WO2021240665A1 - カーボン洗浄剤ならびに該カーボン洗浄剤を用いる洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
ここに開示される技術により、内燃機関にて生じた炭素含有排出物を短時間かつ容易に除去できるカーボン洗浄剤が提供される。ここに開示されるカーボン洗浄剤は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物の洗浄に用いられる。かかるカーボン洗浄剤は、pHが13以上のアルカリ水溶液と、アルキル基の炭素数が3個以上のジエチレングリコールモノアルキルエーテル(DGME)とを少なくとも含有する。そして、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、常温で静置した場合に、少なくとも1日、アルカリ水溶液とDGMEとが分散状態を維持するように界面活性剤が添加されている。かかるカーボン洗浄剤は、炭素含有排出物中のカーボン成分に付着した未燃焼油分をDGMEで溶解した上で、カーボン成分に効率良くアルカリ水溶液を接触させることができるため、炭素含有排出物を短時間かつ容易に除去できる。
Description
本発明は、カーボン洗浄剤に関する。詳しくは、内燃機関にて生じた炭素含有排出物の洗浄に用いられるカーボン洗浄剤ならびに該カーボン洗浄剤を用いた洗浄方法に関する。
自動車、航空機などの内燃機関(エンジン)を稼働させると、燃料油や潤滑油に由来する炭素含有排出物が生成される。この炭素含有排出物は、カーボン成分、未燃焼の油分、硫黄酸化物、炭化水素などを含んでいる。また、かかる炭素含有排出物は、粘性の強い液状の状態(スラッジ)で生成され、加熱が進むと固形堆積物(デポジット)になり、内燃機関の内部などに付着する。この炭素含有排出物が内燃機関内部に多量に堆積すると、内燃機関の燃焼効率が大きく低下するおそれがある。また、炭素含有排出物は、内燃機関の外部に放出され、排気系の配管や排ガス浄化触媒に堆積することもある。この場合には、排ガス浄化性能を低下させる可能性がある。このため、この種の炭素含有排出物を洗浄・除去する技術が従来から提案されている。
上述したような炭素含有排出物を洗浄するカーボン洗浄剤の一例として、塩化メチレン(ジクロロメタン)を主成分とする塩素系洗浄剤が挙げられる。しかし、かかる塩素系洗浄剤は、環境への負荷が大きいため、PRTR法(Pollutant Release and Transfer Register)によって、利用量と廃棄量の管理・公表が義務付けられている。このため、近年では、非塩素系のカーボン洗浄剤を内燃機関等の洗浄に使用することが検討されている。かかる非塩素系カーボン洗浄剤の一例として、分散剤と、キレート剤と、グリコール系溶媒と、ナフテンオイルとを含むエンジン洗浄用組成物が特許文献1に記載されている。
しかしながら、この種の非塩素系カーボン洗浄剤は、塩素系洗浄剤と比べて洗浄性能が低くなる傾向がある。このため、非塩素系カーボン洗浄剤を使用する場合には、長時間の浸漬や物理的な剥離処理などが必要となる。例えば、特許文献1に記載の洗浄剤では、1時間~10時間という非常に長い洗浄時間を確保することが求められている。また、このような長時間の浸漬が必要な洗浄剤では、洗浄剤に浸漬させることができない大型の部材(ジェットエンジンなど)を洗浄することが非常に難しい。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、内燃機関にて生じた炭素含有排出物を短時間かつ容易に除去できるカーボン洗浄剤ならびに該カーボン洗浄剤を用いた洗浄方法を提供することである。
本発明者は、上記目的を実現するために種々の検討を行った結果、次の知見を得るに至った。内燃機関にて生じた炭素含有排出物(スラッジやデポジットなど)は、燃料油中の硫黄に由来する硫黄酸化物(例えば、硫酸)を含んでいるため強い酸性を示す。このため、炭素含有排出物を適切に除去するには、アルカリ水溶液を使用し、硫黄酸化物を中和すると共に、カーボン成分を水に溶解させるという洗浄手段が考えられる。しかしながら、内燃機関にて生じた炭素含有排出物は、未燃焼の油分(燃料油や潤滑油など)を含んでおり、当該未燃焼油分でカーボン成分の表面が覆われているため、カーボン成分にアルカリ水溶液を接触させることが難しい。これに対して種々の実験を行った結果、本発明者は、アルキル基の炭素数が3個以上のジエチレングリコールモノアルキルエーテル(DGME:Diethylene Glycol Monoalkyl Ether)とアルカリ水溶液とを混合した洗浄剤が炭素含有排出物に対して良好な洗浄性能を発揮することを発見した。これは、未燃焼油分がDGMEに溶解し、カーボン成分にアルカリ水溶液を接触させることができるようになったためと推測される。
そして、本発明者は、より短時間かつ容易に炭素含有排出物を洗浄できる手段について検討した。その結果、アルカリ水溶液とDGMEとは、常温環境で均一に分散させることが難しく、DGMEの層とアルカリ水溶液の層に分離しやすい。このような場合、DGMEによって油分が除去されたカーボン成分にアルカリ水溶液を効率よく接触させることが難しい。このため、本発明者は、常温環境で静置した場合に、長時間(少なくとも1日以上)、アルカリ水溶液とDGMEとが分散状態を維持できるように界面活性剤を添加すれば、炭素含有排出物を短時間かつ容易に除去できる洗浄剤を得ることができると考えた。ここに開示されるカーボン洗浄剤は、かかる知見に基づいてなされたものである。
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物の洗浄に用いられる。かかるカーボン洗浄剤は、pHが13以上のアルカリ水溶液と、アルキル基の炭素数が3個以上のジエチレングリコールモノアルキルエーテルとを少なくとも含有している。そして、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、常温で静置した場合に、少なくとも1日、アルカリ水溶液とジエチレングリコールモノアルキルエーテルとが分散状態を維持するように界面活性剤が添加されている。
かかる構成のカーボン洗浄剤は、アルキル基の炭素数が3個以上のDGMEを含んでいるため、炭素含有排出物に含まれる未燃焼油分をカーボン成分の表面から除去できる。そして、アルカリ水溶液とDGMEとの良好な分散状態が維持されるように界面活性剤が添加されているため、炭素含有排出物中のカーボン成分にアルカリ水溶液を効率よく接触させることができる。そして、カーボン成分と接触するアルカリ水溶液は、pHが13以上の高アルカリ性であるため、硫黄酸化物を中和してカーボン成分を適切に溶解できる。かかる作用によって、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、従来の洗浄剤よりも短い時間で容易に炭素含有排出物を洗浄できる。
ここに開示されるカーボン洗浄剤の好ましい一態様では、アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニアからなる群から選択される少なくとも一種を含む水溶液である。これらのアルカリ水溶液は、pHを13以上に調節することが容易である。
