JPH05330307A - タイヤのインナーライナー - Google Patents

タイヤのインナーライナー

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Publication number
JPH05330307A
JPH05330307A JP4184287A JP18428792A JPH05330307A JP H05330307 A JPH05330307 A JP H05330307A JP 4184287 A JP4184287 A JP 4184287A JP 18428792 A JP18428792 A JP 18428792A JP H05330307 A JPH05330307 A JP H05330307A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
inner liner
nylon
film
polyurethane
Prior art date
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Pending
Application number
JP4184287A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kuramochi
浩 倉持
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POLYTEC DESIGN KK
Polytec Design KK
Original Assignee
POLYTEC DESIGN KK
Polytec Design KK
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Filing date
Publication date
Application filed by POLYTEC DESIGN KK, Polytec Design KK filed Critical POLYTEC DESIGN KK
Priority to JP4184287A priority Critical patent/JPH05330307A/ja
Publication of JPH05330307A publication Critical patent/JPH05330307A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • B60C1/0008Compositions of the inner liner

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)
  • Polyamides (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽く安価で、性能の良いインナーライナー
を提供する。 【構成】 インナーライナーをはり付けていないチュ
ーブレスタイプのタイヤを成型する。不飽和結合を持つ
ゴムをベースゴムとしたインナーライナーをはり付けて
も良い。タイヤの内側をハロゲン化処理する。その部分
にポリマー皮膜を形成する。ポリマーには変性ナイロ
ン、共重合ナイロン、ポリウレタンとポリ塩化ビニリデ
ンのブレンド物、ポリウレタンとポリフッ化ビニリデン
のブレンド物が適当である。この皮膜によって、タイヤ
のガスバリア性が従来品以上に高くなる。皮膜状のイン
ナーライナーなので、従来より軽いタイヤを作ることが
できる。本発明で使用する素材は、価格は高い。しかし
必要とする材料の量が少ない。製造工程も簡単である。
従って、本発明のインナーライナーは、従来品より安価
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用車、トラック、バ
ス、二輪自動車などの車両用タイヤのインナーライナー
