JPH05279765A - ケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法 - Google Patents

ケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法

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JPH05279765A
JPH05279765A JP10595292A JP10595292A JPH05279765A JP H05279765 A JPH05279765 A JP H05279765A JP 10595292 A JP10595292 A JP 10595292A JP 10595292 A JP10595292 A JP 10595292A JP H05279765 A JPH05279765 A JP H05279765A
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hydrochloric acid
liter
precipitate
stirring
magnesium
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JP10595292A
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Kenichi Katayama
賢一 片山
Retsu Nagabayashi
烈 長林
Takashi Yamauchi
隆 山内
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原鉱石から、Fe、Niの酸化物を簡素化
した工程を用いて経済的に取得する方法を提供する。 【構成】 ケイ酸苦土ニッケル鉱石の塩酸浸出液の濃
度を調整し、50℃以上に保持し、1.0×10-5
1.5×10-3kW/リットルの強度で撹拌しながら、
中和剤をMg量基準で1.2〜15.0g/(min・
リットル)の添加速度で加え、pHを3.0〜6.5と
してFe、Ni含有沈澱物を生成し、濾過洗浄後、乾燥
・焙焼して酸化物とする。 【効果】 従来困難であったFeを主とする沈澱物の
濾過を容易にすることにより工程を簡素化し、塩酸、M
gを回収、再利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニッケル含有合金などの
製鋼原料となる鉄、ニッケル、クロムの混合物を製造す
るためのケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】現在工業的に行われているケ
イ酸苦土ニッケル鉱石を原料としたフェロニッケルの製
錬法は、乾燥、か焼した鉱石を溶鉱炉や電気炉を用いて
溶解する方法が最も多い。しかしこの方法では鉱石を濃
縮処理せずに脈石ごと全量を溶解しているため、炭剤や
フラックス等の副原料あるいは熱エネルギーに無駄な費
用を消費している。そこで鉱石中の不要な脈石を取り除
く技術、すなわちNi濃縮技術の確立が強く望まれてい
る。
【0003】ケイ酸苦土ニッケル鉱石中のニッケルの濃
縮に関しては様々な方法が研究、報告されているが、い
ずれも実用化には至っていない。その原因としては、鉱
石中のニッケルが少量であり、しかも鉱石の主要鉱物で
あるマグネシウムケイ酸塩中にきわめて微細に分散して
いるためにニッケルの物理的な濃縮が困難であること、
また乾式処理においては鉱石の融点近い高温(1400
℃)で処理するためエネルギー費が高くなること、など
が挙げられる。
【0004】一方湿式法では、酸化マグネシウム(Mg
O)を中和剤として使用する方法として例えば米国特許
第2468103号や、特開昭50−110901
(「超塩基性岩から金属を回収する方法」)や特開昭5
4−5816(「含ニッケル酸化鉱石の処理方法」)な
どがあるが、鉱石中の鉄の量が多く濾過洗浄に問題があ
