JPH06128663A - ケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法 - Google Patents

ケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法

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JPH06128663A
JPH06128663A JP30324292A JP30324292A JPH06128663A JP H06128663 A JPH06128663 A JP H06128663A JP 30324292 A JP30324292 A JP 30324292A JP 30324292 A JP30324292 A JP 30324292A JP H06128663 A JPH06128663 A JP H06128663A
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oxide
leaching
hydrochloric acid
roasting
ore
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JP30324292A
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Kenichi Katayama
賢一 片山
Retsu Nagabayashi
烈 長林
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原鉱石からNi濃度の高いNi酸化物を製造
し、これをNi原料として使用して、安価にNi含有合
金を溶製する方法を提供する。 【構成】 ケイ酸苦土ニッケル鉱石を塩酸浸出した浸出
液を150〜350℃で焙焼して鉄のみを水不溶酸化物
とし、焙焼物を水浸出し、鉄を浸出残渣として分離し、
脱鉄した水浸出液を中和してpHを5.5〜7.0にする
ことでNiを沈澱させる。Ni沈澱は焙焼してNi濃度
の高いNi酸化物を得る。これをNi源として使用し
て、Ni含有合金を安価に溶製する。 【効果】 従来使用していた高価なNi源を用いずにN
i含有合金に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼などの製
鋼原料となるニッケル原料を製造するためのケイ酸苦土
ニッケル鉱石の処理方法、および当該処理方法によって
製造したNi原料の利用方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】ステンレス鋼等のNi含有合
金のNi源としては、高炭素フェロニッケル、低炭素フ
ェロニッケル、純ニッケル、ニッケルオキサイドシンタ
ー等が使われているが、いずれのNi原料も極めて高価
であり、特にオーステナイト系ステンレス鋼のように多
量にNiを含む合金では、製鋼コストのうちNi原料費
の占める割合が格段に大きく、安価なNi源が望まれて
いる。一方、現在工業的に行われているケイ酸苦土ニッ
ケル鉱石を原料としたフェロニッケルの製錬法は、乾
燥、か焼した鉱石を溶鉱炉や電気炉を用いて溶解する方
法が最も多い。しかしこの方法では鉱石を濃縮処理せず
に脈石ごと全量を溶解しているため、炭剤やフラックス
等の副原料あるいは熱エネルギーを無駄に消費してい
る。そこで鉱石中の不要な脈石を取り除く技術、すなわ
ちNi濃縮技術の確立が強く望まれている。
【0003】ケイ酸苦土ニッケル鉱石中のニッケルの濃
縮に関しては様々な方法が研究、報告されているが、い
ずれも実用化には至っていない。その原因としては、鉱
石中のニッケルが2%程度と少量であり、しかも鉱石の
主要鉱物であるマグネシウムケイ酸塩中に極めて微細に
分散しているために、ニッケルの物理的な濃縮が困難で
あること、また乾式処理においては鉱石の融点近い高温
(1400℃)で処理するためエネルギー費が高くなるこ
と、などが挙げられる。
【0004】一方湿式法では、例えば米国特許第246
8103号や、特開昭50−110901号(「超塩基
性岩から金属を回収する方法」)、特開昭54−581
6号(「含ニッケル酸化鉱石の処理方法」)等がある
が、鉱石中の鉄の量は多く濾過、洗浄に問題があるため
に、鉄の全量を沈澱回収することは工業化を困難にす