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用タイヤは、主にゴムとコード、ワ
イヤーとから成る。タイヤは部分によって要求される性
質が異なる。このため各部分を作り、これを組み合わせ
て成型し、最後に加硫する。タイヤの気密性の保持は、
インナーチューブまたはインナーライナーが担ってい
る。以前はインナーチューブが多く使用されていた。し
かし、近年道路事情が改善され、チューブレスタイヤ、
すなわちインナーライナー使用のタイヤが使われるよう
になった。89年では、国内向けに生産された乗用車用
タイヤの98%が、チューブレスタイヤになっている。
【0003】タイヤのインナーチュ−ブやインナーライ
ナーには、気密性保持という面から、ガスバリア性が要
求される。インナーチューブの素材は、主にブチルゴム
が使われている。インナーチューブはタイヤのカーカス
部などとは別に加硫、成型する。しかしインナーライナ
ーは、カーカスなどの加硫と同時に加硫し、かつ同時に
カーカス部に接着する。従ってインナーライナーは、ガ
スバリア性の他に接着性も要求される。ブチルゴムは他
のゴムとの接着性が悪い。またブチルゴムは加硫が遅
い。カーカス部と同時に加硫すると、加硫時間が短すぎ
るため、インナーライナーの物性が悪くなる。そこでイ
ンナーチューブの素材には、ハロゲン化ブチルゴムが使
われる。ハロゲン化ブチルゴムはブチルゴムに比べると
加硫が早く、かつ他のゴムとの接着性も高い。さらには
耐熱性も高い。
【0004】ハロゲン化ブチルゴムはガスバリア性が高
く、接着性にも富んでおり、インナーライナーの素材と
して優れている。しかしハロゲン化ブチルゴムを使って
も、空気入りタイヤの気密性を保持するためには、イン
ナーライナーは約2mm以上の厚みを必要とする。イン
ナーライナーはタイヤの一部分に過ぎない。しかし、1
台の乗用車当たりにすると、すなわちタイヤ4本分にす
ると約3.2〜5.2kgになる。車の燃費にとって、
この重さは無視できる値ではない。
【0005】一方、ハロゲン化ブチルゴムの製造工程
は、2段階から成る。ブチルゴムをいったん製造し、こ
れをハロゲン化炭化水素溶液中で、塩素または臭素と反
応させる。このため価格が高い。ブチルゴムに比べる
と、価格は約1割高い。また天然ゴムと比べると、ハロ
ゲン化ブチルゴムの価格は3倍以上にもなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これまでの
インナーライナーよりはるかに軽く、また安価なインナ
ーライナーを提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のインナーライナ
ーの作り方をまず簡単に述べる。 インナーライナーをはり付けずに、チューブレスタイ
ヤを成型する。 タイヤの内側をハロゲン化処理する。 タイヤの内側に、特殊なナイロンや、ポリウレタンと
ポリフッ化ビニリデンや、ポリウレタンとポリ塩化ビニ
リデンの皮膜を形成する。 以下にこれを詳述する。
【0008】インナーライナーをはり付けずに、チュ
ーブレスタイヤを成型する。形状はチューブレスタイヤ
だが、インナーライナーをはり付けていないタイヤを成
型する。インナーライナーをはり付けても良い。その場
合は、インナーライナーのべースゴムに、分子構造中に
不飽和結合を持つ汎用ゴムを使う。具体的には、天然ゴ
ム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプ
レンゴムなどのゴムをベースゴムに使う。ブチルゴムや
ハロゲン化ブチルゴムをベースゴムにしたインナーライ
ナーをはり付けたタイヤは、本発明では使えない。
【0009】タイヤの内側をハロゲン化処理する。成
型したタイヤの内側全面をハロゲン化処理する。インナ
ーライナーをはり付けていないタイヤも、はり付けたタ
イヤも、同じように処理できる。ハロゲン化処理の中
で、塩素化処理、臭素化処理、ヨウ素化処理が適当であ
る。処理に使う溶液を次に述べる。
【0010】○塩素化処理用溶液 従来から使われている、ゴムの塩素化処理用溶液であれ
