JPH06127205A - インナーチューブ - Google Patents

インナーチューブ

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JPH06127205A
JPH06127205A JP4169838A JP16983892A JPH06127205A JP H06127205 A JPH06127205 A JP H06127205A JP 4169838 A JP4169838 A JP 4169838A JP 16983892 A JP16983892 A JP 16983892A JP H06127205 A JPH06127205 A JP H06127205A
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JP
Japan
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inner tube
rubber
nylon
film
polyurethane
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JP4169838A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kuramochi
浩 倉持
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PORI TEC DESIGN KK
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PORI TEC DESIGN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 汎用ゴムをベースゴムにしたインナーチュ
ーブを提供する。 【構成】 不飽和結合を持つゴムまたは熱可塑性エラ
ストマーをベースゴムとして、インナーチューブを成型
する。成型物をハロゲン化処理する。一方、変性ナイロ
ン、共重合ナイロン、ポリウレタンとポリフッ化ビニリ
デンのブレンド物、ポリウレタンとポリ塩化ビニリデン
のブレンド物などのポリマーを溶媒に溶解する。この溶
液に先のインナーチューブを浸漬する。次にこれを加温
すると溶媒が揮散し、表面に変性ナイロンなどの皮膜が
形成される。これらのポリマーはガスバリア性が高く伸
縮性がある。不飽和結合を持つゴムは安価だが、ガスバ
リア性が低い。しかしこれらの皮膜を形成することによ
って、ガスバリア性が従来品と同等ないしはそれ以上の
インナーチューブになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に自転車のタイヤの
インナーチューブに関する。トラック、バス、乗用車、
二輪自動車のタイヤのインナーチューブにすることもで
きる。さらには、ボール用のインナーチューブにも応用
できる。
【0002】
【従来の技術】自動車のタイヤは、高速走行における安
全性の面から、大半がチューブレスタイヤとなってい
る。しかし自転車用のタイヤの多くは、インナーチュー
ブを使っている。すなわち自転車用のタイヤは、インナ
ーチューブに空気を注入し、リムに密着させている。こ
のタイヤは大きな荷重には耐えられないが、軽量でクッ
ション性が良いことから、自転車の98〜99%で使わ
れている。
【0003】自転車用タイヤのインナーチューブやボー
ルのインナーチューブは、中の気体を外に出さないよう
な性質、すなわち高いガスバリア性が要求される。また
タイヤやボールとしての弾性を損ねないように、インナ
ーチューブは伸縮性が要求される。そこでインナーチュ
ーブには、ガスバリア性が高く、伸縮性のある素材であ
るブチルゴムが使用されている。
【0004】インナーチューブにブチルゴムを使うの
は、国内では問題無い。しかし東南アジア諸国向けに輸
出するタイヤでは、ブチルゴムを使えない場合がある。
東南アジア諸国は、天然ゴムの産地が多い。各国は天然
ゴムの需要を伸ばそうとしている。インナーチューブも
