JPH06109698A - 基質濃度測定方法 - Google Patents

基質濃度測定方法

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JPH06109698A
JPH06109698A JP4261183A JP26118392A JPH06109698A JP H06109698 A JPH06109698 A JP H06109698A JP 4261183 A JP4261183 A JP 4261183A JP 26118392 A JP26118392 A JP 26118392A JP H06109698 A JPH06109698 A JP H06109698A
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里子 藤澤
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万里子 宮原
Shiro Nankai
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料液中の特定成分について、迅速かつ高精
度な定量を簡便に実施することのできるバイオセンサを
用いた基質濃度測定方法を提供する。 【構成】 絶縁性の基板1と、前記絶縁性の基板上に形
成された少なくとも測定極4と対極5とからなる電極系
と、酵素と電子受容体と親水性高分子を含む反応層7か
らなるバイオセンサを用いて、該バイオセンサに試料液
を供給した後、前記電極系の測定極4と対極間5に一定
電圧を印加して電流値を測定する操作を複数回行なうこ
とを特徴とする基質濃度測定方法。 【効果】 従来構成の少なくとも一つの電極系備えたバ
イオセンサを用いて、試料中の複数種類の基質濃度を一
度に精度よく定量することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中の特定成分につ
いて、迅速かつ高精度な定量を簡便に実施することので
きるバイオセンサを用いた基質濃度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、試料中の特定成分について、試料
液の希釈や撹拌などを行なう事なく簡易に定量しうる方
式として、次のようなバイオセンサが提案され、以下の
ような基質濃度測定方法について開示されている(特開
平3−202764号公報)。
【0003】このバイオセンサは、絶縁性の基板上に形
成した電極系の表面に親水性高分子と酵素および電子受
容体の混合物からなる酵素反応層を形成し、前記酵素と
電子受容体と試料液との反応に際しての物質濃度変化を
電気化学的に前記電極系で検知し、前記基質濃度を測定
するものである。
【0004】以下、このバイオセンサの動作を、グルコ
ースセンサを例にして説明する。グルコースを含む試料
液をグルコースセンサへ供給すると、酵素反応層が試料
液に溶解する。酵素反応層中の酵素であるグルコースオ
キシダーゼによってグルコースは酸化される。この時、
酵素反応層中の電子受容体が還元される。試料液中のグ
ルコースが全て反応した段階で、電極系を構成する測定
極と対極間に適当な一定電圧を一回印加すると、電子受
容体の還元体が酸化される。この酸化電流値を測定する
ことにより、試料液中のグルコース濃度を定量すること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の基
質濃度測定方法においては、複数の基質に対して、各基
質濃度を一度に定量することができなかった。複数の基
質濃度を一度に定量する場合には、複数種類のバイオセ
ンサを用いる必要があった。あるいは一つのバイオセン
サで測定する場合には、複数組の電極系と各基質に応じ
た酵素を有する反応層を複数個備えたバイオセンサが必
要であり、バイオセンサの構造および測定方法が複雑化
するといった課題を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、従来構成のバイオセンサを用いて、次の
ような基質濃度測定方法を提供するものである。
【0007】絶縁性の基板と、前記絶縁性の基板上に形
成された少なくとも測定極と対極とからなる電極系と、
前記絶縁性の基板上に形成した反応層とから構成され、
前記反応層が少なくとも酵素と電子受容体と親水性高分
子からなるバイオセンサを用いて、バイオセンサに試料
液を供給した後、前記電極系の測定極と対極間に一定電