ば、どれでも良い。例えば、水1lに、さらし粉を2〜
7gと、12規定塩酸を3〜9mlとを溶解すると、塩
素化処理用の溶液となる。 ○臭素化処理、ヨウ素化処理 臭素またはヨウ素を水に通気して、これらが十分に溶解
した溶液を作る。
【0011】ハロゲン化処理用の溶液をタイヤの内側全
面に塗る。どのような方法で塗っても良い。例えば、溶
液をタイヤの内側にスプレーしても良い。タイヤの内側
に溶液を入れて、タイヤを回転させても良い。溶液を塗
った状態でしばらく放置する。放置時間は、塩素化処理
の場合は10秒〜5分間、具素化またはヨウ素化処理の
場合は3〜80分間である。放置したら、ハロゲン化処
理の溶液を取り出す。そしてタイヤの内側を中和処理す
る。中和処理には弱アルカリ溶液、例えば1%炭酸ナト
リウム水溶液などを使う。この溶液でタイヤの内側を洗
い、さらに水洗する。その後乾燥する。
【0012】タイヤの内側に、特殊なナイロンや、ポ
リウレタンとポリフッ化ビニリデンや、ポリウレタンと
ポリ塩化ビニリデンの皮膜を形成する。タイヤの内側
に、皮膜を形成する。この皮膜によって、空気入りタイ
ヤの気密性が保持される。そこで、皮膜にはガスバリア
性が要求される。一方、皮膜はカーカス部の動きに追従
しなくてはならない。また、タイヤがくぎなどを踏んだ
ときには、皮膜は収縮して、空気漏れを最小限に止めな
くてはならない。そこで、皮膜には伸縮性が要求され
る。さらには、形成した皮膜がタイヤに密着していなく
ては、ガスバリア性が下がる。そこで、皮膜はタイヤと
の密着性の高い素材でなくてはならない。このように、
皮膜にはガスバリア性、伸縮性、タイヤとの密着性が要
求される。こうした素材として適しているのは、変性ナ
イロンや共重合ナイロンなどの特殊なナイロン、ポリウ
レタンとポリフッ化ビニリデンのブレンド物、ポリウレ
タンとポリ塩化ビニリデンのブレンド物などのポリマー
である。各々のポリマーについて説明する。
【0013】変性ナイロンや共重合ナイロンは、ナイロ
ンを可溶性にしたものである。変性ナイロンはN−メト
キシメチル化ナイロン、すなわち6−ナイロンをメトキ
シメチル化して可溶化したナイロンである。共重合ナイ
ロンは、6−ナイロン、6,6−ナイロン、610−ナ
イロンなどを共重合して可溶化したナイロンである。ポ
リウレタンとポリ塩化ビニリデンのブレンド物やポリウ
レタンとポリフッ化ビニリデンのブレンド物は、どちら
もポリウレタンが10〜50容量%となるようにブレン
ドする。ポリウレタンは、熱硬化性のものでも熱可塑性
のものでも良い。
【0014】これらのポリマーの皮膜を、タイヤの内側
に形成する。どのような方法で皮膜を形成しても良い。
薄く均一な皮膜を形成するには、ポリマーを溶かした溶
液を用いると良い。まず、溶液の調整方法を述べる。
【0015】N−メトキシメチル化ナイロンや共重合ナ
イロンは、メタノールなどの低級アルコールに良く溶け
るので、低級アルコールを主たる溶媒とする。水、トリ
クレン、クロロホルム、四塩化炭素などを少量加えて、
混合溶媒にしても良い。溶媒に対して5〜50重量%と
なるように、N−メトキシメチル化ナイロンや共重合ナ
イロンを溶解する。両者を併せて溶解しても良い。その
場合は、N−メトキシメチル化ナイロンと共重合ナイロ
ンの量が、合計して5〜50重量%となるようにする。
N−メトキシメチル化ナイロンは架橋することもでき
る。架橋する場合は、架橋触媒を加える。架橋触媒は、
クエン酸、酒石酸などの有機酸の中から選ぶ。N−メト
キシメチル化ナイロンに対して3〜5重量%となるよう
に、有機酸を加える。
【0016】ポリウレタンやポリ塩化ビニリデンやポリ
フッ化ビニリデンは、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジメチルホルムアミドなどを主たる溶媒とする。溶
媒に対してこれらポリマーの総量が、5〜50重量%と
なるように溶解する。熱硬化性ポリウレタンを用いる場
合は、主剤と硬化剤を各々溶媒に溶解してから、両者を