るために鉄の全量を沈澱回収することは工業化が困難で
ある。そこで前記米国特許第2468103号では鉄含
有量の低いガーニエライト鉱石に限定し、沈澱させる鉄
の量をできるだけ少なくしている。また特開昭54−5
816(「含ニッケル酸化鉱石の処理方法」)では鉄を
メチルイソブチルケトンで抽出除去した後、MgOで中
和してニッケルを水酸化物として沈澱回収しており、工
程が複雑であり、設備コストの面でも不経済である。
【0005】そこで本発明者らは、Ni鉱石を塩酸浸出
した浸出液から中和によって鉄、ニッケルおよびクロム
を回収する際、中和条件を工夫することにより、沈澱物
粒子を成長させ、沈澱物の濾過、洗浄工程で問題となら
ないように濾過性の優れた沈澱物を得る処理方法を発明
した(特願平3−57845「ケイ酸苦土ニッケル鉱石
の処理方法」)。この発明は、ケイ酸苦土ニッケル鉱石
を塩酸で浸出し、SiO2を主成分とする浸出残渣を分
離する工程(浸出工程)、SiO2除去後の浸出液に中
和剤を添加してNi、Fe、およびCrを水酸化物とし
て沈澱させる工程(沈澱凝集工程)、該沈澱物を濾過洗
浄して塩化マグネシウム水溶液から分離する工程(濾過
洗浄工程)、分離した前記沈澱物を乾燥、焙焼すること
によりNi、Feの酸化物の混合物を製造する工程(乾
燥焙焼工程)、前記濾液を乾燥、焙焼して塩酸を回収す
ると同時に酸化マグネシウムを再生する工程(塩酸回収
工程)からなるケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法にお
いて塩酸浸出液中の金属イオンの濃度をFe:0.3〜
0.6モル/リットル、Ni:0.05〜0.2モル/
リットル、Mg:1.0〜1.7モル/リットルになる
ように調整し、塩酸浸出液の温度を50℃以上に保持
し、Mgを含む中和剤をMg量基準で0.07〜1.0
0g/(min・リットル)の添加速度で加えpHを
0.3〜6.5として濾過洗浄性の優れたFe、Ni含
有沈澱物を生成することを特徴とするケイ酸苦土ニッケ
ル鉱石の処理方法である。しかしながらこの発明の要件
である中和剤の添加速度0.37〜1.88g/(mi
n・リットル)という条件は、濾過性の優れた沈澱物に
粗粒化させるという点では適しているが、Ni鉱石を大
量に処理するには中和処理速度が遅く、莫大な設備規模
が必要であるという欠点を有している。
【0006】
【問題を解決するための手段】そこで本発明者らは、中
和剤の添加速度を若干速めても、撹拌強度を適切な強度
に維持することによって、沈澱物粒子(フロック)を相
互に衝突させ、吸着力や吸引力によって集合し、沈澱物
粒子(フロック)を破壊することなく粗大化させ得るこ
とを新規に発明した。すなわち、沈澱物粒子の粗大化に
は適度の撹拌を必要とするが、さらに反応槽のなかに中
和剤を迅速かつ均一に分散、溶解するためにも、ある程
度の撹拌強度を必要とする。一方撹拌強度が強すぎる
と、凝集したフロックがせん断力によって破壊されてし
まい、細かい微粒子となって濾過性が低下することか
ら、撹拌強度を適切な範囲に維持すれば中和剤の添加速
度をある範囲内で速くしても、濾過性に問題のない沈澱
物が得られることを発見した。
【0007】
【発明の構成】本発明はケイ酸苦土ニッケル鉱石を塩酸
で浸出し、SiO2を主成分とする浸出残渣を分離する
工程(浸出工程)、SiO2除去後の浸出液に中和剤を
添加してNi、FeおよびCrを水酸化物として沈澱さ
せる工程(沈澱凝集工程)、該沈澱物を濾過洗浄して塩
化マグネシウム水溶液から分離する工程(濾過洗浄工
程)、分離した前記沈澱物を乾燥、焙焼することにより
Ni、Feの酸化物の混合物を製造する工程(乾燥焙焼
工程)、前記濾液を乾燥、焙焼して塩酸を回収すると同
時に酸化マグネシウムを再生する工程(塩酸回収工程)
からなるケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法において:
塩酸浸出液中の金属イオンの濃度をFe:0.3〜1.