ここに開示されるカーボン洗浄剤の好ましい一態様では、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとして、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種を含む。これらのDGMEは、カーボン成分の表面を覆う未燃焼油分をより適切に除去できる。
ここに開示されるカーボン洗浄剤の好ましい一態様では、カーボン洗浄剤の総体積を100体積%としたときのジエチレングリコールモノアルキルエーテルの体積比が1体積%~10体積%である。これによって、炭素含有排出物に対して高い洗浄性能を発揮することができる。
また、ここに開示されるカーボン洗浄剤の好ましい一態様では低級アルコールをさらに含む。これによって、カーボン成分を覆う未燃焼油分をさらに適切に除去できる。なお、かかる態様のカーボン洗浄剤は、低級アルコールとして、メタノール、エタノールからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
ここに開示されるカーボン洗浄剤の好ましい一態様では、アルカリ金属のケイ酸塩をさらに含む。本発明者が行った実験によると、アルカリ金属のケイ酸塩を添加することによって、炭素含有排出物の洗浄に要する時間をさらに短縮できる。なお、かかるアルカリ金属のケイ酸塩としては、オルトケイ酸ナトリウムが好ましい。
また、ここに開示される技術の他の側面として、内燃機関にて生じた炭素含有排出物を洗浄対象から除去する洗浄方法が提供される。かかる洗浄方法は、上述した何れかの態様におけるカーボン洗浄剤を含有する洗浄液を準備する洗浄液準備工程と、洗浄液を洗浄対象に供給することによって洗浄対象を洗浄する洗浄工程とを少なくとも含む。ここに開示される洗浄方法は、上述したカーボン洗浄剤を含む洗浄液を使用しているため、洗浄対象から炭素含有排出物を短時間かつ容易に除去することができる。
ここに開示される洗浄方法の好ましい一態様では、洗浄工程において、50℃~60℃に加温された洗浄液を洗浄対象に供給する。これによって、洗浄対象から炭素含有排出物をより好適に除去することができる。
ここに開示される洗浄方法の好ましい一態様では、洗浄工程において、洗浄対象を洗浄液に10分間~30分間浸漬する。ここに開示される洗浄方法によると、30分以下という従来と比べて非常に短い時間で炭素含有排出物を洗浄できる。
また、上記洗浄対象を洗浄液に浸漬させる態様では、洗浄対象を浸漬した洗浄液に超音波を加えることが好ましい。これによって、炭素含有排出物をより好適に洗浄できる。
また、上記洗浄対象を洗浄液に浸漬させる態様では、洗浄対象を浸漬した洗浄液に、洗浄対象の下方から微細な気泡を加えることが好ましい。これによって、洗浄対象から炭素含有排出物をより好適に除去することができる。
ここに開示される洗浄方法の好ましい一態様では、洗浄工程において、洗浄対象に洗浄液を噴霧する。洗浄液への浸漬が困難な大きな部材が洗浄対象である場合には、洗浄対象に洗浄液を噴霧してもよい。上述したカーボン洗浄剤は、非常に短時間で炭素含有排出物を溶解できるため、噴霧洗浄を採用した場合でも洗浄対象から炭素含有排出物を好適に除去できる。
また、ここに開示される洗浄方法は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物が付着し得る部品を特に制限なく洗浄対象にすることができる。かかる洗浄対象の一例として、内燃機関、排ガス浄化触媒、内燃機関の排気経路に配置された配管などが挙げられる。
以下、本発明の好適な一実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術知識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において数値範囲を「A~B」と示す場合、「A以上B以下」を意味するものとする。
1.カーボン洗浄剤
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物の洗浄に用いられる。このカーボン洗浄剤は、アルカリ水溶液と、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、界面活性剤とを少なくとも含有する。かかるカーボン洗浄剤によると、炭素含有排出物を短時間で容易に洗浄することができる。以下、ここに開示されるカーボン洗浄剤に含まれる各成分について具体的に説明する。
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物の洗浄に用いられる。このカーボン洗浄剤は、アルカリ水溶液と、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、界面活性剤とを少なくとも含有する。かかるカーボン洗浄剤によると、炭素含有排出物を短時間で容易に洗浄することができる。以下、ここに開示されるカーボン洗浄剤に含まれる各成分について具体的に説明する。
(1)アルカリ水溶液
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、pHが13以上のアルカリ水溶液を主成分とするアルカリ洗浄剤である。かかるアルカリ洗浄剤は、アルカリ金属水酸化物、水溶性アルカリ金属塩などの無機系のアルカリビルダーを含む。このアルカリ水溶液は、炭素含有排出物中のカーボン成分に接触することによって、硫黄酸化物(硫酸等)を中和してカーボン成分を溶解する。なお、アルカリ水溶液に添加されるアルカリビルダーは、特に限定されず、従来公知の成分を特に制限なく使用できる。一例として、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、アンモニア(NH3)などを水に溶解させることによって、pHが13以上のアルカリ水溶液を容易に調製できる。また、アルカリ水溶液は、上述した成分を二種類以上含んでいてもよい。一例として、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを含むアルカリ水溶液が挙げられる。また、アルカリ水溶液は、ここに開示されるカーボン洗浄剤の主成分である。例えば、アルカリ水溶液の含有量は、80体積%以上が好ましく、85体積%以上がより好ましく、90体積%以上が特に好ましい。また、カーボン成分に対する溶解性を更に向上させるという観点から、アルカリ水溶液のpHは、13.2以上が好ましく、13.5以上が特に好ましい。一方、アルカリ水溶液のpHの上限は、特に限定されず、14以下であってもよい。
