JPH06109195A - 断熱ホース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷房装置などの空調機に使用される断熱ホー
スであって、屈曲施工を行った場合に、内外チューブと
断熱材間に空隙部が発生するのを防止し、且つ接続口部
の構造が簡単な断熱ホースを提供する。 【構成】 軟質ポリエチレンよりなる内外チューブ１、
２間を同一材料よりなる螺旋仕切壁３によって連設し、
これらの内外チューブ１、２と螺旋仕切壁３とで囲まれ
た螺旋空間部４にポリエチレン発泡樹脂よりなる断熱材
７を内装して該断熱材７の四方周面を内外チューブ１、
２および螺旋仕切壁３との対向面に全面的に融着、一体
化させることにより断熱材７を内装した螺旋空間部４に
空隙部が発生するのをなくし、さらに、一端部を断熱材
７が被着していないチューブ端のみからなる接続口部８
に形成する一方、他端部を該接続口部８が挿嵌可能な受
口部９に形成している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は空調器の断熱ドレンホー
スその他の各種機器の断熱ダクトとしての使用に適した
断熱ホースの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、この種の断熱ホースとしては
可撓性を有する軟質塩化ビニル製ホースが広く使用さ
れ、例えば、図６に示すように、軟質塩化ビニルよりな
る内外チューブａ、ｂ間に同一材料よりなる螺旋状仕切
壁ｃを介してスポンジ等の断熱材ｄを一体に内装し、さ
らに、内側チューブのａの外周面に塩化ビニル樹脂で被
覆された補強芯線ｅを螺旋状に配設した構造のものが知
られている。また、このような断熱ホースを一定長さに
して接続可能とするには、図７に示すように、その両端
に合成樹脂成形品よりなる雌雄接続用金具Ｈ、Ｉを取付
けている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような断熱ホース
によれば、軟質塩化ビニルよりなる内外チューブａ、ｂ
や螺旋状仕切壁ｃに対して断熱材ｄは非接着状態で内包
されているものであるから、真っ直ぐに伸長させた配管
状態では断熱材ｄが隙間なく内外チューブａ、ｂと螺旋
状仕切壁ｃで囲まれた空間部に隙間なく詰まっている
が、曲線状に配管を施工した場合には、内外チューブ
ａ、ｂ及び仕切壁ｃと断熱材ｄとが一体化していないた
め、同図に示すように、断熱材ｄが内外チューブａ、ｂ
や仕切壁ｃから遊離して屈曲外周側においては仕切壁ｃ
と断熱材ｄ間に空隙ｆが発生し、屈曲内周側においては
内外チューブａ、ｂが波形状に遊離、変形して断熱材ｄ
との対向面に空隙ｇが発生することになる。

【０００４】そのため、波形状に変形した内側チューブ
内を流通する流体の流動抵抗が大きくなって円滑な排水
が行えなくなるばかりでなく、空調器のドレンホースと
して使用した場合には、除湿した水分中に含まれる空気
中の綿埃等の塵埃が変形した凹部ｈ内に付着、堆積して
詰まりが発生し、その上、空隙部ｆ、ｇによって断熱効
果が低下するという問題点がある。

【０００５】さらに、断熱効果の低い空隙ｆ、ｇ表面に
結露が生じて天井や壁面等の配管部分を汚損し、また、
内外チューブや仕切壁ｃが塩化ビニル樹脂より形成され
ているために、古くなったホースを焼却すると、有害ガ
ス等の発生による環境汚染問題が生じ、その上、塩化ビ
ニル樹脂は比較的比重が重くてホースの重量が大きくな
り、取扱性等にも問題点があった。

