JPH06129490A - トーショナルダンパの振動減衰装置 - Google Patents

トーショナルダンパの振動減衰装置

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JPH06129490A
JPH06129490A JP27876992A JP27876992A JPH06129490A JP H06129490 A JPH06129490 A JP H06129490A JP 27876992 A JP27876992 A JP 27876992A JP 27876992 A JP27876992 A JP 27876992A JP H06129490 A JPH06129490 A JP H06129490A
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JP
Japan
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vibration damping
torsional damper
displacement
plate
resonance
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Application number
JP27876992A
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English (en)
Inventor
Taku Murasugi
卓 村杉
Yoshiro Morimoto
佳郎 守本
Shoichi Tsuchiya
章一 土屋
Tatsuya Morishita
達也 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Unisia Automotive Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Unisia Jecs Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トーショナルダンパ用の振動減衰装置を、こ
れがトーショナルダンパの緩衝機能に影響することのな
いようにすると共に、複数の要求振動減衰力特性を同時
に満足させ得るようにする。 【構成】 クランクシャフト1とコンバータカバー5と
の間をトーショナルダンパ3で結合し、このダンパ故に
生ずる共振を防止するための振動減衰装置4は、2種の
円周方向遊び角をもってカバー5側のプレート11に回
転係合する摩擦ブロック14,15と、これらをクラン
クシャフト1側のプレート8,9に摩擦係合させるばね
17とで構成する。小さい遊び角と大きい遊び角との間
では摩擦ブロック14のみが共振を防止し、それ以上で
は摩擦ブロック15も共振を防止する。よって、振動減
衰力が段階的となり、複数の減衰力特性を満足させ得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転伝動系、特にエンジ
ン等のようにトルク変動を伴う原動機の伝動系に緩衝の
目的で挿入したトーショナルダンパと共に用いる振動減
衰装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トーショナルダンパとしては従来例え
ば、実開昭58ー144146号公報に記載の如きもの
があり、これはエンジンからの回転動力をトーションス
プリングを介して緩衝下に伝達することによりトルク変
動を吸収することを狙ったものである。
【0003】ところで、かかるトーショナルダンパを用
いた場合、エンジン及びトルクコンバータを含む伝動系
につき説明すると、エンジンに係わるイナーシャIE
トルクコンバータに係わるイナーシャIC 及びトーショ
ナルダンパに係わる捩りばね定数Kを含む振動系が成立
し、これが
【数1】 f=〔K(IE +IC )/(IE ×IC )〕1/2 で表される周波数fにおいて激しい共振を起こし、異音
や伝動部品の破損を生ずる。
【0004】そこで従来、特開昭55−163360号
公報により、トーショナルダンパの前後における回転体
の相対回転振動を摩擦抵抗により減衰させる摩擦抵抗型
振動減衰技術が提案された。
【0005】その他に、西独のVOITH社より「ハイ
ドロダンプ」の商品名で市販されているフライホイルダ
ンパに見られるように、トーショナルダンパの前後にお
ける回転体間の相対回転振動を粘性抵抗で減衰させるよ
うにした粘性抵抗型振動減衰技術も提案されている。
【0006】これら先行技術においては更に、摩擦抵抗
や粘性抵抗等の変位抵抗を、トーショナルダンパの前後
における回転体間に相対変位が生ずるや否や付与する
と、原動機のトルク変動が上記変位抵抗を通じて伝達さ
れてしまい、トーショナルダンパの本来の緩衝性能が損
なわれるため、振動減衰機構に、変位抵抗を生じない遊
び角を設定する技術も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、摩擦抵抗式
か、粘性抵抗式かを問わず、従来の変位抵抗型振動減衰
装置にあっては、回転体間相対変位に対する振動減衰力
特性が図19及び図20に示す如きものであったため、
以下の問題を生ずる。
【0008】図19は摩擦抵抗型振動減衰装置が生起し
て振動減衰の用に供するヒステリシストルクの変化特性
を、また図20は粘性抵抗型振動減衰装置が生起して振
動減衰の用に供する粘性抵抗の変化特性を夫々示す。こ
れら変化特性から明らかなように、いずれの場合も遊び
角がなくなる回転体間相対変位±θ0 でいきなり最大減
衰力を±T0 及び最大減衰率C0 を発生し、以後この最
大減衰力を維持する。