3モル/リットル、Ni:0.05〜0.21モル/リ
ットル、Mg:1.0〜2.3モル/リットルになるよ
うに調整し、塩酸浸出液の温度を50℃以上に保持し、
下式で示される撹拌強度(撹拌強度=(8.067・Τ
・ω)/中和処理量、ただしΤ:撹拌軸回転トルク
ω:角速度)kWとして1.0×10-5〜1.5×10
-3kW/リットルの強度で撹拌しながら、Mgを含む中
和剤をMg量基準で1.2〜15.0g/(min・リ
ットル)の添加速度で加え、pHを3.0〜6.5とし
て濾過洗浄性の優れたFe、Ni含有沈澱物を生成する
ことを特徴とするケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法を
提供する。本発明方法の実施において好ましい中和剤は
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシ
ウム、マグネシア含有鉱物またはこれらをスラリー状に
したものである。本発明法では塩酸回収工程が得られ、
塩酸を回収すると同時に塩化マグネシウムを再生し、中
和に再利用することができる。塩酸浸出液の加熱温度は
50℃以上である必要があるが上限を特に定める必要は
ない。何人も不必要に加熱しエネルギーを消費すること
はないであろう。
【0008】本発明の方法においては、浸出工程は塩酸
により鉱石中のFe、Niを完全に浸出し、濾過により
SiO2を残渣として取り除くことを目的としている。
その手段としては浸出槽中に粉砕したニッケル鉱石と塩
酸を装入し、好ましくは50℃以上に加熱、撹拌し、F
e、Niを完全に浸出した後、この浸出液を濾過する。
浸出工程において用いられる塩酸濃度は特別に限定はな
い。こうしてFe、Ni、CrおよびMgを含む浸出液
とSiO2を主成分とする浸出残渣を得る。ここで生じ
た浸出残渣は周知の選鉱技術を応用して純度の高いシリ
カ粉を副産物として製造することもできる。
【0009】沈澱凝集工程では、前記のSiO2除去後
の塩酸浸出液の濃度をFe:0.3〜1.8モル/リッ
トル、Ni:0.05〜0.21モル/リットル、M
g:1.0〜2.3モル/リットルに調整し、塩酸浸出
液の温度を50℃以上に保持し、浸出液中のFe、N
i、およびCrの全量を水酸化物として沈澱させるに必
要な量で、しかも浸出液がMgが沈澱するようなOH-
イオン濃度に達しないだけの量、すなわちその指標とし
て具体的にはpHが浸出液濃度に応じて3.0〜6.5
の範囲内におさまるだけの量の中和剤をMg量基準で
1.2〜15.0g/(min・リットル)の添加速度
で加える。また中和剤添加中の撹拌強度は下式で示され
る撹拌強度として1.0×10-5〜1.5×10-3kW
/リットルとする。 撹拌強度=(8.067・Τ・ω)/中和処理量 (Τ:撹拌軸回転トルク ω:角速度) ここで浸出液を50℃以上に加熱して行うことは、次工
程の濾過に達した濾過性のよい沈澱物が生成されるため
に好ましく、また、上記pH値の範囲内に調整すること
は、Ni、および鉱石から一部溶出したCrを100%
回収し、かつMgの沈澱を抑制するためにも重要な要件
である。pHを6.5より高くすれば添加する中和剤を
多量に必要とし経済的でなく、また中和剤の溶解度が低
下し、目的とするFe、Niの沈澱物に多量のMgが混
入するからである。一方、3.0より低くすればNiの
沈澱が完全に終了しないことによりNi歩留りが低下す
るからである。また、中和剤の添加速度をMg量基準で
1.2〜15.0g/(min・リットル)の範囲に限
定する理由は、添加速度を15.0g/min・リット
ルより速くすれば、上記撹拌強度での沈澱物粒子の成長
速度に対し沈澱物の生成速度が増し、微細な粒子が多く
発生して濾過性を悪くするからである。逆に1.2g/
(min・リットル)より遅くすれば中和工程に時間を
要し、生産速度が低くなり、結果として莫大な設備を必
要とするからである。さらに、中和時の撹拌を上式の撹
拌強度として1.0×10-5〜1.5×10-3kW/リ
ットルの範囲内にすることも不可欠な要因である。撹拌
強度を1.0×10-5kW/リットルより小さくする
と、中和槽内の中和反応が均一にならないばかりか、沈
澱物粒子(フロック)を相互に衝突させ、吸着力や吸引
