JPH0611523B2 - 美粧段ボール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、内面にグラビア印刷，フレキソ印刷など巻き
取りによる連続運転可能な印刷を施した耐水性のある美
粧段ボールに関する。

従来、通常の段ボールに美粧性を持たせるには、紙ライ
ナーにオフセット印刷を施し、片面段ボールの中芯に半
自動により貼り合わせて形成していた。即ち、オフセッ
ト印刷は本来、印刷の紙サイズが限定されているため、
一枚づつ印刷されるものである。

従って、高速で連続的に段ボールシートを製造するコル
ゲートマシンの工程に、同時にオフセット印刷を連続工
程として組み込むことは到底できるものではなく、当然
に作業能率が悪く、コスト高の原因となり、更にサイズ
が限定されているため、大形の段ボールには不適合であ
った。

また印刷面に光沢を与える為には、別にビニル樹脂など
を塗布し、いわゆるコーティング加工を施す必要がある
が、完全防水のためには、このコーティング加工ではな
お不充分であり、またコーティング加工には加圧を必要
とするので、段ボール製造工程にこのコーティング加工
を組み込むことは段の潰れの恐れがあるため不可能であ
った。

また、段ボールの印刷として、ライナー用に通常のグラ
ビア印刷を施したものが存在する。しかし、これは単に
ライナー表面に印刷が施してあるという程度のものにす
ぎず、いわゆる美粧性を持たせたものではなかった。従
って、上記オフセット印刷された従来の美粧段ボールと
比較しても、美粧性に関しては格段に劣るものであっ
た。

一方、本発明者等は、一面に例えばプラスチックシー
ト，プラスチックフィルム，プラスチックフォームシー
ト，プラスチッククロス，合成皮革，布，布織布等の上
張り材を表装材，防水材，緩衝材として貼着した特殊な
段ボールの特殊な製造方法を開発することができた（特
願昭57-217560号）。

本発明者等はこの製造方法を利用して、上記オフセツト
印刷方式などの従来美粧段ボールの欠点を一挙に改良す
ることができた。即ち、安価で、サイズの制限を受ける
ことはなく、大量生産が可能なグラビア印刷，フレキソ
印刷など巻き取りによる連続運転可能な印刷を施した完
全防水の高光沢超美粧段ボールを提供することができ
た。

即ち本発明は、帯状に巻き取られた延伸強化プラスチッ
クフィルムの一面に巻き取りによる連続運転可能な印刷
を施し、帯状に巻き取られた紙を基材とし、この紙基材
の表面側に無色透明な熱溶着性プラスチックフィルムを
接着層として介在させると共に上記延伸強化プラスチッ
クフィルムをその印刷面を内側にしてこの紙基材に対し
表面層を構成するように積層させ、それをライナーとし
て上記紙基材の裏面をコルゲート加工された紙製中芯の
片面又は両面に貼り合せてなることを特徴とする。

グラビア印刷は、インクの性質と速乾性とによって、紙
のみか非吸収性のプラスチック，金属箔などにも高速印
刷が可能で、オフセット印刷よりも美粧性に優れてい
る。また巻取紙や巻取フィルムにも印刷することができ
る。従って、帯状に巻き取られたプラスチックフィルム
の一面に連続的に印刷することができる。

更に、近年、製版印刷技術の向上により帯状に巻き取ら
れたプラスチックフィルムの表面に、連続運転によるフ
レキソ印刷が可能となり、既に一部採用されてきてい
る。

プラスチックフィルムとしては、透明で耐水性に優れた
延伸強化フィルムが好ましい。延伸は一軸でも二軸でも
よく、更に結晶化されたフィルムであれば一層望まし
い。例えば、ポリエチレンフィルム，ポリプロピレンフ
ィルム，ポリアミドフィルム，ポリエステルフィル
ム，，ポリ塩化ビニルフィルムなどの延伸強化フィルム
を使用することができる。この場合、グラビア印刷，フ
レキソ印刷などは、フィルムの他面から透視して正常な
形態であるように施される。

