JPH06114357A - 油付着物の洗浄方法 - Google Patents

油付着物の洗浄方法

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Publication number
JPH06114357A
JPH06114357A JP26518792A JP26518792A JPH06114357A JP H06114357 A JPH06114357 A JP H06114357A JP 26518792 A JP26518792 A JP 26518792A JP 26518792 A JP26518792 A JP 26518792A JP H06114357 A JPH06114357 A JP H06114357A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cleaning
washing
water
tank
oil
Prior art date
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Pending
Application number
JP26518792A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Ishikawa
誠 石川
Kazunari Takahashi
和成 高橋
Soichi Orita
宗市 折田
Tetsuo Asanuma
哲夫 浅沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Kasei Corp filed Critical Mitsubishi Kasei Corp
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Priority to TW082102862A priority patent/TW217422B/zh
Priority to US08/046,308 priority patent/US5399203A/en
Priority to DE69315249T priority patent/DE69315249T2/de
Priority to EP93106237A priority patent/EP0567015B1/en
Publication of JPH06114357A publication Critical patent/JPH06114357A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 油が付着している被洗浄物をN−メチル−2
−ピロリドン及び水を主体とする洗浄液が収容されてい
る洗浄槽に浸漬し、かつ、洗浄液中に気泡を上昇させて
付着している油を被洗浄物から除去する洗浄工程、洗浄
槽から取出した被洗浄物に付着している洗浄液を水洗に
より除去する水洗工程及び水洗工程で発生したN−メチ
ル−2−ピロリドンを含む水洗廃水の少くとも一部を洗
浄槽に供給する循環工程を有することを特徴とする油付
着物の洗浄方法及びそのための装置。 【効果】 本発明によれば、油付着物の洗浄を効率よく
行うことができ、かつ、廃水処理の負担を軽減ないしは
回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油付着物の洗浄方法及び
そのための洗浄装置に関するものである。詳しくは本発
明の金属部品等の被洗浄物に付着した油を洗浄して除去
する方法及びそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】機械部品、電気部品等の切削加工工程で
は、被加工材料と切削工具との間の摩擦の低減、摩擦熱
の除去、切削屑の洗い流し、切削工具の寿命の延長、加
工面の平滑化等の目的で切削油等が使用されている。従
って、切削加工を経た部品には切削油が付着しているの
で、部品の仕上げに際しては付着している油を洗浄して
除去する必要がある。
【0003】従来、機械部品等に付着している油の洗浄
除去には、ケロシン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素
系溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等
の塩素化炭化水素系溶剤、トリクロロトリフルオロエタ
ン等のフロン系溶剤などが用いられている。特に塩素化
炭化水素系溶剤及びフロン系溶剤は、洗浄能が高く且つ
不燃性なので好んで用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭化水
素系溶剤は不燃性であり、且つ毒性がある。特にベンゼ
ン、トルエン等は毒性が強く、労働安全法上の有害物に
使用されているので、その取扱いには細心の注意を要す
る。また、塩素化炭化水素系溶剤及びフロン系溶剤は、
毒性や環境汚染等の問題でその使用が制限される方向に
ある。
【0005】本発明は油の洗浄性に優れ、且つ安全性お
よび環境汚染等の面で問題を起さない油付着物の洗浄方
法及びこの洗浄方法を実施するのに好適な洗浄装置を提
供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、油が付
着している被洗浄物は先ず洗浄工程でN−メチル−2−
ピロリドン(以下、「NMP」という)及び水を主体と
する洗浄液を収容している洗浄槽に浸漬する。洗浄槽に
はその底部から気泡を上昇させ、洗浄液の化学的洗浄作
用と気泡の物理的作用とにより、被洗浄物に付着してい
る油を除去する。次いで被洗浄物を洗浄槽から取出し、
水洗工程で付着している洗浄液を水洗して除去する。水
洗工程で発生したNMPを含む水洗廃水の少くとも一部
は循環工程で洗浄槽供給し、もって洗浄槽中の洗浄液か
ら蒸発により失なわれる水分の少くとも一部を補充し、
同時に水洗工程で発生したNMPを含む水洗廃水の処理
負担を軽減する。好ましくはNMPを含む水洗廃水の全
量を洗浄槽に供給し、もって廃水処理の負担を無くする
ようにする。
【0007】本発明について更に詳細に説明すれば、本
発明で使用する洗浄液はNMPと水を主成分とするもの
である。NMPと水の合計に対するNMPの重量比率
は、通常少くとも50%である。この比率が50%をわ
ると油の洗浄力が著しく低下するからである。通常は洗
浄力の点からNMPの比率を60%以上とする。洗浄力
の観点からはNMPの比率の上限はない。しかし、NM
Pの比率が高くなりすぎると、洗浄液が引火性を帯びて
消防法上の危険物に該当するようになり、その取扱いが
制約される。従って、NMPの比率は引火性を帯びない
範囲とするため、水を通常10%以上、好ましくは15
%以上共存させる方がよい。また、洗浄液中に水が存在
すると空気との接触により過酸化物が生成するのが抑制
され、且つ洗浄液中に取込まれた油がエマルション化し
難いという利点もある。これらの点を総合するとNMP
の好適な比率は60〜90%、特に70〜85%であ
る。
【0008】また、少量のアルカリ化合物を配合する
と、油の洗浄効果が更に向上する。アルカリ化合物は1
00ppm以上、特に300〜5000ppmとなる濃
度で配合するのが好ましい。アルカリ化合物としては、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、酢酸塩等のほか有機アミンがあげられる。水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。
更に、該洗浄液中には一般的に使用される酸化防止剤や
防錆剤を含有させることもできる。
【0009】洗浄液は通常、常温ないし加温して用い
る。20〜100℃、特に40〜80℃に加温するのが
好ましい。本発明によれば、洗浄は洗浄槽中に収容した
洗浄液中に油の付着した被洗浄物を浸漬し、且つ、洗浄
液中に気泡を上昇させることにより行なう。洗浄液中に
浸漬するだけでも洗浄を行ない得るが、気泡の物理的作
用すなわち気泡による洗浄液の攪拌作用と付着している
油に対する物理的剥離作用とが加わると、洗浄効果が著
るしく向上する。また、気泡は被洗浄物から剥離した油
を速やかに洗浄液表面に移行させる効果もある(本発明
で使用する洗浄液は油に対する溶解力そのものは小さ
く、洗浄作用は専ら付着している油を被洗浄物から剥離
させることに依存している。従って、洗浄液中には剥離
した油が油滴として浮遊している)。更に、気泡は洗浄