合わせても良い。主剤と硬化剤を混ぜてから溶媒に溶解
しても良い。
【0017】次にポリマー溶液を使った皮膜形成の方法
を説明する。作ったポリマー溶液を、タイヤの内側に塗
布する。ポリマー溶液が均一に塗布できれば、どのよう
な方法で塗布しても良い。例えば、ポリマー溶液をタイ
ヤの内側にスプレーしても良い。またタイヤの内側にポ
リマー溶液を入れ、タイヤを回転させる。そして余分な
溶液を取り出しても良い。
【0018】ポリマー溶液を塗布したら、40〜100
℃で1〜30分間加熱して、溶媒を揮散する。ポリマー
溶液が一か所にたまらないよう、タイヤを回転しながら
加熱すると良い。N−メトキシメチル化ナイロンを架橋
する場合は、ポリマー溶液を塗布した後、120〜15
0℃で5〜20分間加熱する。熱硬化性ポリウレタンを
用いる場合は、選んだグレードに適した硬化条件で加熱
する。
【0019】
【作用】タイヤはゴムでできている。架橋したゴムは接
着性に之しい。架橋したゴムの表面を活性化する方法と
して、本発明ではハロゲン化処理を用いた。ハロゲン化
処理は、分子構造中の不飽和結合の部分をハロゲン化す
る方法である。ハロゲン化処理する面、すなわちタイヤ
の内側は、分子構造中に不飽和結合を持つゴムでなくて
はならない。現行のタイヤカーカス部は、天然ゴム、ス
チレンブタジエンゴムなどである。これらは不飽和結合
を持つゴムである。従って、本発明はインナーライナー
をはり付けていないタイヤを使う。インナーライナーを
はり付けたタイヤは使えない。これはインナーライナー
のほとんどが、不飽和結合を持たないブチルゴムを素材
としているためである。天然ゴムなど、不飽和結合を持
つゴムをベースゴムとしたインナーライナーであれば、
タイヤに張り付けても良い。この場合は、不飽和結合を
持つゴムを使い、ガスバリア性が高くなるような配合を
設定してインナーライナーとする。
【0020】タイヤの内側をハロゲン化処理すると、こ
の部分が極性化する。すると、タイヤの内側は溶液によ
るぬれが良くなり、また他の素材と接着するようにな
る。なお、ハロゲン化処理すると、滑りも良くなる。タ
イヤトレッド部までハロゲン化処理すると、タイヤが滑
り易くなる。だからタイヤの内側だけをハロゲン化処理
するようにする。
【0021】次に、タイヤの内側に皮膜状のインナーラ
イナーを作る。皮膜状インナーライナーに適した素材と
して、変性ナイロンや共重合ナイロンなどの特殊なナイ
ロン、ポリウレタンとポリ塩化ビニリデンのブレンド
物、ポリウレタンとポリフッ化ビニリデンのブレンド物
を用いた。
【0022】これらのポリマーは、汎用溶媒に溶解でき
ることにひとつの特徴がある。例えば、6−ナイロンな
どの汎用ナイロンは、溶解する溶媒がクロロフェノール
など、取り扱いが厄介な溶媒である。しかし、木発明で
用いた変性ナイロンや共重合ナイロンは取り扱い易いア
ルコールに溶解できる。ポリウレタンとポリ塩化ビニリ
デンやポリフッ化ビニリデンとのブレンド物も、ジメチ
ルホルムアミなど、取り扱い易い溶媒に溶解できる。
【0023】ハロゲン化処理したタイヤの内側に、これ
らのポリマーの溶液を塗布する。タイヤの内側は、ハロ
ゲン化処理によって極性が大きくなっているので、ポリ
マー溶液を均一に塗ることができる。次にこれを加温す
ると、溶媒だけが揮散する。するとタイヤの内側には、
ポリマーが薄い皮膜となって残る。この皮膜がインナー
ライナーの役割を果たす。
【0024】タイヤの内側はハロゲン化処理してあるの
で、ポリマー皮膜はタイヤと非常に良く密着する。皮膜
の素材として、架橋した変性ナイロンや熱硬化型ポリウ
レタンを用いた場合は、タイヤと皮膜との密着性が特に
良い。変性ナイロンや熱硬化性ポリウレタンは、架橋反
応の際、分子の一部がゴムの表面分子と反応する。この
ため、密着性が高くなる。
【0025】形成した皮膜の厚みは、10〜200μ
m、好ましくは30〜100μmとなるように調整す
る。皮膜の厚みか10μm以下だと、ガスバリア性が十
分でなくなり、タイヤの気密性が保持できなくなる。ま
