JPH0415754Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建築工事等において、大型型枠、地
組鉄筋、建具、仕上げ材等を対象として既設スラ
ブ上を移動させて揚重作業を行うために使用され
る小型、簡易型の移動式クレーンに係り、詳しく
は、ブームの起倒作業をマストの昇降動作と連動
させて自動的に行うことができると共に、マスト
を折畳むことによつて、運搬あるいは移動時の作
業性を向上できるようにしたポスト式フロアクレ
ーンに関するものである。

［従来の技術］ 従来のクレーンでは、ブームの起倒作業や多区
分構成のマストの昇降（伸縮）動作をワイヤーあ
るいはシリンダ等を用いてそれぞれ個別に行うよ
うにしたものがあるが、これらはいずれも大型の
クレーンに限られており、小型のクレーンにはブ
ームの起倒作業あるいはマストの昇降機構を採用
したものがなく、しかも、マストを倒すことによ
つて移動あるいは運搬時にクレーンを縮小化する
ようにしたものは全く見当たらなかつた。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、このようにブームの起倒機構とマス
トの昇降機構とを独立させたものでは、構造が複
雑になるのでこれをそのまま小型のクレーンに採
用することは極めて困難である。従つて、小型の
クレーンにこれらの機構を組み込む場合は、ブー
ムの起倒作業あるいはマストの昇降を手作業によ
つて行わざるを得ないので、使用あるいは運搬、
移動等を行うための組立、解体等の準備が非常に
面倒であるという問題があつた。

そこで、小型のクレーンでもブームの起倒作業
やマストの昇降作業が可能なようにし、しかも、
マストを倒すことによつて、移動あるいは運搬時
にクレーンをコンパクトにするように、油圧シリ
ンダーを使用するものが提案されたが、マストの
伸縮に伴うブームの先端の水平保持には、ステイ
ワイヤーを使用するものであるため、その巻取手
段を必要とし、その操作と油圧シリンダーの操作
とは必ず二重の構成であり、簡便な構造は得られ
ないものであつた。

本考案は、斯る実状に鑑みてなされたものであ
り、移動あるいは運搬時には容易かつ迅速にマス
トを折畳んでコンパクト化することができるもの
でありながら、とくにブームの構成において、ガ
イドサポート、ガイロツドおよびガイワイヤの構
成を合理化して、マストの昇降に同期してブーム
の引き起こし、倒し作業を自動的に行なうことが
できると共に、作業性に優れたポスト式フロアク
レーンを提供することを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案では、移動台
車上に基端を回転可能に設置したマストの頂部前
方に起状自在のブームを有し、該マストを上部マ
スト、中間マスト及び下部マストをピンを介して
相互に昇降及び折畳み可能に結合して、建物工事
に使用するように構成したポスト式フロアクレー
ンにおいて、上部マストの頂部後端部にガイサポ
ートの所定箇所を起状回動自在に軸着し、該ガイ
サポートの上端と、前記ブームの先端とをガイロ
ツドを介して連結すると共に、前記ガイサポート
の下端と下部マストの下方の一部とをガイワイヤ
を介して連結し、前記下部マスト内には、前記上
部マストの下面に連結ロツドを介して接続し、中
間マストを昇降させ、上部マストを折畳み可能に
した１基の伸縮ジヤツキを装着して構成したこと
を特徴としている。

［作用］ かかる構成とすることにより、下部マストに装
着したジヤツキを使用するだけで、中間マストを
昇降させて全体を伸縮させ、上部マストを折畳み
可能に組立式に構成すると共に、マストの昇降に
ともなつてブームを自動的に起倒することができ
るようになつている。

［実施例］ 以下に本考案の一実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

移動台車１には従来公知の旋回手段２を介して
下部マスト３の下端を取付けると共に、この下部
マスト３の内部にパワーシリンダ４を装着してい
る。前記下部マスト３は例えば、４本の各パイプ
により水平断面正方形に組まれており、その上端
部の前後位置にはそれぞれジヨイントピン５，６
を挿入するための孔を設けてある。

前記下部マスト３の内側には、４本の各パイプ
を長方形に組んで構成した中間マスト７を組み込
んであり、この中間マスト７の下端部と下部マス
ト３の上端とを前記ジヨイントピン５，６を介し
て折畳み可能に結合できるようにしてある。ま
た、この中間マスト７の上端部にはジヨイントピ
ン８，９を介して上部マスト１０の下端部を折畳
み可能に結合すると共に、上部マスト１０の下端
部と前記パワーシリンダ４のロツドの先端とを第
４図に示すように、連結ロツド１１を介して結合
してある。なお、この連結ロツド１１はジヨイン
トピン１９を介して上部マスト１０の下端部分に
結合されている。

また、前記上部マスト１０の上端に固定したブ
ラケツト１２の前端部に、ブーム１３の基端部を
ピン１４を介して起状自在に軸着すると共に、こ
のブラケツト１２の後端部に、ピン１５を介して
ガイドサポート１６の中間部を起状回動自在に軸
着してある。そして、前記ガイドサポート１６の
上端とブーム１３の先端とをガイロツド１７を介
して連結すると共に、ガイサポート１６の下端と
下部マスト３の中間部側面とをガイワイヤー１８
を介して連結してある。

上記のように構成したポスト式フロアクレーン
において、クレーンを使用するときは第１図ない
し第４図に示すように、中間マスト７および上部
マスト１０がそれぞれ下部マスト３および中間マ
スト７の上端にジヨイントピン５，６，８，９を
介して結合され、ガイワイヤー１８、ガイサポー
ト１６およびガイロツド１７の長さとガイワイヤ
ー１８の下端位置とを、マストを構成する各部の
高さと、ブーム１３の長さに関連して、ブーム１
３が所定の角度に張り出して保持されるように設
定してある。