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、pHが13以上のアルカリ水溶液を主成分とするアルカリ洗浄剤である。かかるアルカリ洗浄剤は、アルカリ金属水酸化物、水溶性アルカリ金属塩などの無機系のアルカリビルダーを含む。このアルカリ水溶液は、炭素含有排出物中のカーボン成分に接触することによって、硫黄酸化物(硫酸等)を中和してカーボン成分を溶解する。なお、アルカリ水溶液に添加されるアルカリビルダーは、特に限定されず、従来公知の成分を特に制限なく使用できる。一例として、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、アンモニア(NH3)などを水に溶解させることによって、pHが13以上のアルカリ水溶液を容易に調製できる。また、アルカリ水溶液は、上述した成分を二種類以上含んでいてもよい。一例として、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを含むアルカリ水溶液が挙げられる。また、アルカリ水溶液は、ここに開示されるカーボン洗浄剤の主成分である。例えば、アルカリ水溶液の含有量は、80体積%以上が好ましく、85体積%以上がより好ましく、90体積%以上が特に好ましい。また、カーボン成分に対する溶解性を更に向上させるという観点から、アルカリ水溶液のpHは、13.2以上が好ましく、13.5以上が特に好ましい。一方、アルカリ水溶液のpHの上限は、特に限定されず、14以下であってもよい。
(2)ジエチレングリコールモノアルキルエーテル
ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(DGME)は、ジエチレングリコールのヒドロキシ基(-OH)の1つがアルキル基(-CnH2n+1)に置換された化合物である。すなわち、DGMEは、疎水基であるアルキル基と、親水基であるヒドロキシ基を有している。これによって、カーボン成分を覆う未燃焼油分を溶解し、アルカリ水溶液とカーボン成分とを接触させることができる。なお、DGMEのアルキル基の炭素数が多くなるにつれて未燃焼油分に対する溶解性能が向上する傾向がある。ここに開示されるカーボン洗浄剤では、洗浄時間を従来の洗浄剤から大幅に短縮するという観点から、DGMEのアルキル基の炭素数が3個以上に限定されている。すなわち、ここに開示されるカーボン洗浄剤では、DGMEとして、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテルなどが用いられる。また、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、上述した炭素数が3個以上のDGMEを2種以上含有していてもよい。また、未燃焼油分に対する溶解性をより向上させるという観点から、DGMEのアルキル基の炭素数は4個以上が好ましい。一方で、アルキル基の炭素数が多くなりすぎると、DGMEとアルカリ水溶液の分散状態を維持することが難しくなり得る。このため、油分に対する溶解性とアルカリ水溶液との分散性とを両立させ、高い洗浄性能を発揮させるという観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましく用いられ得る。
ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(DGME)は、ジエチレングリコールのヒドロキシ基(-OH)の1つがアルキル基(-CnH2n+1)に置換された化合物である。すなわち、DGMEは、疎水基であるアルキル基と、親水基であるヒドロキシ基を有している。これによって、カーボン成分を覆う未燃焼油分を溶解し、アルカリ水溶液とカーボン成分とを接触させることができる。なお、DGMEのアルキル基の炭素数が多くなるにつれて未燃焼油分に対する溶解性能が向上する傾向がある。ここに開示されるカーボン洗浄剤では、洗浄時間を従来の洗浄剤から大幅に短縮するという観点から、DGMEのアルキル基の炭素数が3個以上に限定されている。すなわち、ここに開示されるカーボン洗浄剤では、DGMEとして、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテルなどが用いられる。また、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、上述した炭素数が3個以上のDGMEを2種以上含有していてもよい。また、未燃焼油分に対する溶解性をより向上させるという観点から、DGMEのアルキル基の炭素数は4個以上が好ましい。一方で、アルキル基の炭素数が多くなりすぎると、DGMEとアルカリ水溶液の分散状態を維持することが難しくなり得る。このため、油分に対する溶解性とアルカリ水溶液との分散性とを両立させ、高い洗浄性能を発揮させるという観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましく用いられ得る。
なお、上述の説明は、アルキル基の炭素数が3個未満のDGMEを、ここに開示されるカーボン洗浄剤の含有成分から排除することを目的としたものではない。例えば、アルキル基の炭素数が3個以上のDGMEを添加した場合でも、不可避的不純物としてアルキル基の炭素数が3個未満のDGMEが混入することもあり得る。従って、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、炭素数が3個以上のDGMEを含有していることを前提に、アルキル基の炭素数が3個未満のDGME(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなど)を含んでいてもよい。
また、未燃焼油分とDGMEとの接触効率を向上させるという観点から、DGMEの含有量は、1体積%以上が好ましく、1.5体積%以上がより好ましく、2体積%以上が特に好ましい。これによって、カーボン成分の表面を覆う未燃焼油分をより適切に除去できる。一方、DGMEの含有量が多くなりすぎると、アルカリ水溶液とDGMEとを均一に分散させることが難しくなるため、炭素含有排出物に対する最終的な洗浄性能が却って低下する可能性がある。かかる観点から、DGMEの含有量の上限は、15体積%以下が好ましく、10体積%以下がより好ましく、7.5体積%以下が特に好ましい。なお、本明細書における「DGMEの含有量」は、カーボン洗浄剤の総体積を100体積%としたときの体積比である。
(3)界面活性剤
上述の通り、ここに開示されるカーボン洗浄剤では、DGMEが未燃焼油分を溶解するため、カーボン成分にアルカリ水溶液を接触させることができる。しかしながら、洗浄剤中でDGMEとアルカリ水溶液とが分離していると、未燃焼油分が除去された後のカーボン成分に対するアルカリ水溶液の接触効率が悪く、洗浄時間を十分に短縮することができない。このため、ここに開示されるカーボン洗浄剤では、DGMEとアルカリ水溶液との良好な分散状態が維持されるように界面活性剤が添加されている。ここで、本明細書において「良好な分散状態が維持される」とは、常温で静置した場合に、少なくとも1日、アルカリ水溶液とDGMEとが分散した状態を維持されていることをいう。より具体的には、本明細書における「分散状態」とは、DGMEからなる層と、アルカリ水溶液からなる層とが分離していない状態をいう。
上述の通り、ここに開示されるカーボン洗浄剤では、DGMEが未燃焼油分を溶解するため、カーボン成分にアルカリ水溶液を接触させることができる。しかしながら、洗浄剤中でDGMEとアルカリ水溶液とが分離していると、未燃焼油分が除去された後のカーボン成分に対するアルカリ水溶液の接触効率が悪く、洗浄時間を十分に短縮することができない。このため、ここに開示されるカーボン洗浄剤では、DGMEとアルカリ水溶液との良好な分散状態が維持されるように界面活性剤が添加されている。ここで、本明細書において「良好な分散状態が維持される」とは、常温で静置した場合に、少なくとも1日、アルカリ水溶液とDGMEとが分散した状態を維持されていることをいう。より具体的には、本明細書における「分散状態」とは、DGMEからなる層と、アルカリ水溶液からなる層とが分離していない状態をいう。