た厚みが200μm以上になると、硬くなってしまい、
タイヤカーカス部の動きに追従しなくなる。皮膜の厚み
は、ポリマー溶液の塗布と溶媒揮散の操作を繰り返せ
ば、厚くできる。すなわち、形成した皮膜の上に、また
皮膜を作る。新たに形成するポリマー皮膜は、前に形成
した皮膜と異なるポリマーであっても良い。例えば、共
重合ナイロン皮膜の上に、ポリウレタンとポリ塩化ビニ
リデンの皮膜を重ねても良い。本発明で用いたポリマー
であれば、形成した皮膜どうしの接着性は良い。
【0026】このようにして形成したポリマー皮膜によ
って、タイヤのガスバリア性が向上する。変性ナイロン
や共重合ナイロンのガスバリア性は、窒素でブチルゴム
の約50倍である。例えば、厚さ40μmのこれらのナ
イロン皮膜を、タイヤの内側に形成したとする。このタ
イヤのガスバリア性は、厚さ2mmのブチルゴム製イン
ナーライナーをはり付けたタイヤと同レベルのガスバリ
ア性となる。ポリ塩化ビニリデンやポリフッ化ビニリデ
ンのガスバリア性は、窒素でブチルゴムの500倍であ
る。例えば、ポリ塩化ビニリデンとポリウレタンを1:
1に混ぜて、溶媒に溶解する。この溶液を用いて、タイ
ヤの内側に厚さ10μmの皮膜を形成したとする。この
インナーライナーのガスバリア性は、厚さ2.5mmの
ブチルゴム製インナーライナーをはり付けたタイヤと同
等以上である。
【0027】本発明はこのように薄い皮膜状のインナー
ライナーである。本発明のインナーライナーの重さは、
従来品の約20分の1〜70分の1にすることができ
る。このインナーライナーをはり付ければ、タイヤの大
きさにも因るが、タイヤ1本当たりの重さは、約0.7
5〜1.3kg軽くなる。タイヤ4本分、すなわち乗用
車1台当たりにすると、約3.0〜5.2kgも重量を
軽くすることができる。
【0028】本発明は標準装着用のタイヤはもちろん、
応急用タイヤにも適している。応急用のタイヤは普段は
使わないので、軽く作られている。本発明のインナーラ
イナーを施せば、従来より軽い応急用タイヤを作ること
ができる。標準装着用のタイヤだけでなく、応急用タイ
ヤにも本発明のインナーライナーをはり付ければ、車1
台当たりにすると、従来に比べ、上述した数字よりもっ
と軽量化ができる。
【0029】一般にガスバリア性の高い素材は、伸縮性
に乏しい。本発明で皮膜の素材に使用したポリマーは、
ガスバリア性は高いが伸縮性もあるという点に特徴があ
る。例えば、6−ナイロンなどの汎用ナイロンは、ガス
バリア性はあるが伸縮性が低い。本発明で使用した変性
ナイロンや共重合ナイロンは、汎用ナイロンと同レベル
のガスバリア性を持つが、伸縮性は汎用ナイロンよりず
っと高い。一方、ポリ塩化ビニリデンやポリフッ化ビニ
リデンは、ガスバリア性は非常に高いが、伸縮性が無
い。そこでポリウレタンとブレンドした。ポリウレタン
は伸縮性が高い。またポリ塩化ビニリデンなとと同じ溶
媒に溶解できる。ブレンドすることによって、ガスバリ
ア性と伸縮性の両方の性質を持った皮膜を作ることがで
きる。このように本発明のインナーライナーは伸縮性が
あるので、走行中のタイヤの変形によってインナーライ
ナーがひび割れたりすることは無い。
【0030】価格の面では、本発明に使った材料そのも
のは高い。変性ナイロンや共重合ナイロンはハロゲン化
ブチルゴムの約4〜8倍、ポリウレタンやポリ塩化ビニ
リデンは約2〜4倍である。しかし本発明は厚みが30
〜100μmのインナーライナーである。現行の乗用車
用インナーライナーは、厚みが約2mmである。インナ
ーライナーとして使う材料の量を比較すると、本発明は
従来品の約20分の1から70分の1程度しか使わな
い。従って、材料費で本発明とは従来品とを比べると、
一番高価な変性ナイロンを使った場合でも約5分の2
に、安価なポリウレタンとポリ塩化ビニリデンを使えば
35分の1にまですることができる。インナーライナー
の材料費は平均するとタイヤ1本当たりおよそ500円
前後であった。本発明のインナーライナーを使えば、2
00円〜15円にすることができる。工程面では、従来
