JPH06125785A - セファロスポラン酸誘導体の製造法 - Google Patents

セファロスポラン酸誘導体の製造法

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JPH06125785A
JPH06125785A JP30065892A JP30065892A JPH06125785A JP H06125785 A JPH06125785 A JP H06125785A JP 30065892 A JP30065892 A JP 30065892A JP 30065892 A JP30065892 A JP 30065892A JP H06125785 A JPH06125785 A JP H06125785A
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acid derivative
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JP30065892A
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Yoshiki Tani
吉樹 谷
Keizo Yamamoto
敬三 山本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 デアセチルセファロスポラン酸誘導体を、酵
素の作用によりセファロスポラン酸誘導体に変換する方
法を提供する。 【構成】 デアセチルセファロスポラン酸誘導体に、酢
酸エステルの存在下で、酵素(例えば、ロドトルラ属に
属する微生物またはその調製物)を作用させて、セファ
ロスポラン酸誘導体を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セフアロスポリン系抗
生物質製造における有用中間体であるセファロスポラン
酸誘導体の新規製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、前記化2式で示されるセファ
ロスポラン酸誘導体の製造としては、7−アミノセファ
ロスポリンC(7−ACA)を原料とし、化学合成法ま
たは酵素法による7−位の化学修飾が行なわれてきた。
しかしながら、この化学修飾の際にはかなりの量の副生
物が生じており、目的物質の収率低下をきたしている。
この副生物の代表化合物は、3−位が脱アセチル化され
たデアセチルセファロスポラン酸誘導体(前記化1)で
あり、再利用されず廃棄されていた。すなわち、副生物
であるデアセチルセファロスポラン酸(前記化1)をセ
ファロスポラン酸誘導体(前記化2)に変換して、有効
利用する方法は見出されていない。
【0003】さらに、7−ACA(前記化2におけるR
が水素原子)の化学合成法、酵素法、または発酵法によ
る生産における副生物であるデアセチル−7−ACA
(前記化1におけるRが水素原子)の、7−ACAへの
変換による有効利用の方法も見出されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セファロス
ポリン系抗生物質、またはその合成原料中間体の製造上
において、副生物を有効再利用するという課題を解決す
るものである。すなわち、デアセチルセファロスポラン
酸誘導体の3−位にアセチル基を酵素反応にて導入し、
セファロスポラン酸に変換する方法を提供することを目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、デアセチルセファロスポラン酸誘導
体をセファロスポラン酸誘導体に変換する手法について
検討してきた。その結果、前記化1式で示されるデアセ
チルセファロスポラン酸誘導体を、酢酸エステルの存在
下で酵素を作用させることにより、化2式で示されるセ
ファロスポラン酸誘導体に変換することを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、化1式で示されるデ
アセチルセファロスポラン酸誘導体に、酢酸エステルの
存在下で酵素(例えば、ロドトルラ属に属する微生物ま
たはその調製物)を作用させ、化2式で示されるセファ
ロスポラン酸誘導体を製造する方法である。
【0007】この化1式および化2式におけるRは水素
原子、R1 −CO基またはR2 −SO2 基を表し、R1
は水素原子、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基
により1個または複数個置換された炭素数1〜6の直鎖
状あるいは分枝状のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ
原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、置換または無置換
のアリールオキシ基、イミノ基、炭素数1〜4のアルキ
リデン基あるいは複素環基により置換された炭素数1〜
3のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状あるいは分枝状
のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアラルオキシ基
を表し、R2 は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜
3のハロゲン置換アルキル基、置換あるいは無置換のア
リール基を表す。
【0008】さらに詳しく説明すると、R1 のアルキル
基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基等がある。置換アルキル基としては、
例えば、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチ
ル基、シアノメチル基、シアノエチル基、メトキシエチ
ル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、フェノ
キシメチル基、トリルオキシメチル基、p−クロロフェ
ノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、(2−チエニル)
メチル基、(1−(1H)−テトラゾール)メチル基、
(2−アミノ−4−チアゾリル)メチル基、(2−フリ
ル)メチル基、(2−アミノ−4−チアゾリル)メトキ
シイミノメチル基、(2−アミノ−4−チアゾリル)プ
ロピリデンメチル基等がある。アルコキシ基としては、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキ
シ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等がある。アラルオ
キシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、p−ニト
ロベンジルオキシ基等がある。R2 のアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等があ
る。ハロゲン置換アルキル基としては、例えば、トリフ
ルオロメチル基等がある。
【0009】本発明に用いられる酵素としては、セファ
ロスポラン酸の3位のアセチル基に作用するエステラー
ゼ(別名アセチルハイドロラーゼ)またはリパーゼ等で
あればよく、微生物もしくは動物由来のいずれのもので
あってもよい。さらに、酵素はそのままでもよく、さら
には、天然高分子物質または合成高分子に固定化された
ものを用いることができる。酵素の具体例としては、市
販のエステラーゼまたはリパーゼであり、さらに、本発
明に用いる酵素として最も適しているのは、ロドトルラ
属に属する微生物またはその調製物である。具体的に
は、ロドトルラグルチニス( Rhodotorula glutinis )
38B1(微工研菌寄第13039号)を使うことがで
きる。本菌は京都府の土壌中より分離したもので、上記
の番号で微生物工業技術研究所に寄託されている。本菌
の菌学的性質は、以下に示すとおりである。
【0010】38B1菌株: YM培地における形態; 液体培地;48時間培養にて、(3−5)×(4−6)
μmの球形ないし卵形で、単一細胞で存在。21日培養
にて、毛状ではない沈殿を生じ、クリーム色。 寒天培地;48時間培養にて、(3−5)×(4−8)
μmの球形ないし長い卵形で、単一細胞および複数の対
の細胞で存在。21日培養にて、オレンジ色となり、表
面はなめらかで、わずかに光沢あり。 仮性菌糸と真性菌糸について;コーンミール寒天培地お
よびポテトデキストロース寒天培地において、好気およ
び嫌気条件下にて、仮性および真性菌糸はなし。 胞子について;射出胞子、分節胞子、エンドスポアー、
厚膜胞子はともに観察されない。 有性胞子について;Gorodkowa 培地およびコーンミール
寒天培地にて有性胞子は観察されない。 発酵能;D−グルコース、D−ガラクトース、シューク
ロース、マルトース、セロビオース、α,α−トレハロ
ース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、メレ
ズィトース、イヌリン、可溶性デンプン、メチルα−D
−グルコピラノシドに対する発酵能はすべてない。
【0011】同化能; D−グルコース + D−ガラクトース + L−ソルボース − シュークロース + マルトース + セロビオース − α,α−トレハロース + ラクトース − メリビオース − ラフィノース ± メレズィトース + イヌリン + 可溶性デンプン − キシロース + L−アラビノース + D−アラビノース + D−リボース + L−ラムノース − エタノール + グリセロール + エリスリトール − リビトール + ガラクチトール − D−マンニトール + D−グルシトール − メチルα−D−グルコピラノシド + サリシン + 乳 酸 + コハク酸 + クエン酸 − myo −イノシトール − D−グルコノ−1,5−ラクトン + D−グルコサミン − メタノール − キシリトール + 硫酸アンモニウム + 硝酸カリウム + エチルアミン − カダベリン + L−リジン +
【0012】その他の特性; 0.01%シクロヘキシマイド生育 + 0.1%シクロヘキシマイド生育 + 50%グルコース生育 − 1%酢酸生育 − 油脂分解性 − 生酸性 − 37℃での生育 + アルブチン加水分解 − ウレアーゼ活性 − デンプン生産性 − NaCl耐性 −
【0013】以上の菌学的性質を飯塚、後藤による「酵
母の分類同定法,第2版(1973)」および J.Lodde
r による「 The Yeasts, A Taxonomic Study, 2nd ed.,