力によって粗大化させるための撹拌エネルギーが不十分
であり、さらに中和剤の溶解が促進されず、後の濾過工
程で分離されるFe、Niの沈澱物中に未溶解のMgが
混入し、産物中のNi品位を低下させることになる。一
方、1.5×10-3kW/リットルより大きくすると、
成長中の凝集フロックがせん断力によって破壊されてし
まい、細い微粒子となって濾過性が低下するからであ
る。
【0010】濾過洗浄工程では沈澱凝集したFe、Ni
の水酸化物を主成分とするケーキと塩化マグネシウム水
溶液とに分離する。その手段としては、50℃以上に加
熱した浸出液(沈澱物を含んだ塩化マグネシウム水溶
液)温度を濾材等をいためない60℃以下程度にして濾
過分離するか、または濾過装置の寿命を延ばすことを重
視する場合は若干濾過速度は低下するが浸出液温度をい
ったん室温近傍まで冷却しても問題ない。ここで、最終
産物であるFe、Niの酸化物の混合物の純度を重視す
る場合は、沈澱物ケーキを洗浄する。洗浄方法として
は、濾過装置に洗浄水をそのまま供給して脱水してもよ
く、あるいはケーキをいったん取り出して撹拌槽等に洗
浄水とともに供給し、撹拌洗浄してもよい。後者の場
合、本処理法で得た沈澱物は、再び洗浄水を分離するた
めの濾過においても濾過性に問題はない。
【0011】乾燥焙焼工程では濾過により分離した前記
水酸化物すなわちFe、Ni水酸化物を主成分とするケ
ーキをロータリーキルン等で乾燥、焙焼してFe、Ni
の酸化物の混合物を製造すると同時に排ガスから若干の
塩酸を回収する。
【0012】塩酸回収工程では、濾過洗浄工程で分離し
た塩化マグネシウム水溶液を乾燥、焙焼することにより
塩酸を回収すると共に酸化マグネシウムを副産物として
製造することができる。使用する焙焼炉は、流動層型で
もよいし、ロータリーキルンのような回転炉でもよい。
製造した酸化マグネシウムの一部は沈澱生成工程の中和
剤として再利用することができ、残部は精製、焼成など
して、耐火物原料等に利用することができる。また回収
した塩酸も浸出工程にリサイクルして使用できる。
【0013】
【発明の具体的開示】次に実施例を挙げるが本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0014】実施例1
【表1】 (重量%) 鉱 石\化 学 成 分 Fe Ni SiO2 MgO ケイ酸苦土ニッケル鉱石一般 9.0〜15.0 1.0〜2.8 35〜50 20〜30 使用鉱石 13.7 2.3 42.6 23.4
【0015】表1に示す組成のニッケル鉱石を80メッ
シュ以下に粉砕し、80℃の6規定塩酸で浸出し鉱石中
のFe、Niを完全に抽出した。この浸出液を濾過して
SiO2を除去した。次にSiO2除去後の浸出液(F
e:0.43モル/リットル、Ni:0.07モル/リ
ットル、Mg:1.01モル/リットル)を80℃に保
持し、1.0×10-4kW/リットルの撹拌強度で撹拌
しながら、スラリー状にした酸化マグネシウム(Mg
O)をMg純分換算で1.5g/(min・リットル)
の添加速度で添加した。pHを6.2にしたところで生
成した沈澱物を濾過洗浄後、乾燥焙焼した。この時の濾
過および洗浄はフィルタープレス式濾過機(総濾過面積
3.392m2)を用いて行い、濾過に要した時間は2
5分/1000リットルであり濾過性は良好であった。
またこの処理によりFe:53.1%、Ni:9.0
%、Mg:7.3%を含有したFe、Ni酸化物の混合
物を得た。このときのFeの回収率は100%、Niの
回収率は100%であり、鉱石中のMg量の92%がF
e、Ni混合物から分離された。
【0016】実施例2 実施例1と同じ鉱石を用いて実施例1と同じように浸
出、濾過し、SiO2を除去した。次にSiO2除去後の
80℃の浸出液を1.0×10-4kW/リットルの撹拌
強度で撹拌しながら、酸化マグネシウムをMg純分換算
で14.5g/min・リットル)の添加速度で添加し
た。pHを6.3にしたところで生成した沈澱物を濾過
洗浄後、乾燥焙焼した。この時の濾過および洗浄はフィ
ルタープレス式濾過機(総濾過面積3.392m2)を
用いて行い、濾過に要した時間は31分/1000リッ
トルであり濾過性は良好であった。またこの処理により
