JP3620882B2 - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、タイヤ内の空気圧保持性を損なうことなく、タイヤの軽量化を図ると共に、ゴム層との接着性に優れかつ耐水性や耐熱性に優れた空気透過防止層を有する空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料消費率の低減は自動車における大きな技術的課題の一つであり、この対策の一環として空気入りタイヤの軽量化に対する要求も益々強いものになってきている。
【0003】
ところで、空気入りタイヤの内面には、タイヤ空気圧を一定に保持するためにハロゲン化ブチルゴムなどのような低気体透過性のゴムからなるインナーライナー層が設けられている。しかしながら、ハロゲン化ブチルゴムはヒステリシス損失が大きいため、タイヤの加硫後に、カーカスコード間の間隙において、カーカス層の内面ゴム及びインナーライナー層に波打ちが生じた場合、カーカス層の変形とともにインナーライナーゴム層が変形するので、転動抵抗が増加するという問題がある。このため、一般に、インナーライナー層(ハロゲン化ブチルゴム)とカーカス層の内面ゴムとの間にヒステリシス損失が小さいタイゴムと呼ばれるゴムシートを介して両面を接合している。従って、ハロゲン化ブチルゴムのインナーライナー層の厚さに加えて、タイゴムの厚さが加算され、層全体として1mm(1000μm)を超える厚さになり、結果的に製品タイヤの重量を増大させる原因の一つになっていた。
【0004】
空気入りタイヤの空気透過防止層としてブチルゴムなどの低気体透過性ゴムに代えて種々の材料を用いる技術が提案されている。例えば、特公昭47−31761号公報には加硫タイヤの内面に、空気透過係数[cm3(標準状態)/cm・sec ・mmHg]が30℃で1.0×10-12 以下、70℃で5.0×10-12 以下の、ポリ塩化ビニリデン、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの合成樹脂の溶液又は分散液を0.1mm以下で塗布することが開示されている。
【0005】
しかしながら、この公報に開示の技術は、加硫タイヤのカーカス内周面に、もしくはインナーライナー内周面に、特定の空気透過係数を有する合成樹脂の被覆層を設けて合成樹脂被覆層の厚さを0.1mm以下にすることが記載されているが、この公報に記載された空気入りタイヤはゴムと合成樹脂との接着性に問題があり、またポリアミド系樹脂をインナーライナー層として用いた場合、耐熱性、耐湿性(又は耐水性)に劣るという欠点を有する。なお、この公報にはアルコキシアルキル化ポリアミドの使用についての記載はない。
【0006】
特開平5−330307号公報にはタイヤ内面をハロゲン化処理(従来から知られている塩素化処理用液、臭素溶液、ヨウ素溶液を使用)し、その上にメトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリウレタンとポリ塩化ビニリデンのブレンド、ポリウレタンとポリフッ化ビニリデンのブレンドのポリマー皮膜(膜厚10〜200μm)を形成することが開示されているが、この公報にはメトキシメチル化ナイロンを硬化させるのに架橋触媒としてクエン酸、酒石酸などの有機酸よりなる酸触媒の使用が開示されているが、かかる酸触媒は硬化後劣化による屈曲疲労性に劣り、使用中に早期にクラックを発生させるという問題があった。
【0007】
更に特開平5−318618号公報には、メトキシメチル化ナイロンの薄膜をインナーライナーとする空気入りタイヤが開示されており、この技術によれば、グリーンタイヤ内面にメトキシメチル化ナイロンの溶液又はエマルジョンを散布又は塗布し、次いでタイヤを加硫するか、或いは加硫後タイヤ内面にメトキシメチル化ナイロンの溶液又はエマルジョンを散布又は塗布することによって空気入りタイヤを製造している。しかしながら、タイヤ内面ゴムとメトキシメチル化ナイロンの接着処理を行なっていないために、高負荷でタイヤを使用した場合に、メトキシメチル化ナイロン膜がタイヤ内面ゴムから剥離してくるという問題や、メトキシメチル化ナイロンを架橋又は硬化させていないことによる、インナーライナー層の耐湿性(又は耐水性)及び耐熱性が劣るという問題が未だある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤの空気圧保持性を損なうことなく、タイヤの軽量化を可能にし、かつ、ゴム層との接着性並びに耐水性や耐熱性に優れた空気透過防止層を用いた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、(i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種のパーオキサイド架橋剤を含んで成るポリマー組成物を空気入りタイヤのカーカス層の表面又は該カーカス層の表面に設けたゴム層の表面をハロゲン化処理した面に塗布し、架橋せしめてなる空気透過防止層を有する空気入りタイヤが提供される。