【0009】ところで、例えばトーショナルダンパ付き
のトルクコンバータを介してエンジンを結合した自動変
速機につき説明するに、例えばアイドリング運転中の共
振対策と、エンジン始動時の共振対策とでは振動減衰を
行うべき共振時の相対変位量が異なり、また要求振動減
衰力も異なる。従って、振動減衰を行わない遊び角は、
どの時点を狙った共振対策かによって異ならせる必要が
あり、またこれに応じて振動減衰力も異ならせる必要が
ある。
【0010】しかして従来のように、遊び角がなくなる
回転体間相対変位で、いきなり最大減衰力を発生し、以
後この最大減衰力を維持する構成では、アイドリング運
転中の共振対策に適した遊び角及び振動減衰力特性に設
定すると、エンジン始動時の共振対策として適切なもの
でなくなり、逆にエンジン始動時の共振対策に適した遊
び角及び振動減衰力特性に設定すると、アイドリング運
転中の共振対策に適切なものでなくなるといったよう
に、片方が犠牲になるのを免れず、両者の要求を共に満
足させることができない。
【0011】また従来のように、遊び角がなくなる回転
体間相対変位で、いきなり最大減衰力を発生するので
は、遊び角以上の相対変位が発生した時、遊び角を設定
する例えばスプライン歯相互の衝突に伴う音が大きくな
るのを免れず、この点でも従来の振動減衰装置は問題が
あった。
【0012】本発明は、減衰力が回転体間相対変位に対
し段階的に大きくなる特性にして、例えば上記したアイ
ドリング運転中の共振対策と、エンジン始動時の共振対
策との双方の要求を共に満足させ得るようにすることを
第1目的とし、各段階での減衰力を確実に要求値に持ち
来し得るようにすることを第2目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1目的のた
めに、原動機により回転される第1回転体と、これから
の回転を入力されるべき第2回転体との間を緩衝下に駆
動結合するトーショナルダンパと共に用いられ、前記両
回転体の相対回転振動を相対変位抵抗により減衰する変
位抵抗型振動減衰装置において、前記相対変位抵抗を生
起させる変位抵抗器を複数個設け、これら変位抵抗器に
それぞれ相対変位抵抗を生じない遊び角を設定し、該遊
び角を複数種設定した構成に特徴づけられる。
【0014】また本発明は、第2目的のために、上記の
構成において更に、上記遊び角の異なる変位抵抗器間で
変位抵抗特性を異ならせたことを特徴とする。
【0015】
【作用】原動機により回転される第1回転体の回転はト
ーショナルダンパを介して第2回転体に伝わり、この時
トーショナルダンパはトルク変動を吸収しつつ上記の動
力伝達を滑らかに行う。そしてこの間振動減衰装置は、
トーショナルダンパを含む伝動系が共振すると、これに
伴う第1及び第2回転体の相対回転振動を相対変位抵抗
により減衰させ、共振を防止することができる。
【0016】ところで、上記相対変位抵抗を生起させる
変位抵抗器を複数個設け、これらに夫々相対変位抵抗を
生じさない遊び角を設定すると共に、該遊び角を複数種
設定したから、第1及び第2回転体間の相対変位に対し
て変位抵抗(減衰力)が段階的に大きくなる減衰力特性
を達成することができる。従って例えば、遊び角を比較
的小さくする必要があると共に減衰力が比較的小さくて
よいアイドリング運転中の共振対策と、遊び角を比較的
大きくする必要があると共に減衰力も比較的大きくすべ
きエンジン始動時の共振対策とを、共に満足させ得るよ
うに両立させることができる。
【0017】更に、上記の如く段階的に大きくなる減衰
力特性によれば、遊び角以上の相対変位が発生した時に
衝突する例えばスプライン歯相互の衝突音も小さくなっ
て、好都合である。
【0018】なお、上記の構成において更に、上記遊び
角の異なる変位抵抗器間で変位抵抗特性を異ならせる構
成を付加する場合、これら特性の設定次第により、各変
化段階での減衰力を確実に要求値に持ち来すことができ
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1及び図2は自動変速機の入力段に用いる
トルクコンバータと、エンジンとの間の結合部に採用す
るトーショナルダンパ用として構成した本発明振動減衰
装置の一実施例を示し、1は第1回転体としてのエンジ
ンクランクシャフト、2は第2回転体としてのトルクコ
ンバータ、3はこれら両者間を駆動結合するトーショナ
ルダンパ、4はここでは摩擦抵抗型として構成した振動
減衰装置である。
【0020】トルクコンバータ2は、その入力要素とし
ての図示せざるポンプインペラに結着したコンバータカ
バー5を具え、このコンバータカバー5をトーショナル
ダンパ3を介してエンジンクランクシャフト1に駆動結
合する。トルクコンバータ2は、コンバータカバー5を
介してエンジン駆動されるポンプインペラ及びこれに対
設したタービンランナ並びにこれらの間に介在させたス
テータ(共に図示せず)を具え、ポンプインペラにより
内部作動流体を介しタービンランナを、ステータによる
反力下でトルク増大しつつ、またトルク変動を吸収しつ
つ流体駆動することにより所定の動力伝達を行うものと
する。
【0021】トルクコンバータ2は更に、ロックアップ
クラッチ6を具え、該ロックアップクラッチ6の締結時
コンバータカバー5及びタービンランナ間を直結(ロッ
クアップ)してトルクコンバータ2の所謂スリップをな
くし得るロックアップ式トルクコンバータとする。この
直結は、トルクコンバータ2の上記トルク増大機能及び
トルク変動吸収機能が不要なエンジン運転状態で実行さ
せ、スリップがなくなる分トルクコンバータの伝動効率
を高めることができる。
【0022】エンジンクランクシャフト1及びコンバー
タカバー5間を駆動結合するトーショナルダンパ3は、
エンジンクランクシャフト1の軸端にボルト7で結合し
