JPH0860194A - 脱脂洗浄剤およびそれを用いて油付着物を洗浄する方法 - Google Patents

脱脂洗浄剤およびそれを用いて油付着物を洗浄する方法

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JPH0860194A
JPH0860194A JP29154194A JP29154194A JPH0860194A JP H0860194 A JPH0860194 A JP H0860194A JP 29154194 A JP29154194 A JP 29154194A JP 29154194 A JP29154194 A JP 29154194A JP H0860194 A JPH0860194 A JP H0860194A
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cleaning
polyol
butanol
weight
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JP29154194A
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English (en)
Inventor
Riichiro Kawashima
理一郎 川島
Yoshitake Araki
良剛 荒木
Masamichi Onuki
正道 大貫
Yukimi Fukumoto
幸美 福本
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】A)次の(a)、(b)、(c)および(d)
により選ばれたアルコール性化合物の一種または二種以
上の混合物 40〜95重量%、(a)炭
素数が4〜10の水溶性ポリオール(b)炭素数が4〜
10のポリオールの水酸基の1つが炭素数1〜5のアル
キル基に置換された水溶性モノアルキルエーテル化合物
(c)炭素数が4〜10のポリオールの水酸基の1つが
炭素数1〜5のアシル基で置換された水溶性モノアシル
エーテル化合物(d)4−メチル−4−ヒドロキシ−2
−ペンタノンおよび B)水 60〜
5重量%を含有する脱脂洗浄剤。 【効果】 本発明の脱脂洗浄剤は、油分の脱脂洗浄効果
に優れ、しかも安定性、安全性及び作業環境衛生性が良
好で、環境汚染のおそれのない、良好な洗浄剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗浄剤および金属部品
等の被洗浄物に付着した油分を効率的に洗浄除去する油
付着物の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】精密機械部品、電気部品等の金属部品の
切削加工工程では、被加工材料と切削工具との間の摩擦
の低減、発生する多量の摩擦熱の除去、切クズの洗い流
し、切削工具の寿命の延長、仕上面の平滑化等の目的で
切削油等が使われている。従って、加工された金属材料
等にはこれらの油分が付着するが、油分が付着したまま
では製品とできない場合が多い。このため、通常、この
ような部品の仕上げ工程では、有機溶剤を用いて、油分
の洗浄除去を行なっている。
【0003】従来、このような油分の洗浄除去に用いら
れる有機溶剤としては、ケロシン、ベンゼン、キシレン
等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロ
ロエチレン等の塩素系溶剤、トリクロロトリフルオロエ
タン等のフロン系溶剤が知られている。特に、電子、電
気、機械等の金属部品には高洗浄性、不燃性という特性
を有するフロン系又は塩素系の溶剤が使用されている。
【0004】しかしながら、前記従来の有機溶剤のう
ち、炭化水素系溶剤、特にベンゼン、キシレン等は毒性
が高く、労働安全法上の有害物に指定されている化合物
であるため、これらを取り扱う作業の危険性及び煩雑さ
等の面で問題がある。また、上記塩素系の溶剤又はフロ
ン系の溶剤は、安全性、毒性、環境汚染等の面で大きな
問題を有している。
【0005】また、従来、種々の成分を混合した多くの
洗浄剤組成物が提案されているが、洗浄対象物の種類、
あるいは、要求される洗浄の度合いに応じてなお最適な
洗浄剤を開発していく必要がある。例えば、近年、塩素
系溶剤又はフロン系溶剤に代わる洗浄溶剤としてエチレ
ングリコールやプロピレングリコール又はそのアルキル
エーテルを含有する洗浄剤が市販されているが、脱脂性
能が充分でなかったり、洗浄に伴い油分が洗浄剤に溶け
込むため繰り返し使用ができないなどの問題が残されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決し、油類の脱脂洗浄性に優れ、且つ、安全性
及び作業環境衛生性が良好で、環境汚染の問題のない水
溶性のポリオール、そのモノアルキルエーテルまたはモ
ノアシルエーテルと水を含有する脱脂洗浄剤を提供する
ことを目的とする。本発明の他の目的は、脱脂洗浄剤を
用いて油が付着した被洗浄物(work)から効率よく
油を除去する方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、 A)次の(a),(b),(c)およびdより選ばれた
アルコール性化合物の一種または二種以上の混合物
40〜95重量%、(a)炭素数が4
〜10の水溶性ポリオール(b)炭素数が4〜10のポ
リオールの水酸基の水素原子の1つが炭素数1〜5のア
ルキル基に置換された水溶性のポリオールのモノアルキ
ルエーテル化合物(c)炭素数が4〜10のポリオール
の水酸基の水素原子の1つが炭素数1〜5のアシル基で
置換された水溶性のポリオールのモノアシルエーテル化
合物(d)4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペンタノ
ンおよび B)水 60〜