Fe:51.9%、Ni:8.7%、Mg:8.8%を
含有したFe、Ni酸化物の混合物を得た。このときの
Feの回収率は100%、Niの回収率は100%であ
り、鉱石中のMg量の90%がFe、Ni混合物から分
離された。濾液の塩化マグネシウム水溶液はスプレード
ライヤーで乾燥後、竪型流動焙焼炉で800℃で焙焼し
て酸化マグネシウムを生成すると同時に、発生ガスから
塩酸を回収した。このときの塩酸回収率は99.9%で
あり、塩酸浸出工程に十分使用できるものであった。
【0017】実施例3 実施例2と同じ処理を行った。ただし沈澱凝集工程で
は、SiO2除去後の80℃の浸出液を1.5×10-5
kW/リットルの撹拌強度で撹拌しながら、中和剤をM
g純分換算で5.0g/(min・リットル)の添加速
度で添加した。ただし中和剤としては実施例2で生成し
た酸化マグネシウムをスラリー状にして用いた。pHを
6.0にしたところで生成した沈澱物を濾過洗浄後、乾
燥焙焼した。このときの濾過及び洗浄はフィルタープレ
ス式濾過機(総濾過面積3.392m2)を用いて行
い、濾過に要した時間は28分/1000リットルであ
り濾過性は良好であった。またこの処理によりFe:5
4.3%、Ni:9.1%、Mg:6.5%を含有した
Fe、Ni酸化物の混合物を得た。このときのFe、N
iの回収率は100%であり、鉱石中のMg量の93%
がFe、Ni混合物から分離された。濾液の塩化マグネ
シウム水溶液はスプレードライヤーで乾燥後、ロータリ
ーキルンで800℃で焙焼して塩化マグネシウムを生成
すると同時に、発生ガスから塩酸を回収した。このとき
の塩酸回収率は99.9%であり、塩酸浸出工程に十分
使用できるものであった。
【0018】実施例4 実施例2と同じ処理を行った。ただし浸出工程では実施
例3で回収した塩酸を用い、中和剤は水酸化マグネシウ
ムを用いた。沈澱凝集工程では、SiO2除去後の80
℃の浸出液を1.4×10-3kW/リットルの撹拌強度
で撹拌しながら、中和剤をMg純分換算で5.0g/
(min・リットル)の添加速度で添加した。pHを
6.3にしたところで生成した沈澱物を濾過洗浄後、乾
燥焙焼した。この時の濾過および洗浄はフィルタープレ
ス式濾過機(総濾過面積3.392m2)を用いて行
い、濾過に要した時間は35分/1000リットルであ
り濾過性は良好であった。またこの処理によりFe:5
2.9%、Ni:8.9%、Mg:7.3%を含有した
Fe、Ni酸化物の混合物を得た。このときのFe、N
iの回収率は100%であり、鉱石中のMg量の92%
がFe、Ni混合物から分離された。濾液の塩化マグネ
シウム水溶液はスプレードライヤーで乾燥後、ロータリ
ーキルンで800℃で焙焼して酸化マグネシウムを生成
すると同時に、発生ガスから塩酸を回収した。
【0019】比較例1 実施例1と同じ処理を行った。ただし沈澱凝集工程で
は、1.0×10-4kW/リットルの撹拌強度で撹拌し
ながら、中和剤をMg純分換算で20g/(min・リ
ットル)の添加速度で添加した。pHを6.3にしたと
ころで生成した沈澱物をフィルタープレス式濾過機(総
濾過面積3.392m2)を用いて濾過しようとした
が、濾過が困難であったため完全に脱水することができ
ず、途中で中止した。
【0020】比較例2 実施例1と同様な処理を行った。ただし沈澱凝集工程で
は、0.5×10-5kW/リットルの撹拌強度で撹拌し
ながら、中和剤をMg純分換算で5.0g/(min・
リットル)の添加速度で添加した。pHを6.3にした
ところで生成した沈澱物を濾過洗浄後、乾燥焙焼した。
この時の濾過に要した時間は41分/1000リットル
であり濾過性は良好であった。またこの処理により鉱石
中のMg量の35%がFe、Niから除去できなかった
ため、得られたFe、Ni酸化物の混合物はFe:3
5.1%、Ni:5.8%、Mg:21.1%と、Ni
濃度が低かった。
【0021】比較例3 実施例1と同様な処理を行った。ただし沈澱凝集工程で
は、SiO2除去後の80℃の浸出液を1.6×10-3
kW/リットルの撹拌強度で撹拌しながら、中和剤をM
g純分換算で5.0g/(min・リットル)の添加速
度で添加した。pHを6.3にしたところで生成した沈