品はインナーライナーゴム混練、はり付け工程があっ
た。これに替わって、本発明はハロゲン化処理、ポリマ
ー溶液塗布などの工程がある。これに関わるコストは必
要である。しかしこれらの工程は、量産が簡単である。
いったん設備が整えば、インナーライナーはり付けに必
要とされるコストはわずかである。従って本発明は従来
品より安価なインナーライナーを提供できる。
【0031】
【実施例】
例A)N−メトキシメチル化ナイロンのインナーライナ
ー インナーライナーをはり付けないで、乗用車用のチュー
ブレスタイヤを成型する。タイヤの内側を塩素化処理す
る。1lの水に、さらし粉4gと12規定塩酸5mlと
を溶解する。この溶液を、タイヤの内側にまんべんなく
スプレーする。3分後にタイヤの内側を1%炭酸ナトリ
ウム溶液で洗い、その後水洗、乾燥する。
【0032】次に、N−メトキシメチル化ナイロンの皮
膜を形成する。N−メトキシメチル化ナイロンは、帝国
化学産業(株)、トレジンF30を用いた。トレジンが
約30%となるように、メタノールに溶解する。架橋し
た皮膜にするために、触媒を加える。少量の温水に溶解
しておいた酒石酸8g、N−メトキシメチル化ナイロン
のメタノール溶液1lに加え、良く混ぜる。この溶液を
タイヤの内側にスプレーする。そして80℃で10分間
加熱する。溶液塗布、加熱の操作を3回繰り返す。3回
目は、130℃で15分間加熱する。すると、タイヤの
内側にN−メトキシメチル化ナイロンの皮膜ができる。
皮膜によって、タイヤのガスバリア性が高くなる。ま
た、N−メトキシメチル化ナイロンは架橋しているの
で、この皮膜は伸縮性がとても高く、しかもタイヤと強
く密着している。走行中のタイヤの変形によって、この
皮膜にひびが入ったりすることは無い。皮膜の厚みは5
0μmであった。この膜厚であれば、ブチルゴム製イン
ナーライナーをはり付けたタイヤより、ガスバリア性は
高い。インナーライナーの重さは、従来品の40分の1
である。このインナーライナーをはり付けたタイヤを使
うと、車1台当たりで、約3〜5kg軽量化できる。価
格も従来品の5分の1程度である。
【0033】例B)ゴムと共重合ナイロンのインナーラ
イナー 本例は、ゴム製インナーライナーをはり付けたタイヤを
使用した。ゴム製インナーライナーのトに、ナイロン皮
膜を形成した例である。天然ゴムをベースゴムとしたイ
ンナーライナーをタイヤ成型時に組み入れ、チューブレ
スタイヤを成型する。天然ゴムのインナーライナーの配
合例は、表1に示した。このタイヤの内側を塩素化処理
する。処理方法は例Aと同様に行う。
【0034】次に、共重合ナイロンの皮膜を形成する。
共重合ナイロンは東レ(株)アミランCM4000を用
いた。アミランが約35%となるように、メタノールに
溶解する。この溶液をタイヤの内側にスプレーする。続
いて80℃で10分間加熱する。この操作を3回繰り返
す。するとタイヤの内側に共重合ナイロンの皮膜が形成
される。この皮膜もまた、6−ナイロンなどの汎用ナイ
ロンに比べると伸縮性が高い。膜厚はおよそ55μmで
あった。天然ゴム製インナーライナーは、伸縮性は高い
がガスバリア性が低い。これにナイロン皮膜を形成する
と、ガスバリア性が高いインナーライナーになる。ナイ
ロン皮膜の膜厚が55μmあれば、ブチルゴム製インナ
ーライナーをはり付けたタイヤよりガスバリア性は高く
なる。また、天然ゴムは伸縮性が高いので、タイヤがく
ぎなどを踏んだときの空気漏れも少ない。すなわち安全
性の高いタイヤである。
【0035】本例ではゴム製インナーライナーをはり付
けたので、その分のコストがかかる。しかし、天然ゴム
の価格はブチルゴムの約3分の1である。ゴム製インナ
ーライナーの上にさらにナイロン皮膜を形成しても、ブ
チルゴム製インナーライナーをはり付けたタイヤよりコ
ストは低い。
【0036】例C)ポリウレタンとポリ塩化ビニリデン
のインナーライナー 例Aと同じタイヤを使った。タイヤの内側の塩素化処理
条件も、例Aと同様にした。ポリウレタンは、日本ポリ