る。そこで前記米国特許第2468103号では、鉄含
有量の低いガーニエライト鉱石に限定し、沈澱させる鉄
の量をできるだけ少なくしている。また特開昭54−5
816号(「含ニッケル酸化鉱石の処理方法」)では、鉄
をメチルイソブチルケトンで抽出除去した後、MgOで
中和してニッケルを水酸化物として沈澱回収してるため
工程が複雑で、かつ設備コスト、薬剤コストの面でも不
経済である。
【0005】そこで本発明者らは、Ni鉱石を塩酸浸出
した浸出液を中和する際に中和剤の添加速度や撹拌強度
を工夫することにより沈澱物を粗粒化させ、濾過、洗浄
性の優れた鉄、ニッケルの沈澱物を同時に得、これを焙
焼して酸化物の混合物として回収する処理方法を発明し
た(特願平3−57845号、特願平4−105952
号)。これらの発明は、鉄とニッケルを混合した形で得
られることから、鉄鋼原料として有用な原料を製造でき
るという点では優れている。しかしながら、Ni品位が
高いとはいえ、酸化鉄の含有量が多いため、原料として
の使用の際には、使用量が制限されたり、あるいは一旦
予備還元を行ってから溶解炉へ投入する方法など、使用
方法が制限されるという欠点を有していた。
【0006】
【問題を解決するための知見】そこで本発明者らは、N
i鉱石を塩酸浸出した浸出液を150〜350℃の温度
で乾燥焙焼すると、主として鉄のみが酸化物に転化する
ことを知見した。
【0007】
【発明の構成】本発明は、ケイ酸苦土ニッケル鉱石を塩
酸で浸出し、SiO2を主成分とする浸出残渣を分離する
工程(浸出工程)、SiO2 除去後の浸出液を150〜3
50℃の温度で乾燥焙焼してFeのみを酸化物とし、か
つ塩酸を回収する工程(乾燥焙焼工程)、焙焼物を水浸
出してNiとMgを抽出し、Feは浸出残渣とする工程
(水浸出工程)、水浸出残渣を濾別、洗浄してNiとM
gの塩化物水溶液(水浸出液)から除去する工程(脱鉄
工程)、NiとMgの塩化物水溶液に含Mg中和剤を添
加してpHを5.0〜7.0とすることによりNiを沈澱
させる工程(中和工程)、該沈澱物を濾過、洗浄して塩
化マグネシウム水溶液から分離する工程(Ni回収工
程)、分離した前記沈澱物を焙焼することによりNi酸
化物を製造する工程(Ni沈澱焙焼工程)、前記塩化マ
グネシウム水溶液を焙焼して塩酸を回収すると同時に酸
化マグネシウムを再生する工程(塩酸回収工程)、前記
水浸出残渣を焙焼して酸化鉄を製造する工程(酸化鉄焙
焼工程)からなるケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法の
処理方法を提供する。本発明の実施において好ましい中
和剤は酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、マグネシア含有鉱物またはこれらをスラリ
ー状にしたものである。本発明法では塩酸回収工程で塩
酸を回収すると同時に酸化マグネシウムを再生し、中和
に再利用することができる。塩酸浸出液の加熱温度は5
0℃以上で、特に上限を定める必要はない。何人も不必
要に加熱しエネルギーを消費することはないであろう。
実際的には80℃までである。
【0008】本発明の方法においては、浸出工程は塩酸
により鉱石中のFe、Niを完全に浸出し、濾過により
SiO2 を残渣として取り除くことを目的としている。
その手段としては浸出槽中に粉砕したニッケル鉱石と塩
酸を装入し、好ましくは50℃以上に加熱、撹拌し、F
e、Niを完全に浸出した後、この浸出液を濾過する。
浸出工程において用いられる塩酸濃度は特別に限定はな
い。こうしてFe、NiおよびMgを含む浸出液とSi
2 を主成分とする浸出残渣を得る。ここで生じた浸出
残渣は周知の選鉱技術を応用して純度の高いシリカ粉を
副産物として製造することもできる。
【0009】乾燥、焙焼工程では、塩酸浸出により得た
Ni、Fe、Mgの塩化物を主成分とする化合物の焙焼
を行い、Feを水に不溶性の酸化物に変化させ、Ni、
Mgは水溶性の塩化物とすることを目的としている。そ
のためには、Ni、Fe、Mgの塩化物水溶液をあらか
じめ乾燥して二水塩等の形までしておき、これを焙焼し
て目的の反応を行わせてもよく、また、一挙にNi、F
e、Mgの塩化物水溶液を処理して鉄のみを焙焼しても
よい。また、焙焼温度としては、Feの酸化物への反応
温度が100〜150℃以上であることから、それ以上
の温度で焙焼する必要がある。しかし、温度が高すぎる