また、ここに開示されるカーボン洗浄剤に使用される界面活性剤は、特に限定されず、一般的な洗浄剤に添加され得る界面活性剤を特に制限なく使用できる。界面活性剤の好適例として、アニオン性界面活性剤(陰イオン性界面活性剤)、ノニオン性界面活性剤(非イオン性界面活性剤)が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。また、アニオン性界面活性剤の他の例として、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸、アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの塩等が挙げられる。なお、上述の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
なお、界面活性剤の具体的な添加量は、アルカリ水溶液やDGME等の各成分の添加量、DGMEのアルキル基の炭素数、界面活性剤の種類などの様々な要因によって変化するものであり、ここに開示される技術を限定するものではない。例えば、界面活性剤の添加量は、DGMEの添加量の1/2倍以上2倍以下(より好適には1倍(等量))であると好ましい。これによって、アルカリ水溶液とDGMEとが良好に分散した状態を1日以上維持できるカーボン洗浄剤を容易に実現できる。また、より具体的な一例として、カーボン洗浄剤の総体積(100体積%)に対するDGME(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)の添加量が1.9体積であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸Naとを含む混合界面活性剤を使用した場合には、当該界面活性剤の添加量を0.95体積%~3.8体積%(好適には1.9体積%)にし、残部をアルカリ水溶液とすることが好ましい。これによって、アルカリ水溶液とDGMEとが良好に分散した状態を1日以上維持できるカーボン洗浄剤を確実に実現できる。但し、これは、良好な分散状態を長期間維持できる配合の一例であり、当業者は、界面活性剤の添加量以外の条件を設定した上で、当該界面活性剤の種類や添加量を変化させながら洗浄剤の調製を行い、調製から1日後にアルカリ水溶液とDGMEとが分離しているか否かを確認することによって、良好な分散状態を長期間維持できる界面活性剤の種類や添加量を容易に調べることができる。
(4)他の添加剤
また、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、上述した(1)~(3)の成分以外の成分(他の添加剤)を含んでいてもよい。かかる他の添加剤の一例として、低級アルコール、アルカリ金属のケイ酸塩などが挙げられる。
また、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、上述した(1)~(3)の成分以外の成分(他の添加剤)を含んでいてもよい。かかる他の添加剤の一例として、低級アルコール、アルカリ金属のケイ酸塩などが挙げられる。
(a)低級アルコール
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、低級アルコールをさらに含有することが好ましい。これによって、カーボン成分を覆う未燃焼油分をさらに適切に除去できるため、炭素含有排出物に対する洗浄性能が更に向上し得る。なお、本明細書における「低級アルコール」とは、炭素原子数が1~5であり、直鎖または分岐鎖を有し、かつ、飽和または不飽和であるアルコールである。このような低級アルコールの具体例として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール等の一価のアルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の多価アルコールなどが挙げられる。これらの低級アルコールのなかでも一価のアルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。なお、未燃焼油分をさらに好適に除去するという観点から、カーボン洗浄剤の総体積を100体積%としたときの低級アルコールの含有量は、0.1体積%以上が好ましく、0.5体積%以上がより好ましく、1体積%以上が特に好ましい。一方、低級アルコールの添加量を多くしすぎると、可燃性の付与や溶解力の低下などの弊害が生じる可能性がある。かかる観点から、低級アルコールの添加量は、10体積%以下が好ましく、7.5体積%以下がより好ましく、5体積%以下がさらに好ましく、3体積%以下が特に好ましい。
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、低級アルコールをさらに含有することが好ましい。これによって、カーボン成分を覆う未燃焼油分をさらに適切に除去できるため、炭素含有排出物に対する洗浄性能が更に向上し得る。なお、本明細書における「低級アルコール」とは、炭素原子数が1~5であり、直鎖または分岐鎖を有し、かつ、飽和または不飽和であるアルコールである。このような低級アルコールの具体例として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール等の一価のアルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の多価アルコールなどが挙げられる。これらの低級アルコールのなかでも一価のアルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。なお、未燃焼油分をさらに好適に除去するという観点から、カーボン洗浄剤の総体積を100体積%としたときの低級アルコールの含有量は、0.1体積%以上が好ましく、0.5体積%以上がより好ましく、1体積%以上が特に好ましい。一方、低級アルコールの添加量を多くしすぎると、可燃性の付与や溶解力の低下などの弊害が生じる可能性がある。かかる観点から、低級アルコールの添加量は、10体積%以下が好ましく、7.5体積%以下がより好ましく、5体積%以下がさらに好ましく、3体積%以下が特に好ましい。
(b)アルカリ金属ケイ酸塩
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、アルカリ金属のケイ酸塩をさらに含有していてもよい。これによって、炭素含有排出物の洗浄時間を更に短縮できることが実験によって確認されている。かかるアルカリ金属ケイ酸塩は、オルトケイ酸塩(A4SiO4)、メタケイ酸塩(A2SiO3)、メタ二ケイ酸塩(A2Si2O5)などを包含する(各式中におけるAはアルカリ金属を指す)。これらのなかでも、オルトケイ酸塩は、洗浄時間の短縮により貢献し得る。また、アルカリ金属の好適例として、ナトリウム(Na)、カリウム(K)が挙げられる。かかるアルカリ金属ケイ酸塩の特に好適な一例として、オルトケイ酸ナトリウムが挙げられる。また、アルカリ金属ケイ酸塩の添加量は、カーボン洗浄剤100mlに対して0.5g以上が好ましく、1g以上がより好ましく、1.5g以上がさらに好ましく、2g以上が特に好ましい。これによって、炭素含有排出物の洗浄時間をより好適に短縮できる。一方、アルカリ金属ケイ酸塩の添加量を多くしすぎると、アルカリ金属ケイ酸塩が再結晶化し、温度を挙げても洗浄剤に溶解しないという弊害が生じる可能性がある。かかる観点から、アルカリ金属ケイ酸塩の添加量は、カーボン洗浄剤100mlに対して15g以下が好ましく、12.5g以下がより好ましく、10g以下がさらに好ましく、8.5g以下が特に好ましい。