た一対のドライブプレート8,9と、コンバータカバー
5の端面にボルト10で結合したドリブンプレート11
と、中間板12と、トーションスプリング13とで通常
通りに構成する。即ち、ドリブンプレート11及び中間
板12はドライブプレート8,9間に介在させ、中間板
12をドライブプレート9に駆動結合する。そしてトー
ションスプリング13は、ドリブンプレート11の円周
方向に長い矩形窓11a内に配置してドライブプレート
8,9間に抱持し、更に矩形窓11a内に浸入する中間
板12の突耳12aの円周方向両側に夫々配して、エン
ジンクランクシャフト1及びコンバータカバー5間での
伝動中所定の緩衝機能を果たすものとする。
【0023】ところで、本例においては特に、摩擦抵抗
型振動減衰装置4を以下の如き複数個の摩擦式変位抵抗
器4a,4bで構成する。これら変位抵抗器4a,4b
は全て基本的には同じもので、ドリブンプレート11に
形成した円周方向に長い矩形窓11b,11c内に、円
周方向への隙間α,βをもって摺動自在に嵌合した摩擦
ブロック14,15を具え、これらを共通なリング16
aを介し皿ばね17によりドライブプレート8に押圧す
る。リング16は外周に軸方向へ延在する爪16aを有
し、これらをドライブプレート9に係着してリング16
をドライブプレート9と共に回転させる。ここで、隙間
α,βは相互に異ならせてα<βとし、このようにα,
βを異ならせるに当たっては、摩擦ブロック14及び1
5の幅を違わせたり、矩形窓11b,11cの円周方向
長さを違わせることにより、その目的を達成することが
できる。
【0024】上記実施例の作用を次ぎに説明する。クラ
ンクシャフト1からのエンジン動力はトーショナルダン
パ3を経てコンバータカバー5に入力され、このエンジ
ン動力をトルクコンバータ2は前記の作用により例えば
自動変速機に入力する。この際トーショナルダンパ3
は、トーションスプリング13を介して動力伝達を行う
ため、緩衝機能によりエンジンのトルク変動を吸収する
ことができ、滑らかな動力伝達を可能ならしめる。
【0025】一方、トーショナルダンパ3を設けたため
に上記の伝動系は、或る共振周波数で共振する傾向にあ
るが、摩擦抵抗型振動減衰装置4は以下の作用によりこ
の共振を抑制することができる。即ち、摩擦ブロック1
4,15はドライブプレート8及びリング16間に挟圧
されて当初ドライブプレート8,9と共に回転し、矩形
窓11b,11c内で隙間α,βだけドリブンプレート
11に対し相対変位する。この間摩擦ブロック14,1
5は、ドライブプレート8,9とドリブンプレート11
との間の相対回転に摩擦抵抗を付与しないため、振動減
衰装置4が当該相対回転を制限することはなく、よって
振動減衰装置4によるヒステリシストルク(振動減衰
力)は図3に示すように中立近辺で0になり、この領域
でトーショナルダンパ3の前記緩衝機能を、振動減衰装
置4の存在にも関わらず確実に有効ならしめ、トーショ
ナルダンパ3によるトルク変動吸収機能を確実なものに
し得る。
【0026】前記共振に伴い隙間αがなくなるようなド
ライブプレート8,9とドリブンプレート11との間の
大きな相対回転を生ずる領域では、つまり図3に±θ1
で示す遊び角を越える領域では、摩擦ブロック14は矩
形窓11bの端縁と衝接してドリブンプレート11に対
し相対変位し得なくなる。これがため、摩擦ブロック1
4は、ドライブプレート8及びリング16上を摺動する
こととなり、摩擦ブロック14とドライブプレート8及
びリング16との間に摩擦抵抗が発生する。よって、摩
擦ブロック14を主たる構成要素とする変位抵抗器4a
は当該領域で図3に示すように、上記摩擦抵抗で決まる
ヒステリシストルク(振動減衰力)±T 1 をドライブプ
レート8,9とドリブンプレート11との間の相対回転
に付与する。これにより、当該領域におけるドライブプ
レート8,9とドリブンプレート11との間の相対回転
が抑制されて、対応する共振を防止し、共振に伴う振動
や伝動部品の破損を確実に防止することができる。
【0027】隙間βもなくなるようなドライブプレート
8,9とドリブンプレート11との間の更に大きな相対
回転を生ずる共振領域では、つまり図3に±θ2 で示す
遊び角をも越える領域では、摩擦ブロック15も矩形窓
11cの端縁と衝接してドリブンプレート11に対し相
対変位し得なくなる。これがため、摩擦ブロック15
も、ドライブプレート8及びリング16上を摺動するこ
ととなり、摩擦ブロック15とドライブプレート8及び
リング16との間にも摩擦抵抗が発生する。よって、摩
擦ブロック15を主たる構成要素とする変位抵抗器4b
も当該領域では上記摩擦抵抗で決まるヒステリシストル
ク(振動減衰力)をドライブプレート8,9とドリブン
プレート11との間の相対回転に付与する。従って、当
該領域では変位抵抗器4aによるヒステリシストルクに
変位抵抗器4bによるヒステリシストルクが加算され
て、図3に±T2 で示すようなヒステリシストルクを発
生することとなり、当該領域におけるドライブプレート
8,9とドリブンプレート11との間の相対回転も抑制
され得て、対応する共振を防止し、共振に伴う振動や伝
動部品の破損を確実に防止することができる。
【0028】ここで、上記遊び角α,β及びヒステリシ
ストルク±T1 の与え方を例示する。図4はトルク変動
が不可避なエンジン(クランクシャフト)1により遊び
角θ付きの振動減衰装置4を有したトーショナルダンパ
3を介して駆動されるトルクコンバータ2と、自動変速
機A/Tと、ファイナルドライブF/Dとを順次具える
車両用駆動系の振動モデルを示し、同図(a)はエンジ
ンアイドリング運転中のもので、(b)はトルクコンバ
ータ2がロックアップされた運転中のものである。
【0029】ところで、ロックアップ時のトーショナル