(1970)」にしたがって分類すると、38B1菌株
はロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis )と
同定された。
【0014】本発明における反応方法は、化1式に示さ
れるデアセチルセファロスポラン酸誘導体と、酵素、も
しくは微生物またはその調製物とを、酢酸エステルの存
在下にて接触させることにより、化2式で示されるセフ
ァロスポラン酸誘導体を得るものである。微生物または
その調製物とは、具体的には、前記のロドトルラ属に属
する微生物を培養した培養物、そこから集めた菌体処理
物(例えば、菌体の破砕物または菌体より分離抽出した
酵素)、さらに、菌体または菌体処理物を適当な方法に
より、例えば、天然高分子物質または合成高分子に固定
化したものを示す。
【0015】本発明で使用される微生物の培養は、公知
の方法に準じて行なうことができる。使用する培地は、
一般酵母の栄養源として公知のものが利用でき、グルコ
ース、フラクトース、エタノール、シュークロース、マ
ルトース、酢酸、オレイン酸エチル等の炭素源、硝酸、
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、アンモニア等の
窒素源、酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン、肉エキ
ス、ポテト等の有機栄養源、L−バリン、L−グルタミ
ン酸等のアミノ酸、リン酸、マグネシウム、カリウム、
鉄、コバルト、マンガン等の無機栄養源を適宜組合せて
使用できる。培地のpHは3〜10の範囲で選べばよ
く、培養温度は15℃から40℃、好ましくは25℃か
ら32℃である。培養日数は1日から10日の範囲で活
性が最大となるまで培養すればよい。
【0016】本発明における反応条件を次に説明する。
反応は、水性溶媒、非水溶性有機溶媒のどちらにおいて
も進行させることができる。水性溶媒とは、水、各種塩
類からなる緩衝液、およびこれらとプロパノール等のア
ルコール溶媒、アセトン等のケトン溶媒、アセトニトリ
ル等のニトリル溶媒、1,4−ジオキサン等のエーテル
溶媒、ジメチルスルホキシド等の極性非プロトン性溶媒
等の水溶性有機溶媒との混合溶媒、さらには、水性溶媒
と非水溶性有機溶媒との混合溶媒(二相系となってもよ
い)を意味する。また、原料の種類によっては溶解性を
増すことにより反応速度を上昇させるために、界面活性
剤を添加してもよい。
【0017】反応条件において最も重要なことは、反応
におけるアセチル基の供与体として、酢酸エステルを添
加することである。酢酸エステルとしては、酢酸メチ
ル、酢酸エチル等が安価で使いやすい。この酢酸エステ
ルの反応系への添加濃度は、0.0001から100%
の間で選べばよく、上記に記載の反応溶媒そのものとし
て選ぶこともできる。酢酸エステルがアセチル基の供与
体として有効であるのは、化1式にて示されるデアセチ
ルセファロスポラン酸誘導体のアセチル化が、酵素によ
るエステル交換反応によるからであると考えられる
【0018】反応温度は、原料の種類、反応溶媒の種
類、その他の条件により必ずしも一定ではないが、通常
は約0〜80℃の間であり、好ましくは3〜35℃の間
を選択する。反応における化1式で示される原料の添加
濃度は、約0.001〜70重量%の間であり、好まし
くは0.1〜40重量%の間を選択する。反応pHは3
〜11であり、好ましくは4〜8の間を選択する。反応
時間は、0.5〜300時間の間を選択する。反応によ
り消費される化1式で示されるデアセチルセファロスポ
ラン酸誘導体は、連続的あるいは間歇的に補充し、反応
液中の濃度が上記の範囲に維持されるように添加しても
よい。
【0019】このようにして得られる反応混合物から、
目的化合物を回収するには、先ずpHを7〜8に調整
後、遠心分離あるいは濾過等により微生物等の不溶物を
除去し、希硫酸もしくは希塩酸にて酸性となし、0〜1
0℃条件下にて6〜48時間静置し、生成した結晶を濾
種する。目的化合物は、必要により再結晶、メタノール
等のアルコール類による洗浄、または吸着樹脂やイオン
交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製
し、高純度のものとすることができる。
【0020】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の範囲を
限定するものではない。 実施例1 酢酸ナトリウム2%、塩化アンモニウム0.3%、リン
酸2カリウム0.3%、リン酸1カリウム0.2%、硫
酸マグネシウム(7水塩)0.02%、ビタミン混合液
0.1%、金属混合液0.2%(ビタミン混合液とは、
チアミン塩酸塩1mg、リボフラビン2mg、パントテン酸
カルシウム2mg、ピリドキシン塩酸塩2mg、ビオチン
0.1mg、p−アミノベンゾイック酸1mg、ニコチン酸
2mgを100mlの蒸留水に溶かしたものである。金属混
合液とは、硫酸マグネシウム7水塩5g、塩化マンガン
4水塩410mg、塩化第1鉄350mg、塩化亜鉛200
mg、塩化カルシウム100mg、塩化コバルト6水塩20
mg、塩化銅2水塩20mg、モリブデン酸ナトリウム2水
塩10mg、ホウ酸ナトリウム10水塩10mgを100ml
の蒸留水に溶かしたものである。)を含み、pHを7.