【０００６】また、このホースを定尺に切断すると、上
述のように内外チューブａ、ｂ及び仕切壁ｃと断熱材
ｄ、補強芯線ｅが一体化していないため、断熱材ｄや補
強芯線ｅが切断面から外部に遊離、突出して不良品が発
生すると共に、このような定尺チューブの両端に、雌雄
接続用金具Ｈ、Ｉを取付けることはそれだけ部品点数が
増大して高価につくばかりでなく、その取付けに手間を
要し、生産能率が低下するという問題点がある。本発明
はこのような問題点を解消した断熱ホースの提供を目的
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の断熱ホースは、軟質合成樹脂製内外チュー
ブ間をこれらのチューブと同一材料よりなる螺旋状仕切
壁によって一体的に連結していると共に内外チューブと
螺旋状仕切壁によって囲まれた空間部に発泡合成樹脂よ
りなる断熱材を内装、密封して該断熱材の外周面を内外
チューブ及び螺旋状仕切壁との対向面に全面的に熱融着
させてあり、さらに、内側チューブの外周面と断熱材の
内周面間に内側チューブと一体化した可撓性を有する合
成樹脂製補強芯線を螺旋状に巻装してなる構造を有する
ものである。又、請求項２に記載している発明は、上記
構成の断熱ホースにおいてホース主体の一端部を断熱材
が被着していないチューブ端のみよりなる接続口部に形
成しているものである。

【０００８】

【作用】内外チューブと仕切壁で囲まれた空間部内の断
熱材は内外チューブと仕切壁に一体的に密着していると
共に内側チューブ上に巻装している合成樹脂製補強芯線
も該内側チューブと一体化しているので、ホースを湾曲
させても断熱材や補強芯線は内外チューブや仕切壁の内
面から遊離することはなく常に一体的に変形し、内部に
断熱効果を低下させるような空隙部が発生することはな
く、従って、結露の発生をなくし得るものであり、又、
内側チューブが断熱材から浮き上がって皺になることも
なく、流体を円滑に流動させると共に塵埃等の付着が防
止される。

【０００９】さらに、断熱材としてポリエチレン発泡樹
脂を用いる一方、内外チューブや仕切壁を軟質ポリエチ
レン樹脂製とし、且つポリプロピレンの補強芯線を採用
することによって、これらの材料を互いに熱融着させて
全体が一体化した断熱ホースとすることができ、その
上、比重の小さい軟質ポリエチレン製の内外チューブに
よって軽量化を図ることができる。又、このように構成
している断熱ホースにおいては、断熱材および合成樹脂
製補強芯線がチューブや仕切壁に融着、一体化している
ので、定寸に切断してもその切断端面から剥離して飛び
出す虞れがなく、従って、切断口を精度のよい雌受口に
形成しておくことができると共に、ホース主体の一端部
を断熱材が被着していないチューブのみよりなる接続口
部に形成しておくことにより、上記雌受口と共にホース
同士の接続や他の管体等との円滑な接続が可能となる。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面について説明す
ると、１、２は軟質ポリエチレン樹脂等のように、後述
する断熱材５と熱融着可能な軟質合成樹脂より形成され
た一定径を有する薄肉の内外チューブで、両チューブ
１、２の対向周面間を、一定のピッチでもって長さ方向
に螺旋状に巻装した一定高さの仕切壁３によって一体的
に連設し、これらの内外チューブ１、２と仕切壁３によ
って螺旋空間部４を形成してある。この仕切壁３も内外
チューブ１、２と同一材料よりなり、その上下端を内外
チューブ１、２の対向面に夫々熱溶着させて上記のよう
に内外チューブ１、２と一体化させてあり、又、内側チ
ューブ２の内周面は全長に亘って平坦面2aに形成されて
いる。

【００１１】５は内側チューブ２の外周面に一体に設け
た断面Ｕ字状の小径の中空螺旋突条で、内外チューブ
１、２と同一材料よりなり、螺旋空間部４と同一ピッチ
でもって仕切壁３、３間の中間部に設けられてある。こ
の中空螺旋突条５内には、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン等の硬質オレフィン系樹脂よりなる断面円形ないしは
楕円形状の可撓性を有する補強芯線６が内包されてあ
り、該補強芯線６の外周面を中空螺旋突条５の内面及び
内側チューブ２の外周面に密接させて一体に熱融着させ
てある。

【００１２】７は内外チューブ１、２および仕切壁３に
よって囲まれた螺旋空間部４内に密封状態で内装された
ポリエチレン発泡樹脂よりなる断熱材で、螺旋空間部４
と実質的に同一断面形状を有しており、内外チューブ
１、２の対向面や中空螺旋突条５の外周面及び隣接する
仕切壁３、３にその四方端面を全面的に密接させた状態
で融着、一体化してある。