ダンパ捩れ角特性を示す図5において、ロックアップが
作動する最低エンジン回転数をNuとし、当該エンジン
回転数でのトーショナルダンパ3の捩れ角をθ2 とすれ
ば、遊び角をθ2 以上にし、且つエンジン始動時の共振
対策に要求される大きな振動減衰力T2 を発生する必要
がある。一方、エンジンアイドリング運転中のトーショ
ナルダンパ捩れ角特性を示す図6において、アイドリン
グ回転数をNiとした時、該エンジン回転数でのトーシ
ョナルダンパ捩れ角が振動減衰力0時のトーショナルダ
ンパ捩れ角θxに相当するものであるようにすると、θ
xがθ2 より小さくても、エンジン回転変動が大きく、
エンジン補機の駆動ベルトが鳴きを発生したり、切損す
る。しかして、トーショナルダンパ捩れ角をθxより小
さなθ1 にし、振動減衰力をT1以上にすると、エンジ
ン回転変動が小さくなり、上記の問題を生じなくなる。
なお、振動減衰力T1 以下ではロックアップ時の振動伝
達にほとんど悪影響がない。
【0030】以上のことから、トーショナルダンパ捩れ
角0〜θ1 では振動減衰力がほぼ0、トーショナルダン
パ捩れ角θ1 〜θ2 では振動減衰力がT1 、トーショナ
ルダンパ捩れ角θ2 以上では振動減衰力がT2 となるよ
うにすれば、ロックアップ状態で要求されるトーショナ
ルダンパの緩衝機能と、アイドリング運転中における共
振対策と、エンジン始動時の共振対策とを全て満足させ
ることができることが判る。
【0031】従って、図1乃至図3の例においては、隙
間α,βを決定するに当たって、これらにより決定され
る遊び角±θ1 ,±θ2 の内、遊び角±θ1 はロックア
ップ状態でエンジンのトルク変動を吸収すべき領域に対
応し且つアイドリング運転中の共振を抑制すべき領域に
対応したものとなるよう、更に遊び角±θ2 はエンジン
始動時の共振を抑制すべき領域に対応したものとなるよ
う上記α,βの決定を行うのが良い。更に、各領域での
ヒステリシストルクT1 ,T2 も同符号によって上記し
た要求減衰力が達成されるよう決定する。
【0032】かようにすることにより本例の構成では、
図3から明らかなように、ロックアップ状態で要求され
るトーショナルダンパの緩衝機能を補償しつつ、アイド
リング運転中における共振対策と、エンジン始動時の共
振対策とを満足すべきレベルで両立させることができ
る。また、減衰力が段階的に大きくなることから、遊び
角±θ1 ,±θ2 を越える時の減衰力の差が比較的小さ
く、遊び角がなくなった時に衝突する例えばスプライン
歯相互の衝突音も小さくし得て、商品価値を高めること
ができる。
【0033】ところで、変位抵抗器4a,4bが同じ摩
擦抵抗を発生するようなものでは、必ずT2 =2×T1
となって、T2 を要求値に一致させることが困難であ
る。このため本例において、変位抵抗器4aはヒステリ
シストルクT1 が達成される減衰力特性となるよう摩擦
ブロック14の材料を選択し、変位抵抗器4bはT2
1 のヒステリシストルクが達成される減衰力特性とな
るよう摩擦ブロック15の材料を選択して、変位抵抗器
4a,4bの振動減衰力特性を相互に異ならせ、ヒステ
リシストルクT1 だけでなく、ヒステリシストルクT2
も確実に要求値に持ち来し得るようにする。
【0034】図7乃至図9は振動減衰装置4を構成する
変位抵抗器4a,4bの他の例で、本例においては、ド
リブンプレート11の内周スプライン11dに嵌合した
摩擦板21により前者の変位抵抗器4aを構成し、同じ
くドリブンプレート11の内周スプライン11dに嵌合
した摩擦板22により後者の変位抵抗器4bを構成す
る。そして、これら摩擦板21,22間に中間板23を
介在させ、これをドライブプレート9にスプライン嵌合
する。摩擦板21,22及び中間板23は皿ばね17に
よりリング16を介してドライブプレート8に向け附勢
し、これにより摩擦板21をドライブプレート8及び中
間板23間に挟圧すると共に、摩擦板22を中間板23
及びリング16間に挟圧する。
【0035】ところで、図8及び図9に明示するよう
に、摩擦板21のスプライン歯21aとドリブンプレー
ト11のスプライン歯11dとの間には特に、図2に同
符号で示すものと同様の目的をもって円周方向の隙間α
を設定し、摩擦板22のスプライン歯22aとドリブン
プレート11のスプライン歯11dとの間にも特に、図
2に同符号で示すものと同様の目的をもって円周方向の
隙間βを設定する。
【0036】かかる本実施例の作用を次に説明する。ト
ーショナルダンパ3を設けたために生ずる共振を、摩擦
抵抗型振動減衰装置4は以下の作用により抑制すること
ができる。即ち、摩擦板21,22はドライブプレート
8、中間板23及びリング16間に挟圧されて当初ドラ
イブプレート8,9と共に回転し、スプライン歯間の隙
間α,βだけドリブンプレート11に対し相対変位す
る。この間摩擦板21,22は、ドライブプレート8,
9とドリブンプレート11との間の相対回転に摩擦抵抗
を付与しないため、振動減衰装置4が当該相対回転を制
限することはなく、よって振動減衰装置4によるヒステ
リシストルク(振動減衰力)は前記実施例におけると同
様に中立近辺で0になり、この領域でトーショナルダン
パ3の緩衝機能を、振動減衰装置4の存在にも関わらず
確実に有効ならしめ、トーショナルダンパ3によるトル
ク変動吸収機能を確実なものにし、ロックアップ状態で
も滑らかな動力伝達を行なわせ得る。
【0037】トーショナルダンパ3の存在故に生ずる伝
動系の共振で、隙間αがなくなるようにドライブプレー
ト8,9とドリブンプレート11とが大きく相対回転す
ると、摩擦板21はスプライン歯21aとドリブンプレ
ート11のスプライン歯11dとの衝接によりドリブン
プレート11に対し相対変位し得なくなる。これがため
