JPH06102A - 両面に係合片を有する一体成形面ファスナーの製造方法及びその装置 - Google Patents

両面に係合片を有する一体成形面ファスナーの製造方法及びその装置

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JPH06102A
JPH06102A JP4158286A JP15828692A JPH06102A JP H06102 A JPH06102 A JP H06102A JP 4158286 A JP4158286 A JP 4158286A JP 15828692 A JP15828692 A JP 15828692A JP H06102 A JPH06102 A JP H06102A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】一体成形により得られる両面面ファスナーを少
ない工程で簡単に製造するための方法及びそのための装
置を開発することにあり、しかも得られる両面面ファス
ナーは係合強度が高いにも関わらず剥離がしやすく、繰
返し使用に対する耐久性に富むものとする。 【構成】押出ノズル(1) から溶融樹脂を所定幅で押し出
し、同押出ノズル(1)から押し出される溶融樹脂(4)
を、所定の間隙をもって上下に配設され、それぞれの周
面に多数の係合片用キャビティ(5) を有し、内部に冷却
手段を有する上部ダイホイール(2) と下部ダイホイール
(3) の前記間隙に導入すると共に、同溶融樹脂(4) を前
記係合片用キャビティ(5) 内に充填しながら、前記上下
のダイホイール(2,3) を前記溶融樹脂(4) の押出方向に
同期的に駆動回転させて、平板状基材 (4b) の表裏両面
に多数の係合片(4b)を一体に連続成形すると共に所定の
温度に冷却し、冷却された樹脂成形体(4′) の前記係合
片(4b)を前記キャビティ(5)から引き抜きながら前記溶
融樹脂(4) の押出方向に積極的に引き取る。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂を用い、
押出しにより平板状基材の表裏両面上に多数の係合片を
有する面ファスナーを連続的に一体成形する方法とその
装置に関し、更に詳しくは一体成形両面ファスナーを能
率的に製造する方法とその装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】基材の表裏両面に係合片を有する面ファ
スナーは、例えば特公昭４２−８７４５９号公報や実開
昭５５−１２２６１２号公報、或いは特開平１−２３８
８０５号公報等により知られている。
【０００３】このうち、特公昭４２−８７４５９号公報
に開示された両面面ファスナーは、一枚の織物の表裏に
それぞれ織製によりマルチフィラメントとモノフィラメ
ントから構成されるループを形成し、両者を熱セットし
た後にモノフィラメントのループの一部を切断してフッ
ク状とし、表裏両面にループ面とフック面をそれぞれ形
成したものである。こうして得られた後者の両面面ファ
スナーは、次いで地部の織物に樹脂加工を施して上記ル
ープ片とフック片を地部に固定する。
【０００４】一方の実開昭５５−１２２６１２号公報に
開示された表裏両面に係合片を有する面ファスナーは、
軟質性テープ材の表裏に繊維製のフック片とループ片を
設けているが、特に軟質性テープ材の構造が明らかにさ
れていないため、フック片とループ片の係合片が軟質性
テープ材にどのようにして固着されているか定かでな
い。しかして、同公報に開示された面ファスナーも係合
片として繊維を使用することから、上記特公昭４２−８
７４５９号公報に開示された両面面ファスナーと同様に
織製によるか、或いは個々の繊維を可撓性シート上に植
え付けることにより製造するものと思われる。
【０００５】また、特開平１−２３８８０５号公報には