例外ではなく、天然ゴムを素材としたインナーチューブ
の使用が、東南アジア諸国で推進されている。ところ
が、天然ゴムはブチルゴムに比べて、窒素で約20倍も
ガスバリア性が低い。天然ゴムを素材としたインナーチ
ューブは、空気が早く抜けてしまう。例えばブチルゴム
で作ったインナーチューブを取り付けた自転車では、約
1カ月半から2カ月に一回、空気を入れれば良かったと
する。このタイヤのインナーチューブを天然ゴム製のも
のに変えると、2〜3日に一回空気を入れなくてはなら
なくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】天然ゴムをベースゴム
として作ったインナーチューブの問題点は、空気が抜け
易いことである。本発明はこの問題点を解決した。さら
には、本発明は天然ゴム以外の汎用ゴムや汎用エラスト
マーを主たるベースゴムとしたインナーチューブも提供
する。先述したようにインナーチューブの素材は、ほと
んどブチルゴムである。ブチルゴムの価格はほかの汎用
ゴムに比べると高い。例えば、スチレンブタジエンゴム
と比べると、ブチルゴムは約2倍の価格である。本発明
は、インナーチューブの原材料費が高価であるという問
題点も解決した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のインナーチュー
ブの作り方をまず簡単に述べる。 分子構造中に不飽和結合を持つ汎用ゴム、または不飽
和結合を持つ熱可塑性エラストマーでインナーチューブ
を成型する。 インナーチューブの表面を、ハロゲン化処理する。 特殊なナイロンやポリウレタンやポリフッ化ビニリデ
ンやポリ塩化ビニリデンで、インナーチューブの表面に
皮膜を形成する。 以下にこれを詳述する。
【0007】分子構造中に不飽和結合を持つ汎用ゴ
ム、または不飽和結合を持つ熱可塑性エラストマーでイ
ンナーチューブを成型する。インナーチューブの主たる
ベースゴムに、汎用ゴムを用いる。その中で、分子構造
中に不飽和結合を持つゴムを選ぶ。具体的には天然ゴ
ム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプ
レンゴムなどである。これらを適当な割合でブレンドし
ても良い。また、不飽和結合を持つ熱可塑性エラストマ
ーの中から、ベースゴムを選んでも良い。具体的にはス
チレンブタジエンスチレン、スチレンイソプレンスチレ
ンなどのスチレン系エラストマーが好ましい。熱可塑性
エラストマーも、2種類以上を選んで混ぜてベースゴム
としても良い。
【0008】ベースゴムに汎用ゴムを選んだ場合は、そ
れに適した配合を設定する。本発明のインナーチューブ
に適した配合を、表1に示した。設定に沿って、配合剤
や架橋剤を加えて混練する。これをインナーチューブに
成型する。エラストマーを選んだ場合は押出成型でイン
ナーチューブを成型する。
【0009】
【表1】
【0010】インナーチューブの表面を、ハロゲン化
処理する。成型したインナーチューブの表面を、ハロゲ
ン化処理する。好ましい処理方法を次に述べる。
【0011】塩素化処理 従来から採られているゴムの塩素化処理であればどの方
法でも良い。例えば、水1lに、さらし粉を2〜7g
と、12規定塩酸を3〜9mlとを溶解する。この溶液
に、インナーチューブを常温で10秒〜5分間浸漬す
る。
【0012】臭素化処理、ヨウ素化処理 臭素またはヨウ素を水に通気して、これらが十分に溶解
した溶液を作る。この溶液にインナーチューブを常温で
3〜80分間浸漬する。どの処理方法を採った場合も、
後処理、すなわち中和処理をする。例えば、1%炭酸ナ
トリウム水溶液などの弱アルカリ溶液でインナーチュー
ブを洗い、水洗する。
【0013】特殊なナイロンやポリウレタンやポリフ
ッ化ビニリデンやポリ塩化ビニリデンで、インナーチュ
ーブの表面に皮膜を形成する。ハロゲン化処理したイン
ナーチューブは十分に乾燥する。インナーチューブの表
面に皮膜を作る。皮膜の素材に適しているのは、ガスバ
リア性が高く、伸縮性のあるポリマーである。このよう
なポリマーはいろいろあるが、本発明に適しているの