ここに開示されるカーボン洗浄剤は、アルカリ金属のケイ酸塩をさらに含有していてもよい。これによって、炭素含有排出物の洗浄時間を更に短縮できることが実験によって確認されている。かかるアルカリ金属ケイ酸塩は、オルトケイ酸塩(A4SiO4)、メタケイ酸塩(A2SiO3)、メタ二ケイ酸塩(A2Si2O5)などを包含する(各式中におけるAはアルカリ金属を指す)。これらのなかでも、オルトケイ酸塩は、洗浄時間の短縮により貢献し得る。また、アルカリ金属の好適例として、ナトリウム(Na)、カリウム(K)が挙げられる。かかるアルカリ金属ケイ酸塩の特に好適な一例として、オルトケイ酸ナトリウムが挙げられる。また、アルカリ金属ケイ酸塩の添加量は、カーボン洗浄剤100mlに対して0.5g以上が好ましく、1g以上がより好ましく、1.5g以上がさらに好ましく、2g以上が特に好ましい。これによって、炭素含有排出物の洗浄時間をより好適に短縮できる。一方、アルカリ金属ケイ酸塩の添加量を多くしすぎると、アルカリ金属ケイ酸塩が再結晶化し、温度を挙げても洗浄剤に溶解しないという弊害が生じる可能性がある。かかる観点から、アルカリ金属ケイ酸塩の添加量は、カーボン洗浄剤100mlに対して15g以下が好ましく、12.5g以下がより好ましく、10g以下がさらに好ましく、8.5g以下が特に好ましい。
(c)他の成分
また、他の添加剤は、上述した低級アルコールやアルカリ金属ケイ酸塩に限定されず、これら以外の成分を添加剤として添加してもよい。具体的には、ここに開示される技術の効果を阻害しない限りにおいて、従来公知の洗浄剤に添加し得る添加剤を特に制限なく使用できる。かかる添加材の一例として、酒石酸、アミン、乳酸エステル、有機溶剤(N-メチルピロリドン、イソプロピルアルコール等)などが挙げられる。
また、他の添加剤は、上述した低級アルコールやアルカリ金属ケイ酸塩に限定されず、これら以外の成分を添加剤として添加してもよい。具体的には、ここに開示される技術の効果を阻害しない限りにおいて、従来公知の洗浄剤に添加し得る添加剤を特に制限なく使用できる。かかる添加材の一例として、酒石酸、アミン、乳酸エステル、有機溶剤(N-メチルピロリドン、イソプロピルアルコール等)などが挙げられる。
2.洗浄方法
次に、ここに開示されるカーボン洗浄剤を用いた洗浄方法について説明する。かかる洗浄方法は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物を洗浄対象から除去する方法であって、洗浄液準備工程と、洗浄工程とを少なくとも含む。
次に、ここに開示されるカーボン洗浄剤を用いた洗浄方法について説明する。かかる洗浄方法は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物を洗浄対象から除去する方法であって、洗浄液準備工程と、洗浄工程とを少なくとも含む。
(1)洗浄対象
まず、ここに開示される洗浄方法の洗浄対象について説明する。ここに開示される洗浄方法は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物が堆積し得る部品を洗浄対象とすることができる。かかる洗浄対象の一例として、内燃機関、排ガス浄化触媒、内燃機関の排気経路に配置された配管などが挙げられる。また、本明細書における「内燃機関」は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの自動車用エンジンに限定されず、航空機用のジェットエンジンなども包含する。航空機用のジェットエンジンに使用されるジェット燃料は、原油を精製して得られる成分を主体として構成されており、軽油やガソリンに近い性質を有している。すなわち、ジェットエンジンにて生じた炭素含有排出物も、カーボン成分と、硫黄酸化物と、未燃焼油分とを含み、カーボン成分が未燃焼油分に覆われている。このため、ここに開示される洗浄方法は、航空機用のジェットエンジンにて生じた炭素含有排出物も短時間で容易に洗浄できる。なお、洗浄対象に付着(堆積)している炭素含有排出物の状態は、特に限定されず、スラッジであってもよいし、デポジットであってもよい。ここに開示される洗浄方法によると、いずれの状態であっても短時間で容易に除去できる。
まず、ここに開示される洗浄方法の洗浄対象について説明する。ここに開示される洗浄方法は、内燃機関にて生じた炭素含有排出物が堆積し得る部品を洗浄対象とすることができる。かかる洗浄対象の一例として、内燃機関、排ガス浄化触媒、内燃機関の排気経路に配置された配管などが挙げられる。また、本明細書における「内燃機関」は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの自動車用エンジンに限定されず、航空機用のジェットエンジンなども包含する。航空機用のジェットエンジンに使用されるジェット燃料は、原油を精製して得られる成分を主体として構成されており、軽油やガソリンに近い性質を有している。すなわち、ジェットエンジンにて生じた炭素含有排出物も、カーボン成分と、硫黄酸化物と、未燃焼油分とを含み、カーボン成分が未燃焼油分に覆われている。このため、ここに開示される洗浄方法は、航空機用のジェットエンジンにて生じた炭素含有排出物も短時間で容易に洗浄できる。なお、洗浄対象に付着(堆積)している炭素含有排出物の状態は、特に限定されず、スラッジであってもよいし、デポジットであってもよい。ここに開示される洗浄方法によると、いずれの状態であっても短時間で容易に除去できる。
(2)洗浄液準備工程
次に、ここに開示される洗浄方法を構成する各工程について説明する。ここに開示される洗浄方法では、まず、カーボン洗浄剤を含む洗浄液を準備する。かかる洗浄液には、上述したカーボン洗浄剤を所定の媒体(水や低級アルコールなど)で希釈したものを使用してもよいし、カーボン洗浄剤をそのまま使用してもよい。カーボン洗浄剤を希釈する場合には、洗浄対象の素材や汚れの程度に応じて希釈倍率を適宜調節することが好ましい。希釈倍率は、例えば、体積基準で1.5倍~100倍程度であってもよく、5倍~30倍程度であってもよい。また、本発明の効果が著しく妨げられない限りにおいて、上述したカーボン洗浄剤と他の洗浄剤とを混合した洗浄液を用いても良い。洗浄対象の材料や汚れの種類によっては、このような混合洗浄液を使用した方が好ましい場合もあり得る。