基材及び係合片を合成樹脂の成形により製造する面ファ
スナーが開示されており、特にその第１８図には、合成
樹脂材からなる基材の一表面に同一材料からなるマッシ
ュルーム状の係合片を多列に突出して形成すると共に、
同基材の他表面にも同一材料からなる球状の頭部をもつ
係合片を多列に突出して形成した両面面ファスナーが図
示されている。しかるに、同公報に開示された両面面フ
ァスナーの製造原理は、その明細書の記載から明らかな
ごとく、基材表面に上記係合片を一体成形により一列に
形成した多数枚を細幅のテープ状基材を、面ファスナー
として必要な幅をもつシート状の共通結合部材を裏面に
用い、或いは用いずに、接着剤又は接着性樹脂により前
記テープ状基材の側面を接着結合して、多数の係合片列
をもつ所定幅の面ファスナーを製造するものである。
【０００６】従って、上記特開平１−２３８８０５号公
報に開示された面ファスナーを製造するにあたっては、
先ず多数の係合部材を長手方向に１列に突出させた細幅
のテープ状部材を、連続的に又は非連続的に射出或いは
プレスにより成形し、次いで必要数の前記テープ状部材
を横に並べて、テープ状基材の側面同士を接着剤等によ
り接着固定するものである。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特公昭
４２−８７４５９号公報に開示された織物タイプの面フ
ァスナーは、一般的には織物特有の柔軟性と、モノフィ
ラメントの柔軟性が相挨って、相手方ループとの係合・
剥離時の感触が極めて滑らかなる点に特徴がある。しか
も、フックを構成するモノフィラメントは延伸工程を経
ているため、小さな断面積であっても引張り強さ及び曲
げ強さに優れており、更には織物組織によっては極めて
高密度にフック群を構成し得るため、係合率も高く、か
つ繰り返し使用に十分耐え得るものである。しかし、こ
の織物タイプの面ファスナーは材料消費が大きい上に、
多段の工程が必要であるため、製造コストの低減を図る
ことが難かしい。
【０００８】そして、この織物タイプにより地部の表裏
両面に繊維製の係合片をもつ両面面ファスナーを製造す
る場合は、片面に係合片をもつ一般的な織物タイプの面
ファスナーと異なり、上記公報に記載されているごとく
表裏両面に突出する係合片の根部を地部に固定させるた
めの樹脂加工を施すだけでは、係合片を避けて地部にだ
け樹脂を含浸指せることは不可能であり、係合片を剛直
化させずに且つその固定を確実にすることは極めて難し
い。
【０００９】また、上記特開平１−２３８８０５号公報
に開示された一体成形タイプの面ファスナーを製造する
ことは、同公報の記載からも明らかなごとく極めて煩雑
な工程を経る必要があって、非能率的であって生産性に
劣るばかりでなく、その製造原理からも同公報の第１８
図に図示された構造をもつ両面面ファスナーを量産する
ことは不可能に近い。
【００１０】しかも、同公報に開示された面ファスナー
自体は、係合片をマッシュルーム形状又はアンカー形状
としているため、相手方の係合片がループ片である場合
には係合力が大きく且つ方向性をもたずに良好な係合が
なされるが、反対に係合力が大きすぎて剥離が容易でな
くなり、無理して剥離するとループ片が切断され、繰返
し使用に対する耐久性に著しく劣るという欠点がある。
また相手方の係合片が同様のマッシュルーム形状又はア
ンカー形状である場合は、係合力が著しく低くなり実用
には耐えられない。
【００１１】そこで、本発明の目的は一体成形により得
られる両面面ファスナーを少ない工程で簡単に製造する
ための方法及びそのための装置を開発することにあり、
しかも得られる両面面ファスナーは係合強度が高いにも
関わらず剥離がしやすく、繰返し使用に対する耐久性に
富むものとなる。
【００１２】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は上