圧を印加して電流値を測定する操作を複数回行なうこと
を特徴とする基質濃度測定方法。
【0008】
【作用】上記の基質濃度測定方法によると、従来構成の
少なくとも一つの電極系備えたバイオセンサを用いて、
試料中の複数種類の基質濃度を一度に定量することがで
きる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0010】(実施例1)バイオセンサの一例として、
スクロースとグルコースを定量するスクロース・グルコ
ース応答型糖センサについて説明する。
【0011】図1は本発明のバイオセンサの一実施例と
して作製したスクロース・グルコース応答型糖センサの
断面図、図2は同スクロース・グルコース応答型糖セン
サのうち反応層を除いた分解斜視図である。
【0012】以下、糖センサの作製方法について説明す
る。ポリエチレンテレフタレートからなる絶縁性の基板
1に、スクリーン印刷により銀ペ−ストを印刷しリ−ド
2、3を形成した。つぎに、樹脂バインダーを含む導電
性カーボンペーストを印刷して測定極4を形成した。測
定極4はリード2と接触している。
【0013】つぎに絶縁性ペーストを印刷して絶縁層6
を形成した。絶縁層6は、測定極4の外周部を覆ってお
り、これによって測定極4の露出部分の面積を一定に保
っている。さらに、絶縁層6は、リード2、3を部分的
に覆っている。つぎに、樹脂バインダーを含む導電性カ
ーボンペーストをリード3と接触するように印刷して対
極5を形成した。
【0014】つぎに、前記電極系上に親水性高分子とし
てカルボキシメチルセルロ−ス(以下CMCと略す)の
0.5wt%水溶液を滴下、乾燥させてCMC層を形成し
た。つづいて、前記CMC層上に酵素としてインベルタ
ーゼ(EC3.2.1.26:以下INVと略す)、ム
タロターゼ(EC5.1.3.3:以下MUTと略
す)、グルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4:
以下GODと略す)および電子受容体としてフェリシア
ン化カリウムをリン酸緩衝液(0.2M:KH2PO4
0.2M:Na2HPO4;pH=7.4)に溶解させた
混合溶液を滴下し、乾燥させて反応層7を形成した。
【0015】酵素および電子受容体の混合溶液を滴下す
るとCMC層は一度溶解し、その後の乾燥過程で酵素な
どと混合された形で反応層7が形成される。しかし、撹
拌等をともなわないため完全な混合状態とはならず、電
極系表面はCMCのみによって被覆された状態となる。
試料液中にタンパク質等の物質が存在する場合には、親
水性高分子層によってこれらのタンパク質等の物質が電
極系表面に吸着するのを阻止することができる。その結
果、高精度なセンサ応答を得ることができる。
【0016】上記のようにして反応層7を形成した後、
カバー9およびスペーサー8を図2中、一点鎖線で示す
ような位置関係をもって接着した。
【0017】上記のように作製したスクロース・グルコ
ース応答型糖センサに試料液としてグルコース水溶液3
μlを試料供給孔10より供給した。試料液は速やかに
空気孔11部分まで達し、電極系上の反応層7が溶解し
た。
【0018】試料液を供給してから10秒後に対極5を
基準にして測定極4に一定電圧(0.5V)を印加し、
5秒後の電流値を測定したところ、試料液中のグルコー
ス濃度に対応した応答電流値が得られた。
【0019】反応層7が試料液に溶解すると、試料液中
のグルコースはGODによって酸化される。同時にフェ
リシアン化カリウムが還元されてフェロシアン化カリウ
ムが生成する。上記一定電圧の印加によりフェロシアン
化カリウムが酸化され、その際の酸化電流値がグルコー
ス濃度に対応した。
【0020】さらに、試料液を供給して3分後に、再び
対極5を基準にして測定極4に一定電圧(0.5V)を
印加し、5秒後の電流値を測定したところ、試料液中の
グルコース濃度に対応した応答電流値が得られた。
【0021】つぎに、上記の手順にて別途作製したスク
ロース・グルコース応答型糖センサに試料液としてスク
ロース水溶液3μlを試料供給孔10より供給した。
【0022】試料液を供給してから10秒後に対極5を
基準にして測定極4に一定電圧(0.5V)を印加し、
5秒後の電流値を測定したところ、試料液中のスクロー
ス濃度にかかわらず、応答電流値は得られなかった。
【0023】さらに、試料液を供給して3分後に、再び
対極5を基準にして測定極4に一定電圧(0.5V)を
