JPH06135978A - アルケニルジルコニウム化合物とその合成方法 - Google Patents

アルケニルジルコニウム化合物とその合成方法

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JPH06135978A
JPH06135978A JP30822392A JP30822392A JPH06135978A JP H06135978 A JPH06135978 A JP H06135978A JP 30822392 A JP30822392 A JP 30822392A JP 30822392 A JP30822392 A JP 30822392A JP H06135978 A JPH06135978 A JP H06135978A
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formula
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JP30822392A
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Tamotsu Takahashi
高橋  保
Noriyuki Suzuki
教之 鈴木
Koichiro Aoyanagi
孝一郎 青柳
Ryuichiro Hara
隆一郎 原
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Tosoh Finechem Corp
Original Assignee
Tosoh Finechem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式[I] [式中、Cp1 ,Cp2 はシクロペンタジエニル基を示
し、R,R′は同一のあるいは相異なる水素あるいは炭
素数が1〜50の炭化水素基を示し、R″は炭素数が2〜
50の炭化水素基を示し、[A]はARA (Aは第16族元
素、RA は炭素数が1〜50の炭化水素基を示す)で表わ
される置換基を示す。]で表されるアルケニルジルコニ
ウム化合物。 【効果】 本発明により種々の置換基を位置及び立体選
択的に導入されたアルケニルジリコニウムを大量に合成
することが可能となり、医薬品、農薬等の精密化学分野
で極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明で得られるアルケニルジル
コニウム化合物は直ちに金属にトランスメタル化するこ
とができ種々の求電子的な基質と反応させることができ
る。例えばアルデヒド、ケトン等のカルボニル化合物へ
の付加反応によるアリルアルコール類の合成、ハロゲン
化アリール、アルケニルハライド等との還移金属触媒存
在下でのクロスカップリング反応による共役ジエンある
いはスチレン誘導体の合成、α,β−不飽和ケトン、
α,β−不飽和カルボン酸誘導体等への1,4−付加反
応、γ,δ−不飽和ケトン、γ,δ−不飽和カルボン酸
誘導体等の合成、ハロゲンによるハロゲン化アルケニル
の合成などに応用可能であり、本発明で得られるアルケ
ニルジルコニウム化合物はこれらの応用と合わせて主と
して医薬品、農薬等いわゆる精密化学分野あるいは触媒
として極めて有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】アルケ
ニル金属化合物の周知の調製方法としては、(1)ハロ
ゲン化アルケニルのリチウムやマグネシウム等の金属・
低原子価の金属塩又は有機金属錯体によるメタル化反
応、(2)アルキンの還移金属触媒下の有機金属化合物
のカルボメタル化反応、あるいは(3)三重結合を持つ
α,β−不飽和カルボニル化合物等への有機銅錯体の
1,4−付加反応等が知られている。
【0003】アルケニルジルコニウム化合物に限定する
と、上記(1)の方法で得たアルケニルリチウムあるい
はマグネシウム化合物をハロゲン化ジルコニウムあるい
はハロゲン化ジルコノセンと金属交換を行う方法、
(2)ではハロゲン化ジルコノセンを触媒として用いて
種々の有機金属化合物をカルボメタル化させるので使用
量を触媒量から1当量にすることによって得る方法など
が挙げられる。
【0004】しかしこれらの方法は、(1)では特に原
料の3置換ハロゲン化アルケニルで立体が制御されて導
入されているものの入手が困難である場合が多く、
(2)ではカルボメタル化反応がメチル基・エチル基の
導入以外の官能基の導入がほとんど困難であり、(3)
では三重結合を持つα,β−不飽和カルボニル化合物等
の有機銅錯体を1,4−付加させる基質、例えば2−ア
ルキン酸誘導体、α−アルキニルケトン等を用いた場合
しかできない等の制約が問題となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記欠点を克
服するため、全く新しい合成法を鋭意研究した結果、本
発明に到達した。
【0006】即ち本発明の化合物は、下記一般式[I] [式中、Cp1 ,Cp2 は次の一般式[II] (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