次に、ここに開示される洗浄方法を構成する各工程について説明する。ここに開示される洗浄方法では、まず、カーボン洗浄剤を含む洗浄液を準備する。かかる洗浄液には、上述したカーボン洗浄剤を所定の媒体(水や低級アルコールなど)で希釈したものを使用してもよいし、カーボン洗浄剤をそのまま使用してもよい。カーボン洗浄剤を希釈する場合には、洗浄対象の素材や汚れの程度に応じて希釈倍率を適宜調節することが好ましい。希釈倍率は、例えば、体積基準で1.5倍~100倍程度であってもよく、5倍~30倍程度であってもよい。また、本発明の効果が著しく妨げられない限りにおいて、上述したカーボン洗浄剤と他の洗浄剤とを混合した洗浄液を用いても良い。洗浄対象の材料や汚れの種類によっては、このような混合洗浄液を使用した方が好ましい場合もあり得る。
(3)洗浄工程
次に、ここに開示される洗浄方法では、ここに開示されるカーボン洗浄剤を含む洗浄液を洗浄対象に供給する。上述したように、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、アルキル基の炭素数が3個以上のDGMEを含んでいるため、炭素含有排出物に含まれる未燃焼油分をカーボン成分の表面から除去できる。そして、アルカリ水溶液とDGMEとの良好な分散状態が維持されるように界面活性剤が添加されているため、炭素含有排出物中のカーボン成分にアルカリ水溶液を効率よく接触させることができる。そして、カーボン成分と接触するアルカリ水溶液は、pHが13以上の高アルカリ性であるため、硫黄酸化物を中和してカーボン成分を適切に溶解できる。ここに開示される洗浄方法では、上述の作用によって、従来よりも短い時間で容易に炭素含有排出物を洗浄できる。
次に、ここに開示される洗浄方法では、ここに開示されるカーボン洗浄剤を含む洗浄液を洗浄対象に供給する。上述したように、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、アルキル基の炭素数が3個以上のDGMEを含んでいるため、炭素含有排出物に含まれる未燃焼油分をカーボン成分の表面から除去できる。そして、アルカリ水溶液とDGMEとの良好な分散状態が維持されるように界面活性剤が添加されているため、炭素含有排出物中のカーボン成分にアルカリ水溶液を効率よく接触させることができる。そして、カーボン成分と接触するアルカリ水溶液は、pHが13以上の高アルカリ性であるため、硫黄酸化物を中和してカーボン成分を適切に溶解できる。ここに開示される洗浄方法では、上述の作用によって、従来よりも短い時間で容易に炭素含有排出物を洗浄できる。
なお、洗浄液を洗浄対象に供給する手段は、特に限定されず、洗浄対象の形状やサイズに応じた適切な手段を採用できる。例えば、内燃機関を分解して、その構成部材の一部(シリンダ等)のみを洗浄する場合には、洗浄対象を洗浄液に浸漬することが好ましい。このとき、ここに開示される技術によると、30分以下(典型的には20分以下)という従来と比べて非常に短い浸漬時間で、洗浄対象から炭素含有排出物を十分に除去できる。なお、洗浄対象を確実に洗浄するという観点から、本工程における浸漬時間は、10分以上に設定することが好ましい。また、洗浄対象を洗浄液に浸漬させる場合には、洗浄液に超音波を加える超音波洗浄や、洗浄対象の下方から洗浄液に微細な気泡を加えるマイクロバブル洗浄などを実施することが好ましい。これによって、炭素含有排出物をさらに好適に除去することができる。
また、洗浄液を供給する手段の他の例として、洗浄対象に洗浄液を噴霧するという噴霧洗浄が挙げられる。かかる噴霧洗浄は、洗浄液への浸漬が困難な大型の部品(ジェットエンジン等)が洗浄対象である場合に特に好適に採用できる。上述したように、ここに開示されるカーボン洗浄剤は、短時間で容易に炭素含有排出物を除去できるため、従来の洗浄剤と異なり、噴霧洗浄を採用した場合でも洗浄対象を十分に洗浄できる。なお、噴霧洗浄を実施する場合には、洗浄液を高圧で吹き付ける高圧洗浄を実施するとより好ましい。また、本工程では、浸漬洗浄や噴霧洗浄以外の洗浄手段を採用することもできる。例えば、洗浄対象が配管である場合には、当該配管内に洗浄液を流通させるフラッシングなどを採用できる。また、浸漬洗浄、噴霧洗浄、フラッシングなどを組み合わせて実施してもよい。
なお、本工程では、洗浄対象に供給する洗浄液を加温すると好ましい。これによって、未燃焼油分がDGMEに溶解されやすくなり、炭素含有排出物に対する洗浄性能が更に向上する。具体的には、洗浄液の温度は、40℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、55℃以上が特に好ましい。一方、洗浄液の温度を高くしすぎると、アルカリ水溶液とDGMEとが分離しやすくなり、却って洗浄性能が低下する可能性がある。かかる観点から、洗浄液の温度は、75℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下がさらに好ましく、60℃以下が特に好ましい。
(4)リンス工程
また、ここに開示される洗浄方法では、洗浄工程の後にリンス工程を実施してもよい。かかるリンス工程は、水(例えば、脱イオン水、純水、超純水、蒸留水等)を洗浄対象に供給する。これによって、洗浄工程において、洗浄対象から剥離した炭素含有排出物を好適に除去できると共に、炭素含有排出物が溶解した洗浄剤が洗浄対象に残留することを防止できる。なお、洗浄工程と同様に、リンス工程において水を供給する手段は特に限定されず、洗浄対象の形状に応じて、浸漬洗浄、噴霧洗浄、フラッシング等を適宜採用できる。また、これらの洗浄手段を組み合わせて複数回実施してもよい。なお、リンス工程で供給される水は、25℃~40℃程度の温水であると好ましい。
また、ここに開示される洗浄方法では、洗浄工程の後にリンス工程を実施してもよい。かかるリンス工程は、水(例えば、脱イオン水、純水、超純水、蒸留水等)を洗浄対象に供給する。これによって、洗浄工程において、洗浄対象から剥離した炭素含有排出物を好適に除去できると共に、炭素含有排出物が溶解した洗浄剤が洗浄対象に残留することを防止できる。なお、洗浄工程と同様に、リンス工程において水を供給する手段は特に限定されず、洗浄対象の形状に応じて、浸漬洗浄、噴霧洗浄、フラッシング等を適宜採用できる。また、これらの洗浄手段を組み合わせて複数回実施してもよい。なお、リンス工程で供給される水は、25℃~40℃程度の温水であると好ましい。
以上、ここに開示されるカーボン洗浄剤および当該カーボン洗浄剤を使用した洗浄方法の一例について説明した。しかし、上述の説明は、例示にすぎず、請求の範囲に記載の技術を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、上述したカーボン洗浄剤を様々に変更したものが含まれる。
[試験例]
次に、本発明に関する試験例を説明する。なお、以下の試験例は、本発明を限定することを意図したものではない。
次に、本発明に関する試験例を説明する。なお、以下の試験例は、本発明を限定することを意図したものではない。
A.第1の試験
本試験では、成分が異なる17種類の洗浄剤(サンプル1~17)を準備し、各々の洗浄剤の炭素含有排出物に対する洗浄性能を調べた。
本試験では、成分が異なる17種類の洗浄剤(サンプル1~17)を準備し、各々の洗浄剤の炭素含有排出物に対する洗浄性能を調べた。
1.洗浄剤の準備
(1)サンプル1
サンプル1では、pH=12.5の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を洗浄剤として準備した。