【0010】
本発明に従った前記ポリマー組成物からなる架橋後の空気透過防止層は、好ましくは融点80℃以上、空気透過係数が25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下で、ヤング率が1〜500MPa である。
【0011】
本発明に従えば、更に、未加硫ゴムからなるグリーンタイヤのカーカス層の表面又は該カーカス層の表面に設けたゴム層の表面をハロゲン化処理した後、該ハロゲン化処理面に、(i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種のパーオキサイド架橋剤を含んで成るポリマー組成物を散布又は塗布し、次いで該グリーンタイヤを加硫せしめた薄膜で空気透過防止層を構成した空気入りタイヤの製造法が提供される。
【0012】
本発明に従えば、更にまた、加硫後のタイヤのカーカス層の表面又は該カーカス層の表面に設けたゴム層の表面をハロゲン化処理した後、該ハロゲン化処理面に、(i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種のパーオキサイド架橋剤を含んで成るポリマー組成物を散布又は塗布し、次いで架橋せしめてなる薄膜で空気透過防止層を構成した空気入りタイヤの製造法が提供される。
【0013】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明に係る空気入りタイヤの空気透過防止層は、タイヤ内部の任意の位置、即ちカーカス層の内側又は外側、或いはカーカス層に隣接して設けられたゴム層の内側又は外側などのその他の位置に配置することができる。要はタイヤ内部からの空気の透過拡散を防止して、タイヤ内部の空気圧を長期間保持することができればその配置は問題ではない。
【0014】
図1は空気入りタイヤの空気透過防止層の配置の典型例を例示する子午線方向半断面図である。図1において、左右一対のビードコア1,1間にカーカス層2が装架され、このカーカス層2の内側のタイヤ内面には、インナーライナー層3が設けられている。このインナーライナー層3は、本発明では前記第一又は第二の液状組成物の硬化体又は架橋体から構成される。図1において4はサイドウォールを示す。
【0015】
本発明において空気透過防止層を構成するポリマー組成物は、前述の如く、必須成分として、(i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種の酸以外の架橋剤及び/又は硬化用樹脂を含んで成るポリマー組成物を含む。ここにおいて、脂肪族ポリアミド系樹脂としては6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、6・66ナイロン、612ナイロン、8ナイロン、10ナイロン、11ナイロン、12ナイロンなどをあげることができ、またこれらの混合物またこれらの二元以上の共重合体も含まれる。
【0016】
本発明に従えば、前記脂肪族ポリアミド系樹脂としては、前述の如く、その少なくとも一つのアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された変性脂肪族ポリアミド系樹脂、又は少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂と少なくとも一部のアミド基が硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂の混合物が使用される。
【0017】
本発明において使用する変性脂肪族ポリアミド系樹脂は、前述の如く、まずそのアミド基の少なくとも一部がアルコキシアルキル基−R1 −O−R2 (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基であり、R2 は炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル基である)及び/又は以下に述べるような硬化性不飽和結合を有する基で変性されている。
【0018】
前記硬化性不飽和結合を有する基としては、例えばN−メチロールアクリルアミド基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などを挙げることができる。例えば、不飽和酸クロライドとアミド基の>NH基との反応や、不飽和結合を有するN−メチロール化合物との反応によって導入することができる。