5重量%を含有する脱脂洗浄剤を提供するものである。
【0008】本発明の第2は、上記脱脂洗浄剤を用いて
油が付着した被洗浄物から油を除去する洗浄方法を提供
するものである。上記洗浄剤の(a)の炭素数が4〜1
0の水溶性ポリオールは、1分子中にアルコール性水酸
基を2個以上、好ましくは2〜4個有するもので、例え
ば1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,2,3−ブタントリオー
ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−
シクロヘキサンジオール、1,2,3−シクロヘキサン
トリオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキ
サンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,
2,3,4−ヘキサンテトラオール、1,2−オクタン
ジオール、1,2,3−オクタントリオール、1,3−
オクタンジオール、1,2−デカンジオールおよび1,
2,3−デカントリオールが挙げられる。
【0009】また、(b)成分のポリオールのモノアル
キルエーテル化合物としては、1−メトキシ−2−ブタ
ノール、2−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ
−2−ブタノール、2−エトキシ−1−ブタノール、1
−ブトキシ−2−ブタノール、2−ブトキシ−1−ブタ
ノール、1−プロポキシ−2−ブタノール、2−プロポ
キシ−1−ブタノール、4−メチル−4−メトキシ−2
−パンタノール、4−メチル−4−エトキシ−2−ペン
タノール、4−メチル−4−プロポキシ−2−ペンタノ
ール等が挙げられる。
【0010】更に、(c)成分のポリオールのモノアシ
ルエーテル化合物としては、1−アセトキシ−2−ブタ
ノール、2−アセトキシ−1−ブタノール、4−アセト
キシ−1−ブタノール等が挙げられる。これら水溶性の
アルコール性化合物の一例を一般式で示せば、次の通り
である。
【0011】
【化1】 R1 O−CH2 CH2 CH2 CH2 −OR2 (I)
【0012】[式(I)において、R1 とR2 は独立し
て水素原子、炭素数が1〜5のアシル基、炭素数が1〜
5のアルキル基または炭素数が3〜5のアルケニル基で
あり、少なくとの一方は水素原子である。]
【0013】
【化2】
【0014】[式(II)において、R3 とR4 は独立
して水素原子、炭素数1〜4のアシル基、または炭素数
1〜4のアルキル基であり、少くとも一方は水素原子で
ある。R5 とR6 は独立して水素原子または炭素数が1
〜4のアルキル基であり、かつ、R5 とR6 との炭素数
の和は2以上である。]
【0015】
【化3】 R7 −CH2 −C(CH3 2 −OR8 (III)
【0016】[式(1)において、R7 は、R9 COま
たはR9 CH(OH)を表す。また、R8 ,R9 は、水
素原子、炭素数が1〜5のアルキル基のいずれかを表
す。]
【0017】これらアルコール性化合物は、それぞれを
単独で用いてもよく、また、それらを混合して用いても
よい。好ましくは、脱脂洗浄剤中の占める(a)成分の
炭素数が4〜10の水溶性ポリオールが35〜90重量
%好ましくは55〜85重量%を、(b)、(c)およ
びdより選ばれたアルコール性化合物が5〜50重量
%、好ましくは10〜40重量%を占める[但し、
(a)成分と他のアルコール性化合物の和は40〜95
重量%である。]割合の混合物として用いると、(a)
成分のポリオールと水との溶解性を向上させ、脱脂洗浄
効果を著しく向上させることができる。
【0018】本発明の脱脂洗浄剤中の上記A成分のアル
コール性化合物含有量は40〜95重量%、好ましくは
50〜90重量%、更に好ましくは60〜85重量%で
あり、また、B成分の水の含有量が5〜60重量%、好
ましくは10〜50重量%、更に好ましくは15〜40
重量%である。該脱脂洗浄剤の組成の最適範囲は、洗浄
対象の油分の性質により変動しうるものではあるが、水
の含有量が上記範囲では脱脂処理後、脱脂した油分を溶
かさずに浮上分離し易く、該洗浄剤の繰返し使用が長時
間可能であり、該洗浄剤の全量回収又は定期的入替えを
しなくて良いばかりでなく、特に、水含有量が15重量
%以上では該洗浄剤は引火しないので、非危険物として
取扱うことができるので好ましい。該洗浄剤中の水の含
有量が5重量%未満では、即ち繰返し使用する際、油分
の洗浄剤への溶解性が高くなるため、脱脂洗浄効果が低
下しやすい。また、該混合物の水の含有量が60重量%
より多いと脱脂洗浄効果が著しく低下する。
【0019】なお、本発明の脱脂洗浄剤においては、他
の溶媒も、それらが望ましくない程度まで洗浄剤に悪影
響を与えない範囲で少量含有させることができる。他の
溶媒としてはエーテル類、エステル類、芳香族炭化水素
類、脂環式炭化水素類などである。更に、洗浄効果改良
のために、場合によっては、アルカリ金属又はアルカリ
土類金属の塩、有機アミン、界面活性剤を含有させても
よいし、その他、公知の酸化防止剤、防錆剤、増粘剤な
どを含めてもよい。
【0020】本発明の洗浄剤は、少量のアルカリ化合物
を配合することにより、油分の剥離効果が向上し、より
一層優れた洗浄効果を得ることも可能である。この場
合、アルカリ化合物の配合量は、洗浄剤中の濃度で、通
常0.01〜1重量%、好ましくは0.03〜0.5重
量%である。また、配合するアルカリ化合物としては、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩又は水酸化物の
他、有機アミン等が挙げられる。
【0021】かかるアルカリ金属の無機塩としては、炭
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸リチウム等の炭酸塩、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリ
ウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム
等のケイ酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ト
リポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリ
ン酸塩、4−ホウ酸ナトリウム、4−ホウ酸カリウム等
のホウ酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸
塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、塩化リチウム、塩化ナ
トリウム等の塩化物が挙げられる。また、アルカリ土類
金属の無機塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウムなどの炭酸塩、その他ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などが挙げられる。
【0022】また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
の塩としては、有機塩を用いることもでき、ギ酸ナトリ
ウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、安息香酸
ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用
いることができる。一方、アルカリ金属の水酸化物とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アルカ
リ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム等が
挙げられる。
【0023】本発明の脱脂洗浄剤の洗浄処理対象となる
油分が付着した被洗浄物としては、電子部品、電機部
品、精密機械部品、樹脂加工部品、光学部品等の精密部
品、機械部品、自動車部品及びその組立加工工程に使用
される治工具類等の主として金属部品が挙げられる。具
体的には、電子部品としてはプリント配線基板、ICリ
ードフレーム、コンデンサー、液晶表示器、半導体材料
等が挙げられる。電機部品としては、コータ用コア等の
部品、マグネット、ブラシ、ハウジングなどの電動機部
品等が挙げられる。精密機械部品としてはベアリング、
ミシン部品、加工用部品等が挙げられる。光学部品とし
ては、レンズ等が挙げられる。機械部品としては軸受、
歯車、各種機械部品等が挙げられる。自動車用部品とし
てはエンジン部品、ミッションギヤ、キャブレター等が
挙げられる。また、このような部品の組立加工工程で使
用される治具、工具類としては、上記精密部品を製造、
成形、加工、組立、仕上げ等の各種工程において取り扱
われる治具、工具等が挙げられる。
【0024】これらの被洗浄物に付着する油分としては
油脂、機械油、切削油、グリース等が挙げられる。本発
明の油付着物の洗浄方法は、上記洗浄剤を用いて油が付
着した被洗浄物を洗浄した後、該被洗浄物に気体を吹き
つけて付着している洗浄剤の一部を脱離させ、次いで、
水又は水蒸気で洗浄、もしくは先に水で洗浄し、ついで
水蒸気で洗浄することにより行なう。
【0025】具体的には、次のような方法が挙げられ
る。まず、第一工程として本発明の洗浄剤を用いて被洗
浄物である油付着物を、浸漬法、超音波洗浄法、揺動
法、スプレー法等の各種の洗浄方法によって、通常20
〜100℃、好ましくは40〜80℃の温度で洗浄処理
して被洗浄物に付着した油分を脱脂洗浄する。
【0026】この脱脂洗浄にあたり、浸漬法を採用する
際には、洗浄剤中に空気や窒素等を通してバブリングす
ることにより、洗浄効果をより一層高めることができ
る。気泡は洗浄中に空気や窒素等のガスを吹込むことに
より容易に形成することができる。ガスの吹込量は洗浄
液1リットル当り通常0.2〜20Nリットル/分程度
であるが、所望の洗浄効果や水の蒸発量に応じて適宜調
節すればよい。洗浄に要する時間は通常、数分ないし数
十分間である。
【0027】気泡の物理的作用すなわち気泡による洗浄
液の攪拌作用と付着している油に対する物理的剥離作用
とが加わると、洗浄効果が著しく向上する。また、気泡
は被洗浄物から剥離した油を速やかに洗浄剤溶液の表面
に移行させる効果もある。(本発明で使用する洗浄液は
油に対する溶解力そのものは小さく、洗浄作用は専ら付
着している油を被洗浄物から剥離させることに依存して
いる。従って、洗浄液中には剥離した油が油滴として浮
遊している)。
【0028】洗浄液表面に剥離して浮遊した油分は、適
宜、洗浄剤の一部とともにオーバーフローさせるか、あ
るいはオイルスキマー装置等を利用して分離除去するこ
とができる。また、浸漬法において、特に、被洗浄物に
付着する油分が粘性(粘度)の高い油分、例えば、40
℃の動粘度で通常50〜2000センチストークス、特
に100〜1000センチストークスの範囲のもの、例
えば、プレス油、引抜き油、熱処理油等においては、超
音波洗浄を行うことが特に効果的である。超音波洗浄の
条件は特に制限はなく、一般に使用されている超音波発
振器を用い、超音波振動周波数を通常10〜100kH
z、好ましくは15〜50kHzに設定すればよい。
【0029】次いで、第二工程として油分洗浄後の被洗
浄物にわずかに付着している洗浄剤を物理的手段により
脱離させる。被洗浄物から洗浄剤を脱離させる物理的手
段としては、例えば、被洗浄物に気体、最も簡単には空
気、窒素炭酸ガス等を吹付けて、付着している洗浄剤を
吹き飛ばして除去するのが好ましい。気体の吹付速度や
吹付時間などは、被洗浄物の形状や許容し得る洗浄液の
残存付着量などにより、適宜選択すればよい。また、気