記目的を達成するため様々な検討を重ねた結果、係合力
及び耐久性を確保するには、少なくとも基材の一表面に
形成する係合片をフック片とすることが肝要であり、し
かも基材とその表裏面に形成する係合片を同時に一体成
形することが製造能率と品質を高める上で重要であるこ
とが確認された。
【００１３】ところで、基材とその一表面に形成される
フック片とを同時に一体成形するための技術としては、
例えば米国特許３３１２５８３号明細書、特表平１−５
０１７７５号等により既に公知である。
【００１４】これらの公報に開示された片面面ファスナ
ーの一体成形技術では、押出しにより基部とフック部を
同時に一体成形すると共に、連続成形を可能にしてい
る。その成形方法は、フック片用のキャビティに樹脂を
押し込む手段が異なるものではあるが、金型円板とスペ
ーサ用板材を交互に多数積層状態で固定しドラム状とな
し、回転する該ドラム表面に溶融状態にある熱可塑性樹
脂を押し出し、前記金型円板のフック片用キャビティに
樹脂を押し込んだ後、ドラム表面に塗工された樹脂を押
圧して基部を形成し、次いで冷却しながら、一体成形さ
れたキャビティ内のフック片を、ドラムの回転に合わせ
てドラム表面から基部と共に引き抜くものである。前記
金型円板は、その一側面に周面から中心に向けて延びる
フック形状のキャビティが円周方向に所定の間隔をおい
て多数形成され、前記スペーサ用板材の側面は平滑面と
されている。ここで、スペーサ用板材が必要とされるの
は、フックの形状自体のためフックの全体形状を一つの
金型にキャビティとして形成し得ない事情によるもので
ある。
【００１５】本発明者等は、これらの技術を発展させる
ことにより上述の要求が満たされると考え、更に検討を
重ねた結果、本発明に到達した。即ち、本発明は一体成
形により面ファスナーを連続的に製造する方法であっ
て、押出ノズルから溶融樹脂を所定幅で押し出すこと、
押出ノズルから押し出される溶融樹脂を、所定の間隙を
もって上下に配設され、それぞれの周面に多数の係合片
用キャビティを有し、内部に冷却手段を有する上部ダイ
ホイールと下部ダイホイールの前記間隙に導入すると共
に、同溶融樹脂を前記係合片用キャビティ内に充填する
こと、前記上下のダイホイールを前記溶融樹脂の押出方
向に同期回転させて、平板状基材の表裏両面に多数の係
合片を一体に連続成形すると共に所定の温度に冷却する
こと、及び冷却された樹脂成形体の前記係合片を前記キ
ャビティから引き抜きながら前記溶融樹脂の押出方向に
積極的に引き取ることを特徴とする両面に係合片を有す
る一体成形両面面ファスナーの製造方法を第１発明とし
ている。
【００１６】上記方法により明らかなごとく、本発明の
一体成形両面面ファスナーの製造方法は一連の単一工程
により所望の面ファスナーを容易に連続して製造でき
る。従って、品質の均一性及び生産性の向上と、製品価
格の軽減が図れる。
【００１７】また、本発明は一体成形により面ファスナ
ーを連続的に製造する装置であって、上下に所定の間隙
をもって配設され、周面に多数の係合片用キャビティを
有し、内部に冷却手段を有する上部ダイホイールと下部
ダイホイール、該上下ダイホイールを同期させて逆方向
に回転させる駆動手段、前記上下ダイホイールの回転方
向の上流側から前記間隙に向けて近接配置され、溶融樹
脂を所定幅で押し出す押出ノズル、及び前記上下ダイホ
イールの回転方向の下流側で、且つ前記押出ノズルによ
る溶融樹脂の押出線上の上下に配設される上下引取ロー
ラを備えてなることを特徴とする両面に係合片を有する
一体成形面ファスナーの製造装置を第２発明としてい
る。
【００１８】本発明の一体成形両面面ファスナーの製造
装置は、上記のごとく従来装置の成形原理を利用した複
雑な構造を有しない簡単な装置であり、同時に初期の目
的通りの一体成形両面面ファスナーが高品質で且つ高効
率で連続的に製造可能である。