ウレタン工業(株) パラプレン26を用いた。パラプ
レン30容量部とポリ塩化ビニリデン70容量部を混ぜ
ておく。このブレンド物が30重量%となるように、ジ
メチルホルムアミドに溶解する。この溶液をタイヤの内
側にスプレーし、80℃で10分間加熱する。溶液塗
布、加熱の操作を2回繰り返す。するとタイヤの内側に
皮膜ができる。この皮膜は、ポリ塩化ビニリデンのガス
バリア性とポリウレタンの伸縮性を持っている。タイヤ
の変形によって、皮膜がひび割れたりすることはない。
皮膜の厚みは、約35μmであった。この厚みであれ
ば、ブチルゴム製インナーライナーをはり付けたタイヤ
よりガスバリア性は高い。本例は、従来のインナーライ
ナーの60分の1の重さである。このインナーライナー
を用いれば、インナーライナーをはり付けていない場合
とほぼ同じ重さとなる。本例の価格は、従来品の30分
の1である。
【0037】例D)熱硬化性ポリウレタンとポリフッ化
ビニリデンのインナーライナー 本例で使用したタイヤと、その塩素化処理の方法は、例
Aと同じである。ポリウレタンは、武田薬品工業(株)
タケネートL−1280を用いた。このポリウレタン
は熱硬化性である。ポリフッ化ビニリデンは、呉羽化学
(株)、KFポリマータイプHを使用した。タケネート
が15重量%、KFポリマーが25重量%となるよう
に、これらをジメチルホルムアミドに溶解する。この溶
液をタイヤの内側にまんべんなくスプレーし、80℃で
10分間加熱する。この操作を4回繰り返した後、12
0℃で30分間加熱する。するとタイヤの内側にはポリ
ウレタンとポリフッ化ビニリデンとが混ざった皮膜がで
きる。この皮膜は、ポリフッ化ビニリデンに近いガスバ
リア性を持っている。また、ポリウレタンが架橋してい
るので、この皮膜はタイヤに強く密着している。伸縮性
も非常に高く、パンクしたときの安全性が高い。皮膜の
厚みは約80μmであった。
【0038】
【効果】本発明は、ハロゲン化ブチルゴムよりガスバリ
ア性の高い素材を使った皮膜状のインナーライナーであ
る。本発明は先述したように、高いガスバリア性、伸縮
性、密着性を持っている。このように性能の面で、優れ
たインナーライナーである。
【0039】従来品に比べ本発明のインナーライナーは
厚みが薄いので、従来のインナーライナーと比べると、
重さが20分の1から70分の1である。本発明のイン
ナーライナーを使えば、タイヤを軽量化できる。軽量化
の幅は、応急用タイヤにも本発明を使ったとすると、車
1台当たり約3.5〜6.0kgも軽くなる。従って、
本発明のインナーライナーを使ったタイヤを取り付けれ
ば、車の燃費を少なくできる。
【0040】木発明はタイヤ成型後、処理をしてインナ
ーライナーをはり付ける。後処理が加わるという点で、
工程は複雑になるが、この処理は操作も単純で、必要と
するコストも低い。これらを合わせて考えると、木発明
のインナーライナーは従来品より安い。従来品の約35
分の1程度までコストダウンが可能である。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77/00 LQT 9286−4J // C08G 69/48 NRH 9286−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インナーライナーをはり付けていないチ
    ューブレスタイヤ、または分子構造中に不飽和結合を持
    つゴムを主たるベースゴムとしたインナーライナーをは
    り付けたタイヤにおいて、該タイヤの内側全面をハロゲ
    ン化処理し、この部分に変性ナイロン、または/および
    共重合ナイロン、または/およびポリウレタンとポリフ
    ッ化ビニリデンのブレンド物、または/およびポリウレ
    タンとポリ塩化ビニリデンのブレンド物を用いて10〜
    200μmの厚みで形成した皮膜であること、を特徴と
    したインナーライナー。
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