体を吹付ける代りに被洗浄物に遠心力を作用させて洗浄
剤を脱離させることもできる。このようにして脱離させ
た洗浄剤は回収して洗浄槽に供給する。
【0030】以上の方法により、洗浄剤を回収して、洗
浄による洗浄剤のロスを極力低減させると共に、次工程
での水洗浄による洗浄剤の溶解量を極力減少させて廃水
処理の負担を軽減させる。この場合、ガスの吹き付け量
は被洗浄物に付着する洗浄剤が短時間で吹き飛ばされて
除去される量であればよく(1m3 /hr以上)、被洗
浄物の形状及び大きさ等により異なる。用いるガスノズ
ルからの線速をできるだけ大きくするのが脱離を効果的
に行うことができる。
【0031】第三工程では上記洗浄剤の脱離処理がなさ
れた被洗浄材の表面になお残存している洗浄剤を水洗浄
または水蒸気洗浄によって除去する。なお、気体の吹き
付けだけでは、被洗浄物の表面に微量に残存する洗浄剤
を完全に蒸発除去させることは困難である。この洗浄
は、浸漬法、超音波洗浄法、揺動法、スプレー法等の各
種の洗浄方法が採用される。
【0032】水洗は水を収容している水洗槽に被洗浄物
を浸漬する方法や、被洗浄物にポンプにより水を循環し
て噴射する方法が一般的である。水は常温ないし加温し
て用いるのが好ましく、特に40〜80℃に加温するの
が好ましい。水洗槽は通常は1槽であるが、所望ならば
複数の水洗槽を直列に配置してもよい。その場合、洗浄
用の水は各水洗槽毎に供給してもよいが、常法に従い各
水洗槽を被洗浄物と向流に移動するようにするのが好ま
しい。
【0033】水洗槽には洗浄槽と同じく空気、窒素また
は炭酸ガス等の気体を吹込み、槽内に気泡を上昇させる
のが好ましい。これにより槽内が攪拌されて被洗浄物に
付着している洗浄剤の除去が促進されると共に槽内の水
の蒸発も促進され、洗浄系全体の水バランスがとりやす
くなる。更に場合によっては、水洗浄の方法として、脱
脂洗浄された被洗浄物に付着する洗浄剤を水蒸気を吹き
付けることにより吹き飛ばして除去する方法も採用でき
る。これにより、水洗槽に被洗浄物を浸漬する水洗浄に
比べて、使用水量を減らし、廃水処理の負担を軽減させ
ることができる。この場合、水蒸気の吹き付け量及び吹
き付け速度は、被洗浄物に付着する洗浄剤が短時間で吹
き飛ばされて除去される量とするのが好ましい。水蒸気
は、通常100〜130℃の温度とするのが好ましい。
該水蒸気の吹き付け量は、被洗浄物の表面積1m2 当た
り、通常、60〜6,000kg/hr程度とするのが
好ましい。
【0034】この水洗工程では、水中への洗浄剤成分の
蓄積を防止するため、常に新しい水を補給し、かつ洗浄
剤を含む水の一部を水洗廃水として水洗槽から抜出す。
この抜出した水洗廃水の少なくとも一部、好ましくは全
部を補給水として洗浄槽に供給してもよい。すなわち、
洗浄槽からは水が蒸発などにより一部は失なわれるの
で、洗浄剤の組成を一定に保つためには水を外部から補
給しなければならない。この補給水として、水洗工程で
発生する水洗廃水を利用することができる。これにより
洗浄剤成分の損失を防ぎ、且つ廃水処理の負担を軽減な
いし回避することができる。なお、洗浄剤の濃度管理
は、洗浄剤についての屈折率、密度等の物性を一般の機
器分析計で測定値に基づいて容易に実施することができ
る。
【0035】水洗浄後の被洗浄物は、通常、その表面に
付着した水分を乾燥、除去する。水分の乾燥、除去方法
は、ガス吹きつけ、自然乾燥、減圧乾燥、赤外線放射等
での方法が例示される。これらの方法のうち、短時間に
水分を乾燥除去する方法としては、ガス吹きつけによる
方法が好ましい。該方法によれば、常温又は加熱した空
気又は窒素ガス等のガスを吹きつけて吹き飛ばして除去
することにより乾燥する。この場合のガスの吹き付け量
は、被洗浄物に付着する水分が短時間に吹き飛ばされて
除去できる量であればよく、被洗浄物の形状や大きさ等
により異なり、一概には言えないが、ガスノズルからの
線速をできるだけ大きくするのが効果的である。
【0036】本発明の油付着物の洗浄方法は、以下に示
す洗浄装置により容易に実施される。以下に図面を用い
て油付着物の洗浄装置を詳細に説明する。図1と図2は
油付着物の洗浄装置の一実施例を示す断面図である。図
1と図2に示す洗浄装置は、表面に油分が付着した被洗
浄物10を洗浄剤30で洗浄処理する油分洗浄部1と、
該油分洗浄部1を経た被洗浄物に付着した洗浄剤をガス
で吹きとばして除去するガスブロー部2と、該ガスブロ
ー部2を経た被洗浄物の表面に残存する洗浄剤を水洗処
理で除去する水洗浄部3と、該水洗浄部3を経た被洗浄
物に付着している水分をガスブローで吹き飛ばして除去
するガスブロー乾燥部4と、被洗浄物10を、これら油
分洗浄部1、ガスブロー部2、水洗浄部3及びガスブロ
ー乾燥部4を経て移送する移送装置20(ベルトコンベ
ア20A、リフト20B)とで主に構成される。
【0037】図1の洗浄装置において、5は洗浄剤30
のスプレーノズルであり、油分洗浄部1及びガスブロー
部2の下方に設けられた洗浄剤回収槽11内の洗浄剤3
0がポンプ12を備える配管13により送給される。な
お、この洗浄剤回収槽11の上部には、被洗浄物10の
洗浄に使用された洗浄剤と共にゴミ等が洗浄剤回収槽1
1に混入するのを防止する目的で、フィルター14が張
設されている。また、洗浄剤回収槽11には、洗浄剤を
適温に加温するための加温器15が設けられている。
6,8はガスノズルであって、空気又は窒素等のガスが
被洗浄物10に向けて吹き付けられるように構成されて
いる。7は洗浄水のスプレーノズルである。このスプレ
ーノズル7からスプレーされた洗浄水は、水洗浄部3及
びガスブロー乾燥部4の下方に設けられた洗浄廃水回収
槽16で回収され、配管17より廃水処理工程へ送給さ
れる。
【0038】この洗浄装置によれば、被洗浄物10がベ
ルトコンベア20A上に供給され、ベルトコンベア20
Aによって順次図面で右側へ移送される。即ち、被洗浄