【００１９】そして、上記製造方法により得られる一体
成形により形成された両面面ファスナーは、少なくとも
一面に形成されるフック片を基材から滑らかな曲線上を
傾斜して立ち上がる背面、少なくとも一部に垂直状に立
ち上がる前面、及び補強リブを少なくとも突出形成して
なる一側面をもつ立上り部と、その先端から前方に延び
るフック状係合部を有すると共に、前記フック状係合部
の先端から前記立上り部の根元にかけて断面積を漸増さ
せてなる構成とし、更には同一のフック列において、前
記フック状係合部の先端と、隣接するフック片の前記立
上り部の傾斜起端をほぼ同一垂線上に位置させ、或いは
前記補強リブが隣接する２列のフック列間において、隣
り合うフック片の立上り部間を連結してなるものであ
る。
【００２０】フック片の立ち上がり部前面側を直立させ
ると共に背面側を傾斜させ、しかもその側面に補強リブ
を形成し、かつ先端をフック状係合部として構成し、更
にはフック状係合部の先端から立ち上がり部の根元にか
けて断面を漸増させたため、剥離時のフック状係合部の
撓みが局部的とならず、フック片全体に変形時の力が作
用し、前記係合部の破損が防止され、同時に前記力を最
も太い立ち上がり部の根元で受けることになり、滑らか
な剥離を可能にする。また、補強リブの存在はフック片
の横倒れを防止し、係合時は相手ループ材が１つのフッ
ク片の背面側の傾斜に沿って、その後方に隣接するフッ
ク片の係合部に誘い込まれることと相俟って、係合率を
向上させて係合強度を増す。
【００２１】
【実施例】以下、本発明を図示実施例に基づいて具体的
に説明する。図１は本発明の第１実施例である同一樹脂
材料を使う両面面ファスナーの製造装置による製造時の
要部縦断面図を示し、同図中、符号１は押出ノズルであ
り、該ノズル１の先端部における上下両面はそれぞれに
後述する上下一対のダイホイール２，３と同一の曲率を
もつ円弧面１ａ，１ｂとして形成され、ノズル先端が偏
平状態とされている。この押出ノズル１はＴ形ダイから
なり、その押出口からは溶融樹脂４がシート状で押し出
される。本実施例によれば、押出ノズル１は中央に１個
の溶融樹脂流路１ｃを有している。
【００２２】前記押出ノズル１の先端部には、その上下
円弧面１ａ，１ｂにそれぞれの一部周面を密接させると
共に上下の周面間に所定の間隙をもたせて、上部ダイホ
イール２と下部ダイホイール３が軸線を平行にして上下
に配設されている。図示例によれば、前記上下ダイホイ
ール２，３は線対称の構造を有しており、それぞれの周
面には先端フック部５ａを後方（図面、左方）に向けて
多数のフック片成形用のキャビティ５が形成されてい
る。
【００２３】この上下ダイホイール２，３の他の構造は
既述した特表平１−５０１７７５号公報に開示された構
造と実質的に同一であるため、ここではその構造を簡単
に説明すると、内部に水冷ジャケットを有する中空ドラ
ム状であり、その軸線に沿った中央部分は多数のリング
状板材が積層固定され、一枚おきのリング状板材の表裏
周側面にはフック片基端を周面に開放して多数の上記フ
ック片成形用キャビティ５が刻設されており、このフッ
ク片成形用キャビティ５が形成されたリング状板材に隣
合うリング状板材の表裏側面は平滑面とされている。
【００２４】かかる構成からなる上下ダイホイール２，
３は、上記特表平１−５０１７７５号公報に開示されて
いるような、図示せぬ公知の同期駆動装置により矢印で
示す押出ノズル１の押出方向に向けて互いに逆回転す
る。そして、上下ダイホイール２，３の前方（図面、右
方）には同じく同期して逆回転する上下一対の引取ロー
ラ６，７が設置されている。
【００２５】本発明に使用される樹脂材料としては、ナ
イロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の熱可塑性樹
脂が挙げられる。成形にあたっては、樹脂材料により当