液中の水の蒸発を促進し、水洗工程からの水洗廃水を洗
浄液の組成を調整するための補給水として受入れること
を可能とする。
【0010】気泡は洗浄中に空気や窒素等のガスを吹込
むことにより容易に形成することができる。ガスの吹込
量は洗浄液1リットル当り通常0.2〜20Nリットル
/分程度であるが、所望の洗浄効果や水の蒸発量に応じ
て適宜調節すればよい。洗浄に要する時間は通常、数分
ないし数十分間である。洗浄を終えた被洗浄物は洗浄槽
から取出し、水洗して付着している洗浄液を除去する。
通常は水洗廃水を減少させるため、被洗浄物に付着して
いる洗浄液を先ず物理的手段により脱離させたのち水洗
に供するのが好ましい。被洗浄物から洗浄液を脱離させ
る物理的手段としては、例えば、被洗浄物にガス、最も
簡単には、空気を吹付けて、付着している洗浄液を吹き
飛ばして除去するのが好ましい。ガスの吹付速度や吹付
時間などは、被洗浄物の形状や許容し得る洗浄液の残存
付着量などにより、適宜選択すればよい。また、ガスを
吹付ける代りに被洗浄物に遠心力を作用させて洗浄液を
脱離させることもできる。このようにして脱離させた洗
浄液は回収して洗浄槽に供給する。
【0011】水洗は被洗浄物にポンプにより水を循環し
て噴射することにより行なうこともできるし、熱水蒸気
を吹き込み凝縮させながら洗浄することもできるが、通
常、水を収容している水洗槽に被洗浄物を浸漬する方法
が採用される。水は常温ないし加温して用いるのが好ま
しく、20〜100℃、特に40〜80℃に加温するの
が好ましい。水洗槽は通常は1個であるが、所望ならば
複数の水洗槽を直列に配置してもよい。その場合、洗浄
用の水は各水洗槽毎に供給してもよいが、常法に従い各
水洗槽を被洗浄物と向流に移動するようにするのが好ま
しい。水洗槽には洗浄槽と同じく空気その他のガスを吹
込み、槽内に気泡を上昇させるのが好ましい。これによ
り槽内が攪拌されて被洗浄物に付着している洗浄液の除
去が促進されると共に槽内の水の蒸発も促進され、洗浄
系全体の水バランスがとりやすくなる。
【0012】水洗を終えた被洗浄物は水洗槽から取出
し、付着している水分を除去する。通常は空気や窒素等
のガスを吹付けて、付着している水を吹飛ばし、かつ、
乾燥させる。水洗工程では、水中へのNMPの蓄積を防
止するため、常に新しい水を補給し、かつNMPを含む
水の一部を抜出す必要がある。本発明ではこの水の少な
くとも一部、好ましくは全部を補給水として洗浄槽に供
給する。すなわち、洗浄槽からは水が蒸発により失なわ
れるので、洗浄液の組成を一定に保つためには水を外部
から補給しなければならない。本発明ではこの補給水と
して、水洗工程で発生するNMPを含む水洗廃水を利用
する。これによりNMPの損失を防ぎ、且つ廃水処理の
負担を軽減ないしは回避することができる。
【0013】上述の本発明に係る油付着物の洗浄方法を
実施するのに好適な洗浄装置について説明するに、図1
はこのような洗浄装置の1例の概念図である。図中、1
は洗浄槽であり、その内部には洗浄液30が収容されて
おり、それに被洗浄物10が浸漬されている。洗浄槽1
には、洗浄液を加温するヒーター11及び洗浄液中にガ
スを吹込むガス吹込管12が付設されている。洗浄液3
0はオーバーフローし、管31を経て、油分離槽5に流
入するようになっている。
【0014】2は洗浄槽から取出した被洗浄物にガスを
吹付けて付着している洗浄液を脱離させるための付着液
脱離槽であり、ガス吹付管13を有している。脱離した
洗浄液は、管32を経て、油分離槽5に流入する。3は
水洗槽であり、その内部には洗浄水40が収容されてい
る。水洗槽3には、洗浄水を加温するためのヒーター1
4、ガス吹込管15及び水補給管33を備えている。水
洗槽3で発生した水洗廃液の一部は管34を経て、水洗
廃液槽6に抜出される。水洗廃液は、必要量に応じて、
管35を経て油分離槽5に導入される。油分離槽5で浮
遊分離された油は廃油として排出口36より系外に排出
される。一方、油を分離した後の洗浄液は管39を経て
洗浄槽1に供給される。なお、油分離槽5には補給用の
洗浄液及び水(若し必要ならば)も管37、管38より
導入されるようになっている。
【0015】4は水洗した後の被洗浄物を乾燥するため