摩擦板21は、ドライブプレート8及び中間板23上を
摺動することとなり、摩擦板21とドライブプレート8
及び中間板23との間に摩擦抵抗が発生する。よって、
摩擦板21を主たる構成要素とする変位抵抗器4aは当
該領域で、前述した例におけると同様に上記摩擦抵抗で
決まるヒステリシストルク(振動減衰力)をドライブプ
レート8,9とドリブンプレート11との間の相対回転
に付与する。これにより、当該領域におけるドライブプ
レート8,9とドリブンプレート11との間の相対回転
が抑制されて、対応するアイドリング運転中の共振を防
止し、共振に伴う振動や伝動部品の破損を確実に防止す
ることができる。
【0038】隙間βもなくなるようなドライブプレート
8,9とドリブンプレート11との間の更に大きな相対
回転を生ずる共振領域では、摩擦板22もスプライン歯
22aをドリブンプレート11のスプライン歯11dに
衝接されてドリブンプレート11に対し相対変位し得な
くなる。これがため、摩擦板22も、ドライブプレート
9と共に回転するリング16及び中間板23上を摺動す
ることとなり、摩擦板22とリング16及び中間板23
との間にも摩擦抵抗が発生する。よって、摩擦板22を
主たる構成要素とする変位抵抗器4bも当該領域では、
上記摩擦抵抗で決まるヒステリシストルク(振動減衰
力)をドライブプレート8,9とドリブンプレート11
との間の相対回転に付与する。従って、当該領域では変
位抵抗器4aによるヒステリシストルクに変位抵抗器4
bによるヒステリシストルクが加算されて、当該領域に
おけるドライブプレート8,9とドリブンプレート11
との間の相対回転が大きな減衰力で抑制され、対応する
エンジン始動時の共振を防止し、共振に伴う振動や伝動
部品の破損を確実に防止することができる。
【0039】かかる本例の構成においても、上記隙間
α,βは前記実施例におけると同様にして決定し、また
摩擦板21,22の摩擦材も前記実施例におけると同様
にして決定するのが良いことは言うまでもない。
【0040】図10乃至図12は本発明装置の他の例
で、これら図中前記実施例におけると同様に機能する部
分は同一符号にて示す。本例では、スタータリングギヤ
31をドライブディスク32を介してボルト33により
エンジンクランクシャフト1に結合し、トーショナルダ
ンパ3は、同じボルト33でエンジンクランクシャフト
1に結合したドライブプレート34と、ボルト35でト
ルクコンバータ2のコンバータカバー5に結合したドリ
ブンプレート36と、これらドライブプレート34及び
ドリブンプレート36間を回転係合させるトーションス
プリング37とで構成する。
【0041】ドライブディスク32を外周を軸線方向に
切曲してドラム32aを形成し、トーショナルダンパ3
を成すドリブンプレート36の外周を軸線方向に切曲し
てハブ36aを形成し、これらドラム32a及びハブ3
6aを径方向に対向させて両者間に摩擦板38乃至40
を介在させることにより摩擦抵抗型振動減衰装置4を構
成する。
【0042】摩擦板38,39はハブ36aの外周にス
プライン嵌合し、摩擦板40はドラム32aの内周にス
プライン嵌合し、これら摩擦板38,39を摩擦板40
間に配置する。しかして、ハブ36aにスプライン嵌合
する摩擦板38,39のスプライン歯と、対応するハブ
36aのスプライン歯との間には図11に示す如く円周
方向の隙間α,βを設定し、摩擦板38により変位抵抗
器4aを、また摩擦板39により変位抵抗器4bを構成
する。なお、これら隙間α,βは夫々、前述した例にお
けると同様に設定して相互に異ならせる。
【0043】ドラム32aの内周には更に図10に示す
ようにストッパリング41を係着すると共に皿ばね42
を嵌合し、皿ばね42により摩擦板38乃至40をスト
ッパリング41に向け附勢して摩擦板間を常時摩擦接触
させる。
【0044】なお本例では特に、トーショナルダンパ3
のドライブプレート34及びドリブンプレート36間の
摺接部に両者の相対変位を滑らかに行わせるためにニー
ドルベアリング43を介在させる。このニードルベアリ
ング43の代わりにテフロンワッシャ等の低摩擦部材を
介在させても良いことは言うまでもない。
【0045】更に、エンジンクランクシャフト1とコン
バータカバー5との中心突合せ部に皿ばね44をプリロ
ードを持って介在させ、皿ばね44の大径端をエンジン
クランクシャフト1の端面に着座させ、小径端を中間板
45及びスラストベアリング46を介してコンバータカ
バー5の心出し部5bに突き当てる。なお、皿ばね44
は他の弾性部材に置き換えてもよいし、弾性部材を用い
る場合上記の中間板45及びスラストベアリング46は
必ずしも必要でない。
【0046】上記本実施例の作用を次に説明する。クラ
ンクシャフト1からのエンジン動力はトーショナルダン
パ3を経てコンバータカバー5に入力され、このエンジ
ン動力をトルクコンバータ2は後段の例えば自動変速機
に伝達する。この際トーショナルダンパ3は、トーショ
ンスプリング37を介して動力伝達を行うため、緩衝機
能によりエンジンのトルク変動を吸収することができ、
滑らかな動力伝達を可能ならしめる。ここで、ニードル
ベアリング43はトーショナルダンパ3のドライブプレ
ート34及びドリブンプレート36間における相対回転
をスムーズに行わせ、コンバータカバー5の軸方向変形
等でドライブプレート34及びドリブンプレート36間
の押し付け力が増大しても、トーショナルダンパ3の上
記緩衝機能を所定通りに生じさせることができる。
【0047】一方、トーショナルダンパ3を設けたため
に上記の伝動系は或る共振周波数で共振する傾向にある
が、摩擦抵抗型振動減衰装置4は以下の作用によりこの
共振を抑制することができる。即ち、摩擦抵抗型振動減
衰装置4の摩擦板38乃至40のうち、摩擦板38,3