とNi、Mgの水不溶物への反応が徐々に始まり、すな
わちNi、Mgも水に不溶物となり始めるので次の水浸
出、脱鉄工程で鉄だけを分離することが困難になる。し
たがって、できるだけFeだけを酸化物にするために、
焙焼温度としては150〜350℃とし、Ni、Mgの
水不溶物化を防止することが必要である。焙焼装置とし
ては、噴霧焙焼炉、流動焙焼炉、ロータリーキルンなど
が利用できる。
【0010】水浸出工程では、焙焼物を水で浸出して水
溶性の塩化物であるNi、Mgを抽出し、水に不溶性の
酸化鉄は浸出残渣として、Feは抽出しないことを目的
としている。浸出方法としては撹拌槽の中に焙焼物と水
を入れ、Ni、Mgが完全に抽出されるまで撹拌する。
脱鉄工程では、水浸出残渣である酸化鉄をNi、Mgの
塩化物水溶液から分離するために、フィルタープレス、
遠心濾過機等によって濾過を行う。この時得られる酸化
鉄は高純度であるために各分野において原料として利用
できるが、水浸出液の付着等により不純物が混入するの
で濾過後には洗浄することが望ましい。洗浄の方法とし
ては、濾過機の中に洗浄水を圧入してケーキ洗浄しても
よいし、一旦濾過機外に取り出し、再び撹拌槽の中でリ
パルプ洗浄を行ってもよい。また、デカンテーションに
より洗浄を行ってもよい。
【0011】中和工程では、脱鉄した後の水浸出液、す
なわちNi、Mgの塩化物水溶液に中和剤を添加して、
Niのみを沈澱させ、Mgと分離することを目的として
いる。そのためには弱酸性を示す水浸出液を中和して液
のpHを徐々に上げていく。この時、pHが中性付近に
なってくるとMg化合物の溶解度が低下してくるので、
次のNi回収工程において、Ni沈澱を分離する際、未
溶解のMg化合物がNiに混入した形で得られ、最終的
に得られるNi酸化物のNi濃度が低下する。したがっ
て、中和時のpHは 7.0以下が望ましい。また、pH
が低すぎるとNi沈澱の生成が不完全であるので適切な
pH範囲としては5.0〜7.0が望ましい。中和剤とし
ては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、マグネシア含有鉱物、またはこれらをスラ
リー状にしたものが好ましいが、場合によってはこれら
を混合した物でもよい。
【0012】Ni回収工程では、Ni沈澱物と塩化マグ
ネシウム水溶液とに分離する。その手段としては、前記
した脱鉄工程と同様にフィルタープレス、遠心濾過機等
によって濾過を行う。Ni沈澱の純度を上げるためにも
洗浄を行うことが望ましい。洗浄方法も脱鉄工程と同様
である。
【0013】Ni沈澱焙焼工程では、濾過により分離し
た前記Ni沈澱物を焙焼してNi酸化物を製造すると同
時に排ガスから若干の塩酸を回収する。焙焼方法として
は、流動焙焼炉やロータリーキルン等で、600℃以上
で焙焼する。こうすることによりNi沈澱は完全に脱水
され、酸化物となり、付着している塩化物水溶液も完全
に分解し、若干の塩酸を回収することができる。酸化鉄
焙焼工程でもNi沈澱焙焼工程と同様の方法で、高純度
の酸化鉄を得ると同時に、若干の塩酸を回収することが
できる。
【0014】塩酸回収工程では、Ni回収工程で分離し
た塩化マグネシウム水溶液を焙焼することにより塩酸を
回収すると共に酸化マグネシウムを副産物として製造す
ることができる。使用する焙焼炉は、流動層型でもよい
し、ロータリーキルンのような回転炉でもよい。製造し
た酸化マグネシウムの一部は中和工程の中和剤として再
利用することができ、残部は精製、焼成などして、耐火
物原料等に利用することができる。また回収した塩酸も
浸出工程にリサイクルして使用できる。
【0015】このようにして得られたNi酸化物は、N
i濃度が70%前後に濃縮されたもので、Ni原料とし
て利用価値の高いものである。このNi原料の利用の際
には、粉末状で溶解炉内へインジェクションしてもよ
く、フラックスなどと成団して炉内へ投入することもで
きる。また、予備還元したCr鉱石ペレット(SRC)
と併用して溶融還元すること、スクラップ溶解法と組み
合わせること、などもできる。
【0016】
【発明の具体的開示】次に実施例を挙げるが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0017】
【実施例1】
【表1】 鉱石の組成 (重量%) 鉱 石 Fe Ni SiO2 MgO ケイ酸苦土ニッケル 9.0 1.0 35 20 鉱石一般 〜15.0 〜2.8 〜50 〜30 使用鉱石 13.7 2.3 42.6 23.36