0にした殺菌培地500mlに、予め同培地で培養したロ
ドトルラ グルチニス 38B1株を2%移植し、28
℃で36時間培養した。培養後、遠心分離にて菌体を集
め、生理食塩水で洗浄した。この菌体を、0.1Mクエ
ン酸カリウム−ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)
にて、さらに洗浄した。このようにして得た菌体約2.
5g-dcwと酢酸メチル95ml、および226mgのデアセ
チル−7−アミノセファロスポラン酸(化1式における
Rが水素原子)を含む水溶液5mlを混合し、10℃で3
0時間反応させた。反応終了後、pHを7.0とし、遠
心分離により菌体を除去した上清液を減圧濃縮し、酢酸
メチルを完全にとばした。この濃縮液を蒸留水に溶解さ
せた後、合成吸着剤であるHP−20のカラムに吸着さ
せた。蒸留水−10%メタノール水のグラジエントによ
り、目的物質を溶出させた。目的物質を含む画分を集
め、減圧濃縮(35℃以下)し、5℃にて結晶化させ
た。24時間静置後、生成した結晶を濾取し、メタノー
ルで洗浄後、乾燥し、7−アミノセファロスポラン酸1
09mgを得た。化合物の同定は、標品のクロマトデータ
およびNMR、IR、UV等のスペクトルデータと比較
して行った。
【0021】実施例2 実施例1と同様にして培養し、洗浄したロドトルラ グ
ルチニス 38B1の菌体(20mg-dcw)に、3.3m
Mデアセチル−7−アミノセファロスポラン酸(化1式
におけるRが水素原子)溶液( McIlvaine buffer,pH
5.5)0.3ml、酢酸メチル0.2ml、さらに各種有
機溶媒0.5mlを添加し、30℃で3時間反応させた。
反応終了後、遠心分離により菌体を除去した上清液をH
PLCにより、生成された7−アミノセファロスポラン
酸(7−ACA)を定量した。結果は表1のようにな
り、アセトンおよびアセトニトリルにおいて、溶媒の添
加効果がみられた。
【0022】
【表1】
【0023】実施例3 実施例1と同様にして培養し、洗浄したロドトルラ グ
ルチニス 38B1の菌体(40mg-dcw)に、6.6m
Mデアセチル−7−アミノセファロスポラン酸溶液( M
cIlvaine buffer,pH5.5)0.6ml、酢酸メチル
0.4ml、アセトニトリル1mlを添加し、各種反応温度
で5時間反応させた。反応終了後、遠心分離により菌体
を除去した上清液をHPLCにより、生成された7−A
CAを定量した。結果は図1のようになり、18℃付近
が最適であった。
【0024】実施例4 実施例1と同様にして培養し、洗浄したロドトルラ グ
ルチニス 38B1の菌体(40mg-dcw)に、40mM
デアセチル−7−アミノセファロスポラン酸溶液( McI
lvaine buffer,pH5.5)0.1mlと酢酸メチルまた
は酢酸エチルを各種濃度に添加し(最終液量は蒸留水に
て2.0mlに合わせた)、25℃で3時間反応させた。
反応終了後、遠心分離により菌体を除去した上清液をH
PLCにより、生成された7−ACAを定量した。結果
は表2のようになり、酢酸メチル95%添加で反応が最
大となった。
【0025】
【表2】
【0026】実施例5 実施例1における培地において、酢酸ナトリウム2%の
代わりに、各種炭素源を1%とした殺菌培地50ml(5
00ml坂口フラスコ使用)を用いて、ロドトルラ グル
チニス 38B1菌株を28℃、2日培養した。培養
後、遠心分離にて菌体を集め、実施例1と同様に洗浄し
た。この菌体40mg-dcwに、40mMデアセチル−7−
アミノセファロスポラン酸溶液( McIlvaine buffer,p
H5.5)0.1mlと酢酸メチル1.9mlを添加し、2
5℃で3時間反応させた。反応終了後、遠心分離により
菌体を除去した上清液をHPLCにより、生成された7
−ACAを定量した。結果は表3のようになり、酢酸ナ
トリウムを炭素源とした際、最大活性を示した。
【0027】
【表3】
【0028】実施例6 実施例1における培地において、酢酸ナトリウム2%お
よび塩化アンモニウム0.3%の代わりに、炭素源とし
て酢酸ナトリウムまたはフラクトース各1%、および窒
素源として塩化ナトリウム、ヒドロキシ−L−プロリ
ン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、L−システ
イン各0.3%を入れた殺菌培地50ml(500ml坂口
フラスコ使用)を用いて、ロドトルラ グルチニス 3
8B1菌株を28℃、2日培養した。培養後、遠心分離