は、変性ナイロン、共重合ナイロン、ポリウレタンとポ
リフッ化ビニリデンのブレンド物、ポリウレタンとポリ
塩化ビニリデンのブレンド物などである。各々について
説明する。
【0014】変性ナイロンや共重合ナイロンは、ナイロ
ンを可溶性にしたものである。変性ナイロンはN−メト
キシメチル化ナイロン、すなわち6−ナイロンをメトキ
シメチル化して可溶化したナイロンである。共重合ナイ
ロンは、6−ナイロン、6,6−ナイロン、610−ナ
イロンなどを共重合して可溶化したナイロンである。ポ
リウレタンとポリ塩化ビニリデンのブレンド物やポリウ
レタンとポリフッ化ビニリデンのブレンド物は、どちら
もポリウレタンが10〜50容量%となるようにブレン
ドする。ポリウレタンは、熱硬化性のものでも熱可塑性
のものでも良い。
【0015】インナーチューブの表面全体に、これらの
ポリマーの皮膜を形成する。どのような方法で皮膜を形
成しても良い。薄く均一な皮膜を形成するには、ポリマ
ーの溶液を用いると良い。溶液の調整方法を次に述べ
る。
【0016】N−メトキシメチル化ナイロンや共重合ナ
イロンは、メタノールなどの低級アルコールに良く溶け
るので、低級アルコールを主たる溶媒とする。水、トリ
クレン、クロロホルム、四塩化炭素などを少量加えて、
混合溶媒にしても良い。溶媒に対して5〜50重量%と
なるように、N−メトキシメチル化ナイロンや共重合ナ
イロンを溶解する。両者を併せて溶解しても良い。その
場合は、N−メトキシメチル化ナイロンと共重合ナイロ
ンの量が、合計して5〜50重量%となるようにする。
N−メトキシメチル化ナイロンは架橋することもでき
る。架橋する場合は、架橋触媒を加える。架橋触媒は、
クエン酸、酒石酸などの有機酸の中から選ぶ。N−メト
キシメチル化ナイロンに対して3〜5重量%となるよう
に、有機酸を溶媒に溶解する。
【0017】ポリウレタンやポリ塩化ビニリデンやポリ
フッ化ビニリデンは、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジメチルホルムアミドなどを主たる溶媒とする。溶
媒に対してこれらポリマーの総量が、5〜50重量%と
なるように溶解する。熱硬化性ポリウレタンを用いる場
合は、主剤と硬化剤を別々に溶媒に溶解してから合わせ
ても良い。主剤と硬化剤を混ぜてから溶媒に溶解しても
良い。
【0018】作ったポリマー溶液をインナーチューブに
塗布する。ポリマー溶液が均一に塗布できれば、どのよ
うな方法で塗布しても良い。例えば、はけなどで溶液を
インナーチューブに塗っても良い。ポリマー溶液をイン
ナーチューブにスプレーしても良い。ポリマー溶液にイ
ンナーチューブ全体を浸漬しても良い。この方法は、量
産が簡単にできるし、塗りむらができないので、好まし
い。
【0019】ポリマー溶液を塗布したら、40〜100
℃で1〜30分間加熱して、溶媒を揮散する。N−メト
キシメチル化ナイロンを架橋する場合は、120〜15
0℃で5〜20分間加熱する。熱硬化性ポリウレタンを
用いる場合は、選んだグレードに適した硬化条件で加熱
する。
【0020】
【作用】本発明は、分子構造中に不飽和結合を持つ汎用
ゴムを素材とする。天然ゴム、スチレンブタジエンゴム
などの汎用ゴムは、ゴムの中では安価である。このゴム
で所望のインナーチューブを成型する。これをハロゲン
化処理する。すると、分子構造中の不飽和結合の部分
が、ハロゲン化される。処理方法の中で簡単なのは、塩
素化処理である。ハロゲン化処理していないゴム成型物
の表面は、不活性である。未処理のインナーチューブ表
面は均一にポリマー溶液を塗るのが難しいし、また形成
した皮膜の密着性が非常に悪い。しかしハロゲン化処理
すると、インナーチューブ表面が極性化する。すると溶
液によるぬれが良くなり、しかも形成した皮膜がはがれ
にくくなる。
【0021】ハロゲン化処理したインナーチューブの表
面に、変性ナイロンやポリウレタンなどのポリマー溶液
を塗布する。インナーチューブの表面は、ハロゲン化に
よって極性が大きくなっているので、ポリマー溶液を均
一に塗ることができる。これを加温すると、溶媒だけが