の乾燥槽であり、熱風の吹付管16を有している。20
は被洗浄物を洗浄槽1、付着液脱離槽2、水洗槽3およ
び乾燥槽4を順次移送するための移送装置である。移送
装置20では、被洗浄物10を入れた網かご21をつる
したトリロー22を用いて各工程に移送を行う。
【0016】なお、本発明において洗浄処理対象となる
油分が付着した被洗浄物としては、電子部品、電機部
品、精密機械部品、樹脂加工部品、光学部品等の精密部
品、機械部品、自動車部品及びその組立加工工程に使用
される治工具類等が挙げられる。具体的には、電子部品
としてはプリント配線基板、ICリードフレーム、コン
デンサー、液晶表示器、半導体材料等が挙げられる。電
機部品としては、コータ用コア等の部品、マグネット、
ブラシ、ハウジング等の電動機部品等が挙げられる。精
密機械部品としてはベアリング、ミシン部品、加工用部
品等が挙げられる。光学部品としては、レンズ等が挙げ
られる。機械部品としては軸受、歯車、各種機械部品等
が挙げられる。自動車用部品としてはエンジン部品、ミ
ッションギヤ、キャブレター等が挙げられる。また、こ
のような部品の組立加工工程で使用される治具、工具類
としては、上記精密部品を製造、成形、加工、組立、仕
上げ等の各種工程において取り扱われる治具、工具等が
挙げられる。
【0017】これらの被洗浄物に付着する油分としては
機械油、切削油、油脂、グリース等が挙げられる。
【0018】
【実施例】図1に示す装置を用いて油付着物の洗浄を行
なった。切削油が付着した金属片(材質:SS41、大
きさ:2.98cm×4.98cm×0.3cm)20枚を網
かごに入れ、洗浄液(NMP:水=80:20(重量
比)の混合液)を収容した洗浄槽(直径35cm×深さ4
0cm)に浸漬した。空気を200Nリットル/分で吹込
みながら60℃で3分間洗浄した。網かごを洗浄槽から
取出して付着液脱離槽に移し、常温の空気を200Nリ
ットル/分で5分間吹付けて付着している洗浄液を脱離
させた。次に、網かごをNMPの2重量%水溶液の入っ
ている水洗槽(直径35cm×深さ40cm)に入れ、空気
を200Nリットル/分で吹込みながら60℃で2分間
水洗した。網かごを水洗槽から取出して乾燥槽に移し、
120℃の空気を200Nリットル/分で5分間吹付け
て金属片を乾燥した。上記の処理を5分間隔で連続的に
行なった。水洗槽には水を補給し、かつ、槽内の水の一
部を抜出して洗浄槽に供給し、NMPの濃度が2重量%
に維持されるようにした。その結果、水洗槽の水洗廃水
は全量洗浄槽に循環することができた。また、該洗浄処
理を100回連続実施したが、試料金属片に付着してい
た油分は、肉眼観察では、いずれも完全に除去されてい
た。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、油付着物の洗浄を効率
よく行うことができ、かつ、廃水処理の負担を軽減ない
しは回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る洗浄方法を実施するのに好適な洗
浄装置の1例の概念図である。
【符号の説明】
1 洗浄槽 2 付着液脱離槽 3 水洗槽 4 乾燥槽 5 油分離槽 6 水洗廃液槽 10 被洗浄物 11 ヒーター 12 ガス吹込管 13 ガス吹付管 14 ヒーター 15 ガス吹込管 16 ガス吹付管 20 移送装置 21 網かご 22 トロリー 30 洗浄液 31 管 32 管 33 水補給管 34 管 35 管 36 排出口 37 管 38 管 39 管 40 洗浄水
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 油付着物の洗浄方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油付着物の洗浄方法に関
するものである。詳しくは本発明の金属部品等の被洗浄
物に付着した油を洗浄して除去する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】機械部品、電気部品等の切削加工工程で
は、被加工材料と切削工具との間の摩擦の低減、摩擦熱
の除去、切削屑の洗い流し、切削工具の寿命の延長、加
工面の平滑化等の目的で切削油等が使用されている。従