次に、グラビア印刷，フレキソ印刷など巻き取りによる
連続運転可能な印刷を施されたプラスチックフィルムの
印刷面は、帯状に巻き取られた紙基材に対し表面層を構
成するようにこの紙基材の表面側に連続的に接着され
る。

この接着は、上記プラスチックフィルムと紙基材との間
に、融点の低い熱溶着性フィルムをエキストルージョン
法を利用して接着層として介在させることにより実施さ
れる。

本発明では、このよいにして内面にグラビア印刷，フレ
キソ印刷など巻き取りによる連続運転可能な印刷が施さ
れた〔延伸強化フィルム＋熱溶着性フィルム＋紙基材〕
を段ボール用のライナー材料として使用するわけであ
る。即ち、このライナー材料を構成する紙基材の裏面側
が、即にコルゲート加工を施された紙製中芯の片面又は
両面に現業の接着剤（澱粉糊）にて接着され、本発明段
ボールが形成される。

しかし上記のように形成されるライナー材料は、予め別
工程により製造し、それを段ボールシートの製造工程に
おけるミクロールスタンドにロール状に提供してもよ
く、或いはまた、コルゲートマシンによる段ボールシー
トの製造工程中に、上記延伸強化フィルムと紙基材との
間に熱溶着性フィルムを介在させるラミネート工程を組
込み、上記ライナー材料の製造と同時に段ボールシート
の製造が行なわれるよう構成してもよい。

第１図は、コルゲートマシンのダブルフェーサ部におい
て、上記ライナー材料の製造と同時に本発明両面段ボー
ルが製造される工程を一実施例として示したものであ
る。

図において、１，２，３はそれぞれミルロールスタンド
で、ミルロールスタンド１には表ライナー用原紙１ａの
ロール１ｂが供給され、２には低融点ポリエチレン製の
熱溶着フィルム２ａのロール２ｂが供給され、３には既
に裏面（内面）にグラビア印刷４の施された延伸強化ポ
リプロピレンフィルム３ａのロール３ｂが供給されてい
る。また、ダブルフェーサ部Ｔは、主に、ウェイトロー
ル５，駆動ベルト６，発熱部７，冷却部８及び従動ベル
ト９から構成されている。

従動ベルト９は、ガラス繊維で強化した耐熱性プラスチ
ックを主材としてその表面にテフロン加工を施したもの
を使用し、駆動ベルト６に対向して設けてある。また多
数の空回りロール10によって発熱部７のまわりに自由に
回転するように取付けられている。

なお従動ベルト９の材質としては、硬度的に軟かく、ま
た熱伝導性が適当にあって、しかも表面が付着しにくい
ものが望ましく、上記したもののほかに耐熱性プラスチ
ックの主材表面にシリコン加工を施したものを挙げるこ
とができる。

また、従動ベルト９の材質や上記フィルム３ａの表面加
工によっては、空回りロール10では従動ベルト９が円滑
に回転しない場合も生じるが、その場合は空回りロール
に代って駆動ロールを使用し、上記表ライナー用材料の
動きに強制的に従順させるように構成してもよい。

一方、シングルフェーサ部Ｓより供給された片面段ボー
ル構造体Ｆ１はダブルフェーサ部Ｔの手前で紙製中芯11
の段頂がプレヒータ12で加熱され、糊ロール13によって
その段頂に糊付けさける。そしてダブルフェーサ部Ｔに
おいて、駆動ベルト６と従動ベルト９との間に繰り込ま
れる。

更に、この片面段ボール構造体Ｆ１と従動ベルト９との
間に、ミルロールスタンド１，２，３より表ライナー用
原紙１ａ，熱溶着フィルム２ａ，グラビア印刷された延
伸強化フィルム３ａが、上からこの順に積層されるよう
繰り込まれる。特に延伸強化フィルム３ａは、グラビア
印刷４が施された面を熱溶着フィルム２ａに対向させて
繰り込まれる。