8 ,R9 及びR10は同一のあるいは相異なる水素ある
いは炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基
には反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良
く、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
8 ,R9 及びR10がそれぞれ結合して環を形成してい
ても良い。)で表されるシクロペンタジエニル基を示
し、R,R′は同一のあるいは相異なる水素あるいは炭
素数が1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基には反
応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良く、R,
R′がそれぞれ結合して環を形成していても良い。R″
は炭素数が2〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基に
は反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良い。
[A]は次の一般式[III] ARA [III] (式中、Aは第16族元素を示し、RA は炭素数が1〜50
の炭化水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及
ぼさない官能基を含んでいても良い。)で表される置換
基か、あるいは次の一般式[IV] A′RB C [IV] (式中、A′は第15族元素を示しRB ,RC は同一のあ
るいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化水素
基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官
能基を含んでいても良く、RB ,RC がそれぞれ結合し
て環を形成していても良い。)で表される置換基を示
す。]で表されることを特徴とするアルケニルジルコニ
ウム化合物である。
【0007】また本発明の上記アルケニルジルコニウム
化合物の合成方法は、次の一般式[VIII] (式中、R,R′は同一のあるいは相異なる水素あるい
は炭素数1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基には
反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良く、
R,R′がそれぞれ結合して環を形成していても良
い。)で表されるアセチレン誘導体あるいは次の一般式
[IX] (式中、R1 ,R2 ,R3 及びR4 は同一のあるいは相
異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化水素基を示
し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を
含んでいても良く、R1 ,R2 ,R3 及びR4 がそれぞ
れ結合して環を形成していても良い。)で表されるエチ
レン誘導体より、周知の方法で次の一般式[XII] (式中、Cp1 ,Cp2 は一般式[II] (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
8 ,R9 及びR10は同一のあるいは相異なる水素ある
いは炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基
には反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良
く、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
8 ,R9 及びR10がそれぞれ結合して環を形成してい
ても良い。)で表されるシクロペンタジエニル基を示
し、R,R′,R″及びR''' は同一のあるいは相異な
る水素あるいは炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、該
炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を含んで
いても良く、R,R′,R″及びR''' がそれぞれ結合
して環を形成していても良い。)で表される2,4−ジ
ルコナシクロペンタジエン誘導体、あるいは一般式[XII
I] (式中、Cp1 ,Cp2 は上記一般式[II]で表される
シクロペンタジエニル基を示し、R,R′は同一のある
いは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化水素基
を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能
基を含んでいても良く、R,R′がそれぞれ結合して環