って、切削加工を経た部品には切削油が付着しているの
で、部品の仕上げに際しては付着している油を洗浄して
除去する必要がある。
【0003】従来、機械部品等に付着している油の洗浄
除去には、ケロシン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素
系溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等
の塩素化炭化水素系溶剤、トリクロロトリフルオロエタ
ン等のフロン系溶剤などが用いられている。特に塩素化
炭化水素系溶剤及びフロン系溶剤は、洗浄能が高く且つ
不燃性なので好んで用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭化水
素系溶剤は不燃性であり、かつ、毒性がある。特にベン
ゼン、トルエン等は毒性が強く、労働安全法上の有害物
に使用されているので、その取扱いには細心の注意を要
する。また、塩素化炭化水素系溶剤及びフロン系溶剤
は、毒性や環境汚染等の問題でその使用が制限される方
向にある。
【0005】本発明は油の洗浄性に優れ、且つ安全性お
よび環境汚染等の面で問題を起さない油付着物の洗浄方
法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、油が付
着している被洗浄物は先ず洗浄工程でN−メチル−2−
ピロリドン(以下、「NMP」という)及び水を主体と
する洗浄液を収容している洗浄槽に浸漬する。洗浄槽に
はその底部から気泡を上昇させ、洗浄液の化学的洗浄作
用と気泡の物理的作用とにより、被洗浄物に付着してい
る油を除去する。次いで被洗浄物を洗浄槽から取出し、
水洗工程で付着している洗浄液を水洗して除去する。水
洗工程で発生したNMPを含む水洗廃水の少くとも一部
は循環工程で洗浄槽供給し、もって洗浄槽中の洗浄液か
ら蒸発により失なわれる水分の少くとも一部を補充し、
同時に水洗工程で発生したNMPを含む水洗廃水の処理
負担を軽減する。好ましくはNMPを含む水洗廃水の全
量を洗浄槽に供給し、もって廃水処理の負担を無くする
ようにする。
【0007】本発明について更に詳細に説明すれば、本
発明で使用する洗浄液はNMPと水を主成分とするもの
である。NMPと水の合計に対するNMPの重量比率
は、通常少くとも50%である。この比率が50%をわ
ると油の洗浄力が著しく低下するからである。通常は洗
浄力の点からNMPの比率を60%以上とする。洗浄力
の観点からはNMPの比率の上限はない。しかし、NM
Pの比率が高くなりすぎると、洗浄液が引火性を帯びて
消防法上の危険物に該当するようになり、その取扱いが
制約される。従って、NMPの比率は引火性を帯びない
範囲とするため、水を通常10%以上、好ましくは15
%以上共存させる方がよい。また、洗浄液中に水が存在
すると空気との接触により過酸化物が生成するのが抑制
され、且つ洗浄液中に取込まれた油がエマルション化し
難いという利点もある。これらの点を総合するとNMP
の好適な比率は60〜90%、特に70〜85%であ
る。
【0008】また、少量のアルカリ化合物を配合する
と、油の洗浄効果が更に向上する。アルカリ化合物は1
00ppm以上、特に300〜5000ppmとなる濃
度で配合するのが好ましい。アルカリ化合物としては、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、酢酸塩等のほか有機アミンがあげられる。水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。
更に、該洗浄液中には一般的に使用される酸化防止剤や
防錆剤を含有させることもできる。
【0009】洗浄液は通常、常温ないし加温して用い
る。20〜100℃、特に40〜80℃に加温するのが
好ましい。本発明によれば、洗浄は洗浄槽中に収容した
洗浄液中に油の付着した被洗浄物を浸漬し、且つ、洗浄
液中に気泡を上昇させることにより行なう。洗浄液中に
浸漬するだけでも洗浄を行ない得るが、気泡の物理的作
用すなわち気泡による洗浄液の攪拌作用と付着している
油に対する物理的剥離作用とが加わると、洗浄効果が著
しく向上する。また、気泡は被洗浄物から剥離した油を