従って、表ライナー用原紙１ａの裏面（内面）は、片面
段ボール構造体Ｆ１のうちの中芯11の糊付けされた段頂
に接合し、延伸強化フィルム３ａの表面は従動ベルト９
の表面に押し付けられ、グラビア印刷面４は表ライナー
15の内部に存在することになる。

ダブルフェーサ部Ｔにおいて上記のように構成された両
面段ボール構造体Ｆ２は、駆動ベルト６によって従動ベ
ルト９に押し付けられ、そのベルト９を随伴して搬送さ
れながら発熱部７上を通過する。

従って、従動ベルト９は発熱部７から直接に熱を受け、
その上面と擦り合うけれども、両面段ボール構造体Ｆ２
は従動ベルト９か間接に熱を受け、発熱部７上では従動
ベルト９と行動を共にし、そのベルト９上面に延伸フィ
ルム３ａの表面が密着した状態を保持する。

今仮りにこの従動ベルト９が無ければ、先ず第１に、発
熱部７の180℃前後の温度によって延伸強化フィルム３
ａは溶けてしまう。延伸強化フィルム３ａはその材質か
ら熱に弱く、また断熱性を有し熱伝導性は余り良くない
が、従動ベルト９は発熱部７からの熱を緩和して両面段
ボール構造体Ｆ２に伝え、更に従動ベルト表面のテフロ
ン，シリコン等の加工により、延伸強化フィルム３ａの
溶融を完全に防止する。

しかも発熱部７上を通過する間に延伸強化フィルム３ａ
に少しづつ熱を与えて低融点の熱溶着フィルム２ａを溶
融し、更に中芯側の澱粉糊にそれが糊化する温度と時間
を与える。この時間が長ければ温度は低くてもよい。な
お生澱粉は苛性ソーダの添加によって糊化温度が低下す
る性質がある。

第２にこのような従動ベルト９が無ければ、発熱部７の
上面に対する延伸強化フィルム３ａの摩擦で両面段ボー
ル構造体Ｆ２の移動は行われ難く、少しでも移動が行わ
れると、延伸強化フィルム３ａが発熱部７の上面と擦り
合って損傷を受け、ついには発熱部７で両面段ボール構
造体Ｆ２の移動は全く行われなくなり、装置の稼働は停
止する。

発熱部７の通過とと共に原紙１ａ，熱溶着フィルム２
ａ，延伸強化フィルム３ａのラミネート化が完了し、且
つ中芯11と原紙１ａとの接着も完了して両面段ボール構
造体Ｆ２が形成される。

この両面段ボール構造体Ｆ２は次の冷却部８を通り、最
後にカッター14で所定寸法に切断され、第２図に示すよ
うな製品としての本発明実施例段ボールＦが得られる。
また、マークカット方式の採用により、デザインを自由
に選定することができる。

このようにして生産された段ボールＦは、中芯11とライ
ナー用原紙１ａ，熱溶着フィルム２ａ，延伸強化フィル
ム３ａ相互の接着強度は非常に安定しており、延伸強化
フィルム３ａには変質，変形，表面の擦傷等の損傷は全
く見られず、本来の色彩，光沢，滑らかさ，柔軟性等を
保持し、且つこの延伸強化フィルム３ａを透して内層の
グラビア印刷４は一層鮮明に認められる。これは、接着
層が無色透明な熱溶着性フィルムにて構成されているこ
とにも起因している。

またコルゲートマシンの本発明段ボールＦの生産能力に
ついては、普通の段ボールの生産速度を特に変える必要
はなく、しかもコルゲートマシンの主な改良は発熱部７
の回りに従動ベルト９を設けた程度で、全体から見てわ
ずかの改良となっている。