を形成していても良い。R1 ,R2 ,R3及びR4 は同
一のあるいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭
化水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさ
ない官能基を含んでいても良く、R1 ,R2 ,R3 及び
4 がそれぞれ結合して環を形成していても良い。)で
表される2−ジルコナシクロペンテン誘導体を製造し、
これらの環状ジルコニウム化合物に次の一般式[X] RA AH [X] (式中、RA は炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、該
炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を含んで
いても良く、Aは第16族の元素を示す。)で表される化
合物、あるいは一般式[XI] RB C A′H [XI] (式中、A′は第15族の元素を示し、RB ,RC は同一
のあるいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化
水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさな
い官能基を含んでいても良く、RB ,RC がそれぞれ結
合して環を形成していても良い。)で表される化合物に
よって立体化学を損ねることなく一方の炭素−ジルコニ
ウム結合をプロトン化して切断することによって目的と
する上記一般式[I]で表されるアルケニルジルコニウ
化合物を製造する方法を要旨とするものである。
【0008】
【作用】本発明の概要は、アセチレン誘導体と反応に影
響を及ぼさないエチレン誘導体、あるいは2種類のアセ
チレン誘導体を適当なジルコノセン誘導体のジルコニウ
ム上で選択的にクロスカップリングをさせる事によって
ジルコナシクロペンタジエンあるいはジルコナシクロペ
ンテン誘導体を得て、これを適当な反応性の活性プロト
ンを持つ化合物によって立体化学を損なうことなく一方
の炭素−ジルコニウム結合のみを選択的にプロトン化す
ることによって得られるアルケニルジルコニウム化合
物、中でも立体化学を高度に制御しながら3置換のアル
ケニルジルコニウム化合物で有ることを最も重要な特徴
とする。
【0009】以下本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明で使用される上記一般式[VIII]で表されるア
セチレン誘導体は周知の方法によって合成される。例え
ば新実験化学講座14有機化合物の合成と反応I(昭和52
年11月20日発行;編者社団法人日本化学会;発行所丸善
株式会社) 253〜306 ページに記載されている方法など
を用いて得ることができる。
【0010】また本発明で使用される上記一般式[IX]
で表されるエチレン誘導体は周知の方法によって合成さ
れる。例えば単純な炭化水素系エチレン誘導体ならば新
実験化学講座14有機化合物の合成と反応I(昭和52年11
月20日発行;編者社団法人日本化学会;発行所丸善株式
会社) 114〜252 ページに記載されている方法などを用
いて、アルケニル金属誘導体ならば新実験化学講座12有
機金属化学(昭和52年11月20日発行;編者社団法人日本
化学会;発行所丸善株式会社)に記載されている方法な
どを用いて、その他ヘテロ置換のエチレン誘導体ならば
新実験化学講座14有機化合物の合成と反応I〜IVに記載
されている方法を用いて合成される。
【0011】一方本発明で使用される次の一般式[V] Cp1 Cp2 ZrX2 [V] (式中、Xはハロゲンを示し、Cp1 ,Cp2 は上記一
般式[II]で表されるシクロペンタジエニル基を示
す。)で表されるハロゲン化ジルコノセンは周知の方法
によって合成される。例えば代表的なハロゲン化ジルコ
ノセンとしてクロロビス(η−シクロペンタジエニル)
ジルコニウム(IV)ならば新実験化学講座12有機金属化
学I(昭和51年3月20日発行;編者社団法人化学会;発
行所丸善株式会社)92ページに記載されている方法など
を用いて得ることができる。
【0012】さらに一般式[V]で表されるハロゲン化
ジルコノセンは、周知の方法によって合成される。例え
ばOrganometallics 7, 138(1988)等で次の一般式[VI] RnMgX2-n [VI] (式中、Xはハロゲンを示し、Rは炭素数2〜50の炭化
水素基を示し該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない
官能基を含んでいて良く、nは1又は2の実数を示
す。)で表される有機マグネシウム化合物、あるいは一
般式[VII] RLi [VII] (式中、Rは炭素数2〜50の炭化水素基を示し、該炭化
水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいて
も良い。)で表される有機リチウム化合物2当量と反応
させると、次の一般式[XIV] (式中、Cp1 ,Cp2 は上記一般式[II]で表される