物10はまず脱脂洗浄部1に入り、加温された本発明の
洗浄剤30がスプレーノズル5から被洗浄物10にスプ
レーされ、被洗浄物10に付着している油分が洗浄除去
される。該被洗浄物10は次いでガスブロー部2を通過
する間に、ガスノズル6から噴射されたガスによってそ
の表面に付着している洗浄剤が吹き飛ばされて、その大
部分が除去される。なお、脱脂洗浄部1の余剰の洗浄剤
及びガスブロー部2で除去された洗浄剤は、洗浄剤回収
槽11にて回収されて循環再使用される。なお、脱脂さ
れた油分は洗浄剤回収槽11の洗浄剤の液面に浮遊する
ので、洗浄液表面に剥離して浮遊した油分は、適宜、洗
浄剤の一部とともにオーバーフローさせるか、あるいは
オイルスキマー装置等を利用して分離除去すればよい。
【0039】次に、該被洗浄物10は水洗浄部3に移送
され、水スプレーノズル7から、水(特に精密部品等の
洗浄の場合には純水)が被洗浄物10にスプレーされ、
残存している洗浄剤が洗浄除去される。その後、被洗浄
物10はガスブロー乾燥部4を通過する間に、ガスノズ
ル8から噴射されたガスによってその表面に付着して水
分の殆どすべてが吹き飛ばされて除去される。このガス
ブロー乾燥部4を通過して取り出された被洗浄物10
は、その全体が完全に乾燥された状態となる。なお、水
洗浄部3の洗浄廃水及びガスブロー乾燥部4で除去され
た水は、洗浄廃水回収槽16で回収され、廃水処理工程
へ送給される。
【0040】図2の洗浄装置において、21はリフト2
0Bの網篭20C内に入れて吊持された被洗浄物10が
浸漬洗浄される洗浄槽である。この洗浄槽21には、内
部の洗浄剤30を適温に加温するための加温器15A
と、洗浄剤30に空気又は窒素等のガスを送給してバブ
リングするためのガスノズル22が設けられている。ま
た、この洗浄槽21には、ガスブロー部2の下方に設け
られた洗浄剤回収槽11内の洗浄剤30がポンプ12を
備える配管13により送給される。なお、この洗浄剤回
収槽11にも、所望により洗浄剤30を適温に加温する
ための加温器15を設けても良い。6,8はガスノズル
であって、空気又は窒素等のガスが被洗浄物10に向け
て吹き付けられるように構成されている。23は被洗浄
物10が浸漬洗浄される洗浄水貯槽であり、上部に洗浄
水のスプレーノズル7が設けられ、また、貯槽内の洗浄
水40を適温に加温するための加温器15Bが設けられ
ている。
【0041】この洗浄水貯槽23にも、内部の洗浄水に
空気又は窒素等のガスを供給してバブリングするための
ガスノズル24が設けられている。ガスブロー乾燥部4
の下方には洗浄廃水回収槽16が設けられており、ガス
の吹き付けにより吹き飛ばされた水及び洗浄水貯槽23
の余剰水が配管17より回収される。なお、脱脂洗浄部
1の余剰洗浄剤及びガスブロー部2で除去された洗浄剤
は、洗浄剤回収槽11にて回収されて循環再使用され
る。
【0042】図2の洗浄装置によれば、被洗浄物10が
リフト20Bの網篭20C内に入れられて、リフト20
Bによって順次図面において右側へ移送される。即ち、
被洗浄材10はまず油分洗浄部1に入り、洗浄剤貯槽2
1にて網篭20Cが下降され、加温された洗浄剤30中
に浸漬されてバブリング洗浄される。この浸漬洗浄によ
り付着している油分が洗浄除去された被洗浄物10は、
一旦、網篭20Cを上昇して洗浄剤貯槽21より取り出
し、次いでガスブロー部2を通過する間に、ガスノズル
6から噴射された空気又は窒素等のガスによってその表
面に付着している洗浄剤が吹き飛ばされて、その大部分
が除去される。また、油分洗浄部1の余剰洗浄剤及びガ
スブロー部2で除去された洗浄剤は、各々、配管31,
32を経て、洗浄剤回収槽11にて回収されて循環再使
用される。
【0043】次に、該被洗浄物10は水洗浄部3に移送
され、網篭20Cが下降され、加温された洗浄水40中
に浸漬されてバブリング水洗浄される。水洗浄により残
存している洗浄剤が洗浄除去された被洗浄物10は、網
篭20Cを上昇して取り出され、その後、ガスブロー乾
燥部4を通過する間に、ガスノズル8から噴射されたガ
スによってその表面に付着して水分の殆どすべてが吹き
飛ばされて除去される。このガスブロー乾燥部4を通過
して取り出された被洗浄物10は、その全体が完全に乾
燥された状態となる。また、水洗浄部3の余剰の廃水及
びガスブロー乾燥部4で除去された廃水は、各々、配管
33,34を経て、廃水回収槽16で回収され、配管1
7より系外に取り出される。
【0044】洗浄剤回収槽11の部分について、更に説
明すると、洗浄使用された洗浄剤等が洗浄剤回収槽11
に回収されると、被洗浄物より脱脂された油分は比重の
関係で回収液の表面に付近に浮遊するので配管36を通
じて油分を系外に除去すればよい。一方、油を分離した
後の洗浄剤液は管13を経て洗浄槽21に供給される。
洗浄剤回収槽11には補給用の洗浄剤及び水(若し必要
ならば)も管37、管38より導入されるようになって
いる。なお、洗浄剤回収槽11は、図2に示すように、
補給用の洗浄剤及び水と回収油分が混合しないように槽
内に敷居を設けるのが好ましい。また、洗浄廃水回収槽
16の水洗廃液は、必要量に応じて、配管35を経て洗
浄剤回収槽11に導入される。
【0045】なお、図1、図2に示す洗浄装置におい
て、脱脂洗浄又は水洗浄の洗浄方法は、スプレー洗浄や
浸漬洗浄に限られず、前述した他の洗浄方法も採用し得
る。また、被洗浄物の搬送装置もベルトコンベアやリフ
トに限らず、駆動ローラやキャタピラ等を採用すること
ができる。又、搬送装置は、洗浄剤や水が通過し得る構
成であることが好ましく、例えばベルトコンベアの場
合、メッシュ又は多孔材製のベルトコンベアを用い、リ
フトの場合は網篭や網皿を用いるのが有利である。
【0046】
【実施例】以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて、