速やかに洗浄液表面に移行させる効果もある(本発明で
使用する洗浄液は油に対する溶解力そのものは小さく、
洗浄作用は専ら付着している油を被洗浄物から剥離させ
ることに依存している。従って、洗浄液中には剥離した
油が油滴として浮遊している)。更に、気泡は洗浄液中
の水の蒸発を促進し、水洗工程からの水洗廃水を洗浄液
の組成を調整するための補給水として受入れることを可
能とする。
【0010】気泡は洗浄中に空気や窒素等のガスを吹込
むことにより容易に形成することができる。ガスの吹込
量は洗浄液1リットル当り、通常0.2〜20Nリット
ル/分程度であるが、所望の洗浄効果や水の蒸発量に応
じて適宜調節すればよい。洗浄に要する時間は通常、数
分ないし数十分間である。洗浄を終えた被洗浄物は洗浄
槽から取出し、水洗して付着している洗浄液を除去す
る。通常は水洗廃水を減少させるため、被洗浄物に付着
している洗浄液を先ず物理的手段により脱離させたのち
水洗に供するのが好ましい。被洗浄物から洗浄液を脱離
させる物理的手段としては、例えば、被洗浄物にガス、
最も簡単には、空気を吹付けて、付着している洗浄液を
吹き飛ばして除去するのが好ましい。ガスの吹付速度や
吹付時間などは、被洗浄物の形状や許容し得る洗浄液の
残存付着量などにより、適宜選択すればよい。また、ガ
スを吹付ける代りに被洗浄物に遠心力を作用させて洗浄
液を脱離させることもできる。このようにして脱離させ
た洗浄液は回収して洗浄槽に供給する。
【0011】水洗は被洗浄物にポンプにより水を循環し
て噴射することにより行なうこともできるし、熱水蒸気
を吹き込み凝縮させながら洗浄することもできるが、通
常、水を収容している水洗槽に被洗浄物を浸漬する方法
が採用される。水は常温ないし加温して用いるのが好ま
しく、20〜100℃、特に40〜80℃に加温するの
が好ましい。水洗槽は通常は1個であるが、所望ならば
複数の水洗槽を直列に配置してもよい。その場合、洗浄
用の水は各水洗槽毎に供給してもよいが、常法に従い各
水洗槽を被洗浄物と向流に移動するようにするのが好ま
しい。水洗槽には洗浄槽と同じく空気その他のガスを吹
込み、槽内に気泡を上昇させるのが好ましい。これによ
り槽内が攪拌されて被洗浄物に付着している洗浄液の除
去が促進されると共に槽内の水の蒸発も促進され、洗浄
系全体の水バランスがとりやすくなる。
【0012】水洗を終えた被洗浄物は水洗槽から取出
し、付着している水分を除去する。通常は空気や窒素等
のガスを吹付けて、付着している水を吹飛ばし、かつ、
乾燥させる。水洗工程では、水中へのNMPの蓄積を防
止するため、常に新しい水を補給し、かつNMPを含む
水の一部を抜出す必要がある。本発明ではこの水の少な
くとも一部、好ましくは全部を補給水として洗浄槽に供
給する。すなわち、洗浄槽からは水が蒸発により失なわ
れるので、洗浄液の組成を一定に保つためには水を外部
から補給しなければならない。本発明ではこの補給水と
して、水洗工程で発生するNMPを含む水洗廃水を利用
する。これによりNMPの損失を防ぎ、且つ廃水処理の
負担を軽減ないしは回避することができる。
【0013】上述の本発明に係る油付着物の洗浄方法を
実施するのに好適な洗浄装置について説明するに、図1
はこのような洗浄装置の1例の概念図である。図中、1
は洗浄槽であり、その内部には洗浄液30が収容されて
おり、それに被洗浄物10が浸漬されている。洗浄槽1
には、洗浄液を加温するヒーター11及び洗浄液中にガ
スを吹込むガス吹込管12が付設されている。洗浄液3
0はオーバーフローし、管31を経て、油分離槽5に流
入するようになっている。
【0014】2は洗浄槽から取出した被洗浄物にガスを
吹付けて付着している洗浄液を脱離させるための付着液
脱離槽であり、ガス吹付管13を有している。脱離した
洗浄液は、管32を経て、油分離槽5に流入する。3は
水洗槽であり、その内部には洗浄水40が収容されてい
る。水洗槽3には、洗浄水を加温するためのヒーター1
4、ガス吹込管15及び水補給管33を備えている。水
洗槽3で発生した水洗廃液の一部は管34を経て、水洗
廃液槽6に抜出される。水洗廃液は、必要量に応じて、
管35を経て油分離槽5に導入される。油分離槽5で浮
遊分離された油は廃油として排出口36より系外に排出