揮散する。そしてポリマーがインナーチューブ表面全体
に残る。このようにして、変性ナイロンなどのポリマー
の薄い皮膜で全体が覆われたインナーチューブができ
る。
【0022】変性ナイロンなどのポリマー皮膜は、厚み
が1μm以上でないと、ガスバリア性が悪くなる。また
厚みが100μm以上になると、インナーチューブの伸
縮性を損ねる。したがって、皮膜の厚みは1〜100μ
m、好ましくは10〜100μmとなるようにする。ポ
リマー溶液の塗布と、溶媒揮散の操作を繰り返せば、皮
膜の厚みを調整できる。変性ナイロンやポリウレタンな
どの皮膜を、交互に形成しても良い。
【0023】形成されたポリマー皮膜は、インナーチュ
ーブの表面に強固に密着している。これは先述したよう
に、ハロゲン化処理によってインナーチューブの表面が
活性化していることによる。従って、皮膜がインナーチ
ューブからはがれることはない。特に、N−メトキシメ
チル化ナイロンを架橋した皮膜や、熱硬化性ポリウレタ
ンを使った皮膜は、インナーチューブ表面との密着状態
が非常に良い。これはN−メトキシメチル化ナイロンや
ポリウレタンが架橋反応する際、その一部がインナーチ
ューブ表面のゴム分子と反応を生じることによる。
【0024】このようにして形成したポリマー皮膜によ
って、インナーチューブのガスバリア性は非常に高くな
る。例えば、N−メトキシメチル化ナイロンの気体透過
性は、窒素でブチルゴムの50分の1である。厚さ1m
mの自転車用インナーチューブを天然ゴムで成型し、こ
れに厚さ20μmのN−メトキシメチル化ナイロン皮膜
を形成したとする。このインナーチューブのガスバリア
性は、理論的に厚さ1mmのブチルゴム製インナーチュ
ーブより高くなる。ポリ塩化ビニリデンやポリフッ化ビ
ニリデンのガスバリア性は、窒素でブチルゴムの500
分の1である。例えば、ポリ塩化ビニリデンとポリウレ
タンを1:1に混ぜる。これを用いて、厚さ1mmの天
然ゴム製インナーチューブ表面に、厚さ10μmの皮膜
を形成する。このインナーチューブのガスバリア性は、
厚さ2.5mmのブチルゴム製インナーチューブと同等
以上である。
【0025】本発明では、6−ナイロンなどの汎用ナイ
ロンではなく、変性ナイロンや共重合ナイロンを用い
た。これには二つの理由がある。一つは変性ナイロンや
共重合ナイロンが、低級アルコールに溶解することであ
る。何らかの成型物にポリマー皮膜を均一に形成するに
は、ポリマー溶液を成型物に塗布する方法が良い。汎用
ナイロンが溶解する溶媒は、取り扱いの厄介なフェノー
ルなどである。しかし本発明で使用したナイロンは、取
り扱い易いエタノールなどに溶解することができる。二
つめは、変性ナイロンなどは汎用ナイロンと異なり、伸
びがあることである。タイヤのインナーチューブは、カ
ーカスなどにより保護されているが、多少伸縮する。変
性ナイロンや共重合ナイロンの皮膜であれば、インナー
チューブの動きに追従する。すなわち、形成した皮膜が
ひび割れたりしない。
【0026】また、本発明ではポリ塩化ビニリデンやポ
リフッ化ビニリデンとポリウレタンのブレンド物を使っ
た。ポリ塩化ビニリデンやポリフッ化ビニリデンは、ガ
スバリア性は高いが伸縮性に乏しい。そこで伸縮性が高
く、ポリ塩化ビニリデンなどと同じ溶媒に溶解できるポ
リウレタンを使用した。ブレンドすることによって、伸
縮性とガスバリア性を兼ね備えた皮膜を形成できる。
【0027】価格の面では、本発明のインナーチューブ
は従来のブチルゴム製インナーチューブに比べて、同等
以下にすることができる。インナーチューブのベースゴ
ムに天然ゴム、スチレンブタジエンゴムなどの汎用ゴム
を使えば、原材料費がブチルゴムより安くなる。また、
ベースゴムに熱可塑性エラストマーを使えば押し出し成
型できる。すると成型設備や成型工程の面で、ブチルゴ
ムでインナーチューブを作るより安くなる。本発明はイ
ンナーチューブを成型した後、ハロゲン化処理、ポリマ
ー皮膜形成などの工程がある。しかし、これらの工程は
操作が単純で、量産も簡単である。これらの工程にかか
る費用は安い。このような理由で、これまでと同等以下
の価格のインナーチューブを提供できる。