然に溶融樹脂温度、押出圧、ダイホイール温度、その回
転速度等が調整される。
【００２６】上述のごとく構成された本発明装置によれ
ば、押出ノズル１から押し出される溶融樹脂４は同期し
て回転する上下ダイホイール２，３の間に形成された間
隙に押し込まれ、その一部が上記フック片成形用キャビ
ティ５に順次充填されてフック片４ｂを成形すると共
に、所定の厚さと幅をもつ平板状の基材部分４ａを連続
的にプレス成形する。
【００２７】この成形時において、上下ダイホイール
２，３に接触する溶融樹脂４は同ホイール２，３の内部
から冷却され、徐々に固化していく。この固化の途中で
適当な引張り力の下で基材部分４ａを押出方向に引き取
ると、上記上下のキャビティ５内の各フック片４ｂは同
キャビティ５から直線状に弾性変形しながらスムースに
引き抜かれ、その直後に原形に復帰して、周辺温度によ
り自然冷却されて固化する。
【００２８】本実施例では、成形後の樹脂成形品（両面
面ファスナー）４′を上下ダイホイール２，３から引き
取るために、上述のごとく同期して逆回転する上下一対
の引取ローラ６，７が使われている。この引取ローラ
６，７の周面は平滑であってもよいが、フック片列が通
過する円周部分にフック片４ｂが収容される溝を形成す
る方がフック片４ｂを損傷させないためにも好都合であ
る。また、同引取ローラ６，７の回転速度は、フック片
４ｂがフック片成形用キャビティ５からスムースに引き
抜けるように上下ダイホイール２，３の回転速度より僅
かに大きく設定してある。
【００２９】図２は本発明の第２実施例である表裏に異
種材料或いは異色の材料を使った両面面ファスナーの製
造時における要部縦断面図を示しており、上記第１実施
例と実質的に同じ部分には同一の符号が付してある。
【００３０】同図中、符号１０は押出ノズルであり、該
ノズル１０の先端部における上下両面は、その上下端側
のそれぞれに上下一対のダイホイール２，３と同一の曲
率をもつ第１円弧面１０ａ，１０ｂを有すると共に、ノ
ズル中央に向かってそれぞれに上下一対のダイホイール
２，３より所定の値だけ大きな曲率半径をもつ第２円弧
面１０ｃ，１０ｄを有しており、ノズル先端は鋭角状態
で突出している。該押出ノズル１０は前記上下の第２円
弧面１０ｃ，１０ｄに向けて開口する２個の溶融樹脂流
路１０ｅ，１０ｆを有するＴ形ダイからなり、その上下
押出口からは異種又は異色の溶融樹脂４０ａ，４０ｂが
それぞれシート状で押し出される。
【００３１】前記押出ノズル１０の上下両端部に形成さ
れた上記第１円弧面１０ａ，１０ｂには、それぞれの一
部周面を密接させると共に第２円弧面１０ｃ，１０ｄと
の間に所定の間隙を設けて、上部ダイホイール２と下部
ダイホイール３が軸線を平行にして上下に配設されてい
る。従って、押出ノズル１０の先端中央部分に形成され
た第２円弧面１０ｃ，１０ｄと前記上下ダイホイール
２，３の周面との間には、所定の間隙寸法を有する空間
部２０，３０が形成される。上下ダイホイール２，３
は、上記第１実施例と同様に線対称の構造を有してお
り、それぞれの周面には先端フック部５ａを後方（図
面、左方）に向けて多数のフック片成形用のキャビティ
５が形成されている。
【００３２】この上下ダイホイール２，３の他の構造は
上述の第１実施例における構造と実質的に同一であるた
め、ここではその説明は省略する。また、上下ダイホイ
ール２，３の下流側には一対の引取ローラ６，７が配置
されている点も、上記第１実施例と同様である。成形に
あたっては、樹脂材料により当然に各溶融樹脂温度、押
出圧、各ダイホイール温度、その回転速度等が調整され
る。
【００３３】上述のごとく構成された第２実施例装置に
よれば、押出ノズル１から押し出される各溶融樹脂４０
ａ，４０ｂはそれぞれに押出ノズル１と上下ダイホイー
ル２，３とのかんに形成された空間部２０，３０に導入
され、上下ダイホイール２，３の回転と共に同ホイール
