JPH0245274Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は山岳等に送電鉄塔等を建設する場合の
基礎工事から鉄塔組立工事を行うときに用いるク
レーンに関するものである。

〔従来の技術〕

山岳に送電鉄塔、アンテナ用鉄塔等を建設する
場合は、鉄塔建設に必要な機材をヘリコプターで
運搬することが行われている。

鉄塔建設における基礎工事は、地面を掘削して
コンクリートを打設することにより鉄塔脚部を植
設するが、高さの高い鉄塔の場合は脚柱同士の固
定位置が広い間隔となるため、クレーンが使用さ
れている。

しかし、クレーンを用いて鉄塔建設工事を行う
場合、基礎工事中にヘリコプターで平地から多く
の機材を運んで荷卸しするが、基礎工事のときに
ヘリコプターの飛来に対する安全性の点から、ク
レーンの高さは極力低くしておく必要がある。一
方、鉄塔組立工事では大荷重となる鉄塔機材をク
レーンで吊り上げて搬送させるため、小さい力で
作業ができるようクレーンの高さは高い方がよ
い。又、クレーンをクライミングさせながら鉄塔
組立工事を行い鉄塔完成後に鉄塔頂部の狭い開口
部からクレーンを降下させるときには、円滑にク
レーンが降下できることが必要である。

従来、鉄塔建設工事に用いられているクレーン
は、基礎工事用のクレーンと鉄塔組立工事用のク
レーンの２種類を使い分けており、基礎工事用の
定置式クレーンは高さを低くしてヘリコプター飛
来に対する安全性を図るようにし、又、鉄塔組立
工事のクレーンは高さを高くして大荷重を扱える
ようにしてある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の鉄塔組立工事に用いれられるクレーンで
は、基礎工事用と鉄塔組立工事用の２種類であ
り、基礎工事を定置式クレーンで行い、基礎工事
終了後に鉄塔組立工事に移るときは、定置式クレ
ーンを撤去した後、鉄塔組立工事用のクライミン
グクレーンを組み立てて設置する方式をとるだけ
であり、１つのクレーンで基礎工事と鉄塔組立工
事を行わせる考えは全くなく、基礎工事でクレー
ンの高さをより低くするための工夫もされていな
かつた。

そこで、本考案は、基礎工事と鉄塔組立工事を
１つのクレーンで共用できるようにして基礎工事
時は高さをより低くでき、且つ鉄塔組立工事時や
鉄塔組立終了後にクレーンを降下させるときは高
さを高くできるようにしようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、 旋回座上に旋回自在に載置された旋回フレーム
と、該旋回フレーム上に前後方向へ回動し得るよ
う取り付けられ且つ前部支柱及び後部支柱のうち
いずれか一方が伸縮可能なガイサポートと、前記
旋回フレーム上に起伏自在に取り付けられたジブ
と、前記ガイサポート頂部近傍に取り付けたシー
ブと前記ジブとの間にかけ渡された起伏用ロープ
を巻取り、繰出し得るよう前記旋回フレーム上に
設置された起伏用ウインチとを備えたクレーン本
体と、 前記クレーン本体を搭載可能で且つ鉄塔組立工
事に移るときにクレーン本体から撤去可能な基礎
工事専用架台と、 前記基礎工事専用架台の両側部に立設し得るよ
うにしたガイドマストと、 前記基礎工事専用架台とクレーン本体の旋回座
との間に挿入可能で且つ前記クレーン本体を支持
して昇降し得ると共に少くともクレーン本体を支
持しないで下降し得る昇降フレームと、 該昇降フレームと前記ガイドマストの頂部に設
けたシーブとの間にかけ渡されたロープを巻取
り、繰出し前記昇降フレームを昇降させるウイン
チと、 該ウインチにより上昇させられた昇降フレーム
により前記クレーン本体が所定量上昇したときに
基礎工事専用架台を撤去した位置に立設され且つ
クレーン本体の旋回座あるいはクレーン本体に連
結された継足しマストに連結可能な継足しマスト を設けたものである。

〔作用〕

ガイサポートの前部支柱又は後部支柱を伸長又
は短縮動作させると、ガイサポートは起立状態か
ら後方へ倒れ、クレーン本体の高さを低くでき
る。ガイサポートが倒れた状態において上記と逆
に前部支柱又は後部支柱を短縮又は伸長動作させ
ると、ガイサポートは前方へ回動して起立させら
れる。