シクロペンタジエニル基を示し、Rは炭素数が2〜50の
炭化水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼ
さない官能基を含んでいても良い。)で表されるジアル
キルジルコノセン誘導体となり、この化合物は生成する
と直ちに不均化反応を起こして次の一般式[XV] (式中、Cp1 ,Cp2 は上記一般式[II]で表される
シクロペンタジエニル基を示し、ここに示されるエチレ
ン誘導体 は一般式[XIV] で表されるジアルキルジルコノセン誘導
体の置換基RからRのジルコニウムと結合している炭素
に隣接する炭素上の水素が失われたエチレン誘導体を表
し、R1 ,R2 ,R3 及びR4 は一般式[XIV] で表され
るジアルキルジルコノセン誘導体の置換基Rに対応する
同一のあるいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の
炭化水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼ
さない官能基を含んでいても良く、R1 ,R2 ,R3
びR4 がそれぞれ結合して環を形成していても良い。)
で表される2価のジルコノセン誘導体を生成し、得られ
た2価のジルコノセン誘導体に上記一般式[VIII]で表さ
れるアセチレン誘導体2種類を1当量ずつあるいは1種
類を2当量反応させると、上記一般式[XII] で表される
2,4−ジルコナシクロペンタジエン誘導体に、一般式
[VIII]で表されるアセチレン誘導体1当量と一般式[I
X]で表されるエチレン誘導体1当量を混合すると上記
一般式[XIII]で表される2−ジルコナシクロペンテン誘
導体等の5員環の環状有機ジルコニウム化合物が生成す
る。
【0013】この環状有機ジルコニウム化合物に活性プ
ロトンをもつ上記一般式[X]あるいは[XI]で表され
る化合物を反応させることによって二重結合の立体を全
く損なうことなく上記一般式[XII] で表される2,4−
ジルコナシクロペンタジエンの場合には置換基によって
1位と2位あるいは1位と5位の炭素−ジルコニウム結
合が、一般式[XIII]で表される2−ジルコナシクロペン
テン誘導体の場合には1位と5位の炭素−ジルコニウム
結合がプロトン化して切断され、本発明で目的とする上
記一般式[I]で表されるアルケニルジルコニウム誘導
体を得ることができる。
【0014】また一般式[XV]で表される2価のジルコ
ニウム錯体の調製温度は一般に-100〜30℃、好ましくは
-80〜0℃であり、調製時間は使用する一般式[VI]で
表される有機マグネシウム化合物あるいは一般式[VII]
で表される有機リチウム化合物によって異なるが 0.5〜
数時間で充分である。得られた一般式[XV]で表される
2価のジルコニウム錯体と一般式[VIII]で表されるアセ
チレン誘導体あるいは一般式[IX]で表されるエチレン
誘導体との反応では投入する順は反応に影響が無い場合
は全く関係無いが、アセチレン誘導体あるいはエチレン
誘導体が反応に使用する有機マグネシウム化合物あるい
は有機リチウム化合物と反応してしまう場合には2価の
ジルコニウム錯体を調製した後にアセチレン誘導体ある
いはエチレン誘導体を反応させることが望ましい。反応
温度は-100〜50℃、好ましくは-50 〜30℃で反応時間は
0.5〜数時間で充分である。
【0015】上記の炭素−ジルコニウム結合をプロトン
化して切断するのに使用する活性プロトンをもつ一般式
[X]で表される化合物としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール等の1価飽和アルコール類、あ
るいは酢酸、安息鉱酸、フェノール、メタンチオール、
エタンチオール、チオフェノール等が、一般式[XI]で
表される化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルア
ミン、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアミン等の2
級アミン類等非常に多くあるが、好ましくはメタノール
やエタノールなどの1価飽和アルコール類の使用で、反
応の条件としては、-100〜50℃、好ましくは -20〜30℃
で 0.5〜数時間で充分である。
【0016】また本発明で使用される不活性溶媒として
は反応に影響を及ぼさないテトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエ
タン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素を挙げることがで
きる。
【0017】得られた一般式[I]で表されるアルケニ
ルジルコニウム錯体は精製することなく次に使用し、安
定な化合物まで誘導してその目的を達する。
【0018】また前記したように本発明で使用さるアセ
チレン誘導体は一般式[VIII]で表される化合物である。
【0019】同じく本発明で使用されるエチレン誘導体
は一般式[IX]で表される化合物であり、望ましくは一