前記アルコキシアルキル基は、例えばポリアミドの>NH基に、アルカリ触媒下、メタノールとパラホルムアルデヒドを反応させる方法などによって導入できる。
【0019】
さらに、アルコキシアルキル基と不飽和結合を同時に持たせることもでき、例えばポリアミド類の>NH基と不飽和酸クロライドとを反応させて、比較的安定な>N−CO−結合を形成した後、残存する>NH基をアルコキシアルキル化する方法、あるいはポリアミド類の>NH基と、このポリアミド類と良好な反応性をもつ不飽和結合を有するN−メチロール化物またはN−アルコキシアルキル化物とを脱水または脱アルコール反応、即ち縮合反応させてポリアミド類の側鎖に不飽和結合を導入し、更に、残存する>NH基をアルコキシアルキル化する方法によって得られる。
【0020】
ポリアミド類としては、例えば6ナイロン、66ナイロン、11ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、10ナイロン、12ナイロン、6・66ナイロンなどの通常ナイロンと称せられる線状ポリアミドおよび側鎖に−NH2 基を有するポリマーも極めて有用なものとして使用できる。不飽和酸クロライドとしては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、クロトン酸クロライド、シンナモイルクロライドがある。また、不飽和結合を有するN−メチロール化物としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等があり、また、不飽和結合を有するN−アルコキシアルキル化物としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどがある。
【0021】
更に、>NH基または−NH2 基をアルコキシアルキル化する場合には、該残存基にアルデヒド類、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等、及びアルコール類、例えばメタノール、エタノールを反応させる。
これらの方法によって製造される本発明に用いられる架橋性弾性ポリアミドとしては、導入される不飽和結合量は架橋成形物として適度の可撓性を損なわない量、即ち、50%以下、更には3〜20%とすることが好ましい。また、N−アルコキシアルキル化による柔軟化は、その物性が実用上好ましい範囲に止める必要があり、N−置換率で30〜50%のものを使用する方が好ましい。
【0022】
前記不飽和結合を有する基は、例えば特開昭51−24677号公報第2頁左下欄〜右下欄に記載のように、6ナイロンなどのポリアミド系樹脂をN−メチロールアクリルアミド、塩化アンモニウム及びハイドロキノン(又は塩化銅)の水溶液中に浸漬し、乾燥熱処理し、水洗乾燥する。この反応生成物をフェノールを含むギ酸に溶解し、例えばメタノール、KOH、パラホルムアルデヒド及びシュウ酸を含むホルマリン溶液中に加えて反応させることにより、ポリアミド系樹脂中に導入することができる。
【0023】
本発明に係る変性脂肪族ポリアミド系樹脂は、塗布に際し、溶剤に溶解して使用されるが、そのような溶剤としては、変性脂肪族ポリアミド系樹脂を溶解する溶剤であれば特に限定はないが、例えばメタノール、エタノールなどの脂肪族アルコール及びフェノール、クレゾールなどの芳香族アルコール等があげられる。更にこれらアルコール系溶媒に、水、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、ベンゼン、クロロホルム等を添加することもできる。変性脂肪族ポリアミド系樹脂及び架橋剤の合計量の濃度には特に限定はないが、好ましくは5〜30重量%とする。
【0024】
本発明において前記変性脂肪族ポリアミド系樹脂を架橋させるのに使用することができる架橋剤の使用量は、従来通りで特に限定はないが、好ましくは使用する架橋剤の種類にもよるが、ポリマー100重量部当たり0.1〜10重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。なお、ジクミルパーオキサイド(DCP)などのパーオキサイドを使用することできる。
【0025】
前記架橋剤には、更に架橋反応を良好ならしめるために、有機ハロゲン供与体(例えばクロルスルホン化ポリエチレン、クロロプレン)や無機ハロゲン化物(例えば塩化スズ、塩化カルシウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、弗化カルシウム(臭化亜鉛)などを、例えばポリマー100重量部当たり0.1〜5重量部触媒として併用することができる。
