再結晶焼鈍を行う。
【0031】このようにして作られた溝が仕上焼鈍後に
残り、フォルステライトを主成分とする一次被膜厚さを
平均0.3μm以下と極めて少なくする方法との組み合
わせで従来にみられない低鉄損が得られるわけである。
一次被膜厚さの上限を0.3μmとした理由は前記の通
りであり、これよりも厚いと、本発明の中間工程で溝を
付ける方法では十分な低鉄損が得られない。
【0032】溝は規則的に配列されている方が望まし
い。これは、磁区細分化が規則的に行われるからであ
る。通常、鋼板長手方向に対し45度から直角までの角
度を有するほぼ一定のピッチで刻まれることが好まし
い。45度未満では磁区細分化の方向が磁性に好ましい
結晶学的方位と合わないからである。また、溝のピッチ
は2〜20mmが好ましい。2mm未満では磁区細分化
が進みすぎて90°磁区が増え、鉄損特性も磁歪も悪
い。一方、20mm超では磁区細分化の効果がでない。
なお、二回冷延法においては一回目、二回目のいずれの
焼鈍後ででも溝を形成することは可能であり、さらにそ
の両者で分割して行うことも可能である。もちろん二回
目の焼鈍後の方が溝の効果は出やすい。
【0033】一次再結晶焼鈍中または引き続いてその直
後に必要に応じて窒化を行う。窒化は溝形成前でも後で
も良い。なお、一回冷延法でも二回冷延法でも一次焼鈍
を行うわけであるが、この焼鈍で脱炭を行うことは有効
である。前述のようにCは二次再結晶粒の成長に好まし
くないばかりか、不純物として残ると鉄損の劣化を招
く。なお、鋼の溶製時にCを下げておくと一次再結晶焼
鈍の脱炭工程が短縮化されるばかりか{111}<11
2>方位粒も増やすので好ましい。なお、この脱炭焼鈍
工程で適正な露点を設定することで後の一次被膜生成に
必要な酸化層の確保が行われる。
【0034】一次焼鈍温度は700〜950℃が好まし
い。ここで700℃は再結晶可能な下限温度であり、9
50℃は一次再結晶の粗大粒の発生を抑制する上限温度
である。さらに、AlNやSi3 4 インヒビターのN
をこの一次焼鈍時またはその後に窒化法等で強制添加す
る本発明においては上記の一次焼鈍中またはその直後に
引き続きアンモニア(NH3 )等で窒化法により窒化す
ることがしばしば行われる。この場合の窒化法の温度は
600〜950℃が好ましい。ここで600℃は窒化反
応を起こす下限であり、一方950℃は粗大粒発生を抑
える上限である。
【0035】本発明においては窒化は一次再結晶焼鈍後
に行うのが好ましいが、工業的には同じ炉内の後面に仕
切りを設けて雰囲気を必要に応じて多少変えて、NH3
ガスを流すか、近接した設備で行うため一次再結晶と平
行して窒化させることもしばしばある。この際前述のよ
うにN2 分圧が低い方が窒化量は大きく、好ましくは窒
素と水素の分圧比PN2/PH2は0.5以下が好ましい。
【0036】一次焼鈍の昇温開始から冷却終了までの
間、また上記窒化法を行う場合は一次再結晶後に鋼板表
面に最大部の深さの平均が2〜50μmの溝を機械的、
化学的、光学的、熱的、電気的その他のエネルギー照射
的な方法で規則的な配列で付与せしめる。溝の形成方法
は前述の通りであるが、溝の最大部の平均の深さが2μ
m未満では磁区細分化効果がない。一方、50μm超で
は深すぎて磁束の円滑な流れを妨げてかえって鉄損も悪
くなる。好ましくは5〜30μmが良い。
【0037】溝は規則的に配列されている方が良い。こ
れは、磁区細分化が規則的に行われるからである。通
常、鋼板長手方向に対し45度から直角までの角度を有
するほぼ一定のピッチで刻まれることが好ましい。45
度未満では磁区細分化の方向が磁性に好ましい結晶学的
方位と合わないからである。また、溝のピッチは2〜2
0mmが好ましい。2mm未満では磁区細分化が進みす
ぎて90°磁区が増え、鉄損特性も磁歪も悪い。一方、
20mm超では磁区細分化の効果がでない。
【0038】一次焼鈍あるいは必要に応じて上記窒化法
を行い、その後、酸化マグネシウム(MgOを主成分と
する。以下MgOと呼ぶ)パウダーを水または水を主成
分とする水溶液に溶かし、スラリー状にして鋼板に塗布
する。その際、後の二次再結晶焼鈍時にMgOパウダー
の溶融を容易にさせ、フォルステライト生成反応を促進
させる目的で、適当な化合物を微量添加することも行わ
れる。
【0039】TiO2 を添加する場合は1〜15%が好
ましいが、ここで1%はフォルステライト反応促進効果
を発揮する下限であり、15%超ではMgOが少なくな
ってかえってフォルステライト反応が進まない。Sb2
(SO4 3 等のアンチモン系の化合物はMgOを比較
的低温で溶融させるのに効果があり、添加を行う場合は
0.05〜5%が好ましい。ここで、0.05%は上記
低温溶融を起こす下限であり、一方5%を超える場合は
多すぎてMgOのフォルステライトの本来の反応を不活
性化する。
【0040】Na2 4 7 等のボロン系の化合物およ
びそれと同様の作用を持つストロンチウム・バリウム