9は夫々、隙間α,βの相対変位(遊び角)後コンバー
タカバー5と共に回転し、摩擦板40は常時エンジンク
ランクシャフト1と共に回転する。よって、小さい方の
隙間αに相当する遊び角以下の領域では摩擦抵抗型振動
減衰装置4がトーショナルダンパ3の前後回転体である
エンジンクランクシャフト1及びコンバータカバー5間
の相対回転に何等回転抵抗を付与せず、トーショナルダ
ンパ3による上記の緩衝機能を何等妨げない。
【0048】しかして、上記の共振に伴いエンジンクラ
ンクシャフト1及びコンバータカバー5間に大きな相対
回転が生ずると、先ず隙間αに相当する遊び角の後、変
位抵抗器4aを構成する摩擦板38がドリブンプレート
36と共に回転するようになる結果、摩擦板38が両側
における摩擦板40と摺接して摩擦抵抗を生起させる。
この摩擦抵抗はエンジンクランクシャフト1及びコンバ
ータカバー5間の相対回転に回転抵抗を付与して、トー
ショナルダンパ3の捩りトルク特性を図12の如きもの
となし、ヒステリシストルク△TH1により当該共振を抑
制することができる。
【0049】更に大きな共振が発生して、エンジンクラ
ンクシャフト1及びコンバータカバー5間に隙間βに相
当する遊び角をも越えるような大きな相対回転が生ずる
と、変位抵抗器4bを構成する摩擦板39もドリブンプ
レート36と共に回転するようになる結果、摩擦板39
も両側における摩擦板40と摺接して摩擦抵抗を生起さ
せる。この摩擦抵抗はエンジンクランクシャフト1及び
コンバータカバー5間の相対回転に付加的に回転抵抗を
付与して、トーショナルダンパ3の捩りトルク特性を図
12の如きものとなし、ヒステリシストルク△TH2によ
り当該大きな共振を変位抵抗器4a及び4bの双方で抑
制することができる。
【0050】ここで、隙間α,βを前記各実施例におけ
ると同様に決定することから、本例においても、図3に
つき前述したように、ロックアップ状態で要求されるロ
ックアップ中におけるトーショナルダンパの緩衝機能
と、アイドリング運転中における共振対策と、エンジン
始動時の共振対策とを全て満足させることができる。ま
た、図12からも明かなようにヒステリシストルクが0
から△TH1へと、また△TH1から△TH2へと段階的に大
きくなることから、α,βで決定される遊び角を越える
時の減衰力の段差が比較的小さく、遊び角がなくなった
時に衝突する例えばスプライン歯相互の衝突音も小さく
し得て、商品価値を高めることができる。
【0051】また、変位抵抗器4a,4bが同じ摩擦抵
抗を発生するものでは、第2段目の振動減衰力が必ず第
1段目の振動減衰力の2倍になって、これを要求値に一
致させることが困難である。このため本例においても、
摩擦板38と39とで摩擦材を異ならせる等により、こ
れら摩擦板で構成される変位抵抗器4a,4bの振動減
衰力特性を相互に異ならせるのが良いことは言うまでも
ない。
【0052】ところで、トルクコンバータ2内は所定の
圧力に保たれており、この圧力がコンバータカバー5を
変形させてその心出し部5bからクランクシャフト1へ
推力を及ぼす。他方、自動変速機はその変速時に歯車の
ヘリカル作用等によりインパルス的な推力を発生し、ト
ルクコンバータ2はこの推力をもクランクシャフト1に
入力する。しかして、これら推力は皿ばね44の弾性変
形によって十分緩和されてクランクシャフト1に至り、
クランクシャフト1の軸受けが早期に駄目になるのを回
避することができる。
【0053】図13乃至図16は本発明の他の例を示
し、本例では、リングギヤ31をトーショナルダンパ3
のドライブプレート34に一体に形成する以外、図10
におけると同様なエンジンクランクシャフト1及びトル
クコンバータ2間の駆動系に、以下の粘性抵抗型として
構成した振動減衰装置4を設ける。この粘性抵抗型振動
減衰装置4を構成するに当たっては、エンジンクランク
シャフト1とトーショナルダンパ3のドライブプレート
34との合わせ面に、アダプタプレート52とアダプタ
スリーブ53とで、高粘性流体が封入された密閉室を画
成し、この室内にドライブプレート54と、ドリブンプ
レート55,56とを交互に配置する。アダプタスリー
ブ53はコンバータカバー5の心出し部5bにスプライ
ン嵌合してこれと共に回転可能とする。
【0054】ドライブプレート54はエンジンクランク
シャフト1の内周スプライン1aに嵌合してこれと共に
回転可能とし、ドリブンプレート55,56はアダプタ
スリーブ53の外周スプライン53aに嵌合してこれと
共に、従ってコンバータカバー5と共に回転可能とす
る。しかして、図14に明示するようにドリブンプレー
ト55のスプライン歯55aと、アダプタスリーブ53
のスプライン歯53aとの間には比較的小さな隙間αを
設定し、この隙間に相当する遊び角だけドリブンプレー
ト55をアダプタスリーブ53、従ってコンバータカバ
ー5に対し相対回転可能として、変位抵抗器4aを構成
する。また、図15に明示するようにドリブンプレート
56のスプライン歯56aと、アダプタスリーブ53の
スプライン歯53aとの間には比較的大きな隙間βを設
定し、この隙間に相当する遊び角だけドリブンプレート
56をアダプタスリーブ53、従ってコンバータカバー
5に対し相対回転可能として、変位抵抗器4bを構成す
る。本例においても、上記の隙間α,βは夫々、前記各
実施例におけると同様に決定する。
【0055】また、変位抵抗器4aと4bとで振動減衰
力特性を前述した各実施例におけると同様に異ならせる
に当たって本例では、図16に明示するようにドライブ
プレート54の配置間隔を決定するスペーサリング5
7,58のうち、変位抵抗器4aを構成するドリブンプ
レート55に関したスペーサリング57の直径を、変位
抵抗器4b用のドリブンプレート56に関したスペーサ