【0028】
本発明に係る空気入りタイヤの第一の製造方法について、図1に示すように、空気透過防止層(インナーライナー層)3をカーカス層2の内側に配置する場合について説明すると、未加硫ゴムからなるグリーンタイヤのカーカス層内面に、従来法に従って、ハロゲン処理を施した後、前記変性ポリアミド樹脂組成物を散布又は塗布し、次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加硫することにより、所望の軽量化空気入りタイヤを製造することができる。なお、カーカス層の外周面に空気透過防止層を設ける場合にも、これに順じて行うことができる。
【0029】
一方、加硫後のタイヤのカーカス層の表面(即ち、内周面及び外周面)に本発明に従って空気透過防止層(インナーライナー層)を配置する場合には、常法に従って加硫した加硫後のカーカス層の表面を従来法に従って、ハロゲン処理した後、前記本発明に係る変性ポリアミド樹脂組成物を散布又は塗布し、加熱、架橋せしめることによって所望の軽量化空気入りタイヤを製造することができる。
【0030】
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法においてカーカス層又はその上のゴム層の表面に施すハロゲン化処理は従来から一般的に行われている方法によることができ、例えば一般的なゴムのハロゲン化処理用塩素溶液、臭素溶液、ヨウ素溶液などを使用することができる。このような溶液としては、塩素、臭素又はヨウ素を含む水溶液、ほかに12規定塩酸の希釈水溶液も使用でき、更には−N(X)C(O)−基(式中、Xはハロゲンを示す)を含む化合物の有機溶剤希釈溶液の使用が好ましい。このような化合物の具体例としては、トリクロロ−、ジクロロ−又はモノクロロ−イソシアヌール酸をあげることができ、トリクロロイソシアヌール酸の2〜20重量%有機溶剤溶液(例えばメチルエチルケトンなどのケトン系有機溶剤溶液又は酢酸エチル等のエステル系有機溶剤溶液)の使用が最も好ましい。
【0031】
本発明に従った空気透過防止層を積着せしめるゴム層の材料には特に限定はなく、従来からタイヤ用ゴム材料として一般に使用されている任意のゴム材料とすることができる。そのようなゴムとしては、例えば、NR,IR,BR,SBR等のジエン系ゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、スチレン系エラストマー等にカーボンブラック、プロセスオイル、加硫剤等の配合剤を添加したゴム組成物とすることができる。
【0032】
本発明に係る架橋後の空気透過防止層は、融点が80℃以上、好ましくは100℃以上で、空気透過係数が25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下、好ましくは5×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下である。空気透過係数を25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下にすることによって空気透過防止層の厚さを従来の空気透過防止層の厚さの1/2以下にすることができる。
【0033】
一方、ヤング率が1〜500MPa 、好ましくは10〜300MPa 、厚さが0.01〜1.0mm、好ましくは0.02〜0.5mmである。ヤング率が1MPa 未満ではタイヤ成型時にシワがよる等によりハンドリングが困難になるので好ましくなく、逆に500MPa 超では走行時のタイヤ変形に追従できないので好ましくない。
【0034】
【実施例】
実施例1〜16及び比較例1〜5
以下、実施例に従って本発明を更に具体的に説明するが、本発明を以下の実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
なお実施例1〜8及び比較例1〜2はアルコキシアルキル化脂肪族ポリアミド系樹脂をタイヤ加硫前に塗布した例で、常法にて成型した未加硫ゴムからなるグリーンタイヤの内面をハロゲン化処理(トリクロロイソシアヌール酸の3.3%の酢酸エチル溶液を刷毛にて塗布し、2時間乾燥)した後、メタノール70重量%及びメチルエチルケトン30重量%の混合溶媒にアルコキシアルキル化脂肪族ポリアミド系樹脂を20重量%の割合で溶解させた溶液をスプレーにて塗布し、80℃の温風を2分間当てて乾燥した後、タイヤ加硫機にて185℃、15分、圧力2.3MPa の条件で加硫成型した。
また、実施例9〜16及び比較例3〜5は、上記と同様の加硫条件で常法により加硫したタイヤの内面を同様にハロゲン化処理した後、上記と同様に調整した溶液を、スプレーにて塗布し、表2に示す架橋・硬化処理条件に従って架橋・硬化させた。