基礎工事時は、クレーン本体の専用架台を取り
付け且つガイサポートを後方へ倒すと、低い姿勢
で基礎工事を行うことができる。

鉄塔組立工事時には、基礎工事専用架台の両側
部にガイドマストを立設し、ロープを昇降フレー
ムに連結して該ロープにより昇降フレームを介し
クレーン本体を支持させ、基礎工事専用架台を撤
去し、ウインチにより前記ロープを巻き取つて昇
降フレームを介しクレーン本体を所定量上昇さ
せ、継足しマストを基礎工事専用架台を撤去した
位置に立設して該継足しマストをクレーン本体の
旋回座に連結し、昇降フレームを旋回座から外し
て前記ウインチによりロープを繰出し下降させ、
クレーン本体により鉄塔組立工事を行い、鉄塔が
所定量組上つたら、昇降フレームを継足しフレー
ムに連結して前記クレーン本体を支持させ、前記
ウインチによりロープを巻取つて昇降フレームを
上昇させて継足しフレームを介しクレーン本体を
上昇させ、クレーン本体及び継足しフレームが所
定量上昇したら、別の継足しフレームを立設して
該継足しフレームと前記クレーン本体を支持して
いる継足しフレームを連結し、昇降フレームを継
足しフレームから外して下降させ、クレーン本体
により鉄塔組立工事を行う。鉄塔組立工事時に
は、ガイサポートは立設させ、高い姿勢で鉄塔組
立工事が行われる。

〔実施例〕

以下、図面に基づき本考案の実施例を説明す
る。

旋回フレーム２上に、前部支柱３ａと後部支柱
３ｂとからなるガイサポート３を前後方向に回動
自在に取り付けると共に、旋回フレーム２の前端
部にジブ４を起伏自在に取り付け、旋回フレーム
２上に設置した起伏用ウインチ５に巻いた起伏用
ロープ６をガイサポート３頂部のシーブとジブ４
先端のシーブ間に掛け渡してジブ４を起伏できる
ようにし、又、旋回フレーム２上の巻上げ用ウイ
ンチ７に巻いた巻上げ用ロープ８にてジブ４先端
のシーブを介してフツクを吊り、更に上記旋回フ
レーム２を、旋回ベアリング９を介して旋回座１
０上に載置し、上記旋回フレーム２上に設置した
旋回装置１１により旋回フレーム２が旋回できる
ようにしてクレーン本体１を構成する。

上記クレーン本体１のガイサポート３を構成す
る前部及び後部の支柱３ａ，３ｂのうち、前部支
柱３ａは、下端部で分割し、該分割した前部支柱
３ａの短桿１２を第２図に示す如く鞘部１３内に
挿入し、スライドすることにより伸縮できるよう
にし、適宜長さの位置での固定をピン１４で行う
ようにすると共に、ガイサポート３の回動を補助
するシリンダ１５を前部支柱３ａの鞘部１３と旋
回フレーム２上との間に介装する。前部支柱３ａ
の長さは、ピン１４を挿入するピン孔を複数個設
けておくことにより任意に調整することができ
る。

上記クレーン本体１を鉄塔建設の基礎工事に用
いるときは、第１図、第４図に示す如く四方に水
平に張り出した脚部１７をそれぞれ分割可能にし
てなる基礎工事専用架台１６上に載置させ（この
場合、上記クレーン本体１を鉄塔組立工事に使用
するときに昇降フレーム１８を、クレーン本体１
と専用架台１６との間に介在させておく）、更に
補助機としてのシリンダ１５を短縮させて前部支
柱３ａと後部支柱３ｂを第１図実線の如く後方へ
倒す。このとき前部支柱３ａの下端は後部支柱３
ｂ下端の枢着点より前方に位置しているので、ガ
イサポート３が後方へ倒れると前部支柱３ａが長
手方向に引つ張られることになるが、前部支柱３
ａは伸縮式としてあつて自在に伸びることができ
るので、ガイサポート３は支障なく図示の如く後
方へ倒れることができる。ガイサポート３が後方
へ倒れると、前部支柱３ａの鞘部１３の下端部に
ピン１４を通して短桿１２と鞘部１３との固定を
行う。１９は後述するクライミング用のガイドマ
スト及び継足しマストを立てるときに載せる台で
ある。