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
越えない限り、以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 1,2−ブタンジオール80重量%と水20重量%の混
合溶液からなる脱脂洗浄剤を、底部に空気の吹込管を有
する500ml容の洗浄器に入れ、60℃に加温した。
【0047】この洗浄器に、SUS製テストピース(表
面積33cm2 )に熱処理油320mgを塗布した被洗
浄材を、上記脱脂洗浄剤中に浸漬し、空気吹込管より
0.5l/min・cm2 で空気を吹き込んだ。10分
後、テストピースを洗浄器から取り出し、空気を吹きつ
けた後、水300ml中に一分浸漬した。その後、四塩
化炭素100ml中に洗浄後のテストピースを浸漬し、
5分間超音波をかけ、テストピース表面残存油分を抽出
し、赤外分光光度計にて分析し、残存油分量を求めた。
その結果、残存油分は23μg/cm2 であった。
【0048】実施例2 テストピースに切削油320mgを塗布したSUS製テ
ストピースを用いる以外は実施例1と同様に洗浄試験を
行った。その結果、残存油分は15μg/cm 2 であっ
た。 実施例3 脱脂洗浄剤として1,2−ブタンジオール30重量%、
1−プロポキシ−2−ブタノール40重量%と水30重
量%の混合溶液300mlを使用し、5分間攪拌洗浄し
た以外は実施例1と同様に洗浄試験を行った。その結
果、残存油分は6μg/cm2 であった。
【0049】実施例4 洗浄温度を60℃の代りに40℃と変更した外は実施例
3と同様にして洗浄試験を行った。その結果、残存油分
は8μg/cm2 であった。 実施例5 脱脂洗浄剤として1,2−ブタンジオール30重量%、
1−プロポキシ−2−ブタノール50重量%と水20重
量%の混合溶液300mlを使用した以外は実施例3と
同様に洗浄試験を行った。その結果、残存油分は4μg
/cm2 であった。
【0050】実施例6 1,4−ブタンジオール80重量%と水20重量%の混
合溶液からなる脱脂洗浄剤を、底部に空気の吹込管を有
する500ml容の洗浄器に入れ、60℃に加温した。
この洗浄器に、SUS製テストピース(表面積33cm
2 )に熱処理油320mgを塗布後、上記脱脂洗浄剤に
浸漬し、空気吹込管より5 l/min(0.5 l/
min・cm2 )で空気を吹き込んだ。10分後、テス
トピースを洗浄器から取り出し、空気を吹きつけた後、
水300ml中に1分浸漬した。その後、四塩化炭素1
00ml中に洗浄後のテストピースを浸漬し、5分間超
音波をかけ、テストピース表面残存油分を抽出し、赤外
分光光度計にて分析し、残存油分量を求めた。その結
果、残存油分は67μg/cm2 であった。
【0051】実施例7 脱脂洗浄剤を1,4−ブタンジオール70重量%と水3
0重量%の混合溶液とした以外は実施例6と同様に洗浄
試験を行った。その結果、残存油分は67μg/cm2
であった。 実施例8 脱脂洗浄剤を1,4−ブタンジオール90重量%と水1
0重量%の混合溶液とした以外は実施例6と同様に洗浄
試験を行った。その結果、残存油分は54μg/cm2
であった。
【0052】実施例9 脱脂洗浄剤として1−メトキシ−2−ブタノール80重
量%と水20重量%の混合溶液300mlを使用した以
外は実施例1と同様に洗浄試験を行った。その結果、残
存油分は5μg/cm2 であった。
【0053】実施例10 洗浄条件を60℃、5分間、空気吹込0.2 l/mi
n・cm2 とした以外は実施例9と同様に洗浄試験を行
った。その結果、残存油分は16μg/cm2であっ
た。 比較例1〜4 脱脂洗浄剤を表1に示す組成のグリコールと水の混合溶
液とした以外は実施例1と同様に洗浄試験を行った。そ
の結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】実施例11 2−メチル−2,4−ペンタンジオール70重量%水3
0重量%の混合溶液からなる脱脂洗浄剤を、底部に空気
の吹込管を有する500ml容の洗浄器に入れ、60℃
に加温した。この洗浄器に、SUS製テストピース(表
面積33cm2 )に熱処理油320mgを塗布後、上記
脱脂洗浄剤に浸漬し、空気吹込管より0.2 l/mi
n・cm2 で空気を吹き込んだ。3分後、テストピース
を洗浄器から取り出し、ついで空気を吹きつけ、水30
0ml中に1分浸漬した。その後、四塩化炭素100m
l中に洗浄後のテストピースを浸漬し、5分間超音波を
かけ、テストピース表面残存油分を抽出し、赤外分光光
度計にて分析し、残存油分量を求めた。その結果、残存
油分は21μg/cm2 であった。
【0056】実施例12〜13 脱脂洗浄剤を表2に示す組成の2−メチル−2,4−ペ
ンタンジオールと1−タ−シャルブトキシ−2−ブタノ
ールと水の混合溶液とした以外は実施例11と同様に洗
浄試験を行った。その結果を表2に示す。
【0057】実施例14〜15 脱脂洗浄剤を表2に示す組成の2−メチル−2,4−ペ
ンタンジオールと1−プロポキシ−2−ブタノールと水
の混合溶液とした以外は実施例11と同様に洗浄試験を
行った。その結果を表2に示す。
【0058】実施例16〜18 脱脂洗浄剤を表2に示す組成の1,2−ヘキサンジオー
ルと水の混合溶液とした以外は実施例11と同様に洗浄
試験を行った。その結果を表2に示す。 実施例19〜21 脱脂洗浄剤を表2に示す組成のブタンジオールと水の混
合溶液とした以外は実施例11と同様に洗浄試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0059】実施例22〜23 脱脂洗浄剤を表2に示す組成の1,2−ブタンジオー
ル、1−プロポキシ−2−ブタノールと水の混合溶液と
した以外は実施例11と同様に洗浄試験を行った。その
結果を表2に示す。 実施例24〜26 脱脂洗浄剤を表2に示す組成の1,2−ブタンジオー
ル、1−タ−シャルブトキシ−2−ブタノールと水の混