般式 H2 C=CHR (式中、Rは水素あるいは炭素数1〜50の炭化水素基を
示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基
を含んでいても良い。)で表されるエチレン、プロピレ
ンあるいはスチレン等の未置換あるいは1置換エチレン
誘導体であり、更に望ましくはあるいは有効であるの
は、上記式中Rに次の一般式 R1 2 3 14 (式中、M14は第14族元素を示し、R1 ,R2 及びR3
は同一のあるいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50
の炭化水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及
ぼさない官能基を含んでいても良く、R1 ,R2 及びR
3 がそれぞれ結合して環を形成していても良い。)で表
される置換基で例えばトリアルキルシリル基、トリアル
キルスタニル基等、あるいは一般式 R1 2 13 (式中、M13は第13族元素を示し、R1 ,R2 は同一の
あるいは相異なる炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、
該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を含ん
でいても良く、R1 ,R2 がそれぞれ結合して環を形成
していても良い。)で表される置換基をもつ場合で、そ
の場合炭素−ジルコニウム結合だけでなく当該炭素−金
属元素結合も別に反応させることができる。
【0020】中でも、第14族元素をもつ置換基であるト
リアルキルシリル基、トリアルキルスタニル基、第13族
元素をもつ置換基であるジアルキルボリル基は反応性が
炭素−ジルコニウム結合に比べて著しく穏やかで、炭素
−ジルコニウム結合を別の基質と反応させる反応条件で
は通常反応しないため炭素−ジルコニウム結合だけを先
に反応させた後さらに各々の炭素−金属元素結合を反応
に使用できる長所がある。即ち、得られたアルケニルジ
ルコニウム化合物を2度にわたって反応に使用すること
が可能となり、この特徴を利用することにより複雑な化
学構造を持つ種々の有機化合物の合成に応用でき医薬あ
るいは農薬等のいわゆる精密化学分野に極めて需要な手
段を提供するものとなる。
【0021】このようなアルケニルジルコニウム化合物
は、使用するアセチレン誘導体あるいはエチレン誘導体
を選択することにより目的とするアルケニルジルコニウ
ム化合物のアルケニル基の置換基の位置及び立体選択的
な導入が可能となり合成化学上種々の反応に利用され
る。
【0022】例えば、他の方法で得られるアルケニル金
属化合物はカルボニル化合物のアルケニル化によるケト
ン類やアルコール類の合成、ハロゲンとの反応によるハ
ロゲン化アルケニルの合成、他のハロゲン化アルケニル
とのニッケルやパラジウム触媒下でのクロスカップリン
グ反応等非常に多くの有機合成反応への応用が可能であ
る。また、第4族の有機金属錯体なので重合触媒への応
用をしても良い。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに説明する。
【0024】(実施例1) 4−エチル−5−ヨウ化−(E)−4−オンテンの合成
【0025】窒素置換した20ml用シュレンク反応容器
に、ジルコノセンジクロリド(0.292g,1.00mmol)を取
り乾燥THF(5ml)を入れ、メタノール−ドライアイ
ス浴にて -78℃に冷却する。かき混ぜながら臭化エチル
マグネシウム(0.93M/THF 溶液、2.15ml, 2.0mmol)をシ
リンジよりゆっくり加え、1時間攪拌する。4−オクチ
ン(147.5μl,1.0mmol)を加えた後、冷却用浴をはずし
1時間攪拌した後、室温でメタノール(40.5μl,1.0m
mol)を加えさらに1時間攪拌する。反応溶液を氷冷し別
のシュレンク反応溶液にヨウ素(0.381g,1.5mmol)をと
り3mlのTHFに溶かした溶液をカニュラを用いて導入
する。反応溶液を室温に戻して1時間攪拌した後、3N
程度の塩酸水溶液を加えて反応を終了させ分液する。水
層をジエチルエーテルで3回抽出し有機層を合わせて少
量の5%炭酸ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウ
ム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウム
で乾燥する。
【0026】濃縮後クーゲルロール蒸留装置で蒸留する
ことにより4−エチル−5−ヨウ化−(E)−4−オク
テンがGC収率:78%、純度:>99%で得られた。
【0027】
【0028】(実施例2) 1−ヨウ化−1,2−ジフェニル−(E)−1−ブテン
の合成
【0029】窒素置換した20ml用シュレンク反応容器
に、ジルコノセンジクロリド(0.292g,1.00mmol)を取
り乾燥THF(5ml)を入れ、メタノール−ドライアイ
ス浴にて -78℃に冷却する。かき混ぜながら臭化エチル