【００１３】このような構造を有する一定長のホース主
体Ａは、図３に示すように、その一端部には上記内外チ
ューブ１、２の端部によって接続口部８に形成されてい
る。即ちホース主体Ａの一端部において、断熱材７を設
けることなく内外チューブ１、２のみを所望長さだけ延
出させて重合、融着させることにより一定厚みの接続口
部８に形成し、螺旋空間部４内に封入されている断熱材
７の厚み及び仕切壁４の高さを接続口部８の基端に向か
って徐々に小さくなるように成形しているものである。
なお、この接続口部８は内側チューブ２のみで形成して
もよい。

【００１４】一方、ホース主体Ａの他端面は、切断端面
となっていて上記内外チューブ１、２や仕切壁３、補強
芯線６、断熱材７等が該端面に露出してあるが、上記の
ようにこれらは全て融着、一体化しているので、断熱材
７等が分離して外部に飛び出すようなことはない。従っ
て、ホース主体Ａの他端面に開口した中央孔によって形
成される受口部９が形崩れを起こすことなく所定径の形
状に保持されるものである。この受口部９と上記接続口
部８とによって雌雄管接続部を構成しているものであ
る。

【００１５】図４は上記ホース主体Ａの変形例を示すも
ので、内側チューブ２の一端部によって形成された接続
口部８の外周面に、補強芯線６の端部を一体に巻着して
なるものである。その他の構造は上記ホースと同じであ
る。

【００１６】このように構成したので、螺旋空間部４に
充填されている断熱材７は、該螺旋空間部４を形成する
内外チューブ１、２の対向面および仕切壁３、３に一体
的に融着しているから、保管時や配管時等において図２
に示すように屈曲させても、全体が常に一体的に曲げ変
形して内側チューブ２の内周面に波形状の皺が寄った
り、或いは、断熱材７と螺旋空間部４の内壁間に空隙が
生じることはなく、その上、切断端面においては断熱材
７や補強芯線６等が遊離して外部に飛び出すような虞れ
もなく、常に所定の断熱効果を奏すると共に流体の円滑
な流通を可能にするものである。

【００１７】又、ホースを構成する内外チューブ１、２
と仕切壁３、及び補強芯線６を内装した中空螺旋突条５
を軟質塩化ビニルよりも比重の小なるポリプロピレンに
よって形成しておくことにより、ホースの軽量化を図る
ことができると共に、ポリエチレン発泡の断熱材７とを
確実且つ強固に融着、一体化させることができるもので
ある。さらに、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレ
フィン系樹脂よりなる可撓性芯線３によってホースが適
度の強度と保形性を発揮すると共に、その弾性力によっ
てホースが踏み付け等により偏平状に変形しても直ちに
円形状に復元するものである。

【００１８】このような合成樹脂製断熱ホースを得るに
は、例えば、一定幅を有する半溶融状態の軟質ポリエチ
レン製帯状材11を成形ノズルから押し出しながら周知の
ように成形用回転軸上に螺旋状に巻回させる時に、図５
に示すように、帯状材11の水平側端部12上にポリプロピ
レン樹脂よりなる可撓性補強芯線６を同一ピッチでもっ
て螺旋状に巻装、融着していくと共に連続して巻回する
帯状材11の中央部13を先に巻装した水平側端部12上に重
合、融着させてその一部で補強芯線６を内面に融着一体
化させた中空螺旋突条５を形成しながら、内周面が平坦
な内側チューブ２を形成していく。