リング58の直径よりも大きくし、ドリブンプレート5
5の両側における隙間をドリブンプレート56の両側に
おける隙間よりも大きくする。
【0056】なお、この代わりに図17に示す如く、ス
ペーサリング57,58の直径は全て同じにし、ドリブ
ンプレート55の板厚をドリブンプレート56の板厚よ
り薄くしても、変位抵抗器4aと4bとで振動減衰力特
性を前述した各実施例におけると同様に異ならせること
ができる。
【0057】上記本実施例の作用を次に説明する。クラ
ンクシャフト1からのエンジン動力はトーショナルダン
パ3を経てコンバータカバー5に入力され、このエンジ
ン動力をトルクコンバータ2は後段の例えば自動変速機
に伝達する。この際トーショナルダンパ3は、トーショ
ンスプリング37を介して動力伝達を行うため、緩衝機
能によりエンジンのトルク変動を吸収することができ、
滑らかな動力伝達を可能ならしめる。
【0058】一方、トーショナルダンパ3を設けたため
に上記の伝動系は或る共振周波数で共振する傾向にある
が、粘性抵抗型振動減衰装置4は以下の作用によりこの
共振を抑制することができる。即ち、振動減衰装置4の
ドリブンプレート55,56は夫々、隙間α,βの相対
変位(遊び角)後に初めてコンバータカバー5と共に回
転し、ドライブプレート54は常時エンジンクランクシ
ャフト1と共に回転する。よって、小さい方の隙間αに
相当する遊び角以下の領域では粘性抵抗型振動減衰装置
4がトーショナルダンパ3の前後回転体であるエンジン
クランクシャフト1及びコンバータカバー5間の相対回
転に何等回転抵抗を付与せず、ロックアップ状態でのト
ーショナルダンパ3による上記の緩衝機能を何等妨げな
い。
【0059】しかして、上記の共振に伴いエンジンクラ
ンクシャフト1及びコンバータカバー5間に大きな相対
回転が生ずると、先ず隙間αに相当する遊び角の後、変
位抵抗器4aを構成するドリブンプレート55がコンバ
ータカバー5と共に回転するようになる結果、ドライブ
プレート54に対し相対回転し、ドリブンプレート55
とドライブプレート54との間における高粘性流体の引
き摺りで粘性抵抗を生起させる。この粘性抵抗はエンジ
ンクランクシャフト1及びコンバータカバー5間の相対
回転に回転抵抗を付与して、当該アイドリング運転中に
おける共振を抑制することができる。
【0060】エンジン始動時に更に大きな共振が発生し
て、エンジンクランクシャフト1及びコンバータカバー
5間に隙間βに相当する遊び角をも越えるような大きな
相対回転が生ずると、変位抵抗器4bを構成するドリブ
ンプレート56もコンバータカバー5と共に回転するよ
うになる結果、ドライブプレート54に対し相対回転
し、ドリブンプレート56とドライブプレート54との
間における高粘性流体の引き摺りで粘性抵抗を生起させ
る。この粘性抵抗はエンジンクランクシャフト1及びコ
ンバータカバー5間の相対回転に回転抵抗を付与して、
当該エンジン始動時の大きな共振を抑制することができ
る。
【0061】ところで、隙間α,βを前記各実施例にお
けると同様に決定することから、本例においても、図1
8に示すように、隙間αに相当する遊び角θ1 以下の領
域において粘性抵抗を0にし、これによりロックアップ
状態で要求されるトーショナルダンパの緩衝機能を確実
ならしめ、また遊び角θ1 以上で且つ隙間βに相当する
遊び角θ2 よりも小さな領域において粘性減衰率をC1
にし、これによりアイドリング運転中における共振対策
を確実なものにし、更に遊び角θ2 以上の領域において
粘性減衰率をC2 にし、これによりエンジン始動時の共
振対策を確実なものにすることができ、これら3者を全
て満足させることができる。
【0062】また、図18から明かなように粘性減衰率
が0からC1 へと、またC1 からC 2 へと段階的に大き
くなることから、α,βで決定される遊び角θ1 ,θ2
を越える時の減衰力の段差が比較的小さく、遊び角がな
くなった時に衝突する例えばスプライン歯相互の衝突音
も小さくし得て、商品価値を高めることができる。
【0063】更に、変位抵抗器4a,4bが同じ粘性抵
抗を発生するものでは、第2段目の振動減衰力が必ず第
1段目の振動減衰力の2倍になって、要求値に一致させ
ることが困難であるが、図16又は図17につき前述し
たようにドリブンプレート55の両側における隙間と、
ドリブンプレート56の両側における隙間とを異ならせ
ることにより、これらドリブンプレートで構成される変
位抵抗器4a,4bの振動減衰力特性を相互に異ならせ
ることから、図18における粘性減衰率C1 ,C2 を夫
々、要求値に確実に一致させることができる。
【0064】
【発明の効果】かくして本発明によるトーショナルダン
パの振動減衰装置は請求項1に記載の如く、トーショナ
ルダンパの前後における回転体の相対回転振動を減衰す
るための変位抵抗を生起させる変位抵抗器を複数個設
け、これら変位抵抗器にそれぞれ相対変位抵抗を生じさ
せない遊び角を設定し、該遊び角を複数種設定した構成
になるから、先ず遊び角の設定により、振動減衰装置の
存在にも係わらずトーショナルダンパの緩衝機能が損な
われることがなくなり、例えばトルクコンバータのロッ
クアップ状態でのトルク変動を確実に緩和することがで
き、また、変位抵抗器を複数個とし、遊び角を複数種設
定したことにより、回転体間の相対変位に対して変位抵
抗(減衰力)が段階的に大きくなる減衰力特性を達成す
ることができ、従って例えば、遊び角を比較的小さくす
る必要があると共に減衰力が比較的小さくてよいアイド
リング運転中の共振対策と、遊び角を比較的大きくする
必要があると共に減衰力も比較的大きくすべきエンジン
始動時の共振対策とを、共に満足させ得るように両立さ
せることができる。
【0065】更に、上記の如く段階的に大きくなる減衰