マグネシウム(0.93M/THF 溶液、2.15ml, 2.0mmol)をシ
リンジよりゆっくり加え、1時間攪拌する。1,2−ジ
フェニルアセチレン(0.178g,1.0mmol)を加えた後、冷
却用浴をはずし1時間攪拌した後、室温でメタノール
(40.5μl,1.0mmol)を加えさらに1時間攪拌する。反
応溶液を氷冷し別のシュレンク反応溶液にヨウ素(0.381
g,1.5mmol)をとり3mlのTHFに溶かした溶液をカニ
ュラを用いて導入する。反応溶液を室温に戻して1時間
攪拌した後、3N程度の塩酸水溶液を加えて反応を終了
させ分液する。水層をジエチルエーテルで3回抽出し有
機層を合わせて少量の5%炭酸ナトリウム水溶液、飽和
チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、
硫酸マグネシウムで乾燥する。
【0030】濃縮後ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲ
ルフラッシュカラムで精製すると1−ヨウ化−1,2−
ジフェニル−(E)−1−ブテンがGC収率:73%、純
度:>91%で得られた。
【0031】
【0032】(実施例3) 4−ヨウ化−5−トリメチルシリルエチル−(Z)−4
−オクテンの合成
【0033】実施例1における臭化エチルマグネシウム
の代りにn−ブチルリチウム(1.63M/ヘキサン溶液、
1.23ml, 2.0mmol)を用い、また、4−オクチンを加える
際に同時にトリメチルビニルシラン(0.77ml, 5mmol)を
加える。以下同様の操作を行うと4−ヨウ化−5−トリ
メチルシリルエチル−(Z)−4−オクテンが80%の収
率で得られた。
【0034】
【0035】(実施例4) 1−ヨウ化−1,2−ジフェニル−4−トリメチルシリ
ル−(Z)−1−ブテンの合成
【0036】実施例1における臭化エチルマグネシウム
の代りにn−ブチルリチウム(1.63M/ヘキサン溶液、
1.23ml, 2.0mmol)を用い、4−オクチンの代りにジフェ
ニルアセチレン(178mg, 1.0mmol)を加え、ジフェニルア
セチレンを加える際に同時にトリメチルビニルシラン
(0.77ml, 5mmol)を加える。以下同様の操作を行うと1
−ヨウ化−1,2−ジフェニル−4−トリメチルシリル
−(Z)−1−ブテンを69%の収率で得た。
【0037】
【0038】(実施例5) 1−ヨウ化−1−フェニル−2−メチル−4−トリメチ
ルシリル−(Z)−1−ブテンの合成
【0039】実施例4におけるジフェニルアセチレンの
代りに1−フェニル−1−プロピン(116mg, 1mmol)を用
い、以下同様の操作を行うと1−ヨウ化−1−フェニル
−2−メチル−4−トリメチルシリル−(Z)−1−ブ
テンを80%の収率で得た。
【0040】
【0041】(実施例6) 3−エチル−4−ヨウ化−3−ヘキセンの合成
【0042】実施例1における4−オクチンの代りに3
−ヘキシンを用い同様の操作を行うと3−エチル−4−
ヨウ化−3−ヘキセンを67%の収率で得た。
【0043】
【0044】(実施例7) 1−ヨウ化−1−フェニル−2−メチル−(Z)−1−
ブテンの合成
【0045】実施例1における4−オクチンの代りに1
−フェニル−1−プロピン(116mg,1mmol)を用いて以下
同様の操作を行うと1−ヨウ化−1−フェニル−2−メ
チル−(Z)−1−ブテンを48%の収率で得た。
【0046】
【0047】
【発明の効果】本発明のアルケニルジルコニウム錯体を
用いることにより、種々の置換基を位置及び立体選択的
に導入されたアルケニルジルコニウムを大量に合成する
ことが可能となり、医薬あるいは農薬等のいわゆる精密
化学分野、又は触媒分野等で極めて有用であり、産業上
顕著な効果を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I] [式中、Cp1 ,Cp2 は次の一般式[II] (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
    8 ,R9 及びR10は同一のあるいは相異なる水素ある
    いは炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基
    には反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良
    く、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7
    8 ,R9 及びR10がそれぞれ結合して環を形成してい
    ても良い。)で表されるシクロペンタジエニル基を示
    し、R,R′は同一のあるいは相異なる水素あるいは炭
    素数が1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基には反
    応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良く、R,