(1)サンプル1
サンプル1では、pH=12.5の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を洗浄剤として準備した。
(2)サンプル2~5
サンプル2~5では、pH=12.5~13.5の水酸化ナトリウム水溶液と、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(DGME)とを混合したものを洗浄剤として準備した。サンプル2~5の各々におけるDGMEの種類と含有量(体積%)を表1、2に示す。なお、表中の「DGMmE」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを示し、「DGMeE」は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを示す。また、「DGMpE」は、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルを示し、「DGMbE」は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
サンプル2~5では、pH=12.5~13.5の水酸化ナトリウム水溶液と、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(DGME)とを混合したものを洗浄剤として準備した。サンプル2~5の各々におけるDGMEの種類と含有量(体積%)を表1、2に示す。なお、表中の「DGMmE」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを示し、「DGMeE」は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを示す。また、「DGMpE」は、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルを示し、「DGMbE」は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(3)サンプル6~10
サンプル6~10では、水酸化ナトリウム水溶液とDGMbEとを含む洗浄剤に、界面活性剤を更に添加し、マグネットスターラーで分散させた。また、サンプル6~10では、水酸化ナトリウム水溶液のpHをサンプル毎に異ならせている。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。
サンプル6~10では、水酸化ナトリウム水溶液とDGMbEとを含む洗浄剤に、界面活性剤を更に添加し、マグネットスターラーで分散させた。また、サンプル6~10では、水酸化ナトリウム水溶液のpHをサンプル毎に異ならせている。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。
(4)サンプル11
サンプル11では、水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液とを混合した溶液をアルカリ水溶液として使用した。そして、かかるアルカリ水溶液と、DGMbEと、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸Naとの混合界面活性剤)とを混合し、マグネットスターラーで分散させたものを洗浄剤として準備した。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。
サンプル11では、水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液とを混合した溶液をアルカリ水溶液として使用した。そして、かかるアルカリ水溶液と、DGMbEと、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸Naとの混合界面活性剤)とを混合し、マグネットスターラーで分散させたものを洗浄剤として準備した。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。
(5)サンプル12、13
サンプル12、13では、水酸化ナトリウム水溶液と、水酸化カリウム水溶液と、DGMbEと、界面活性剤とを含む洗浄剤に、ケイ酸塩を更に添加し、マグネットスターラーで混合・分散した。なお、サンプル12では、ケイ酸塩としてメタケイ酸ナトリウムを使用し、サンプル13では、ケイ酸塩としてオルトケイ酸ナトリウムを使用した。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。また、表中のケイ酸塩の添加量は、洗浄剤の体積100mlに対する添加量(g)である。
サンプル12、13では、水酸化ナトリウム水溶液と、水酸化カリウム水溶液と、DGMbEと、界面活性剤とを含む洗浄剤に、ケイ酸塩を更に添加し、マグネットスターラーで混合・分散した。なお、サンプル12では、ケイ酸塩としてメタケイ酸ナトリウムを使用し、サンプル13では、ケイ酸塩としてオルトケイ酸ナトリウムを使用した。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。また、表中のケイ酸塩の添加量は、洗浄剤の体積100mlに対する添加量(g)である。
(6)サンプル14~17
サンプル14~17では、水酸化ナトリウム水溶液と、水酸化カリウム水溶液と、DGMbEと、界面活性剤と、オルトケイ酸ナトリウムとを含む洗浄剤に、低級アルコールを更に添加し、マグネットスターラーで混合・分散した。なお、サンプル14~17では、低級アルコールとしてエタノールを使用した。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。
サンプル14~17では、水酸化ナトリウム水溶液と、水酸化カリウム水溶液と、DGMbEと、界面活性剤と、オルトケイ酸ナトリウムとを含む洗浄剤に、低級アルコールを更に添加し、マグネットスターラーで混合・分散した。なお、サンプル14~17では、低級アルコールとしてエタノールを使用した。各成分の含有量とpHを表1、2に示す。
2.評価試験
(1)分散性評価
各サンプルの洗浄剤について、DGMEとアルカリ水溶液との良好な分散状態が維持されているか否かを評価した。具体的には、調製後の洗浄剤を常温環境(20℃)で一日静置した後にDGMEとアルカリ水溶液との分散状態を目視で観察した。そして、アルカリ水溶液とDGMEとが均一に分散し、アルカリ水溶液の層やDGMEの層が形成されていない場合を「○」と評価した。一方、アルカリ水溶液とDGMEとが分離していた場合を「×」を評価した。評価結果を表1、2に示す。
(1)分散性評価
各サンプルの洗浄剤について、DGMEとアルカリ水溶液との良好な分散状態が維持されているか否かを評価した。具体的には、調製後の洗浄剤を常温環境(20℃)で一日静置した後にDGMEとアルカリ水溶液との分散状態を目視で観察した。そして、アルカリ水溶液とDGMEとが均一に分散し、アルカリ水溶液の層やDGMEの層が形成されていない場合を「○」と評価した。一方、アルカリ水溶液とDGMEとが分離していた場合を「×」を評価した。評価結果を表1、2に示す。