なお上記実施例では、熱溶着性フィルム２ａを介してラ
イナー用原紙１ａと延伸フィルム３ａとをラミネートさ
せる場合について説明したが、コルゲートマシン中にエ
キストルージョンラミネート加工法を組み込むことによ
り、熱溶着性フィルム２ａの形成と同時にライナー用原
紙１ａと延伸強化フィルム３ａとを接合させれば、より
いっそう合理的である。

また上記実施例では、そのラミネート加工がダブルフェ
ーサ部Ｔにおいて両面段ボール構造体Ｆ２の構造と同時
に行われるよう構成したが、予め別工程において紙基材
と内面側に巻き取りによる連続運転可能な印刷を施した
延伸強化プラスチックフィルムとを熱溶着性フィルム接
着層を介したエキストルージョン法によりラミネートし
ておき、それを表ライナー用材料としてダブルフェーサ
部Ｔに繰り出してもよい。

また上記実施例では、延伸強化フィルム３ａの裏面にグ
ラビア印刷４が施されている場合について説明したが、
その印刷は巻き取りによる連続運転可能な印刷であれば
よく、例えば印刷コストの非常に安いフレキソ印刷であ
っても、上記実施例と同様に実施することができ、同様
の効果を得ることができる。

以上説明したように本発明は、段ボール構造体の流れ工
程の中で、内面側にグラビア印刷，フレキソ印刷など、
巻き取りによる連続運転可能な印刷が施された巻取りロ
ーラ状の延伸強化プラスチックフィルムを無色透明な熱
溶着性フィルムを接着層として介在させ紙製段ボール構
造体の表装として貼着するので、従来のオフセット印刷
を施した美粧段ボールの製造と異なり、サイズの限定は
なく、非常に生産能率が良好であり、且つオフセット印
刷よりも美粧性に優れた段ボールをより安価に提供する
ことができる。

また、従来のようにビニル樹脂等によるコーティング加
工を施す必要は全くなく、上記したように普通の段ボー
ルを生産するコルゲートマシンにわずかの改良を加える
ことによって、段ボールの生産と同時に耐水性に優れた
延伸強化プラスチックフィルムを貼着するので、資材か
ら製品に至るまでの製造工程の一貫性によって、美粧性
に優れた完全防水の本発明段ボールを安価に製造するこ
とができる。

また、グラビア印刷又はフレキソ印刷などを施した印刷
面は、接着層が無色透明な熱溶着性フィルム層であるこ
とと相まって延伸強化フィルムを透して見るので、一段
と美粧性が向上し、更にその印刷面は延伸強化フィルム
により保護されているので、剥れ等の問題は全くなく、
完全防水となっている。

このように本発明段ボールは美粧性に優れているので、
化粧品，薬品その他高級品のケースに、また完全防水な
のでビール等の飲料品の化粧ケースとしても最適であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例段ボールＦを製造するための装置
及び工程の概略を示す構成図。第２図は本発明実施例段
ボールＦの構造を一部分解して示す破断斜視図。 Ｓ……シングルフェーサ部 Ｔ……ダブルフェーサ部 Ｆ１……片面段ボール構造体 Ｆ２……両面段ボール構造体 １、２、３……ミルロールスタンド １ａ……表ライナー用原紙 ２ａ……熱溶着性フィルム ３ａ……延伸強化ポリプロピレンフィルム ４……グラビア印刷

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−51689（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−14095（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−107832（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−138637（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭48−20875（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭51−30509（ＪＰ，Ｂ１) 実公 昭50−11079（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】帯状に巻き取られた延伸強化プラスチック
   フィルムの一面に巻き取りによる連続運転可能な印刷を
   施し、帯状に巻き取られた紙を基材とし、この紙基材の
   表面側に無色透明な熱溶着性プラスチックフィルムを接
   着層として介在させると共に上記延伸強化プラスチック
   フィルムをその印刷面を内側にしてこの紙基材に対し表
   面層を構成するように積層させ、それをライナーとして
   上記紙基材の裏面をコルゲート加工された紙製中芯の片
   面又は両面に貼り合せてなることを特徴とする美粧段ボ
   ール。