２，３の周面に形成されたフック片成形用のキャビティ
５に充填されながら、それぞれの基材部分４０ｃ，４０
ｄが上下ダイホイール２，３の対向する間隙部分まで移
送され、ここで２枚の基材部分４０ｃ，４０ｄが合流し
て上下ダイホイール２，３によりプレスされて互いに溶
着一体化されると同時に、それぞれの基材部分４０ｃ，
４０ｄに一体化した状態でキャビティ５の内部にフック
片５が成形される。
【００３４】この成形時において、上下ダイホイール
２，３に接触する溶融樹脂４０ａ，４０ｂは同ホイール
２，３の内部から冷却され、徐々に固化していく。この
固化の途中で適当な引張り力の下で基材部分４０ｃ，４
０ｄを押出方向に引き取ると、上記上下のキャビティ５
内の各フック片４０ｅは同キャビティ５から直線状に弾
性変形しながらスムースに引き抜かれ、その直後に原形
に復帰して、周辺温度により自然冷却されて固化する。
勿論、上下ダイホイール２，３と引取ローラ６，７との
間で冷却風を吹き付ける等の適当な冷却手段を両面面フ
ァスナー40′に作用させて、積極的に冷却固化させるよ
うにしてもよい。
【００３５】上述のごとくして製造される両面面ファス
ナー４′，４０′は、基材４ｂ′，４０ｂ′の表裏両面
に多数のフック片４０ｅが一体に形成されている。図示
例では明らかにされていないが、前記フック片４０ｅは
基材４ｂ′，４０ｂ′の表裏両面にそれぞれ多列に形成
され、同一列内ではフック片４０ｅは同一方向を向いて
おり、隣合うフック列では互いに逆方向を向いている。
こうすることで、係合力に方向性をもたない面ファスナ
ーが得られる。
【００３６】本実施例によるフック構造は、図示のよう
に側面からみて打ち寄せる波頭の形状に近似しており、
基材４ｂ′，４０ｂ′の表裏面から直接立ち上がる立上
り部及び該立上り部の先端に形成される下向きのフック
状係合部から構成される。
【００３７】前記立上り部の、フック状係合部の形成方
向と反対の面、即ち背面は、基材１の表面から滑らかな
曲線上を傾斜して立ち上がっており、また前記係合部の
形成方向の面、即ち前面は、ほぼ垂直な部分から基材４
ａ′，４０ａ′の表面に向けてアールを介して立ち上が
っており、立上り部を側面からみた全体形状は下方に向
かって末広がり状とされている。更に、この立上り部の
側面に、補強リブを基材４ａ′，４０ａ′と共に一体成
形することもできる。この補強リブの形状は適宜決めら
れるが、そのうち代表的な形状はフック正面からみて、
高さ方向にほぼ同一の幅を有しているものと、前記幅が
基材４ａ′，４０ａ′から上方に向けて漸減させるもの
が挙げられる。
【００３８】立上り部の上端には、その背面及び前面の
各接線に引き続いて下方に係合空間を有するフック状係
合部が形成される。また、このフック状係合部は、僅か
ではあるが、先細りに設計されており、従って、その先
端から前記立上り部の根元にかけて断面積が徐々に大き
くなっている。
【００３９】かかるフック構造により、いま面ファスナ
ーを係合させるため上記フック片５に向けて図示せぬ相
手方の係合材であるループ材が押し付けられると、ルー
プ材はフック片５の立上り部の傾斜する背面側とフック
状係合部の上面先端側に振り分けられ、背面を案内され
たループ材は背面側に隣り合うフック片のフック状係合
部に係合し、フック状係合部の先端方向に案内されたル
ープ材はそのまま同係合部に係合し、いずれにしても係
合率が著しく高まる。また、前記補強リブの存在は、ル
ープ材が押し付けられたときのフック片５の横倒れを防
ぎ、繰返し使用によってもループ材との係合率の低下を
来たさない。
【００４０】一方、面ファスナーを剥離するときはフッ
ク状係合部が先細りであることにより、同係合部は先端
に向かう程可撓性に富むためループ材の離脱が滑らかで
あり、それに加えて立上り部の上記構造により、万一過
度な剥離力がフック状係合部に作用しても根元で確実に