更には、標準例のタイヤは、インナーライナー層として、以下の配合表のブチルゴム組成物を用いた。
Figure 0003620882
以下の例において使用した評価方法は以下の通りである。
【0035】
タイヤに使用するアルコキシアルキル化脂肪族ポリアミド系樹脂溶液の作成方法
以下の配合1に示すポリマー及び架橋剤をメチルエチルケトン30重量%及びメタノール70重量%の混合溶媒に、ポリマー濃度が30重量%になるように溶解した。
【0036】
使用した配合は以下の配合1であった。
Figure 0003620882
【0037】
*1ポリマーA:ポリマーAは特開昭51−24657号公報第3頁右下段製造例(2)に記載の方法に準じて以下のようにして合成した(部は全て重量部である)。
還流蓋を装備した反応器に6−ナイロン500部と2000部のギ酸を入れ、充分攪拌して均一溶液とする。温度を70℃に保持させながら、3部のフェノールと10部のN−メチロールアクリルアミドを加えて30分攪拌を続ける。この過程でN−メチロールアクリルアミドと6−ナイロン分子中に含まれる>NH基とが脱水縮合反応する。
【0038】
別に、60℃に保持したメタノール3000部に10部のKOHを加えて均一溶液とした後、パラホルムアルデヒド2500部を加えて完全溶解させたものを上記6−ナイロン−ギ酸溶液中に徐々に添加しながら、N−メトキシメチル化反応を終了させる。
この時、反応系の温度は60〜64℃となる。また、メタノール−パラホルムアルデヒド溶液の添加終了迄の時間を10〜15分とし、添加開始から60分で反応を終了させる。
得られた反応終了液を水中に投入して目的物を採取する。充分洗浄後乾燥したものは、良好な弾性を有する柔軟な物質であった。
【0041】
フィルムサンプルの作成
メチルエチルケトン30重量%及びメタノール70重量%の混合溶媒に20重量%の割合で溶かした実施例及び比較例の配合のアルコキシアルキル化脂肪族ポリアミド系樹脂の溶液を、溶液流延法(ポリマー溶液をエンドレスベルト上に均一に流延し、60〜90℃の熱風を当てて連続的に乾燥し、剥がしてフィルムを作る)により、フィルムを作成した。乾燥後、130℃のヒーター中で15分間放置して架橋、硬化処理を行った(フィルム厚:約100μm)。
【0042】
空気透過防止層の空気透過係数測定法
JIS K7126「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法(A法)」に準じた。
試験片 : 上で作成したフィルムサンプルを用いた。
試験気体 : 空気(N2 :O2 =8:2)
試験温度 : 30℃
【0043】
空気透過防止層のヤング率の測定法
JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じた。
試験片 : 上で作成したフィルムサンプルを、溶液の流れ方向(エンドレスベルトの 流れた方向)に平行に、JIS3号ダンベルで打ち抜いた。得られた応力 〜ひずみ曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その接線の傾きより ヤング率を求めた。
【0044】
融点の測定方法
示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/min で昇温させ、融点による吸熱のピーク温度を読むか、あるいは、このピークで不明瞭な場合は熱機械試験機(TMA)にて5gの荷重で圧縮テストをして変曲点温度から読み取った。
【0045】
加硫後のインナーライナー層の破壊の有無
グリーンタイヤにアルコキシアルキル化脂肪族ポリアミド系樹脂溶液を塗布した後、加硫する。ポリアミドの表面を目視にて観察し、発泡・流れ等の破壊の有無を確認する。
【0046】
インナーライナー層/カーカス層の剥離強度測定試験
JIS K6258「加硫ゴムの接着試験方法」に準じた。
試験片 : 完成タイヤを解体し、カーカスコードの配列方向に幅25mmの短冊状に打 ち抜く。
試験温度: 20℃
試験 : サンプルのインナーライナー層とカーカス層はあらかじめ剥離させておく 。引張試験器のチャックにサンプルのそれぞれの層をつかみ、以下の引張 速度で剥離する。
50.0±5.0mm/min
【0047】
長期耐水性・耐吸湿性試験法
165SR13 スチールラジアルタイヤ(リム 13×41/2 −J)を用いて、空気圧200kPa 、荷重5.5kN及び室温38℃でφ1707mmドラム上で速度80km/hで走行する。10000km走行後にタイヤ内面を目視検査し、インナーライナー層にクラック、目視できるしわ、ライナー層の剥離・浮き上がりがあるものを不合格、ないものを合格と判定する。