(2)洗浄性能評価
本評価では、各サンプルの洗浄剤の洗浄性能を評価した。具体的には、試験用のガソリンエンジンを分解し、固形の炭素含有排出物(デポジット)を採集した。次に、準備した洗浄剤を50ml分秤量し、マグネットスターラーで撹拌しながら60℃まで加熱し、1gのデポジットを投入した。そして、洗浄剤の温度を維持したまま30分間保持し、デポジットの溶解状態を観察した。そして、デポジットが全く溶解していなかった場合を「×」と評価した。また、デポジットの溶解が確認されたが、30分を経過した後でも一部のデポジットが残留していた場合を「△」と評価した。そして、30分が経過した時点でデポジットの概ね全てが溶解していた場合を「○」と評価した。また、15分経過する前に全てのデポジットが溶解した場合を「◎」と評価した。各サンプルにおけるデポジットの溶解時間と洗浄性能の評価結果を表1に示す。
本評価では、各サンプルの洗浄剤の洗浄性能を評価した。具体的には、試験用のガソリンエンジンを分解し、固形の炭素含有排出物(デポジット)を採集した。次に、準備した洗浄剤を50ml分秤量し、マグネットスターラーで撹拌しながら60℃まで加熱し、1gのデポジットを投入した。そして、洗浄剤の温度を維持したまま30分間保持し、デポジットの溶解状態を観察した。そして、デポジットが全く溶解していなかった場合を「×」と評価した。また、デポジットの溶解が確認されたが、30分を経過した後でも一部のデポジットが残留していた場合を「△」と評価した。そして、30分が経過した時点でデポジットの概ね全てが溶解していた場合を「○」と評価した。また、15分経過する前に全てのデポジットが溶解した場合を「◎」と評価した。各サンプルにおけるデポジットの溶解時間と洗浄性能の評価結果を表1に示す。
まず、表1中のサンプル1~サンプル5の洗浄性能を比較すると、サンプル1~3の洗浄剤と比べて、サンプル4、5の洗浄剤の方が好適な洗浄性能を発揮していた。このことから、アルキル基の炭素数が3個以上のDGME(DGMpE、DGMbE)とアルカリ水溶液とを混合することによって、カーボンデポジットを溶解可能なアルカリ洗浄剤が得られることが分かった。これは、アルキル基の炭素数が3個以上のDGMEによってカーボン成分を覆う油分が溶解され、カーボン成分とアルカリ水溶液とを好適に接触させることができるようになったためと推測される。
しかし、サンプル4、5の洗浄剤は、カーボンデポジットを十分に溶解するために、30分という長い時間を要した。これは、洗浄液中でDGMEとアルカリ水溶液とが分離し、カーボン成分とアルカリ水溶液との接触効率が悪いためと推測される。これに対して、サンプル6~9、11では、非常に短時間でカーボンデポジットを溶解できた。このことから、界面活性剤を添加し、常温環境において静置した場合に、少なくとも1日、DGMEとアルカリ水溶液とが分離しないように調整された洗浄剤は、炭素含有排出物を短時間で容易に洗浄できることが分かった。また、サンプル10の結果から、pHが13以上になるようにアルカリ水溶液のpHを調節する必要があることが分かった。加えて、サンプル12、13の結果から、ケイ酸塩を添加することによって、カーボンデポジットに対する洗浄性能が向上することが分かった。さらに、サンプル14~17の結果から、低級アルコールを添加すると洗浄性能がより向上することも確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
Claims (15)
- 内燃機関にて生じた炭素含有排出物の洗浄に用いられるカーボン洗浄剤であって、
pHが13以上のアルカリ水溶液と、
アルキル基の炭素数が3個以上のジエチレングリコールモノアルキルエーテルと
を少なくとも含有し、
常温で静置した場合に、少なくとも1日、前記アルカリ水溶液と前記ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとが分散状態を維持するように界面活性剤が添加されている、カーボン洗浄剤。 - 前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニアからなる群から選択される少なくとも一種を含む水溶液である、請求項1に記載のカーボン洗浄剤。
- 前記ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとして、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1または2に記載のカーボン洗浄剤。
- 前記カーボン洗浄剤の総体積を100体積%としたときの前記ジエチレングリコールモノアルキルエーテルの体積比が1体積%~10体積%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカーボン洗浄剤。
- 低級アルコールをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカーボン洗浄剤。
- 前記低級アルコールとして、メタノール、エタノールからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項5に記載のカーボン洗浄剤。
- アルカリ金属のケイ酸塩をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のカーボン洗浄剤。
- 前記アルカリ金属のケイ酸塩として、オルトケイ酸ナトリウムを含む、請求項7に記載のカーボン洗浄剤
- 内燃機関にて生じた炭素含有排出物を洗浄対象から除去する洗浄方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のカーボン洗浄剤を含有する洗浄液を準備する洗浄液準備工程と、
前記洗浄液を洗浄対象に供給することによって洗浄対象を洗浄する洗浄工程と
を少なくとも含む、洗浄方法。 - 前記洗浄工程において、50℃~60℃に加温された前記洗浄液を前記洗浄対象に供給する、請求項9に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄工程において、前記洗浄対象を前記洗浄液に10分間~30分間浸漬する、請求項9または10に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄対象を浸漬した前記洗浄液に超音波を加える、請求項11に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄対象を浸漬した前記洗浄液に、前記洗浄対象の下方から微細な気泡を加える、請求項11または12に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄工程において、前記洗浄対象に前記洗浄液を噴霧する、請求項9または10に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄対象は、内燃機関、排ガス浄化触媒、前記内燃機関の排気経路に配置された配管から選択される一種である、請求項9~14のいずれか一項に記載の洗浄方法。
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