JPH06102517B2 - 小型簡易クレ−ン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、大型型枠、地組鉄筋、建具材、仕上材などを
吊り荷対象とし、既存スラブ上を移動しながら揚重作業
をするのに好適な、小型で簡易な移動式クレーンに関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来、建設現場の揚重作業において、タワークレーン、
トラッククレーン、ジブクレーンなどが使用されてい
る。

しかしながら、大型型枠、地組鉄筋、建具材、仕上材な
どの吊り荷に対しては、タワークレーンのような大型ク
レーンでは吊り荷重に対して過大設備となり、トラック
クレーンを使うとすれば逆に特大型のものを選ぶ必要が
ある。また、足場用ジブクレーンでは水平方向の移動が
不可能であり、別途運搬手段が必要となる。さらに一般
のジブクレーン、簡易クレーンでは形状、寸法、自重が
大であるため、通常の建築スラブでは耐力が不足すると
共に、機動性も悪く、組立て、解体、運搬が容易でない
などの問題があり、上述したような吊り荷の揚重作業に
最も適したクレーンの出現が強く要望されていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は、上述したような実状に鑑みて創案されたもの
であって、その目的とするところは、大型型枠、地組鉄
筋、建具材、仕上材などを吊り荷対象とした、小型軽量
で組立て、解体が容易で、既存スラブ上の梁、柱間を人
力で移動でき、小型のロングスパンエレベーターでの盛
替、および小型トラックによる運搬が可能で、しかも安
全性が高く、さらに製作費が安く、かつ現場で使い易い
小型簡易クレーンを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するために本発明が採用した技術手段
は、巻上ウインチを載置したスライド式受台を後部に備
えた移動台車と、該移動台車の前方に立設した多段マス
トと、該多段マストの頂部に取り付けられ、折りたたみ
可能かつ旋回半径可変で先端に吊りフックを吊持したブ
ームとを備えてなる小型簡易クレーンであって、上記多
段マストは、中段マストに摺動伸縮固定自在の上段マス
トと、水平状態から直立状態まで起伏可能な中段マスト
と、下段マストからなることを特徴とするものである。

さらに好ましくは、移動台車に、その後方両側に折りた
たみ式のアウトリガーを装着し、上段マストを中段マス
トに旋回可能に取付け、かつ必要であれば多段マストの
所定個所にマスト伸縮および折りたたみ兼用のジャッキ
機構を取付けたことを特徴とする。

〔作用〕

従って本発明に係る小型クレーンでは、小型軽量、簡易
な構造となり、かつ移動台車は格納可能のスライド式受
台を備え、多段マスト、ブームおよびアウトリガーは折
りたたみ式であるため、解体、組立てが容易であり、折
りたたみ時には極めてコンパクトにまとめる。そして現
場でのスラブ上の水平移動は移動台車により人力で可能
であり、伸縮可能の多段マスト、旋回半径可変ブームは
吊り荷対象および作業条件への対応性が良好である。さ
らには、移動台車にスライド可能の受台を備えたことに
より、クレーン作業時に、受台をスライドさせることに
より、全体のバランスをとることができ、もって作業の
安定性が増す。

〔実施例〕

以下、本発明を図示の一実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第１図はクレーンの全体側面図、第２図は平面図、第３
図は上部マスト下部の一部縦断面図である。クレーン１
は、移動台車２と、該移動台車２の前方に立設した伸縮
可能な多段マスト３と、多段マスト３の頂部に取り付け
られたブーム４とを主要構成要素としている。

移動台車２は台車クレーム本体５にガイドローラ６を介
して後方へ引出し自在のスライド式受台７を備えると共
に、後方寄り両側に、先端にベースジャッキ８を有する
折りたたみ式のアウトリガー9,前方寄り下面に移動車に
本体転落を防止する転落防止装置10,また下面四隅に４
個の移動用キャスタ11が設けられている。受台７上には
巻上ウインチ12,カウンタウエイト13,制御盤14および油
圧ポンプ15が載置されている。

多段マスト３は移動台車２の前方に立設され、トラス構
造の下段マスト16および中断マスト17とパイプ構造の上
段マスト18とからなり、中段マスト17は下段マスト16に
取付けられた油圧シリンダ19の伸縮によりピン20を支点
として水平状態から直立状態まで起伏が可能であり、起
立時は固定ピン21を挿通して直立に固定する。

上段マスト18は下部が中段マスト17に挿入され、中段マ
スト17内を軸方向にスライドして伸縮され、三段の固定
位置23のいずれかに固定ピンを挿通することによって高
さが設定される。上段マスト18の下部はテーパ軸受24に
よって旋回自在に支持され、上段マスト18にキー25で固
定されたスプロケット26が中段マスト17に装着された減
速機付きの旋回用モータ27のスプロケット28にチェーン
29を介して連結されている。この多段マスト３は下段マ
スト16と台車フレーム本体５とを連結するマストステー
30によって直立に保持される。

上段マスト18の頂部にはブーム31が起倒自在に取り付け
られ、上段マスト18に取付けられたブラケット32に基端
を枢着されたブームステー33の先端をブーム31に取り付
けられた二箇所のブラケット34,35のいづれかにピン36
を差し替えることによってブーム31の角度が可変に設定
される。巻上げワイヤ37は一端がブーム31の基端に取り
付けられたロードセルを組み込んだ過荷重防止装置43に
止着され、前記ブラケット34のシーブ47,ブーム31の先
端のシーブ39を介しその間に吊りフック38を吊時し、次
いで、ブーム31基部のシーブ40に導かれて多段マスト３
の内部を通り、さらに多段マスト３の基部のシーブ41を
介して他端が巻上げウインチ12に巻回されている。尚、
図中の符号42はリミットスイッチを組み込んだ過巻防止
装置であり、図示しない旋回リミットスイッチを備えて
いる。