される。一方、油を分離した後の洗浄液は管39を経て
洗浄槽1に供給される。なお、油分離槽5には補給用の
洗浄液及び水(若し必要ならば)も管37、管38より
導入されるようになっている。
【0015】4は水洗した後の被洗浄物を乾燥するため
の乾燥槽であり、熱風の吹付管16を有している。20
は被洗浄物を洗浄槽1、付着液脱離槽2、水洗槽3およ
び乾燥槽4を順次移送するための移送装置である。移送
装置20では、被洗浄物10を入れた網かご21をつる
したトリロー22を用いて各工程に移送を行う。
【0016】なお、本発明において洗浄処理対象となる
油分が付着した被洗浄物としては、電子部品、電機部
品、精密機械部品、樹脂加工部品、光学部品等の精密部
品、機械部品、自動車部品及びその組立加工工程に使用
される治工具類等が挙げられる。具体的には、電子部品
としてはプリント配線基板、ICリードフレーム、コン
デンサー、液晶表示器、半導体材料等が挙げられる。電
機部品としては、コータ用コア等の部品、マグネット、
ブラシ、ハウジング等の電動機部品等が挙げられる。精
密機械部品としてはベアリング、ミシン部品、加工用部
品等が挙げられる。光学部品としては、レンズ等が挙げ
られる。機械部品としては軸受、歯車、各種機械部品等
が挙げられる。自動車用部品としてはエンジン部品、ミ
ッションギヤ、キャブレター等が挙げられる。また、こ
のような部品の組立加工工程で使用される治具、工具類
としては、上記精密部品を製造、成形、加工、組立、仕
上げ等の各種工程において取り扱われる治具、工具等が
挙げられる。
【0017】これらの被洗浄物に付着する油分としては
機械油、切削油、油脂、グリース等が挙げられる。
【0018】
【実施例】図1に示す装置を用いて油付着物の洗浄を行
なった。切削油が付着した金属片(材質:SS41、大
きさ:2.98cm×4.98cm×0.3cm)20枚を網
かごに入れ、洗浄液(NMP:水=80:20(重量
比)の混合液)を収容した洗浄槽(直径35cm×深さ4
0cm)に浸漬した。空気を200Nリットル/分で吹込
みながら60℃で3分間洗浄した。網かごを洗浄槽から
取出して付着液脱離槽に移し、常温の空気を200Nリ
ットル/分で5分間吹付けて付着している洗浄液を脱離
させた。次に、網かごをNMPの2重量%水溶液の入っ
ている水洗槽(直径35cm×深さ40cm)に入れ、空気
を200Nリットル/分で吹込みながら60℃で2分間
水洗した。網かごを水洗槽から取出して乾燥槽に移し、
120℃の空気を200Nリットル/分で5分間吹付け
て金属片を乾燥した。上記の処理を5分間隔で連続的に
行なった。水洗槽には水を補給し、かつ、槽内の水の一
部を抜出して洗浄槽に供給し、NMPの濃度が2重量%
に維持されるようにした。その結果、水洗槽の水洗廃水
は全量洗浄槽に循環することができた。また、該洗浄処
理を100回連続実施したが、試料金属片に付着してい
た油分は、肉眼観察では、いずれも完全に除去されてい
た。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、油付着物の洗浄を効率
よく行うことができ、かつ、廃水処理の負担を軽減ない
しは回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る洗浄方法を実施するのに好適な洗
浄装置の1例の概念図である。
【符号の説明】 1 洗浄槽 2 付着液脱離槽 3 水洗槽 4 乾燥槽 5 油分離槽 6 水洗廃液槽 10 被洗浄物 11 ヒーター 12 ガス吹込管 13 ガス吹付管 14 ヒーター 15 ガス吹込管 16 ガス吹付管 20 移送装置 21 網かご 22 トロリー 30 洗浄液 31 管 32 管 33 水補給管 34 管 35 管 36 排出口 37 管 38 管 39 管 40 洗浄水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅沼 哲夫 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油が付着している被洗浄物をN−メチル
    −2−ピロリドン及び水を主体とする洗浄液が収容され
    ている洗浄槽に浸漬し、かつ、洗浄液中に気泡を上昇さ