合溶液とした以外は実施例11と同様に洗浄試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0060】比較例5〜8 脱脂洗浄剤を表2に示す組成のグリコールと水の混合溶
液とした以外は実施例11と同様に洗浄試験を行った。
その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】実施例27 4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペンタノン80重量
%と水20重量%の混合溶液からなる脱脂洗浄剤を、底
部に空気の吹込管を有する500ml容の洗浄器に入
れ、60℃に加温した。この洗浄器に、SUS製テスト
ピース(表面積33cm2 )に熱処理油320mgを塗
布後、上記脱脂洗浄剤に浸漬し、空気吹込管より0.5
l/min・cm2 で空気を吹き込んだ。10分後、
テストピースを洗浄器から取り出し、空気を吹きつけた
後、水300ml中に1分浸漬した。その後、四塩化炭
素100ml中に洗浄後のテストピースを浸漬し、5分
間超音波をかけ、テストピース表面残存油分を抽出し、
赤外分光光度計にて分析し、残存油分量を求めた。その
結果、残存油分は21μg/cm2 であった。
【0063】実施例28 洗浄温度を40℃とした以外は実施例27と同様に洗浄
試験を行った。その結果、残存油分は21μg/cm2
であった。 実施例29 脱脂洗浄剤を4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペンタ
ノン70重量%と水30重量%の混合溶液とした以外は
実施例27と同様に洗浄試験を行った。その結果、残存
油分は30μg/cm2 であった。
【0064】実施例30 脱脂洗浄剤を4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペンタ
ノン60重量%と水40重量%の混合溶液とした以外は
実施例27と同様に洗浄試験を行った。その結果、残存
油分は35μg/cm2 であった。
【0065】比較例9 脱脂洗浄剤として1−メトキシ−エタノール80重量%
と水20重量%の混合溶液300mlを使用した以外は
実施例27と同様に洗浄試験を行った。その結果、残存
油分は46μg/cm2 であった。 実施例30、比較例10〜11 表3に示す各種樹脂を脱脂用洗浄剤溶液に浸漬し、樹脂
の溶解性について評価した。結果を表3に示す。
【0066】表3において、1,2BGは1,2−ブタ
ンジオール、PBOは1−プロポキシ−2−ブタノー
ル、MMBは3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノー
ル、及びNMPはN−メチル−2−ピロリドンの各々略
称である。表3では、各樹脂の浸漬前後の外観、形状に
ついて観察した評価結果を以下のように示した。 ○:浸漬前後で全く変化なし △:わずかに変化が認められる ×:変化大(溶解あるいは膨潤による外観などの変化が
顕著である)
【0067】表3の結果より、本発明の脱脂洗浄剤で
は、各種樹脂の溶解能が低く樹脂部分の形状を損ねるこ
とが少ないことがわかる。
【0068】
【表3】
【0069】実施例31 1,2−ブタンジオール80重量%と水20重量%の混
合溶液からなる脱脂洗浄剤を、底部に空気の吹込管を有
する500ml容の洗浄器に入れ、60℃に加温した。
この洗浄器に、SUS製テストピース(表面積33cm
2 )に熱処理油320mgを塗布後、上記脱脂洗浄剤に
浸漬し、空気吹込管より0.2 l/min・cm2
空気を吹き込んだ。3分後、テストピースを洗浄器から
取り出し、水300ml中に1分浸漬した。その後、四
塩化炭素100ml中に洗浄後のテストピースを浸漬
し、5分間超音波をかけ、テストピース表面残存油分を
抽出し、赤外分光光度計にて分析し、残存油分量を求め
た。その結果、残存油分は50μg/cm2 であった。
【0070】実施例32 脱脂洗浄剤として1,2−ブタンジオール75重量%、
水20重量%及び4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペ
ンタノン5重量%の混合溶液を用いた以外は実施例31
と同様に洗浄試験を行った。その結果、残存油分は25
μg/cm2 であった。
【0071】実施例33 脱脂洗浄剤として1,2−ブタンジオール80重量%と
水20重量%の和にメタケイ酸ナトリウム400重量p
pmを加えた混合溶液を用いる以外は実施例31と同様
に洗浄試験を行った。その結果、残存油分は34μg/
cm2 であった。
【0072】実施例34 脱脂洗浄剤として1,2−ブタンジオール79.9重量
%、水20重量%およびメタケイ酸ナトリウム0.1重
量%の混合溶液を用いた以外は実施例31と同様に洗浄
試験を行った。その結果、残存油分は21μg/cm2
であった。
【0073】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の脱脂洗浄剤
は油が付着した被洗浄物を効率的に洗浄して良好な洗浄
処理品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油付着物の洗浄装置の例を示す断面図である。