    R′がそれぞれ結合して環を形成していても良い。R″
    は炭素数が2〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基に
    は反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良い。
    [A]は次の一般式[III] ARA [III] (式中、Aは第16族元素を示し、RA は炭素数が1〜50
    の炭化水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及
    ぼさない官能基を含んでいても良い。)で表される置換
    基か、あるいは次の一般式[IV] A′RB C [IV] (式中、A′は第15族元素を示しRB ,RC は同一のあ
    るいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化水素
    基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官
    能基を含んでいても良く、RB ,RC がそれぞれ結合し
    て環を形成していても良い。)で表される置換基を示
    す。]で表されるアルケニルジルコニウム化合物。
  2. 【請求項2】 次の一般式[V] Cp1 Cp2 ZrX2 [V] (式中、Xはハロゲンを示し、Cp1 ,Cp2 は一般式
    [II]で表されるシクロペンタジエニル基を示す。)で
    表されるハロゲン化ジルコノセンを、一般式[VI] Rn MgX2-n [VI] (式中、Xはハロゲンを示し、Rは炭素数2〜50の炭化
    水素基を示し該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない
    官能基を含んでいて良く、nは1又は2の実数を示
    す。)で表される有機マグネシウム化合物あるいは一般
    式[VII] RLi [VII] (式中、Rは炭素数2〜50の炭化水素基を示し、該炭化
    水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいて
    も良い。)で表される有機リチウム化合物と、一般式[V
    III] (式中、R,R′は同一のあるいは相異なる水素あるい
    は炭素数1〜50の炭化水素基を示し、該炭化水素基には
    反応に影響を及ぼさない官能基を含んでいても良く、
    R,R′がそれぞれ結合して環を形成していても良
    い。)で表されるアセチレン誘導体と、一般式[IX] (式中、R1 ,R2 ,R3 及びR4 は同一のあるいは相
    異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化水素基を示
    し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を
    含んでいても良く、R1 ,R2 ,R3 及びR4 がそれぞ
    れ結合して環を形成していても良い。)で表されるエチ
    レン誘導体と、一般式[X] RA AH [X] (式中、RA は炭素数が1〜50の炭化水素基を示し、該
    炭化水素基には反応に影響を及ぼさない官能基を含んで
    いても良く、Aは第16族の元素を示す。)で表される化
    合物あるいは一般式[XI] RB C A′H [XI] (式中、A′は第15族の元素を示し、RB ,RC は同一
    のあるいは相異なる水素あるいは炭素数が1〜50の炭化
    水素基を示し、該炭化水素基には反応に影響を及ぼさな
    い官能基を含んでいても良く、RB ,RC がそれぞれ結
    合して環を形成していても良い。)で表される化合物を
    反応させることを特徴とした請求項1記載の一般式
    [I]で表されるアルケニルジルコニウム化合物を合成
    する方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において一般式[IX]で表され
    るエチレン誘導体に代えて一般式[VIII]で表される同一
    のあるいは相異なるアセチレン誘導体を反応させること
    を特徴とした請求項1記載の一般式[I]で表されるア
    ルケニルジルコニウム化合物を合成する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009022633A1 (ja) 2007-08-10 2009-02-19 Astellas Pharma Inc. 二環式アシルグアニジン誘導体

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WO2009022633A1 (ja) 2007-08-10 2009-02-19 Astellas Pharma Inc. 二環式アシルグアニジン誘導体

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