力特性によれば、遊び角以上の相対変位が発生した時に
衝突する例えばスプライン歯相互の衝突音も小さくなっ
て、好都合である。
【0066】なお請求項2に記載の如く、上記の構成に
おいて更に、遊び角の異なる変位抵抗器間で変位抵抗特
性を異ならせる構成にした本発明によれば、これら特性
の設定次第により、各変化段階での減衰力を確実に要求
値に持ち来すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明振動減衰装置の一実施例を示すトルクコ
ンバータ用トーショナルダンパの断面図である。
【図2】同例におけるトーショナルダンパの正面図であ
る。
【図3】同例における振動減衰装置が発生するヒステリ
シストルクの変化特性を示す線図である。
【図4】(a)は同例を自動変速機搭載車に用いた場合
におけるアイドル運転時の振動モデル図、(b)は同じ
くそのロックアップ運転時の振動モデル図である。
【図5】同ロックアップ運転時の振動モデルにおいて、
エンジン回転数に対するトーショナルダンパ捩れ角の変
化特性を示す線図である。
【図6】同アイドル運転時の振動モデルにおいて、エン
ジン回転数に対するトーショナルダンパ捩れ角の変化特
性を示す線図である。
【図7】本発明振動減衰装置の他の例を示すトルクコン
バータ用トーショナルダンパの断面図である。
【図8】同例におけるトーショナルダンパの要部を示す
正面図である。
【図9】同例におけるトーショナルダンパの他の要部を
示す正面図である。
【図10】本発明振動減衰装置の更に他の例を示すトル
クコンバータ用トーショナルダンパの断面図である。
【図11】同例の要部拡大詳細図である。
【図12】同例におけるトーショナルダンパの捩りトル
ク変化特性を示す線図である。
【図13】本発明振動減衰装置の更に別の例を示すトル
クコンバータ用トーショナルダンパの断面図である
【図14】同例におけるトーショナルダンパの要部を示
す正面図である。
【図15】同例におけるトーショナルダンパの他の要部
を示す正面図である。
【図16】これら要部の詳細断面図である。
【図17】該要部の変形例を示す詳細断面図である。
【図18】同例における振動減衰装置の動作特性図であ
る。
【図19】従来の摩擦抵抗型振動減衰装置の動作特性図
である。
【図20】従来の粘性抵抗型振動減衰装置の動作特性図
である。
【符号の説明】
1 エンジンクランクシャフト(第1回転体) 2 トルクコンバータ(第2回転体) 3 トーショナルダンパ 4 変位抵抗型振動減衰装置 4a 変位抵抗器 4b 変位抵抗器 5 コンバータカバー 8 ドライブプレート 9 ドライブプレート 11 ドリブンプレート 13 トーションスプリング 14 摩擦ブロック 15 摩擦ブロック 16 摩擦リング 17 皿ばね α 振動減衰装置遊び角設定隙間 β 振動減衰装置遊び角設定隙間 21 摩擦板 22 摩擦板 23 中間板 32 ドライブディスク 34 ドライブプレート 36 ドリブンプレート 37 トーションスプリング 38 摩擦板 39 摩擦板 40 摩擦板 42 皿ばね 52 アダプタプレート 53 アダプタスリーブ 54 摩擦板 55 摩擦板 56 摩擦板 57 スペーサリング 58 スペーサリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 章一 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社ア ツギユニシア内 (72)発明者 森下 達也 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社ア ツギユニシア内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機により回転される第1回転体と、
    これからの回転を入力されるべき第2回転体との間を緩
    衝下に駆動結合するトーショナルダンパと共に用いら
    れ、前記両回転体の相対回転振動を相対変位抵抗により
    減衰する変位抵抗型振動減衰装置において、 前記相対変位抵抗を生起させる変位抵抗器を複数個設
    け、これら変位抵抗器にそれぞれ相対変位抵抗を生じな
    い遊び角を設定し、該遊び角を複数種設定したことを特
    徴とするトーショナルダンパの振動減衰装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記遊び角の異なる
    変位抵抗器間で変位抵抗特性を異ならせたことを特徴と
    するトーショナルダンパの振動減衰装置。
JP27876992A 1992-10-16 1992-10-16 トーショナルダンパの振動減衰装置 Pending JPH06129490A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7244184B2 (en) 2002-10-22 2007-07-17 Exedy Corporation Damper mechanism
JP2009041737A (ja) * 2007-08-10 2009-02-26 Exedy Corp 流体式トルク伝達装置
KR101147438B1 (ko) * 2003-07-07 2012-05-21 보르그워너 인코퍼레이티드 토션 진동 댐퍼와 토션 진동 댐퍼를 위한 마찰블록
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JP2020020408A (ja) * 2018-08-01 2020-02-06 株式会社エフ・シー・シー トルクダンパー装置

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