上記の状態で基礎工事を行えば、クレーン自体
の高さが低くなるので、ヘリコプターの飛来に対
しても安全な秀勢で作業を行うことができる。

基礎工事が終り鉄塔組立工事に移るときは、ピ
ン１４の抜きシリンダ１５を伸長動作させてガイ
サポート３を第１図の二点鎖線の如く起立させ、
次いで、第３図及び第４図に示す如く、クライミ
ングのためのガイドマスト２０を専用架台１６の
脚部間の台１９上に立てる。ガイドマスト２０の
下部には、ウインチ２１を取り付けると共に、頂
部には、シーブ２２を取り付け、ウインチ２１に
巻いたロープ２３をガイドマスト２０頂部のシー
ブ２２と昇降フレーム１８との間にかけ渡して昇
降フレーム１８を支持させ、ウインチ２１により
昇降フレーム１８及びこの上のクレーン本体１を
支持した状態で基礎工事用の専用架台１６の脚部
１７を分割部１７ａで分割して専用架台１６を解
体撤去し、ウインチ２１を駆動して昇降フレーム
１８を上昇させてクレーン本体１を持ち上げる。
クレーン本体１が継足しマスト２４（第５図参
照）の１本分の長さ以上に持ち上げられると、継
足しマスト２４を台１９上に立てて、該継足しマ
スト２４の上端とクレーン本体１の旋回座１０と
を連結した後、昇降フレーム１８を下降させる。
昇降フレーム１８は中央部にマスト２４を通す孔
が設けてあるので、マスト２４の外側を下降でき
る。昇降フレーム１８が下降すると、該昇降フレ
ーム１８と上記マスト２４の下端とをカンヌキ等
で係止させて再びウインチ２１により昇降フレー
ム１８を上昇させ、次の継足しマスト２４を台１
９上に立て、マスト２４同士を連結する。

以後同様にしてクレーン本体１を利用した鉄塔
組立工事の進捗に合わせてクレーン本体１を第５
図のようにクライミングさせ、鉄塔組立工事を行
う。

鉄塔組立工事が終りクレーンを撤去するとき
は、前記クライミング操作とは逆の操作でクレー
ン本体１を下降させる。この場合、ジブ４を最小
半径となるよう起立させてクレーンの平面寸法を
最小にする。クレーン本体１が最下位置まで下降
させられると、ガイドマスト２０を撤去し、クレ
ーン本体１も撤去する。

なお、本考案のクレーンは、上記実施例のもの
に限定されるものではなく、たとえば、ガイサポ
ート３の前部支柱３ａを伸縮できるようにした
が、後部支柱３ｂを伸縮できるようにしてもよ
く、又、伸縮機構は、図示したピン１４による固
定位置の変更で行う方式以外のものでもよく、そ
の他本考案の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更
を加えてもよいことは勿論である。

〔考案の効果〕

以上述べた如く、ガイサポートを前後へ回動し
得るようにしてあるため、ガイサポートの高さを
低くすることが可能で、山岳での鉄塔建設の基礎
工事においてヘリコプター飛来に対し安全性を高
めることができ、又ガイドマストに沿いクレーン
本体を上昇させると共に上昇したクレーン本体を
継足しフレームにより支持させることにより鉄塔
組立工事を行うことができ、従つて１つのクレー
ンで鉄塔建設の基礎工事と鉄塔組立工事に共用で
き、しかも鉄塔組立工事時にはガイサポートを起
立させた状態で作業ができるため、クレーン高さ
を高くすることができて鉄塔組立工事での大荷重
を小さい力で吊ることができる、等種々の優れた
効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のクレーンを基礎工事に用いて
いる状態を示す側面図、第２図はガイサポートの
伸縮方式の一例を示す拡大部分図、第３図は基礎
工事から鉄塔組立工事に移るときの状態を示す側
面図、第４図は第３図の−矢視図、第５図は
本考案のクレーンを鉄塔組立工事に用いている状
態を示す側面図である。 １はクレーン本体、２は旋回フレーム、３はガ
イサポート、３ａは前部支柱、３ｂは後部支柱、
４はジブ、９は旋回ベアリング、１０は旋回座、
１４はピン、１６は専用架台、１８は昇降フレー
ムを示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 旋回座上に旋回自在に載置された旋回フレーム
   と、該旋回フレーム上に前後方向へ回動し得るよ
   う取り付けられ且つ前部支柱及び後部支柱のうち
   いずれか一方が伸縮可能なガイサポートと、前記
   旋回フレーム上に起伏自在に取り付けられたジブ
   と、前記ガイサポート頂部近傍に取り付けたシー
   ブと前記ジブとの間にかけ渡された起伏用ロープ
   を巻取り、繰出し得るよう前記旋回フレーム上に
   設置された起伏用ウインチとを備えたクレーン本
   体と、 前記クレーン本体を搭載可能で且つ鉄塔組立工
   事に移るときにクレーン本体から撤去可能な基礎
   工事専用架台と、 前記基礎工事専用架台の両側部に立設し得るよ
   うにしたガイドマストと、 前記基礎工事専用架台とクレーン本体の旋回座
   との間に挿入可能で且つ前記クレーン本体を支持
   して昇降し得ると共に少くともクレーン本体を支
   持しないで下降し得る昇降フレームと、 該昇降フレームと前記ガイドマストの頂部に設
   けたシーブとの間にかけ渡されたロープを巻取
   り、繰出し前記昇降フレームを昇降させるウイン
   チと、 該ウインチにより上昇させられた昇降フレーム
   により前記クレーン本体が所定量上昇したときに
   基礎工事専用架台を撤去した位置に立設され且つ
   クレーン本体の旋回座あるいはクレーン本体に連
   結された継足しマストに連結可能な継足しマスト を設けたことを特徴とするクレーン。