にて菌体を集め、実施例1と同様に洗浄した。この菌体
40mg-dcwに、40mMデアセチル−7−アミノセファ
ロスポラン酸溶液( McIlvaine buffer,pH5.5)
0.1mlと酢酸メチル1.9mlを添加し、25℃で3時
間反応させた。反応終了後、遠心分離により菌体を除去
した上清液をHPLCにより、生成された7−ACAを
定量した。結果は表4のようになり、酢酸ナトリウムと
塩化ナトリウムを組合せた場合において、最大活性を示
した。
【0029】
【表4】
【0030】実施例7 実施例1と同様にして培養し、洗浄したロドトルラ グ
ルチニス 38B1菌体約2.8g-dcwと酢酸メチル9
5ml、および369mgの7−(5−アミノ−5−カルボ
キシ−1−オキソペンチル)デアセチルセファロスポラ
ン酸(化1式におけるR1 が4−アミノ−4−カルボキ
シブチル基:デアセチルセファロスポランC)を含む水
溶液5mlを混合し、10℃で22時間反応させた。反応
終了後、実施例1と同様に、除菌、HP−20カラムク
ロマトグラフィー、結晶化(pH3)を行い、7−(5
−アミノ−5−カルボキシ−1−オキソペンチル)セフ
ァロスポラン酸(セファロスポリンC)191mgを得
た。化合物の同定は、標品のクロマトデータおよびNM
R、IR、UV等のスペクトルデータと比較して行っ
た。
【0031】実施例8 実施例1と同様に培養し、洗浄したロドトルラ グルチ
ニス 38B1菌体約2.1g-dcwと酢酸メチル99m
l、および300mgの7β−〔(Z)−2−(2−アミ
ノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノアセチ
ル〕デアセチルセファロスポラン酸〔化1式におけるR
が(2−アミノ−4−チアゾリル)メトキシイミノアセ
チル基〕を混合し、十分攪拌しながら、10℃で20時
間反応させた。反応終了後、実施例1と同様に、除菌、
HP−20カラムクロマトグラフィー、結晶化(pH
3)を行い、7β−〔(Z)−2−(2−アミノチアゾ
ール−4−イル)−2−メトキシイミノアセチル〕セフ
ァロスポラン酸127mgを得た。化合物の同定は、標品
のクロマトデータおよびNMR、IR、UV等のスペク
トルデータと比較して行った。
【0032】
【発明の効果】本発明を利用することにより、セファロ
スポリン系抗生物質の製造中間体であるセファロスポラ
ン酸誘導体を、対応するデアセチルセファロスポラン酸
誘導体より、酢酸エステルの存在下で、酵素反応を用い
て、常温常圧下で製造できるため経済上非常に有利であ
る。本発明は、詳細に、かつ、特にその具体化において
は、実施例をもって述べてきたが、本発明の精神と範囲
から外れることがないならば、本発明の中で各種の変化
や変更ができることは、当該技術分野のものには明らか
であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3における反応温度による影響
の結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1式で示されるデアセチルセファ
    ロスポラン酸誘導体に、酢酸エステルの存在下で酵素を
    作用させることを特徴とする下記化2式で示されるセフ
    ァロスポラン酸誘導体の製造法。 【化1】 (式中、Rは水素原子、R1 −CO基またはR2 −SO
    2 基を表し、R1 は水素原子、アミノ基、カルボニル
    基、カルボキシル基により1個または複数個置換された
    炭素数1〜6の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基、ハ
    ロゲン原子、シアノ原子、炭素数1〜3のアルコキシ
    基、置換または無置換のアリールオキシ基、イミノ基、
    炭素数1〜4のアルキリデン基あるいは複素環基により
    置換された炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜4の
    直鎖状あるいは分枝状のアルコキシ基、置換あるいは無
    置換のアラルオキシ基、R2 は炭素数1〜3のアルキル
    基、炭素数1〜3のハロゲン置換アルキル基、置換ある
    いは無置換のアリール基を表す。) 【化2】 (式中、Rは上記化1と同一である。)
  2. 【請求項2】 酵素がロドトルラ属に属する微生物また
    はその調製物である請求項1に記載の製造法。
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