澱物を濾過洗浄後、乾燥焙焼した。この時の濾過および
洗浄はフィルタープレス式濾過機(総濾過面積3.39
2m2)を用いて行い、濾過に要した時間は66分/1
000リットルであり 濾過性は実施例にくらべて悪
かった。またこの処理によりFe:51.8%、Ni:
8.7%、Mg:8.9%を含有したFe、Ni酸化物
の混合物を得た。このときのFe、Niの回収率は99
%であり、鉱石中のMg量の90%がFe、Ni混合物
から分離された。
【0022】比較例4 実施例1と同様な処理を行った。ただし中和工程におい
て、80℃の浸出液を1.0×10-4kW/リットルの
撹拌強度で撹拌しながら、中和剤をMg純分換算で5.
0g/(min・リットル)の添加速度で添加し、pH
を6.6にまで上昇させたところで生成した沈澱物を濾
過洗浄後、乾燥焙焼した。この時の濾過および洗浄は実
施例と同様に行い、濾過に要した時間は28分/100
0リットルと濾過性に問題はなかったが、この処理によ
りFe:34.5%、Ni:4.5%、Mg:25.9
%を含有したFe、Ni酸化物の混合物を得た。このと
きのFe、Niの回収率は99%であり、Fe、Ni酸
化物の混合物中には多量の未溶解MgOを含み、見かけ
上、Mg量の除去率は35%となった。
【0023】
【表2】 中和剤添加速度 撹拌強度 中和 濾過時間 (g/min・リットル) (kW/リットル) pH (min) 実施例1 1.5 1.0×10-4 6.2 25 実施例2 14.5 1.0×10-4 6.3 31 実施例3 5.0 1.5×10-5 6.0 28 実施例4 5.0 1.4×10-3 6.3 26 比較例1 20.0 1.0×10-4 6.3 不可 比較例2 5.0 0.5×10-5 6.3 41 比較例3 5.0 1.6×10-3 6.3 66 比較例4 5.0 1.0×10-4 6.6 28
【0024】
【表3】 回収率 酸化物中の濃度(%) Fe Ni Fe Ni Mg Mg除去率(%) 実施例1 100 100 53.1 9.0 7.3 92 実施例2 100 100 51.9 8.7 8.8 90 実施例3 100 100 54.3 9.1 6.5 93 実施例4 100 100 52.9 8.9 7.3 92 比較例1 99 98 53.6 9.0 11.9 87 比較例2 100 100 35.1 5.8 21.1 65 比較例3 99 99 51.8 8.7 8.9 90 比較例4 99 99 34.5 4.5 25.9 35 表2、表3には本発明の実施例および比較例の中和条
件、濾過時間、回収率、Mg除去率、および得られた酸
化物中の各元素の濃度を示した。実施例では90%以上
のMg除去率が得られ、また濾過時間も30分/100
0リットル前後と良好である。一方、比較例1では中和
剤の添加速度が適正範囲から外れた速い速度であるた
め、濾過が不可能であった。また比較例2では撹拌強度
が弱かったため、中和剤の溶解が進まず多くのMgが酸
化物に混入し、比較例3では逆に撹拌強度が強すぎるた
めに、沈澱物粒子が成長せずに細かくなったため濾過時
間が実施例に比べ著しく長かった。比較例4では参考図
に示すように、本発明の最適pH範囲から外れたために
Fe、Ni酸化物の混合物中に多量の未溶解MgOを含
み、見かけ上、Mg量の除去率は低い結果となった。
【0025】
【発明の効果】本発明の処理方法は、ケイ酸苦土ニッケ
ル鉱石を塩酸浸出し、浸出液を中和して鉱石中の有価金
属を回収する方法において、従来困難であった鉄を主と
する沈澱物の濾過を、中和時の撹拌および中和剤添加速
度の条件を適切にすることにより容易にし、目的とする
Fe、Niを高回収率で得るとともに、耐火物原料であ
る酸化マグネシウム、シリカ等を副産物として得ること
もできる。また、処理に必要な塩酸、中和剤も再生し、
系内でリサイクルできる非常に優れた処理方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山内 隆 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所ステンレス・高合金 研究部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸苦土ニッケル鉱石を塩酸で浸出