【0018】表1に示す組成のニッケル鉱石(使用鉱
石)を80メッシュ以下に粉砕し、80℃の6規定塩酸
で浸出して鉱石中のFe、Ni、Mgを抽出した。この
浸出液を濾過してSiO2を除去し、次にSiO2を除去
後の浸出液を160℃に保ったスプレーロースターで焙
焼をし、得られた焙焼物を撹拌槽の中で、水/焙焼物比
=5の割合で水浸出を行い、浸出残渣をフィルタープレ
ス式濾過機を用いて濾過、洗浄し、残渣(酸化鉄)と水
浸出液を得た。その水浸出液にスラリー状にした酸化マ
グネシウム(MgO)を徐々に添加し、pHを5.6にし
たところで生成したNi沈澱物をフィルタープレス式濾
過機で濾過、洗浄を行った。こうして得られた酸化鉄及
びNi沈澱物は、それぞれ別々にロータリーキルンによ
り焙焼して、塩酸を回収すると共に高純度の酸化鉄およ
び酸化ニッケルを得た。
【0019】次にNi沈澱物を濾過分離して残った塩化
マグネシウム水溶液は、スプレードライヤーで乾燥後、
ロータリーキルンで800℃で焙焼して酸化マグネシウ
ムを生成すると同時に、発生ガスから塩酸を回収した。
このときの塩酸回収率は、先の酸化物焙焼での回収分と
合わせて 99.5%であり、塩酸浸出工程に十分使用で
きるものであった。生成した酸化マグネシウムも高純度
のものであった。 この処理により得られた酸化鉄の純
度は96%で、Ni酸化物は NiOを88.9%、その
他 MgO、Cr23、Al23 を若干含有していた。
Niの回収率は99.1%であった。
【0020】
【実施例2】実施例1と同じ鉱石を用いて同じ方法で浸
出した。ただし塩酸は実施例1での回収塩酸に新酸を若
干足したものを用いた。SiO2を除去後の浸出液を25
0℃に保った焙焼炉に噴霧して乾燥焙焼し、得られた焙
焼物を実施例1と同様に水浸出を行い、浸出残渣をフィ
ルタープレス式濾過機によって濾過、洗浄し、残渣(酸
化鉄)と水浸出液を得た。次に水浸出液に実施例1で得
られた酸化マグネシウム(MgO)を徐々に添加し、p
Hを6.8にしたところで生成したNi沈澱物をフィル
タープレス式濾過機で濾過、洗浄を行った。こうして得
られた酸化鉄及びNi沈澱物は、実施例1と同様に焙焼
して、塩酸を回収すると共に高純度の酸化鉄および酸化
ニッケルを得た。次にNi沈澱物を濾過分離して残った
塩化マグネシウム水溶液は、再びスプレードライヤーで
乾燥後、ロータリーキルンで800℃で焙焼して酸化マ
グネシウムを生成すると同時に、発生ガスから塩酸を回
収した。このときの塩酸回収率は、先の酸化物焙焼での
回収分と合わせて 99.4%であり、塩酸浸出工程に十
分使用できるものであった。この処理により得られた酸
化鉄の純度は95%で、Ni酸化物はNiOを89.7
%含有していた。またNi回収率は98.5%であっ
た。
【0021】
【実施例3】実施例1と同じ鉱石を用いて同じ方法で浸
出した。次にSiO2除去後の浸出液を340℃に保った
ロータリーキルンに装入して乾燥焙焼を行った。得られ
た焙焼物は実施例1と同様に水浸出を行い、浸出残渣を
フィルタープレス式濾過機を用いて濾過、洗浄し、残渣
(酸化鉄)と水浸出液を得た。次に水浸出液に水酸化マ
グネシウム(Mg(OH)2)粉末を徐々に添加し、pH
を6.0にしたところで生成したNi沈澱物をフィルタ
ープレス式濾過機で濾過、洗浄を行った。こうして得ら
れた酸化鉄及びNi沈澱物は、実施例1と同様に焙焼し
て、塩酸を回収すると共に高純度の酸化鉄および酸化ニ
ッケルを得た。次にNi沈澱物を濾過分離して残った塩
化マグネシウム水溶液は、ロータリーキルンで800℃
で焙焼して酸化マグネシウムを生成すると同時に、発生
ガスから塩酸を回収した。このときの塩酸回収率は、先
の酸化物焙焼での回収分と合わせて99.6%であり、
塩酸浸出工程に十分使用できるものであった。この処理
により得られた酸化鉄の純度は95%で、Ni酸化物は
NiOを88.9%含有していた。またNiの回収率は
99.2%であった。
【0022】
【実施例4】実施例1〜3で得られた酸化ニッケル(N
i:約70%)をニッケル源として使用し、18−8ス
テンレス粗溶湯を電気炉で溶製した。まずスクラップ、
その他原料を電気炉で溶解して母溶湯(Cr:18.04
%、Ni:5.0%、C:2.5%、Si:0.4%)を溶
製した。これに実施例1〜3で得られたNi酸化物を目