同作用を受け止めると共に、立ち上がり部が全体に直立
方向へと変形し、ループを速やかに係合部から離脱させ
る。
【００４１】なお、上記第１、第２実施例共に、基材の
表裏両面に形成する係合片を双方共にフック片とした
が、本発明における係合片は、少なくとも基材の一面に
フック片が形成されれば、表裏両面共にフック形状とす
る必要はなく、例えば表面にフック片を形成し、裏面に
は八字状に起立するアンカー片を形成することもある。
【００４２】かかる構成によれば、本発明により得られ
る両面面ファスナーをカーペットと両面ループの敷物の
固定用として使用すると、フック片が敷物のループと係
合し、アンカー片がカーペットに差し込まれてアンカー
の機能を奏し、敷物をカーペット上に固定して敷き詰め
ることが可能になる。
【００４３】また、上記第２実施例では、溶融樹脂流路
を２本として異種又は異色の樹脂材料をそれぞれの流路
に押し出して、上下の基材部分を上下ダイホイールの対
向部分で合流して溶着しているが、材質によっては接着
性に欠ける場合があり、その場合には前記２本の溶融樹
脂通路の中間にもう１本の樹脂流路を形成し、同中間の
流路には異質の樹脂材料の双方に化学的親和性のある樹
脂材料を押し出して、同樹脂を前記上下基材部分の間に
介在させることにより前記異質の樹脂材料の溶着性能を
向上させることもできる。
【００４４】このように、本発明は上記実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の目的の範囲内において種々
の変更が可能である。
【００４５】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く本発明方法によ
れば、複数で煩雑な工程を要することなく単一工程によ
り一体成形タイプの両面面ファスナーを容易に連続成形
することができ、また本発明装置も構造が簡単で、且つ
操作性に富むものであり、この種の両面面ファスナーの
製造にあっては極めて生産性が高く有用な発明である。
【００４６】更に、得られる両面面ファスナーも、特定
のフック構造とすることが可能なため、相手ループ材と
の係合率が向上し、しかも剥離時においてはループ材の
離脱が円滑であって、たとえ瞬時の抵抗があってもその
力を局部で受けることなく全体で受けて変形するため、
係合部の破損等がなく、特に補強リブを形成するときは
面ファスナーの繰り返し使用にも十分耐えられるように
なり、係合・剥離時に硬さがなく、織物タイプの面ファ
スナーと同様の滑らかな感触が得られ、産業資材用は勿
論のこと日用品等の多分野での利用が可能となる。ま
た、列間で隣り合うフック片の立上り部を補強リブで連
結する場合には、フック片の強度が確保される分、フッ
ク片の厚みを薄くすることが可能となり、それだけ相手
ループ材への挿入性能が増す上に、フック片密度を増加
することができ、実用に耐え得る強度を確保すると共
に、性能的にもより織物タイプの面ファスナーに近づ
く。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例である同一素材を使用した
一体成形タイプの両面面ファスナーの製造装置における
要部縦断面図である。
【図２】本発明の第２実施例である異種又は異色の素材
を使用した一体成形タイプの両面面ファスナーの製造装
置における要部縦断面図である。
【符号の説明】 １ 押出ノズル １ａ，１ｂ 円弧面 1c,10e,10f 溶融樹脂流路 10a,10b 第１円弧面 10c,10d 第２円弧面 ２，３ 上下ダイホイール 4,40a,40b 溶融樹脂 4 ′，40′ 両面面ファスナー 4a,40c,40d 基材部分 4a′,40a′ 基材 4b,40e フック片 ５ フック片用キャビティ ５ａ フック部 ６，７ 引取ローラ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 一体成形により面ファスナーを連続的に