この状態からクレーンを折畳む場合は、まず、
中間マスト７より上方の全重量をパワーシリンダ
ー４で支持した状態で、下部マスト３と中間マス
ト７とを結合しているジヨイントピン５，６を抜
き取つたうえで、下部マスト３の内部に収容され
ているパワーシリンダー４を短縮作動させる。す
ると、中間マスト７が上部マスト１０とともに下
降して下部マスト３の内部に格納される。このと
き、中間マスト７と上部マスト１０とが下降する
と、第１図の状態のガイワイヤー１８の緊張が緩
み、ブーム１３の重量によつてガイサポート１６
がピン１５を中心として図中時計廻りの方向に回
動する。従つて、ガイサポート１６にガイロツド
１７を介して連結されているブーム１３が、ピン
１４を中心として時計廻りの方向に回動し、マス
トを短縮させる作業に伴つて、ブーム１３が次第
に前方に倒れてやがて第５図に示すようになり、
ブーム１３はマストに沿つて垂下すると共に、ガ
イサポート１６は第１図のＶの位置に示されるよ
うになる。

次に、中間マスト７と上部マスト１０とを連結
しているジヨイントピン８，９のうちの前部に位
置するピン８だけを抜き取つて、パワーシリンダ
４を伸長作動させると、上部マスト１０の下端部
が、連結ロツド１１の作動を介して、後方に位置
するジヨイントピン９を中心として図中反時計廻
りの方向に回動するので、この上部マスト１０、
ブーム１３及びガイロツド１７がジヨイントピン
９を中心として次第に後方に倒れ、第６図に示す
ようになり、第１図のVIの位置をとる。

なお、折畳まれているクレーンを組み立てる場
合は、上記とは逆の手順によつて上部マスト１０
を起こしてこれを中間マスト７の上端に固定し、
その後、この中間マスト７を上部マスト１０とと
もに上昇させれば、ブーム１３が自動的に起き上
がるのである。

なお、実施例では上部マスト１０だけを回動さ
せるようにしているが、必要に応じて中間マスト
および下部マストをも回動（折畳み）できるよう
にし、あるいは、上部マストをも中間マストの内
部に下降（昇降）させ得るようにしてもよい。ま
た、ガイドワイヤーの長さをガイサポートの軸着
位置と下部マストの中間部側面の結合位置の選定
によつて変化させることにより、ブームの角度を
調整できることは詳述するまでもなく、クレーン
の使用条件に応じて各部の具体構造および仕様を
変更すればよいことはもちろんである。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案は、移動台車上に
基端を回転可能に設置したマストの頂部前方に起
状自在のブームを有し、該マストを上部マスト、
中間マスト及び下部マストをピンを介して相互に
昇降及び折畳み可能に結合して、建物工事に使用
するように構成したポスト式フロアクレーンにお
いて、上記マストの頂部後端部にガイドサポート
の所定箇所を起状回動自在に軸着し、該ガイサポ
ートの上端と、前記ブームの先端とをガイロツド
を介して連結すると共に、前記ガイサポートの下
端と下部マストの下方の一部とをガイワイヤを介
して連結し、前記下部マスト内には、前記上部マ
ストの下面に連結ロツドを介して接続し、マスト
を伸縮、昇降させるジヤツキを装着して構成した
ものであるから、マストの多段構成の高さと、ブ
ームの長さに関して、ガイサポート、ガイロツド
およびガイワイヤの長さを設定し、他の操作手段
を必要とすることなく、下部マストに装着したジ
ヤツキ（パワーシリンダ）を利用してマストを実
質的に伸縮させながら、このマストの伸縮に同期
してブームを自動的に起状作動させることができ
るために、クレーンの床上移動、ロングスパンエ
レベータでの上下階移動、大型クレーン等による
一体吊上げ移動、運搬時におけるトラツクへの積
卸し等を容易に行うことができ、しかも、使用現
場に一体で搬入してこれを容易に組み上げること
ができるので、組立指導員等のような特殊な技術
者を必要とせず、これにより、クレーンの運転に
必要な経費を大幅に削減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を、一部の収縮段階
と折畳み段階とを含んで示す側面図、第２図は第
１図の正面図、第３図は同じく平面図、第４図な
いし第６図はクレーンの折畳み家庭を説明する要
部の概略側面図である。 ３……下部マスト、４……パワーシリンダ（ジ
ヤツキ）、５，６，８，９……ジヨイントピン、
７……中間マスト、１０……上部マスト、１３…
…ブーム、１４，１５……ピン、１６……ガイサ
ポート、１７……ガイロツド、１８……ガイワイ
ヤー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移動台車上に基端を回転可能に設置したマスト
   の頂部前方に起伏自在のブームを有し、該マスト
   を上部マスト、中間マスト及び下部マストをピン
   を介して相互に昇降及び折畳み可能に結合して、
   建物工事に使用するように構成したポスト式フロ
   アクレーンにおいて、上部マストの頂部後端部に
   ガイサポートの所定箇所を起伏回動自在に軸着
   し、該ガイサポートの上端と、前記ブームの先端
   とをガイロツドを介して連結すると共に、前記ガ
   イサポートの下端と下部マストの下方の一部とを
   ガイワイヤを介して連結し、前記下部マスト内に
   は、前記上部マストの下面に連結ロツドを介して
   接続し、中間マストを昇降させ、上部マストを折
   畳み可能にした１基の伸縮ジヤツキを装着して構
   成したことを特徴とするポスト式フロアクレー
   ン。