    し、SiO2を主成分とする浸出残渣を分離する工程
    (浸出工程)、SiO2除去後の浸出液に中和剤を添加
    してNi、Feを水酸化物として沈澱させる工程(沈澱
    凝集工程)、該沈澱物を濾過、洗浄して塩化マグネシウ
    ム水溶液から分離する工程(濾過洗浄工程)、分離した
    前記沈澱物を乾燥、焙焼することによりNi、Feの酸
    化物の混合物を製造する工程(乾燥焙焼工程)、前記濾
    液を乾燥、焙焼して塩酸を回収すると同時に酸化マグネ
    シウムを再生する工程(塩酸回収工程)からなるケイ酸
    苦土ニッケル鉱石の処理方法において:塩酸浸出液中の
    金属イオンの濃度をFe:0.3〜1.8モル/リット
    ル、Ni:0.05〜0.21モル/リットル、Mg:
    1.0〜2.3モル/リットルになるように調整し、塩
    酸浸出液の温度を50℃以上に保持し、下式で示される
    撹拌強度(撹拌強度=(8.067・Τ・ω)/中和処
    理量、ただし、Τ:撹拌軸回転トルク ω:角速度)k
    Wとして1.0×10-5〜1.5×10-3kW/リット
    ルの強度で撹拌しながら、Mgを含む中和剤をMg純分
    換算で1.2〜15.0g/(min・リットル)の添
    加速度で加え、pHを3.0〜6.5として濾過洗浄性
    の優れたFe、Ni含有沈澱物を生成することを特徴と
    するケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法。
  2. 【請求項2】 中和剤が酸化マグネシウム(MgO)、
    水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシ
    ウム(MgCO3)、マグネシア(MgO)含有鉱物ま
    たはこれらをスラリー状にしたもの、のうち1種もしく
    は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に
    記載のケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法。
  3. 【請求項3】 前記濾過工程において、Fe、Niの水
    酸化物を主成分とする沈澱物を含む塩化マグネシウム水
    溶液を濾過する前に室温近傍まで冷却することを特徴と
    する請求項1に記載のケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記塩酸回収工程で再生した酸化マグネ
    シウムを前記中和剤として再利用することを特徴とする
    請求項1に記載のケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法。
JP10595292A 1992-03-31 1992-03-31 ケイ酸苦土ニッケル鉱石の処理方法 Withdrawn JPH05279765A (ja)

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WO1999006603A1 (en) * 1997-08-01 1999-02-11 Centaur Nickel Pty Limited Selective precipitation of nickel and cobalt

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999006603A1 (en) * 1997-08-01 1999-02-11 Centaur Nickel Pty Limited Selective precipitation of nickel and cobalt
US6409979B1 (en) 1997-08-01 2002-06-25 Centaur Nickel Pty Limited Selective precipitation of nickel and cobalt

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