    製造する方法であって、 押出ノズル(1,10)から溶融樹脂(4,40)を所定幅で押し出
    すこと、 押出ノズル(1) から押し出される溶融樹脂(4,40)を、所
    定の間隙をもって上下に配設され、それぞれの周面に多
    数の係合片用キャビティ(5) を有し、内部に冷却手段を
    有する上部ダイホイール(2) と下部ダイホイール(3) の
    前記間隙に導入すると共に、同溶融樹脂(4,40)を前記係
    合片用キャビティ(5) 内に充填すること、 前記上下のダイホイール(2,3) を前記溶融樹脂(4,40)の
    押出方向に同期的に駆動回転させて、平板状基材(4a,40
    c,40d)の表裏両面に多数の係合片(4b,40e)を一体に連続
    成形すると共に所定の温度に冷却すること、及び冷却さ
    れた樹脂成形体（４′，４０′) の前記係合片(4b,40e)
    を前記キャビティ(5) から引き抜きながら前記溶融樹脂
    (4,40)の押出方向に積極的に引き取ることを特徴とする
    両面に係合片を有する一体成形面ファスナーの製造方
    法。
  2. 【請求項２】 前記基材の表裏両面に形成される係合片
    のうち、少なくとも一面の係合片がフック状をなしてい
    る請求項１記載の一体成形面ファスナーの製造方法。
  3. 【請求項３】 前記溶融樹脂の押出流路を１本として、
    同一の樹脂材料をもって連続成形する請求項１記載の一
    体成形面ファスナーの製造方法。
  4. 【請求項４】 前記溶融樹脂の押出流路を２本以上とし
    て、異質の樹脂材料をもって連続成形する請求項１記載
    の一体成形面ファスナーの製造方法。
  5. 【請求項５】 前記押出流路を３本とし、中間の樹脂流
    路には前記異質の両樹脂材料と化学的に親和性の高い樹
    脂材料を供給する請求項４記載の一体成形面ファスナー
    の製造方法。
  6. 【請求項６】 一体成形により面ファスナーを連続的に
    製造する装置であって、 上下に所定の間隙をもって配設され、周面に多数の係合
    片用キャビティ(5) を有し、内部に冷却手段を有する上
    部ダイホイール(2) と下部ダイホイール(3) 、 該上下ダイホイール(2,3) を同期させて逆方向に回転さ
    せる駆動手段、 前記上下ダイホイール(2,3) の回転方向の上流側から前
    記間隙に向けて近接配置され、溶融樹脂(4,40)を所定幅
    で押し出す押出ノズル(1) 、及び前記上下ダイホイール
    (2,3) の回転方向の下流側で、且つ前記押出ノズル(1)
    による溶融樹脂(4,40)の押出線上の上下に配設される上
    下引取ローラ(6,7) を備えてなることを特徴とする両面
    に係合片を有する一体成形面ファスナーの製造装置。
  7. 【請求項７】 前記上下ダイホイールの少なくとも一方
    の周面に形成される係合片用キャビティがフック形状で
    ある請求項６記載の一体成形面ファスナーの製造装置。
  8. 【請求項８】 前記押出ノズルが１本の溶融樹脂流路を
    有してなる請求項６記載の一体成形面ファスナーの製造
    装置。
  9. 【請求項９】 前記押出ノズルが異質の樹脂材料を押し
    出す２本以上の溶融樹脂流路を有してなる請求項６記載
    の一体成形面ファスナーの製造装置。
  10. 【請求項１０】前記溶融樹脂流路が３本であり、中間の
    流路は前記異質の両樹脂材料と化学的に親和性の高い樹
    脂材料を供給する流路である請求項９記載の一体成形面
    ファスナーの製造装置。
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