【0028】
【実施例】
例A)天然ゴムをベースゴムとしたインナーチューブ
に、N−メトキシメチル化ナイロンの皮膜を形成する例 天然ゴムをベースゴムとして、表1、例Aの配合の配合
に従い、配合剤を混練する。142℃で15分の加硫条
件で、自転車用インナーチューブを成型する。これを塩
素化処理する。1lの水に、さらし粉4gと12規定塩
酸5mlを加えた溶液を作る。これにインナーチューブ
を浸漬し、3分間放置する。取り出したインナーチュー
ブは、1%炭酸ナトリウム溶液で洗い、その後水洗、乾
燥する。
【0029】次に、N−メトキシメチル化ナイロンの皮
膜を形成する。N−メトキシメチル化ナイロンは、帝国
化学産業(株)、トレジンF30を用いた。トレジンが
約25%となるように、メタノールに溶解する。このナ
イロンは、有機酸を触媒として架橋できる。N−メトキ
シメチル化ナイロンのメタノール溶液1lに、あらかじ
め少量の温水に溶解しておいた酒石酸8gを加え、よく
混ぜる。この溶液にインナーチューブを浸漬し、5秒後
に取り出す。そして80℃で5分間乾燥する。この操作
を3回繰り返す。3回目は、130℃で8分間乾燥す
る。インナーチューブの表面には、N−メトキシメチル
化ナイロンの皮膜が形成される。皮膜によって、天然ゴ
ム製インナーチューブのガスバリア性が上がる。また、
この皮膜は架橋しているので、インナーチューブとの密
着性が非常に高く、かつ伸縮性に富んでいる。インナー
チューブを強く引っ張ったりしても、皮膜にひびなどが
入ることは無い。皮膜の厚みは、およそ45μmであっ
た。
【0030】例B)スチレンブタジエンゴムをベースゴ
ムとしたインナーチューブに、共重合ナイロンの皮膜を
形成する例 スチレンブタジエンゴムをベースゴムとして、例Bの配
合に従って混練する。157℃、3分間の加硫条件で、
インナーチューブを成型する。これを例Aと同じ方法で
塩素化処理する。中和処理も例Aと同様に行う。
【0031】次に共重合ナイロンの皮膜を形成する。共
重合ナイロンは東レ(株)CM8000を用いた。CM
8000が約25%となるように、メタノールに溶解す
る。この溶液にインナーチューブを浸漬し、約5秒後に
取り出す。そして80℃で5分間乾燥する。この操作を
2回繰り返す。2回目は、80℃で20分間乾燥する。
するとインナーチューブの表面に、共重合ナイロンの皮
膜が形成される。皮膜によって、インナーチューブのガ
スバリア性が高くなる。この皮膜もまた、6−ナイロン
などの汎用ナイロンに比べると伸縮性が高い。従って、
インナーチューブの動きによって、この皮膜がはがれた
りすることはない。膜厚はおよそ30μmであった。
【0032】例C)スチレンブタジエンゴムをベースゴ
ムとしたインナーチューブに、熱可塑性ポリウレタンと
ポリフッ化ビニリデンの皮膜を形成する例 例Bと同じインナーチューブを使用する。インナーチュ
ーブの表面を、例Aと同じ条件で塩素化する。中和処理
も、例Aと同様にする。
【0033】熱可塑性ポリウレタンは、日本ポリウレタ
ン工業(株)パラプレン26を、ポリフッ化ビニリデン
は呉羽化学(株)KFポリマーを用いた。パラプレン2
6が約10%,ポリフッ化ビニリデンが約15%となる
ように、ジメチルホルムアミドに溶解する。この溶液に
インナーチューブを浸漬し、10秒後に取り出す。これ
を80℃で10分間加温する。この操作を3回繰り返
す。3回目は、加温時間を20分とする。インナーチュ
ーブの表面には、ポリウレタンとポリフッ化ビニリデン
の皮膜が形成される。この皮膜は、ポリウレタンの伸縮
性とポリフッ化ビニリデンのガスバリア性とを持ってい
る。この皮膜の厚みはおよそ45μmであった。
【0034】例D)不飽和結合を持つスチレン系熱可塑
性エラストマーをベースゴムとしたインナーチューブ
に、ポリウレタンとポリフッ化ビニリデンの皮膜を形成
する例 不飽和結合を持つスチレン系熱可塑性エラストマーは、
旭化成(株)タフプレンを用いた。押出成型で、インナ
ーチューブを成型する。続いて例Aと同じ方法で、塩素
化処理、中和処理をする。
【0035】ポリウレタンは、武田薬品工業(株)タケ