【００１９】さらに、帯状材11の中央部上にポリエチレ
ン発泡樹脂よりなる角棒状の断熱材７を螺旋状に巻回し
ていくと共に、該断熱材７の対向側端面間に帯状材11の
他端側部を介在させて仕切壁３を形成し、この仕切壁３
に連なる帯状材11の他側端部14を断熱材７の外面に融着
させると共にその側端部を先に巻回した仕切壁３の外端
部に一体的に溶着させることにより外側チューブ１を形
成するものである。また、接続口部８は、断熱材７を徐
々に薄くして外側チューブ１の巻径を徐々に小径とし、
該外側チューブ１を内側チューブ２上に重合、一体化さ
せることによって形成することができる。なお、以上の
実施例においては、可撓性補強芯線６を中空螺旋突条５
内に配設しているが、このような中空螺旋突条５を設け
ることなく、内側チューブ２上に直接、巻装して融着一
体化させると共に該補強芯線６上に直接断熱材７を配設
した構造としてもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明の断熱ホースによれ
ば、軟質合成樹脂製内外チューブとこれらの内外チュー
ブの対向面間を一体的に連結している螺旋状仕切壁とで
囲まれた螺旋空間部内に断熱材を内装してなる断熱ホー
スにおいて、該断熱材と内外チューブとを互いに融着可
能な合成樹脂により形成して融着、一体化させているの
で、保管時や配管時等においてホースを湾曲させても断
熱材が内外チューブや仕切壁から遊離することはなく常
に一体的に変形するものであり、従って、螺旋空間部内
に空隙部が発生するのを確実に阻止して効果的な断熱作
用を発揮することができるものである。

【００２１】さらに、内側チューブ上に巻装している補
強芯線も該内側チューブと一体化させているから、ホー
スを湾曲させても内側チューブが断熱材から浮き上がっ
て皺状になることもなく、従って、流体を円滑に流動さ
せると共に除湿した水分中に含まれる空気中の塵埃等が
内側チューブに付着するのを防止することができるもの
である。

【００２２】又、補強芯線はオレフィン系樹脂より形成
しておくことによって、ホースに充分な腰と強度を付与
してホースの保形並びに補強を行うと共に、軽量化を図
ることができ、さらに、耐熱性と弾性に富んでいるから
屈曲させた状態で高温のドレンを流通させても変形する
虞れがないと共に、不測に踏み付けた時に偏平状に変形
しても直ちに円形状に復元することができるものであ
る。その上、上記内外チューブを軟質ポリエチレン樹脂
より形成することによって重量が一層軽量化し、取扱性
が良好となると共に従来の軟質塩化ビニル製ホースのよ
うな公害の発生もなくすることができるものである。

【００２３】又、このように構成している断熱ホースに
おいて、ホース主体の一端部を断熱材が被着していない
チューブ端のみよりなる接続口部に形成しておくことに
より別な成形品よりなる接続用金具を必要としなくなっ
て安価な断熱ホースを提供できると共に、その他端部を
切断端面にして上記内外チューブ１、２や仕切壁３、補
強芯線６、断熱材７等が該端面に露出していても、上記
のようにこれらは全て融着、一体化しているので、断熱
材７等が分離して外部に飛び出すようなことはなく、従
って、そのホース端を上記接続口部が接続可能な受口と
した精度のよい断熱ホースを構成し得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す一部の縦断側面図、

【図２】湾曲させた状態の縦断側面図、

【図３】中間部を省略したホースの両端部を示す一部を
断面した側面図、

【図４】その変形例を示す側面図、

【図５】製造方法を説明するための縦断側面図、

【図６】従来の断熱ホースの一部縦断側面図。

【図７】その両端接続用金具を示す一部縦断側面図。

【符号の説明】

１ 外側チューブ ２ 内側チューブ ３ 仕切壁 ４ 螺旋空間部 ６ 補強芯線 ７ 断熱材 ８ 接続口部 ９ 受口部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軟質合成樹脂製内外チューブ間をこれら
   のチューブと同一材料よりなる螺旋状仕切壁によって一
   体的に連結していると共に内外チューブと螺旋状仕切壁
   によって囲まれた空間部に発泡合成樹脂よりなる断熱材
   を内装、密封して該断熱材の外周面を内外チューブ及び
   螺旋状仕切壁との対向面に全面的に熱融着させてあり、
   さらに、内側チューブの外周面と断熱材の内周面間に内
   側チューブと一体化した可撓性を有する合成樹脂製補強
   芯線を螺旋状に巻装してなることを特徴とする断熱ホー
   ス。
2. 【請求項２】 上記請求項１記載の断熱ホースにおい
   て、ホース主体の一端部を断熱材が被着していないチュ
   ーブ端のみよりなる接続口部に形成していることを特徴
   とする断熱ホース。