印加し、5秒後の電流値を測定したところ、試料液中の
スクロース濃度に対応した応答電流値が得られた。
【0024】反応層7が試料液に溶解すると、試料液中
のスクロースはINVによって加水分解されフルクトー
スとα−グルコースが生成する。α−グルコースは水溶
液として放置すると光学異性体であるβ−グルコースと
の平衡に達するが、長い時間を要する。この平衡移動は
MUTによって触媒されるため、迅速にβ−グルコース
となり、GODによって酸化される。GODによる酸化
反応にともなって共存するフェリシアン化カリウムがフ
ェロシアン化カリウムに還元される。次に、前記の一定
電圧の印加により、生成したフェロシアン化カリウムが
酸化する際の酸化電流が得られ、この電流値は基質であ
るスクロースの濃度に対応する。
【0025】試料液を供給して10秒後では、INVあ
るいはMUTによる酵素反応が十分に進行せず、β−グ
ルコースがほとんど生成していないものと考えられる。
【0026】つぎに、上記の手順にて別途作製したスク
ロース・グルコース応答型糖センサに試料液としてグル
コースとスクロースの混合水溶液3μlを試料供給孔1
0より供給した。
【0027】試料液を供給してから10秒後に対極5を
基準にして測定極4に一定電圧(0.5V)を印加し、
5秒後の電流値を測定したところ、試料液中のグルコー
ス濃度のみに対応した応答電流値が得られた。
【0028】さらに、試料液を供給して3分後に、再び
対極5を基準にして測定極4に一定電圧(0.5V)を
印加し、5秒後の電流値を測定したところ、試料液中の
グルコース濃度とスクロース濃度の和に対応した応答電
流値が得られた。
【0029】10秒後に一定電圧を印加した際の電流値
より試料液中のグルコース濃度が定量でき、3分後に一
定電圧を印加した際の酸化電流値よりグルコース濃度と
スクロース濃度の和が得られたため、グルコースおよび
スクロースそれぞれの濃度を精度よく定量することがで
きた。
【0030】(実施例2)バイオセンサの一例として、
スクロースとフルクトースを定量するスクロース・フル
クトース応答型糖センサについて説明する。
【0031】実施例1と同様にして、ポリエチレンテレ
フタレートからなる絶縁性の基板1上に、リ−ド2、3
と電極系(測定極4、対極5)および絶縁層6を形成し
た。
【0032】つぎに、前記電極系上に親水性高分子とし
てヒドロキシエチルセルロース(以下HECと略す)の
0.5wt%水溶液を滴下、乾燥させてHEC層を形成し
た。
【0033】つづいて、前記電極系上にINVとフルク
トースデヒドロゲナーゼ(EC1.1.99.11:以
下FDHと略す)とフェリシアン化カリウムをMcIlvain
eの緩衝液(0.1M:クエン酸−0.2M:Na2HP
4;pH=5.5)に溶解させた混合溶液を滴下し、
乾燥させて反応層を形成した。さらに、実施例1と同様
にしてカバー9およびスペーサー8と共に一体化してス
クロース・フルクトース応答型糖センサを作製した。
【0034】上記のようにして作製したスクロース・フ
ルクトース応答型糖センサに、試料液としてスクロース
とフルクトースの混合水溶液3μlを試料供給孔より供
給し、実施例1と同様にして2回の測定操作を行なっ
た。具体的手順は、以下の通りである。
【0035】試料液を供給してから10秒後に対極を基
準にして測定極に一定電圧(0.5V)を印加し、5秒
後の電流値を測定したところ、試料液中のフルクトース
濃度のみに対応した応答電流値が得られた。
【0036】さらに、試料液を供給して3分後に、再び
対極を基準にして測定極に一定電圧(0.5V)を印加
し、5秒後の電流値を測定したところ、試料液中のフル
クトース濃度とスクロース濃度の和に対応した応答電流
値が得られた。
【0037】10秒後に一定電圧を印加した際の電流値
より試料液中のフルクトース濃度が定量でき、3分後に
一定電圧を印加した際の酸化電流値よりフルクトース濃
度とスクロース濃度の和が得られたため、フルクトース
およびスクロースそれぞれの濃度を精度よく定量するこ
とができた。
【0038】なお、上記実施例では、反応層は電極系表
面に接して形成する方法について述べたが、必ずしもそ
の必要はない。図2のようなカバー9およびスペーサー
8と一体化する場合には、カバー9とスペーサー8と絶
縁性の基板1とによって電極系上部に空間部が形成され
る。前記カバー9、スペーサー8、絶縁性の基板1の前
記空間部の内壁面に相当する部位であれば適当な場所に
反応層を形成することができる。センサに供給された試