なお、試験走行の直前に、タイヤは相対湿度98%及び室温70℃で10日間放置する。
【0048】
長期耐久性試験法
165SR13 スチールラジアルタイヤ(リム 13×41/2 −J)を用い、空気圧200kPa で1500ccクラス乗用車に於いて、4名乗用時相当の荷重(65kg/人)を与え実路上を2万km走行する。
走行後に、タイヤをリムから外し、タイヤ内面のライナー層を目視観測し、ライナー層にクラック、目視できるしわ、ライナー層の剥離・浮き上がりがあるものを不合格、ないものを合格と判定する。
本試験は、ライナー層の強度劣化、接着劣化等を実車にて総合的に評価することを目的とする。
【0049】
長期耐熱性試験法
165SR13 スチールラジアルタイヤ(リム 13×41/2 −J)を用い、空気圧250kPa 、荷重2.5kN及び室温45℃でφ1707mmドラム上で、速度140km/hにて走行する。
25000km走行後に、タイヤをリムから外し、タイヤ内面のライナー層を目視観測し、ライナー層にクラック、目視できるしわ、ライナー層の剥離・浮き上がりがあるものを不合格、ないものを合格と判定する。なお、試験走行の直前に、タイヤは室温80℃以下で14日間放置する。
本試験は、ライナー層の熱劣化による耐久性を室内ドラム上で再現評価することを目的とする。
【0050】
タイヤ空気漏れ性能試験法
165SR13 スチールラジアルタイヤ(リム 13×41/2 −J)を使用して、初期圧力200kPa 、無負荷条件にて室温21℃で3ヶ月間放置して測定間隔4日毎に圧力を測定した。
測定圧力Pt、初期圧力Po及び経過日数tとして、関数:
Pt/Po=exp(−αt)
に回帰してα値を求める。得られたαを用い、t=30を下式に代入し、
β=[1−exp(−αt)]×100
β値を得る。このβ値を1ヶ月当りの圧力低下率(%/月)とする。
【0051】
Figure 0003620882
【0052】
評価結果を表I及び表IIに示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003620882
【0054】
【表2】
Figure 0003620882
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従えば、タイヤ内の空気圧保持性を良好に保持したまま、タイヤの軽量化を図ると共に、ゴム層との接着性に優れかつ耐水性(耐湿性)や耐熱性に優れた空気透過防止層を有する空気入りタイヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの構造を示す子午線方向半断面図である。
【符号の説明】
1…ビードコア
2…カーカス層
3…インナーライナー層
4…サイドウォール

Claims (4)

  1. (i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種のパーオキサイド架橋剤を含んで成るポリマー組成物を空気入りタイヤのカーカス層の表面又は該カーカス層の表面に設けたゴム層の表面をハロゲン化処理した面に塗布し、架橋せしめてなる空気透過防止層を有する空気入りタイヤ。
  2. 前記ポリマー組成物からなる架橋後の空気透過防止層が融点80℃以上、空気透過係数25×10-12 cc・cm/cm2 ・sec ・cmHg以下及び、ヤング率1〜500MPa である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 未加硫ゴムからなるグリーンタイヤのカーカス層の表面又は該カーカス層の表面に設けたゴム層の表面をハロゲン化処理した後、該ハロゲン化処理面に、(i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種のパーオキサイド架橋剤を含んで成るポリマー組成物を散布又は塗布し、次いで該グリーンタイヤを加硫せしめて空気透過防止層を構成することを特徴とする空気入りタイヤの製造法。
  4. 加硫後のタイヤのカーカス層の表面又は該カーカス層の表面に設けたゴム層の表面をハロゲン化処理した後、該ハロゲン化処理面に、(i)少なくとも一部のアミド基がアルコキシアルキル基及び/又は硬化性不飽和結合を有する基で変性された少なくとも一種の脂肪族ポリアミド系樹脂並びに(ii)少なくとも一種のパーオキサイド架橋剤を含んで成るポリマー組成物を散布又は塗布し、次いで架橋せしめて空気透過防止層を構成することを特徴とする空気入りタイヤの製造法。
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