    せて付着している油を被洗浄物から除去する洗浄工程、
    洗浄槽から取出した被洗浄物に付着している洗浄液を水
    洗により除去する水洗工程及び水洗工程で発生したN−
    メチル−2−ピリロドンを含む水洗廃水の少くとも一部
    を洗浄槽に供給する循環工程を有することを特徴とする
    油付着物の洗浄方法。
  2. 【請求項2】 水洗工程で発生した水洗廃水の全量を洗
    浄槽に供給することを特徴とする請求項1記載の油付着
    物の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 洗浄工程において、40〜80℃に加温
    された洗浄液で洗浄することを特徴とする請求項1又は
    請求項2記載の油付着物の洗浄方法。
  4. 【請求項4】 水洗工程において40〜80℃に加温さ
    れた水で水洗することを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の油付着物の洗浄方法。
  5. 【請求項5】 水洗工程において水中に被洗浄物を浸漬
    し、かつ、水中に気泡を上昇させることを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれかに記載の油付着物の洗浄方
    法。
  6. 【請求項6】 洗浄槽から取出した被洗浄物から物理的
    手段により付着している洗浄液の少くとも一部を脱離さ
    せたのち、被洗浄物を水洗に供することを特徴とする請
    求項1ないし5のいずれかに記載の油付着物の洗浄方
    法。
  7. 【請求項7】 洗浄槽から取出した被洗浄物にガスを吹
    付けて付着している洗浄液の少くとも一部を脱離させた
    後、被洗浄物を水洗に供することを特徴とする請求項6
    に記載の油付着物の洗浄方法。
  8. 【請求項8】 油が付着した被洗浄物をN−メチル−2
    −ピロリドン及び水を主体とする洗浄液で洗浄する洗浄
    部、洗浄部から取出された被洗浄物から付着している洗
    浄液を脱離させる付着脱離部、洗浄液を脱離させた被洗
    浄物を水洗して付着している洗浄液を除去する水洗部、
    水洗部で発生した水洗廃水を洗浄部に供給する循環手
    段、及び被洗浄物を洗浄部、付着液脱離部及び水洗部に
    順次移送する移送手段を備えていることを特徴とする油
    付着物の洗浄装置。
  9. 【請求項9】 洗浄部が洗浄液及び被洗浄物を収容する
    洗浄槽と洗浄槽内にガスを吹込むガス供給管とを備えて
    いることを特徴とする請求項8記載の油付着物の洗浄装
    置。
  10. 【請求項10】 水洗部が水洗用の水及び被洗浄物を収
    容する水洗槽と水洗槽内にガスを吹込むガス供給管とを
    備えていることを特徴とする請求項8又は9記載の油付
    着物の洗浄装置。
  11. 【請求項11】 洗浄部が洗浄液の加熱手段を備えてい
    ることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記
    載の油付着物の洗浄装置。
  12. 【請求項12】 水洗部が水洗用の水の加熱手段を備え
    ていることを特徴とする請求項8ないし11のいずれか
    に記載の油付着物の洗浄装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102218411A (zh) * 2011-04-11 2011-10-19 王合江 一种jt型配件加热清洗机
WO2021240842A1 (ja) * 2020-05-27 2021-12-02 光貴スペーステクノロジーズ株式会社 カーボン洗浄剤ならびに該カーボン洗浄剤を用いる洗浄方法

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WO2021240665A1 (ja) * 2020-05-27 2021-12-02 光貴スペーステクノロジーズ株式会社 カーボン洗浄剤ならびに該カーボン洗浄剤を用いる洗浄方法

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