ネートL−1270を用いた。このポリウレタンは熱硬
化性である。ポリフッ化ビニリデンは、呉羽化学
(株)、KFポリマー タイプHを使用した。タケネー
トが10%、KFポリマーが20%となるように、各々
ジメチルホルムアミドに溶解する。この溶液にインナー
チューブを浸漬する。取り出したら、80℃で5分間乾
燥する。この操作を3回繰り返す。その後、120℃で
20分間加熱する。インナーチューブの表面には、ポリ
ウレタンとポリフッ化ビニリデンとが混ざった皮膜がで
きる。ポリウレタンが架橋しているので、この皮膜はイ
ンナーチューブ表面に強く密着している。また伸縮性も
高い。皮膜の厚みは約55μmであった。
【0036】(実験)上述した実施例、例A、例Cに関
して、ガスバリア性の実験をした。作ったインナーチュ
ーブを自転車に取り付ける。タイヤの内圧を70kg/
cmにする。どの自転車も、約60kgの負荷をかけ
て、連続して走る。タイヤの内圧が40kg/cm
なるまでの走行距離を測った。対照には、現行のブチル
ゴム製インナーチューブと、天然ゴム製インナーチュー
ブを使った。その結果を表2に示した。この結果から、
本発明のインナーチューブのガスバリア性は、現行品と
同等ないしは、それ以上に優れていると言える。
【0037】
【表2】
【0038】
【効果】これまで、安価な汎用ゴムである天然ゴムやス
チレンブタジエンゴムは、ガスバリア性が低いので、イ
ンナーチューブの素材には適さないとされていた。本発
明は、成型したインナーチューブの表面に皮膜を形成す
る。これによって、ガスバリア性の悪い天然ゴムなどを
ベースゴムにしても、ブチルゴム製インナーチューブと
同等以上のガスバリア性のインナーチューブとなる。従
来、東南アジア諸国には、ガスバリア性の悪い天然ゴム
製インナーチューブを輸出していた。しかし本発明によ
って、天然ゴム製でもガスバリア性の良いインナーチュ
ーブを輸出できる。
【0039】一方価格の面では、本発明のインナーチュ
ーブは従来品より安く作ることができる。天然ゴムやス
チレンブタジエンゴムの1kg当たりの価格は、従来の
インナーチューブのベースゴムであるブチルゴムの2分
の1〜3分の1である。これをベースゴムとして、イン
ナーチューブを作ると、従来のインナーチューブの約3
分の2程度までコストダウンすることが可能である。
【0040】スチレンブタジエンスチレンなどの熱可塑
性エラストマーは、1kg当たりの価格はブチルゴムと
同じくらいである。しかし熱可塑性エラストマーは押出
成型で成型でき、架橋のための工程を必要としない。従
って工程面でコストダウンできる。このように本発明
は、従来品以上のガスバリア性を持ち、安いインナーチ
ューブである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子構造中に不飽和結合を持つゴムまた
    は熱可塑性エラストマーを主たるベースゴムとして、イ
    ンナーチューブを成型し、該成型物の表面をハロゲン化
    処理し、次に該成型物の表面に、変性ナイロン、または
    /および共重合ナイロン、または/およびポリウレタン
    とポリフッ化ビニリデンのブレンド物、または/および
    ポリウレタンとポリ塩化ビニリデンのブレンド物の皮膜
    を、1〜100μmの厚みで形成すること、を特徴とし
    たインナーチューブ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0723883A3 (en) * 1995-01-27 1996-11-27 Yokohama Rubber Co Ltd Pneumatic tires and manufacturing method
JP2006526534A (ja) * 2003-06-03 2006-11-24 ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン サイクル用チューブレス装着組立体の補修装置
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