料液は前記空間部を満たすため、反応層を溶解すること
が可能である。
【0039】上記実施例では、電極系間に一定電圧を印
加する時間を試料液供給後10秒および3分としたがこ
の組合せに限定されるものではなく、上記の効果が得ら
れる範囲内で自由に設定することが可能である。
【0040】さらに、上記実施例ではスクロース・グル
コース応答型糖センサおよびスクロース・フルクトース
応答型糖センサについて述べたが、これらに限定される
ものではなく、上記効果が得られる酵素反応系に広く適
用することができる。
【0041】上記実施例では、緩衝液としてKH2PO4
−Na2HPO4(pH=7.4)およびMcIlvaineの緩
衝液(pH=5.5)を用いたが、緩衝液の種類および
そのpHはこれらに限定されるものではない。
【0042】さらに、上記実施例では親水性高分子とし
てカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロスを用いたが、これらに限定されることはなく、他の
セルロース誘導体、具体的には、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチ
ルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチ
ルセルロースを用いてもよく、さらには、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチンおよびその
誘導体、アクリル酸およびその塩、メタアクリル酸およ
びその塩、スターチおよびその誘導体、無水マレイン酸
およびその塩を用いても同様の効果が得られた。
【0043】一方、電子受容体としては、上記実施例に
示したフェリシアン化カリウム以外に、p−ベンゾキノ
ン、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フ
ェロセン誘導体なども使用できる。
【0044】また、上記実施例において酵素および電子
受容体については試料液に溶解する方式について示した
が、これに制限されることはなく、固定化によって試料
液に不溶化させた場合にも適用することができる。
【0045】また、上記実施例では、測定極と対極のみ
の二極電極系について述べたが、参照極を加えた三電極
方式にすれば、より正確な測定が可能である。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明の基質濃度測定方法
によると、従来構成の少なくとも一つの電極系備えたバ
イオセンサを用いて、試料中の複数種類の基質濃度を一
度に定量することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオセンサの一実施例として作製し
たスクロース・グルコース応答型糖センサの断面図
【図2】同スクロース・グルコース応答型糖センサのう
ち反応層を除いた分解斜視図
【符号の説明】
1 絶縁性の基板 2、3 リード 4 測定極 5 対極 6 絶縁層 7 反応層 8 スペーサー 9 カバー 10 試料供給孔 11 空気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7235−2J G01N 27/30 353 U (72)発明者 南海 史朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性の基板と、前記絶縁性の基板上に形
    成された少なくとも測定極と対極とからなる電極系と、
    前記絶縁性の基板上に形成した反応層とから構成され、
    前記反応層が少なくとも酵素と電子受容体と親水性高分
    子からなるバイオセンサにおいて、該バイオセンサに試
    料液を供給した後、前記電極系の測定極と対極間に一定
    電圧を印加して電流値を測定する操作を複数回行なうこ
    とを特徴とする基質濃度測定方法。
  2. 【請求項2】酵素がグルコース酸化酵素およびスクロー
    スの加水分解酵素を主体とする組合せであることを特徴
    とする請求項1記載の基質濃度測定方法。
  3. 【請求項3】酵素がフルクトース酸化酵素およびスクロ
    ースの加水分解酵素を主体とする組合せであることを特
    徴とする請求項1記載の基質濃度測定方法。
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