【図2】油付着物の洗浄装置の他の例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 油分洗浄部 2 ガスブロー部 3 水洗浄部 4 ガスブロー乾燥部 5,7 スプレーノズル 6,8 ガスノズル 10 被洗浄物 11 洗浄剤回収槽 12 ポンプ 13 配管 15,15A,15B 加温器 16 廃水回収槽 17 配管 20 移送装置 20A ベルトコンベア 20B リフト 21 洗浄剤貯槽 23 洗浄水貯槽 30 洗浄剤 31 配管 32 配管 33 配管 34 配管 35 配管 36 配管 37 配管 38 配管 40 洗浄水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−34593 (32)優先日 平6(1994)3月4日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−130335 (32)優先日 平6(1994)6月13日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 福本 幸美 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島開発研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A)次の(a)、(b)、(c)および
    (d)より選ばれたアルコール性化合物の一種または二
    種以上の混合物 40〜95重量%、 (a)炭素数が4〜10の水溶性ポリオール (b)炭素数が4〜10のポリオールの水酸基の水素原
    子の1つが炭素数1〜5のアルキル基に置換された水溶
    性のポリオールモノアルキルエーテル化合物 (c)炭素数が4〜10のポリオールの水酸基の水素原
    子1つが炭素数1〜5のアシル基で置換された水溶性の
    ポリオールモノアシルエーテル化合物 (d)4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペンタノンお
    よび B)水 60〜
    5重量%を含有する脱脂洗浄剤。
  2. 【請求項2】 (a)成分が、1,2−ブタンジオー
    ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
    ル、1,2,3−ブタントリオール、2−メチル−2,
    4−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオー
    ル、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,2−
    ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,
    2,3−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ヘキサ
    ンテトラオール、1,2−オクタンジオール、1,2,
    3−オクタントリオール、1,3−オクタンジオール、
    1,2−デカンジオールおよび1,2,3−デカントリ
    オールより選ばれたポリオールである請求項1記載の脱
    脂洗浄剤。
  3. 【請求項3】 (b)成分が、1−メトキシ−2−ブタ
    ノール、2−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ
    −2−ブタノール、2−エトキシ−1−ブタノール、1
    −ブトキシ−2−ブタノール、2−ブトキシ−1−ブタ
    ノール、1−プロポキシ−2−ブタノール、2−プロポ
    キシ−1−ブタノール、4−メチル−4−メトキシ−2
    −ぺンタノール、4−メチル−4−エトキシ−2−ペン
    タノール、4−メチル−4−プロポキシ−2−ペンタノ
    ールより選ばれたポリオールのモノアルキルエーテル化
    合物である請求項1記載の脱脂洗浄剤。
  4. 【請求項4】 (c)成分が、1−アセトキシ−2−ブ
    タノール、2−アセトキシ−1−ブタノール、4−アセ
    トキシ−1−ブタノールより選ばれたポリオールのモノ
    アシルエーテル化合物である請求項1記載の脱脂洗浄
    剤。
  5. 【請求項5】 脱脂洗浄剤がアルカリ性化合物を0.0
    1〜1重量%含有することを特徴とする請求項1記載の
    脱脂洗浄剤。
  6. 【請求項6】A)成分のアルコール性化合物が、(a)
    炭素数が4〜10の水溶性ポリオール35〜90重量%
    と、(b)、(c)および(d)より選ばれたアルコー
    ル性化合物5〜50重量%の混合物である請求項1記載
    の脱脂洗浄剤。
  7. 【請求項7】 表面に油分が付着した被洗浄物を、 A)次の(a)、(b)、(c)および(d)より選ば
    れたアルコール性化合物の一種または二種以上の混合物
    40〜95重量%、(a)炭素数が4
    〜10の水溶性ポリオール(b)炭素数が4〜10のポ
    リオールの水酸基の水素原子の1つが炭素数1〜5のア
    ルキル基に置換された水溶性のポリオールのモノアルキ
    ルエーテル化合物(c)炭素数が4〜10のポリオール
    の水酸基の水素原子の1つが炭素数1〜5のアシル基で
    置換された水溶性のポリオールのモノアシルエーテル化
    合物(d)4−メチル−4−ヒドロキシ−2−ペンタノ
    ンおよび B)水 60〜
    5重量%を含有する脱脂洗浄剤で洗浄して付着した油分
    を取り除くことを特徴とする洗浄方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100447429B1 (ko) * 1997-07-16 2004-11-03 주식회사 엘지생활건강 세정제 조성물
WO2023203797A1 (ja) * 2022-04-21 2023-10-26 株式会社Ihi 放電表面処理皮膜の除去方法

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KR100447429B1 (ko) * 1997-07-16 2004-11-03 주식회사 엘지생활건강 세정제 조성물
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