系、炭・窒化物系、硫化物系、塩化物系の化合物はアン
チモン系よりは比較的高温でMgOを溶融させるのに効
果があり、添加する場合は0.05〜5%が好ましい。
ここで、0.05%は上記の効果を発揮する下限であ
り、一方5%超ではやはりMgOのフォルステライトの
本来の反応を不活性化するので好ましくない。
【0041】なお、これらの化合物は互いに複合して添
加することも可能である。ここで添加する化合物の%は
MgOの重量を100%としたときの重量比を%で示し
てある。本発明においては、さらにMgOパウダーに前
記の塩化物あるいは硫化物の1種類以上を添加すると、
仕上焼鈍後の一次被膜を平均0.3μm以下にでき、か
つ十分な二次再結晶方位が得られるが、これらの中でも
とりわけ塩化カルシウム(CaCl2 )、硫化カリウム
(K2 S)は有効である。これらは最低0.5%(Mg
O重量を100としたときの重量割合)以上あると効果
的である。20%超ではかえって被膜形成過程が不安定
となる。
【0042】二次再結晶焼鈍は最高到達温度を1100
〜1300℃で行うのが好ましい。1100℃は二次再
結晶が行われる下限の温度であり、一方1300℃超で
は結晶粒が粗大化し過ぎて鉄損特性の劣化を招く。この
二次再結晶焼鈍で重要な点は以下の通りである。本発明
ではMgOパウダーへの特殊添加物添加の効果でフォル
ステライトを主成分とする一次被膜が極端に少なくなる
か、あるいはなくなるので、焼鈍中に二次再結晶に必要
な窒素系のインヒビター(AlN、Si3 4 等)も仕
上焼鈍中に逃げ易い傾向があり、このため仕上焼鈍の雰
囲気ガス中の窒素分圧(PN2)を30%以上とすること
でこれを防ぐことが出来、安定した二次再結晶を得るこ
とが可能である。さらに二次再結晶焼鈍の昇温速度があ
まり大きすぎると、十分な二次再結晶を起こす前にイン
ヒビターが逃げ易いので、むしろ昇温速度を毎時30℃
以下に抑えた方が安定した磁気特性が得られる。なお、
前述のように、この二次再結晶焼鈍中の比較的前段階で
雰囲気等より窒素を追加添加する窒化法が行われること
もある。
【0043】以上が本発明の珪素鋼板の製造方法での重
要な部分であるが、工業的にはさらに絶縁特性や磁気特
性を向上させる目的で二次再結晶後の鋼板に有機質や無
機質による絶縁被膜を有する高張力被膜(コーティング
やゾルゲール法)を熱処理等と組み合わせて塗布するこ
とがとりわけ重要である。この理由は、本発明ではフォ
ルステライト等の高張力特性を有する一次被膜が極端に
少ないか、あるいはないために、それを補完すべく高張
力特性を有する絶縁被膜を塗布することが効果的である
からである。
【0044】
【実施例】表3に示すような化学成分の鋼を転炉で溶製
し、表3、表4(表3のつづき−1)、表5(表3のつ
づき−2)、表6(表3のつづき−3)に示すような条
件で方向性電磁鋼板を製造した。熱延板焼鈍を一部行っ
たが、この条件は1120℃×30秒間である。また冷
間圧延時のパス間エージングをB以外は行ったが、その
条件は250℃である。
【0045】なお、ここで本発明にとりわけ重要な一次
再結晶焼鈍に引き続く窒化は、同一炉内に仕切りを設け
た炉中内部分で同一ガス組成で雰囲気をドライにし、N
3ガスを一定量流して行ったものである。かかる一次
焼鈍後の窒化量(窒素量)を表4に示す。さらにこの鋼
板にパウダーを塗布したが、パウダーは水に溶解させス
ラリー状にして塗布後、350℃で乾燥させた。ここ
で、%はMgOの重量を100%としたときの重量比率
である。しかる後に、800℃〜最高到達温度の平均昇
温速度を種々変えて二次再結晶焼鈍を行った。ここでは
最高到達速度は1200℃である。さらにリン酸系の高
張力の絶縁被膜(二次被膜)を加熱塗布した後、板取り
し、歪取焼鈍850℃×4時間(N2 90%−H2 10
%、Dry)を行い、磁気測定試験を行った。表6にそ
の結果を示す。なお、溝の最大深さ、ピッチおよび圧延
方向との角度はいずれも二次再結晶焼鈍後の製品での測
定である。
【0046】磁気測定は60×300mmの単板のSS
T試験法で測定し、B8 (800A/mの磁束密度、単
位はテスラ)およびW17/50 (50Hzで1.7テスラ
のときの鉄損、単位はワット/kg)、W13/50 (50
Hzで1.3テスラのときの鉄損)を測定した。表6に
示すように、本発明の範囲に入っているものは鉄損が十
分低く、本発明の目的範囲に入っていることがわかる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、低鉄損でグラス被膜を
有しない方向性電磁鋼板を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次被膜の厚みと鉄損の関係を示す図である。
【図2】本発明製品の二次再結晶後の金属組織を示す金
属顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 穂高 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 黒木 克郎 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:1〜7%を含む鋼を溶製し、熱間
    圧延、冷間圧延、一次再結晶焼鈍および二次再結晶焼鈍
    を基本工程とする方向性電磁鋼板の製造において、一次
    再結晶焼鈍後の鋼板表面に最大部の深さの平均が2〜5
    0μmの溝を機械的、化学的、光学的、熱的、電気的そ
    の他のエネルギー照射的な方法で規則的な配列で付与
    し、その後に鋼板表面に、MgOを主成分とし塩化物お
    よび硫化物の少なくとも1種類以上を含む物質を鋼板表
    面に塗布し、その後に二次再結晶焼鈍を行うことを特徴
    とする磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】 一次再結晶焼鈍後に付与する溝の間隔
    (ピッチ)を2〜20mmの間とすることを特徴とする
    請求項1記載の磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板の製造
    法。
  3. 【請求項3】 一次再結晶焼鈍時またはその後に窒化を
    行うことを特徴とする請求項1または2記載の磁気鉄損
    の優れた方向性電磁鋼板の製造法。方法。
  4. 【請求項4】 塩化物として塩化カルシウム、硫化物と
    して硫化カリウムを添加する請求項1〜3のいずれかに
    記載の磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板の製造法。
  5. 【請求項5】 二次再結晶焼鈍時の昇温速度を毎時30
    ℃以下、また雰囲気ガス中の窒素分圧を30%以上とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の磁気鉄損の優れた方
    向性電磁鋼板の製造法。
  6. 【請求項6】 Si:1〜7%を含み、鋼板表面に最大
    部の深さの平均が2〜50μmの溝を、鋼板の圧延の長
    手方向から、45〜90度の方向に有し、平均二次再結
    晶断面粒径D(mm)の20%以下の断面粒径を有する
    微細結晶粒が総面積比率で15%以下を有し、かつ溝ピ
    ッチP(mm)に対してP/Dが0.02〜2であり、
    かつフォルステライトを主成分とする一次被膜の平均の
    厚みが0.3μm以下であることを特徴とする磁気鉄損
    の優れた方向性電磁鋼板。
  7. 【請求項7】 溝底部の一部にフォルステライトを主成
    分とする固形物質を有することを特徴とする請求項6記
    載の磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板。
JP4284787A 1992-06-26 1992-10-22 磁気鉄損の優れた方向性電磁鋼板およびその製造法 Withdrawn JPH06136552A (ja)

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KR93012299A KR960009170B1 (en) 1992-07-02 1993-07-01 Grain oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density and ultra iron loss and process for producing the same
EP93110517A EP0577124B1 (en) 1992-07-02 1993-07-01 Grain oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density and ultra low iron loss and process for producing the same
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003500541A (ja) * 1999-05-26 2003-01-07 アクシアイ スペシャリ テルニ エス.ピー.エイ. レーザー処理による方向性電磁ケイ素薄鋼板の磁気特性の改善方法
KR101409419B1 (ko) * 2012-05-17 2014-06-19 주식회사 포스코 방향성 전기강판의 자구 미세화 방법
WO2019151399A1 (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板およびこれを用いてなる変圧器の巻鉄心並びに巻鉄心の製造方法

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