第４図はブーム31の角度を可変にする他の実施例を示す
もので、ブーム31はガントリ44で支持されたガイワイヤ
45で固定され、ターンバックル46の調整で角度が可変に
なる。

第５図はクレーン１を折りたたんだ状態を示しており、
因みにこの時の寸法は長さ約2m、巾約1m、高さ約2mであ
る。

上記のごとく折りたたみ、小型トラックなどで現場に運
搬したクレーン１は、既存スラブ上で移動台車２のアウ
トリガー９を拡げ、ベースジャッキ８を据えて台車２を
安定に固定した後、受台７を後方へ引出す。次に、中段
マスト17を下段マスト16から引出して三段の固定位置23
のいずれかにピンを挿通して所要高さに設定した後、油
圧ポンプ15を作動させて中段マスト17を起立し、ピンを
挿通して固定する。なお中段マスト17の伸縮は当該クレ
ーン１の簡易化のため前記のごとく人力で行うが、所定
個所に中段マスト伸縮用のジャッキ機構を設けて機械式
に伸縮することも可能である。

次ぎに旋回用モータ27を駆動してブーム31を前方に旋回
する。ブーム31の角度は作業半径に見合わせてブームス
テー33をブラケット34または35のいずれかに支持させる
か、ガイワイヤ45の長さをターンバック46によって調整
するかして設定する。

このように組立てられたクレーン１は制御盤14を操作し
て巻上ウインチ12を巻上げ巻き下げ駆動し、また旋回用
モータ27を駆動してブーム31を旋回して所要の揚重作業
を行う。作業に当たり、過巻き防止装置42,過荷重防止
装置43,旋回リミットスイッチで安全が確保され、また
転落防止装置10によって移動時の本体転落が防止される
ため、極めて安全性が高い。

スラブ上の水平移動はキヤスター11によって人力で容易
に行うことができ、また、受台７をスライドさせること
により、クレーン作業時における全体のバランスをとる
ことができる。盛替えはクレーン１を折りたたみ小型ロ
ングスパンエレベータで行うことができ、作業終了後は
分解することなく折りたたみ、小型トラック等で運搬す
る。

第６図は本発にかかるクレーンの他の実施例を示すもの
で、前記実施例と同等の構成部材は同一の符号を付して
ある。の実施例では、上段マスト18の上部のブラケット
32に枢着されたブームステー33の一端に止着されたワイ
ヤ48がブーム31先端部に、ブームステー33の他端に止着
されたワイヤ49が下段マスト16に係着され、ワイヤ48ま
たは49の長さを調節してブーム３の旋回用モータ27が下
段マスト16の基部に設けられたことが前記実施例と異る
のみで、機能的には前記実施例と変わりない。

〔発明の効果〕

以上詳述したように本発明によれば、巻上ウインチを載
置したスライド式受台を後部に備えた移動台車と、該移
動台車の前方に立設した多段マストと、該多段マストの
頂部に取り付けられ、折りたたみ可能かつ旋回半径可変
で先端に吊りフックを吊持したブームとを備えてなる小
型簡易クレーンであって、上記多段マストは、中段マス
トに摺動伸縮固定自在の上段マストと、水平状態から直
立状態まで起伏可能な中段マストと、下段マストからな
ることを特徴とするので、クレーンの解体、組立てが容
易であり、折りたたみ時には極めてコンパクトにまとま
り、運搬も容易である。

そして現場でのスラブ上の水平移動は移動台車により人
力で可能であり機動性が高く、伸縮可能の多段マスト、
旋回半径可変のブームは吊り荷対象および作業条件への
対応性が良く、特に大型型枠、地組鉄筋、建具材、仕上
材などの揚重作業に好適である。

さらには、移動台車はスライド式受台を備えているの
で、クレーン作業時に、受台を伸長させることにより、
クレーンのバランスを取り、作業の安定性を増すことが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図はクレーン
の全体側面図、第２図は平面図、第３図は上部マスト下
部の一部縦断面図、第４図はブームの角度を可変にする
他の実施例の要部側面図、第５図はクレーンを折りたた
んだ状態の概略側面図、第６図は他の実施例クレーンの
全体側面図である。 １……クレーン、２……移動台車、３……多段マスト、
７……スライド式受台、９……アウトリガー、12……巻
上ウインチ、16……下段マスト、17……中段マスト、18
……上段マスト。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】巻上ウインチを載置したスライド式受台を
   後部に備えた移動台車と、該移動台車の前方に立設した
   多段マストと、該多段マストの頂部に取り付けられ、折
   りたたみ可能かつ旋回半径可変で先端に吊りフックを吊
   持したブームとを備えてなる小型簡易クレーンであっ
   て、上記多段マストは、中段マストに摺動伸縮固定自在
   の上段マストと、水平状態から直立状態まで起伏可能な
   中段マストと、下段マストからなることを特徴とする小
   型簡易クレーン。
2. 【請求項２】前記移動台車は、この後方両側に折りたた
   み式のアウトリガーを装着したことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載の小型簡易クレーン。
3. 【請求項３】前記上段マストは、中段マストに対して旋
   回可能に取り付けてあることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項または第２項記載の小型簡易クレーン。
4. 【請求項４】前記多段マストは、その所定個所にマスト
   伸縮および折りたたみ用のジャッキ機構を取付けたこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第３項のいずれ
   かに記載の小型簡易クレーン。