標18−8ステンレス鋼1t当り44kgと、塊コーク
ス、フラックス(石灰、珪砂)を連続的に添加した。こ
れにより溶湯中Ni濃度は3%上昇し、8%となった。
最終的には18Cr−8Ni−5%Cのステンレス粗溶
鋼が溶製された。このときNiのメタルへの回収率は9
9%であった。酸化ニッケルの溶解、還元速度は、従来
使用しているNi源を用いた場合とほとんど変わらなか
った。
【0023】
【実施例5】次に、溶融還元法で18−8ステンレスを
溶製する際に、組成調整用にニッケル源として、実施例
1〜3で得られた酸化ニッケル(Ni:70%)を使用
した。まず、種湯として、溶解炉でスクラップ等を溶解
し、Cr:14.4%、Ni:4.5%、C:2.1%、S
i:0.5%の粗溶湯を溶製した。これを転炉型溶融還元
炉に移し、酸素吹錬を行い、Ar撹拌しながら、脱炭製
錬を行った。この時、Arガスと共に、実施例1〜3で
得られたNi酸化物粉を、目標18−8ステンレス鋼1
tあたり54kgを溶湯へ吹き込んだ。また石灰、珪砂
等の造さい剤、およびSRCペレット(Cr鉱石予備還
元ペレット)154kg/t−目標18−8ステンレス
鋼を連続投入した。このNi酸化物の吹き込みにより、
溶湯中のNi含有量は 約3.5%増加して8%になっ
た。このときNiの還元率はほぼ100%であった。従
来の高価なNi原料を用いずに、最終的に18Cr−8
Ni−5%Cのステンレス粗溶鋼を溶製できた。
【0024】
【比較例1】実施例1と同様に、ニッケル鉱石を粉砕
し、80℃の6規定塩酸で浸出し、鉱石中のFe、N
i、Mgを抽出した。この浸出液を濾過してSiO2
除去した。次に SiO2を除去後の浸出液を140℃に
保ったロータリーキルンで乾燥、焙焼し、得られた焙焼
物は水浸出し、浸出残渣を除去して水浸出液を得た。こ
の水浸出液にスラリー状にした酸化マグネシウム(Mg
O)を徐々に添加し、pHを6.0にしたところで生成
した沈澱物を濾過、洗浄して回収した。 これらの浸出
残渣および沈澱物をロータリーキルンで焙焼して酸化物
を生成したが、これらは純度がそれぞれ Fe23
6.0%、NiO 45%の酸化鉄、酸化ニッケルであっ
た。酸化ニッケルの不純物としては鉄が30%含まれて
いた。ニッケルの回収率は98%であった。
【0025】
【比較例2】実施例1と同様に、ニッケル鉱石を粉砕
し、80℃の6規定塩酸で浸出し、鉱石中のFe、Ni
を完全に抽出した。この浸出液を濾過してSiO2を除去
した。次にSiO2 を除去後の浸出液を360℃に保っ
たロータリーキルンで乾燥、焙焼を行い、得られた焙焼
物は水浸出し、浸出残渣を除去して水浸出液を得た。こ
の水浸出液にスラリー状にした酸化マグネシウム(Mg
O)を徐々に添加し、pHを6.0にしたところで生成
した沈澱物を濾過洗浄して回収した。 次にこれらの浸
出残渣および沈澱物をロータリーキルンで焙焼して酸化
物を生成したが、これらは純度がそれぞれ、Fe23
84.2%、NiO 91.5%の酸化鉄、酸化ニッケル
であった。酸化鉄の不純物としてはニッケルが8.3%
含まれていた。したがって、Niは酸化鉄中にロスし、
酸化ニッケルとしてのNi回収率は18%と低い値であ
った。
【0026】
【比較例3】実施例1と同様にニッケル鉱石を粉砕し、
80℃の6規定塩酸で浸出し鉱石中のFe、Niを完全
に抽出した。この浸出液を濾過して SiO2を除去し
た。次にSiO2を除去後の浸出液を200℃に保ったス
プレーロースターで乾燥、焙焼を行い、得られた焙焼物
は水浸出し、浸出残渣を除去して水浸出液を得た。この
水浸出液に酸化マグネシウム粉を徐々に添加し、pHを
7.2にしたところで生成した沈澱物を濾過、洗浄して
回収した。次にこれらの浸出残渣および沈澱物を、ロー
タリーキルンで焙焼して酸化物を生成したが、それらの
純度はそれぞれ、Fe23が95%、NiOが 29.5
%の酸化鉄、酸化ニッケルであった。酸化ニッケルの不
純物としては、68.5%と多量のMgOが含まれてい
た。
【0027】
【表2】 焙焼温度 pH 酸化鉄濃度 酸化ニッケル濃度 Ni回収率 実施例1 160℃ 5.6 96% 88.9% 99.1% 実施例2 250℃ 6.8 95% 89.7% 98.5% 実施例3 340℃ 6.0 95% 88.9% 99.2% 比較例1 140℃ 6.0 96% 45.0% 98.0% 比較例2 360℃ 6.0 84% 91.5% 18.0% 比較例3 200℃ 7.2 95% 29.5% 98.0%
【0028】表2には本発明の実施例および比較例の条
件および酸化鉄純度(Fe23濃度)、酸化ニッケル純
度(NiO濃度)、Ni回収率を示した。実施例1〜3
では純度95%以上の酸化鉄、純度90%前後の酸化ニ
ッケルが得られ、その時のNi回収率も98%以上と高
い値である。しかし、比較例1では焙焼温度が低かった
ため鉄の水不溶化が十分でなく、結果としてNi沈澱に
鉄が混入して酸化ニッケル純度が低下した。また比較例
2では焙焼温度が高かったためにNiも水不溶化して鉄
に混入し、酸化ニッケルとしてのNi回収率は18%と
著しく低下した。さらに比較例3では焙焼温度としては
適切であったが、中和において過剰に中和剤を添加した
ために、未溶解の酸化マグネシウムがNi沈澱に混入し
てNi酸化物の純度を低下させた。
【0029】
【発明の効果】本発明の処理方法は、ケイ酸苦土ニッケ
ル鉱石を塩酸浸出し、浸出液の焙焼、水浸出、中和する
ことによりNi濃度の高いNi酸化物が得られ、これを
Ni含有合金を溶製する際にNi源として使用すること
でコスト低減が可能となる。また、鉄沈澱物および塩化
マグネシウム水溶液の焙焼により、副産物として酸化
鉄、酸化マグネシウム、シリカ等を得ることもできる。
さらに、処理に必要な塩酸、中和剤も再生し、系内でリ
サイクルできる非常に優れた処理方法である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸苦土ニッケル鉱石を塩酸で浸出
    し、SiO2 を主成分とする浸出残渣を分離する工程
    (浸出工程)、SiO2除去後の浸出液を150〜350
    ℃の温度で乾燥焙焼Feのみを酸化物とし、かつ塩酸を
    回収する工程(乾燥焙焼工程)、焙焼物を水浸出してN
    iとMgを抽出し、Feは浸出残渣とする工程(水浸出
    工程)、水浸出残渣を濾過、洗浄してNiとMgの塩化
    物水溶液(水浸出液)から除去する工程(脱鉄工程)、
    NiとMgの塩化物水溶液に含Mg中和剤を添加してp
    Hを5.0〜7.0とすることによりNiを沈澱させる工
    程(中和工程)、該沈澱物を濾過、洗浄して塩化マグネ
    シウム水溶液から分離する工程(Ni回収工程)、分離
    した前記沈澱物を焙焼することによりNi酸化物を製造
    する工程(Ni沈澱焙焼工程)、前記塩化マグネシウム
    水溶液を焙焼して塩酸を回収すると同時に酸化マグネシ
    ウムを再生する工程(塩酸回収工程)、前記水浸出残渣
    を焙焼して酸化鉄を製造する工程(酸化鉄焙焼工程)か
    らなるケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、含Mg
    中和剤が、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネ
    シウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgC
    3)、マグネシア(MgO)含有鉱物またはこれらをス
    ラリー状にしたもの、のうち1種もしくは2種以上の混
    合物であり、塩酸回収工程で再生した酸化マグネシウム
    を中和剤として再利用するケイ酸苦土ニッケル鉱石の処
    理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法で生成し
    たNi酸化物を電気炉で処理してNi含有合金を溶製す
    る方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の方法で生成し
    たNi酸化物を溶融還元炉で処理してNi含有合金を溶
    製する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020174573A1 (ja) * 2019-02-26 2020-09-03 日揮グローバル株式会社 残渣処理方法及び硫酸化焙焼方法
CN114920254A (zh) * 2022-04-27 2022-08-19 厦门兑泰新材料科技有限公司 一种利用废弃明矾石尾矿制备聚硅酸氯化硫酸铝铁的方法

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